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朔良さん

のんびりまったり。 読むのは綺麗で残酷な話が好きです。 こちらで掌編・短編小説の勉強をさせていただいています。 遡って皆様の作品を読ませていただいてます。 古い作品に突然コメントすることがありますが、失礼があった時は申し訳ありません。 マイペースですが、頑張ります^^

出没地
趣味
職業
性別 女性
将来の夢
座右の銘

投稿済みの記事一覧

7

晴れ女

14/04/21 コメント:15件 朔良 閲覧数:1373

 生粋の晴れ女である自分に感謝したことは、生まれてから一度もない。

 …ごめんなさい、嘘です。嘘をつきました。16年のうちで一度くらいならあるかもしれない。
 でも、晴れ女あることにうんざりしてるのは本当だ。
 絶望的に運動音痴の虚弱体質。休み時間は図書館に逃げ込む対人スキル皆無のヒッキー予備軍で、趣味は読書と謎解きゲーム。いじめられるほどの存在感もないザコキャラの私には・・・

7

常闇の国

14/04/07 コメント:13件 朔良 閲覧数:1680

 リリーン 時計鐘の音が闇を震わせながら降り注ぐ。僕は天を振り仰ぎ、淡く光る星に囲まれた時計鐘を見た。
 もう昼か。急がなきゃ。 
 弓を握り弦を爪弾く。低く広がる音の反射と屈折が僕に周囲の様子を伝えてくれる。シャラン、手鈴が弓音に干渉し暗闇に白い姿が浮かび上がった。
「カミルさん」
 現れたのは神官のカミルさんだった。見なくても手鈴の音色ですぐわかる。
「シェンじゃ・・・

10

あかい実

14/03/31 コメント:23件 朔良 閲覧数:1564

 ライトバンのドアを開けると草いきれでむっとした。
 まだ4月だというのに初夏並みの日差し。暑苦しいスーツで中年には辛い傾斜の野道を歩くと思うとうんざりだが、これも仕事だ。私は里道に車を置いたまま歩き始めた。

 はこべ。かたばみ。はるじおん。
 表札の外れた門塀の奥、我が物顔で庭を蹂躙する草花。春の花と言えば聞こえがいいが、結局は雑草だ。
 季節の花を丹精していた原・・・

5

臆病者

14/03/24 コメント:9件 朔良 閲覧数:1227

 草国の王、豪頼(ゴウライ)は勇猛にして豪胆。身の丈八尺二寸(190cm)、獣のごとき異相で、羆と渡り合えば左腕を食いちぎられながらも右腕で縊り殺し、一蹴りで山道を塞ぐ岩盤を砕き、眼光で飛ぶ鳥を射落とす。一度戦場に立てば鬼神のごとき隻腕の王の武勇は遠く海を越えた異国まで知れ渡るほどであった。
 対して、異腹の弟、麒奏(キソウ)は臆病者で、文には長けるが武には劣り、馬は能くするものの戦場では血・・・

6

有川唯に奇跡を信じさせる方法について

14/03/10 コメント:15件 朔良 閲覧数:1887

「神様なんて信じないし、奇跡なんて起こらない」

 それが有川唯のモットーだ。13歳にしては世知辛いが、物心つく前に母をなくし、自分自身も生まれた時から病院のベッドに縛られている身であれば無理もないだろう。
 ただ……。
「なぁ、唯ちゃん」
「ん?」
 唯が訝しそうに顔を上げる。病院で本ばかり読んでいるせいか、口が達者で生意気な…でも可愛い僕の妹。窓から差し込む・・・

8

誘蛾灯

14/02/24 コメント:17件 朔良 閲覧数:2707

 網膜に焼き付く青白い光。
 ジジジ…と低い唸りを漏らす誘蛾灯の無慈悲な輝きに魅せられて、ぱちんと命が爆ぜる。



 ガラス張りのカフェに冬の光が差し込む。スマホから着信音が響いて十分。そわそわと視線を泳がせる奈緒子さんを見て潮時を悟る。意地悪はこのくらいでやめておこう。
「先輩、どうしたんです? 何か心配事でも?」
「う、うんん、そんなんじゃないの」・・・

6

希望

14/02/10 コメント:13件 朔良 閲覧数:1456

 断崖絶壁の淵をあなたはふらふらと歩いている。

 世界はどこまでも暗く黒く、存在するのはねっとりと濃度を持った暗闇だけ。絶え間なく吹きすさぶ刃の風に襤褸をはぎ取られそうになりながら、縋る杖もなくただ這うようにあなたは足を進める。底の抜けた靴さえいつしか失い、爪のはがれた裸の足は傷まみれで尖った小石を踏み抜いてももはや痛みすら感じない。泥だらけの頬、礫に打たれ腫れた瞼が垂れ下がった虚ろ・・・

9

モーツアルトは聞きたくない

14/02/07 コメント:19件 朔良 閲覧数:2565

 うん。もう駄目だ。終わりにしよう。僕はモーツアルトにはなれない。

 再生の終わったDVDの静止画面を眺めながら、僕は眼鏡をはずして手の甲で目をこすった。
 終わりにすると決めたくせに未練がましく、「夏の演奏会、一緒にやらね?」と匠から渡された音楽ファイルを開く。
 流れてきたのは皮肉にもモーツアルトだった。

 モーツアルトを連弾とかどんな嫌がらせだ? と毒・・・

5

乙女倶楽部

14/01/27 コメント:16件 朔良 閲覧数:2213

「あゝ小百合お姉様! サナトリウムに行つてしまはれたなんて! なんておいたはしい…。どんなにお辛いことでせう。あの冷たく切なき仕打ちもすべて私を思つてのこと。私はなんと愚かだつたのでせう! お姉様の清らかなる美しきお心も知らず貴子様と演奏会に行つてしまうなんて…」
 レェスの半巾を握りよゝと泣き崩れる美代。
「ホホホ、小百合様は美代さんにお怒りになつてゐるわ」
 貴子が黒ゝとした・・・

7

明日、世界が

14/01/25 コメント:16件 朔良 閲覧数:1747

 明日、世界が滅びたらいいのに。
 全部全部、無くなってしまえばいい。

 帰りの電車の中、筋を引いて流れていく灯りを睨みつけるように顔を歪めて、私はそう願った。

 たかが失恋。されど失恋。
 メガンテでもバルスでもなんでも、唱えられるもんだったら唱えたい。明日なんか永遠に来なきゃいい。

 ブブブ・ブブブ
 バッグに突っ込んだ携帯が震えた。・・・

10

メリー・ウィドウ

14/01/23 コメント:20件 朔良 閲覧数:1851

 久しぶりに会った悪友たちに「今日は飲まない」と言ったら、疲れてるのかと気遣われ、「明日早いし」と答えたら、槍でも降るんじゃないのと不審がられ、「牧場に馬を見に行く」と白状したら、どうかしてると笑われ、「別に馬が好きなわけじゃないけど」と付け加えたら、馬鹿じゃないのとあきれられた…後で真顔で心配された。
 まったくもってそのとおり。今の私は、疲れてるし、どうかしてるし、馬鹿みたいだ。でも絶対・・・

4

ノワイエ

14/01/14 コメント:11件 朔良 閲覧数:1338

 AM1:45。かららん、と古風な呼び鈴が鳴った。
 常連の増田さんがひょいと顔をのぞかせる。
「ママ、まだ大丈夫?」
 らしくもなくそう聞いたのは『ノワイエ』のオーダーストップはAM1:30だからだ。
「ええどうぞ。いらっしゃいませ」
 ママの薫子さんが穏やかに微笑む。バーテンダーの西嶋君もグラスを磨く手を止めてぺこりと頭を下げた。
 増田さんはほっとしたよう・・・

9

My Sweet

13/12/28 コメント:20件 朔良 閲覧数:1507

 頭を撫でる優しい手が好きだった。
 やわらかく喉元をくすぐる指も、目尻の皺も、五月の風のような緑の瞳も、なにもかも愛していた。
 彼女も俺を愛してくれた。ビー玉みたいな青い目とくすんだ灰色の体毛さえ、彼女に言わせれば宝石の瞳と高貴な銀の毛並。親も知れない雑種には過ぎた褒め言葉だ。
 長患いで寝たきりの彼女を慰めるために連れてこられた俺にとって「My Sweet」と優しく囁く声と・・・

4

幽霊渓谷の卵豚

13/12/04 コメント:11件 朔良 閲覧数:2014

 なるほど、幽霊渓谷にはまだ光脈が残っているようだった。
 鋭角クレバスの間から時々光が漏れ、ほころびかけた嘴草の透き通った花弁をしゃらしゃらと揺らした。
 左眼に意識を集中して周囲の気配を探る。空壁の傷、蔦焔の欠片、枯れた塩木。痕跡はありありと残っているのに探しているモノは見つからない。
 途方に暮れてため息をついた僕の後ろで、甲高いキーキー声が聞こえた。
「おい、こんな・・・

5

幸福な食卓

13/12/02 コメント:9件 朔良 閲覧数:2149

 康弘がダイニングに入ると、食卓にはいつもどおりの朝食が並んでいた。
 脂ののった鮭、根菜の炊き合わせ、牛肉の佃煮、いくらの小鉢と納豆、ハムと卵のサラダ、艶々の白飯と味噌汁。下手な旅館の朝食より豪華だ。
「詩織…」おずおずと声を掛ける。
「おはよ」朗らかに詩織は微笑んだ。おでこの絆創膏が痛々しい。
「…あの、昨日はその」
「ほらほら、早くご飯食べないと遅刻しちゃうよ」・・・

5

ひとひらの魔法

13/11/24 コメント:7件 朔良 閲覧数:1812

「その冬最初の雪のひとひらを捕まえたら、願いが叶うんだって」
 
 雪舞う学校の帰り道、教えてくれたのは瞬だった。
 正直、こどもっぽいしロマンチックすぎると思ったのは内緒だ。
 でも、冬のオリオンを…周りに隠れた他の星座を教えてくれたのも、白い虹や青白く輝く夜光雲を教えてくれたのも瞬だから。私は素直に信じた。瞬はいつも、それまで見えなかったものを私に見せてくれる。
・・・

4

コアントローの昼下がり

13/11/18 コメント:7件 朔良 閲覧数:2816

「ゆかり、シュークリーム作ってよ」

 …それを今、この場面で言う?

「ぜぇーったい、いや」

 あたしは小鼻にしわを寄せて、相馬ののほほんとした顔をにらんだ。

「やっぱり?」
「なんで、今シュークリームなんて言うかな? バカなの? 死ぬの?」

 三日前に決別した元彼の新しい彼女が「サークルのみなさんに差し入れでぇっす」って持・・・

7

Bye bye オレンジチョコレート

13/11/04 コメント:11件 朔良 閲覧数:1779

 午前一時。
 僕は、時間をかけて丁寧に珈琲を淹れ、大嫌いなチョコレートを一口齧った。
 口腔で溶けるなめらかなチョコレートとオレンジピールの苦み。
 甘いもの好きな君がくれたチョコレートはさすがの味で……。でも、やっぱり僕は、チョコレートが嫌いだと思う。

 大きく伸びをして、狭いアパートの窓を開ける。
 少し冷たい夜風と秋の終わる匂い。遠い夜空の星。
・・・

4

雨上がりの虹

13/11/02 コメント:8件 朔良 閲覧数:1604


 あーあ。雨降ってんじゃん。
「うぇー。雨降ってんじゃん」

 なに、今の。

 心の中を言い当てられたみたいで、ドキッとしながら声のしたほうを見る。
 下足入れの影からひょっこり出てきたのは、クラスメイトの神崎誠だった。
 やたら荷物の多いスクバを肩にかけて、どしゃどしゃとグラウンドを叩いてる雨を恨めしそうに見上げる背の高い姿。

「・・・

8

人面瘡

13/10/24 コメント:14件 朔良 閲覧数:2280

 友達の話です。 

 …人面瘡って知ってます?
 人面魚じゃありませんよ? もちろん、人面犬でもありません。
 昔、はやりましたよね、そういうの。なんでも人の顔に見立てて、言ったもん勝ち、みたいな風潮嫌いだったな。無責任すぎます。

 じゃなくて。
 そうそう。体に人の顔が浮かび上がってくるっていう、あれですよ。
 古くは唐代の『酉陽雑俎』(ゆうよ・・・

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