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メモリアル

入賞した作品THE STORY WHICH WON

ハッチ

コンテスト:第159回 時空モノガタリ文学賞 【 片想い 】

カテゴリ: 登録日:18/08/16

入賞時空モノガタリ文学賞 【 片想い 】 入賞作品

 僕の名前はハッチ。コンパクトハッチバック車だからハッチだと、ユリちゃんが名付けてくれた。彼女は免許を取りたてだったからあちこちに傷も付いたけれど、そんなことは最初のうちだけだったし、ユリちゃんのお父さんはいつでもちゃんとディーラーさんに傷の修理を頼んでくれていたから、何の問題もなかった。  ユリちゃんの通う大学やアルバイト先への往復のほか、いろんな場所へ僕らは出掛けていった。知らない田舎道をグ...... 続きを読む

花の名前

コンテスト:第159回 時空モノガタリ文学賞 【 片想い 】

カテゴリ: 登録日:18/08/20

入賞時空モノガタリ文学賞 【 片想い 】 入賞作品

 結婚してしばらくはアパート住まいだった。夫の仕事場の近くに手頃な賃貸物件を見つけて、息子の蓮が六歳になるまでは家族三人で2LDKの部屋で暮らした。アパートの玄関を出て大通りを抜けると、新しい戸建てが並ぶエリアがあった。ぴかぴかの家と、丁寧に手入れを施された庭。  庭には、季節ごとにきれいな花が咲いていた。アパートのベランダは狭くて、洗濯物を干すだけで精一杯だったから、余計に羨ましいと思ったのか...... 続きを読む

いつか、届け

コンテスト:第159回 時空モノガタリ文学賞 【 片想い 】

カテゴリ: 登録日:18/08/20

入賞時空モノガタリ文学賞 【 片想い 】 入賞作品

 閉じただろうか。開いたままだったろうか。  記憶を巻き戻すように何度も思い返しているけれど開いたままだった気がする。  先生が急に呼ぶからいけないんだ。大至急手伝えなんていうから何事かと慌てて行ってみれば花壇の水遣りだった。  鳳仙花に水をかけながら私は気が気ではなかった。  ひとり教室に残って書いていたノート。呼ばれてそのままあたふたと出てきたからちゃんと閉じていなかった気がする。見ら...... 続きを読む

兄の一計

コンテスト:第158回 時空モノガタリ文学賞 【 あとがき 】

カテゴリ: 登録日:18/07/23

入賞時空モノガタリ文学賞 【 あとがき 】 入賞作品

 平沢の妹が訪ねてきたのは、あいつの四十九日が過ぎていくらか経ったころだった。  大きな茶封筒を大事そうに胸に抱き、背筋を伸ばして俺の前に座っている。意志の強そうな澄んだ瞳に力が戻っているのを見て、俺はひどく安堵した。 「金井さん、兄の書斎からたいへんなものを見つけたんです。それを見ていただきたくて」  そう言ってもどかしそうに封筒の中に手を入れる彼女に俺は苦笑した。 「香澄ちゃん、落ちつ...... 続きを読む

ユタのあとがき

コンテスト:第158回 時空モノガタリ文学賞 【 あとがき 】

カテゴリ: 登録日:18/07/03

入賞時空モノガタリ文学賞 【 あとがき 】 入賞作品

 小説のあとがきは不要派だとユタは言う。 「俺が夢中で読んできた物語について、実はこういう気持ちで書いていた、こんなきっかけで書き始めた、あれが最後へ繋がる伏線だった、とかそんなこと終わってから言われても、俺が感じて考えてたことと全然違ったらどうなるんだよ。えーそんな意味だったの?とか知りたくないんだよ。百歩譲って作者の近況とか内容に関係ない話だったらいいけど、でもそれはそれで本の雰囲気や世界観...... 続きを読む

哀しい人

コンテスト:第1回 時空モノガタリ短編文学賞

カテゴリ: 登録日:18/07/02

入賞第1回 時空モノガタリ短編文学賞 優秀作品賞

 家の中にいても波の音が聞こえる。 「ここに住んでたんだよね」  海辺にある平屋の一軒家。 「すごい物の量」 「週末で片付けるのは無理だね」  溜息をつく妹の頭に白髪を見つけた。三つ下の妹は三十七になる。自分たちがそんな歳になったなんて信じられない。でも七十の父が心筋梗塞で亡くなったのだから確かに月日は流れたのだ。 「お母さんが死んで一年もたなかったね」 「別れて何年も経つのにやっぱ...... 続きを読む

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