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メモリアル

入賞した作品THE STORY WHICH WON

案山子たちの首

コンテスト:第160回 時空モノガタリ文学賞 【 伏字 】

カテゴリ: 登録日:18/09/22

入賞時空モノガタリ文学賞 【 伏字 】 入賞作品

 親族だけしかいないような村の中、叔父の田んぼだけが何体もの案山子に囲まれている。  その案山子たちは、藁の胴体の上に人間の生首を据えていた。  幼い頃はひどく恐ろしかった。  案山子は風に揺られて、時折首の断面を曝した。藁との隙間に見えるそれは、干し葡萄のように粘着質に黒かった。首は皆何かを呟いているが、それを聞きとれる者はいない。  案山子に怯えてすがり付いた幼い私に、村の誰かが「あん...... 続きを読む

フッセージ!

コンテスト:第160回 時空モノガタリ文学賞 【 伏字 】

カテゴリ: 登録日:18/09/22

入賞時空モノガタリ文学賞 【 伏字 】 入賞作品

 りんろんという澄んだ電子音に、ぼくは行き詰まった数学問題集から顔を上げた。スマホを引き寄せて画面を覗き込む。 <ハルカさんからフッセージが届きました!>  明るく灯る小さな画面には見慣れた通知が光っていて、ぼくは思わず頬をゆるめた。  トンと画面をたたくと文章が現れる。 <□の課題やった? □分□分わかんなーい!>  今日はわかりやすい。  塾の課題やった? 微分積分わかんなーい!…...... 続きを読む

ANSWER

コンテスト:第160回 時空モノガタリ文学賞 【 伏字 】

カテゴリ: 登録日:18/08/20

入賞時空モノガタリ文学賞 【 伏字 】 入賞作品

 アキコが二十歳ぐらいから知るショッピングセンターは、オープンから既に三十年は経つだろう。ここにはしばらく来なかったが、最近また利用するようになったのは、十年以上連れ添った夫と別れた事がきっかけだった。  夫の浮気が原因で離婚してから半年。今年で五十歳になるアキコにとって、熟年離婚は簡単な事ではなかった。  夫が提示した慰謝料によって、経済面の不安がある程度解消された事と、何より、自分を裏切っ...... 続きを読む

ハッチ

コンテスト:第159回 時空モノガタリ文学賞 【 片想い 】

カテゴリ: 登録日:18/08/16

入賞時空モノガタリ文学賞 【 片想い 】 入賞作品

 僕の名前はハッチ。コンパクトハッチバック車だからハッチだと、ユリちゃんが名付けてくれた。彼女は免許を取りたてだったからあちこちに傷も付いたけれど、そんなことは最初のうちだけだったし、ユリちゃんのお父さんはいつでもちゃんとディーラーさんに傷の修理を頼んでくれていたから、何の問題もなかった。  ユリちゃんの通う大学やアルバイト先への往復のほか、いろんな場所へ僕らは出掛けていった。知らない田舎道をグ...... 続きを読む

花の名前

コンテスト:第159回 時空モノガタリ文学賞 【 片想い 】

カテゴリ: 登録日:18/08/20

入賞時空モノガタリ文学賞 【 片想い 】 入賞作品

 結婚してしばらくはアパート住まいだった。夫の仕事場の近くに手頃な賃貸物件を見つけて、息子の蓮が六歳になるまでは家族三人で2LDKの部屋で暮らした。アパートの玄関を出て大通りを抜けると、新しい戸建てが並ぶエリアがあった。ぴかぴかの家と、丁寧に手入れを施された庭。  庭には、季節ごとにきれいな花が咲いていた。アパートのベランダは狭くて、洗濯物を干すだけで精一杯だったから、余計に羨ましいと思ったのか...... 続きを読む

いつか、届け

コンテスト:第159回 時空モノガタリ文学賞 【 片想い 】

カテゴリ: 登録日:18/08/20

入賞時空モノガタリ文学賞 【 片想い 】 入賞作品

 閉じただろうか。開いたままだったろうか。  記憶を巻き戻すように何度も思い返しているけれど開いたままだった気がする。  先生が急に呼ぶからいけないんだ。大至急手伝えなんていうから何事かと慌てて行ってみれば花壇の水遣りだった。  鳳仙花に水をかけながら私は気が気ではなかった。  ひとり教室に残って書いていたノート。呼ばれてそのままあたふたと出てきたからちゃんと閉じていなかった気がする。見ら...... 続きを読む

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