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深海映さん

短編やショートショートが好きなモノカキ民

出没地
趣味 アニメ、ゲーム、コスプレや同人活動
職業
性別 女性
将来の夢 星の見える田舎で晴耕雨読の暮らし
座右の銘 飯は食いたい時が食い時

投稿済みの記事一覧

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猫の手、貸します!

17/06/27 コメント:0件 深海映 閲覧数:188

 チョコと言うのはチョコレートの略だというのを最近知った。チョコレートとは吾輩の名づけ親であるミヨ子という中年女が休日になると決まって貪り食うあの茶色い物体のことで、人間が食べる分には問題ないが我々猫にとって大変危険な毒物なのだそうだ。
 申し遅れたが、吾輩の名はその危険な毒物と同じチョコ。猫である。そして「猫の手事務所」という事業を手掛ける社長でもある。

 ミヨ子は夫と子供を・・・

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貝の風鈴

17/06/05 コメント:0件 深海映 閲覧数:233

 ちりん、ちりんと夏の音がした。

 カラン、カランと日差しを浴びて揺れる風鈴からは、海の音色がした。

 なんてきれい。風太がくれた風鈴を見ながら、私は目を細める。
 キラキラ光る、青や、水色の透明なビーズに、白い貝がらがついた風鈴。
 海へ行ったことはなかったけれどそこからは、確かに海の音色がするような気がした。
「もう秋なんだから、風鈴はしまったほう・・・

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ヒーローはつらいよ

17/05/09 コメント:0件 深海映 閲覧数:389

「おやきマーン! 助けてー!」
 田舎くさい女の叫び声。カメムシをかたどった怪人の男は笑った。
「はーっはっは! 来るわけないさ!」
「いいえ、来ますわ! おやきマンは必ずきます! みんな〜! みんなの力でおやきマンを呼んで! おやきマーン!」
 棒読みな女の声に応え、閑散とした観客席の子どもたちが「おやきマーン」と呼ぶ。
 女はもっと大きな声で呼ぶように子どもたちに・・・

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その菓子の味は

17/04/26 コメント:0件 深海映 閲覧数:267

 甘くて、可愛くて、キラキラしていて、若い女性が好むお洒落なお菓子、それがスイーツだと先生は言った。
 だが俺にとってスイーツとはそんなに甘くてお気楽なもんじゃない。人生をかけた、血と涙の結晶、それが俺にとってのスイーツだ。
 思えば俺の人生はスイーツ漬けだった。幼稚園児のころにはすでに、お菓子作りの好きな母の手伝いでクッキーの型を抜いたりしていたのを覚えている。
 小学校に上が・・・

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乙姫の玉手箱

17/04/04 コメント:0件 深海映 閲覧数:431

 清らかな朝日に目を細め、老人は海を見つめていた。
 傍らには錆びついた古い釣り道具。白く染まった髪を潮風になびかせ、よく焼けた肌を日光にさらし、微動だにせず岸壁に佇むその様は、まるで彫刻のよう。私は思わず足を止め、老人に声をかけた。

「釣れますか?」
老人は静かな波間を見つめたまま首を横に振る。
「釣りに来ているのではない」
「ではなぜここに? 散歩ですか?・・・

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トレイン・マン

17/03/18 コメント:0件 深海映 閲覧数:416

「あなたの写真はどれ? どうせまた電車なんでしょ」

 板張りの廊下にコツコツとヒールの音を響かせながら妻が笑う。
 私たちがこの小さな美術館に来たわけは、私の撮った写真が地元新聞社の主催する写真展で入賞し展示されることになったから。
 妻も写真を趣味としていて電車を撮ることもあるのだが、私みたいに電車を主役にするのではなく、主役はあくまで空や山や田園風景。
 電車は・・・

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失敗だらけの人生

17/03/13 コメント:0件 深海映 閲覧数:296

 思えば俺の人生は失敗だらけだった。
 40近くになっても彼女はできない、それどころか友達すらいない、体も病弱、とどめに先週仕事もクビになった。もう生きてる価値なんかないんだと、思うには十分すぎた。

 だから俺は、死んでやることにした。このくだらない人生に終止符を打つことにしたんだ。

 「だから死んだの?」

 俺はビルから飛び降りた――ような気がした・・・

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月とETと自転車

17/01/31 コメント:2件 深海映 閲覧数:520

 西陽が岩肌へと鋭く射し込む夕暮れ。私は海岸沿いの曲がりくねった坂道を自転車で登っていった。目的地は、この山の上にある灯台。

 ゆっくりとペダルを踏みしめる。
 ハルくんはあんなに軽々と自転車でこの坂を登っていたのに、いざ私がやってみると全然前に進まない。自転車に乗るのにも、やっと慣れたと思ってたのに。

 小さい頃から自転車に乗れないことがコンプレックスだった。<・・・

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新宿コロッケ

17/01/16 コメント:4件 深海映 閲覧数:1208

 出張でたまたま新宿に来ていた私は、ふとどこからか漂ってきたコロッケの香ばしい匂いに、昔のことを思い出した。

「東京は観光するには良いが、人の住むところじゃない。ごみごみしていて、人は冷たいし料理はまずい」
 母は常々そんな風に私に言っていたので、私は何となく東京は住みずらいところで、だから大概の人は職場は東京にあっても千葉だとか埼玉に住んでいるのだと思っていた。
 なの・・・

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喪失

17/01/02 コメント:3件 深海映 閲覧数:585

「ケータくん!」
 304号室のドアを開けると、あやみが腕に飛び込んできた。
「良かったあ。あんまり遅いから今日はもう来ないのかと」
 泣きじゃくるあやみの、すこしぺったんこになった黒い髪を撫でてやる。
 そうしてベッドの横に腰掛け、僕たちは職場であった面白い話やペットの犬の話、テレビの話なんかをして過ごす。

 入院した彼女を甲斐甲斐しく毎日見舞いに来る彼氏。・・・

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五分間の乗り継ぎ駅

16/12/05 コメント:2件 深海映 閲覧数:423

「まもなく次の駅に停車します。反対車線の車両到着を待っての発車となるため、次の駅では5分間停車いたします。お乗換えの際は足元にご気をつけて……」

 車掌がマイクごしにくぐもった声で話す。
 その時僕は高校三年生で、家から少し離れた高校へ通っていた。
 いつものように窓の外をぼんやりと眺めていると、汚れたガラスの向こう側、通勤途中のサラリーマンや通学途中の学生たちが忙しく行・・・

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若きサンタクロース

16/11/24 コメント:0件 深海映 閲覧数:413

「わぁ、サンタさんだ!」

 それはクリスマスイブの夜だった。ユイは目の前にいる、赤い服を着て白いひげの白人男性に目を輝かせた。
 ニコニコしながらクリスマスプレゼントをユイに渡すサンタクロース。

「わあ、ありがとう!」

 お礼を言ったユイだったが、ふと、サンタに疑いの目を向けた。

「ねえ、あなた、本物のサンタクロースなの?」

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星空の絵

16/11/08 コメント:0件 深海映 閲覧数:582

 この春、私は結婚をすることになった。彼は非常に明るく社交的な人で、周りのみんなは、内気で家にこもりがちな私とは正反対のタイプだねって言う。そんな彼と付き合うことになった決め手は、彼の家に飾ってあった一枚の絵だった。

 どこまでも青く果てしない星空の絵。その絵は、私の部屋に飾ってあるのと全く同じだった。
 
 私がその絵と出合ったのは、近所の美術館だった。
 たまた・・・

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デイジーの咲く庭

16/10/24 コメント:0件 深海映 閲覧数:377

 私は脚を引きずりながら30年ぶりに隣国の地を踏みしめた。

 私の国は30年前に和解条約が締結されるまで長いこと隣国占領されており、私も若い頃は祖国復帰のため兵士として戦ったのだ。
 辛い戦争の記憶から、私はしばらく隣国を訪れるのを躊躇していたが、いざ来てみればなんてことは無い、隣国は戦争の面影など無いほど発展しており、もはや私の知る街はそこには無かった。

 大き・・・

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