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メモリアル

入賞した作品THE STORY WHICH WON

恥知らず

コンテスト:第134回 時空モノガタリ文学賞 【 正義 】

カテゴリ: 登録日:17/04/24

入賞時空モノガタリ文学賞 【 正義 】 入賞作品

 靴は左足から履く。  つま先でトントンとはしない。  家の玄関を左足から出る。  鍵をかける。  鍵を抜き、ドアノブを回して、鍵がかかっているか確認をする。  階段を左足から降りる。  左足を最初の一歩にしているのは単なるポリシー。  踊り場にタバコの吸い殻が落ちている。  恥知らず。  吸うのは構わない。だが、ポイ捨ては喫煙者失格。  ティッシュを取り出し、包んでビニール袋...... 続きを読む

ただ、静かな日々を

コンテスト:第134回 時空モノガタリ文学賞 【 正義 】

カテゴリ: 登録日:17/05/18

入賞時空モノガタリ文学賞 【 正義 】 入賞作品

   破かずに読んでいただければ幸いです。    204号室様  ありがとうございます。  あなたのおかげで月島さんが越してくる前の静かな日々が戻ってきました。  何しろ、月島さんの犬には私だけでなく近所中が迷惑していましたから。  散歩に行かないせいでいつも吠えているし、トイレの始末をしないから庭はフンだらけ。回覧板を届けるのが苦痛でした。風向きによっては、一日中あの悪臭に悩ま...... 続きを読む

人さらいの夜

コンテスト:第134回 時空モノガタリ文学賞 【 正義 】

カテゴリ: 登録日:17/05/21

入賞時空モノガタリ文学賞 【 正義 】 入賞作品

 僕が失敗をすると、ばあちゃんはいつも「悪い子は人さらいに連れてかれるんだよ」と怖い顔をして言った。  お味噌汁を零すと僕の頭を掴んで「お前なんか攫われてしまえばいいんだ」と言う。お皿を割ってしまうと「悪い事ばかりして!」と怒鳴る。  僕は正義の味方が出てくるアニメが好きだった。僕もあんな風に強くなりたい。  けれどそのテレビもすぐに消されてしまう。ばあちゃんは僕の頭を小突いて「お前はあんな...... 続きを読む

喜びと悲しみが溶け合った味のするケーキ

コンテスト:第133回 時空モノガタリ文学賞 【 スイーツ 】

カテゴリ: 登録日:17/04/27

入賞時空モノガタリ文学賞 【 スイーツ 】入賞作品

「喜びと悲しみが溶け合った味のするケーキを探さないといけない」と、妻が急に言い出した。  いったいどんな味なのか想像することもできない喩えだ。甘くて苦い味なのか、濃厚で堅いケーキなのかさっぱりわからない。言った妻自身も食べたことがないから味なんてわからないという。  妻の母、僕からみれば義母が亡くなる前に食べたいと言ったのがそのケーキだというのだ。結局そのときはすでに食べ物が喉に通らない状態だ...... 続きを読む

陽だまりケーキ

コンテスト:第133回 時空モノガタリ文学賞 【 スイーツ 】

カテゴリ: 登録日:17/05/07

入賞時空モノガタリ文学賞 【 スイーツ 】入賞作品

 洋菓子店の帰り道、私はひたすら息子をなだめていた。 「イチゴのケーキも好きでしょ?」 「やだ!」  いつもなら売っているモンブランが今日は売切れていた。そんな時に限って息子が「黄色いケーキがいい」と駄々をこねたのだ。  落ち着けるために立ち寄った公園には、私達の他にベンチに七十代ほどの男性が一人。うるさくてごめんさい、と心の中で侘びる。 「黄色いケーキはまた今度ね?」 「やだ!」 ...... 続きを読む

コンテスト:第133回 時空モノガタリ文学賞 【 スイーツ 】

カテゴリ: 登録日:17/05/08

入賞時空モノガタリ文学賞 【 スイーツ 】入賞作品

 私が住む町は正午前に暴風域に入った。台風の勢力は、夕方が来ようかという現在も衰える気配がない。降り付ける大粒の雨。吹き付ける強風。ひっきりなしに震える窓硝子が痛ましかった。台風の目に入ってくれれば一息つけるのだが、そう都合よくはいかないらしい。  私は一人、ダイニングの椅子に座っている。頭上の照明は灯っているが、両隣のキッチンとリビングは消灯されているため、私がいる場所だけが異様に明るい。 ...... 続きを読む

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