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ピースオブケイク

17/05/01 コメント:0件 紅月 閲覧数:48

「華さん」
なんて甘ったるい響きだろう。
少し掠れた、いつもよりも半オクターブ低い声に振り返ると、ティーポットを持った彼が、こっちを見て佇んでいる。そのがっしりとした、骨太な身体に不釣合いな様に、思わず笑みがこぼれる。
「ダージリンにする?それともアールグレイ?」
「んー、アールグレイお願いします」
「わかった、ちょっと待ってね」
彼の口からダージリ・・・

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羊を逃がさない

17/04/30 コメント:0件 熊野ゆや 閲覧数:79

 これも私たちの仕事なんでしょうかねえ、と牧場から逃げ出した羊を追う。
 そういうものだよ、と言いながら先輩は端末機を操作して最新の情報を調べている。
 ドーナツ屋の求人に応募したはずなのに、こんなことになっている。かわいい制服を着て、週に五日間決まった時間だけ働いて、稼ぎの良いお客さんを捕まえて、お嫁さんにでもなればいい。人生はもっと単純であると思っていた。
 牧場なんてあった・・・

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正義の味方を探しています。

17/04/30 コメント:0件 火那 閲覧数:39

 彼は正義の味方を探していた。幼い頃からヒーロー戦隊やドラマで活躍する警察官や探偵に憧れて、それは成人して数年たっても変わらぬまま。寧ろその熱情は過熱状態であっただろうか。社会に出れば理不尽を身を持って感じることも増えるし、立場の弱さに悔し涙を流すことだって多々ある。だからこそ、社会の弱者を救ってくれる、正しいことを貫いてくれる『正義の味方』を求めたのだ。

 「あ、あの!」
 ・・・

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台湾スイーツを食べたい

17/04/29 コメント:0件 熊野ゆや 閲覧数:152

 台湾スイーツを食べたい。お店に行くといつも閉まっている。予め時間を確認してから店に行けば台湾スイーツが食べられただろう。しかしそうはしなかった。食べたいという気持ちに本気さが足りないのだろうか?
 根っこにあるのは、台湾に行きたいという気持ち。でもそれには準備が大変。お店の時間を確認する簡単な任務が遂行できない現在の僕には難しいだろう。旅行会社にお金を払って準備してもらったって、乗る飛行機・・・

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思い出したらチーズケーキと息子の言葉

17/04/30 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:94

 親友のおせっかいに思いをはせてみる。
 山崎君のうちで映画バタリアンを見て泣いた小雨の春に、ゆっこは私に言った。
 私たち、親友だよね。
 私たち、親友だよね。
 繰り返してあげることができなかったゆっこへの言葉。ゆっこは往復待ちでぼんやり間を見つめていたっけ?
 あれが小学校の四年生。心の友って書いて、しんゆうって読むんだよって勘違いしてたのはきっと、ジャイアンの・・・

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牛のお乳とお砂糖と、なにかの卵

17/04/29 コメント:0件 むねすけ 閲覧数:116

 娘が高熱にうなされてかわいそうで、私はおでこを氷淡水ペンギンのお腹に限界までくっつけに行く。氷淡水ペンギンは村南の泉に群れで住んでいる。人間の体温を嫌うこたちだが事情を話すと、そこは同じ子を持つ母親同士、わかってくれるのがいてお腹をお借りした。すべらかでなにものよりも白いお腹は氷おでこを作るのにに最適。おでこの感覚が無くなって代わりに原始の氷河にも存在していたはずのかつての私の記憶が流れ込んでく・・・

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サツマイモ

17/04/29 コメント:0件 田中あらら 閲覧数:68

 パフィンマフィンの礼子さんが今日焼いたのは、焼き芋のマフィン。マフィンの型に生地を流し込み、真ん中に大きめにカットした焼き芋を差し込んで業務用オーブンで20分焼けばできあがり。他には定番のブルーベリーマフィン、人気のチョコマフィン、おかずを使ったひじきマフィンと切り干し大根マフィンを焼いた。
 礼子さんは1年前、自宅の片隅を改装して菓子製造業の許可をとり、商号を「パフィンマフィン」とした。・・・

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スイーツ、蟻の、女王様

17/04/29 コメント:0件 宮本葉太 閲覧数:49

 僕には彼女は狂っているとしか思えなかった。
 彼女は蟻を巣が観察できるスケルトンのケースで飼っている。そこまでは、まぁ普通だと僕も思う。そういうのが趣味な女性は意外と多い。
 でも彼女はやっぱり狂っている。
 アリンコ相手に一箱三千円もするケーキやチョコを餌にしてあげているのだ。自分はせいぜい一日一回コンビニのスイーツを三百円以内に抑えて、ときには食べる事すら我慢するくせに。僕・・・

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粉砂糖の降る夜空

17/04/29 コメント:0件 花色木綿 閲覧数:77

「ねえ、サトウくん。やっぱり押入れの中でお茶を飲むのは、どうかと思うんだけど……」
 そう問い掛けると一方のサトウくんは、「そうかなあ?」と、飄々と返す。彼はアンティーク調のティーカップを滑らかな手付きで口に運びながら、優雅な時間を過ごしている。BGMに、クラシックの音楽が聞こえてきそうだ。
 彼の周りだけを刳り貫けば、まるで映画の中のワンシーンに見えるが、カメラをフェードアウトしてし・・・

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とろけちゃったらミルクセーキ

17/04/29 コメント:0件 かめかめ 閲覧数:47

 太郎がお菓子作りにそそぐ愛情は執着と言えるほどの熱量だ。休日は朝から多種類のお菓子を作るのはもちろん、平日も仕事から帰ったらお菓子を作らないと落ち着かず寝ることも出来ない。作るのは大好きだが食欲は人並みで作り上げたお菓子も少ししか食べられない。大部分のお菓子は職場に持っていき同僚に振る舞うことになるのだった。
 コールセンターのバックオフィスが太郎の職場だ。一日中ずっとパソコンの前に張り付・・・

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母さんのぶどうパフェ

17/04/29 コメント:0件 茉莉花 閲覧数:72

 その日は、突然やってきた。
母さんが天国に逝ってしまったのだ。
交通事故でなんの予告もなく、お別れもいう間もなく突然この世から消えてしまった。母さんが作ってくれたぶどうパフェももう食べられない。
 僕は、母さんの枕もとに座り話しかけた。動かなくなった母さんが再び目を覚ましてくれるんじゃないかと期待して。
「母さん、僕ね、母さんに黙っていたことがあったんだ。ずっと隠していた・・・

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食べられないケーキ

17/04/29 コメント:0件 嘉藤千代 閲覧数:55

 ああ、どうしようか。別に大した悩みではないのだが、テーブルの上に置かれたケーキをどうすべきか悩んでいるんだ。
 彼女が愛してやまない洋菓子店のチョコレートムース。ドーム型のそれはココアパウダーで綺麗にコーティングをされていた。てっぺんに飾られているミックスベリーがとても可愛らしい。
 来客である彼女をもてなそうと用意したのに、ムースは手をつけられることなくテーブル上に寂しく残っていた・・・

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春歩き

17/04/28 コメント:0件 宮本葉太 閲覧数:57

 毎年春になると徒歩で旅をする。
 電車に乗る事もあればタクシーに乗る事もあるけど、家からはこの二本の足で旅立つ。
 少し前まではあんなに肌寒かったのに、今は薄手の上着を脱ぎたいくらいの陽気だ。視界には植物がいきいきと育っていて、春の息吹きを感じる。あんなに殺風景だった近所に、命が芽生えていた。それも所々に。雑草なんて嫌な言い方をするけど、身近に感じる命である。生命力、力強い濃い緑。た・・・

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{正義}の変遷

17/04/28 コメント:0件 貞治参 閲覧数:68

 私は頭を抱えた。
 目の前にはパソコン。ホームページ上、次回の執筆テーマが表示されている。
『正義』
 なんて難しいテーマを出しやがるんだ――。
 このテーマで新しいものを書こうとするのは無理な話だろう。古今東西、正義という概念について書かれた論文は山ほどあるし、そのあり方を問う小説も数えきれない。早い話、正義にまつわるありとあらゆる命題はすでに出尽くしていると言ってもい・・・

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メトセラ人、脱ゾンビ生活宣言

17/04/28 コメント:2件 本宮晃樹 閲覧数:65

 友人連中の誰もが反対した。「そんなことしてなんになる?」
 ごもっとも。だがわたしに言わせれば、飼い慣らされた羊みたいな生活にこそなんの意味があるのか教えてほしい。あらゆるリスク――なんという呪わしい言葉だろう――から逃げ隠れする臆病な隠遁者ども。地獄へ失せろ。
 いまでは狂人の聖地として悪名を馳せる上高地に着いたのは、夏真っ盛りの八月下旬。大むかしはあふれかえるほどの登山者でにぎわ・・・

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正義ポイント

17/04/27 コメント:0件 蜜柑粒 閲覧数:63

 将来ロボット技術が発達し、ロボットが人の代わりに働くようになったら、多くの人は働かなくてよくなるのだろうか…。 面倒くさがりの孝太は、就職を間近に控え、そのようなことばかりを考えていた。「めんどくせぇ」そう言って孝太は家を出た。今日も会社の説明会に出向く。満員電車に揺られながらボーッと俯いていると、近くから男の怒鳴り声が聞こえてきた。「押してんじゃねーよ」「押してねーよ」こういう不毛なやり取りを・・・

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正義印

17/04/27 コメント:2件 W・アーム・スープレックス 閲覧数:96

 彼女と二人、ホテルの一室に入りこみ、俺は深く息を吸い込みながらドアを閉ざした。
 彼女も、俺も、どちらも既婚者。これまで週刊誌やテレビの芸能ニュースでしかみたことのなかった、不倫の二文字が二人の上にべたりと貼りつけられた。
 彼女は、俺の勤める会社の、上司の妻だった。慰安旅行で顔をあわせ、旅館の宴会で隣同士になり、酒の上の気安さで、あることないこと喋るうち、なんてあなたとは気があうの・・・

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喜びと悲しみが溶け合った味のするケーキ

17/04/27 コメント:1件 吉岡 幸一 閲覧数:85

「喜びと悲しみが溶け合った味のするケーキを探さないといけない」と、妻が急に言い出した。
 いったいどんな味なのか想像することもできない喩えだ。甘くて苦い味なのか、濃厚で堅いケーキなのかさっぱりわからない。言った妻自身も食べたことがないから味なんてわからないという。
 妻の母、僕からみれば義母が亡くなる前に食べたいと言ったのがそのケーキだというのだ。結局そのときはすでに食べ物が喉に通らな・・・

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キリッシュトルテ

17/04/27 コメント:0件 seika 閲覧数:58

ドイツ文学者の芋洗坂瑠璃子は初めて大ドイツ文学者、戸舞賛歌の書斎を訪れたことを思い出した。

杉並区成田の邸宅の二階にその戸舞賛歌の書斎はあった。床から天井間でびっしり並んだ膨大な洋書の数々、室内に流れる重厚なクラシック音楽、そしてアカデミックな雰囲気…
『ここがあの、本物のドイツ文学者、戸舞賛歌ノショサイなのだ。』
芋洗坂瑠璃子は思わず息を呑んだ。
『やぁいらっし・・・

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民間童謡 エイケン・ドラム

17/04/27 コメント:0件 瓢箪鯰 閲覧数:55

 東の国のとある町。全くモテない少年がいた。
 この少年、どれほどモテないかと言うと、なんと生まれてこのかた女の子と付き合うどころか話したことさえほとんど無い。文化祭に修学旅行、バレンタインデー、クリスマス。その他諸々エトセトラ。男女の出会いの場は数あれど、彼はどれにも縁がない。
「ああ、イケメンとは言えないが、顔はそんなに悪くはないはず。なのに、どうして、こんなにモテない?」
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その菓子の味は

17/04/26 コメント:0件 深海映 閲覧数:55

 甘くて、可愛くて、キラキラしていて、若い女性が好むお洒落なお菓子、それがスイーツだと先生は言った。
 だが俺にとってスイーツとはそんなに甘くてお気楽なもんじゃない。人生をかけた、血と涙の結晶、それが俺にとってのスイーツだ。
 思えば俺の人生はスイーツ漬けだった。幼稚園児のころにはすでに、お菓子作りの好きな母の手伝いでクッキーの型を抜いたりしていたのを覚えている。
 小学校に上が・・・

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ジャスティス・スチューデント

17/04/26 コメント:0件 瀧上ルーシー 閲覧数:55

 ぼくが何もしなくてもいつかは終わると思っていた。
 だが終わらない。今日も昼休みの教室で桃子は不良の百円ライターでじわりじわりと長い髪を炙られていた。泣き叫ぶ桃子、後ろの席から傍観するぼく。見ているだけのぼくだが、内心腸が煮えくりかえっている。お前らはぼくの桃子に何をするんだ。誰に断ってぼくの桃子を虐めているんだ? そうは思いながらも虐められて涙を流す桃子から目を離せなかった。一つの歪んだ・・・

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おかしな家

17/04/26 コメント:0件 十文字兄人 閲覧数:56

 これは、初めて友達の家に遊びに行った時の話である。

 彼女の名前は『あめ』と言い、みんなから『あめちゃん』という愛称で呼ばれていた。だから、私も彼女のことは『アメちゃん』と呼んでいたのだが、今後は軽々しく、その愛称では呼べないだろう。

 あめの家は、住宅街から少し離れた場所にあり、家の周りは高い木々で囲まれ、まるでわざと見つからないように隠して建てたかのようだった。<・・・

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正義と書いてマサヨシ

17/04/26 コメント:0件 ネコライオン 閲覧数:67

本当の優しさとは損得を顧みない優しさである。人に騙されたことや、裏切られたことであーだこーだ言っている人間は結局自分が可愛いのである。

だからこそ、俺は自分がボロ雑巾になってでも自分の正義を貫く。

全ては誰かのためではなく、自分の中の信念が突き動かすものである。

ある日、クラスの虐められっ子がいた。
皆にはぶられ、机には彼を侮辱したような言葉が書かれ・・・

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べっ甲飴と涙

17/04/26 コメント:5件 ちほ 閲覧数:77

 雑貨屋『ショコラ』の店主・アーニャは、雪解けの泥水を避けるため、スカートの裾をちょっと持ち上げ、通りを横切り店の中に入る。薄暗い小さな台所には火の気もなく、たった1つのランプにも火が入っていない。薄暗闇の中、何かがテーブルの方でごそりと動いた。
「誰?」
  問いかけてから、天井から下げられたランプに手を伸ばす。ランプの光に照らされたのは、末娘のアリアだった。テーブルに突っ伏し・・・

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欠けたチーズケーキ

17/04/26 コメント:0件 れもん 閲覧数:120


平日朝の電車内というのはどうしてこうむさくるしいのだろう。休日にどこかに遊ぶに行こうと乗る電車とはまるで違う。車内に陰鬱な空気がみちていて、生気がまるでない。あれだけの人数が同じ空間にいてあれほどの静寂をつくりあげることができるのは日本人だけであろう。
泉貴子は窮屈な車内でそんなことを考えては、少しでもこれから出勤する会社のことをかんがえないでおこうとした。

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かいぶつのともだち

17/04/25 コメント:0件 家永真早 閲覧数:141

 ウユの友達は怪物だ。彼が自分でそう言ってるからだ。きっと本当なんだろうと思う。触らせてくれた手は硬い毛に包まれていたし、鼻息は強くて湿っていて、声もひどくくぐもっていた。彼曰く、彼は全身毛むくじゃらで頭には角が生え、目も耳も鼻も大きく、そしてまた大きな口には長い牙が生えているのだそうだ。だけれど、彼は村の誰よりも優しいとウユは感じていた。
 ウユは生まれつき目が見えなかった。不便はないけれ・・・

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ソーシャル・ネット・フレイム・アイドル

17/04/25 コメント:0件 氷室 エヌ 閲覧数:90

 まずい。やってしまった。
 下世話な週刊誌の見出しを見て、頭を抱える。『超人気アイドルO上、お泊まりデートか!?』――何がO上だ。私の名前は大上だ――それで伏せ字にしたつもりだろうか。
 まさかホテル周辺にパパラッチがいたなんて。私は数日前の夜のことを思い出した。友人であるタレントの誕生日パーティで、某有名企業の重役だという男に出会った。前から私のファンだったというその男は、案外悪く・・・

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あん団子

17/04/25 コメント:0件 瀧上ルーシー 閲覧数:56

 私は借金漬けだ。それも自業自得の借金ではない。私が十八歳でもうすぐ高校を卒業するというときにお父さんがギャンブルやキャバクラなどの浪費で多額の借金をこさえて蒸発した。しかも闇金融で借りた金だ。闇金融の業者は自己破産しようが相続放棄しようが関係なしに取り立てにくる。母親もいない私はしかたなく高校を中退して、風俗で働くことになった。当時の友達にはその仕事に就くのを止められたし、今も付き合いがある子は・・・

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偽りの正義

17/04/25 コメント:0件 seika 閲覧数:45

有名なドイツ文学者でクラシック音楽にも造詣が深く、古代ローマ史等歴史の著作も多数ある戸舞賛歌の偲ぶ会が高級ホテル『ホテルナポリタン』で開催された。企画主導司会は戸舞賛歌の書斎に出入りしていたナカノ、費用&労力負担は戸舞賛歌の不肖の娘で小岩のディスカウント店『倉庫の店』店員詩織だった。偲ぶ会 当日ナカノは詩織に負担させた高級外車のハイヤーでホテル入り、一方の詩織は朝からジーバンでナカノのツカイパシリ・・・

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洗脳

17/04/25 コメント:0件 ぱせり 閲覧数:69

 私は自分のことが嫌いだった。コンプレックスの塊で、劣等感の塊だった。



 男友達が一人だけいる。私は彼によく、
「自分のこと好き?」
と聞く。彼はいつも、
「好きだよ。」
と言う。そう答える時の彼の顔が、堪らなくかっこいいのだ。だから私は、答えを知っていても彼に会うたびに同じ質問をする。自分のことが好きな彼のことが、私も好きだ。

・・・

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正義の味方

17/04/25 コメント:2件 安藤みつき 閲覧数:109

ヒーローはいつも『正義の味方』である。
悪役の怪獣は、住民に危害を加え、地球を乗っ取ろうとする。そんな怪獣に対してヒーローは、正義の鉄槌をくだし、怪獣は爆発して死んでしまう。

時代劇の主人公も『正義の味方』である。
悪の代官が、住民から不当にお金を巻き上げ、女を拐う。そんな代官を、主人公は『正義』の名の元に、切り殺す。

『正義の味方』は、正義を貫き通す。

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軍師 浦島太郎

17/04/24 コメント:0件 土地神 閲覧数:106

 亀は、悔いていた。あの男に助けなぞ求めなければ……いや、いっそあのとき自分が悪童どもに殺されていれば……そう嘆くことすらあった。

「お助けくだされ」
 悪童らの理不尽な暴行に、亀が街道へ投げかけた声に応えたのは、隻眼に黒眼帯の侍だった。
「よかろう。では一番体の大きな奴の目を砂で潰し、足をはらえ」
 亀は侍の指示に従って決死の形相でヒレをかき、白浜の砂を巻き上げた・・・

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浦島太郎の哀しみ

17/04/24 コメント:0件 木野太景 閲覧数:47

 日が昇る頃、浦島太郎はひとり浜に座り、海の波打ち際を見ていた。大きな亀が浜に上がったが、彼が見たのは波だけだった。
 彼には昔、夫婦になろうと誓い合った娘がいた。しかし親たち周囲の者が認めなかった。耐え難い思いが増して溢れると、二人は抱き合う体を紐で結び、一つとなって海に向かった。ともに海に住めると信じたが、彼だけ浜に返された。
 彼は老いることを忘れた。月日が経ち、村に娘を知る者が・・・

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Nの正義という名の鬼行(きこう)

17/04/24 コメント:2件 空 佳吹 閲覧数:53

ある雷雨の夜のこと……
X病院の産婦人科で、友瀬一郎・和子夫婦に、とても元気な男児が誕生した。
一郎は、さっそく我子に「一也」という名前をつけた。
翌日は休日ということで、一郎は和子の病室で夜を明かすことにした。
実に可愛い寝顔でスヤスヤ眠っている生まれたての一也を、一郎は何度も見ては、
「やっぱり俺に似てるな……」
それを見て和子は、あきれたように笑いながら、・・・

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待ち人

17/04/24 コメント:6件 日向 葵 閲覧数:111

 その老婆は海に向かってゴミを投げていた。遠目から察するに、それは丸められた紙片のように見える。漁師である私にとって、老婆のその行為はとても許せるものではなかった。「海にゴミを投げ入れるのはよしなさい」と咎めれば良いのだが、老婆があまりにも汚らしく、およそ常人とは思えぬ風貌であったので、私は声をかけるのを躊躇っていた。しかし、このまま放置しておくわけにもいかず、意を決して老婆の元へと歩を進めた。<・・・

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もどってきた男

17/04/24 コメント:1件 泡沫恋歌 閲覧数:48

ネット上で自分のことを浦島太郎だと流布する男がいた。
おとぎ話のキャラに成りすまして、どんなメリットがあるのだろうか。――まず、そこが気になった。
どうせ成りすますなら、もっと歴史上の偉人とか、有名人の名を騙るとかあるだろう。
だが、その男はTwitterやFacebookで自分が浦島太郎だとアピールしているのだから、ただのバカなのか?
どんな奴なのか見てみたいと、Twit・・・

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遠い未来のトロイメライ。

17/04/24 コメント:4件 滝沢朱音 閲覧数:196

 銀色の車体は、まるで息継ぎをするかのように浮上した。窓から春の自然光が注がれ、車内の照明が消える。都心のターミナルからしばらく地面の下を這い進むこの路線は、郊外で闇を抜け、地上駅を北へと辿る。恵はほっと一息ついた。
『デパートにでも行っておいで。孝は俺が見ておくから』
 朝、珍しく夫がかけてくれた言葉を反芻する。育児疲れの妻を心配したのだろう。その優しさに甘え、恵は久しぶりにきちんと・・・

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【エッセイ】竜宮城の春の夢

17/04/24 コメント:1件 冬垣ひなた 閲覧数:69

 我が家の近くの川を、ちょっと川上の方に自転車で走ってみると、洒落た吊り橋が架かっているのが見える。鉄筋コンクリート製の造りに、アーチ状の装飾を施された白い主塔がお城のような『玉手橋』、その橋の向こうにあった『玉手山遊園地』は、幼い私の聖地であった。
 今は遊園地はなく、夢の跡地には公園が残る。昔はとても遠い場所に思えたのに、こんなに近くにいられるのは郊外の現在の家に引っ越ししたためだが、そ・・・

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安眠玉手箱

17/04/24 コメント:2件 そらの珊瑚 閲覧数:53

「じーじ、うらしまたろー、よんでー」
 三才になったばかりの孫のえんじぇるが、今夜もお気に入りの浦島太郎の絵本を持って来た。
「愛」と書いて「えんじぇる」と読む。
 どこでどんな変換をしたらそういう読み方になるのか、わしにはさっぱり分からない。が、可愛いのでよしとしよう。
「はいはい、よんであげようね。えんじぇるちゃん」
 えんじぇるは、絵本を片手に、わしのベッドにも・・・

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とある男の手記

17/04/24 コメント:0件 水沢洸湖 閲覧数:32

 勝てば正義、負ければ悪。
 それがこの世の真理だと、どこかの誰かがうそぶいた。
 私はそれに異を唱える。
 でなければ私は悪だと認めてしまう。
 世界のために身を粉にした己を。
 愛のために滅びを繰り返した彼女を。
 挑み続け、その度に壊れた世界を。

 そも正義とは『社会生活を送るうえで規範となるべき正しい行い』のこと。決して勝負事と並べていいモ・・・

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何だその反抗的な目は!口答えするな!

17/04/24 コメント:0件 seika 閲覧数:41

 有名なドイツ文学者であり、クラシック音楽や歴史にも造詣の深い戸舞賛歌の偲ぶ会が所沢のシティホテル、所沢プロペ通り内『ロミオ』で開催された。企画主導会の司会は戸舞賛歌の書斎に出入りしていたナカノとミナト、費用負担および雑用下働きおよびツカイパシリは戸舞賛歌の娘詩織が担った。ナカノは得意げにこの偲ぶ会を仕切っていた。一方の詩織は中野に怒られないようにナカノの顔色を伺っていた。「これから戸舞・・・

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サスペンダー

17/04/24 コメント:0件 イルカ 閲覧数:36


  あそこの書類を、コピー十枚しおいてと、新人の田中さんに頼んだ。
 しばらくして、机の置いてあるコピーを見た。別の書類のコピーが置いてあった。
 田中さん、また間違えたと思い、イライラしていたのか。田中さんに小言を言った。すると、彼女は、目頭が熱くなり、 ハンカチで目を抑えた。
 それを見て、しまったと思った。

 見ていた上山さんが、あそこって指示しました・・・

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世界に誇れる美しい国

17/04/24 コメント:0件 OSM 閲覧数:41

 2011年3月11日の午後三時前、日ノ本大和が海岸に足を運ぶと、波打ち際で模範的一般市民たちが亀井三姉妹に暴行を加えていました。
 日ノ本大和は慄然としました。亀井三姉妹は傑出した実力を持つ拳闘選手ですが、人の眉をひそめさせるような発言をたびたびしました。ですから、彼女たちを快く思っていない人間は大勢いるのですが、まさか彼女たちに暴行を加える者がいるとは思ってもみませんでした。
 日・・・

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お山のパンケーキ

17/04/24 コメント:2件 こぐまじゅんこ 閲覧数:73

 くまくんとうさぎさんが、山であそんでいました。
 くまくんのおなかが、ぐぅとなりました。
「おなかすいちゃった!」
 くまくんが、ちょっぴりはずかしそうにいいました。
 うさぎさんは、
「なにかおいしいものをつくりたいね。」
というと、山の中をキョロキョロさがしはじめました。
「くまくん、ハチミツとるのとくいでしょ。」
 うさぎさんが、大きな声でい・・・

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帰ってきたよ、修羅の国

17/04/24 コメント:0件 小高まあな 閲覧数:131

 一年ぶりに戻った職場は、私の知っている場所ではなかった。
「え、席ここなんだ?」
「あ、そうなんですよー! めっちゃ窓際ですよ」
 同僚が笑う。
 産休明けの職場は席替えが行われていた。個人が移動しただけじゃない。チームの島ごと移動していた。壁際から窓際へ。こんな大移動、めんどくさかったろうに。
「まあ、席替え一回じゃないですけどね」
「え?」
「飯田さ・・・

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浜辺のうた

17/04/24 コメント:0件 宮下 倖 閲覧数:39

 たまたまつけたカーラジオから「浜辺の歌」が流れてきた。途端に懐かしくもどこかせつない感情が胸の中に渦巻く。歌や匂いは想い出を引き寄せると言うけれどその通りだ。
 煙草を灰皿に押し込みハンドルをきった僕は、ゆっくりと子どもの頃のことを思い出す。

 僕は海辺の町で育った。海水浴客を多く呼ぶほどではないが、きれいな砂浜が続く町だ。 
 その浜に「ウラシマさん」がいた。
・・・

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恥知らず

17/04/24 コメント:0件 むろいち 閲覧数:45

 靴は左足から履く。
 つま先でトントンとはしない。
 家の玄関を左足から出る。
 鍵をかける。
 鍵を抜き、ドアノブを回して、鍵がかかっているか確認をする。
 階段を左足から降りる。
 左足を最初の一歩にしているのは単なるポリシー。
 踊り場にタバコの吸い殻が落ちている。
 恥知らず。
 吸うのは構わない。だが、ポイ捨ては喫煙者失格。
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『乙姫』と『儀式』

17/04/24 コメント:0件 光石七 閲覧数:69

 部屋に響く赤子の泣き声の三重奏。八度目の『儀式』も実を結び、私は安堵した。いきみ続けた体はもう指一本動かすのも億劫だ。
「乙姫様、お疲れ様でございました。当分ゆっくりなさって下さいませ」
 二名の世話係のみを残し、侍女たちが退出していく。生まれたばかりの三つ子もそれぞれ乳母に抱かれて出ていく。私は子供の養育には関与しない。それは『乙姫』の役目ではないからだ。
 海中に暮らすわが・・・

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概念のたまり場

17/04/24 コメント:2件 まー 閲覧数:60

 上も下もなく、光も闇もなく、速さも遅さもない、そんな異空の領域があります。
そこは肉体を備えた生物が辿り着ける場所ではありませんが、無数の“概念”は立ち入ることを許されており、概念同士の交流の場のようになっています。ちなみに私はそこで概念観察記録官という職についている者です。
 ではどういった概念がやってくるかといいますと、
  動物や食べ物の概念、
  数や時の概念、<・・・

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