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未来を孕む弁当箱

17/12/18 コメント:0件 君形チトモ 閲覧数:5

 小学校には給食があるけど、子供用の量だから、教師である私たちにとっては足りない。いつもお腹が空いてしまう。残業したら夕食にもできるから、私は毎朝、少し大きめの弁当箱でお弁当を作る。
 といた卵をフライパンに落とせば、ジュウ、と音を立てる。ブロッコリーを必要な分だけ切って洗い、いらない部分を切り落として茹でる。焼けた卵を巻いて皿にのせた。ご飯をあたためていたレンジが、チン、と音を立てる。取り・・・

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面影ポロポロ

17/12/17 コメント:0件 つつい つつ 閲覧数:23

 私は鏡を見るのが好きだ。朝起きて顔を洗う前の自分の顔も、外を歩いていてふとガラスに映る自分の顔も、寝る前に歯磨きする時に見る自分の顔も好きだった。だからって自分がカワイイなんて自惚れてるわけじゃない。だいたい私の顔なんてクラスでも真ん中か、真ん中よりちょっと上くらいってのが自己評価だ。だけど、自分の顔を見ると落ち着くから、ついつい見てしまっていた。
 中学に入っても基本は給食だったけど、な・・・

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拝啓、俺です。

17/12/17 コメント:0件 水谷暁 閲覧数:6

 建築現場は十二時のサイレンで昼休みに入ります。コンクリートを打ってるときは途中で止めちゃいけないらしいですが、俺が配属されたときには棟上げまで終わっていて、しばらくコンクリート工事はありません。
 先生、棟上げ、知ってますか? 家の骨組みができた段階です。お祝いするそうです。今は壁やら窓やらを組み立てる工事の手伝いをやっていて、家が完成したときのお祝いには参加できると思うので、楽しみにして・・・

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インジケ・ブランクガール

17/12/17 コメント:0件 浅月庵 閲覧数:49

 毎日マミーに作ってもらうお弁当のおかずは、空間ごとにしっかり仕切られている。
 ただ、そのなかの一つだけいつもスペースが空白だ。

 そこには山田カイリという男の個人情報が底面に印刷されていて、私は放課後こいつを殺さなくてはいけない。これは指令であり、日課だ。

 だけどある日マミーが「明日からあなたは普通のJKとして生きなさい。お弁当も作らないから」と告げたとき心・・・

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怠け者の末路

17/12/17 コメント:0件 八王子 閲覧数:9

 時は江戸。
 怠け者の男、二平という男がいる。
 恰幅よく、健康な体を持った二〇を過ぎた男は、日がな一日、家の中でゴロゴロとしている。
「あんたと同じ歳の向かいの辰吉は今日も地主さんのところに仕事をもらいに出て行ったってのに、うちの二平ときたら」
 はああ、と長い溜息をついて、食肉にでもなれば高く売れそうなぐらいに大きな息子の背中を見てぼやく。
「辰吉んところの家に・・・

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おとこめし

17/12/17 コメント:0件 藤光 閲覧数:31

 正午になるほんの少し前、フライング気味に手早く机の上を片付けて鞄から弁当箱を取り出したところで昼休みを告げるチャイムが鳴った。
「今日も弁当男子ですか」
 くすくす笑いながらも、隣の三橋さんはぼくの弁当の中身を窺う。一般的に女性はそうするものだ。
「まあね。今朝は手早くできた」
「腕。上げてますね」
 ほら――と言って上下二段に分かれた弁当を見せてあげると「わあ」と・・・

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滑り饅頭

17/12/17 コメント:0件 吉岡 幸一 閲覧数:48

 「お店の前を通っちゃだめでしょ」
 滑って転んだ女の子を抱きかかえながら、母親が店の前をさけて横に曲がっていった。店の横の道から裏の道に回って、Uの字に歩いてまた表通りへ戻るつもりなのだ。
 饅頭屋の前を道行く人は皆店の前を避けて通っていた。なぜか三カ月ほど前から、店の前の歩道五メートル圏内だけが急に滑るようになったのだ。通る人、通る人、皆が滑って転んでしまう。それ以外の前後の歩道は・・・

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弁当を増やせ!

17/12/17 コメント:0件 本宮晃樹 閲覧数:35

「われわれはいま、由々しき問題に直面している!」
 船長が予告もなく怒鳴ったので、救命ボートは大揺れに揺れた。
「あたしゃ世の理を悟ったような気がするね」航海士が嘆く。「タンカーを乗っ取ればそりゃ、売り切れないほどの原油は手に入りまさ。それにしたって乗船してる人間をこんなカヌー以下の泥船に乗せて!」苛立たしげに救命ボートを叩く。「海に放り出すってのは、いったいどういう了見なんだろうね」・・・

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たいていの人間がゴミと呼ぶもの

17/12/17 コメント:0件 Sage.N 閲覧数:32

 これは、なんというか、物語、じゃない。単なる実話だ。
 その話をする前に、まず、質問がある。
「世の中で一番美味い食べ物って、なんだと思う?」
 いや、答えなくていい。そもそも、この質問には致命的な欠陥がある。
 美味いというのは感覚だ。感覚なんてのは、人によって異なる。人によるどころか、時期にもよる。とくに味覚の不安定さといったらない。子供の頃と大人になってからじゃ、美・・・

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冷たい愛

17/12/17 コメント:0件 八王子 閲覧数:20

 学校生活において、昼が一番の楽しみじゃなくなったのは、いつからだっただろうか。

 公立の中学校教師になって十数年。
 今年は一年生の担任になったのだが、教師生活で一度も遭遇したことのなかった生徒がいる。
 牧野という男子生徒。
 成績にも普段の素行にも問題がなく、取り立てて目立つような生徒ではないのだが、誰もが笑顔で好きな者同士で食べている昼時は別だ。
「お・・・

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矛先

17/12/17 コメント:0件 浅月庵 閲覧数:108

 ◇ 
 幾層にも顔に包帯を巻かれた女性が瞼を閉ざし、ベッドの上に横たわっている。
 その周りを、俺を含め数名の刑事が取り囲んでいた。
「母は生死の境を彷徨っています。ですが、これが事件解決の糸口に繋がるのならお願いします」
 彼女の息子が、神妙な面持ちで呟いた。

 ーー連続主婦殺人事件。
 犯行の手口は絞殺に刺殺、撲殺に溺殺に焼殺と、種類に富んでいた。・・・

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さよならを告げないで

17/12/16 コメント:0件 新崎 彼方 閲覧数:36

「さよならって言葉がこわいのよ」
 何の連絡もなく押しかけてきた彼女は、開口一番にそう言った。マフラーと手袋を外すと、ああ寒い、と少し身を縮めて、するりと僕の横を通りすぎて行く。
「暖房をあげようか」
「いえ、いいわ。十分あたたかいから」
 古めかしいペチカの前に座り込み、彼女は微笑む。灰色のコートが濡れて変色していた。雪が降っているのだろうか。うすいレースのカーテンを引け・・・

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白い杖

17/12/16 コメント:0件 大久保 舞 閲覧数:41

とある中小企業にて、毎日のように怒鳴られている青年がいた。

その青年は大学生。遊ぶための金を得るために、その会社へ派遣のアルバイトに来ていたのだった。



青年は特別ミスが多いというわけではないのだが、仕事に対する真剣さが足りないことが伝わるのか、ベテラン社員の一人が、厳しく接してくるのだった。

『ウザってぇ・・・』

青年はそう思・・・

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べんとう はなえ

17/12/16 コメント:0件 秋 ひのこ 閲覧数:42

 山あいの小さな町、川に面した一本道に、間口一間(いっけん)にも満たない小さな店がある。
 『べんとう はなえ』。ヒロシの婆ちゃんが40年続けてきた弁当屋である。師走に入ったその月、木枠のガラス窓に手書きの貼紙が出た。

『閉店のお知らせ
長らく町内の皆さまに愛されて参りましたが、年内で店をたたむことに相成りました。
おせちの予約は十二月二十日まで。通常の弁当販売は三・・・

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重ねる

17/12/16 コメント:0件 二條 有紀 閲覧数:41

 目覚まし代わりのアラームが鳴る前にカーテンを開けることが出来た朝は、私の勝ち。そんな勝負もこの季節になると負けが多くなる。スヌーズ機能を使わずに一度目で起きたら引き分け。今日は引き分けの日だった。まだ薄暗さの残る明かりが目に優しい。冬の早朝は、妙に落ち着いている気がする。私は外がどれほど寒いのかを確かめたくて、カーテンの向こうの窓を開けた。途端に頭が痛くなるような冷たい空気が押し寄せ、部屋の中へ・・・

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窓は開かれて

17/12/16 コメント:0件 アキクニ 閲覧数:78

彼は愚かであるゆえに愉快な男である。
窓というもので人は何を思うのであろうか。ときに窓は開かれたもの、未知のもの、そして盲点の窓という存在があるという論説を思い出した。彼の窓に関してはそのどれにも当てはまらないようである。

「窓は大きいほうがいいですね」
彼は言った。折れそうな体躯が病的であった。彼は弱々しくそれが故に見る者の顔を歪ませた。
嗜虐心よりも先に、憐憫が・・・

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ル・パニエ-レパ・ファタール 〜運命の弁当〜

17/12/16 コメント:1件 志水孝敏 閲覧数:53

「どうして、お料理教室の先生になったんですか?」
 みなが見惚れていたのは彼の指だった。
 あの繊細な長い指が、自分の手に重ねられる様を夢見ない生徒はいなかった。
 そして、顔だちも美しかった。ほっそりとして少年の甘さを残した横顔は、まるで冬の朝の白樺のように清らかで、どこか悲しかった。
 どうしてこんな冴えない自分に、心を許してくれたのだろう。
 いつしか月に一度、・・・

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奇妙な弁当箱

17/12/15 コメント:0件 j d sh n g y 閲覧数:35

「取引は極秘だ。くれぐれも用心しろよ」
小太りの男は低い声でそう言った。
「こちらも危ない橋渡ってるんだ。ミスはしないさ」
痩せた体格の男は外を確認しながら答えた。
机には一箱の弁当が置かれている。
「それじゃあな」
痩せた体格の男は事務所の外へ出て行った。
――――――――――
倉前保は弁当販売会社の従業員だ。
あちこちのオフィスや工場へと弁・・・

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絶滅桃娘飲食街

17/12/15 コメント:2件 白梅 弥子 閲覧数:83


どこかの偉い学者達が、三年後には人類は確実に滅びると言った。人類が好き勝手やったお陰で汚染された地球では、鶏は卵を産まなくなり、牛や豚だけでなく、人間も奇形しか産まなくなり、畑からはおかしな形の植物が生えるようになり、やがて荒地になっていった。

人類は最新のテクノロジーを駆使して新たな食べ物を探して探して探した......
が、結局のところ共食い、つまり食人・・・

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タブー

17/12/15 コメント:0件 山盛りポテト 閲覧数:47

職場に新入りが入ってきた。
名前は長くて忘れたが、インドから留学にきてる学生らしい。
なかなか抜け目のない奴で、隙を見つけては作業を中断して空を眺め、物思いに耽っている。
その作業というのはいたってシンプルだ。トラックの荷台から魚の入った箱を降ろして台車に乗せ加工場まで運ぶ、たったそれだけだ。
しかし肉体労働なので腹が減る。社員食堂というのもあるのだが大して美味くもないし割・・・

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壊れた人形

17/12/14 コメント:1件 白梅 弥子 閲覧数:80



アタシの心はいつまでも、赤黒い血を流し続けて、止まることなく脈打ち続けて居りました。
 崩れた端から流れ出して行く心の中身は忌みじくも尽きることはなく、只々空っぽに成って行く痛みがアタシを苦しめ続けました。
 他に好いた女が居るワケでもなく、只身勝手にアタシを捨てた貴方。貴方が居ればそれだけでアタシは満たされますのに。
貴方はもう逢わないと云いましたね。
・・・

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ベントーベンと呼ばれて

17/12/14 コメント:0件 笹岡 拓也 閲覧数:100

学年トップを誇る僕はクラスのみんなから神童と呼ばれていた。誰もが僕の成績を羨ましがり慕われている。
「期末テスト返すぞー」
中学三年の期末テスト。僕が通う学校は周りの学校と比べて難易度が高いと評判。その中でも歴史の授業は特に難しかった。
「今回もトップは白川だ。みんなも白川を見習って頑張ってほしい」
先生はテストを返す前に僕がトップだったことを明かす。もちろん僕は満点なのだ・・・

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ハイキング

17/12/14 コメント:4件 瀧上ルーシー 閲覧数:121

 朝、スマートフォンのアラームで目を覚ました。昨日、臨時の飲み会に参加したため、記憶がはっきりしない。スマホ片手に俺はしばらくぼうっとした。
 思い出す。今日は好きな女と二人きりでデートをする約束をしていたのだ。幸い乗る電車の時刻もすぐに思い出せた。俺は歯を磨き、髪をセットすると、勝負Tシャツにジーンズを穿いて家を飛び出した。
 ターミナル駅で合流する。彼女はキャップに長ズボンに薄い黄・・・

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表裏

17/12/14 コメント:0件 山盛りポテト 閲覧数:33

とにかくこの世はよくできているなと関心することがある。毎日飽きもせず日が昇り日が沈む、その間の中でやっかいな出来事というのは空気のそれと同じように俺に付きまといやがる。
そんな鬱屈した日常が今日も始まる。
「みーちゃんどこー?あらそんなとこにいたの」
オクターブ高い声で何やら言ってるが、俺は猫なので当然よく理解していない。
ちなみにどうやら俺はみーちゃんという名前らしい。そ・・・

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空色の箱

17/12/13 コメント:0件 待井小雨 閲覧数:129

 仕事に向かう道の途中、空から箱が落ちてきた。
 ぼこんと音を立てて僕の頭に落ちたそれは、空色の弁当箱だった。
「いたた……」
 弁当箱と思ったそれは、しかしながら深さがあってとても大きい。ずり落ちた眼鏡を直してその箱を開けてみると、中には不思議な色をした大きな卵が入っていた。
 バスケットボールほどの大きさのその卵は、僕の目の前でごとごとと揺れる。――と、
「ぴぃ!・・・

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象の道

17/12/13 コメント:0件 W・アーム・スープレックス 閲覧数:45

 たとえば死期をさとった野生の象が、誰に教えられたわけでもないのに象の墓場に向かうように、人間とことんおちぶれると無意識に自分の墓場に足をむけるようだ。  そこはビルとビルの間にできた裂け目ともいえる路地の奥だった。あてもなくやってきたつもりだった私がみたのは、行き止まりのわずかな空間の中に影にまぎれてうずくまっている何かの塊――それが私と同じ人間だと目が理解するまで、かなり時間を要さなければなら・・・

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ドアに挟まった!

17/12/13 コメント:0件 吉岡 幸一 閲覧数:62

 ドアに挟まった。
 久しぶりに仕事を定時に終えた源蔵は電車に乗って家路へと急いでいた。半年前に結婚紹介所の紹介で知り合った女性と結婚したばかりの源蔵は、一刻でも早く愛する妻に会いたかった。家に帰ったら妻の手料理が待っている、そんな思いにニヤつきながらすし詰め状態の満員電車に揺られていた。五十の歳で二十代の若い妻を娶ったせいか、気持ちだけは若者のように浮ついていた。
 十八時過ぎの下り・・・

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大宇宙お弁当あれこれ

17/12/13 コメント:0件 志水孝敏 閲覧数:88

 ↑月Θ日
 
 こんにちょわ!!!!
 宇宙を旅するブログ「大宇宙お弁当あれこれ」!
 管理人の∂太郎です!
 
 ほんと文章も下手だし、ホログラム記録技術もまだまだなんですが、
 読んでもらえたら嬉しいです!!(▼)
 どんどんホロ映えするお弁当探しちゃうよ!
 
 じつは、ベテルギウス・フンダーケロ出版(訳注1)さまから
 な・・・

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壁に挟まった!

17/12/13 コメント:0件 吉岡 幸一 閲覧数:63

 壁に挟まった。
 ビルとビルとの壁の隙間に源蔵は挟まってしまった。仕事を終えて、結婚紹介所で紹介された女性との待ち合せ場所へ急いでいる途中だった。予定より長めの残業をしてしまったため、普段はけして通ることのないビルの隙間の近道を通ってしまったのが原因だ。会社の若手社員がこの隙間を利用して駅と会社を行き来しているのは以前から知っていた。二分近くは早くなると得意そうに話すのを何度か聞いたことが・・・

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新たに飛び出した一歩。

17/12/13 コメント:0件 かの 閲覧数:35

受験に3回も失敗し、彼女にも振られ、バイトも出来ず、家でスマホをいじっている。
やっぱり、そろそろ死のうか。
習慣であるゲームのまとめ記事を見ながら、もう何回も考えた、死への思想を巡らす。
痛いのは嫌だし、苦しいのは嫌だし。
首を吊ったって、喉元を切ったって、手首を切ったって、みんな痛いし苦しいでしょ。
安楽死なんて言葉もあるよな。
きっと安らかに、楽に死ねるん・・・

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弁当インフルエンサー

17/12/12 コメント:0件 霜月秋介 閲覧数:125

 今年、私が買った弁当箱はついに五十種類を越えた。すべては夫を始めとする『閲覧者』を飽きさせないため。どの弁当箱も、インスタ映えしそうな個性的な弁当箱だ。

 子供が生まれる以前は頻繁に外に出歩いていたので、行った場所や食べたランチなどをインスタグラムに投稿していた。でも子供が生まれて育児に追われる最近は家にいることが多くなったので、投稿するのは子供の成長の記録や、旦那に作った弁当ぐら・・・

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約束

17/12/12 コメント:0件 夏雲 閲覧数:39




君に伝えたいことがあるんだ。
あの日、君がいってしまった日。

君は待っていてくれたんだよね。
僕が来るのを、ずっと玄関の横で。

なのに、僕は間に合わなかった。というか、知らされなかったんだ。
君がいってしまうというのにね。

僕が君のただの入れ物に対面できたのは、君がいってしまってから何時間も後のこと。

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酢豚弁当の端にある

17/12/11 コメント:0件 野々小花 閲覧数:66

 大学を卒業して就職したが長くは続かなかった。半年で会社を辞めたあと、暎一はしばらくの間、自宅に引きこもった。深夜の弁当工場でアルバイトを始めたのは一年ほど前だ。鶏肉のミンチと細かく刻まれたキャベツとニラと長ネギを撹拌する機械の前で、暎一はただ立ってそれを見ている。
 機械に異常がないかとか、均等に混ざっているかとか、確認をするのが仕事なのだが、この一年の間に問題が起こったことはただの一度も・・・

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サプライズ

17/12/11 コメント:0件 みーすけ 閲覧数:67

 愛は待つこと、と誰かが言った。
 私にとっては、そんな言葉も他人事に過ぎなかった。今日この日までは。

 結婚三十年目にして、私は妻にプレゼントを送った。
 三十年間、妻にプレゼントを渡したことなど一度もなかった。それが何故、急にそんな気を起こしたか。
 私の職場に、事務のミカちゃんと呼ばれている女の子がいる。彼女の本名はミカではなかったが、牛乳瓶の底の様なメガネの・・・

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弁当箱の不思議

17/12/11 コメント:0件 みーすけ 閲覧数:72

 こんな事があってよいのか。
 俺が遭遇したそれは到底起こるはずのない出来事だった。

 朝起きたとき。あのときはまだ、あんな事が起こるとは、予想だにしていなかった。
 とにかく、今朝、俺は、昼に食べる弁当の準備をしていた。
 一人暮らしの俺は、節約の為、毎日自分で弁当を作っている。睡眠時間を削られるのは痛いが、昼飯代五百円を浮かすためにはいた仕方のないところだ。何せ・・・

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似たもの夫婦

17/12/11 コメント:0件 秋 ひのこ 閲覧数:61

 うっかり仕事用のタブレットを家に忘れ慌てて家に戻ると、居間が居間ではなくなっていた。
「あれ! どうしたの?」
 目を丸くする妻に対し、逆に「どうしたの、......これ」と尋ね返した。
 ごつい三脚に設置された一眼レフが見下ろすのは、明らかに蓋がしまらないほどこんもりと盛りつけられた弁当。それを囲むように白く薄い板が「コ」の字型に立てられ、巨大なスタンド照明が煌々と内側を照ら・・・

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緑の血

17/12/11 コメント:0件 浅月庵 閲覧数:193

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 些細なことで僕に緑の血が流れていると知られて、友達を全員失った。小学一年生の時だ。
 
 ただ時間が経つにつれ、血のことなんてみんな気にも留めなくなるけど、僕をボッチにする図式自体は変わらないまま続く。

 ーーもし心が可視化されたのなら、萎んだ風船みたいな形になってるんだろうけど、誰もそれに気づくはずもないので、僕は高校でも孤独の道を悲しく歩んでいる。

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あなたの胃袋が欲しい

17/12/10 コメント:0件 眠々瀬未々 閲覧数:54

 お弁当。弁えて当たれと書いておべんとうと読む。
 嘘。
 中国は宋代の俗語に、便利なことを意味する便当という言葉があった。その言葉が外来語として日本に入ってきた時、外出先で食事をするために便利なものという意味が加わり、弁を当てはめることになって弁当になったのだ!



「今日は鮭の照り焼きだよ」
 私は隣の同居人に話しかけた。
 マクベスと名付け・・・

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誰が為の弁当

17/12/10 コメント:0件 氷室 エヌ 閲覧数:50

 勤務先に合わせて、会社近くのアパートに一人暮らしをすることになった。壁の薄いワンルームで、手狭な間取りだった。びっくりするほど安くて、噂によると事故物件らしいが、男の一人暮らしには十分だ。
 ちゃんと自炊しようという当初の決意とは裏腹に、僕はすっかり疲弊していた。上司に注意され、胃を痛める日々。自炊する暇なんてない。昼食は菓子パンで済ませるような日々が、数ヶ月続いた頃のことだった。
・・・

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‘x‘ ミー子 ∧――∧

17/12/10 コメント:0件 t-99 閲覧数:46

 くびをかしげると眼下の生垣に無数のペットボトルが並べられていた。なんのおまじないだろう? 浮かんできた疑問を頭の隅に追いやり『クソネコ』とほうきを手にした怖いおばさんが出てくるまえに、わたしは車道にひょいと飛び降りた。
 優雅にしっぽを左右に揺らしながら、いつもの公園に足をむける。『ネコちゃん、ここではフンをしないでね』公園の砂場には看板が掲げられていた。当然、字の読めないわたしは用をたし・・・

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簡単なランチ

17/12/10 コメント:0件 満希虹里 閲覧数:51



学生で母子家庭の住み込みのベビーシッターをしていた時、日本の弁当に比べて、アメリカの手作りランチは簡単だと思った。母親のアリソンは夜勤の看護婦をして不在の時、小学生4年生のジェイソンは自分のランチを作っていた。母親が買い置きしたブラウンの食パンの一枚にピーナツバターとストロベリージェリー(ジャム)を塗り、もう一枚を上にのせて出来上がりで、透明ビニールのサンドイッチバッグに入れる。青・・・

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弁当屋は巡回する

17/12/10 コメント:0件 吉岡 幸一 閲覧数:71

 その人気の弁当屋は高層ビルの五十六階にあった。人気があるということは行列が出来るということで、弁当を買うためには列に並ぶ必要があった。普通の店ならばビルの五十六階までエレベーターを使って昇ればよかったのだが、この店は人気があるために階段を歩いて登らなければならなかった。つまり一番下の階から最上階までの螺旋状の階段をずっと人が並んでいるのだった。
 数時間並べば弁当が買えるというほど生易しく・・・

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サムの片思い

17/12/09 コメント:0件 満希虹里 閲覧数:52

東京のユースホステルで聞いた、イギリス人のサムの恋物語はだれかさんのように甘酸っぱい。

「両親は海外に住んでいたから、僕は寄宿舎にいて、田舎に一人暮らしをしているお爺ちゃんの家で休暇を過ごしたんだ」ハリー・ポッターのように、寄宿舎暮らしなんて、いかにもイギリスの男の子らしい。確かにサムはハリー・ポッターのように格調高いイギリス英語をしゃべる。「初めてヘザーに会ったのはおじいちゃんが・・・

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ティンダーデイト

17/12/09 コメント:0件 満希虹里 閲覧数:50


デイト・アプリでただ今、ティンダー(火付け)が世界で一番人気のあるのは名前のせいもあると思う。うまく名付けたと感嘆する。自分の写真を出してだれかが関心を示してクリックと「火をつける」から、拒絶の心配をせず、誘えるから確かに自尊心は傷つかない。せっせとスマートフォンの画面をこすりながら、若者は理想のデイト(相手)を物色する。でも、デイトに何を求めるかはっきりしないから、誤解は頻繁に起こる。<・・・

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オレオレの悲劇

17/12/09 コメント:0件 W・アーム・スープレックス 閲覧数:48

美弥子がひとりで家にいたとき、息子の大樹から電話がかかってきた。 「おれだよ、大樹。母さん、困ったことになっちゃって――」 「大樹――あなた、本当に大樹なの」と美弥子は念を押すようにきいた。 それというのも、ちょうど一昨日、孫を連れて遊びにきた娘の桂が、ビールのジョッキを傾けながら、「これほど世間でオレオレ詐欺の被害がでているというのに、まだひっかかる連中が後を絶たないなんて、まったくどう・・・

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サムの片思い

17/12/09 コメント:0件 満希虹里 閲覧数:47

東京のユースホステルで聞いた、イギリス人のサムの恋物語はだれかさんのように甘酸っぱい。

「両親は海外に住んでいたから、僕は寄宿舎にいて、田舎に一人暮らしをしているお爺ちゃんの家で休暇を過ごしたんだ」ハリー・ポッターのように、寄宿舎暮らしなんて、いかにもイギリスの男の子らしい。確かにサムはハリー・ポッターのように格調高いイギリス英語をしゃべる。「初めてヘザーに会ったのはおじいちゃんが・・・

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蓋のムコウに

17/12/09 コメント:0件 デヴォン黒桃 閲覧数:76


 どこのクラスにも一人は居るような……昼休みになると、弁当を隠して食うヤツ……
 うちのクラスにもそういうヤツが居た。

 教室の隅ッコの窓側の席に、アイツは居た。
 昼になると決まって、教科書やらノートやらを開いて立てて、壁を作ってゴソゴソと顔を伏せて食っていた。
 そんな冴えないアイツを、バカにしていたクラスの人気者の男がいた。
 昼休みになると、決・・・

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血と灰の熱 ――リース・リストリイの喀血

17/12/09 コメント:0件 クナリ 閲覧数:130

 「歌と水の街」は、大陸の端にある一大芸能都市である。
 その中枢をなす歌劇団にあって、リース・リストリイは、中心的な存在ではなかった。
 歌い子の潮時は二十五歳までと言われる中、彼女は今年、二十八歳になる。
 最年長のリースの歌は、今なお最上級ではない。しかし、美貌は優れている。



 公演の後、私は歌劇場支配人の執務室に呼び出された。
「リー・・・

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人はなぜ生きるか

17/12/09 コメント:0件 伊川 佑介 閲覧数:59

「あなた何か勘違いしてるんじゃありませんか」
目の前の白衣の男が面倒臭そうに吐き捨てた。時折横にある画面を見つめてはその指示を「患者」に伝えるだけの人。現在の心理相談医、その昔精神科医と呼ばれていた人だ。
「あなたは生きる意味を見出せない。それなのに生に執着している。それは一体なぜですか?」
「別に急いで死ぬ意味もないから生きているだけです」
これは困った、という顔をして男・・・

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させてくれ

17/12/08 コメント:0件 井川林檎 閲覧数:140

 殺人鬼が乱入して、職場の皆が、あっというまに死んでしまった。
 イジワル課長も、悪口ばっかり同僚も、こんな死に方をするなんて、悲劇だ。

 わたしは幸い、倉庫にものを取りに入っていた。
 その最中を見なかったのは、せめてもの救いだ。

 本当は、倉庫にいる間、とんでもないことが起きていることを察していた。
 
 「うはははは、殺す殺すころーす」

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