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失恋したら海

17/06/25 コメント:0件 アシタバ 閲覧数:15

 彼女がエスパーであるわずかな可能性に賭けたのだ。
 毎日、職場のオフィスにて、彼女へ『好き』のテレパシーを送り続ける。
 直に言うのが恥ずかしいゆえの苦肉の策だった。
 それでも、いつか彼女が応えてくれる日を信じて待った。
 しかし、そんな日々が今朝で終焉を迎えた。
 人はこれを失恋と呼ぶらしい。
 どうやら彼女はエスパーでなかったらしいが、今になって気がつい・・・

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家訓やぶり

17/06/25 コメント:0件 忍川さとし 閲覧数:19

「海に近付いてはならない」

 我が家に、曾祖父から伝わる言葉だ。
 家訓と言うには気味悪く、訓戒とするには意味不明。こんな言葉を言い残された日には、子孫に伝える気も失せそうなものだが、代々我が家では、海に近付かないことを真面目に守って、日々を重ねてきたそうだ。

 そのくせ累代墓は、海を望む丘の上にある。もちろん行ったことは無いが、死んで初めて我が家の男は、海を見る・・・

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気泡

17/06/25 コメント:0件 じゅんこ 閲覧数:10


 自分の名前というのは、ひとが心理的にいちばん聞き取りやすいものなんだそうだ。つい振りかえって、がっかりしてしまった。
「傘忘れちゃって。よかったら、いれてもらっていいかな……」
 同じクラスの女の子。仕方ないなあと笑って、傘の花びら部分をうごかし二人分のスペースをつくる。それを確認し、彼女は礼をいって玄関から走り寄ってきた。
 ありがとう、を引き出させておきながら言われ・・・

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最 低

17/06/25 コメント:0件 ツチフル 閲覧数:14

 聞こえてくるのは、枯れ枝を踏む音。草木のさざめき。二人の息づかい。
 時おり、鳥たちの鳴き声。
 それから、波の音。
 木々に囲まれた遊歩道は、少しずつ勾配を増していく。
「大丈夫か?」
「うん」
 心配そうに聞く僕に、紗希は額の汗をぬぐいながら笑ってみせる。
「もう少しだからな」
 波の音はますます大きくなる。
 さらに十分ほど歩くと、ふい・・・

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パスタの茹で方、猫の飼い方

17/06/25 コメント:0件 miccho 閲覧数:36

 昼食はパスタにしよう。そう決めて鍋いっぱいにお湯を沸かし麺を茹でてみたものの、出来上がったパスタには違和感があった。どうにも柔らかすぎて、歯ごたえがない。
 妻の早紀がいつも作ってくれたパスタは、芯の部分は残っていて、きちんとアルデンテに仕上がっていた気がする。
「ゆで時間さえきちんと計ってあげれば、誰だってできるわよ」
 早紀にはそうやって笑われそうだ。
 うどんのよう・・・

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本屋の英雄

17/06/24 コメント:0件 seika 閲覧数:29

 戸舞賛歌は『日本一のドイツ文学者』だとか『ドイツ文学界の奇才』なんていわれているらしいけど、世間一般では大した有名人でもなければ有力者でもないんだ・・・。ただ文芸愛好家には愛されているらしい・・・というか、愛されているどころか神格化されているらいんだ・・・だから戸舞賛歌が書店古書店図書館に行くと
「あの、スゴイドイツ文学者の戸舞賛歌先生がいらっしゃった・・・。」
と特別扱いだったこと・・・

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てきとーなママ

17/06/24 コメント:0件 八王子 閲覧数:41

「どうして海はしょっぱいの?」
 息子の悪癖が始まった。
 色んなことに興味を持つのはいいことだけど、すぐそうやって私に聞いてくる。
 テレビや絵本を見る度に「どうして?」「なんで?」が絶対出てくる。
 ある時はこうだ。
「どうしてヒーローは強いの? 世界を救うとなにがもらえるの?」
 日曜の朝から起こされて、そんなことを聞かれてもなにも答えられるわけがない。<・・・

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CO2フォビア

17/06/23 コメント:0件 本宮晃樹 閲覧数:41

「シュプレヒコール!」
 年老いてもまだなお矍鑠たる理事長を先頭に、慈愛あふれる環境保護団体のそうそうたる面々がメガホン片手に大音声を張り上げている。
「みんなの地球が!」不運にも絡まれているのは火力発電所だ。「暑い暑いと泣いてるぞ!」
 作業員たちはうんざりしながらLNGを炉に注入している。もくもくと恐るべき大気汚染物質が煙突から大気へ解き放たれる――と思いきや、窒素酸化物やら・・・

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門出

17/06/23 コメント:0件 秋 ひのこ 閲覧数:53

 中途半端に大きくて、子供の数の割りに小中高まで揃い、なんとなく大人になって、高卒でも島に残れば働き手として重宝され、結婚して子供を生んで、それなりに何不自由なく一生を過ごせてしまうこの島で私は生まれた。
 私は小さい頃からここが大嫌いだった。
 それは多分、本土から嫁にきた母がここを嫌っていたからだ。つまらない、下品、閉塞的。それが呪詛のように生まれる前から私の隅々に染み込んでいるの・・・

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ブルーハワイと彼氏候補

17/06/22 コメント:0件 榊真一 閲覧数:89

木製の長いドアノブ、それを引き暗い店内へと入っていく一人の女性。
ショートボブのダークブラウンの髪、ベージュのワンピース、スエードのハイヒールは髪と同じような暗い茶系。
リップにはグロスの赤、マスカラは眼をさりげなく強調している。
しかしその表情は何処となく寂しげである。
カウンターの中に居る店主は女性の姿を認めると、何も言わずに「ブルーハワイ」と言うカクテルを作り出した。・・・

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17/06/22 コメント:0件 PURIN 閲覧数:91

「この前海に行ったんだよ」

「えー! いいなー!」

「砂浜に巻貝みたいな貝があったから、中の音聞こうと思って耳に近づけてみたの」

「貝を耳に当てると波の音がするって言うもんね! どうだった?」

「『ぬる』って音がした」

「『ぬる』?」

「あれはもはや感触というより音だったよ… 何かと思って見てみたら、カタツムリが角・・・

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あの日、海に捨ててきたもの

17/06/22 コメント:0件 霜月秋介 閲覧数:172

「さあ皆さん、持ってきたゴミはきちんと持ち帰りましょうね!ここの海岸にゴミを捨てていった悪い子のところには、ゴミのオバケがやってくるそうですよ。わかりましたか?」

 先生の呼びかけに、元気に返事をする生徒達。どこの小学校だか知らないが、遠足でこの海岸を訪れたのだろう。その集団がいなくなると、さっきまで騒がしかった海岸が一気に静かになった。海岸に残っているのは俺とリサの二人だけだ。騒が・・・

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Where are you going?

17/06/21 コメント:0件 むろいち 閲覧数:60

 猫は死ぬ間際に姿を消すという。
 そんなことは常套句だからになってしまって面白みもない。
 真実かどうかも疑わしい。
 ただ正太郎が飼っていた雄猫のアオは姿を消した。
 アオは正太郎が五歳の時にやって来た。母親が友人から貰い受けて来たのだ。
 全身は白い毛に覆われており、目も青いわけではない。口元だけに「青のり」が張り付いたような小さな点があり、『のり』ではあんまり・・・

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異文化ダイス

17/06/21 コメント:0件 貞治参 閲覧数:72

 主以外の人間の世話を三日間任されることになった。
 その男の部屋は暗い。カーテンは閉め切っている。部屋の真ん中にちゃぶ台があるほかには、ほとんどなにもない。台の上にはパソコンがあり、その前に座った男が青白い光を浴びながらずっとカタカタしている。
 主がぷー太郎と呼んでいたその男の身体は、ナナフシのようだった。飯は食べているのだろうか。こけた頬には無精ひげが生え、目玉は血走っている。<・・・

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手帳

17/06/21 コメント:0件 千野 閲覧数:75

 半ば凍り付いた海原を背に、いまにも雪原に足を踏み入れんとする人間がいた。

 眠りに落ちる瞬間、ほんのわずかな時間の中で幻視するその姿は吹雪と暗がりのうちにかき消え、私は目を覚ます。幾度も繰り返し見てきた映画のような一連の場面はこのようにいつも同じ場所で終わる。それは私がいま存在しているこの場所で生きていく、ということを常に選択している限り、永劫に見続けるのであろう光景に他ならない。・・・

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MY LOVE LIFE

17/06/21 コメント:0件 キュー 閲覧数:70

『今日は遅くなります。夕飯は冷蔵庫の中。お父さんもどうせまた遅いでしょうから、先にレンジで温めて食べること。薬も飲み忘れないようにね。戸締りをして、夜更かししないで寝なさい。』

 正午すぎに起き出し、テーブルの上のメモに目を走らせたあと、誰もいないキッチンで僕は新聞をみていた。いつもと同じように。
 テレビ番組の欄からめくっていって何面目かで目が留まる。下半分のカラー写真。

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はるくんとふしぎなあな

17/06/21 コメント:2件 こぐまじゅんこ 閲覧数:60

 はるくんは、七か月の赤ちゃんです。ねがえりをうてるようになって、いつも、ころころころがっています。
 きょうも、ころがっていたはるくんは、台所にたっているおかあさんにぶつかりました。
 そのひょうしに、おかあさんは、手にもっていたさつまいもを、うっかりおとしてしまいました。
 さつまいもは、ころころころころ。
 はるくんも、ころころころころ。
 さつまいもとはるくん・・・

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謎の美貌の図書館

17/06/21 コメント:0件 seika 閲覧数:50

戸舞賛歌は「日本一のドイツ文学者」だとか「ドイツ文学界の奇才」とかいう人もいるけど、世間一般では大した有名人でなければましてや有力者でもない。ただごくごく一部の文芸愛好家たちには愛されている・・・というより神格化されているらしい・・・。その戸舞賛歌、細身で長身、歌舞伎役者みたいな端正な顔立ちの優男で、人によっては「イカにも文学おじさん」とか「ドイツ文学者」という人もいれば「声が甲高く女性的でなんだ・・・

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たまちゃんと老女

17/06/21 コメント:1件 笹岡 拓也 閲覧数:156

人間はいつも偉そうなのに、実は大したことない生き物だ。私たちは豊かな知能を活かして個々の存在を認め合って生きていると抜かしたことを言っている。そして俺たちみたいな猫や犬をペットとして飼って優越感に浸っているんだ。
「たまちゃん、ごはんの時間よ」
俺は今、老女の家で暮らしている。朝昼晩と毎日決まった時間に同じ飯が用意される生活を送っているが、元々野良猫だった俺は今の生活が嫌いだ。
・・・

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パーカーフード

17/06/20 コメント:0件 浅月庵 閲覧数:133

 私の性格上、人に甘えることが困難だ。
 それは、初めてできた彼氏にだって同じ。
「楓ってさ、なかなか心開いてくれないよね」
 夏樹が、ただでさえ細い目を漢字の“一”みたいにして笑う。
 私はその表情がお気に入りなんだけど、面と向かって伝えたことはない。
「別にそんなつもりないけど」
「はは、そういう態度のこと言ってるんだよ」

 母は私が物心つく前・・・

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吾輩は吾輩とか言わぬ猫様である

17/06/20 コメント:0件 八王子 閲覧数:51

 吾輩は猫である。
 どこかの人間がそう言ったらしい。

 朝陽が昇る頃、僕は目覚める。
 体を休めていた建物の下で、うーんと伸びをすると、玉砂利の石を踏む音が近づいてくる。
「おはよう。猫さん」
 神主と呼ばれる人間だ。
 こいつは毎日竹ぼうきを持って掃除をしているが、正直うるさくて仕方ない。
 でも、雨風を凌げる寝床を提供してくれる。
「に・・・

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三匹の猫

17/06/20 コメント:1件 笹峰霧子 閲覧数:67

猫は一度目を付けると執念深くいじめを繰り返すものだ。あの赤猫の襲撃はすごかった。
毎日やってきて猫の尻を噛むのでうちのキジ猫の臀部は抉られてどろどろになっていた。

一日中憎い赤猫を見張っているわけにはいかず、又うちの猫も家に閉じこもってはいないので外に出て行く度にやられて帰ってきた。キジ猫はそんな状態のまま居なくなった。
猫は人目に付かない場所で死ぬと聞いている。よって代・・・

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猫を飼いたい

17/06/20 コメント:0件 家永真早 閲覧数:75

 猫を飼いたい。
「ダメだよ」
 お母さんは必ず言う。
「猫は引っ掻くから壁がボロボロになるし、旅行にも行けないよ。出掛ける時だって長い時間一匹にしておいたら可哀想だし、ワクチンだとか病気だとかお金もかかるよ。あんたが大きくなるまで生きるんだから、家を出て行く時にはどうすんの? どうせ途中でお世話しなくなるよ。ちゃん最後まで責任持てるの?」
「でも隣ん家は犬飼ってるけど旅行・・・

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波間の遺言

17/06/20 コメント:0件 すみのは 閲覧数:50

「柏木先生の遺言を、いただきに参りました」
 幾度この言葉を、きいただろう。大抵は日曜の朝十時。慣れたもので、私はすぐに母に取り次ぐ。来訪者は短いやりとり後、祖母がかつて使用していた部屋へと案内される。芸能人や著名人が、我が家の玄関先で落ち着きなく立っているのが奇妙ではあったが、祖母が残したのは物質ではなく、その人の運命とされる言葉、すなわち予言だった。
 祖母は客の来訪日時、名前を共・・・

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そのメンバー有害につき

17/06/19 コメント:0件 石蕗亮 閲覧数:63

 深夜番組で料理を見ると食べたくなってしまうのは何故だろう。
こんな夜更けでもコンビニがあるせいで食べたくなったら行ってしまう。
さすがに日付が変わった後では客は自分しか居ない。
店内にはラジオ放送らしきものが流れていた。
深夜だというのにかなりロックな旋律と意識せずにはいられない不思議な歌声に耳を持っていかれてしまった。
性別の判らない声。
力強いドラム。

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縮図

17/06/20 コメント:0件 千野 閲覧数:51

 自分こそは王の伝令役だ、と主張するものたちがいる。

 だがしかし、彼らのなかに城の内部に足を踏み入れたことがあるものや、実際に城主と言葉を交わしたことがあるものなど皆無だ。それでも彼らは時たま次に起こる事象(城主の勅令)を予言することがあるので、熱心な信者を多く集めている。厳密にいうと、予言を行う彼らの方こそ「城」の信者そのものであるのだろう。

 彼らは世界に存在する・・・

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ワイングラスと音楽の精

17/06/19 コメント:0件 木野太景 閲覧数:47

 六月のある日、寝付けない夜だった。緊張をほぐそうとワインを飲んで、またベッドに横になってみた。しかしそれでも眠られず、何度も寝返りを打つ間に真夜中は過ぎた。一人暮らしのこぢんまりとした部屋が、薄暗い洞窟のように感じた。

 その洞窟が、白いランプを灯したように明るくなった。もう朝だろうかと時計を手に取って見ると、午前三時三分だった。私が生まれた時刻だ。この嬉しい偶然に気を取られたが、・・・

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My Favorite Things

17/06/19 コメント:0件 泡沫恋歌 閲覧数:59

同じ吹奏楽部の立花葵から楽譜を買いにいくので付き合ってと頼まれた。私、澤木梨恵はフルートだが、葵さんはクラリネットであまり親しくない。なぜ私を誘ったのか不思議だが、部活が終わったら一緒に楽器店へ行くことに――。
校門の前で待っててといわれて、そこで待っていると葵さんが男子生徒と一緒に現れた。その顔を見た途端、私はドキドキしてしまった。
「澤木も一緒か?」
吹奏楽部の櫻井部長だった・・・

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夏色アンセム

17/06/19 コメント:0件 冬垣ひなた 閲覧数:84

『事務の立花さんだ』
『存在感ないし、ちょっと気持ち悪いよね……』
 不意に届いた『心の声』に栞は腹が立ったが、結局胸の奥底にしまい込む。こんな気持ちでも、クシャクシャに丸めてポイ捨てしたら、世の中に嫌なことが溢れてしまう気がして。
 夏が近づき暑苦しいスーツを着た栞は、会社帰りの雑踏をすり抜けるように家路につく。


 不協和音にサンドイッチされた人々の思念が・・・

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あなたに会えて良かった

17/06/19 コメント:0件 村崎紫 閲覧数:57

重苦しい雲が降りてくる。じっとりとした空気を感じながら暗い路地裏をすり抜けるように駆けていく。
これがあの人への最短ルート。
速く、早く。はやく行かなきゃ。

ついさっき、友達から聞いたのは、大好きなあの人の話。
いつも来るあの公園で倒れた。
それを聞いて頭で考えるより先に、脚が動いていた。
最近は体が弱っていると言うのをあの人自身からも話を聞いていた。前・・・

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フラウ・バッハ

17/06/19 コメント:0件 沓屋南実 閲覧数:66

 わたしはとても悩んでいます。楽長先生の結婚の申し込みに「はい」と返事をして良いものか。
 彼は、ケーテンという小さな宮廷の楽長でありながら、ドイツ全土はおろか外国の著名な音楽家から尊敬されています。新しい作品、それも良いものばかりどんどん生み出されるのですから、音楽の神から選ばれた輝かしいお方に違いありません。そんな方から妻として求められることに、たった19のわたしは驚きと戸惑いでいっぱい・・・

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採音マニアへのクイズ1

17/06/19 コメント:0件 tomoya 閲覧数:37

ある朝方、いつものように音の採集をしているときに、工場前の公園でサラリーマン風の男に出会った。
「あのう、あなたのスマホと私のスマホを2時間だけ交換しませんか?謝礼はお支払いします」
そう言うと男は自分の免許証と封筒に入った10万円を見せた。
突然のことなので驚いたが、断ろうと口を開きかけた瞬間。
「先ほどから工場の写真をお撮りになられている様子が見えました。私は工場の中に・・・

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PINKの黒猫と白い月

17/06/19 コメント:0件 ちりぬるを 閲覧数:68

 今、僕の手の中には痩せた黒い子猫がいる。制服が汚れないように捲った腕を弱々しく爪で引っ掻いてくる。
「しっかり押さえとけよ」
 進藤が鞄から取り出した蛍光ピンクのカラースプレーを猫に向けながら口元を歪ませた。もちろんこの猫が彼に何かをしたわけではない。強いて言えば進藤の前を横切って歩いただけだ。
 態度が気に入らないからと新任教師のアパートの壁に落書きをしてきた帰りで、スプレー・・・

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人風猫

17/06/19 コメント:0件 W・アーム・スープレックス 閲覧数:64

 しおたれた顔つきの中年男が近よってきたかと思うと、いきなり若者の手首をつかんだ。
 混みあった電車内でのできごとだった。腕を貫く激痛にその若者は、思わず悲鳴をあげそうになった。
「きみ、いまその女性の、あっ―――」
 男性がそこまでいったとき、なぜか件の女性は、乗客にまぎれこむようにしながら向こうの車両に消えていった。
「まいい、きみ、次の駅でおりるんだ」
 若者は・・・

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人魚-ningyo-

17/06/19 コメント:0件 紅茶愛好家 閲覧数:76

そのエメラルドグリーンに光る夢の中で僕は人魚を見た。五色に光る尾を持ち輝く真珠の装飾を纏っている。金貨の様に光る波打つ髪に覆われて顔色こそ見えないのだが口元はひどく美しい。白く華奢な手を伸ばし、僕の頬に触れそして微笑む。
「……しょう。また……う」
よく聞こえない。声が波音にかき消される。そこで僕はいつも目が覚める。起きると頬には彼女の余韻が残り、そっと耳を塞ぎ目を閉じると聞こえるのは・・・

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救い猫

17/06/19 コメント:0件 浅月庵 閲覧数:146

 おばあちゃんがよく言ってたっけ。
「体が資本なんだから、健康には気を使いなさいよ」って。
 私はその言葉と今、真逆の道を辿っている。 

 地下鉄で自宅近くの駅に降りると、私はゾンビのような足取りで夜の闇に溶け込んだ。
 終電で帰ることができただけ、運が良いと思わなきゃ。
 それに明日はお休みだ。一日中ごろごろして、疲労回復といこうじゃないか。

・・・

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宇宙人を捕獲せり

17/06/19 コメント:0件 家永真早 閲覧数:72

「昨日、宇宙人を捕獲した」
 未確認生命体UMA研究同好会会長、佑真先輩の一言で、部室内は俄かにざわめいた。と言っても、会員は佑真先輩と広田の二人しかいないが。
「今はどこに……?」
 唾を飲み込んでから、広田は問う。UMAなんていねーよ、と否定され続けた苦悩がやっと報われるのだと思った。
「家で母が見ている」
「ええっ!?」
「……そうするしかなかった。母は、・・・

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ノーライフ・ノーミュージック

17/06/19 コメント:0件 そらの珊瑚 閲覧数:120

「こんばんは。あなたの思い出の音楽は何ですか? 冬鳥ムネオのノーライフ、ノーミュージックの時間です。残念ながら今夜が最終回です。三十八年もこの番組をやってこられたのは、聴いてくださり、又お手紙をくださったリスナーの方のおかげです。ご紹介させていただいた曲は延べ約千八百曲あまり。その曲のひとつひとつに、たくさんの方の思い出がありました。音楽のない人生なんてつまらない。人生は辛く悲しいことの方が多いか・・・

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猫アプリ

17/06/19 コメント:0件 空 佳吹 閲覧数:50

 タツヤは、猫が大好きだった。
 それは、子供の頃から、自宅にミーコという猫がいたからだろう。
 だから彼は、ミーコの世話をよくしていた。

 しかし彼はいつも困っていた。
 当然だが、猫は「ニャー」ぐらいしか言わない……いや鳴かない。
 いま、ミーコが何を言ったのか?
 いま、ミーコが何を欲しがっているのか?
 まったく分からなかったからだ。

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耳鳴リズム

17/06/19 コメント:0件 小高まあな 閲覧数:103

 耳鳴りがする。
 キーンと音がする。
 ここ一週間、ずっとだ。
 うんざりしながら、ベッドに倒れ込む。うつ伏せになった状態で、後頭部から枕を押し当てる。
 こんなことしても、音は消えないけど。わかってるけど。
 貴重な休日を病院に行くことでつぶしたくない。だから、まだ医師の診断は受けてない。放っておけば治ると思うんだ、これぐらい。
 調子のいい時に、ケータイで・・・

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アラートの街、未完のレクイエム

17/06/19 コメント:1件 滝沢朱音 閲覧数:150

 校門にたどり着いたとき、私は舌打ちした。時間がないけど家に戻らなきゃ。だってイヤーポッドをつけ忘れてきてしまったんだもの。耳に手をやり立ちつくしていると、同じクラスの男子が話しかけてきた。
「もしかしてポッド忘れた? スペア貸してやるよ。君も響の新曲、ダウンロードしたんだろ?」
「うん!」
 思わず二人で顔を見合わせ、微笑んだ。
 響って、私たち十代にとってのカリスマミュ・・・

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透明ブレス

17/06/19 コメント:0件 宮下 倖 閲覧数:70

「菖子先輩、これ受け取ってください!」
 おじぎをしながら高々と両手をさしだすと、菖子先輩はわたしの勢いに押されたのか「え?」と言いながらもすんなりとそれを手にした。
「受け取りましたね? それもう先輩のですから! 返品不可ですよ!」
 跳ぶように一歩後ろへ下がる。受け取ったものを訝しげに見た先輩の表情がみるみる険しくなった。
 わたしがさしだして先輩が受け取ったもの。それ・・・

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海に咲く花

17/06/19 コメント:0件 伊藤ルルミ 閲覧数:60

 マコトと出会ったのは、七月のはじめ、ボランティアのサークルでだった。

 そのサークルの掲示板には「みんなで浜辺のゴミ拾いをしましょう」と書いてあった。きたる海開きにそなえて、地元のみんなできれいにしておこうというのだ。

 マコトは、サークルの発起人でリーダーだった。
初参加の私を認めると、よく通った低い声で私の名前を呼び、ほほえんだ。少し緊張していた私は、マ・・・

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狂猫病の子供はもういない

17/06/19 コメント:1件 クナリ 閲覧数:114

 ある秋の水曜日の昼間、僕は中学校をサボって、広い公園のベンチに座っていた。
 目の前の遊歩道を、紙切れが風にあおられて転がっていく。それは、誰かが誰かにあてた手紙だった。
 いや、よく見ると、それは白い猫だった。
 転がるように走る猫の前に、やおら、制服姿の少女が立ちふさがる。
 同じクラスのヒキムラだ。こんな時間にここにいるということは、彼女もサボりだろう。不良だな、ま・・・

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七つの名を持つオス猫

17/06/19 コメント:0件 風宮 雅俊 閲覧数:54

「にゃー」
 静かに、窓が開いた。
「モモ、お帰り。どこに行っていたんだい、寂しかったぞ」
 部屋の主が両手を出して抱き上げようとするのをすり抜けると、部屋の真ん中にある小さいテーブルの下で丸くなった。
「モモ、お腹空いたでしょ。ご飯用意するからね」
 部屋の主は冷蔵庫からキャットフードを取り出すと小皿に盛り付け目の前に置いた。
「にゃー」 お腹が空いている訳で・・・

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三毛猫

17/06/19 コメント:0件 瀧上ルーシー 閲覧数:106

 今朝もいつものようにタマの頭を撫でようとチャレンジする。短い首を傾けて避けると、タマはわたしの手を引っ掻いた。手の甲から血が滲んでくる。
 タマは雑種だがメス猫で美形だ。三毛猫で鼻の下に髭のような黒い斑がある。太っていて手足も短いわりに顔は小さくパーツが整っているので総合的には美形という印象をわたしは抱くのだ。彼女は椅子から飛び降りると、窓際にあるもっと寝心地が良い毛布が敷いてあるキャット・・・

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異世界転生したのににゃんだよ!

17/06/19 コメント:0件 戸松有葉 閲覧数:42

 吾輩は猫である。パロディではない。
 いやこの冒頭な時点でパロディか。……まあどっちでもいい。とにかく、くそったれな状況だ。あのポンコツ女神め。



 無能と怠惰を絵に描いたような就活生の俺は、人手不足で誰でもいいから来てくれと泣きつく企業が多い中でも就職先が決まらず、「トラックに轢かれたら異世界行けないかな」などと現実逃避していた。
 そんな事故は起こら・・・

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猫の特性を宿す能力ッ!

17/06/19 コメント:0件 戸松有葉 閲覧数:44

 日常が壊れたあの日から、少年は学校からの帰宅さえすんなりさせてもらえない。
 今も人気のない路上で、敵の刺客が道を塞いでいた。
 刺客の見た目は、背の低い中年だ。少年からすれば、普通に喧嘩すれば勝てそうである。しかし敵も少年と同様能力者、体格など何のあてにもならない。
「くくく、お前、なかなかの能力を手にしたそうじゃないか。だが上には上がいるってことを教えてやるよ」
 警・・・

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捨て猫に餌をやる不良がいい奴に見える心理

17/06/19 コメント:0件 戸松有葉 閲覧数:44

 現実的ではない上、昨今は野良猫を放置しない自治体も多いことから、その光景を見かけることはないだろう。だが演出としてはよく知られている。実際に見かけなくとも、知識は持っているのではないだろうか。

 ダンボールに入れられた捨て猫に、餌をやったり、雨傘をさしてやったりする、不良生徒。

 不良なのに、優しい一面を知って、好感を持つというものだ。
 しかもその好感は強いも・・・

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猫はなんでも知っている

17/06/19 コメント:0件 miccho 閲覧数:51

 僕はなんでも知っている。

 シンジくんが生まれた日、お母さんになったばかりのサチエさんは、同じくお父さんになったばかりのヒロシさんをひどくなじった。どうして出産の立会いに間に合わなかったの、と。
 人の良いヒロシさんは「やあ、なんとも。すまない」と終始申し訳無さそうな顔をしていた。

 僕は知っている。ヒロシさんは本当は心配で心配で、その前の晩、一睡もできな・・・

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