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新世界さん

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投稿済みの記事一覧

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仇名

18/11/03 コメント:0件 新世界 閲覧数:73

「えー、であるからして、言葉というのは言霊とも呼ばれ、昔の人は『言霊』には力が宿ると思っていた訳だなー。面白いねー」
 大して感情の籠らない声で教師は言った。古典か歴史か、何の授業だったかは覚えていない。百合子はただ窓の外を眺め、流れる雲をボケっと見ていた。

 なぜ? 何がきっかけだったんだろう。
『出ない杭は打たれない』平凡で平和な学生生活の筈だった。心から馴染んでいる・・・

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付箋 〜いつかあなたが気付く頃〜

18/10/07 コメント:0件 新世界 閲覧数:117

 特別な才能も、容姿もない。自分に期待など微塵もしていないし、蔑まれる視線にも慣れた。家庭や趣味も無い、枯れ果てた植木鉢の残骸の様な中年男。それが僕だ。

 24年勤務する会社にも特段愛着がある訳では無く、飲み会はいつも断るので今ではもう声も掛からない。それでも今日までリストラされなかったのは、与えられた仕事をミスなくこなし、サービス残業も厭わぬ献身ぶりが評価されているのかもしれない。・・・

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花のか、ひとひら。

18/09/29 コメント:0件 新世界 閲覧数:115

 始め、自分は意識のみがぽつりと浮かんでは消える泡沫の様な物であった。
 長い時をそうして過ごした気がする。そこには光も色も無かった。
 遠くで何か聞こえる。それは細い糸でも辿る様な微かなものだったが、ひたすらそれだけに意識を注ぐと、
ある時ハッキリと聞き取ることが出来た。
「母様、これは何の匂いなのです?」幼い声が尋ねると、
「これは金木犀の香りですよ、理彦さん」と・・・

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肝試しはお勉強の後で

18/09/21 コメント:0件 新世界 閲覧数:89

「山本君、一つ聞きたいのだが」
 日も落ち始めた夕暮れの山道を、僕らは登っていた。夕陽が渾身の力を込めて、ロクに高くない筈の僕の影をとんでもなく長く伸ばしている。足元はぼんやりと暗く、心許無い。
「なにかね、中村氏」
 小一時間何度か繰り返された内容を、他に話題も無いので、また繰り返す事になる。
「この道は本当にあっているのだろうね?」
 はあっと、誰からともなく溜息・・・

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秘密

18/09/13 コメント:1件 新世界 閲覧数:146

 梅雨入りしたばかりの空は暗く、今にも雨が降り出しそうだった。じっとりと重い、湿った空気が体中にまとわりつき、息苦しさを感じる。
 ――故 里村 沙也子儀 葬儀式場。
 自分の母親の名が書かれた看板を眺めるのは妙な気分だった。居なくなったという実感はまだ無いが、言葉で表現するにはあまりに纏まりのない気持ちで足元はぐらぐらと揺れていた。受付に並ぶ参列者には知らない顔の方が多く、学生の私は・・・

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