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森音藍斗さん

だいたいツイッターに生息しています @i12BlikeU よろしくお願いします

出没地 関西界隈
趣味
職業 学生
性別
将来の夢
座右の銘

投稿済みの記事一覧

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秘蔵のレシピは誰の手に

19/05/13 コメント:0件 森音藍斗 閲覧数:45

「レシピが、ないんです」
「レシピがないとはどういうことだ」
 僕は分厚いポケットファイルの、最後に近いページを開いて見せた。何も入っていない、空っぽのページがはらりと垂れ下がる。
「中身は全部確認しました。ないのは唐揚げのレシピです」
 藤堂先輩は、クリアファイルを取ってぱらぱらと捲ると、ふむ、と頷いた。
「確かに無いな」
「盗難、でしょうか」
「……だ・・・

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賛歌

19/04/15 コメント:0件 森音藍斗 閲覧数:86

 実家が好きではなかったから大学で東京に出た。

 父はいない。母は過保護で、友人とカラオケに行くことすらままならなかった。そのせいで友達もいない。作ろうとしたこともあったが、彼らみんな休みの日にゲームセンターに行った話で盛り上がるものだから居心地が悪くてやめてしまった。電車に乗らなければショッピングモールもない田舎、小中学校は丘の上だったから通学は億劫だったし、趣味も習い事も種類がな・・・

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あなたがくれた

19/03/18 コメント:1件 森音藍斗 閲覧数:142

 窓辺に揺れるモビールは、誕生日のおくりものでした。
 部屋に彩りが欲しくも植物を育てるのが苦手な私に、ぴったりな萌葱色をあなたは選んできてくれました。半透明のフィルムが、太陽にきらきら反射して、部屋に色を落とします。
 いつもコーヒーを飲むマグカップは、クリスマスのおくりものでした。
 いつも一緒に居られなくてごめんねと、赤いリボンの描かれた真っ白なマグカップと、インスタントコ・・・

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しゃぼん玉

19/02/18 コメント:0件 森音藍斗 閲覧数:171

 ゆっくり息を吹き込むと、それはふうっとふくらんで、虹色に輝いた。
 虹色は太陽の色で、だから、私は希望の七色が消えてしまわないように、だいじにだいじに育てたんだ。
 私の吐息を内側に宿して、透明な筈なのに輝くまんまるのしゃぼん玉は、まだストローの先にいて、そこから離れたらどうなってしまうのか怖がる私の臆病を他所に、独りで宙に飛び立っていった。
 風が当たらないように、壊れてしま・・・

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そらをとぶもの

19/01/21 コメント:1件 森音藍斗 閲覧数:155

 おおきくなったら鳥になりたくて、でもなれないから飛行機に乗ったんだ。
 速度、高度、風と気圧、左右上下前後のバランスを、体で感じることはできないけれど、数字と窓とにらめっこしながら雲の上を旅するのもなかなか楽しいものだった。
 隣に座る相棒は、ちょっと気に食わないけれど。
「今日はウラノスが荒れてんな」
 相棒が呟く。
「まあ、雲の上に出ちゃえばこっちのもんだ」

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歌声

18/12/24 コメント:0件 森音藍斗 閲覧数:153

 インターホンが鳴った。505号室の奴だろう。月末だし、回覧板を届けに来たんじゃないだろうか。ちょうどいい。聞きたいことがある。
 最近、奴にカノジョができたらしい。毎晩ちょうど今頃、言うなれば風呂の時間帯に、隣から女の歌声が聞こえてくるのだ。かなり上手いから文句はないが、しかし、独り身の愚痴を肴にジョッキを交わした仲だ、報告ぐらいしろよ、水臭い。
 あの歌声の持ち主がどんな顔をしてい・・・

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クマの転校生

18/11/19 コメント:0件 森音藍斗 閲覧数:227

 後ろの席に見慣れぬ女の子が座っていることと、私がクラスメイトに呼ばれるたびに彼女もびくりと反応することに、私は気づいていた。朝教室に来てから、ほんの三十分弱の話だ。
「ねえ、クマちゃん」
 私が椅子を斜めにしながら背後にそう問いかけると、彼女はまた肩を震わせ、そして自分が呼ばれるわけがないと考え直した様子で、それから今に限ってはやっぱり自分が呼ばれていることをようやく認識して顔を上げ・・・

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伝言屋

18/10/22 コメント:0件 森音藍斗 閲覧数:302

『伝言屋
 時間と場所が離れた人へも、直接言いにくいことも 代わりに伝言致します、早く確実に伝えます
 匿名希望も受け付け可 誹謗中傷はお断りする場合が御座います
 tel/fax XXX-XXX-XXXX
 mail xxxxx@xxx.xx.xx
 address xx都xx区xx x-x
 報酬は、貴方のできることを、見合う分だけ』

 依頼人・・・

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そして彼女は

18/09/24 コメント:0件 森音藍斗 閲覧数:273

 ——そして彼女は、×××、と言った。

「……は?」
 僕は思わず声を上げた。それは揺れる電車の音に掻き消されてくれることはなく、他の乗客の視線が集まって散る間、僕は肩を縮めているしかなかった。
「どうしたの」
 僕の向かいに彼女が居てくれたのが幸いだった。会話をしていた体裁に——ならないか。彼女と自分の間に言葉が交わ・・・

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