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55さん

学生です。綺麗なものが好きです。

出没地
趣味
職業
性別 女性
将来の夢
座右の銘 運命に恋しろ

投稿済みの記事一覧

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夢と君とミステリー

18/08/29 コメント:0件 55 閲覧数:158

 その日は照り返すような太陽の熱が、道路に反射して、目の前が揺れていた。僕は桜子の歩く道の先が、揺ら揺らしているのが不安で、首に伝う汗を拭った。

 僕はよく夢を見る。同じように夢を見る人には理解できると思うが、夢は必ずしも心地の良いものじゃない。身近な人間から、過去の他愛ない風景まで、ごちゃ混ぜになって出てくる。大体の場合、そんな舞台の中心に立つのは、心配事だ。
 桜子の父親は・・・

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みえない

18/08/25 コメント:0件 55 閲覧数:169

 咲絵は死んだ。地下に沈む小さなライブハウスで、アコースティックギターを折った。最前列から避けるように空いたフロアの穴が、一歩分広がる。立ち尽くすファンの手から、蛍光色のペンライトが落ちた。
「二十八歳になりました」
 咲絵は亡霊のまま、スタンドマイクに息を吹きかけるように言う。
「ずっと、有名になりたいと思ってやってきました」
 ショッキングピンクのガーターリングを脱ぐ。・・・

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打倒! ブラックチョコレート

18/08/01 コメント:0件 55 閲覧数:286

 チョコレートはブラックから食べるようにしている。待って、僕の話を聞いてほしい。

 真夏のあの日、僕の家の冷蔵庫にはバラエティパックが冷やされていたんだ。ミルクチョコレート、ホワイトチョコレート、ブラックチョコレート。大学の試験も終わり、やっと夏休みに入った時だ。蝉の鳴き声が室内まで届いて暑さを煽る、あの光景を思い浮かべてほしい。

 僕は甘いものが好きだ。子供の頃からず・・・

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プリズム

18/07/31 コメント:0件 55 閲覧数:325

 洗っていない野菜を差し出して、「ありのままを受け入れてください」と懇願するなんて馬鹿だ。
 そんな内容を話した芸能人がいたのを覚えている。綺麗に洗い、切り刻んで、爪楊枝の刺さる柔らかさまで煮てから「食べてください」と床に頭をつく。それほどして初めて「美味しそう」あるいは「食べる気がしない」と評価を下して貰える。美味な見た目をしていないから、きっと体に悪いのだろう。奇跡的に口に入れられたそれ・・・

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時空を超えた採集家

18/07/25 コメント:2件 55 閲覧数:319

 枯れ色の床を軋ませた三歩先、立てられた焼き物の皿に女性が描かれていた。アンティークショップの入り口付近に押し出されたそれだけが、独特の香りを放っていた。
 店内に敷き詰めるように並べられた洋風の陶磁器たちは、当時の豪奢な生活を思わせる黄金の縁取りが施され、優雅な笑みで互いの美しさを褒め合っている。色ガラスのモザイクに橙色が灯るステンドグラスのランプが、彼らの舞踏会をセピアに染めている真横を・・・

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歴史

18/07/16 コメント:0件 55 閲覧数:188

 小学生の頃だった。バラエティ番組の笑い声が響くリビングルームで、父は自らの胸を叩いた。同時に台所に立つ母が、食器棚に手を伸ばす光景を覚えている。棚から一枚の皿が落ちると、小さな悲鳴をあげた母は物憂げな視線を落とした。振り返る父の首と同じ速度で、笑顔が出来あがった。
「大丈夫よ」
 自慢話を遮られた父は「そうか」と言って私に向き直った。しゃがみこんで皿の破片を集める母は、あの表情に戻っ・・・

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