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白汐鈴さん

白鶺鴒〈ハクセキレイ〉 そこらへんをうろちょろしてる、小さな鳥です。

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投稿済みの記事一覧

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海風の部屋

18/09/11 コメント:1件 白汐鈴 閲覧数:219

 レースのカーテンが揺れていた。
 もとは真っ白だったその布は、柔らかく風を纏いゆらゆらと乳白色の陰影を浮かべ、くすんだ色が経た時の長さを感じさせた。
 窓を開けたのはいつぶりだろう。
 閉ざされた扉の向こうに、この部屋はずっとあり続けていた。

 姉は美しい人だった。
 真白なカーテンの脇に立ち、ゆるりと吹き込んだ風がその髪をかきあげ、陽を透かし、ふと彼女が私・・・

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Mからの逃走

18/08/16 コメント:0件 白汐鈴 閲覧数:141

 片想い病。友人たちは純菜のことをそう言った。
 竹を割ったような性格の彼女は、気になる相手ができると躊躇わず距離を縮めた。友情なのか愛情なのか曖昧ではあったが、下ネタ話にも平気で加わるざっくばらんな気安さに好感を抱く男もいた。そして、純菜みずから「好き」と相手に宣言するのは、決まってその相手に別の女が現れたときだった。
「失恋しちゃった」
 泣き腫らした目を化粧でごまかし、純菜・・・

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木曜日の紫苑

18/07/20 コメント:0件 白汐鈴 閲覧数:242

 最終ページに栞をはさみ、本を閉じた。
 気持ちは本の世界をさまよったままで、なんとなしにまたそのページを開き、続きを捲る。あるのは奥付ばかりで、出版年が二十一年前だったことに胸のもやもやがわずかに軽くなった。僕の生まれた年だ。
 ページを繰り、ラスト三ページを読み返す。もやもやが再燃した。
「なに? その本、面白くなかったの?」
 そう言った友人が我がもの顔で占拠するシン・・・

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ノラの寝床

18/07/12 コメント:3件 白汐鈴 閲覧数:437

 茜がその日に見たのは、ふつうの青い青い空だった。
 雨など降りそうになく、そのことが少し憂鬱で、すべて放ったらかして飲みに出かけようかと考えたりもしていた。
 開け放った縁側から暑くも寒くもない穏やかな風にのせて、品のない笑い声が裏の家から聞こえてくる。ここらあたりに住む人たちは良くいえば豪快、悪くいえば野蛮という言葉が似つかわしく、喧嘩しているようなやりとりは明日の祭りの打ち合わせ・・・

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