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紫聖羅さん

濾過しても、フィルターを通り抜けられない、そんなものです。 2000文字以内に収めることに苦労します。

出没地 横浜
趣味
職業
性別 女性
将来の夢
座右の銘

投稿済みの記事一覧

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春を待ってる

18/07/16 コメント:0件 紫聖羅 閲覧数:104

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 僕が生まれたのは、三月のとても寒い日だった。その日、東京は大寒波で大雪に見舞われた。人々は口々に、
「今年に入って何度目の積雪かしら」
「地球がおかしくなってるんだ」
 とぼやいていたけれど、僕はとても寒さに強いので気にならなかった。
 この時、まだ目は見えていなかった。僕は元から足がない。でもそれで不自由なことは何もない。手は生まれてから3日目にで・・・

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俺の罪は君が知らない君の秘密

18/07/03 コメント:0件 紫聖羅 閲覧数:110

 妻の桜が息子と買い物に出かけている間、俺は引き出しの奥から、ある手紙を取り出した。箱に入れ、10年以上経ってもシワなく保管していたこれは、自分宛ての手紙ではない。桜に宛てられたものだ。
 桜と付き合い始めたのは、高校2年の夏だ。最初から桜が妥協して俺と付き合っていることは分かっていた。
 幼なじみの桜のことを、いつから好きだったのかは覚えていない。俺は想いを告げられないまま、桜も俺の・・・

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最後のお願い

18/06/30 コメント:2件 紫聖羅 閲覧数:158

 僕の尊敬する先生は、執筆した本の最後に「作者あとがき」というものを付けていました。僕もそれを真似て、「あとがき」を書いてみたいと思います。
 僕がこの本を書こうと思ったのも、先生の真似でした。
「なりたいものになるには、まず真似から始めればいい」
 そう先生はおっしゃってくれました。
 先生の仕事は本を書くことです。僕はこの世界で一番、先生を尊敬しておりました。先生のよう・・・

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神対応の一之瀬さん〜触らぬ紙に祟りなし〜

18/06/25 コメント:0件 紫聖羅 閲覧数:109

やってしまった。触らぬ神に祟りなし。先人の教えを信じるべきだった。1つ言い訳ができるなら、一之瀬さんにこの間尋ねた質問の答えに驚いたからだ。僕らはドラッグストアで働く社員である。一之瀬さんは常にニコニコ接客しているから、つい、
「接客業をしていて一番嫌なことってなんですか?」
と聞いてしまった。
一之瀬さんは破顔を崩さぬまま、
「接客です」
と・・・

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ゾンビパパ!

18/06/25 コメント:0件 紫聖羅 閲覧数:127

ある日突然、大好きなパパがいなくなった。「必ず戻ってくるからね。それまで、絶対外に出てはいけないよ」その言い付けを守っていた。
それから2ヶ月。
「ユキちゃん、ただいまーパパだよー!」
玄関の方から扉を叩く音がする。パパが帰ってきた!
私は急いで玄関の扉を開ける。そういえばパパは、私のことを、ちゃん付けで呼んでいたっけ?
そこにいたのは、・・・

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笑われ者

18/06/23 コメント:0件 紫聖羅 閲覧数:154

 深夜0時に「夜のサーカス」は開演する。
 チケットをポケットの中でぐしゃぐしゃに丸める。最後部の座席の背後に設置された手すりに両腕を乗せて、舞台を見下ろした。チケットを持っているのだから、もちろん座席はある。しかし、ここで十分だ。肥えた金持ち共の娯楽に潜り込むのは、今日が最初で最後だ。
 開幕と同時に、派手な衣装を身に纏った司会者がステージ中央でお辞儀をする。
「ようこそ夜のサ・・・

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死体の真似事

18/05/26 コメント:0件 紫聖羅 閲覧数:168

「やっぱりここにいたか」
 放課後の誰もいないプールで、紗夜は水面に仰向けになってプカプカ浮いていた。制服も靴も着用したままだった。濡れたワイシャツが下着を透かしていて、俺は咄嗟に目を逸らした。
「クラゲってどんな気持ちかなぁと思って」
浮いたまま紗夜は言う。
「違うな。水死体とはどんな気持ちかなぁ、だろう」
「慎太郎はなんでもお見通し……なのかな?」
 ・・・

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