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飛鳥かおりさん

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投稿済みの記事一覧

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歴史の柱

18/09/24 コメント:0件 飛鳥かおり 閲覧数:414

「この“ぼく”って、秀ちゃんのことね」
 結婚してから初めて帰省したときのこと。実家の居間の一番大きな柱に、たくさんの短い横棒と一緒に書かれた文字を指さして、妻の郁恵が言った。
「当たり前だけど、秀ちゃんもこんなに小さかったんだなあ」
「そりゃそうだよ、小学生のときだし」
 背丈を測ってつけた横線の印は、いまの俺の身長の三分の二ほどしかない。成長の軌跡を追うように、何度も何・・・

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アナタの思い、届けましょう

18/08/20 コメント:0件 飛鳥かおり 閲覧数:287

「辻先輩、この前の試合も格好良かったなあ。今日も練習見られるかな」
 ひとりごとの多いいつもの通学路。野球部の朝練に合わせて早く出るのにはもう慣れてしまった。
 本日も清々しいほどの快晴。特に今年は例年になく猛暑の日々が続いている。普段ならとっくに制服のシャツがぐっしょりと湿っているはずだが、不思議と今日は汗をかいていない。
 辻先輩は洋子の高校の野球部の二年生で、洋子は入学直後・・・

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深層

18/07/23 コメント:0件 飛鳥かおり 閲覧数:503

 デビュー時から追い続けている作家がいる。彼女の著書はどれも報われない主人公が苦境を生き抜く話であり、ラストもハッピーエンドとはほど遠いのだが、返ってそれが現実味を帯びている。俺は主人公に共感し、時には笑い、時には涙を流した。彼女の一年ぶりの最新作が刊行されるということで、俺は発売日に本屋に走った。
 平積みの一番上の一冊を手にとり、パラパラとめくる。いつものように細かい章立て。後ろの方まで・・・

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土まみれの純白

18/07/16 コメント:12件 飛鳥かおり 閲覧数:1912

 一番初めに覚えた諺は「出る杭は打たれる」であった。子ども用のことわざ辞典をめくっていたときに、「ああ、私のことだ」と思ったのだ。
 小学校に通いだした私は、教室で大人しく座っているというノルマを毎日こなしていた。
 教科書は配られた週の週末に読み終えていた。算数ドリルをもらった翌日に全問解いたものを提出したら「みんなに合わせようね」と先生に呆れられた。
「どうして?」
 ・・・

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言葉にせずとも

18/06/20 コメント:0件 飛鳥かおり 閲覧数:525

 月に一度の行事の日が今月もやってきた。芸人がやってくるのだ。毎日ひたすら単純作業をこなすだけのつまらない日常に変化をもたらすただ一つの行事でありながら、その実とても楽しめるものではない。笑えば処罰という監視体制のなか聞かされるお笑いなど精神修行以外の何物でもない。
「並べ」
 雨と汗の匂いが漂う体育館。俺たちは機械的に並べられたパイプ椅子に番号順に着席させられ、後ろで手を組んだ状態で・・・

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俺とアイツの3時間

18/05/22 コメント:2件 飛鳥かおり 閲覧数:1160

 「急がば回れ」などという言葉がある。
 ちょっとばかし閉所恐怖症の俺は、エレベーターには極力乗らずにいつもは階段を利用する。だが、オフィスのある九階から一階まで降りるのはやはりエレベーターの方がだいぶ早い。
 仕事を終えた俺は、時計を見ると今日は予定より一本早い電車に乗れそうだったので、珍しくエレベーターに乗り込んだ。良くも悪くも、それがすべての始まりだった。

 やはり・・・

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会社という生命体

18/04/25 コメント:0件 飛鳥かおり 閲覧数:554

アラームの音が鳴る。
私は布団から手を伸ばし、目を瞑ったまま手探りで目覚まし時計のスヌーズを切った。
心に鞭を打ち、布団から出たくないと訴えるもう一人の自分をバッサリと切り捨てる。
今日は火曜日、普通ゴミの日だ。私はパジャマのまま上着だけを羽織り、ファスナーを一番上まで上げた。夕べのうちにまとめてあったゴミ袋をベランダから持ってきて、つっかけに足を入れる。玄関のドアを開けるとひん・・・

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