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路地裏さん

短編を書く人です。 少し不器用で、時に残酷で、愛しい人達の物語を綴っていきたいです。

出没地
趣味
職業
性別 女性
将来の夢 小説家
座右の銘

投稿済みの記事一覧

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Fってきっと古川くん

19/06/05 コメント:0件 路地裏 閲覧数:170

 日下部さんからメールが届いたのは、二日前のことだった。
 古川くんが亡くなった。古川くんは、高校時代のクラスメイト。日下部さんもまた、そうだった。
 驚いたのだけれど、彼が亡くなったのは一年前のことらしい。日下部さんは彼の死を受け入れるのに、人より少し時間がかかってしまったそうだ。

「お待たせ」
 そう言って現れた日下部さんは、すっかり大人の女性になっていた。白い・・・

2

純情な君

19/05/28 コメント:0件 路地裏 閲覧数:205

 裸の男が寝ている。
 ベッドのシーツは捲れあがり、私の下着も男のものも部屋に散乱している。私はベッドに頬杖をつきながら、だらしなく眠る男を眺める。
 それは、綺麗な死体みたいだった。

 テーブルに置かれた煙草を手に取る。オレンジ色のライターは、コンビニで適当に選んだものだろう。
 私は煙草を吸わない。昨晩煙草を吸っていた男の姿を思い出しながら、不器用に火をつける。・・・

0

教えて、ミチル。

19/05/17 コメント:0件 路地裏 閲覧数:137

 ミチルはこの場所を酷く気に入っているようだった。彼女がここへ通う理由は大体予想がつく。彼女は私を含むクラスの全員を見下しているからだ。ここへ来れば大人にでもなったつもりなのだろう。外見に恵まれていて勉強もできるのだから、あとは愛想よくすればいいだけの話なのに。窓ガラス越しでも分かる彼女の美しく長い髪の毛は、私を惨めな気持ちにする。
 私は友達に「また遊ぼうね」の後ろに楽しげに笑う黄色い顔の・・・

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神様との会話

19/04/06 コメント:4件 路地裏 閲覧数:268

 実家に帰省して二日目の朝。今日の昼には東京に戻る。一階では母がバタバタと忙しなく家事をしている音が聞こえてくる。

 こっちの朝はまだまだ寒い。俺は布団に包まりながら、スマートフォンのホームボタンを押し録音アプリを起動する。そして再生ボタンを押した。

『久しぶり父さん』

「久しぶり。大学はどうだ?」

『ぼちぼち。そっちは?』

「・・・

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ライク・ア・ドルフィン

18/08/17 コメント:0件 路地裏 閲覧数:394

今日は妻との結婚記念日である。車を2時間程走らせ、一度も訪れた事がない水族館へやって来た。妻は水族館が大好きで、若い頃は散々水族館巡りに付き合わされたものだ。

エントランスを抜けると、館内はほんのり薄暗いライトに照らされ神秘的な海の世界を表現している。通路に沿って小型の水槽が一定の距離で並べられており、美しい色の魚や面白い形をした生き物がゆらゆらと泳いでいる。

隣を歩く・・・

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博士が愛した罪

18/07/13 コメント:2件 路地裏 閲覧数:882

青の街、アメリア・カルセドニ。建物の高さは厳しく規制され、屋根の色はアトランティコ・ブルーで統一されている。街を囲む同色の海も、より一層輝きを放つ。この地を初めて訪れた者は「まるで海の中に居るようだ」と口を揃えて言う。私もその中の1人だった。まさか10年もこの地に留まることになるとは。アトランティコ・ブルーの魅力は、私の心を掴んで離さない。

私の職業は小説家である。「だった」という・・・

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ソフィア

18/05/31 コメント:0件 路地裏 閲覧数:750

眠そうに開かれたサファイアブルーの瞳は今なおその美しさを維持している。小さな手がこちらへ伸びてきて、不慣れな様子で私の体を撫でる。酷く下手くそな撫で方だ。こんな風に撫でられるのは私の人生においてこれが2度目である。

少女は私と同じサファイアブルーの瞳をしていた。少し癖っ毛だが美しいブロンドヘアを持つその少女の名前はソフィアと言う。フランス人の父と日本人の母の元に生まれた美しい娘だ・・・

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10年後の俺

18/05/02 コメント:0件 路地裏 閲覧数:777

「俺?俺はお前だよ」

午前0時。動揺を隠しきれない俺を置いてけぼりにするかのように、時計の針は規則正しく時間を刻む。

大学受験を控えた俺はいつも通り分厚い参考書と戦っていた。数学は大の苦手科目。ペンはなかなか進まない。机に置いてある時計に目をやると丁度日付けが変わった。

ズドーンッ!!

落雷のような音が真後ろで聞こえ、思わず「ひっ」と・・・

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オアシス

18/04/24 コメント:0件 路地裏 閲覧数:553

真面目な人間ほど馬鹿を見るというが、正しく今の俺に相応しい言葉だ。

10年前、俺は黒づくめの男達にこのゴミ溜めへ連れて来られた。

「君にしか出来ないんだ」
「君に期待している」
「君が必要なんだ」

そんな言葉を並べられ、若かった俺はすっかり気持ち良くなってしまった。俺は何でもやった。周囲が嫌がる事も進んでやった。目の前に積まれたゴミ・・・

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