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腹時計さん

小説初心者です。 感想アドバイスよろしくお願いいたします。

出没地
趣味
職業
性別 女性
将来の夢
座右の銘

投稿済みの記事一覧

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言葉にならない、●してる

18/08/25 コメント:0件 腹時計 閲覧数:83

 その日まで、彼女のことがとりわけ好きだということはなかった。
 少なくとも、自覚している分には。

 その日の朝、湊章太は朝七時には起きて、ゆっくりと朝食を取り、課題のレポートをコーヒー片手に片付けた後、昼近くになってから、大学へ向かった。こんなに余裕のある午前中を過ごすことは滅多にない。時間の余裕は、心にもゆとりをもたらす。なんだかすれ違う人に対しても、朗らかな挨拶をしたくな・・・

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顔の見えない片思い

18/08/11 コメント:2件 腹時計 閲覧数:118

 拝啓 七瀬絵里子様
 初めまして。僕は田中蓮司と申します。七瀬さんがここに住んでいたと父に聞いたので、手紙を送ってみることにしました。
 僕は今、二十一になりました。K大学の三年です。野球部に入っています。小学生の時から野球をやっています。僕は野球が好きです。
 あなたが帰ってこなくなってから、僕はずっと父に育てられました。祖父母も助けてくれました。大学まで出してくれて、今はと・・・

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雪が降る夏

18/08/01 コメント:0件 腹時計 閲覧数:234

 お盆も過ぎ、蝉とつくつくぼうしの鳴き声が混じりだしたある日、祖母は死んだ。もともと肝臓がかなり悪かったから、その知らせを聞いても、美佳子はあまり驚かず、むしろ「ようやくか」と思いさえした。

 高校に上がるまで祖母と同居していた美佳子は、乱暴で酒飲みの祖母が嫌いだった。若い頃は心優しい美女だったらしいが、姑からの苛烈な嫁いびりによって徐々に精神が壊れ、姑の死後は酒浸りになり、その美貌・・・

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ホーム・スイート・スイート・ホーム

18/07/13 コメント:0件 腹時計 閲覧数:126

 俺は小さい頃、ヒットマンになりたかった。
友達から借りた漫画の中で、黒コートを着こなすヒットマンは、まるで世直しのごとく、悪者を倒していた。冷酷だけれど実は情に厚く、圧倒的に強いヒットマンにあこがれるのは、何の力もない子どもとしては当然のことだと思う。
 貧しい家庭に生まれつき、母はあまり家にいなかった。飲んだくれの父はずっと家にいて、モンスターを家の中に飼っているようだった。

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駆け落ちの賭けをしようか

18/06/03 コメント:2件 腹時計 閲覧数:341

 彼はそのとき高二で、高橋はその担任だった。残暑厳しい秋の日の放課後、束ねていないカーテンが波打つ教室で、彼は爆弾発言を投下した。

「先生、ぼくと駆け落ちしてください」

 高橋はしばらくその意味がつかめず呆然とした後、激しく咳き込み、息苦しさに身体をくの字に曲げる。なんだか胃がむかむかするのは、きっと気のせいではない。元凶の発言をかましてくれた生徒は、無表情のまま、冷め・・・

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主婦の達人

18/04/29 コメント:2件 腹時計 閲覧数:296

「離婚して。心当たりはあるでしょう?」
 
 夫の顔は見物だった。ああ、これだけでなんだか胸がすっとする。ぽかんと口を開き、瞬きを繰り返したあと、ようやく私の言ったことを理解して顔を真っ白にした。
「な、なんで、え、俺、え、なに、え、え?」
 私はテーブルに肘をついて夫にほほえみかけた。イタリア製の丸みを帯びたテーブル。クリーム色の大理石が心地よい冷たさを伝えてくれる。私が・・・

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シューカツのゴミ

18/04/28 コメント:0件 腹時計 閲覧数:308

 トイレの汚物入れにしわのついたストッキングを突っ込んだ。これで何度目だろうか。
 鞄に入れておいた予備のストッキングを取り出してたぐり寄せる。つま先を片方入れて慎重に伸ばしていく。膝の辺りまで到達すると、もう片方の足にもストッキングをかぶせていく。あとは両足を少しずつ交互に引き上げていけば、不透明な足ができあがる。
 インターンシップを受けていた半年前はこの作業でさっそく伝線させるこ・・・

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浮かれた心と忘れた心

18/03/21 コメント:0件 腹時計 閲覧数:549

 引っ越しの準備をしていると、なくしたと思っていたものが見つかることがある。
 大学の合格発表があった翌日から、和成は少しずつ荷造りを始めていた。既に大学のすぐ近くのアパートを契約した。あと二週間すれば和成は大学生になるのだ。合格の喜びは大きく、新生活への期待はぱんぱんに膨れている。
 しかし、すんなりと進まないのが片付けというものだ。18年間住み続けてきた自室は案外ガラクタが多く、ま・・・

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降って湧いたチャンス

18/03/16 コメント:0件 腹時計 閲覧数:442

 神様はほんとうにいるのかもしれないと思った。

 先ほどまで新年会と称して飲み食いしていたというのに、今野は急激にアルコールが冷めて指先が緊張するのを感じた。
 それもそのはず。かつての部下、新井は小さなナイフで空を切り裂き、威嚇した。今野たちは逃げることも忘れて路上で立ち尽くしていた。女子社員たちは恐怖からか嗚咽を漏らしている。
「今野を出せ!」
 新井は会社統合・・・

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失恋の報酬

18/02/25 コメント:0件 腹時計 閲覧数:413

「なあ、おい」
 無愛想な声にはっと目を覚ますと、前の席の男子が迷惑そうな顔つきでこちらを振り向いていた。
 え、なに?
「はやく」
 プリントをつっけんどんに押しつけられて我に返る。そうだ今は数学の時間だった。
 あたしは顔を赤くして受け取った。ごめんとも言わず。そして速やかにそのうち一枚を自分の机に置いて後ろの席に回した。
「ど・ん・ま・い」
 と、後・・・

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