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広田杜さん

マイペースに書いています。 Twitter @hirota_mori

出没地 自室
趣味 眠ること
職業 製造
性別 女性
将来の夢 いつか自分の書いたものが本になったら嬉しいです。
座右の銘 一日一善

投稿済みの記事一覧

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作品「私」に添えられたあとがき

18/07/04 コメント:0件 広田杜 閲覧数:133

これを今書いているワタシは、私ではない。
作中に登場する「私」の世界が潰えたから作品は存在し、ワタシが生まれた。ワタシは「私」の意思を受け継ぎ、作品の完成を見届けるために存在する。ワタシは作品を装丁し、あとがきを添える。このあとがきが存在していること、それこそが「私」の存在の無を証明している。「私」はもういないのだ。
「私」の物語はどうだっただろうか。ワタシがあえて解説する意味な・・・

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りんごの君

18/06/08 コメント:0件 広田杜 閲覧数:202

「本当に出るんだってよ」
友人が息巻いて僕を誘ったのは、元病院の廃墟だった。友人は無類のオカルト好きで、「出る」と噂の場所を探してきては、ビデオカメラと懐中電灯を持って探索に行く。一人で行けば良いものを、「俺の背中を任せられるのはお前しかいない」と僕のことを連れて行く。腕っぷしは弱く、以前使われなくなった学校に不法侵入して、その場にたむろしていた不良少年にカツアゲされる羽目になった友人の華奢・・・

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塔の女

18/05/11 コメント:0件 広田杜 閲覧数:252

その塔のてっぺんには、一人の女が定住していた。
浮力を纏ったその女は、飽きることなく塔の周りをくるくると回り浮いている。長い髪が風にたなびいているのがわかるが、地上の私からは表情まではわからない。私もまた飽きることなく彼女を見上げる地上の人間の一人だった。
あるよく晴れた日のことだった。塔の上の彼女は動きを止めると、空の彼方へ顔を向け何かを見つめている。ちょうど地上の人間たちが彼女を見・・・

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月の住人

18/02/22 コメント:0件 広田杜 閲覧数:435

「じゃあここでいいか」
 彼女はこともなげにそう言うと、僕を壁に押し付けキスをした。彼女の一連の造作には迷いも恥じらいもなくて、僕だけが石造のように動けずにいる。僕より五センチほど背の低い彼女は背伸びをやめつつ唇を離すと言った。
「じゃあまたよろしくね」
 去っていく彼女の長い髪から花のような少し甘い香りが漂う。僕はさっきまで爆発しそうに鼓動を打っていた心臓を服の上から押さえると・・・

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白魚の手

18/02/06 コメント:1件 広田杜 閲覧数:549

 私の飼い猫が私に贈り物を持ってくるようになったのは最近のことだ。
 食器にドライフードを足そうとしていたときのこと。猫専用ドアの開く音がし、彼が帰ってきた。名前をしらすという真っ白な彼は、口に雀の死体をくわえていた。私は小さく悲鳴を上げると、外に持っていくようにきつくしかった。しらすは反省するように頭を下げ、しぶしぶ外に雀を持って行った。
 翌日のこと。読書をしている私の足元にしらす・・・

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