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キップルさん

出没地 狸小路
趣味
職業 保育士
性別 男性
将来の夢
座右の銘

投稿済みの記事一覧

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サプライズ好きの彼

18/08/26 コメント:0件 キップル 閲覧数:129

 マンションのエレベーターから降りて右へ曲がり、いつもの廊下を歩く。最近立て続けにバイトの子が辞めたのでたくさんシフトを入れられて辛い。角部屋のひとつ手前が私の部屋だ。いつもならすぐにドアを開けて、靴を脱ぎ捨てソファにダイブするのだが、今日は違った。ドアの郵便受けに白い封筒が刺さっていたのだ。

「何だろうこれ?」

封筒には切手が貼られておらず、差出人の名前もない。多分誰・・・

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投書、ある障害児を持つ母親の手記

18/04/08 コメント:0件 キップル 閲覧数:714

「障害者はゴミ。生きてる価値がない。」

 こんなネット上の書き込みを見て胸が痛くなった。私には重度の自閉と行動障害を持つ小学六年生の息子がいる。名前は碧依。我が息子ながらとんでもないトラブルメーカーだ。

 碧依はとにかくジッとしていることが苦手だ。起きてる間はほんの一秒だって止まったら死んでしまうかのように動き続けている。何でも気になる物があると、一目散に駆けて行って手・・・

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復讐の接吻

18/03/20 コメント:2件 キップル 閲覧数:971

「あなた、行ってらっしゃい…。」 「ああ、行ってくる。」  俺は、7年連れ添った妻の美紀に手を振った。もう二度とこいつの顔を見ることもないだろうと内心思った。目鼻立ちは昔と変わらず整っていたが、髪や肌にはもう艶がない。美紀の性格はお見通しで、これ以上発見も望めなかった。飽きていた。そろそろ生活を一新する必要があった。  俺は出張へ行くため、新幹線に乗った。閑散とした車内で椅子を倒し、目を閉じた・・・

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復讐のカルマ

18/03/15 コメント:2件 キップル 閲覧数:580

 時刻は夜八時。住宅街の十字路で、俺は息を潜めていた。辺りは静かで通りかかる人はいない。奴の行動パターンは把握している。奴は毎日、家に帰るため、この十字路を横切る。来た。奴はスマホをいじりながら歩いている。

 俺はポケットからナイフを取り出し、奴に駆け寄った。そして、握り手に渾身の力を込め、胸元を刺した。舞う鮮血が街灯に照らされて赤く光った。俺はすぐにその場から走り去った。一瞬振り向・・・

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ケーキの恨み、晴らさでおくべきか

18/03/11 コメント:1件 キップル 閲覧数:605

「ただいまー。あ〜、お腹すいた。ケーキ食べよ。あれっ?」

 学校帰りランドセルを放り投げた僕は、駆け足で冷蔵庫を開けて首をかしげた。楽しみに取っておいたケーキがなくなっていたのだ。

「お母さん、僕のケーキ知らない?」
「えっ、あれ、ヒロトのだったの?さっきお兄ちゃんが食べちゃったよ。」
「そ、そんなぁ…。」

取っておいたのは昨日の夜、お父さんが・・・

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内角高めのストレート

18/03/04 コメント:0件 キップル 閲覧数:415

「日本シリーズ第4戦。3連敗で後がない信州グランバーズ。2点リードで迎えた7回表、ここで大橋がマウンドに上がります!」

 俺は大歓声の中マウンドに立った。緊張はない。キャッチャーミットはよく見えている。俺の役割は明確だ。

「ピッチャー大橋、第1球目を投げました!打った、打球は1、2塁間、抜けた!ノーアウトのランナーが出ました!」

 レフトスタンド、大阪タイ・・・

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報酬、または悩み多き人生に幸あれ

18/03/04 コメント:0件 キップル 閲覧数:451

 ザッザッザッ。

 春を待つ柔らかな雪の斜面に一歩、また一歩と足跡が刻まれていく。ところどころ雪の間からぬかるんだ地面が覗き、デコボコの坂道が視線のずっと先まで続いていた。まだ葉をまとっていない落葉樹は、優しい日差しに照らされ網目のような影を生み出している。

 はぁ、はぁ…。

 山に入ってまだ十分ほどだが、すでに男の息は上がっていた。少しペースを落とそうか・・・

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「いいね!」の先に何がある?

17/07/23 コメント:0件 キップル 閲覧数:493

「SNSに写真をアップねぇ…。インストールしたけど、何を上げたらいいんだろう?」

友達に勧められて、今流行りのSNSを始めた。あまりピンと来なかったけど、とりあえずペットの犬の写真を上げた。何か反応があるかとドキドキしてたら、すぐに通知が来た。

「いいね!」

SNSを勧めた友達からだった。その調子で次々と反応があり、「いいね!」の数は10を越えた。なんだか・・・

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山猫村

17/07/17 コメント:0件 キップル 閲覧数:508

 東北地方の山奥に、猫だけが住む村があるのをご存知だろうか。家々は朽ち果て、田畑は荒れ放題の中におよそ100匹の猫が暮らしている。そこには最近まで一人の老人が住んでいた。物語は半世紀も昔、その老人がまだ20代だった頃に遡る。

「すいません、この辺りに金色の猫がいると聞いたのですが、ご存知ないですか?」

 彼の名前は土田栄作。東京で三流オカルト雑誌の記者をしている。背は低・・・

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キャプテンとノル

17/07/16 コメント:0件 キップル 閲覧数:564

「来たっ、真ん中にスライダー!一本出れば同点だ…、うっ!」

 バットの下方をかすめたボールは、コキン、と力ない音を立てて転がった。二塁手はやや緊張したぎこちない動きでボールを取り、一塁へ送球。

「アウト!ゲームセット!」

審判が声高々に宣言した。まるで間に合いそうもないタイミングでヘッドスライディングした俺は、ファーストベースにしがみついたまま放心していた・・・

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路地裏のある夜

17/07/15 コメント:0件 キップル 閲覧数:526

「おいで、おいで。あっ、近づいてきた!あなた、人懐っこいのね。」
 すっかり日が暮れて、夜の静けさに包まれた住宅街。その路地裏に僕は住んでるんだけど、あるとき一人の女性に話しかけられた。笑顔で僕を見つめながら、頭や背中を撫でてくる。最初は遠慮がちに優しく慎重に触っていたのが、僕が逃げないことが分かると、だんだん強く大胆になってきた。これはくすぐったいぞ。思わず、

「ナァー!」<・・・

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リセット・ボタン

16/10/07 コメント:0件 キップル 閲覧数:796

「タカヒロさん、お気持ちに正直に。でも、私を選んでくれたら嬉しいですわ。」
「わ、私、タカヒロとずっと一緒にいたい!」

 僕は魔王を倒して世界を救うべく選ばれた勇者。これまで海を渡り、洞窟に潜り、数多くの魔物を退治し、世界中を旅してきた。その過程では父親を殺されたり、魔物に捕まって何年も投獄されたり、辛いこともたくさんあった。そんな僕だけど、これから結婚するんだ。相手はルドラス・・・

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空っぽ人間

16/10/04 コメント:2件 キップル 閲覧数:746

 深夜零時、人気のない冬の公園。小高い丘の上にある木の枝から一本のロープが垂れ下がっている。俺は、その先端に結ばれたボーリング玉ほどの大きさの輪を見つめたまま、十分か一時間か見当もつかぬほど固まっていた。今夜は冷え込みが激しい。にも関わらず、俺は夏のような薄着で部屋を出た。手足がかじかんで痛い。しかし、もうそんなことはどうだっていいのだ。俺はすべてを失った。俺はもうこれ以上生きていたくない。そして・・・

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席替え狂想曲

16/10/01 コメント:0件 キップル 閲覧数:888

「うん、みんな席に着いたな。今の席から黒板が見えにくい人はいるか?」

 背の低い初老の男性教諭 中島三郎が教壇の上からクラス中を見回して声を掛けた。くじ引きで席替えをしたばかりの教室はざわついていて、誰もが嬉しいやら残念やら何かしらの感情を顔に浮かべていた。

(よし、今だ!)
「はい!」

ずっとタイミングを見計らっていたオレは、ここぞとばかりに勢いよ・・・

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ハルよ、行け

16/03/20 コメント:1件 キップル 閲覧数:958

 深夜の山陽自動車道。無人のパーキングエリアに、巨大なコンテナを積んだ一台の大型トレーラーが停車した。俺が乗ったタクシーもトレーラーの後ろからパーキングエリアに入り、車を停めた。辺りには他に停車している車がなく、人の気配もなかった。
 トレーラーから運転手が降りてきた。トイレ休憩のためだろうか。タクシーを降りた俺は、運転手に近づき、素早くキーを奪った。突然のことに驚き、キーを奪い返そうとする・・・

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悪役の喜び

16/03/19 コメント:0件 キップル 閲覧数:1080

「いいか。裏切り者には天罰が下る。久松のようになりたくなかったら、よーく肝に銘じておけ!」
「は、はい。若頭!」
《カット!》

 俺は俳優の中村陽太郎。今は刑事モノ映画の撮影中で、俺はやくざの若頭を演じている。この仕事もそうだが、どういうわけか俺には悪役がよく回ってくる。恐らく、筋肉質で背が高く、一重で目つきが鋭いためだろう。
 だが、本来の俺は小心な臆病者だ。人前・・・

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生き物バンザイ

16/02/29 コメント:2件 キップル 閲覧数:852

「さぁ、始まりました『生き物バンザイ』! 気になる今回のテーマは、『共生』だよ!」

 夕食を終えて、ソファに寝転がった俺は、何気なくテレビ画面を見た。映っていたのは、子供向けの教育番組だった。それは、先生役の中堅タレントと生徒役の女の子の会話からスタートした。

「ねぇ、ミクちゃん、『共生』って何のことか分かる?」
「きょうせい? うーん分かんないなぁ。あっ、学校の・・・

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長老の決断

16/02/27 コメント:0件 キップル 閲覧数:834

 昔々、利根川の流域に、川俣国という集落があったのをご存じだろうか。川俣国は、利根川が枝分かれする三角地帯を中心に集落を形成していた。数年に一度、小規模な氾濫を起こす利根川は、上流からの肥沃な土を川俣国にもたらした。そのため川俣国では、水田や畑作による農業が盛んだった。毎年、利根川の恵みに感謝する収穫祭も行われていた。

 しかし、川俣国の住民には悩みがあった。毎年、秋になると山から猿・・・

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