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たっつみー2さん

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投稿済みの記事一覧

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高橋氏主催のイベントでございます

17/01/29 コメント:0件 たっつみー2 閲覧数:515

 2棟並ぶ5階建ての高橋ハイツ。その南側正面に公園があり、イベントテントが設置されている。そこで、マイクを手に声を張り上げているのは、御歳64歳の大家さん、高橋氏である。
「さあ、いよいよクライマックスですよ」
 梅から桜へと主役が変わろうとするこの時期、すっかり恒例となったイベントは盛り上がりをみせている。公園に集まった近所の人たちは、月灯りの下、高橋夫婦が無料配布したお汁粉を頬張り・・・

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そこに集まりし者が旅立つ時

17/01/29 コメント:2件 たっつみー2 閲覧数:564

「そのようなものはございません」
病院の受付けで尋ねると、納得の答えが返ってきた。
確かに手にしているチケットにはこの病院名がある。だけど、ここに喫茶店だなんて……。
横にいる夏菜は肩を落としている。
病院にこんな変な名の喫茶店なんて明らかに怪しいのに、彼女はどうしても行くと言いはった。なぜか、あの病院だからこそ行きたいとも。
なんにしても、所詮はどこかの福引で手にし・・・

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古き良き

15/08/30 コメント:0件 たっつみー2 閲覧数:867

(節子お母様、どうか、わたくしをあの場所にお戻しください。もう、あなたのあんな悲しい顔は見たくはないのです。暗い場所で何事もなく日々を過ごしているほうが幸せなのでございます。お母様からも躊躇いと不安が痛いほど伝わってまいります。十年前の、あの記憶が蘇ってくるのですよね)

 節子は微笑みながら「はい、プレゼントよ」と、五歳になる姪の真衣に紙袋を差しだした。
「おばちゃん、ありがと・・・

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生(せい)

15/08/24 コメント:4件 たっつみー2 閲覧数:959

 話しかけても何も答えてはくれない。ただ沈黙の時が流れつづけている。
 空調の音と廊下から時おり聞こえてくるリノリウム床をこする足音が、やけに耳につく。
 病院のベッドに横たわり、窓の外を見つめる横顔は血の気を失い青白い。この数日間、とめどなく流した涙のせいだろうか、19歳とは思えないほど潤いを失い、やつれている。
 ふと、掠れた小さな声が漂うように、わたしの耳に流れ込んできた。・・・

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特別天然記念物

15/08/24 コメント:4件 たっつみー2 閲覧数:881

本日は遠いところお越しいただき、ありがとうございます。それでは、さっそくお話を聞かせていただきたいと思います。まずはこの街に来ての感想などお聞かせください。

 
 あぁ、そうですよね。Kさんはあの島で生まれ育ち、島外にでたのは初めてですもんね。突然、感想とかいわれても困っちゃいますよね。では、島での生活を少しお聞きしたいと思います。島の暮らしはどのような感じなんでしょうか?<・・・

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押したい背中

15/08/10 コメント:2件 たっつみー2 閲覧数:891

 ある大学のサークルで行われた登山で、桜谷直哉という学生が転落し亡くなった。
 直哉の通夜にはサークル仲間の姿があった。そして今、彼らは居酒屋へと場所を移している。

 だいぶ、ピッチが上がってきたようだ。もっと飲め。飲んで曝けだせ。
「ねえ! さっきから鈴っちおかしいよ。検死でも事故か自殺ってことになったんでしょ。それなのに変な事ばっかいって、いったい何がいいたいのよ」<・・・

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不安

15/08/04 コメント:0件 たっつみー2 閲覧数:917

〜♠
レンタル店に入ると店内を見渡していった。
旧作コーナーで足が止まる。棚を眺め見ながら、DVDを手にする女性に近づいていく。そして、棚から一本手に取り、独り言を漏らす。
「クリス監督の作品ってやっぱり映像が綺麗だなぁ」
一瞬、視線を感じた。数歩離れた横を意識し、さらに「風景美で巧みに心情を表していた作品はどれだったかなあ?」
少しわざとらしいと感じつつ・・・

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それでは本日の講義を始めます

15/07/27 コメント:0件 たっつみー2 閲覧数:896

 では前方スクリーンの映像にご注目ください。
 男女6人がいるのは熱帯にある小さな孤島です。平地は彼らがいる広めの庭程度の砂浜だけで、他は小高い山です。彼らは旅行の体験モニターという企画に騙され、集まった見ず知らずの6人です。男性は40、30、20代のそれぞれ中盤です。女性は3人とも23、4ですから、皆さんよりちょっと上ですかね。それぞれ2Lボトルの水1本と衣類以外はすべて持ち去られたという・・・

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タイムレター

15/07/18 コメント:0件 たっつみー2 閲覧数:981

 〈手紙〉河合直人 美貴子様
この手紙を二人が手にしているということは、私は負けてしまったんだよね。心配させたよね。苦労させたよね。迷惑かけたよね。いっぱい私のためにがんばってくれたのに、たくさんの愛情をくれたのに、何も返せなかったよね。本当に親不孝な娘でごめんなさい。いっぱい伝えたいことがあるのに書こうとすると、今にも心が折れてしまいそうです。
なんか変だね。もう私は終わってしまって・・・

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葛藤

15/07/12 コメント:0件 たっつみー2 閲覧数:980

真実を伝えることが本当に正しいのだろうか。
ただ自分が苦しみから逃れたかった。それだけなのかもしれない。

早朝の喫茶店には空調の機械音だけが流れ、息苦しいほどに空気が重い。
店の奥から前かけをしたアルバイトらしき少女が現れ、5つのコーラをテーブルに置いた。
「どうぞお飲みください」
「あの……」
口を開いた飯岡だが、何を尋ねればいいのか分からない、といっ・・・

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幼馴染

15/07/01 コメント:2件 たっつみー2 閲覧数:971

 一週間前、強い風がうす紅色の花びらを枝から掃き去っていった。だから、ボクらはその風をこう呼んでいる――掃除風。
 ボクがいる家の庭から道を挟んで田んぼが広がっている。その先で仲間たちは小高い山を背負うように並んで立っている。春の大掃除が終わり、今は寒々しい姿になっている。ボクらは掃除を済ませ、次の緑の季節に進まなくてならない。だけど、ボクはまだ進むわけにはいかない。
 玄関からガラガ・・・

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土と香りにつつまれて

15/06/12 コメント:2件 たっつみー2 閲覧数:936

「『野菜&フルーツもぎたてまるかぎりバスツアー』の大成功を祝して乾杯!」
 部長の声とともに打ち上げは始まった。
 程良く酔いも進んだ頃、ビール瓶を手にした部長が横にやってきた。
「ほんと、フルーツだけでなく、いろいろな野菜もその場でとって食べるって企画最高だよ」
 短大を卒業し入社して4年、ずっとお世話になってきた部長は、酔いがまわっているのか上機嫌だ。
「企画作成・・・

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標的

15/06/08 コメント:2件 たっつみー2 閲覧数:992

 雑誌記者は、園長に案内されながら、動物園内を歩いていた。
「いやぁー、すごい賑わいですね」
 記者の言葉に、白髪混じりの園長は謙遜するように、いやいや、と手を振った。
 まさしく、それは謙遜である。休日ということもあるが、園内は人で溢れている。これが1年前は閑古鳥が鳴き、閉園の危機にあったとは、とても信じがたい。
「それにしても、見事な復活劇ですね」
「おかげさまで・・・

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新しい趣味ができました

15/06/01 コメント:0件 たっつみー2 閲覧数:920

 僕は歩きながら、駅前の大時計を見上げた。針は電車発車時刻の5分前を示している。
 今日は朝から目覚めがよかった。高校生活が始まって二カ月、こんな朝は初めてだ。元来、早起きは苦手なのだが、バスケ部の朝練習があるので、そうもいっていられない。だから、毎朝、目覚まし時計をセットする。なのに、朝になると故障するようで、鳴っていた記憶がない。いつもは、世界が揺れながら歪み、ぼやける視界に浮かび上がっ・・・

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あなたは誰を殺しますか

15/05/27 コメント:0件 たっつみー2 閲覧数:982

小さな神社に手を合わせる崇史の姿があった。
――娘を助けてください。
医者から告げられた余命は1カ月。
助けるには脳近くにできた腫瘍を摘出するしかないという。なのに、場所が悪くリスクが高いがゆえに、どの医者も手術を引き受けてはくれない。
もう時間が……だが神は沈黙し続けている。
「何故、五歳の娘がこんなに苦しまなきゃならないんだ。神様、俺と加奈の命をかえてくれ。加奈を・・・

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高橋さん

15/05/24 コメント:2件 たっつみー2 閲覧数:977

 高橋という名は、佐藤や鈴木ほどではないにしても、ありふれた平凡な名字です。

 私たちの会社にいる高橋さん、彼も名前のようにどこにでもいる平凡なサラリーマンです。
 こんな言い方をすると、高橋という名前の人が平凡な人のように思われてしまいますが、勿論、そんなことはありません。高橋さんの中にも、有名な俳優、アイドル、政治家、オリンピック選手と、平凡とは掛け離れた方々が沢山いらっし・・・

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いつかは海へ

15/05/18 コメント:0件 たっつみー2 閲覧数:1054

階段を上がると、ショーが行われるスタンドの最上部にでた。
「ほんと迷惑な話しだろうなあ。平日だっていうのに大勢のうっせえガキと一緒だなんて」
海斗の横で直也が呟いた。
確かに客席の半数以上が、海斗たちと同じ制服を着た中学生で埋まっている。
きっと普段の平日なら、この水族館も空いているだろうし、ショーだってゆったり見られただろうに。一般客からしたら、校外学習の日と重なるなんて・・・

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咆哮

15/05/02 コメント:0件 たっつみー2 閲覧数:1019

 老人の話し声が止むと、古民家は静けさに包まれた。
 老人がひと息つくようにお猪口をグイッとあおる。
 おそらく、ライターなどという輩と話しをするなんて初めてなのだろう。老人の表情は硬く、空気が重たい。
 秋の夜、外から虫の音だけが部屋の中に忍び込んでくる。
 私は、老人のお猪口に酒を注ぎながら、雰囲気を変えるように軽い調子で、
「なんだかこの話し、ちょっと三匹の子豚・・・

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