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ゆい城 美雲さん

お目にかかれて光栄です。 まだまだ未熟者ですがよろしくお願いします。 太宰治の富嶽百景が好きです。 コメントや評価、とても嬉しいです!お返事が遅くなることがありますが、ご了承ください。

出没地
趣味
職業 高校生
性別 女性
将来の夢
座右の銘

投稿済みの記事一覧

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あかいはいひーる

16/05/28 コメント:0件 ゆい城 美雲 閲覧数:776

 知らない間に通り過ぎ去ってしまった暖かな季節を必死にかき集めているような、変に湿った空気だった。口をつくごとに出てくる白い息が顔にまとわりついて、頭痛と吐き気を引き起こしている。突如後ろで、細い棒のような隕石が、大気を切り裂いてアスファルトに突き刺さったような、金属的な音がした。頭の中に響くような音だった。わななきながら振り返ると、何てことない、背中におぶされたエシマの赤いハイヒールの片割れが落・・・

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楽園を離れて

16/02/17 コメント:0件 ゆい城 美雲 閲覧数:788

 ようちゃんは、銭湯の香りをふわふわと漂わせながら、暖かくなってきた風とともに帰ってきた。うちのお風呂が故障してからもう週間にもなるのだけれど、のんびり屋の大家さんは一向にどうにかする気配がなくて、やんなっちゃう。苦肉の策で、徒歩五分のオンボロ銭湯に通い始めた。初めは、今にも朽ち果てそうな外見に不信感を抱いたけれど、住めば都と同じで、入ったら極楽。お湯は曜日ごとに種類が変わる。今日は金曜日だから、・・・

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保健室の殺人犯

16/02/14 コメント:0件 ゆい城 美雲 閲覧数:743

身長計の測定バーを、手持ち無沙汰に上下しながら、学校にきたくないんだ、と、益岡先生に言うと、彼女はコーヒーの入ったポットを持ったまま、目を丸くした。先生の午後のティータイムにお邪魔して、突拍子もないことを言い出したのだから、申し訳ないと思う。先生はどうしてと口だけ動かして、結局声は出さずに、下を向いて黙り込んでしまった。しかし、すぐに意を決したように僕の目を見据え、「何かあった?」と聞いた。<・・・

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オゾン層を遠くに見て。

15/09/02 コメント:1件 ゆい城 美雲 閲覧数:956

こんな廃れた街だったかな、と駅をでて葵は思った。小さい頃よく遊びに来た商店街はシャッターを下ろし、押木枯らしに耐えるようにのっそり立っている。駅まで迎えに来てくれた美智子は、随分変わったでしょ。近くに大きなデパートが出来たのよ。その影響をもろに受けて、みんな廃業しちゃった。まあみんな歳食ってたし、辞めどきだったのかね。と、どうでも良さそうに言った。
「東京の大学はまだ夏休みなの?」
「・・・

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深く沈んで、秋。

15/08/08 コメント:1件 ゆい城 美雲 閲覧数:842

目を覚ますと、白い天井と柔らかな光が差し込んで、眩んだ。微かに香る薔薇の香水の香りと、お日様の香りに、ここは僕の部屋じゃなかったかと気づく。寝返りを打つと、肌色のままでベットに腰掛けている美琴さんを見つけた。同時に、アルコールのツンとする香りが漂う。昔、嗅いだことがある。ああそうだ、姉がペディキュアを落とすのに使っていた除光液と、同じ匂いだ。あのペディキュア、落としてしまうのか。飴玉のような、忘れ・・・

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青のトリ

15/06/27 コメント:1件 ゆい城 美雲 閲覧数:1100

西南西への旅の途中、おれは行商人と一緒になり、故郷が近かったことから仲を深め、次の街まで路を共にしていた。次の街はアスチナと言って、砂漠の真ん中にあるオアシスが繁栄した、大きな街であった。そこまでは世界で一に大きいというスハムニア砂漠が広がっている。おれと行商人は、少なくなってきた水を補給しつつ、心配しつつ、旅を続けていた。
とある日、おれが行商人の商品といっしょに、馬車の荷台に座っていると・・・

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予報士

15/05/19 コメント:2件 ゆい城 美雲 閲覧数:1580

「妊娠したから、学校辞める」
端的に、かつシンプルに、夜子さんは呟いた。彼女の細っそりした指が弄ぶシガレットホルダーに、街灯の光が乱反射している。それに気を取られながら、私は手短かに、「そうなの」と言った。夜子さんは肩頬を吊り上げて、あんたのそういう興味なさそうなとこ、好きだよと言う。もう一度、そうなのを言いかけて、考え直して、「ありがとう」と呟く。そこで静寂が訪れて、虫が飛び込む街灯の光を・・・

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うたひめ1to3

15/05/09 コメント:1件 ゆい城 美雲 閲覧数:1116

 最近俺が越してきた部屋は、随分海に近い。窓を少し開けるだけでも、潮の匂いを乗せた、ぼんやりした風が入ってくるほどだ。耳を澄ませば、波が行ったり来たりするのが微かに聞こえる。
 俺は今まで、海を眼前で、実際に見たことがなかったから、初めてここに来て、海を見たとき、全く失望させられた。俺が思い描く海は、南国旅行のパンフレットのように、青い、宝石を閉じ込めたような、綺麗な海だったからだ。だが、実・・・

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おとといの天使

15/04/04 コメント:1件 ゆい城 美雲 閲覧数:1045

とある上司から、服装は人柄を映すように、オフィスの外観は仕事振りを映すのだから、いつも綺麗にしなさいと花の種を幾つかもらった。自分のような厳つい男が花の世話などをするのは如何なものかと思ったが、なにぶん殺風景な気はしていたので、なんだかんだで面倒を見ている。毎日水をやり、肥料をやる。この間の出張中、すこし面倒を見なかっただけで元気が無くなっているのだから、花も結構わがままだ、とショウジは思う。だが・・・

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遠い君に送る。

15/01/24 コメント:0件 ゆい城 美雲 閲覧数:995

 江戸が続いて四百年と少しになると聞きましたが、本当のところはわかりません。今日は江戸が白く染まるような柔らかい雪が明け方から降りそそいでいる、一月の晦日です。
 書き出しから私事で申し訳ありませんが、最近漢詩というものを習いました。杜甫が好きです。国破れて山河在りとはよく言ったものですね。近年徳川様は穏やかでいらっしゃいますが、もし、戦争になったらこの小国に勝ち目はないでしょう。今でもたま・・・

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夜の太陽

15/01/08 コメント:2件 ゆい城 美雲 閲覧数:1080

私のアパートの右隣の部屋には、モグラが住んでいる。名前はモグラ。名字がモなのか、モグなのか、それともモグラに名字と名前の区別はないのか、気になっているが聞いたことがない。
私はこのモグラと、なかなか良い付き合いをしていると思う。彼は目が弱いから、日中は部屋から出られないらしいので、食事の買い出しにも行けないのだ。だから、私は彼のぶんも、スーパーで買ってきて、更にご飯を作ってやる。モグラはなん・・・

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南方の渡り鳥

14/12/19 コメント:0件 ゆい城 美雲 閲覧数:1012

私の恋人だった優汰は世界を愛している人だった。人間が好きだ、もっとみんなまとめて幸せになれればいいのになあとよく言っていた。それから、自然の花や木や鳥なんかも、好きな人だった。いつか叶うなら神様がいたずらに引っこ抜いて上下逆さまに刺して帰ってしまった木を見に行きたいと言っていたのを覚えている。私は、とある本よりその木は星を破壊する悪者のイメージしかなかったのだけれど、改めて眼前にその木が来ると、全・・・

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寒椿

14/12/08 コメント:2件 ゆい城 美雲 閲覧数:1645

なんでも器用に出来る方ではなかったので、色々苦労はしてきた。
図工の時間も、人の何倍も時間をかけなければ、標準的なものが作れない子供だった。
中学の頃、体育の、バレーの授業。あれは最悪だった。周りの子たちは、初心者で有れども二・三時間授業を受けたら、オーバーハンドパスも、アンダーハンドパスもできるようになっていて、ボールを落とさず繋げられるのだ。しかし私ときたら何時間練習しても、一向に・・・

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