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島中充さん

出没地 和泉府中
趣味 テニス
職業 自営業
性別 男性
将来の夢 墓の下で生きる
座右の銘 天は人の上に人を作らず 人の下に人を作らず

投稿済みの記事一覧

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チューしてあげる(後)

15/10/27 コメント:0件 島中充 閲覧数:945

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学期の北風の吹く日、ぼくの班は一年生の掃除当番であった。幼くて、自分たちで掃除出来ない一年生の教室は、五年生がすることになっている。丁度その日、インフルエンザが猛威を振るい、同じ班の三人が休んだ。残り三人で掃除をやらなくてはいけなかった。水は冷たい、だが掃除はちゃんとやらなくてはならない。
「今日、一年の掃除当番は三班。」と、言い残して、さっさとストーブを燃やした暖かい職員室に引・・・

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チューしてあげる前)

15/10/27 コメント:0件 島中充 閲覧数:818

優に百メートル超える長い土塀に囲まれた屋敷の前を通って、ぼくは毎朝、小学校へ通った。広い屋敷の庭には松の木や樫の木がうっそうと繁っている。白い土塀のかわらの上に木々が暗い森のように見えていた。昔大地主であったなごりに、「平井家さま」とこの屋敷だけが「家(ケ)さま」と付けられて呼ばれた。土地の呼び名もここら一帯は平井家と呼ばれている。この地域で昔から畏敬の念をもって迎えられる特別な屋敷である。だが、・・・

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公務員に成れなかったコックローチ

15/03/31 コメント:4件 島中充 閲覧数:1223

気が付くと四角い格子の箱に入り県庁の広場にいた。衣服を脱ぎ棄てパンツ一枚になりこげ茶のタイツをはき、広げると蝙蝠のようになるこげ茶色の大きな布を両手に巻き付けていた。周囲を人々に取り囲まれ、指さされ 若者はみんなから笑われていた。地面にへばり付いている巨大な人間の顔を持つコックローチに変身していた。一体どうしてこんなことに成ったのか。頭は薄ぼんやりとして、仰向けによだれがひっきりなしに出た。そうだ・・・

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臨海線

15/02/19 コメント:0件 島中充 閲覧数:1016

 私は仕事の都合で毎夜、深夜に、実家から眠っている小学三年生の娘を連
れ、堺から岸和田の自宅に臨海線を通って車で帰る。羽衣に差し掛かると右手
にステンレスパイプが林立し、高い煙突から炎あげ、水銀灯に照らされプラチ
ナに輝く夜景、コンビナートが眼前に浮かび上がってくる。堺泉北臨海工業地帯
は空に浮かぶ要塞のように見えた。隣接して浜寺公園があり、コンビナートと公
園の間を・・・

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白鱗

14/12/28 コメント:0件 島中充 閲覧数:1020

 中国山地のなだらかな山の中に、その滝はあった。落差が七十メートルを越える、白蛇の滝。白く水の落ちるさまが名前の由来である。秋には紅葉の渓谷を、春には桜並木の堤に抱かれて、その美しさは錦と称えられ、錦川と呼ばれた。真夏に、時折白い蛇が体をくねらせながら、その川を渡った。怪しい美しさが白いチョークで川面に描かれ、人々を驚かせた。白い蛇は青大将の白子(しろこ)で、おぞましいほど白く、細い舌と目は、血が・・・

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クマ蝉

14/09/26 コメント:2件 島中充 閲覧数:1098


クマ蝉がうるさかった。 プールからこども達の甲高い歓声が木々の茂みを通りぬけ聞えていた。真夏の正午 スカートのまま はだしになり 十才の女の子が公園の桜の木に登り始めた。息を殺し桜の木が枝分かれしている所までのぼり 気付かれないように手をのばした。 素早く一気に指で抑え込んだ。 クマ蝉がギュギュウと鳴いた。 枝々から一斉に悲鳴を上げながら 尿をまき散らし たくさんの蝉が四方八方へ飛んで行っ・・・

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再会

14/09/21 コメント:1件 島中充 閲覧数:1126

      
むかしむかし、世界を二つに分けた大きないくさがあった。
そして大東亜を夢見た人々の国は、敗れた。

南からの潮風にさらされ、山脈が岩を押し出す断崖の上に、老婆の療養所はあった。老婆はあまり良く見えない目で、いつも五階のガラス越しに、南の水平線を見ていた。真っ白な目で。老婆は白内障であった。
「手術をしましょうか。」 耳元に大声で医師が尋ねると「もったいな・・・

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蓑虫

14/09/20 コメント:0件 島中充 閲覧数:924

     蓑虫
                          
妻はゆっくり狂い始めた。階下から甲高い声で私を呼ぶのだ。
「アナタァー」 また始まる、始まってしまった。

開け放たれた窓から、花冷えの寒気がなだれ込み、投げ出された掃除機の横で、妻は床の上にスフィンクスのように、両手、両膝を着いて、目を据え、開かれた昆虫図鑑を睨んでいた。
「アタシ、蓑虫じゃ・・・

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