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雲原 拓さん

私に書けることはどんなことなのか、それを見極めるために、少しずつ書いていこうと思います。

出没地 近所の公園
趣味 散歩、言葉遊び、親しい友人とのお酒
職業
性別 男性
将来の夢 世界中を旅して色々なものを見てみたいです
座右の銘 「If you cannot do what you imagine, then what is imagination to you?」

投稿済みの記事一覧

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都会における彼の失恋について

16/01/17 コメント:0件 雲原 拓 閲覧数:835

 僕の度重なる失恋の話はもう何度もした。聞き飽きただろうから、今回は僕の友人の失恋の話を書きたい。話を進めやすくするために彼の名前を出すべきなのだろうけれど、この物語の登場人物は少ないことだし、匿名で書き進めさせてもらう。彼は物静かな男で、あまり多くを語らない、。それに、彼は孤独癖を抱えている―少なくとも僕はそう思っている。職場で仕事をしている時だけをみていれば、同僚たちとはうまくやり、上司などに・・・

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エストレージヤ

15/09/12 コメント:0件 雲原 拓 閲覧数:939

 人の少ない寒い地方の、ある静かな夜の物語である。
 珊瑚の欠片であったものが深海に沈んでゆくように、藍色の空から白く薄いものがひらひらと落ちてくるのを、エストレージヤは建物の内側から眺めていた。初雪であった。どこまでも黒々しい曇天の空から落ちてくる雪は、晴れた日の夜空の星たちがいっせいに舞い落ちてきているような幻想的な様子を彷彿とさせた。エストレージヤは窓を開け放して冷たい空気が入ってくる・・・

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向かい風

15/01/25 コメント:2件 雲原 拓 閲覧数:1002

 彼女は滑走路をずっと見つめていた。長い滑走路の端から巨大な飛行機が動き出し、やがてスピードをあげて飛び立ってゆく。大きな翼がしなって、旅客機の巨体が持ち上がるたびに彼女は少しだけ目を輝かせる。表情は変わらないのだが、目だけがすこし輝くのだ。おそらくは彼女すらその輝きに気づいていないだろう。展望台の反対側から見ていて、ぼくは彼女の事を、美しい人だ、と本能的に感じた。きっと年は三十かそこいらのはずだ・・・

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河原、煙、その他の幻想

14/12/06 コメント:0件 雲原 拓 閲覧数:1340

 このごろ退屈だったので、みんなで学校をサボることにした。もちろん、私から直接そういう事を言ったわけではない。まずはプライドが高い紗世っちに電話をかけて、「学校前の駅を降りずにもう少し言ったところの駅で降りて、川沿いに行くと古い、もう使われていない火力発電所があるらしいんだ」という情報を会話の中でさりげなく流すところからはじめた。一週間前のことだ。彼女は面白い情報は全部自分だけのものにするから、こ・・・

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冬の旅

14/11/30 コメント:2件 雲原 拓 閲覧数:981

 冬って寒いからいやだな。なんて、満月を見上げながら思ってしまう。ここは人もまばらな郊外の駅。ちょうど、やたらに翼幅の広い飛行機が薄青色の空を横切って行った。いつもこの空を見上げている気がするけれど、あんな飛行機を見るのは初めてだと思う。綺麗なものを見ると、あの子のことを思い出す。高校時代。もちろん、女の子。柚花。
 自分に対してため息が出る。もう大学に入って一年が経とうとしているのに、俺は・・・

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タブラ・ラサの道

14/11/16 コメント:0件 雲原 拓 閲覧数:940

 雪に薄く覆われた道を、しっかりとした毛皮のブーツで踏み込むと「ギュッ」という事がする。この旅の最初の一歩はそうやってはじまった。特徴的な音だから、今でも鮮明に思い出せる。ここの雪はマインツと違う。似た音を出すけれど、違う雪であると思える。でも、ここまで来てしまった事に後悔はないつもりだ。夢を追ってここまできたのだから。
 旅に出ることは怖くなかった。この稼業に入ると決めたときから分かってい・・・

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いたずらっ子達

14/11/02 コメント:0件 雲原 拓 閲覧数:870

 俺が運転するトラックは、サーキットに向かって大草原の中のまっすぐ続く道路をひたすらに走っていた。俺が運転しているのは二人で乗れる軽トラだが、すぐ後ろには大型トラックが、その後ろにはミニのバスが続いている。全部、俺らのレーシングチームだ。後ろの大型トラックの中にはレースで使うマシンが、バスにはチームのエンジニアや整備員たちが乗っている。俺たちの軽トラには、代えの部品などの細々したものが載せられてい・・・

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ハムスター(たち)

14/10/19 コメント:0件 雲原 拓 閲覧数:1010

 「三秒ルールとその適切な運用については、古くから学者たちの議論の的となってきた。特に落とした場所による秒数の変化や、『落とす』という行為以外への適用など…」
 本を閉じて考える。私だったらこんな三秒ルールをつくるだろうか。
「三晩つづけてあの人のことを夢に見たら、告白しよう」
 
 でも三日連続で夢に見たとしても、告白なんて私からは絶対にできないわ、とも思う。今日だって、・・・

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星々に囲まれて

14/09/27 コメント:2件 雲原 拓 閲覧数:996

 草原よりもあったかくて、雪原よりもやわらかい。太陽からの光を反射して眩しいほどの一面の白い雲の大陸。彼と彼の飛行機はその雲原のすぐ上を音もなく航行している。
「大気圏内航空機の単独での最長飛行時間」 彼はそのギネス記録の保持者だ。古い記録はもうとっくに塗り替えて、今はひたすら記録を伸ばす日々。
 雲の上というのはとてつもなく広く、そして大体いつも平穏である。都合上、時にはどこかの国の・・・

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母の紅茶

14/09/20 コメント:3件 雲原 拓 閲覧数:974

 目が覚めると陽はもう高く上っていた。もう昼だろうか。でも、この国では今は白夜の時期だから、もしかするとまだ夜中かもしれない。視界の中に時計はなくて時刻はまるっきし分からなかった。僕はベッドの横の呼び鈴を強く引いて、もういちど顔を枕に押し付ける。

一昨日の水曜日、パパが死んでしまった。明け方にパパの会社から第一報が入った。僕は事情がよく分からないまま学校を休み、ずっとテレビを見ていた・・・

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パスタが好きな僕の友達

14/08/24 コメント:4件 雲原 拓 閲覧数:1046

僕が詩人と出会った頃の話をしよう。有名な詩人だから、君も彼を知っているかもしれない。彼の処女詩集『詩人は墓場へ向かう』は文壇で大きなニュースになったし、彼自身も何度かテレビに出演したりしたから、彼の、ロングヘアーで顎のあたりにすこしだけひげを生やした特徴的な顔は君もきっと見たことがあるのではないだろうか。でも、僕が彼と出会ったときは、彼はまだひげを生やしてはいなかったし、ロン毛はくくって後ろで束・・・

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