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くにさきたすくさん

電子ショートショート作家 blog:http://taskuni.hatenablog.com/ twitter:https://twitter.com/taskuni
出没地 | ショートショート研究会 |
---|---|
趣味 | ショートショートを書くことくらいしか…… |
職業 | |
性別 | 男性 |
将来の夢 | |
座右の銘 |
投稿済みの記事一覧
1
夢の精
15/09/19 コメント:2件 くにさきたすく 閲覧数:1189
夢の中で、ミサキはテレビを見ていた。
日曜早朝のアニメだ。
夢の力で構築されたのは、どこかで見たことがあるような無いような美少女戦士たちのアニメ。
ミサキ自身も幼少の頃、彼女たちの様な戦士に憧れを抱いていた。大人になったらああなりたいと本気で考えていた。
テレビの中でカラフルな装束をまとった勇気あふれる美少女たちが、ヘイトス国の王子ゾウオージ率いる悪の軍団と戦って・・・
2
それはまた別のお話
15/08/19 コメント:4件 くにさきたすく 閲覧数:1413
康平はアパートの玄関の扉を開け、外へと一歩踏み出した。
高い太陽の日差しを浴びながら歩道を進む。買ったばかりのワイシャツは少し襟が固い。
空いた手でネクタイを少し緩めた。
康平は駅までの途中、自動販売機でコーヒーを買った。考え事をしていたこともあってか釣銭を取り忘れ、そのまま駅へと向かった。
残された釣銭は、その後やってきた少年に見つかった。少年はこういう所にたま・・・
1
名もなき掃除人
15/07/12 コメント:2件 くにさきたすく 閲覧数:1293
彼は名もなき掃除人。
一コマ一コマ黙々と掃除をこなす。
現在担当している作品は『おたけび探偵シャウト』
彼が今まで経験した中で一番厄介な現場である。
もちろん殺人事件に使われた巧妙なトリックも厄介だが、それは彼の仕事ではない。
主人公のシャウトが、事件に関わった人間を洋館の大広間に集め、神妙な面持ちで次のコマを待っている。
このような場面では掃除人・・・
1
みんな羽がある
15/06/19 コメント:0件 くにさきたすく 閲覧数:1352
あなたは動物園にやってきました。
あなたの他に客はいませんでした。
あなたがまず見に行ったのはゾウです。
ゾウはものすごく体が大きいです。
鼻が長いです。
そして、羽があります。
ゾウは羽をパタパタと動かして、どこかへ飛んで行ってしまいました。
次に見たのはキリンです。
キリンはすごく背が高いです。<・・・
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エドルのハナシ
15/06/14 コメント:0件 くにさきたすく 閲覧数:1308
「確かに江戸時代の言葉を勉強しろと言ったのは事実だが……」
小林は心を落ちつけようと煙草に火をつけた。
吐き出す煙の向こうには、日野ヒカリが曇りのない目を小林に向けて座っている。
彼女の努力を買ってやりたいという気持ちが小林の語気を弱めていた。
まだヒカリは若い。ここできつく言って泣かれても困る。周囲の目も気になる。喫茶店で若い女を泣かせる男。そんな風に見られるのも・・・
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テストの時間
15/05/30 コメント:2件 くにさきたすく 閲覧数:1286
「文章をよく読んで、答えを書いてくださいね。それでは始め」
先生の合図で、子供たちは一斉にテスト用紙を裏返しました。
たけし君は、テスト用紙を見てこう思いました。
「なあんだ。これなら楽勝だ」
テスト用紙には『かけ算の答えをマスの中に書きましょう』とあります。
問題はひとけたのかけ算。
全部で20問ありました。
1問につき5点です。
1
読書感想文の書き方
15/05/26 コメント:0件 くにさきたすく 閲覧数:1883
夏休み最後の夜。明日からまた学校です。
小学二年生の健太君は、久しぶりにみんなと会えることに心を弾ませていました。
しかし準備を整えていると、大変な事に気が付きました。宿題がまだ残っていたのです。
読書感想文です。
夏休みの最初に終えた計算ドリルの間に、真っ白な原稿用紙二枚が挟まっていました。
「大変だ!」
叫んだところでどうにもなりません。・・・
5
海耳
15/05/16 コメント:6件 くにさきたすく 閲覧数:2560
「大丈夫だよ。もう慣れた」
息子はぶすっとしている。小学校に上がったばかりだから仕方のない事なのかもしれないが、母親としては気が気じゃない。
「何を言っているの。重い病気だったらどうするの? 耳が聞こえなくなってもいいの?」
「でも何か怪しい」
「変なこと言わないの。やっと見つけたお医者さんなんだから」
私は息子の手を引いて古びた木造家屋の扉を開けた。
4
ブラザーズテイル
15/04/22 コメント:10件 くにさきたすく 閲覧数:1659
俺に何の用だ?
ああ、オオカミなら確かに俺ん所に来たぜ。でかいのなんのって。吐く息もすげえんだ。家はわらで適当に作ったもんからすぐに吹き飛ばされちまった。
普段なら返り討ちにするところだが、あいにくその日は寝起きでな。目がまだぼやけてたんだ。ちょっと不利だ。ただ俺も足には自信があるんだ。オオカミにだって引けを取らないぜ。だから、かろうじて窮地を脱することが出来た。
そして・・・
3
名・武将
15/02/21 コメント:6件 くにさきたすく 閲覧数:1275
「どうした? 深刻な顔をして……」
同僚の教師が、話しかけてきた。
私はデスクに向かってじっと一点に集中していたが、肩に手を置かれてはっと我に返った。振り返ると同僚が入れたてのお茶を片手に微笑んでいる。
「なんか悩み事があるなら相談しろよ。俺たちは『魚と水』だろ?」
「いや、大したことじゃない。もしかしてこの『龍』もそうなんだろうか、と……」
クラス名簿を見なが・・・
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タイム・ストップ・ムーブ
15/02/07 コメント:0件 くにさきたすく 閲覧数:969
なにしろ彼にとって初めての経験だったのだ。
こんなに思い悩まされるとは予想していなかった。
明日になればまた時間は動き出すと分かっている。しかし、気分は落ち着かない。この停止した時の中で、彼は必死になって時を進めようと抗っていた。
彼は椅子に深く腰を掛け、目を閉じ、頭の中で時を進める。
その思考イメージは、複雑で難解だ。常人には理解し難い。筆舌に尽くし難い。どうに・・・
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ラムネの秘密
14/07/14 コメント:0件 くにさきたすく 閲覧数:1360
僕は走ってその屋台までたどり着いた。
氷が浮かぶ冷たい水で満たされた水槽の中には、僕にとっての宝物が沢山並んでいた。汗と共に握りしめていた百円玉を差し出す。店主は宝物に付いた水滴をタオルで拭い、僕に渡した。
ラムネだ。
手に入れた宝物を大事に抱え、人通りの少ない脇道へと急いだ。一人きりで楽しみたい。浴衣を振り乱しサンダルをパカパカと鳴らしながら、祭りの喧騒を抜ける。
1
アイドルは度胸
13/09/27 コメント:2件 くにさきたすく 閲覧数:1717
アイドルのオーディション。
書類審査を通った数十名の少女たちがこの面接に参加する。緊張の面持ちで廊下に列をつくり待機している。
面接の行われる無機質な部屋の中では、一人の中年の男がパイプ椅子に腰かけて、脇の机の上にある書類に目を通していた。
「次の方〜」
男がドアに向かって野太い声を投げると、少女が一人入ってきた。
アイドルを目指すというだけあって、ルックス・・・
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アイドル釣り
13/09/25 コメント:0件 くにさきたすく 閲覧数:1379
広く静かな海原。
小さな船の上。
アイドル専門スカウトマンの俺は、噂に聞いたアイドル漁場に来ていた。
俺は船から身を乗り出して海面を覗き込む。噂が本当ならここにとんでもない大物がいるはずだ。
最近では大きな網を使い、根こそぎさらう方法が主流らしい。一度に大量のアイドルを捕獲する方法が悪い訳ではない。その中には逸材が紛れている場合もあるだろう。しかし、俺のスカウトの・・・
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罵詈雑言
13/07/18 コメント:3件 くにさきたすく 閲覧数:1736
女は椅子に腰かけたまま怒鳴った。
「この無能が!」
デスクを挟んだ向こう側に小太りの男。椅子は用意されているが座ることは出来ず、棒立ちのまま目線を落とし、震えている。
「そのたるんだ腹は何だ! 自己管理のできない奴に仕事なんかできるか!」
女がだん!とデスクを叩く。その怒りの音に、男は大きな体をびくつかせる。
女は席を立ちデスクの前にまわる。男の目の前で腕を組・・・
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ピックアップ作品
俺はエヌ子の憂鬱そうな顔に気が付いた。
エヌ子は黙り込んで一点を見つめている。
「…………」
「どうしたんだ? さっきから黙り込んで。ブルー入ってんの?」
「…………ん? 何?」
「いや、ブルー入ってるのかなと思って」
「そんなことないよ。元気元気。ちょっと考え事をしてただけ」
エヌ子は笑った。
なんだ。明るいじゃないか。
「…………そ・・・