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鹿児川 晴太朗さん

(前略) (中略) (後略)

出没地 加古川
趣味
職業 広告・出版業
性別 男性
将来の夢
座右の銘 沈黙は金、雄弁は銀

投稿済みの記事一覧

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海を失った男と、空を持たざる女

14/12/07 コメント:1件 鹿児川 晴太朗 閲覧数:2387

 目先の利益に釣られて、大荒れの海に船を出したのが運の尽き。
 俺の人生は、風に打たれ波に砕かれた船ともども、転覆した。

 ――。

「これが呑まずにいられるか」

 意識は朦朧とし、胸には吐き気のみが溜まってゆく。
 しかし、それでも酒を呑まずにはいられない。
 吐瀉物の代わりに口を衝いて出るのは、悪態、雑言。

「それぐらいに・・・

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ダークヒロイズム

14/11/24 コメント:0件 鹿児川 晴太朗 閲覧数:1014

 小さい頃、「正義の味方」に憧れた。
 助けを求める人の前に颯爽と現れ、悪者を打ち倒す理想のヒーロー。
 少年の普遍的な憧憬であり、それは別段珍しいことではない。
 ただ、俺の場合は少し違って、その憧憬を中々捨てることが出来なかった。

 小学校の同級生に、ある男の子がいた。
 彼はとても内気な性格で、運動は苦手、かといって勉強も得意というわけではない。
・・・

3

死刑執行

13/07/06 コメント:4件 鹿児川 晴太朗 閲覧数:3009

「おはようございます、所長」

 制服姿の若い男が、少し憂鬱な表情で根岸に挨拶をする。

「なんだ。辛気臭い顔して」

「この仕事をしてて平然としてられるのは、所長ぐらいのものですよ」

「お前は胆力が足りないんだよ、平沢。まあいい。巡回の時間だ」



 拘置所内・死刑囚舎房。
 毎朝九時になると、管轄の刑務官たちは肩・・・

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どこかへ消えたいちごゼリー

13/06/21 コメント:7件 鹿児川 晴太朗 閲覧数:2552

 四時間目の終了のチャイムとともに、クラス一腕白な太一が声を挙げた。
「きょうの給食、なにが出るかな!」
 すかさず委員長の有紀が答える。
「ごはん、牛乳、春雨スープ、八宝菜、……そしていちごゼリーよ」
「いちごゼリー!」
 五年一組の教室中の男子一同が、有紀の答えを聞いて歓声を上げる。
「そう、いちごゼリー。今日は入学おめでとう献立だから」
「いらない奴・・・

7

幽霊アカウント「404」

13/06/06 コメント:7件 鹿児川 晴太朗 閲覧数:2279

 面白い噂話を聞いた。
 スマホのとあるアプリでID検索欄に「AR7430U」と入力すれば死んでしまった人のアカウント、「404アカウント」に辿り着くことができるらしい。そして404と話す際には一つのルールがあるらしい。

 ――404の質問には正直に答えなければ、あの世へ送られる。

 実際に404にメッセージを送ってそのルールを破ったために大変な事故にあった、ある・・・

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看板娘の「フライ麺」

13/05/25 コメント:4件 鹿児川 晴太朗 閲覧数:1459

 大学を終えて図書館に寄った帰り道のことだった。
 いつも通っている見慣れた道のはずなのに、僕の目に新しい奇妙な幟旗が立てられているのが目に入った。若草色の下地に、太くて黒い文字でデカデカとこう書かれている。

「看板娘はじめました」

 狂ったのは僕の方か、あるいは世界の方か。
 そんな取り留めのないことを数十秒考え込んだ末、その幟旗の奥に「燦々亭」という看板・・・

1

新触感のエンターテイ麺トォ!

13/05/25 コメント:4件 鹿児川 晴太朗 閲覧数:1506

 玲二は自殺を考えながら通りを歩いていた。
 恋人であった篤子との間に埋めがたい価値観の違いを見つけ、別れることになってしまったからだった。
 玲二は「塩派」で、篤子は「味噌派」だったのだ。
「たったそれだけのことで」と思うかもしれないが、食の争いは時に熾烈を極める。現に「きのこ派」と「たけのこ派」の争いでは数多くの死人も出ているのだから、食の好みによって袂を分かつのは仕方がない・・・

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老いてもなお虎

13/04/25 コメント:9件 鹿児川 晴太朗 閲覧数:2566

 相方の上原が、就職を機にアルバイトを辞めることになった。
 そして、その代わりに店長が連れてきたのは、どう見ても定年を過ぎた男性だった。




「前にも教えたと思うんですけど、弁当を温めるときはソースを外してくださいね」

「そうやったな、すまんすまん」

 口では謝罪を述べつつも、反省の色無しという具合に笑顔で応じる赤松さんを見てい・・・

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止まった時を動かす神

13/04/16 コメント:2件 鹿児川 晴太朗 閲覧数:1761

 こないだの定例会で、「縁結びの神」の野郎が実に舐め腐った提案をしやがった。

「――昨今の神界の怠惰は目に余る。いま一度自身の責務を精確に果たすため、これからは報告書の提出を義務化することとする」

 全くもって馬鹿げてやがる。阿呆の極みだ。
 俺から言わせればこうだ。神々の怠惰を嘆く前に近年の人間界の離婚率を鑑みて、まずはテメエの仕事をきちっとしてから物申せ、って・・・

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「呪いの手紙」

13/04/12 コメント:7件 鹿児川 晴太朗 閲覧数:2957

俺はこれまでに手紙を書いたことなど一度もない。
だから書き方など知らない。けれど、書かずにはいられない気分だった。
生まれて初めて書く手紙が、俺を捨てた恋人への「呪いの手紙」だなんて。
ちくしょう、最後まで忌々しい女め。

手紙の出だしは、どう書けばいいんだっけ。
あ、まずは宛名を書かないといけないのか。
よし。「アバズレ女のユキ子へ」と。
いやいや・・・

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甘粛雑技座記

13/03/20 コメント:2件 鹿児川 晴太朗 閲覧数:1564

 中国雑技団を筆頭に、上海雑技団、広州雑技団など、名のある雑技団が勢力を振う中国。
 そんな中でも新興の甘粛雑技座が、何か目玉になる見世物はないかと団員総出で東奔西走していたところ、とある団員から「珍しい虎を捕獲した」との報せが袁座長の下に届いた。袁は大いに喜んで、団員が虎を連れ帰るのを心待ちにした。
 袁の耳に報せが入ってから十日後、いよいよ甘粛雑技座に虎が迎え入れられた。
 ・・・

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