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池田Kさん

酒と煙草と書籍と男で構成されています。

出没地
趣味
職業
性別 女性
将来の夢
座右の銘

投稿済みの記事一覧

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南無阿弥陀仏

13/01/19 コメント:0件 池田K 閲覧数:1521

 幼年期の自分を振り返るとき、決まって付き纏う苦さがある。
 私は手の掛からない、我儘を言わない子供だった。

 父方の祖父母がまだ東京に住んでいた頃、近所にあったという寺が我が家の菩提寺である。その寺が当時経営していた幼稚園に父や叔父達を通わせていたこともあってか、かなり懇意にしていたようだ。毎年正月と盆の墓参りには親族揃ってお経を上げてもらいに出掛けるのが当たり前だったし、祖・・・

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自主休講

13/01/07 コメント:2件 池田K 閲覧数:1548

 薄い壁を隔てた廊下の向こうで、複数の足音と囁き交わす声が聞こえた。
(――見回りだ)
 優雅な午後のひとときを思う様享受していた私は、その瞬間弾かれたように立ち上がった。物音を立てないよう細心の注意を払いながら、我が巣たる歴史研究会の部室ドアに張り付く。
 まさかこんな時間に、という思いが先に立った。最も危険な二限と三限の間に何事もなかったことで油断をしてしまっていたのだ。事前・・・

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雀の春

12/12/24 コメント:6件 池田K 閲覧数:2746

「あ〜ァ、おやじさんすっかり出来上がっちまッて」
「振る舞いの屠蘇で潰れるなんざァお客だったら有難いね」
 常なら反り合おう筈もない新造も遣手も、席を同じくして姦しい。禿どもは駆け回るし、若い衆もどこか肩の荷を下ろした風情で散らばっている。最前潰れた楼主もおかみさんも、眉間の皺が伸びて少しは若返って見える。
 正月一日は、吉原の数少ない休日だ。大門を閉め切った廓内に、普段とは違っ・・・

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サトゥルナリア

12/12/09 コメント:2件 池田K 閲覧数:1814

 街は狂騒に満ちている。一年で最も日の短いこの時期、農耕神サトゥルヌスはユピテスの封印を解かれ、人々は祝祭に明け暮れる。全ての仕事を休み、奴隷も主人も入り乱れて贅沢な料理を食い散らかす。おかしな色合いの衣を身に纏った老若男女がそこかしこで奇声を上げる。あらゆる禁忌は打ち捨てられる。
 テルティウスは、自分が何故祭りの王に選ばれたのかをよくわかっていた。行使を許された一週間限りの権力を、しかし・・・

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