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朱緒さん

受験生。 ゆれやすい年頃だって自覚はあります。
出没地 | |
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趣味 | |
職業 | |
性別 | 女性 |
将来の夢 | 小説家か学者 |
座右の銘 | 人間臭い人間でいいじゃないか |
投稿済みの記事一覧
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箱庭
12/10/10 コメント:0件 朱緒 閲覧数:1638
テレビが嫌いだった。
箱の中に一つ目の穴のようにぽっかりと開いた黒い画面が嫌いだった。外国でテレビを皮肉っていうと、一つ目のモンスターになるらしい。それを聞いたとき、なんてこの物質に似合う名前だろうと思って少し笑った。
「みき」
母の声に黒い画面から顔を上げて立ち上がる。母は料理の盛り付けられたお皿を手にしてわたしをあきれたように見つめていた。
「テレビばっかり見てる・・・
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閉じ込められたと気がついたのは、もう本当に間抜けすぎるけれど、四階になってチーンと間の抜けた音がしたときだった。この扉ひとつ開け、ちょっと歩いてもうひとつ扉を開ければあったかい我が家が待っている状態なのに、扉は無表情にわたしの前に立ちはだかっている。
「ふむ」
こういうときの対処法は、何も考えずに連絡用のボタンを押すことだった。管理人さんがいる時間だとかそういうことも一切考えずに、・・・