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検索結果

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3

森に住むペンギン

12/11/28 コメント:11件 そらの珊瑚 閲覧数:3111

 生き物は進化の途中で選択をする。その結果、何かを得る。それは同時に別の何かを手放すということでもある。
 生きていくとはそういうことであろう。
    ◇
 深い眠りから覚めた気分だった。覚醒してみれば世界の狭さに辟易する。出してくれよ、ここから。どうしたって、どんなことをしたってここから出なくちゃならない。うかうかしていると取り返しのつかないことになっちまう。
 ボクは・・・

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気持ちよく酔った夜、かれらは

12/03/21 コメント:0件 W・アーム・スープレックス 閲覧数:3111

アキラはとなりの男性客をちらとうかがった。

カウンターに彼がついてすぐ、その客が座った。
ひじとひじがふれあう間にいながらふたりは、しばらくのあいだだんまりをつづけた。
このきまづい沈黙から解放されようとおもってアキラは、グラスの酒を空けた。2杯、3杯………
みると、となりの客もおなじように、アルコールを流し込んでいる。

そのうちふわふわした気分になっ・・・

11

夢を叶える空港

15/01/23 コメント:12件 草愛やし美 閲覧数:3110

「じいちゃんは日本の田舎で米作ってます」
 そう言おうと思ったが強張った口から声が出てこない。頭の中が真っ白で、Grandpaしか出てきやしない。とにかく、気持ちをわかってもらわなくては。ここしかないんです──I do my best here!

 つい数日前の僕はニートだった。地方とはいえ、国立大学を卒業したのに何度目かの公務員試験に失敗。そこから悶々とするニートの日々が始ま・・・

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現実的な異世界譚

15/03/09 コメント:8件 るうね 閲覧数:3108

 将来、何になりたい?
 そんな質問に、子供の頃の僕は必ずこう答えていた。
 ――異世界に行って勇者になりたい!
 当時読んでいた漫画やゲームの影響だとは思うが、まあ幼い回答である。
 それでもあの頃は、本気でそう思っていた。
 自分は大人になったら異世界に行って、勇者になるのだ、と。
 だが、いつしかその夢も薄れ、小学校を卒業する頃には、現実の中に埋没してしま・・・

1

キズ持つワタシ

12/04/04 コメント:4件 かめかめ 閲覧数:3107

私の部屋には、一本の木の棒がある。

長さ160cm、幅15cm、厚さ3cm。

この棒は、もとは弟の部屋にあった。




弟は、私が7歳のときに、突如、あらわれた。

7年間、一人っ子としてあまあまと甘やかされた私にとって、弟は私をおびやかす、
敵だった。

それでも、生まれてからしばらくの間は、私も弟をかわい・・・

2

大雪山伝奇 雪女と雪ん子

12/10/13 コメント:8件 草愛やし美 閲覧数:3102

 雪ん子は雪女の娘、雪女が愛した男との間にできた子。だが、彼女が愛した男は人間だった。素性を知られた雪女は愛する男の元を去らねばならなかった。
 雪女は北国に聳えるふるさと大雪山に戻り赤子を産んだ。大雪山は雪神の支配する国があった。雪女の父でもある雪神は雪を操る雪族の当主だ。雪ん子と名づけられたその娘は、人間にも雪族にも属さない子ゆえ、そこに住むことは叶わない運命にあった。雪女は、生まれてす・・・

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竜宮名古屋城

13/05/09 コメント:4件 yoshiki 閲覧数:3102

 名古屋、名古屋と考えながらベッドに入るとその晩、すごい夢を見た。なぜ名古屋を考えたのかと言えば、今回のテーマは【名古屋】だからに他ならない。
 ――見た夢とはこうだ。
 まず私は日本晴れのいい天気の下、天守閣にいる。城はむろん名古屋城だ。そして眼下には、なんと素晴らしい眺望であろう。土手に桜が咲き乱れ、お堀に花びらを散らせている。水面は空の青をより鮮明に映している。
 そして…・・・

6

雛の日

13/02/28 コメント:6件 草愛やし美 閲覧数:3101

 雛の日が、巡ってきた。一人娘、雛の生まれた日だ。だが、今年の雛の日に、娘はいない。僅か十歳で逝ってしまった。長く生きることが叶わないとわかっていた……そのはずだった。だが、この空しさはどうすることもできなかった。胸が痛く、心は空っぽだったが、それでも、何とか耐え、私は生活していた。
 去年の雛の日、私たち夫婦は、病院から雛を連れて帰った。雛人形が飾られている居間を見た雛は、たいそう喜んだ。・・・

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新しい人

13/05/20 コメント:17件 そらの珊瑚 閲覧数:3101

 都会から電車を二つ乗り継いで、僕は君のいる郊外の施設へ向かっている。電車はとても正直だ。大体において時間通りに来るし、目的地を見失うことなく、連れていってくれる。嘘の欠片もない、正直者なのだ。

 そして僕はといえば、また今日も嘘をつくだろう。新しい人、として。

 結婚してから三十年。とうとう僕らは子供を授かることが出来なかった。
 不妊治療も何度かしたが、君の肉・・・

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へたれ新婚さん奮戦記

13/05/17 コメント:14件 草愛やし美 閲覧数:3100

 新婚旅行から帰って、すぐ月曜日が来て相方が新居から会社へ出かけた。いよいよ本当の新婚生活が始まったのだ。相方の帰宅時間に合わせて夕飯を作る。初めての夕飯のメニューは、ハンバーグ、相方の大好きなメニューと聞いて決めていた。大きなハンバーグをこねこねしてハート型にまとめる。焼き加減や付け合せなど細心の注意を払いかなりの時間をかけて作った。
 焼いている間に、どんどんハンバーグは膨らみ、ハートな・・・

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新宿ジュース

12/03/18 コメント:0件 W・アーム・スープレックス 閲覧数:3100

陽子が頭上を見上げたのはなにも、ビルとビルの間にのぞく茜色の空をながめたかったからではない。
どの建物がもっとも、飛び降りるのにふさわしいだろう。非常階段はすんなり屋上までつづいているのだろうか。
ここにくるまで、死ぬことはもっと、簡単なはずだった。屋上のふちから身を躍らせば、すべて完了すると思っていた。
しかし、それが思いのほか進捗しなかった。
どの建物の周囲にも、警備員・・・

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ドリアン   (1998文字)

13/03/09 コメント:6件 鮎風 遊 閲覧数:3096


「高見沢君、ちょっと頼みがあるんだけどなあ」
 正月も明けたある日、高見沢一郎は上司の花木部長に話しかけられた。
「なんですか?」と問うと、「君なあ、一週間ほどマレ−シアに出張するだろ」と部長がニヤリと笑う。
 確かに支援要請を受け、出向くことになっている。高見沢が「はい」と答えると、コテコテの関西弁で花木部長がほざいた。
「ホンマのことや、俺まだ……ドリアン食べた・・・

4

僕は探偵、塩眞三朗 (しおまさぶろう)

13/06/23 コメント:8件 鮎風 遊 閲覧数:3095


 街路樹の柔らかな木漏れ日、その中をしばらく歩くと探偵社があります。そう、僕は塩眞三朗と申します。
 この自然豊かな町で生まれ育ち、一応一端の探偵になることができました。その恩返しにと、町の人たちの難題を解決するため探偵として日夜奮闘してます。
 それを評価して頂いているのか、依頼が多く、ホント身がすり切れるほど毎日が忙しいです。
 そんな僕を見て、町の人たちは冗談ぽく、・・・

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『3』の欠落     (1998文字)

13/04/26 コメント:2件 鮎風 遊 閲覧数:3089


「ちょっと何か変だなあ」
 高見沢一郎はこんな独り言を吐きながら、単身赴任のアパートへと帰って来た。
 初夏の熱が籠もった部屋。まずはヨタヨタと冷蔵庫へと歩み寄り、冷え切った缶ビールを取り出す。そして命蘇生のために、グビグビと。
 とりあえずこれで一息入れて、後はパソコンの前にドサリと座り込んだ。そして「おかしなことが」と一人小首を傾げる。

 それはオフィス・・・

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葵祭と教授たち

12/04/30 コメント:0件 松定 鴨汀 閲覧数:3088

 ある年の葵祭の日、京都工芸繊維大学の教授は講義がはじまるなりこう言った。

「皆さんの多くは、京都にきてようやく2ヶ月目ですね。今日は本当に京都らしい伝統行事がありますから、京都の大学に来た醍醐味を味わいに行ってください。講義は以上!」
 そして学生が歓声をあげながら去っていくのを見届けると、自身の研究をしにラボへ戻っていった。



 同じ頃、立命館大・・・

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【 天孫降臨 】御一行

14/10/06 コメント:12件 泡沫恋歌 閲覧数:3086

 これは昔々の神話の世界、登場するのは日本の神々です。

 高天原(たかまがはら)というところに神様たちが暮らしておりました。一番偉いのは太陽神の天照大御神(あまてらすおおみかみ)という女神です。弟は須佐之男命(すさのおのみこと)といいますが、暴れん坊で乱暴狼藉の限りを尽くします。そのせいで姉のアマテラスは天岩戸(あまのいわと)に隠れてしまいました。太陽を失い世界は真っ暗闇になり、邪悪・・・

1

黄金色の町

12/07/09 コメント:2件 汐月夜空 閲覧数:3085

 ――お前みたいに良い自転車に乗るとやっぱり気持ちいいのか、って?
 そりゃ違えよ。別にオレは自転車本体にこだわりがあるわけじゃねえんだ。
 オレはただ、遠くに行きたいから自転車に乗るんだ。
 遠くに行きたいなら自動車があるだろって?
 はっ、あんた、分かっちゃいねえな。自転車だから良いんだよ。
 ペダルの一漕ぎ一漕ぎが、前への推進力となる充実感。
 後ろを振り・・・

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水底で、両手いっぱいの野ばら

14/10/26 コメント:12件 クナリ 閲覧数:3082

死体そっくりに育つ野ばらの話を、聞いたことがあるだろうか。
使用人の息子だった僕を、領主の娘のマルエルがこっそり庭園の片隅へ連れて行き、その野ばらを見せてくれた時、僕らは十三歳だった。
マルエルは、知り合いの魔女から教えてもらったのだと言って、壊れた石垣の付け根から伸びる、その野ばらを指差した。
なお、僕はその魔女とやらを見知っていたが、ただの変わり者の老女である。
野ばら・・・

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ナリヒラの夢

16/09/05 コメント:8件 黒谷丹鵺 閲覧数:3080

他人は僕の容姿をうらやむ。
僕の出自をうらやむ。
歌の才をうらやむ。
帝のおぼえめでたきこともうらやむ。

しかしながら僕は僕自身の汚らわしさを厭うていた。

欲望のままに僕を愚弄するもう一人の僕。
心にもない甘い言葉を紡いで女房や姫君を口説き、身も心も根こそぎ喰らい尽くして屍のようにしてしまう。
そのあいだ、僕は閉じこめられて震えながら僕の所・・・

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子別れ

14/11/19 コメント:11件 そらの珊瑚 閲覧数:3078

 彼女は生まれたばかりの命をそっと抱きしめて眠っている。

 去年は、命を産み出すことは出来なかった。それは自然の摂理だ。受精卵を孵すか、孵さないかは、母体の栄養状態によるところが大きい。

 去年はすべてのものが足りなかった。雨が少なかった乾いた森は、秋になっても木の実が極端に少なかった。通年だったら遡上する鮭で、川が埋まるほどであるのに、去年は一日待っていても、せいぜい・・・

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幻のオリンピック

12/08/29 コメント:0件 高橋螢参郎 閲覧数:3076

1980年5月。俺の最後の夏は始まる前から終わりを告げられた。
ソビエト連邦のアフガニスタン侵攻を受け、西側諸国はこの夏のモスクワオリンピックをボイコットした。アメリカの子分である日本もその例には漏れず、俺の100m走代表選手の内定は事実上取り消された。
それでも俺は、今日も市営グラウンドの端っこで独りウォーミングアップを続けていた。腿を上げ、腱を伸ばし、少しでも速く走るというその一点・・・

2

一番人気

12/11/26 コメント:2件 W・アーム・スープレックス 閲覧数:3073

 サブは窓のそとの、張りついたように動かない星々をながめた。
 じっさいには彼のいる宇宙都市は時速数万キロの速度で惑星のように円運動しているのだが、広大無辺な宇宙のまえには、そんな数字はゼロにもひとしかった。
「サブ、なにぼんやりしてるの。もうじき新年があけようとしているのよ」
 やわらかな声とともに、背後から母親がちかづいてきた。その横には、妹のモモがたっている。
「わあ・・・

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戯曲 バレンタインデー殺人事件

13/01/22 コメント:13件 泡沫恋歌 閲覧数:3069

夕焼けに赤く照らされた放課後の教室。
中央に机と椅子が置かれている。うつ伏せて学生服の男が死んでいる。机の上には丸いアーモンドチョコレートが散乱していた。
三人の女生徒たちが死んだ男の周りを囲うように立っている。

女生徒たち:キャー! 
 悲鳴をあげる。その声に舞台の袖からインバネスコートに鹿撃ち帽を被った探偵が現れる。
探偵:みなさん、落ち着いてください!<・・・

1

不徳な回帰

12/10/05 コメント:2件 鮎風 遊 閲覧数:3068

「課長、ちょっと困ったことがありまして……」
 部下の山路が朝っぱらから泣きついてきた。花木忠蔵はまたクレームの話しかと思い、「まずは落ち着けよ。で、どうしたんだよ?」と上司らしく聞き返した。すると山路は、今度は首をひねりながら伝える。
「実はアルバイトの変若水(おちみず)が……突然消えてしまったんですよ。どうも失踪のようでして」
 朝一番からこんな報告を受けた花木、「うーん」と・・・

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わたしは罠にかからない

15/08/05 コメント:6件 梨子田 歩未 閲覧数:3068

‐ぽきっ、ぽきっ
 冷凍のインゲンは、少し力を加えただけで気持ちよく折れる。
 朝の弁当作りに冷凍食品は欠かせない。最近では、野菜の冷凍も種類が充実してきて、カボチャ、ブロッコリー、インゲンなどは、お弁当に彩りを添えるのに重宝する。
 お弁当に入れるにはインゲンは少し長いので、解凍前のインゲンを半分に折っていく。
 共働きの我が家では、弁当作りはわたしの役割だ。そういうこと・・・

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三十路目前グラビアアイドル

15/05/04 コメント:2件 夏川 閲覧数:3067

 人生とは時間切れの連続だ。
 納期、待ち合わせ、締切、終電――誰もが時間切れを体験し、積み重ね、そしていつかは人生の時間切れを迎える。
 私も今、迫りくる時間切れと戦っている最中であった。





「ハァ……やっぱ厳しいよ、もう三十路目前だもん」

 真っ白な手帳片手にため息を吐くマネージャー。私は彼を奮い立たせようと肩を強めにたたく・・・

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君の知らない黒歴史

13/07/29 コメント:10件 平塚ライジングバード 閲覧数:3065

ああ、もう何でだろう。自分のことが嫌になる。軽蔑する。
僕の大大大好きな人が隣にいる。それなのに。それなのに。
「体調でも悪いの?」
心配してくれてる。
一言も喋れない僕に、彼女は優しい言葉を投げかけてくれてる。
でも、言えない。
「大腸が悪いんです。」なんて言えない。
「漏れそうなんです。」なんて絶対に言えない。
もう嫌だ。本当に嫌だ。帰る方向が・・・

7

ランドセルを忘れた私

15/04/02 コメント:9件 泡沫恋歌 閲覧数:3063

 薄ぼんやりした、存在感の希薄な子でした。
 貧乏の子だくさん、もう子どもは要らないと思っていた夫婦なのに、残念ながら誕生してしまった五番目の命が私です。
 ご飯さえ食べさせれば、勝手に育つだろう。そんな動物を飼うような感覚で育てられ、物心つく前から上の姉たちのオモチャだった。
 幼稚園は家庭の事情とやらで通園しなかった私は、いきなり小学校から団体生活が始まります。すでに日常が家・・・

2

火祭り

12/06/15 コメント:3件 そらの珊瑚 閲覧数:3061

 再会というものは、どこか運命めいた香りが漂うものである。
 曜子が小椋と再会したのは、高校の同窓会であった。卒業してから二十年もたてば、男女ともそれなりに変わる。スポーツマンでモテていた男の子の頭髪が無残に薄くなっていたり、白雪姫のように美しかった女の子がすっかり太ったおばちゃん風になっていたり。 自分はどう見えているんだろう。
 それを知るのはちょっと怖い気がした。年より若いと言わ・・・

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テクマク・マヤ・コンプレックス

13/10/07 コメント:17件 平塚ライジングバード 閲覧数:3060

ナメクジに砂糖をかけるとどうなるか知っているだろうか。
想像力の足りない人間は、牧歌的な速度で地面を這う彼らに、一つまみでも二つまみでも降り注いでみればいい。
自分が行ったことの残虐さをきっと思いしるはずだ。



「私のことを蛍光ペンでなぞって!きっとあなたにとって大切な存在になるから。」
蛍池ひかりの言葉を合図に、ファン達は一斉に黄色のサイリウムを彼・・・

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象列車

13/06/03 コメント:10件 そらの珊瑚 閲覧数:3055

 名古屋の東山動物園に四頭の象がやってきたのは、みぞれがちらつくそれは寒い冬であった。

 象たちの名前は「キーコ」「アドン」「マカニー」「エルド」という。丁度名古屋に興行に来ていた木下サーカスからもらいうけたのだった。
 象たちとの別れを惜しむ象使いの少女たちは、自分の上着を脱ぎ象にかけてやる。

「元気でね」
「いつまでも忘れないよ」
「今まで、ありが・・・

8

雪鳴り

13/12/16 コメント:14件 そらの珊瑚 閲覧数:3054

『雪は音もなく降っていた』という記述に、この本の作者は雪国を知らないと直感的に思った。雪が降る時ほんのかすかな気配だけの音がするのだ。生まれてからずっと北の最果てと呼ばれるこの街に住み続けている私には分かる。ホントの事なんて当事者しか分からない。私は読みかけのハヤカワミステリの文庫本を閉じた。
「しばれるなぁ」
 駐在のおまわりさんだった。『この顔にピンときたら110番!』顔写真入り・・・

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希望の桜

13/01/09 コメント:11件 草愛やし美 閲覧数:3051

 目の前には海の広がりが見えます。これほどまではるかな水平線を見たのはもっとずっと昔のことでした。

 あの頃まだ私は枝振りも少なく自然花芽も僅かでした。あれから何年経たことでしょう。ごく当たり前のように時代の流れを受け止めてきました。私は、北国の小さなお寺の境内に植えられた桜です。海辺の外れにポツンとあるその寺には優しい和尚様がおられました。土塀ができ私は、海を見ることはなくなりまし・・・

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自転車で駆け抜けた恋

12/07/09 コメント:7件 櫻田 麻衣 閲覧数:3050

 大学生活の4年間を過ごした町は、都会育ちの私にとって驚くほど田舎だった。

 バスは1時間に1本しかなく、電車を使うためにはそのバスにさらに1時間ほどもゆられなければならなかった。交通費だって恐ろしく高額だった。友人の大半は原付か車を所有していたが、当時の私は人生の中でも最大級に貧乏だったのでそれも叶わず、どこへ行くのにも先輩から譲り受けたぼろぼろの自転車を愛用していた。

0

とんかつは和洋折衷

12/06/06 コメント:0件 リンメイ 閲覧数:3049

 摩天楼の立ち並ぶ新宿。
 大都会東京の中でも特に都会らしい場所だ。
 そんな摩天楼のひとつ新宿NSビル。その中に「とんかつ伊勢」はあった。
 週末の夕食時なのでお店は混雑していた。
「愛ちゃん、こっちだよ」
 メガネをかけてヒョロリとした青年が、店に入った私を見つけて手を振る。
 彼の名は正一君。一応、私の彼氏だ。
「ごめん、おそくなっちゃった」
・・・

3

エレベーター・ガール

12/10/25 コメント:4件 メラ 閲覧数:3048

 地下二階の駐車場から十一階の屋上まで、エレベーターは、僕の指先一つでどこにでも運んでくれる。人もまばらな火曜日の、午前十時四十五分。僕の好きな時間帯だ。でも両開きのドアが開くと、そこのは早くもエレベーター・ガールが乗っていた。
 僕は子供の頃からエレベーターが好きだった。エレベーターが上昇する時のあの感覚。重力を感じ、大きな力でちっぽけな自分が、無機質に運ばれて行くあの安心感。そしてまた下・・・

7

迷人(めいじん)

13/06/07 コメント:11件 yoshiki 閲覧数:3048

 俺はその日いつものようにパソコンに向かっていた。ウェブの小説サイトに短編を掲載するのが俺の楽しみだった。しかしそう簡単に作品は出来ず、悩んだり、苦しんだりするのはいつもの事だった。やっと書けそうになって、画面に向かいキーボードに指を乗せると、いきなり肩をこずかれて俺は不愉快そうに振り返った。瞬間、俺は天井を突き抜けるくらいに驚いた。いや、本当に驚きすぎて心臓が口から飛び出てしまいそうだった。俺は・・・

2

ピエロ

13/03/01 コメント:4件 名無 閲覧数:3044

なんて綺麗なピエロだろう。
降りかかるように落ちるナイフを事も無げに
ジャグリングする。足の下には大きな玉。そ
れが危うげもなく規則的に揺れている。まる
でスポットライトのように太陽の光がピエロ
だけを包んで、落ちた影さえ洗練された動き
を真似ているようにみえた。喧騒に包まれた
サーカス場で、掻き消されもせず聴こえてく
る笛の音は一体どこから流れて・・・

8

ラヴァーズ コンチェルト

12/12/03 コメント:17件 そらの珊瑚 閲覧数:3042

 暗い海の上に白い月が浮かんでいた。ゆるやかなレールが海岸線に沿って伸びている。アオイを乗せているこの夜汽車が進むみちのりがそこにあった。
 ──あれは未来なのだ。
 人もこんなふうに進むべきレールが見えればどんなに楽か。

 トンネルに入ると車窓は鏡になる。四十女がそこに居た。ステージ用の濃い化粧を落としてみれば、それなりにくたびれた素顔があって、ほんの少し失望する。

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一見さん以外お断り

15/02/23 コメント:18件 海見みみみ 閲覧数:3037

 渋谷七不思議というウワサをご存じだろうか? 都市伝説の一つで【夜中に動き出すハチ公像】や【目が光るモヤイ像】辺りが有名だろう。
 その中でも今回は【一見さん以外お断りのバー】について語らせてもらう。

 その日、俺はどん底の気分だった。些細な事で彼女とケンカをして、別れてしまったのだ。
 独り身になって、俺の中でいかに彼女の存在が大きなものだったか思い知らされた。だが別れ・・・

4

太陽のせい ── 刑事 : 百目鬼 学(どうめき がく)

14/03/22 コメント:10件 鮎風 遊 閲覧数:3032

 女流ミステリー作家・胡蝶乱舞が新幹線こだま号で絞殺された。このニュースで世間は大騒ぎとなっている。
 胡蝶は、例えば執筆しようとする殺人事件、それは現実に可能か、また論理性があるかを徹底的に検証すると言われている。そのせいか根強い人気がある。
 反面、胡蝶が抱えるストレスは大きく、今回気晴らしにと、京都駅午後2時05分発のこだま662号に乗り、熱海温泉へと一人向かった。
 新幹・・・

2

灯油の臭い

12/09/24 コメント:6件 メラ 閲覧数:3031

 スコップを片手に、ようやく玄関のドアに辿り着いた。レールの錆びかかった引き戸を開けると、まず鼻についたのは、むせ返るような灯油の臭いだった。
 玄関には、灯油の入ったポリタンクがいくつか置いてあるが、この臭いはポリタンクからというより、壁や床、天井など、いたるところに染み付いてるものだ。
 父が亡くなってから三年、母が一人で暮らし続けていたこの家も、今は明かりが灯る事なく、雪に覆われ・・・

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あれこれそれ茶漬け   (1997文字)

13/03/31 コメント:6件 鮎風 遊 閲覧数:3029


 今は桜花爛漫の時節、高見沢一郎は久々に単身赴任先から自宅へと向かってる。そんな途中で、駅構内の漬け物店へと立ち寄った。
 ケイタイを掛けてきた妻の夏子から頼まれている、「あれ、買ってきて」と。
「ああ、わかった、あれな」と、その時は忙しく一応返事したが、夏子の「あれ」が何の「あれ」なのか確かではない。だが、長年連れ添った女房、およそのことはわかる。

「すいません・・・

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金魚

13/05/30 コメント:11件 泡沫恋歌 閲覧数:3029

 千秋(ちあき)がキッチンのテーブルでコーヒーを飲んでいると、玄関の方でガチャとドアが開く音がした。その後、ガチャガチャと鍵をキーケースにしまう音が……夫の和哉(かずや)が会社から帰って来たようだ。
 今年、三十二歳になる主婦千秋の家族は、夫の和哉と子どもは五歳と三歳のやんちゃ盛りの男の子がふたり。夫は真面目な性格だが全く面白みもない。不幸というほどでもないが、満たされない、物足りない、何と・・・

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娘のアルバイト

12/09/28 コメント:12件 泡沫恋歌 閲覧数:3028

『いらっしゃいませー』
 コンビニに入ると店員が挨拶をしてくれる。
 ハキハキした明るい声で家では聴いたこともない。娘がコンビニでアルバイトしている。近所なので仕事の帰りに私もそのコンビニを利用していた。
 カウンターの中の娘は私の姿を確認したら、一瞬「ん?」って顔で、途端にムッとした表情になる。失礼ね、お母さんだってお客だよ!
 買い物カゴを持って、娘のいるレジで精算する・・・

0

新宿夢想物語

12/02/23 コメント:0件 リアルコバ 閲覧数:3026

 灰色の雲が高層ビルにかかり、そこから細かい雨が風に煽られて舞っている。 (くそっ) 鈍く瞬く点滅灯に悪態をついて歩き出した。『適正判断の結果本採用は見送りとなりました。 ご苦労様でした。』 仮採用と云う名目でふた月の試用期間を無難にこなした筈だったが、 高層ビルの若僧どもとはノリが違ったらしい。 また仕事を探さなきゃだ。(ハルク・・・)いや今は家電量販店か、横断歩道を駅側へ渡りソイ丼でも食べよう・・・

1

スペース・エレベーター・ガール

12/11/12 コメント:1件 野村レトリクス 閲覧数:3025

 西暦二〇六一年。

 百年前、ガガーリンが大気圏外を旅行した。
 九十八年前にはテレシコワも続いた。
 アルツターノフが天のケーブルカーという概念を新聞で発表したのは百一年前だ。

 スタンバイ。

 彼女は自分の制服をチェックしながらインカムで乗船ブリッジに連絡する。壁のパネルに触れる。目の前のハッチが開く。
 彼女はハッチをくぐって外に出・・・

5

偏頭痛の男

14/11/08 コメント:9件 泡沫恋歌 閲覧数:3025

 石田君は今日も機嫌が悪い。
 苦虫を噛み潰したように眉間に縦皺ができている。大声で話し掛けようものなら、険しい顔で睨みつけられる。
 石田君は偏頭痛持ちである。
 一週間の半分は頭痛に悩まされている。時に雨が降りそうな天気では気圧が下がるので、特に酷いという。激痛に嘔吐することもあるらしい。
「もう、俺に効く鎮痛剤はこれしかないんだ」
 薬剤師のいる薬局でしか買えな・・・

5

ガジュマルは戦場で死んだ

15/10/05 コメント:11件 冬垣ひなた 閲覧数:3022

ガジュマルの枝からキジムナーの姿が消えたのは、雨季の音が訪れた頃だった。精霊が何処へ去ったのかは定かでない。
枝から髭のように垂らした褐色の気根は、幹と変わらぬ強靭さで巨木を支え、いかにも長寿の風情を漂わせていたが、枝葉はまだ若い。
この、ハイビスカスの咲き乱れる南国の島では、豊かさや幸せは、海の向こうのニライカナイからやってくるといわれていた。楽土に渡れば憂いもないだろう。
大・・・

3

フォールティア

12/07/25 コメント:0件 kou 閲覧数:3019

さあ、鐘が鳴る、鐘が鳴る。ツールドフランス第21ステージ、パリ・シャンゼリゼも残り一周」実況が興奮し、「笠原、笠原来い。抜け」と解説者が解説を放棄し私情を挟んだ。
「先頭集団に日本人の笠原!笠原が所属するチーム名は『フォールティア』ラテン語で勇気<Gース笠原はレース前、記者団から低迷するチームに秘策はありますか?と問われ、大丈夫ですよ。勇気って連鎖しますから。それに勇気っていい言葉ですよ・・・

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