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京都の和菓子

12/05/05 コメント:4件 かめかめ 閲覧数:3293

(明日は休みだ。今日を乗り越えれば、明日はこのツマラナイ仕事から開放される)
重い足を引きずりながら、オレは心の中でつぶやく。
毎日毎日、ノルマノルマ。
「お前が無能だから売れない!」と罵られ続ける。
毎朝、吐きそうなほどの胃痛と共に出社するコッチの身にもなれってんだ。

毒づきながら、目の前のチャイムを押す。
今時、インターホンじゃない、ただ音が鳴るだけ・・・

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隕石でお仕置きよ

13/06/18 コメント:5件 鮎風 遊 閲覧数:3291


 今宵はにぎり寿司だよ、大トロ、それともウニ、どちらがお好み?
 こんなリッチな迷いが日常化した暮らし、それは確かにソラにとって幸せな日々だった。だが今、それに終止符を打つかどうかで迷っている。

 夫のヒラメキはITベンチャー企業の社長、飛ぶ鳥を落とす勢いだ。しかし、ここに至るまでの道程(みちのり)、ソラは持ち合わせた才能、すなわちコンピューターの知識/技能を駆使し、・・・

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スーラ・スールの咲かないザクロ

16/01/09 コメント:16件 クナリ 閲覧数:3288

 スーラ・スールという名前は、十五歳の冬に私が自分で付けた。
 綴りが簡単で、女らしいが男かもしれない名前。

 昨日自転車を置き忘れた通りに行くと、既になくなっていた。
 辺りを見回していたら、冬枯れの木が並ぶ路地に痩せた家が建っており、そのドアの脇に私の自転車が立てかけてあった。
 家は、随分うらぶれている。空き家かもしれない。
 私は鍵のかかっていないドア・・・

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花橘(はなたちばな)

13/07/16 コメント:11件 泡沫恋歌 閲覧数:3287

   いにしへを花橘にまかすれば軒のしのぶに風かよふなり
                        ― 式子内親王 ―

 夜半に吹き荒れた野分(のわき)のせいで、花橘(はなたちばな)の君の屋敷では庭の草木も倒れ、屋根や塀なども吹き飛ばされてしまった。昨夜は塗籠(ぬりごめ)中で風の音が怖ろしく震えながら一睡もできなかった花橘であったが、一夜明ければこの惨状に成す術(すべ)も・・・

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夜のモノガタリ

16/05/08 コメント:10件 石蕗亮 閲覧数:3286

陽が沈む
緋を纏った金が西の向こうへ行くと
東の向こうから蒼い夜の帳が降りてくる
夜はいつも恐る恐るやってくる
何故なら夜はとても臆病だから
臆病すぎて自己主張をしない
だから誰も本当の夜を知らない
誰にも知られないのは可哀想だから
ボクは夜について語ろうと思う

日中
陽を遮ると影ができる
夜は地球の影だと思う?
ちが・・・

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クラシック音楽流れるうどん屋

15/02/05 コメント:14件 草愛やし美 閲覧数:3285

 昭和30年代、私の実家は京都で大衆食堂を営んでいた。亡き父は大正生まれだったが、死ぬまでクラシック音楽を愛した人だった。毎日ラジオで音楽を聞いていたが、それがレコードプレーヤーやテープレコーダーを使うようになり、やがてアンプを配し左右のラッパに繋ぎステレオで曲を楽しむという本格的なオーディオへと手を伸ばすようになった。臨場感あるクラシック音楽を楽しむためには本物の音を再現するしかないという夢を叶・・・

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溺れる心と身体とチョコレート

13/01/14 コメント:6件 クナリ 閲覧数:3282

高校二年生で迎えた二月十三日の、夜九時を回る頃。
ケーキ屋でアルバイトをしている同級生の女子からその店へ呼び出され、先輩のユイさんが酔い潰れたので送ってあげて欲しいと言われ、俺は往生した。
店のサバランを味見して昏倒した、俺達より二つ年上のユイさんは、俺の片思いの相手だった。先日のクリスマスには告白じみたこともしたけれど、結局それ以上踏み込めず、ユイさんとは親しい友達程度の関係だっ・・・

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故郷の記憶

12/04/15 コメント:0件 リアルコバ 閲覧数:3279

真っ青に澄んだ空が、何処までも見渡せるベランダから、遠くスカイツリーが開業を待ちわびている。 私はキャラクターがプリントされた小さな蒲団を干して振り向いた。春の光で満たされ輝く部屋には、座布団に乗った我が子がすやすやと眠る。(幸せだ)そよ風の中、昨日主人が立てた真新しい、そして小さな小さな鯉のぼりの先の風車がカサカサと音をたてている。

 「何でなの?」 私は関東平野の北側の田園風・・・

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三匹目の子豚

15/05/04 コメント:12件 光石七 閲覧数:3270

 昨夜は眠れなかった。授業が始まっても菜緒の心は落ち着かない。
「内木、聞いてるのか?」
国語教師に注意された。すみません、と菜緒は小声で応える。
「まあ、大上の件でみんなもショックを受けてるだろうが……」
先週このクラスの生徒 大上彩がP駅の階段で転落死した。現場に居合わせた通行人が「足を踏み外すのを見た」と証言し、事故として処理された。だが、菜緒は知っている。彩は殺され・・・

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あしたのりんご

15/04/19 コメント:15件 たま 閲覧数:3270

テーブルの上に、あした買ってきたりんごを置いてあると言う。
もちろん、そんなもの私には見えない。母だけが見ることのできるりんごだった。

今朝も雨が降っていた。桜の季節はいつも雨に邪魔される。と言っても、花見は好きじゃなかった。久しぶりの休日だし、すべては雨のせいにして春眠を味わう。たまには御褒美がほしい発育不良の大人だったから。
九時すぎに目覚めた。
「かあさん、お・・・

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水底から一閃

17/02/13 コメント:6件 入江弥彦 閲覧数:3270

 無機質な声が注意事項をアナウンスし、数秒後に座席が大きく上下に揺れた。
 息子が驚いたように息をつめて、孫は小さく悲鳴を上げた。ごうごうと水の音が響いて、窓の外は一気に暗くなる。揺れが収まると、窓の外が照明に映し出される。立ち上がった添乗員が、右手をご覧くださぁい、と甲高い声で私たちにアナウンスした。
 息子からの提案だった。八十歳のお祝いに故郷を見に行くのはどうか、と。私のためとい・・・

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財布初心者

13/03/12 コメント:6件 四島トイ 閲覧数:3268

 ぱたぱたと財布を開けては閉める。寝そべる畳からは、かすかにい草の香り。落ち着かないまま頭をずらせば、大きく開かれた窓の向こうに八月の白い雲が見えた。
 車が砂利を踏む音がする。エンジン音が止んで、玄関の戸が引かれた。
「おうい。迎え行ってきたがぞお」
 兄を迎えに行っていた父の声が響く。
 来た。ぱっと立ち上がり、階段を駆け下りる。玄関では家族に出迎えられて兄が荷を下ろし・・・

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最後のデート

12/07/07 コメント:7件 泡沫恋歌 閲覧数:3266

 車の中に男を待たせて、私ひとりで水族館に来ている。
 初めてのデートは水族館だった――。ふたりで手を繋いで、まるで回廊のような巨大な水槽をグルグル回りながら降りて行った。底の方になると不気味な魚たちが沈んでいた。光の届かない海底で気配を殺し、獲物が来るのを待っているのだろうか。
 深海に潜む魚の暗い眼と合った時、自分の中で何かが共鳴し合った。

 男に別れ話をされた。ふた・・・

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デンオとテツオ

17/04/02 コメント:5件 入江弥彦 閲覧数:3265

 僕は電車オタクだ。
 自分でそう言っているわけではないし、本当はみんながいうほど電車が好きなわけじゃない。
 けれどもそれが僕のイメージであり、まわりからの評価なのだから仕方がない。電車オタクでは長いからと、デンオと呼ばれている。
 クラスメイトが僕のためにとランドセルがパンパンになるほど詰め込んでくれた紙くずを捨ててから、いつもの場所に向かった。
 立ち入り禁止の看板を・・・

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シュガーキャッスル インザスカイ

15/07/24 コメント:14件 クナリ 閲覧数:3262

 ノコノコと呼び出されて来た夏の校舎の屋上で、同級生のタカユキの唇が血の香りを残して、私のそれから離れた。
 私は思い切り、タカユキの頬を張る。
「悪いけど私、喧嘩する人嫌いだから」
 ごしごしと、制服の袖で口を拭う。
「彼氏でもないのにのぼせていきなりキスする奴も嫌い。彼女がいるのに簡単そうな女にキスする奴も嫌い。私を簡単そうな女だとみなす奴も嫌い。じゃあね」
 高・・・

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ルームロンダリング

16/08/16 コメント:0件 山中 閲覧数:3259

 1LDKのマンションの一室に住み始めてから、すでに二ヶ月以上が過ぎようとしていた。都心からやや離れた閑静な住宅街の中、最寄駅まで徒歩八分と条件は悪くない。
 築四十五年とはいえリフォーム済みなので古めかしさは感じないし、近隣とのトラブルがあるわけでもないが、この部屋では数カ月ほど前に人が一人死んでいる。いわゆる事故物件と呼ばれる部屋だ。

 こうした物件は借り手が付きにくい。入・・・

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Tre Memoria 大分の思い出三つ

12/06/25 コメント:2件 かめかめ 閲覧数:3253

父の幼馴染が脱サラして故郷の宇佐市でうどん屋を始めたと聞き、墓参の折に立ち寄った。
当時、大分自動車道が全線開通したばかりで、それまで半日以上かかっていた道程が地元福岡から二時間でたどり着けることに感動した覚えがある。とは言っても、宇佐は、まだまだ、と言うかとんでもない田舎で、父の実家の半径2キロ以内にある店舗は雑貨屋を兼ねた古い薬局と、パーマ屋だけで飲食店は、たずねたうどん屋、一軒だけだっ・・・

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悪夢指南

13/02/18 コメント:6件 石蕗亮 閲覧数:3253

占い師で夢占いも扱っている私にはお客様からよくこんなことを質問される。
 Q、夢って全部予知夢なんですか?
 A、夢には記憶の整理をするための夢、自らの六感で見る予知夢、第3者に見せられる予知夢の3種あります。
 Q、3つの違いは?
 A、記憶の整理は現実にあった出来事を夢で見たり、寝る前に見た映像や聞いた音に関連するものを夢で見たりします。必ずしもその日見たものとは限らず・・・

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小説大学

13/01/06 コメント:9件 鮎風 遊 閲覧数:3251


 山々が重なり合った奥地に廃村がある。そしてそこには廃校が残った。しかし最近リフォームされ、再び開校されたようだ。
 宇田川聡(うたがわさとし)は山を超え、息を切らして学校の門をくぐった。ここで教鞭を執るつもりだ。

 不景気の煽りで、リストラに合った。次の就職先をウェブ上で探していたら、ふと見つけた。
「蘇った山の学校、ここで教え、共に学びませんか」
 こん・・・

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宿敵の連鎖サークル

13/09/02 コメント:6件 鮎風 遊 閲覧数:3249

「10%の売り上げ増です。これは私の率先垂範の結果です」
 洋一の上司、高木部長はこう社長に報告した。そしてニンマリと。
「どこがだよ! 全部俺が汗水流して……、俺が頑張った結果だよ」
 洋一の不平が吹き出す。されどこんなことはいつものこと。この高木野郎、‘悪代官’の汚名通り、部下の成果は容赦なく取り上げ、自分の失敗は部下に押し付ける、とんでもない上司なのだ。
 それでもこ・・・

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キャラ弁は愛の味

12/12/08 コメント:15件 泡沫恋歌 閲覧数:3241

「ゲッ! 箸忘れたぁー」
 ランチボックスから弁当箱を取り出した瞬間、僕は大声で呟いてしまった。
 箸を忘れるなんて最悪だ! 困ったなぁー、どうする? すると腹の虫までグウゥゥーと鳴いた。
「俺の箸かしてやるよ」
 いきなり横からそんな声がした。最近席替えしたばかりだが、こいつが話し掛けたのは初めてだ。司馬 翔(しば しょう)まるでアイドルみたいな名前だが、名前負けしないほ・・・

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世にも怖い捨て台詞『末代まで呪ってやる』

16/11/21 コメント:4件 そらの珊瑚 閲覧数:3234

暇だったので、怖いもの見たさにホラー映画のDVDを借り、家で一人で観た。

 その映画は、江戸時代の戯作者、河原屋霧丸の「黒ゐ七つ星」を原作にしたものだった。
 身に覚えのない罪を着せられ、切腹するしかなくなった下級武士が、介錯されて落ちた首が「末代まで呪ってやる」と捨て台詞を吐くシーンにぞっとした。
 自分を陥れた悪い上司の武士には、右頬にほくろが七つ並んでいて、宿命・・・

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雀の春

12/12/24 コメント:6件 池田K 閲覧数:3233

「あ〜ァ、おやじさんすっかり出来上がっちまッて」
「振る舞いの屠蘇で潰れるなんざァお客だったら有難いね」
 常なら反り合おう筈もない新造も遣手も、席を同じくして姦しい。禿どもは駆け回るし、若い衆もどこか肩の荷を下ろした風情で散らばっている。最前潰れた楼主もおかみさんも、眉間の皺が伸びて少しは若返って見える。
 正月一日は、吉原の数少ない休日だ。大門を閉め切った廓内に、普段とは違っ・・・

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愛のサンタ♪

12/11/28 コメント:20件 泡沫恋歌 閲覧数:3232

「メリークリスマス」
 いきなり暗がりから声が聴こえて来た。僕はバイト帰りの道を一人で歩いていたが、その声は僕以外の誰かにかけたものだろうと無視して歩いた。
「ちょっと、三輪守君だよねぇ?」
「はぁ? そうだけど……誰?」
 自分の名前を呼ばれて驚いた。振り向くと若い女が立っていた。
「あたしサンタだよん」
 見れば、真っ赤なサンタ風の超ミニスカートを穿いて、頭・・・

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Mr. & Mrs. イトウ

12/06/23 コメント:2件 ヨルツキ 閲覧数:3230

「『いつか会社を辞めてやる』って言うけれど、私たちも『いつか離婚してやる』って思っているわよねえ〜」ミセス・イトウの声にそうよそうよ、とマダム友だちが笑い声をあげた。
「誰のおかげでメシが食えると思ってるんだよな。俺たちが働いているから3食昼寝つきの生活してやがるんだぜ」ミスター・イトウの声にそうだそうだ、と仕事仲間が笑い声をあげた。

 結婚式を挙げて30年。
 3人の子・・・

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【ルメール・フュテュール】朝顔は永遠に咲かない

14/08/01 コメント:15件 そらの珊瑚 閲覧数:3230

 私は幸せだった。そしてそれが明日も明後日も、ずっと先の未来まで続くのだと思っていた。あの日までは。
 
 優しい夫と八歳の息子。去年購入したばかりの東京郊外の4LDKの一戸建て。庭には息子のひなたが植えた朝顔の苗。初めての蕾がついている。クーラーボックスの中には肉と野菜、焼きそば麺。ノンアルコールビールとジュース。小学校が夏休みに入ったばかりの日曜日。川遊びをしたあとバーベキューの予・・・

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死ニゾコナイ

14/01/30 コメント:19件 そらの珊瑚 閲覧数:3228

 寝室の窓の外で
 また今夜も
 切れかかった街灯が
 青白い点滅を繰り返す

 この世に未練があるのか
 ただ惚けてしまったのか
 それとも
 死ニユク前のあがきなのだろうか
 今夜も
 静寂であるべきはずの
 オレの
 夜を
 不規則という規則にのっとって
 あいつが邪魔をする

 寒空の下で

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沙里と里沙

13/08/30 コメント:9件 鮎風 遊 閲覧数:3228

 ステージの下手からトゥで立ち歩き、クロワゼでポーズ。左足プリエで右足前に上げ、つきさし、右足パッセしながら
……手をたたく。
 こんな動きからライモンダの第3幕ヴァリエーションは始まる。

 そしてバレリーナは無表情、いやむしろ毅然と澄ました顔。
 なぜなら──、ライモンダの婚約者・ジャンは戦地へ。その間に、異国の王子から熱烈にプロポーズをされる。帰還したジャンは決・・・

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命のラーメン

13/06/13 コメント:16件 草愛やし美 閲覧数:3225

「加古川さん、来週木曜は究極の晩餐日、何か食べたいもんある?」
 酸素を吸入している加古川は、薄っすらと目を開け答えた。
「おおきに、わしな、どうしても食うてみたいんや。初めて勤めた町工場のおやっさんが、食べさせてくれた京都の鱧寿司が忘れられんのや」
 そう言っていた加古川は、その日、もったいのぅて食べられんなと眺めた後、両手を合わせ拝んでから鱧寿司を美味しそうに食べた。
・・・

8

妻の弁当は屋上で

16/07/11 コメント:4件 霜月秋旻 閲覧数:3223

 場所はとても重要だ。誰の目も気にすることなく昼間、弁当箱のふたを開けられる安全な場所。人目を避けるなら御手洗いが無難なのだろうが、さすがにそんなところで弁当を食べる気にはならない。
 私は毎日、会社の屋上でひとり、弁当を食べている。理由は些細なことだ。妻が毎日つくってくれるデコ弁を、会社の同僚に見られたくないからだ。ただそれだけの理由だ。
 ごはんの上に鮭フレークをハート型に盛り付け・・・

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魂腐劣腐 チルドレン

14/11/04 コメント:16件 クナリ 閲覧数:3222

十七歳の誕生日が、僕にもやって来た。
僕は、オタクである。
しかもメジャー作品にしか手を出さないあまちゃんなので、オタクヒエラルキの中でも底辺にいる。
趣味ですら色んな意味で取り柄になり得ない、というコンプレックスを抱きながらも、自分でも絵を描くようになったのは、中学三年生の時だった。
もちろん、受験勉強からの逃避がきっかけである。
『テスト前の部屋の掃除理論』により・・・

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Looking for somebody

13/06/20 コメント:12件 光石七 閲覧数:3221

『ぬこ様の肉球にかけて、俺は真実を暴く!』
テレビから聞こえるドラマの主人公の台詞。今話題の深夜ドラマ『ぬこ厨探偵 猫川唯斗』だ。
「そうそう難事件に遭遇するかよ。この決め台詞、意味不明。どうせ犯人はあの医者だろ? 知識を利用して、犯行時刻を遅らせたんだ」
ぶつぶつ文句を言いながらも、何故か毎週見てしまう。
「お前も好きだな。明日は早いんだから、さっさと寝ろよ」
所長・・・

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昭和映画館の……

13/01/27 コメント:8件 鮎風 遊 閲覧数:3221


 帰宅途中、幸一は書籍のリサイクル・ショップにふらりと立ち寄った。特に買いたい本はないが、何か掘り出し物でもないかと店内をうろつく。そして奥の本棚まで来て、昭和時代の写真集が目に入った。
 幸一はそれを引っ張り出し、パラパラとページを繰る。そしてその中の一枚の写真、それに目が釘付けとなる。
 セピア色の歪んだ三角形の屋根が三つ並んでる。きっと実際の色合いもくすんでいたに違いない・・・

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思い出

12/05/03 コメント:6件 智宇純子 閲覧数:3220

 窓から引込川が見える。もうすぐ東福寺。あとひとつ、間に合うだろうか。

 美穂子は電車に揺られながら、うっすらとJR京都駅の改札口を思い浮かべていた。
 あの日と同じ白いタートルネックのカットソーに黒のカーディガン。あの時履いていたロングスカートは去年一也にハサミで切られてしまったので、今日はベージュ色のパンツを履いてきた。

〈そういえば、あの日はすごく寂しい思い・・・

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シベリア

13/10/24 コメント:17件 そらの珊瑚 閲覧数:3214

 JR御茶ノ水駅で降り商店街を歩く。丸善、レモン画廊を通り過ぎニコライ堂の緑青のドーム屋根が遠くに見えた。約束の店はすぐ見つかった。『兎や』は間口いっけんほどの小さなケーキ屋だった。がらがら……。自動ドアを見慣れた眼には硝子の引き戸が過去の遺物に感じる。
「こんにちは」「はいよー」
 店の奥から声がする。店の棚はがらんとして商品はない。もう予約販売しかしていないというのはどうやら本当ら・・・

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女スパイ・村山たか女 (前編)

13/08/20 コメント:4件 鮎風 遊 閲覧数:3212


 幕末に、激しくも生きた一人の女性がいた。
 されど終焉は穏やかに、その生涯を閉じた。
 その女性とは……女スパイ・村山たか女。

 その波瀾万丈だった女の生き様を、一つの記録として、男の視点から書かせてもらいました。
 そして、今という時代おいて、その足跡を追い掛けた男の結論は?



──激しくも生き、されど終焉は穏やかに── (前・・・

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再会 (駅の出会いは時空を超える)

12/09/19 コメント:2件 鮎風 遊 閲覧数:3212

 朝の通勤時間帯、駅のプラットホームは人で溢れている。愼一は今朝も急ぐ人たちに揉まれながら電車を待っている。
 しかし、そんな中にあって、愼一は電車が到着するまでの僅かなタイミングを狙って、向かいのホームを見渡してみる。
 そして今日も見つけたのだ、彼女を。

 年の頃は25歳前後だろうか、肩までの黒髪にすらりと背の高い女性。濃紺のビジネススーツを品良く着こなしている。目鼻・・・

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13/02/21 コメント:4件 草愛やし美 閲覧数:3211

 昭和40年代、私は先生になりたくて大学進学を目指していた。厳しかった父に反発してぐれてしまった姉二人は、中学を出ると就職したため、進学の道に進んだのは、姉妹の中で、唯一私だけだった。ずっと、我が家の商売(食堂)は、儲けが少なく、生活するのが精一杯で貧しかった。だが、父は受検させてくれることを許してくれた。受験回数は、かなり絞ったが、それでも、無理して数校受けさせてくれた。

 大正・・・

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コアントローの昼下がり

13/11/18 コメント:7件 朔良 閲覧数:3211

「ゆかり、シュークリーム作ってよ」

 …それを今、この場面で言う?

「ぜぇーったい、いや」

 あたしは小鼻にしわを寄せて、相馬ののほほんとした顔をにらんだ。

「やっぱり?」
「なんで、今シュークリームなんて言うかな? バカなの? 死ぬの?」

 三日前に決別した元彼の新しい彼女が「サークルのみなさんに差し入れでぇっす」って持・・・

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ふるさと

12/11/18 コメント:9件 そらの珊瑚 閲覧数:3209

 遠いようで近い。いや、本当は近いようで遠いのかもしれない。ふるさと、というものは。
 東京発新幹線。早朝六時に出発するのぞみに乗る。広島には十時少し前に着く予定だ。祖父の七回忌に出席するために。東京の大学を卒業してそのままそこで就職して早二十一年が経つ。いつのまにかふるさとで過ごした時間を東京でのそれが追い越していた。新幹線の乗っているとものすごい速度で走ってるのに乗客はそれを感じるこ・・・

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遺跡ラーメン

13/06/04 コメント:11件 泡沫恋歌 閲覧数:3206

 21世紀、南海トラフ大地震による巨大な地殻変動で日本は海底に沈没した。
 わずかに残った国土である北海道はR国が支配し、沖縄はC国が領土主張をして取り上げられた。本州では富士山山頂だけが海面に沈まず、そこに「大和民族」と称し生き残った日本人たちが住みついていたが……やがて、隣国Kの手で駆逐されてしまった。
 ついに日本国は世界地図からも歴史からも消滅してしまった。

 2・・・

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解説 −虚謙次郎ととんかつ屋さん

12/05/21 コメント:2件 泥舟 閲覧数:3205

言わずと知れた時空春秋大賞作家・虚(うつろ)謙次郎の受賞後最初の作品である。
選考委員として参加した私にとっても非常に楽しみであるとともに、期待を裏切るなよ、との思いを持って読ませてもらった。だが、読み終わって十分に満足している。時空春秋賞を辱めない、いやそれ以上に時空春秋賞のブランドを高める貢献しているといってもいいだろう。
上から目線的な書き出しで始めさせてもらったが、私が彼のデビ・・・

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美しく、したたかに

15/07/27 コメント:9件 泡沫恋歌 閲覧数:3204

 世の中に『美人薄命』という言葉がある。
 美しい女性は得てして寿命が短く、容貌が衰えない内に死んでしまうという意味だが、実は美人で長命な方もたくさんいる。

 いつか時空モノガタリのテーマが【 美女 】になったら、この女性のことを知って欲しいと思っていました。
 その女性の名は常盤御前(ときわごぜん)、あの有名な源義経(みなもとのよしつね)の生母に当る人です。
 常・・・

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路地裏のコーヒーとメロンソーダ

15/05/09 コメント:6件 クナリ 閲覧数:3204

 五月の夜は、あのやかましい葉桜が見えなくなって、気分が良い。
 僕はスカート姿で、路地裏の自動販売機の紙コップに、安いコーヒーが注がれるのを見ていた。
 良い匂いがする。でも、苦いだけで美味しいわけじゃない。
 触れるまでは良い気持ち。似たもの同士だから、つい飲んでしまうのかもしれない。八十円のコーヒーとお友達。楽しいね。
 僕が紙コップを自販機から取り出すと、横にいたナ・・・

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茶封筒

13/04/22 コメント:3件 メラ 閲覧数:3203

 ある日、しこたま飲んだ帰りに郵便ポストを覗いた。特に意味はない。そうしないとどうでもよいゴミが溜まるからだ。しかし、その日はピザ屋の広告や、いかがわしいチラシに混じって、一通の封筒が入っていた。
 その茶封筒には恐ろしく達筆な文字で、自分とは違う、見覚えのない宛名が記されていた。しかし住所は東京都杉並区・・・。これはここの住所だ。
 封筒を裏返すと、書き主の名前が書いてある。これも恐・・・

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メロンソーダが好きなタヌキ

15/09/10 コメント:2件 安城和城 閲覧数:3202

 仕事から帰りテレビを点けてみると、暗い顔をしたタヌキのアニメがやっていた。画面右上に『メロンソーダが好きなタヌキ』なるテロップが表示されている。……メロンソーダが好きなタヌキ?
 帰りがけに買ったビールを冷蔵庫に入れるのも忘れ、俺はぼんやりとテレビを眺めた。セリフがないし、おそらくショートアニメだろう。タヌキは無言のまま、排気ガスのキツそうな現代社会をとてとてと歩いていく。……歩いている。・・・

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高速で駆け抜けた男

12/08/30 コメント:8件 草愛やし美 閲覧数:3201

 男は先ほどから自室で悶々と呟き続けていた。
「何てことだ、医者はこれ以上走るなと言った。オリンピックを夢見て誰よりも練習した結果がこれだというのか……」
 2年前、男はマラソン界で注目を浴びた。オリンピックに出場できる逸材だとあちこちのマスコミに騒がれたが、それがいけなかった。練習時間を増やしたことは却って足を限界に導いてしまった。あれほど騒いでいたマスコミは潮が引くように去ってしま・・・

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消滅、カンニングペーパー

13/01/28 コメント:2件 W・アーム・スープレックス 閲覧数:3200

 試験官はそのとき、前から三列目の机で試験用紙にむかっている男子受験生の手に、なにやら白い紙切れがひるがえるのをみた。
 カンニングペーパー。試験官は足早くその生徒に歩みよった。
 と、たしかにいま、彼の手の中にみえていた紙が、きゅうにパッと消えてなくなった。
 おやっと目をまるめた試験官は、しかしそれ以上どうすることもできずに、彼からはなれた。
 試験官は、試験場を見渡せ・・・

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〔アンテナきのこ〕

12/10/10 コメント:9件 泡沫恋歌 閲覧数:3198

 俺の部屋にはテレビが三台ある。一台目はテレビ放送を観る用、二台目は録画専用、三台目は古いブラウン管テレビで地デジになったので映らないが、DVDの再生とゲームならできるので捨てないで取ってある。
 このブラウン管テレビが、ある日勝手にしゃべり出した。
『やあ! テレビの前の君、私とジャンケンをしよう』
 俺は驚いて言葉もでない。電源が入っていないテレビの画面が写っている。
・・・

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新エレ幹線 (遠距離恋愛)

12/10/27 コメント:6件 鮎風 遊 閲覧数:3197

「拓馬、どうするのよ?」
 佳奈が煮え切らない拓馬にせっついた。そして拓馬は、それにいよいよ結論を出すべきだと覚悟を決めた。
「僕は佳奈と一緒に暮らしたいんだ。だから、天上界から僕が住む地底都市に移って来て欲しいのだけど……、佳奈はどうしたいの?」
 反対にこんな言葉で訊かれた佳奈は下を俯いたままでいる。そしてしばらくの沈黙の後、決意を込めて口を開いた。
「そうだわね、拓馬・・・

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