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3

壇ノ浦で、源義経は水夫(かこ)を射たのか――えっせえのようなもの

16/04/12 コメント:8件 クナリ 閲覧数:3682

 歴史。
 それは私達の現在につながるものでありながら、どこかファンタジー性を含んで語られる、確かなはずなのに不確かな、不思議な物語。

 さて、クナリという人は日本史が好きなのですが、それは英雄達の生き様や丁々発止が好きなのであって、あくまで人間ドラマとして捉えているため、年表やら年号やらという分野においては小学生以下の知力を誇るので困ったものです(他人事)。
 そんな愚・・・

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コーヒー染めの恋

12/11/26 コメント:10件 草愛やし美 閲覧数:3680

「染めてみたの……」
 僕の前にぬっと突き出されたそのスカーフは見覚えがあった。
「確か、それって……」
「うん、そう、あなたが贈ってくれたものよ」
「真っ白だったよね」
「そう、白かった、でも、それは、過去形。こんな色になったの、コーヒーで染めたのよ」
「コーヒーって!」
「さあね、琥珀色といえば聞こえはいいけど、もう、白でなくなったわ。あの時、あなたは・・・

7

レジェンド オブ ザ スクール

12/12/19 コメント:16件 そらの珊瑚 閲覧数:3680

 月の光、それは偽りの光。太陽から盗んできたものだ。
    ◇
「月(つき)ちゃん、具合はどう?」
「月ちゃん、こんにちは。顔色、けっこうよさげだね」
「陽(はる)ちゃんと等くん、来てくれたんだぁ」
 私は不治の肺の病気で、入退院を繰り返している。
 陽と一緒に入学した高校も休みがちで、このままでいったらおそらく一緒に卒業はできないだろう。
 陽と私は一・・・

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慈悲深き満月の下で

16/08/07 コメント:2件 黒谷丹鵺 閲覧数:3675

メリッサは塔で暮らしている。
明るいうちは一番てっぺんの部屋にしかない窓から外を見て過ごし、夜は壊れかけた古いベッドで眠るだけの日々が、もうどれだけ続いていることだろう。
食事を運んでくるのは老いて耳が遠くなった下女で、固くなったパンと味の薄いスープばかりである。聖なる書物の適当なページを読んで祈ってから食べるのが習慣だった。
あまりにも長い間そうしてきたせいか、メリッサに不満は・・・

7

もうひとつの天の川

14/07/07 コメント:9件 草愛やし美 閲覧数:3670

「かあ……たん……」
 虚ろな母の目に、四歳の娘は映らず、再び名を呼ぼうとした小さな声は夜の闇に消えた。梅雨明け前の七夕は雨が多い。だけど、その日は珍しく月の綺麗な夜だった。月の光が、青白い母の横顔を優しく照らす。
 その日、夏奈が、保育園で貰った小さな笹飾りが、ザワッと揺れた。母の手は颯音のか細い首に回され力が込められていた。苦しさにもがき空を切る幼い手が、壁際に持たせかけてあった笹・・・

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純文学と名付けた人をきっとこの先も知らずに生きていく

16/02/01 コメント:13件 そらの珊瑚 閲覧数:3668

 私が書店員になった理由のひとつが、あの日々につながっている。

 新刊が店に届く。バックヤードで、その荷をほどく時、その本の著書のひとりが、もしかしたら君の名前ではないかと、目で探してしまう。大学を卒業したあと、本屋に就職して十年。それはもうくせのように身にしみついてしまったようだ。作家になりたいと君は言っていた。夢が叶われたとしても、本名で本を出すかどうかもわからないのに。
・・・

6

妻チョコ

13/02/04 コメント:10件 鮎風 遊 閲覧数:3665

 高見沢一郎は昼食を終え、デスクで寛(くつろ)いでいる。そんな時に部下の榊原がうつむき加減で通り過ぎようとした。高見沢はとりあえず上司、「おい、どうしたんだよ?」と声を掛けると、榊原は今にも泣きそうな顔をして擦り寄ってきた。
「先輩、聞いてくださいよ。実はもらっちゃったんですよ」
 いつものパッパラパーの榊原とはちと違う。「何をもらったんだよ?」と訊いてやる。
「歳を重ねた先輩に・・・

4

時空エレベーター

12/10/24 コメント:9件 泡沫恋歌 閲覧数:3665

 38階建てのビルの最上階へ行かなければならない用事があった。
 ビルを見上げるとクラクラするような高さだ。あのてっぺんに上るのかと思うだけで冷汗がでた。私は高所恐怖症で飛行機も怖くて乗れない男なのだ。
 エレベーターに乗ると38階のボタンを押す。展望用の大きな窓が付いているが、私は怖くて外の風景を観れないのでドアの方を向いて立っている。
 突然、13階でエレベーターが止まって動・・・

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空から降ってきたモノは、

14/04/27 コメント:17件 泡沫恋歌 閲覧数:3660

 街路樹と石畳が黄金色に染まっていく黄昏の街、古い曲だがエルトン・ジョンの「Goodbye Yellow Brick Road」いう歌をハミングしながら僕は歩いていた。
 爽やかな風が吹いて、初夏の汗ばんだ肌に気持ちがいい。
 人って意味もなく幸せだって感じる時があるよね? あの日の僕はそんな気分だった、何か良いことが起きる予感がしていたから――。

 一陣の風が舞い、ハラ・・・

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鬼獣丸

14/02/21 コメント:20件 泡沫恋歌 閲覧数:3658

 殿上人の姫君が鬼の子を産んだと京童たちの間で噂になった。
 治部卿の娘、一の君が父親の分からぬ赤子を産んだが、それは鬼の子だったというのだ。
 産み落とした我が子をひと目見るなり、余りのおぞましき姿に発狂し姫は身まかった。治部卿は異形の孫を葬り去ろうとしたが、陰陽寮の技官に鬼の祟りがあるやも知れぬゆえ、殺さず、人目に触れぬように生かせと助言された。一の君の産んだ男児は、屋敷の奥深く密・・・

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裏切りの乱世〜信貴山城の戦い

16/08/25 コメント:2件 あずみの白馬 閲覧数:3654

【この物語はフィクションであり、史実、実在の人物とは一切関係ありません】

 天正五年(一五七七年)夏が近づき、茶が美味しい季節のある日、織田信長の家臣、松永久秀と明智光秀が茶の湯をたしなんでいた。
「このときが一番、気が休まるのぉ、光秀よ」
「全くですな。久秀殿」
 二人は一緒に束の間の休息を楽しんでいる。よく茶をともにする、いわゆる親友であった。話は主君である織田・・・

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生滅流転 (しょうめつるてん)

12/11/22 コメント:6件 鮎風 遊 閲覧数:3642

「どうしたんだ?」
 悦蔵は、何かに怯えて、うずくまる紗菜に訊いた。妹は「うーうん、兄さん」とだけ答え、あとは泣きじゃくる。
 悦蔵はそんな紗菜が震わす肩越しに目撃したのだ、天にも昇る火柱を。
 炎は村の庄屋でごうごうと燃え盛っている。悦蔵は総毛立ち、めまいを覚えるほどだった。しかし妹が無性に哀れに思われ、力を込めて抱き締めた。

 悦蔵は紗菜を問い詰めなかった。なぜ・・・

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不沈戦艦・大和を、今

13/01/21 コメント:8件 鮎風 遊 閲覧数:3636


「みな様、ただ今より記者会見を開催致します」
 混雑の中、ニュース・コンファレンスが始まった。これから世間をあっと驚かす発表があるという。記者の花木拓馬は熱気ある会場の前列に陣取り、発信される情報は少したりとも取りこぼさないぞと気合いを入れ直した。壇上のプレゼンターは自己紹介をし、あとは記者団が固唾を飲む中、粛々と会見は次へと進む。

「世紀の一大プロジェクトをスタートさ・・・

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獄門磔(ごくもんはりつけ)の刑 ── 刑事 : 百目鬼 学(どうめき がく)

14/03/12 コメント:10件 鮎風 遊 閲覧数:3624

 町の外れに老舗料亭の廃屋がある。
 風光明媚な景観を売りにしていたが、リーマンショック後廃業となった。今では木々が館を覆い、また庭園にあるベンガラ色の獄門は朽ち、一面雑草が生い茂ってる。まさに由緒ある料亭は過去の遺物と化したと言える。それ故に危険、鉄条網が張り巡らされてる。
 こんな廃墟で、凄惨な斬首事件が起こった。所轄署は直ちに捜査に乗り出し、その第一報告書がここにある。
<・・・

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京都祇園から東山へ 八坂さんの都市伝説

12/05/28 コメント:2件 草愛やし美 閲覧数:3620

「なんて人が多いんだろう」
 私は京都の四条大橋に佇んでいた。みんな楽しそうに歩いている。そんな喧騒の中、私は一人ぽっちだった。心細さにくずおれそうな心を抱え、それでも自らの足で京の地を踏めほっとしていた。
 私は死ぬつもりで京都へやってきた。なぜって、一言で言えば失恋。相手は二股も三股もかけていたのに私は有頂天だった。友人には知ったかぶりしていたが、本当のところ恋なんかさっぱりわかっ・・・

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無人駅の子

13/09/20 コメント:27件 草愛やし美 閲覧数:3606

「しいちゃんここで待っていて、母さん、すぐに戻って来るからね」
 そう言って母は、改札を出て行った。田舎の駅、初めて来た知らない駅。誰もいないホームにポツンと一人残された私は、母を待った。手には母が置いていったジュースの小瓶と、少しばかりの菓子の入った袋を持ち待っていた、何時間も無人駅で。最終列車らしきものが、通り過ぎても母は戻って来なかった。山奥のその駅の近くの人からの通報で、私は、その駅・・・

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夜店のお面売り

13/08/21 コメント:3件 石蕗亮 閲覧数:3604

 祭りや縁日で軒を並べる夜店の一団に馴染みの団体があった。
地元の八坂神社の祭り、その2週間後の湊祭り、盆明けに母の実家の縁日。
2ヶ月の間に3回も同じ団体と顔を合わせているのが5年も経つと、お互いを覚え馴染みになった。
 それまで私は夜店というのは個人でやっているのだとばかり思っていた。
しかし馴染みになり、そのうち店番を頼まれるようになると横の繋がりがわかるようになり、・・・

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濃いコーヒーを飲む女

12/11/14 コメント:8件 鮎風 遊 閲覧数:3603

 高瀬川洋介は『送信』ボタンをクリックし、達成感でふうと息を吐いた。そして「次のお題は何かな?」とぼそぼそと呟き、後はおもむろに新着コンテストの画面に入って行った。
 そこには『コーヒー』と表記がある。
 これを目にした洋介、「コーヒーね、ちょっとなあ」と心もとない。天井を見上げ、自分自身を題材に書いてみようか、それともパスしてしまおうかと迷い始めた。

 洋介は長年のサラ・・・

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彼女が無口な理由

13/07/15 コメント:14件 光石七 閲覧数:3599

 高校生活がスタートして二ヶ月が過ぎた。初めのうちは同じ中学出身者同士で固まっていたけれど、今はもう新しい仲良しグループができている。休み時間にダベったり、お弁当を一緒に食べたり、買い物に付き合ったり、私もそれなりに楽しんでいる。
 クラスの中にどのグループにも属さない女子がいた。琴田さんだ。かわいい顔をしているのに、大人しくてあまりしゃべらない。話しかけても簡単な返事を返すだけ。授業で同じ・・・

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文豪ラップ選手権(前編)

16/12/31 コメント:0件 ミラクル・ガイ 閲覧数:3596

DJ星
「膨大な言葉の引き出しと頭脳の高速回転が織りなす芸術、MCバトル。待ちに待った、最強のラッパーが今夜ついに決定する。『文豪ラップ選手権』決勝トーナメント、いざ開幕!」
 日本武道館に押し寄せた1万人の観客と生放送を観るお茶の間の国民が湧く。1週間前に放送された予選リーグの平均視聴率は驚異の98%であった。

DJ星
「ご来場の皆様、そしてテレビの前の皆様、本日・・・

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事故物件

15/01/03 コメント:9件 泡沫恋歌 閲覧数:3592

 ビル管理の会社を始めて、三十年経つ。女一人で宅建の資格だけを頼りにやってきた商売だが、バブルの頃にはそこそこ儲かった。
 郊外にマンションを買い、外車を乗り回し、結婚はしなかった、当然子供もいない。独り身の気楽さは有るが、やはり年齢と共にひしひしと孤独を感じることもある。一昨年、十八年飼っていた愛猫に死なれた時には……心にぽっかりと穴が開いてしまった。私にとって身内と呼べる家族はその猫だけ・・・

3

断髪式。さよならなんだ。ひそやかに。

14/07/23 コメント:7件 滝沢朱音 閲覧数:3592

――違う。
――手が覚えているの。

「まるで別の人に抱かれてるみたい」
素直にそう囁いたら、男は苦笑した。
「言うかな、そういうこと」
「だって」
両手を伸ばし、彼の髪に触れる。短く苅られてしまったその毛は、あたしの手のひらでちくちくと嫌な感じに主張する。
「何。違う奴とやってるようで、興奮するって?」
「……」
男の長い髪を下から掻き・・・

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浅草の夢

13/03/28 コメント:6件 yoshiki 閲覧数:3591

 浅草ときくと自分はどうしても江戸川乱歩を連想してしまう。乱歩という人は浅草と言う街を本当に愛していたらしい。浅草ゆえの東京住まいと随筆に書いていたと聞く。
 自分が初めて乱歩の小説を読んだのは十年ぐらい前の事で、『青銅の魔人』というのを読んで、全然面白いと感じなかった。それというのもこれは少年探偵団の出てくる比較的後期の作品で子供向けの要素が多かったからだろう。それから無知な自分は当分乱歩・・・

1

冬来たりなば春遠からじ

12/06/12 コメント:3件 そらの珊瑚 閲覧数:3577

 ぶるぶるっ。冬は寒い。あたりまえか。ぼくは毛皮を着ているからいいけど、銀次は冬でもぺらっぺらっの木綿の単衣。どんだけ寒いかって思うよ。でも寒いって江戸っ子が言うのは野暮だと思ってて「はーくしょい。今日はばかにあったけいな。もう春か」なんて強がり言ってんだよ。風邪引く前に綿入れすればいいのにね。
 申し遅れましたが僕は犬の『くろ』。人間の言葉をしゃべる不思議な犬だよ。豆腐屋銀次はぼくの飼い主・・・

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朝茶はその日の難逃れ

14/09/22 コメント:8件 そらの珊瑚 閲覧数:3577

「朝茶はその日の難逃れ」

 祖母はそう言って朝食が済んだあと、毎朝緑茶を淹れて飲ませてくれた。
 朝は一分だって多く寝ていたい年頃の中学、高校生の頃はそんな迷信めいた行為を僕はありがたがるどころか、内心ばかにしていた。はっきりいえばウザかった。
「あちィッッ」
 クソっ! あわてて飲んで口の中を火傷することもしょっちゅう。
 僕が度を越した猫舌になってしまっ・・・

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過去への手紙

12/03/26 コメント:1件 ぽんず 閲覧数:3574

「明日から期末テストだ。今日は早く帰ってしっかり復習するように」
担任の藤沢は、そう言い残して放課後のチャイムとともに足早に教室を後にした。
高校生活最後の期末テストだ。最後くらい頑張んなきゃな。と、森下加奈子は教室の前に貼り出されたテストの時間割を確認した。
げろ。一限目から苦手な数学かよ。げろげろ。
「かーなーこー」
最前列の席からここがオペラの劇場かと勘違いして・・・

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おら田吾作

12/07/02 コメント:5件 泡沫恋歌 閲覧数:3573

 俺の名前は織田吾作。
 群馬のド田舎から、東京の大学に進学した。生まれて初めて故郷群馬を離れた。俺の育った所は群馬でもかなり過疎地域で、360度グルッと山と田んぼと畑に囲まれている。見渡す限りの田園風景だ。
 最寄の駅まで車で30分、バスは一日2本。携帯は全て圏外、テレビも映るのはNHKと民放が3つだけ……って、どんだけ田舎だんべ。
 修学旅行でしか県外に出たことがない俺は、こ・・・

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櫛 くし

13/11/04 コメント:27件 草愛やし美 閲覧数:3563

「母ちゃん、こんな綺麗な櫛落ちてた」
 母は、あからさまに曇った表情になった。
「櫛……母ちゃん」
「あのね、未奈、櫛は駄目なの」
「何で? 綺麗な櫛だよ」
「櫛は、九四の数字に当てはめて、苦や死を指すの。だから、病人や不幸な人が、自分の苦しみや不幸を誰かに代わってもらいたい時に、道端にわざと置く物なの。そして、拾った人は、その苦死を受け継ぐことになる。早く元の場所に・・・

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青く光る森の妖精

14/07/24 コメント:16件 草愛やし美 閲覧数:3560

 その森では、今も夜になると仄かな青い光が灯るという……。あれから、何年経ったのだろう。少年はその森で何を見たのだろう?
 自国のみが唯一の民と主張する独裁者バドは、テロやゲリラ戦を仕掛け隣国ナモハに攻め入り支配下に置いた。バドの狙いは、その地に眠るエネルギー資源。その採掘場はナモハの北の果ての森にあった。だが、莫大なエネルギー物質は、人の命を危険にさらすものだった。採掘に従事させられたナモ・・・

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ひとり二人羽織

15/04/10 コメント:4件 鬼風神GO 閲覧数:3559

 妻のさなえが死んで三ヶ月たった頃、俺は取り憑かれるようになった。しかも夜、台所に立つときだけ。最初は驚いたが、まだ側にいて心配してくれているのだと思うと、嬉しかった。もしかするとみじめな姿を見かねて尻を叩きにきたのかもしれない。おっとりしてはいるが、一度決めると譲らない芯の強さがあった。
 ――前を向こう――
 彼女の口癖だ。
 台所に行き、まな板を用意する。数秒の間に身体が人・・・

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ビューティーコロン

15/07/20 コメント:10件 泡沫恋歌 閲覧数:3541

「チクショウ! これで何度目の失恋だろう」
 今しがた男に別れようと言われた。理由は他に好きな子ができたから……また、それかよ! そんな言い訳で今まで何度ふられたことか、悔しいけど本当の理由は分かっている。私がブスだからでしょう。
 私の容姿といったらチビで短足、貧乳だし、顔は色黒、細い目、あぐら鼻、しゃくれ顎、おまけにド近眼。整形したくとも、どこから手をつければいいのやら……究極のブ・・・

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部屋番号195号室

13/11/03 コメント:14件 草愛やし美 閲覧数:3537

 格安優良物件、空き部屋有り〼 日払いOK。部屋番号は、賃貸希望の方のみにお教えいたします。

  ★

あたちねぇ さっちゃん
さっちゃんって名前良いでしょ!
これね自分でつけたんだよ

だって幸せになりたいんだもん だからさっちゃん

いくつって?
う〜んと……産まれてすぐだから 2分くらいかなあ?
おうちは・・・

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手紙復活の会

13/04/21 コメント:6件 鮎風 遊 閲覧数:3537

 滝川拓馬は郵便受けから一通の手紙を取り出した。差出人は浜崎優奈とある。
 なぜこの年になって、突然に優奈からかと思ったが、不思議なものだ、胸が高鳴るから。

 浜崎優奈、拓馬の高校時代のガールフレンドだった。というより、拓馬にとっての初恋の人。
 優奈は町の高校へと電車で通っていた。多分田舎の中学校では成績一番で通してきたのだろう。どことなくツンとすましたところがあり、と・・・

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アンハッピーバースデー

12/04/14 コメント:2件 ジョゼ 閲覧数:3534

誕生日なんて大嫌いだ。
8月15日、誕生日前日。居酒屋のカウンターに酔いつぶれ寸前の私は、梅酒を握りしめつつぼんやりと人が帰っていく店内を眺めていた。幸せそうで、何よりですね皆さんと、皮肉なことを頭で考えた。そう明日は誕生日。なんで来るのか、そこまでいったら身もふたもないが、とにかくいまはその誕生日から逃げるように一人居酒屋まできた。誰かと一緒だと不安だった。いいことなんて、今までたったの一・・・

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ある冬の夜

12/03/06 コメント:0件 密家 圭 閲覧数:3528

こちらに来るとき、親戚の誰かが「東京の冬は寒い」と言っていた。たしか、田舎の冬は雪のようにふわりとしたところがあるが、都会の冬はアスファルトのような無機質な寒さだ。そんな内容だった。使い捨てカイロを両手でこすりながら、確かにそうかもしれないと思った。そんな夜だからこそ、人々は誰かを求めるのかもしれない。この鋭い寒さを耐えられない人たちが、様々な形で惹かれあう。ここはきっとそういうところだ。

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裸婦像

13/08/19 コメント:0件 yoshiki 閲覧数:3521

 ――やわらかな木漏れ日がそのアトリエに差し込んでいた。
 画家のアトリエは洋館の二階にあり、壁には蔦が絡まっていた。
 窓際には大きなカンパスがイーゼルに乗って置かれてあり、カンパスには見目麗しい裸婦像が油絵の具で見事に描かれていた。絵はほとんど完成していて最後の仕上げに入るところであった。
 画家は豊かな顎鬚をたくわえた、まるでダビンチを連想させるような風貌をしていた。・・・

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母の帰郷

12/06/15 コメント:4件 泡沫恋歌 閲覧数:3517

 うちの両親は大分県の出身者である。
 父は津久見市で海に近い漁師町で生まれ育った。母は大分市鶴崎の裕福な農家に生まれた。父親は婿養子で、三人兄弟の末っ子の母は三味線や舞いなどお稽古事を習い、母親に可愛がられて育った人である。母の人生が狂い始めたのは十九歳の時に母親が亡くなったからだ。

 両親が結婚したのは戦時中だった。
 実はその前に母は二十歳で一度結婚をしている。わず・・・

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コ・ロ・シ・テ・ア・ゲ・ル

13/05/06 コメント:7件 鮎風 遊 閲覧数:3515

 白いビルと黒いビルの間に、巾六〇センチほどの犬走りがある。それは反対側の大通りへと通じている。そしてそこには少し違った世界がある。
 こんなことを知っているのは魔美(まみ)だけだった。

「遅いぞ、さっさとコーヒー入れろよ!」
 時間通り出勤してきた魔美に、高木係長から居丈高な指図が飛んできた。
 魔美はこの雑誌社に入社してまだ二ヶ月、新人だ。従って、朝から不機嫌な・・・

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44.6メートルの空

12/03/07 コメント:0件 ゆひ 閲覧数:3506

新宿の高層ビルの25階。
昼休みのチャイムがなる2分前に、窓の外を眺めた。
徹夜明けで、瞼は今にも閉じそうなくらいに重い。
狭くなる視界に映るのは、地上100メートルの空だ。

ふと、10年前の出来事が脳裏に浮かんだ。

そのときぼくは、仕事で大失敗をして、ひどく落ち込んでいた。
どこかに逃げたい、本気でそう思い詰めた。
そして辿り着いたのは「・・・

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明朝体ワールド

13/04/07 コメント:6件 鮎風 遊 閲覧数:3502


 何かが変だと思っていた大樹、雷門の大提灯を見上げたまま固まってしまった。
「節子、これって、いつもと違うよな」
 久々に休暇が取れ、婚約者の節子と浅草へと出掛けて来た。結婚を三ヶ月後に控え、幸せな家庭が築いて行けるようにと、浅草寺(せんそうじ)の本尊・観世音菩薩さまに祈願しに来たのだ。
 だが、大樹は雷門の前で突然立ち止まってしまった。節子が「提灯は、何も変わってないわ・・・

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ゆりかご

12/03/30 コメント:4件 かめかめ 閲覧数:3499

女一人で、どこの店にも入れるようになって、10年はたつ。
ラーメン屋、バー、居酒屋。
昔は独り呑みなんて考えられなかった。
ところが、独身、彼氏なし、キャリアだけが積みあがるアラフォー女になると、友達は皆、子持ちの主婦。
プライベートの時間まで会社の人間の顔を見たくはない。

必然的に、独りに慣れてしまった。

今日も、始めての居酒屋に、ぶらりと入る・・・

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お星様のご寄付をお願いします

12/12/03 コメント:16件 草愛やし美 閲覧数:3498

 のろまな天使のポジは、いつも失敗ばかり、女神様はそんなポジが心配でたまりません。でも、めげずに頑張るポジを密かに応援しています。ポジが、女神様に呼ばれました。
「よくお聞きなさいポジ、あと3日でクリスマスです、でも、今年のクリスマスは迎えられないかもしれません」
「ええ!? 女神様、クリスマスのために私たち天使は、一所懸命、準備をしているというのに、迎えられないなんて、そんなことって・・・

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トンネルの女

13/02/20 コメント:3件 石蕗亮 閲覧数:3495

私が占師のせいもあり、友人同士の会話にも心霊ものは多く「見ていいもの、悪いもの」などという言い回しは頻繁にある。
その日もそんな会話をしながら私の実家の秋田へと車を走らせていた。
 国道を北上し山形市から新庄を通過し更に進むとしばらくコンビニも民家も無い山の中を小1時間ほど走ることになる。仕事の都合で出るのが遅くなり山道に差し掛かる頃には日付を跨ごうとしていた。
街中と違い山間は・・・

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守りのデッドロック

14/09/14 コメント:11件 夏日 純希 閲覧数:3490

男たるもの、頑なに貫きたいことがあるだろう。
それを守ること、それ即ち矜持である。
だが、守ると何かを失うとしたらどうすべきか?

真っ白なゲレンデ、中級者コースから外れてしまった僕らは、
誰も踏みつけていない深い雪に囲まれて二人きりだった。

目の前には、愛しの佐伯さん。

僕らの関係と言えば、他人以上・恋人未満。
端的に言い直せば、告・・・

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わたしのエゴらいふ(笑)

12/06/11 コメント:3件 泡沫恋歌 閲覧数:3483

 ――ひと言でいうと、わたしは夫の性格が嫌いです。

「おーい」
 階下で夫の呼ぶ声がする。二十五年ローンの安普請の三階建住宅は、階段ばかりが多くて昇り降りが大変、毎日がうんざり。
 一階の駐車場に置かれているゴミ袋を開けて夫が何か言っている。
「なぁに?」
「家庭ゴミの中にマヨネーズのキャップが入っていたぞ!」
 赤いキャップを摘まんで目の前に突き出す。・・・

6

タブラージュ

13/02/05 コメント:10件 そらの珊瑚 閲覧数:3471

 今夜カイトは帰らない。勤めている病院の夜勤なのだ。ちょうどよいので、バレンタインに渡すチョコレートを手作りしてみようと思い立つ。
 
『手作りチョコレート』
 パソコンで検索すると、いくつかのレシピが現れた。
 そのなかに聞きなれない言葉があった。

『タブラージュ。温度調節のこと。なめらかな口当たりのチョコレートをつくるために欠かせない作業』
 ふむふ・・・

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めんなしさん

13/05/25 コメント:6件 AIR田 閲覧数:3470

 僕がめんなしさんと初めて出会ったのは、2年前の12月24日。僕がめんなしさんと最後に会ったのは、1年前の12月24日。

 29歳の誕生日を迎えた4月、僕は社会人になった。それまで定職に就かず、バンド活動に勤しんできたものの、やっているという感覚に全力で甘えた僕は、気がつけば一番なりたくなかったミュージシャン気取りになっていた。辛い所は逃げ、甘い所に行く。偉そうな屁理屈でいつも本気で・・・

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sub Rosa

14/09/27 コメント:10件 橘瞬華 閲覧数:3466

 先日、祖母が亡くなった。二度の大戦を経験しての大往生。棺の中の祖母は微笑みを浮かべているように見えた。その祖母が亡くなるほんの数日前に話してくれた秘密を、忘れない内に書き記そうと思う。

 おじいさんとは家が近所でねぇ、私の家とあの人の家では身分は違ったけど他に子供も居なかったからよく遊んだものさ。あの人は私より十ばかり年上で、今思えば子供の我が儘で振り回してばっかりだった。
・・・

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Solitary desertion

13/04/11 コメント:13件 クナリ 閲覧数:3457

あの日から、何年経っただろう。
あの古い水族館が取り壊されると、私は地元の情報誌で知った。
遂にあの手紙が窮屈な暗闇から開放されると思うと、つい、羨ましい、と思った。

私が高校生の時だった。
私と級友のチナツは、それぞれの彼氏だったアキラとトワ君と共に、四人で日曜日にあの水族館へ遊びに行った。
なぜあんな寂れた所を選んだのかは覚えていない。ただ、楽しくて仕方が・・・

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妹の郁子

13/02/20 コメント:6件 鮎風 遊 閲覧数:3452

 洋一は久し振りに実家に帰った。父は八年前、そして母は五年前に他界し、今は誰もいない。家には火の気はなく、春だというのに冷え込む。還暦をとっくに過ぎた洋一、その冷たさが身に沁みる。
「さっ、飾り始めるか」
 洋一は気合いを入れ直した。今からお雛さんを飾ろうというのだ。
 まず納屋から古い木箱を運び込んだ。そしてそろりと蓋を開けてみる。少しかび臭い。覗けば、新聞紙に包まれた大小それ・・・

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