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風鈴虫

19/07/15 コメント:0件 いっき 閲覧数:22

 春の柔らかな陽射しの射し込む日曜日。庭に目を遣ると、黄色いタンポポが穏やかな太陽に顔を向けて微笑んでいた。
 健気な生命の息吹に、自分の顔も自然と綻ぶ。その庭で、小学校に上がりたての息子が虫捕りをしていた。
「ちょうちょ、ちょうちょ。出てきておくれ♪」
 ちょうちょの歌の替え歌なんかを歌いながら一丁前に首から虫カゴをぶら下げ、虫捕り網を持って虫を探している。とはいってもやっと春・・・

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出土した宇宙

19/07/14 コメント:1件 本宮晃樹 閲覧数:40

 徳川埋蔵金、平家の落ち武者が残した隠し財宝、古代遺跡、その他いろいろ。
 そのいずれかがうちの庭に埋まっていないと誰にも断言できまい。
 少なくとも庭を掘り返してそれらがないことを観測するまでは。

「あなた、本当にやるの」妻はわたしの計画を聞いてすっかり呆れ果てているようだ。「うちの庭に徳川埋蔵金なんかあるはずないじゃない」
「あるいは平家の隠し財宝か、古代遺跡・・・

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庭女

19/07/11 コメント:0件 若早称平 閲覧数:39

 きっかけは息子のしつけに関する意見の違いだった。真夜中の言い争いはだんだんと激しさを増し、激昂した夫に突き飛ばされたのが生前の最後の記憶だ。
 夫の家系は代々この辺りの地主で、それ相応の立派な日本家屋を広い庭が取り囲む。専属の庭師がいて月に一度手入れをしにやってきていた。次に気がつくと私はその庭になっていた。と言っても庭に誰かのいる気配が分かり、かすかに音が聞こえるだけで家の中や外の様子は・・・

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嗤うラブドール

19/07/11 コメント:0件 路地裏 閲覧数:119

 お守りを握りしめながら彼の部屋の玄関に立つ。履き潰された靴やボロボロになったサンダルが転がっている。いつもの正しい彼が履いている靴とは似ても似つかないものばかりだ。

 こんな人は知らない。薄暗いワンルームの奥からロゴが入った白いTシャツと水色の短パン姿の彼が現れる。「どうぞ」と狭い玄関に散乱したそれらを端へ寄せてくれた。

「お邪魔します」
 高級マンション。私の・・・

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庭のカメ

19/07/11 コメント:0件 こぐまじゅんこ 閲覧数:59

 ひいじいちゃんが、春になくなった。
 ひいじいちゃんが世話をしていた庭のマーガレットの花は、さびしそうに風にゆれていた。

 ぼくは、白井たいき。小学一年生。
 ひいじいちゃんが元気だったころ、ぼくは、ひいじいちゃんといっしょに庭に水をまいたりしていた。
 ぼくが、
「トマトを植えて!」
って頼んだら、ひいじいちゃんは植木鉢にミニトマトの種をまいてくれた・・・

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箱庭の天地創造

19/07/09 コメント:0件 土井 留 閲覧数:46

 B博士は、時間の促進を実現した天才物理学者である。名声と富を得て引退し、彼は自宅の庭で疑似創造主になろうとした。
 手順はこうである。まず、庭を閉鎖し、動植物を入れて自然環境を造る。そして庭の時間を早め、長い年月を経過させる。すると、閉ざされた庭の生態系が変遷し、生物の環境適応、つまり進化が起きる。こうして庭先で起こる生物のドラマが、博士の老後の楽しみになるのだった。
 B博士の広大・・・

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お爺さん

19/07/08 コメント:0件 デヴォン黒桃 閲覧数:80

 チョット、僕の話を聞いてくれるかな。

 隣に住むお爺さんは、僕が物心ついた頃からお爺さんだった。いつも保育園へ向かう途中で、母が挨拶していたので印象に残っている。その頃からお爺さんだった。ソンナ人が町に居たことは有るだろう?
 家族は居ないようだった。聞いてはいけないような気がして、其の事について訪ねた事もない。毎日が寂しくて人恋しくて、庭を守るように眺めては道を行く人に声を・・・

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庭が武装解除された日

19/07/06 コメント:0件 本宮晃樹 閲覧数:71

 下北啓一郎(御年五十歳)は自分の庭――若かりしころに購入した猫の額――を見渡し、満足げに何度もうなずいている。「いつ見てもほれぼれするな。これなら誰も俺の庭にちょっかいを出せんはずだ」石をも噛み砕けそうな歯を見せて呵々大笑。「ロハの昼飯なんかありゃせんのだ」
 下北氏の庭を一言で形容するなら、〈デスマッチ用のプロレスリング〉である。害獣よけの高圧電流柵で覆われ、それは高さ二マイルほどもある・・・

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ハルディン。

19/07/04 コメント:0件 ダイナマイト・キッド 閲覧数:136

ハルディン。Jardinと書く。スペイン語で庭という意味の言葉。
メキシコ合衆国メヒコ州ナウカルパン市ハルディン。それが私の住所だった。
18歳の春。高校卒業後すぐに私はそこにいた。

 プロレスラー養成学校・闘龍門に入学するためだった。
 高校在学中にバイトして貯めたお金と、足りない分は母に立て替えてもらってメキシコに渡った。東京の江東区にある事務所で面接をして、後・・・

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食虫植物はかわいいな。

19/07/04 コメント:0件 ダイナマイト・キッド 閲覧数:89

 去年の夏ごろから近所のお花屋さんで買ってきた食虫植物を育てている。小さな鉢植えに入ったアフリカナガバモウセンゴケというモウセンゴケの一種と、お馴染みのハエトリソウが仲良くお庭の片隅に並んでいる。もともと食虫植物やキノコには子供のころから興味があったし植物図鑑のページを日がな一日見てられるような子だったので、今になって自分の家のお庭にミニサイズのハエトリソウとモウセンゴケがあるのが楽しくて仕方がな・・・

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音無しの秩序と調和

19/07/04 コメント:0件 秋 ひのこ 閲覧数:33

 枝切り鋏が刃を重ねるたびに、松の枝葉がはらりと落ちる。
 口を真一文字に結んだ初老の男が、脚立の上で汗を拭う。
 その様子を、9歳のユタカは縁側で膝を抱えて飽きもせず、朝から延々眺めている。
 すっと手前が暗くなり、見上げると父が立っていた。紺鼠木綿の着流しで、ユタカを見下ろしやや目を細めると、骨張った大きな掌でユタカの頭をぐり、と撫でた。
 中央に池、奥に富士山を見立て・・・

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僕の家の虚ろな庭

19/07/02 コメント:0件 堀田実 閲覧数:44

 僕の庭には首吊り死体がたくさん連なっている。小さい子供の死体もあれば背の高い大きな大人の死体もぶら下がっている。
「今日もまた一段と大きくなったね」
僕はいつものように死体に声をかける。僕の庭にこの木が植えられてからの毎日の日課だ。不思議だけれどこの木は死体を実らせる木らしいのだ。どんな名前の木なのか父に聞いたけれどいまいちよくわからなかった。今まで普通に話をしていたはずなのに、その・・・

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数百円で消える家族の話

19/07/02 コメント:0件 村升 青 閲覧数:41

私は生まれた時から小さくて、一人前になってもお姉ちゃん達と同じようには動けなかった。
役立たず、と置いていかれてばかりだったけど、それでも私は小さな足で必死にお姉ちゃん達の後ろについて回った。
ママは赤ちゃんが生まれるから動けないし、パパもいない私達は自分でご飯を用意しなくちゃいけない。
私が赤ちゃんの時は、お姉ちゃんがご飯を食べさせてくれた。
だから私も幼い妹達と、ママの・・・

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超美的探究者の論理と心理

19/07/01 コメント:1件 土井 留 閲覧数:98

 半ば腐った死体が折り重なっている。衣服をはがれ、あるいはぼろ布をわずかに巻きつけ、一様にやせ細って男女の区別もつかない。死体の山から、蒸気のようなものが一筋、二筋と立ちのぼり、寄り集まって霧となった。紫がかった霧に、無数の人の顔や手足が浮かんでは消えた。指がうごめき、ぽっかりと空けた口が苦痛に歪んだ。
 怨霊をはらんだ霧がふわりふわりと漂い、烏丸通を抜けて室町殿の板壁に達した。しかし、飢え・・・

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庭に愛された男

19/07/01 コメント:0件 W・アーム・スープレックス 閲覧数:68

 やっぱり庭が後をつけてきている。
 そんなバカなと、友樹はじぶんでじぶんの考えを否定したが、細い通りにならぶ家屋の二軒さきの、フェンスのなかにのぞく庭を、どうにも不可解そうにのぞきこんだ。
 そこには、やっぱりさきほど、ここから少し離れたところでみた家の庭とおなじものが、あった。
 その庭とは、言葉で表現しにくいのだが、なんとも艶めかしい庭だった。
 何気なくその家のまえ・・・

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車で五分

19/07/01 コメント:0件 海見みみみ 閲覧数:63

「おじいちゃんも八十歳なんだから危ないよ! 免許は返納して、運転はやめて!」
 キッパリ告げると、私はおじいちゃんとの電話を切り、ため息をついた。
 最近高齢者が自動車事故を起こす話をよく聞く。私のおじいちゃんももう八十歳だと言うのに、未だに車を運転していた。まったく危なっかしくて仕方ない。
 高齢者の免許なんて、強制的に返納するようにすればいいのに。近頃の事件を聞くと、そう思わ・・・

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神に見放された庭

19/06/30 コメント:1件 本宮晃樹 閲覧数:108

 わたしは強固な無神論者である。
 イギリスの動物学者であるリチャード・ドーキンス(もちろん無神論者)が神の存在可能性を1〜7の段階で示している。1は神がいると「知っている」狂信者の状態、7は神がいないと「知っている」筋金入りの無神論者の状態。ドーキンスはまだ証拠がないのでやむをえず7寄りの6であると公言しているが、わたし自身は7であると自信を持って断言したい。
 この小論でわたしは庭・・・

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鯉のいる庭

19/06/30 コメント:0件 W・アーム・スープレックス 閲覧数:85

 米須はしゃにむに塀を乗り越え、下草の上に着地した。
 塀の外に耳をこらすと、まもなく、ばらばらと複数の足音がとおりすぎていくのがわかった。警官たちをまいたことで、胸をなでおろした彼は、事務所荒らしで奪った金品のつまったリュックを満足そうになでさすった。
 ザブッという水音が聞こえた。みると、庭には人口の小川が流れていて、岸辺に設置された照明にゆらゆらと水面が光っている。いまの音はきっ・・・

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昨今の校庭事情

19/06/29 コメント:0件 悠真 閲覧数:70

 窓際の席に座っている男子生徒が「犬だ!」と窓の外を指差して声を上げた。
 窓際の他の生徒も体ごと窓の方を向いて「ホントだ!」、「大きい!」などと騒ぎ始める。その声につられるようにして、教室内の人口密度は窓際に偏った。
 私も窓から校庭を見下ろすと、確かに一匹の犬がとぼとぼと校舎に向かって歩いて来ている。
 白い毛が黄ばんだのか、元からそういう色なのか判断がつかないが、とにかく汚・・・

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庭先の戦争

19/06/29 コメント:0件 はらくん 閲覧数:75

「庭には二羽鶏がいる」

 この庭駄洒落界の雄に待ったをかけたのが、「何はともあれ浪花の庭」であった。

 これを聞いた庭駄洒落界隈の人々は唸った。NIWAというフレーズの繰り返し数は三回と同じながら、更にNANIWAが掛かっているのだ。ここまでのテクニックは、駄洒落に回文を組み込んだトマト洒落界のレジェンド、「トマトと的」以来かもわからない。

 だが、庭をモ・・・

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月夜の養殖人間

19/06/28 コメント:2件 海見みみみ 閲覧数:79

「ロンヂルさんですか?」
 夜のハンバーガー店。スマホの出会いアプリで知り合った男らしき人物に声をかける。
「キクちゃんかな? 俺がロンヂルだ」
 キク、私のハンドルネームを男が答える。一応普通そうな人。彼で間違いないようだ。
「変なことは一切なし。ここでただお話をするだけ。それでいいですね?」
「もちろんだとも。もっと派手な子が来るかと思ったら、普通の中学生でビック・・・

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美しい緑の庭

19/06/28 コメント:0件 笹峰霧子 閲覧数:72

 田舎育ちの喜美子にとって思い出の大部分は自然豊かな庭や畑、竹藪であった。
 田舎の家はどこも敷地が広い。家の周りには庭があり果樹が植えられていたりする。喜美子の家の周辺には少し距離を置いてぽつぽつと小さな家が建っていた。
若くして病死した父なきあと、一粒種の喜美子は母の元で何不自由なく育った。
 そうはいうものの喜美子の生い立ちは母ひとり子ひとりの心寂しいものだったのである。近・・・

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庭にいる

19/06/28 コメント:0件 浅月庵 閲覧数:67

「庭に誰かいる」
 妻は掃き出し窓の前に立って、ガラス越しに暗闇を見つめていた。
 俺は妻に近付くと、彼女を自分の背後に退かせ、半ば強引にカーテンを閉めた。
「変なこと言うなよ」
「洗濯物を取り込まなくちゃ」
「……明日、明るくなってから俺がやるよ」

 都会の雑踏にも、仕事で数字ばかりを追いかける毎日にも疲弊し切っていた俺は、妻を説得して先月から、田舎暮・・・

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遥かなり、わが愛しの庭

19/06/26 コメント:2件 W・アーム・スープレックス 閲覧数:87

 レイ・城市は隊長のブリバから、もしいますぐ転送するぞといわれたら、どこがいいときかれたとき、即座に、
「わが家の庭」とこたえた。
「家じゃないのか」
 他の隊員たちが一様に、家族のまつ家といったことをふまえて、ブリバは問いかけた。
「庭には私と妻のおもいでが、ぎっしりつまっているのです」
 周囲のみんなの顔には、また彼ののろけがはじまったといった表情がうかんだ。

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じいちゃんのつくる庭

19/06/26 コメント:0件 こぐまじゅんこ 閲覧数:133

 けんくんは、三さい。
 じいちゃんもいっしょにくらしています。
 けんくんのおうちには、庭があります。
 じいちゃんのすきな松の木や柿の木があって、花壇もあります。
 けんくんの遊び場も作ってくれています。
 
 じいちゃんは、けんくんが一さいをすぎたころから、花壇のすみっこに、すなばを作ってくれました。
 けんくんは、ちょこちょこ歩けるようになると、そ・・・

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怪獣ちゃんは見てる

19/06/25 コメント:0件 海見みみみ 閲覧数:73

「アタシ怪獣って言うの。よろしくねシヅカ」
 自称怪獣の女の子は、ハンカチで私の涙をぬぐってくれました。小学生くらいの元気そうな子。どう見ても怪獣には見えません。
 中学校の裏庭。放課後だからか、私たち以外に人の姿はありませんでした。
「シヅカ、がんばってるよね。中学に入ってから、ずっと陸上部で」
「私のこと知ってるんですか?」
「知ってるよ。ずっと見てたもん」

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19/06/24 コメント:1件 入江弥彦 閲覧数:158

 初期衝動はもう残っちゃいない。
 六畳一間に彼女と二人暮らしをしていて貧乏ながらも幸せだ、と見栄を張りたいところだが、残念なことにこの部屋は四畳半しかないし彼女はつい先月出て行った。最初のころは大好きでたまらなかったはずだけど、最近では狭い部屋に一緒にいるのが苦しくて、いつになったら就職するのと言いたげな視線に耐えかねていたからちょうどよかった。
 一息ついてギターを鳴らすと隣の人が・・・

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ヨシコちゃん

19/06/24 コメント:1件 入江弥彦 閲覧数:136

 僕がまだ幼稚園児だった頃、帰り道で猫が死んでいた。
 寝ているものだと思って近づいた僕の手を慌てて掴んだお母さんが、顔をしかめて口を開く。
「触らないの、汚いでしょ」
 その猫が死んでいるということを告げたお母さんが僕の手を引っ張って帰路を急ぐ。
 生きている猫は可愛いのに、死んでいたら汚いなんてどういうことだろう。汚いのなら、洗ってあげたらいいじゃないか。
 ねえ・・・

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キラキラ星幻想曲

19/06/24 コメント:1件 青苔 閲覧数:66

 空を見上げるのが好きだった。
 幼い頃は祖父の膝の上で、空を見上げながら、よく昔話を聞かせてもらったものだ。そう遠くない、昔の話。祖父が子供だった頃の話。
 祖父は子供の頃、地球に住んでいた。
 地球というのは青い星で、水がたくさんあるから青いのだと、祖父は懐かしそうに空を見上げていた。空にはたくさんの星にまじって、祖父の住んでいた青い地球も見えていた。それは明るい水色に輝き、・・・

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彼女たちの純情

19/06/24 コメント:1件 みや 閲覧数:73

ー五人組ネットアイドルグループのピュアホワイトが二年間の活動を終え解散して一ヶ月、彼女たちのその後ー

Aのその後
Aはグループでもあまり目立つ存在では無く控えめなキャラクターが売り物だった。Aは解散後に新しい就職先探しに苦心していた。高校在学中からピュアホワイトに所属していたのでアイドル以外の仕事をした事が無く、求人募集に履歴書を送っても書類選考にすら引っかからない。何通履歴書・・・

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自動ドアより愛をこめて

19/06/24 コメント:2件 宮下 倖 閲覧数:82

 わたくし、自動ドアです。
「壱ノ瀬堂」という古書店で仕事をしております。繁華な商店街から一本奥に入った路地にある、こぢんまりとした店舗の出入口で仕事に勤しむ日々です。
 店の前には鉢植えが並び丁寧に手入れされています。その花たちに誘われてくる虫たちや、悠然と闊歩する地域猫たちの姿を眺めながらののどかな仕事がとても気に入っております。
 さて、自動ドアの歴史が存外古いのをご存知で・・・

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dead of the Childish night

19/06/24 コメント:1件 森音藍斗 閲覧数:83

 現実の人間関係に疲れて出会い系サイトに登録した。
 誰とも会う気はなかった。顔写真の欄には、私が趣味でよく撮る雰囲気写真を載せた。男女の仲に関する生々しい項目はすべてパスして、趣味の欄だけちょこちょこと埋める。
 どんなことを書いたらどんな人間が寄ってくるのだろう、という興味本位の実験も兼ねていて、まあどうせ、現実と同じ、いや現実より露骨に、血の気の多い男共が可愛い女の子を求めて目を・・・

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箱庭

19/06/24 コメント:0件 風宮 雅俊 閲覧数:55

 カーテン越しに強い光が入ってくる。車の音も風の音も聞こえない静かな朝だ。着替えると用意してある朝食を食べる。今日のメニューは目玉焼きとトーストとコーヒーだった。まだ温かさが残っているのは嬉しいものだ。
 両親はすでに出掛けた後、朝の時間に両親と顔を合わせる事はまずなかった。


 ―――全実験体に、テストを起動


 駅に向かう道・・・・、今日は静かだ。・・・

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スケッチブック

19/06/24 コメント:0件 風宮 雅俊 閲覧数:68

「たしか、この辺に夏物を詰めた段ボールをしまったはず・・・」
 袋詰めの古着をどかすと、見覚えのない段ボールがあった。中腰のまま持ち出そうとすると重くて持ち上がらない。
「腰が・・・・」
 気持ちを切り替えて慎重に引き出す。この重さ只者ではない、私の力で動くところを見ると残念ながら金塊ではない様だ。そうなると札束に違いない。うちの押し入れだから諭吉はないとして英世か。記憶にないほ・・・

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ひとはえの庭

19/06/24 コメント:2件 クナリ 閲覧数:187

 僕の家の近所には、「ひとはえの庭」と呼ばれる空き地があった。
 そこはただ雑草と蔓が茂る、空き地としか呼びようのない空間だったが、壊れた花壇の石組みや、池の名残らしい水たまりなどが残っていたため、庭と呼ばれるようになったらしい。
 そして。

 その「庭」には、人間が「生える」という。

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 中学一年生の時だ。
 秋の半ば、僕は夜の家路・・・

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私の庭

19/06/24 コメント:0件 R・ヒラサワ 閲覧数:139

 出勤前の朝、情報番組の特集コーナーの予告を観てケイコの手が止まった。興味のある内容なら、録画予約をするのが習慣だった。
『ゴミ屋敷』
 普段なら見送る内容だったが、モザイクの男性の後ろに映るゴミ屋敷。そこには、かつて愛用していた外国製のオレンジ色の鍋があった。
 予約後、直ぐに家を出た。職場でも集中できず、同僚から声をかけられる事もあった。仕事を終え直ぐに自宅に戻った。
・・・

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妹の純情

19/06/24 コメント:2件 要諦の山 閲覧数:77

 変わった名前の人というのは、たくさんいると思う。最近では、キラキラネーム、なんていう言葉もある。
 名前をつけた側にも理由はあるだろうから、一概にそれがいけないとはいえないかも知れないが。
 僕の妹も、ちょっとだけ変わった名前をしている。
「純情」とかいて、「こころ」と読ませる。はじめて妹の名前をみる人は、たいてい「じゅんじょう」と読んでしまう。
 まぁ、仕方がないだろう・・・

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産卵する乙女

19/06/23 コメント:2件 冬垣ひなた 閲覧数:130

 アフター5にカラオケへ誘う同僚を断り、ほのかは予定通り5時21分の上り列車に乗る。冷房の利かない車内は混雑していて、夏のスーツ姿ではうんざりするほど暑かった。けれど顔だけは涼しげに装い、ほのかは首を巡らせて周囲を見渡した。
「ほのかさん、お疲れ様です」
 座席に座る少年が軽く手を振った。高校の制服姿が、やや大きく見える。また背が伸びたのだろうか。ほのかは化粧直ししたばかりの目元を緩め・・・

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濁った情熱は戻らない。

19/06/24 コメント:1件 小高まあな 閲覧数:108

 漫画を最初に描いたのは、小学二年生の時だったと思う。その前から、お絵描きはしていたけれども、文字と組み合わせ、ストーリーがあるものにしたのはそれが初めてだった。
 忘れもしない、夏休みの祖父母の家で。海に行く予定だったのに、台風が来てしまい断念して、ふてくされている私に祖母が用意したのが、裏が白紙の広告の束だったのだ。
 最初はなんとなくのラクガキ。でも楽しくなってきて、ウサギの親子・・・

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純情の師匠、執拗な情操

19/06/23 コメント:1件 mokugyo 閲覧数:66

「師匠!僕に純情を教えて下さい!僕はお人よしですぐ人を信じて、この世の中の人は実はいい人ばかりだと信じている子供です!こんな世間知らずの僕は純情を極めることができると思うんです!僕に純情の何たるかを指導して下さい!」

弟子の少年はそう言って、目を輝かせている。師匠は、そんな弟子を見て怒りが沸騰してきた。

「このくそ野郎が!」

師匠は思いっきり弟子の頭をひっ・・・

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主演・カノコ

19/06/23 コメント:1件 ササオカタクヤ 閲覧数:101

そういえばこの前頼んどいた新作映画の件どんな状態だろう。私は制作会社の清水に電話で問い合わせた。
「この前の映画の件どうなった?」
「あぁー純情ですよ」
「ほほう!純情か!」
「はい!純情ですよ!このまま撮影に入れますがいかがですか?」
私はプロデューサー。基本的にどんなものを作るのか確認は必要だが、信頼を寄せている清水だ。作品の質に間違いないはず。このまま撮影に入っ・・・

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同窓会

19/06/23 コメント:1件 みつ1122 閲覧数:68

 同級生の一人が経営していた料理屋をたたむことにしたので、最期の記念に同級生に集まってほしいという手紙をもらったのは、もう1ヶ月以上前のことだ。そのうち、返事しょうと思っていたのが、あっという間に時間が過ぎた。特に忘れていたわけではない、むしろ、参加しょうか、今回も不参加にしょうか、満員電車のつり革につかまりながら考えていた。
 朝は、家の電気がついているのが見えたり、洗濯物が干してあったり・・・

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アルキメデスの伝説的最後

19/06/22 コメント:3件 土井 留 閲覧数:125

 科学の本質は現象の解明にあるが、数学は論理の中で完結し、現実との接点を持たなくとも成立する。完全に数学的な人はその世界のみで充足でき、現実への応用を一種の副産物と考える。彼らにとって重要なのは抽象的論理であり、実際的利用は一段下がった目的である。数学者が真に生きる場所は精神的な仮想空間であり、物理的世界は単なる仮住まいに過ぎないのかもしれない。

紀元前3世紀、アルキメデスとエラトス・・・

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マルチタレントの推し☆

19/06/22 コメント:2件 タック 閲覧数:138

友人の推している女性タレントを、寡聞にして僕は知らなかった。
流行に乗り遅れているのかと危惧したが、友人が言うには、まだ知名度の低いタレントであるようだった。
何を主軸に活動されている方なのか、と尋ねたところ、「アイドル、アーティスト、声優、女優をマルチにこなすタレント」との回答だった。
すぐに、僕はこう感じた。
(それほど多才であるのなら、有名になってしかるべしなのでは?・・・

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ハズレ

19/06/22 コメント:1件 霜月ミツカ 閲覧数:84

 感情が無くなればいい。
 誰かに言えばこれを取り除いてもらえるのだろうか。そう思っても彼を見てこの胸らしきところにある痛みがなくなるのは少しだけ惜しい気がする。こういう痛みみたいなものを感じると、わたしも彼にまだ近い存在の気がする。だからもう少しこのままでいてもいいかな。

 喜怒哀楽とか、恋心とかそういうものは人間の特権らしい。ほかの動物にはないものだと言われるけれど、それは・・・

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わかっていない

19/06/22 コメント:2件 田辺 ふみ 閲覧数:116

「先生、好きな人がいるんだろ」
 そう言うと、岩田先生は真っ赤になった。
 おじさん、分かりやす過ぎ。
「い、いないよ」
 ちらりと動いた視線は事務室の方。
 そこには受付の美咲さんがいる。若くて美人で、うん、岩田先生にはもったいない。
「それじゃ、バレバレだよ。なんか、アプローチしてるの?」
「先生は黙ってモテるタイプじゃないんだから、何かしないと」

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愛はカツ

19/06/22 コメント:2件 奥森 ゆうや 閲覧数:93

カツ屋の娘仁美ちゃんはカツが好き。さらに言うとカツが好きな僕のことが好き。
「カッチャンは本当おいしそうにカツを食べるよね」
「私、大きくなったらカッチャンと結婚することにしたわ」
給食でカツが出るたびに僕のことをそう褒めたたえる。自分のカツを1つさらに寄越して、「私のも食べていいよ」とくるから困ったものだ。彼女のくれたカツを頬張りながら本当に結婚するんじゃないだろうなと不安にな・・・

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純情色、霞む

19/06/22 コメント:1件 路地裏 閲覧数:159

 手が震える。
 シャンプーの詰め替えほど面倒なことはない。一気に注ごうとするとかえって失敗してしまう。急がば回れということだろうか。
 液体を注ぎながら、妻のことを考えた。

「純情色を見たことはある?」
 当時恋人だった妻は、顔に白い粉をはたきながらそんなことを言った。純情色という聞き馴染みのない言葉の意味を彼女に尋ねた。「本当のところは知らない」と答えた。続けて・・・

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純度

19/06/21 コメント:1件 浅月庵 閲覧数:102

 中学の頃から母親に言われるまま“ウリ”をしていた私は、高校の《純度検査》で数値【32】を叩き出した。
 でも年齢も上がった分、中学のときのように教員に呼び出されることはなかった。むしろ法律上、結婚を許されるランクに足を踏み入れていた。

「私、純度検査のことで先生に呼び出されちゃった……」
 だけど隣の席の永山純子は違った。彼女が不安そうに言った。
「私も中学のとき・・・

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純情仮面 ── 刑事:百目鬼 学(どうめき がく)──第29話

19/06/21 コメント:1件 鮎風 遊 閲覧数:81

 ホテルの地下駐車場、高級外車にもたれるように男が失血死していた。矢で心臓を射貫かれ、そのせいで辺りは血の海だ。
 被害者は最近活躍が目立つ芸能人、鷲爪尖(わしづめせん)。名からして攻撃的、それなのに無惨にも逝った。マスコミはここぞと食らい付き、報道合戦となっている。
 捜査においては防犯カメラ映像にある白帽子に白いマスクをした男が犯人だと推断した。だが物的証拠は鷲爪を射貫いた1本の矢・・・

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