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春を待ってる

18/07/16 コメント:0件 紫聖羅 閲覧数:132

 *

 僕が生まれたのは、三月のとても寒い日だった。その日、東京は大寒波で大雪に見舞われた。人々は口々に、
「今年に入って何度目の積雪かしら」
「地球がおかしくなってるんだ」
 とぼやいていたけれど、僕はとても寒さに強いので気にならなかった。
 この時、まだ目は見えていなかった。僕は元から足がない。でもそれで不自由なことは何もない。手は生まれてから3日目にで・・・

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ドア

18/07/16 コメント:1件 奇都 つき 閲覧数:155

 友人が一人も受講していない授業では、特に席も決めていなくて、適当に座っていた。もっとも、決まってないとはいえ、あまり知らない人が得意ではない私はいつも端っこの席を取るようにしていた。隣の人との間隔が二席くらい離れていると尚良いと思う。丁度この講義で使う教室は直前まで授業が入っていないので、私は前の授業が終わるよりも早い時間に教室に入る。だからいつも一番乗りだ。
 しかし、ドアを開けると先客・・・

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君に、あなたに響く歌

18/07/16 コメント:0件 共和国民 閲覧数:192

 ここは、夜の商店街。聴こえてくるのは、青年の優しい歌声とアコースティックギターの音色。ほとんどの店のシャッターは閉まり、規則的に並んだ電灯が、赤茶色のブロックを敷き詰めた道路を寂しく照らしている。千鳥歩きの酔っ払いが演奏を終えた彼に尋ねる。
「どうしてこんな人気のないところで歌ってるんだい?」彼はこう答える。
「待ち人がいるのさ」
 ここは、夜の商店街。人通りは少ないが、ここを・・・

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B4N R.I.P.

18/07/16 コメント:0件 凪野裕介 閲覧数:88

ー†ー
ある日、突然僕は死んだ。
交通事故で即死だった。
この話はそこから始まる!!
ー†ー



睦美にとって娘の凛は不思議な存在だった。
時折、誰も居ない道端で挨拶をしてみたり。
ひとりで部屋に居るはずなのにな会話が聴こえてきたり。
携帯電話も与えてはいないし部屋を覗いても他には誰も居ない。
育児本によると小・・・

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歴史

18/07/16 コメント:0件 55 閲覧数:92

 小学生の頃だった。バラエティ番組の笑い声が響くリビングルームで、父は自らの胸を叩いた。同時に台所に立つ母が、食器棚に手を伸ばす光景を覚えている。棚から一枚の皿が落ちると、小さな悲鳴をあげた母は物憂げな視線を落とした。振り返る父の首と同じ速度で、笑顔が出来あがった。
「大丈夫よ」
 自慢話を遮られた父は「そうか」と言って私に向き直った。しゃがみこんで皿の破片を集める母は、あの表情に戻っ・・・

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アナザー・ニュー・ホライズン――未完請負人・小椋小夜子――

18/07/16 コメント:5件 滝沢朱音 閲覧数:391

 突然私のもとを訪れたのは、見知らぬ中年男性だった。
「小椋先生、この小説の続きを書いていただけないでしょうか。お願いします!」
 リノベーションした古ビルの一室が、私の自宅兼事務所だ。広告や看板の類は一切出していないのに、この男はどうやってたずね当てたのだろう。いぶかしむ私に、男は説明する。
「仕事柄、出版社の方とも取引がありまして……それで先生のことを知ったのです。急逝した作・・・

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リインカネーション

18/07/16 コメント:16件 冬垣ひなた 閲覧数:779

「何度も言うようですが、亡くなったドナーの情報はこれ以上お教えできません。感謝の気持ちを伝えたいのであれば、あなたの名前を伏せて、ご遺族の方にサンクスレターを書く事が出来ますよ」
 角膜移植手術の経過は順調だった。16歳にして円錐角膜の大病を患った私は、善意の人の命と引き換えに窮地を救われ、再び視力を得たのである。
 左目の角膜を提供してくれたのは、20代の男性だそうだ。
 忘れ・・・

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土まみれの純白

18/07/16 コメント:10件 飛鳥かおり 閲覧数:1149

 一番初めに覚えた諺は「出る杭は打たれる」であった。子ども用のことわざ辞典をめくっていたときに、「ああ、私のことだ」と思ったのだ。
 小学校に通いだした私は、教室で大人しく座っているというノルマを毎日こなしていた。
 教科書は配られた週の週末に読み終えていた。算数ドリルをもらった翌日に全問解いたものを提出したら「みんなに合わせようね」と先生に呆れられた。
「どうして?」
 ・・・

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私と無口な先輩と

18/07/16 コメント:0件 七霧孝平 閲覧数:99

それは高校に入学した日のことでした。

「あれ、ここどこだっけ……?」

入学早々、私は高校の一角で迷子になっていました。
高校の奥の林は思っていたより広く私を包み込んでいます。
1人、高校探索をしてみたのはいいもののこのままでは帰れません。そんな時でした。

「……」
「きゃっ!?」

木から突然、男の人が降りてきました。
・・・

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続きが気になる。

18/07/16 コメント:0件 笹岡 拓也 閲覧数:431

新鋭漫画家として注目を集めていた桜田ラクサ先生が、42歳という若さで突然この世を去った。訃報は瞬く間に知れ渡り、多くのファンが悲しみに暮れていた。

「それにしても『悪魔コレクション』の続き見たかったよねー!」
桜田ラクサ先生の遺作となった『悪魔コレクション』の最終巻が発売された。亡くなる直前に完結した作品で、きっと先生は作品の完結まで力を振り絞って描いたんだと思う。そう考えると・・・

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女客

18/07/16 コメント:0件  閲覧数:148

「『チェリー・21』の者です」
「あ、今ドアを開けます」
「こんばんは。えっと俺」
「時間通りね。入って」
「失礼します」
「はぁ、道端にしゃがんでる小僧ってかんじだけど。んー、もう少しワイルドマッチョがあたしの好みかなあ」
「他の者にチェンジもできますが」
「まあいいや。座って。缶ビールしかないけど、飲む? チェック・インする前にかるくひっかけて来たんだ・・・

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甘い生活をあなたと

18/07/16 コメント:0件 みや 閲覧数:120

僕がスーパーの品出しの仕事を終えて休憩室で冷えた麦茶を飲んでいると、レジ係の中年のおばさんが休憩室に入って来た。僕が妻と結婚した一ヶ月前にこのスーパーで働き始めたのと同じ時期にこのおばさんもこのスーパーで働き始めたていたので、僕達はなんとなく仲が良かった。
「あー今日も忙しかったね、お疲れ様。夕方のお客さんの多さと言ったら」
「お疲れ様でした」
「何急いで帰ろうとしてるのよ」

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勘定狐

18/07/16 コメント:2件 奈尚 閲覧数:350

「それでね。その時ゴトーがさ」
「イヤだぁ、もう」
 昼休み。いつものように数人のグループを作り、談笑し合う同級生達の中に私はいた。
 活気にあふれた教室。束の間の自由を惜しむかのように絶え間なく笑い声が上がり、すぐ近くで聞き耳をたてていないと、誰が何を話しているのか判らなくなる。
 まあ、全グループの話を理解する必要は当然なく、私の場合は目の前にいる二人の親友――ムツミと・・・

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フライトタイム

18/07/16 コメント:0件 清野勝寛 閲覧数:73


「いらっしゃいませー」

 毎朝7時丁度に、その子は店にやってくる。肩まである真っ直ぐの髪の間から見える小さい耳。白いイヤホンで音楽を聞きながら制服のポケットに手を突っ込んで、真っ直ぐ俺の前……レジを横切ってカレーパンとミルクティーを手に取り俺の元へ持ってくる。俺は差し出されたそれを手に取りバーコードを読み取る。読み取らなくても会計は覚えたが。

「237円になりま・・・

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【エッセイ】私がアンジェリーナだった頃

18/07/16 コメント:1件 野々小花 閲覧数:340

 二十代前半の頃に結婚をした。相手はひとつ年上で、ブラジル生まれのひとだった。彼の両親は、幼い頃にそれぞれ家族でブラジルに渡り、現地で知り合い結婚した。そして彼が生まれて、彼が小学生になる前に、一家で日本にやって来たのである。
 彼は出会ったとき「うちは家族で小さなスーパーを経営している」と言っていた。どんなスーパーだろうと思ったら、日本の商品はほとんど売っていなかった。日本に出稼ぎに来てい・・・

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名札

18/07/16 コメント:0件 海音寺ジョー 閲覧数:69



 グリーンランドの西の村に、巨大な氷山が漂着したとインターネットのニュースで写真が流れてきた。

 村を覆うような大きい氷の山。

 神は海から来ると、柳田国男の『海南小記』に書いてなかっただろうか。綺麗というよりも、すごいというよりも怖い感覚に襲われる。

 払暁に仕事が終わって、終日営業をしてるスーパーに買い物に寄り、帰宅してからずっとパソコ・・・

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キャンデー

18/07/16 コメント:0件 ツチフル 閲覧数:139

 一粒で三十二種類の味が楽しめるキャンデーを買う。
 口に放り込み、舌の上で転がしてみる。
 始めはオレンジ。味の始まりはオレンジからと言う格言通りの、無難な出だしだ。
 わざとらしい酸味と甘みに、果皮に付着したワックスの風味も相まって、安物のオレンジ具合を見事に表現している。
 しばらく舐めているうちに味に変化が生じてきた。グラデーションのようにオレンジが薄らぎ、覆い被さ・・・

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ある自転車の話

18/07/16 コメント:2件 木野 道々草 閲覧数:207

 
 ◇◇◇

 夏の日照りの中、山沿いの国道をトラックが走っていた。その荷台に山積みにされた自転車たちが、振動に揺られて互いの体をぶつけ合っていた。修理が効かない自転車たちは、これから鉄工場へ送られるところだった。
 しかし彼らの中に、まだ走られる自転車があった。
 名前は、“六ペンス”といった。
 六ペンスを見つけた神様は、空から長い腕を伸ばし、ひょいと右手・・・

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押入に花束を

18/07/16 コメント:4件 入江弥彦 閲覧数:381

 もしも、僕に可愛い彼女ができたなら。
 そう思った翌日、僕の隣には裸の女の子が寝ていた。わざとらしいくらいカールしたまつ毛にほどよく上気した頬が可愛らしい。作り物みたいに透き通った肌に触れると、彼女が本当に作り物だということが分かった。けれども、後ろめたさを隠しながらめくった布団の下にある彼女の胸は上下しているし、温度の変化のためか鳥肌も立っていた。
「カイリ、そろそろ起きなさいよー・・・

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ほんうたい

18/07/16 コメント:5件 宮下 倖 閲覧数:260

 信号が青に変わった。再生ボタンが押されたみたいに一斉に人々が動き出す。
 その流れに足を任せ、ぼくは左手に持っていた本を右手に持ち替えた。周囲にも本を携えて歩く人がいる。彼らの足取りは弾み、表情も楽しげだ。もしかしたらぼくも同じように見えているのかもしれない。
 しずかに宵が迫ってきた。鬼灯色の夕陽が空を溶かし、地平からゆっくりと夜を引き上げてくる。
 今日はよく晴れていたから・・・

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白百合のかをり

18/07/16 コメント:2件 そらの珊瑚 閲覧数:307

 図書係はたいてい暇だ。中学校の図書室で本を借りる生徒は少ないし、いてもなぜか皆無口なので「お願いします」等必要最小限しか話さない。で、私は思うのだ。図書係に貸し出しカードを渡すという事は、自分が何を借りたかを知られてしまう可能性があるという事。そんな恥ずかしい事を赤の他人の私ごとき女子に知られてしまうかもしれない事実を前にして、やはり人は無口にならざるしかないのだ、と。
 でも私は差し出さ・・・

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恋、時を超えて

18/07/16 コメント:2件 スプリット 閲覧数:147

 最近、田崎健太の電話の打率がにわかに上がった。
「もしもし、おれ、おれ」
そう言っただけで、いきなり電話を切られることがほとんどだったのに、「誰?」とか「どうしたの?」とか、相手が話に乗ってきてくれるケースがやたらに増えた。
 どうしてだろうか。この仕事を一緒に始めた京洛高校の野球部時代のチームメート、岡田隆二は「声が真に迫っているよ。相手も引きずり込まれるんじゃないか。やはり・・・

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水底の邑

18/07/16 コメント:4件 泡沫恋歌 閲覧数:197

 一冊の本を持って旅にでた。
 本のタイトルは『水底の邑(みなぞこのむら)』文学的な響きに魅せられる。
 水底をみずぞこではなく、みなぞこと読ませて、村ではなく、邑(むら)という中国漢字を使っているのが興味深い。
邑(ゆう)音読み。(むら)は訓読み。口(くにがまえ、領域)+巴(屈服した人)、人を服従させ、その地に止めるの意。
『水底の邑』は、名も知らない作家の小説である。<・・・

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海へ還す

18/07/16 コメント:0件 アシタバ 閲覧数:118

 母娘が訪れたのは小さな漁村だった。
 派手さはないが美しい海と緑の濃い里山がある。それらに挟まれるようにして古い民家がたち並び、村は潮の香りと蝉の鳴き声に埋め尽くされていた。
 小さく幼い娘と若い母親はそんな村の風景を写真に収めたり、海辺で波の音を聞いたりして時間を過ごしていた。
 やがて昼時になり、二人は空腹に気がつく。
 娘は海辺に一軒の定食屋があるのを見つけた。海の・・・

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真っすぐ立って真っすぐに進む

18/07/16 コメント:2件 むねすけ 閲覧数:279

 メルちゃんの右目。曲のタイトル、夜のギターケース。駅に聴こえる初心者コードみっつのメロディー。
 メルちゃんの右目。小説のタイトル、更新される夜の十時。回るアクセスカウンター、読まれるストーリーは幸福な未来を友達に語りかける。
 メルちゃんの右目。パンの名前、早朝四時の寝ぼけた眼が目を描く。中身は美味しいウグイス餡。友達は春が好きだと左目で見ていたから。
 メルが右目の視力を失・・・

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さよならイツカくん

18/07/16 コメント:0件 高橋螢参郎 閲覧数:178

. 世の中の面倒事をスポンジのように吸い込んですっかり重くなった身体に何とか鞭打って、仕事を終えた僕は今日もベッドに倒れ込んだ。
 ひどい時にはこのままシャワーを浴びる事もなく明日を迎えてしまう。明日もまた同じように仕事をして、半分気を失うように眠るのだろう。息継ぎするのに必死の、下手くそなクロールのようなこの日常があと三十余年続くかと考えるだけで、僕の胃はひどくよじれた。
 もうダメ・・・

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片想い

18/07/16 コメント:1件 石蕗亮 閲覧数:342

 あれはやけに腹を空かせていた時のことだった。 窓際のベッドで外を眺めている女が表通りから見えた。 カモだと思った。久しぶりに旨いものが食えると思った。  まずは身だしなみを整えねばと、それらしい格好をしてから女の部屋に現れた。 女は私の存在に気が付くとその瞳に憶びれの色も写さずに「誰?」と一言放った。 「見ての通りの者さ」 「目に映るものが全てではないでしょう」 素気なく答える女に折角身なりを・・・

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貴方に花を。色とりどりの、綺麗な花を。

18/07/16 コメント:0件 黒江 うさぎ 閲覧数:224

 そこは、真っ暗な…灯り一つ無い、真っ暗な場所。
 そこに、一人の女の子がいました。
 真っ暗な場所で、一人ぼっち。
 女の子は蹲って、すんすんと鼻を啜りました。
 …と、不意に。
 ぽっ、ぽっ、と、真っ暗なその場所に灯り達が灯りました。
 灯り達は、果ての見えない一本道を照らす様に、優しく、温かそうに灯っています。
 ふと、女の子が手の中を見れば、そこに・・・

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人型恋愛ロボット

18/07/16 コメント:0件 柳瀬 閲覧数:266

もう少しだ、もう少しで完成する。
アキラ博士の長い研究の成果によって、もうすぐ人型恋愛ロボットが完成する。
これで、僕にも彼女が....いや、そんな卑猥な事を考えてはダメだ。
僕は人付き合いが苦手で彼女が出来ない不器用な男子の為にこの研究を成功させるんだ。
あとはこのロボットに声を吹き込むだけだ。
どうせだったら本物の女性の声を吹き込みたいな。
そう思った博士は・・・

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苦しみの町

18/07/16 コメント:0件 時津橋士 閲覧数:159

 夜。楓は自室でベッドに腰掛け、考え事をしていた。といっても、難しいことを考えていたのではない。昔体験した少し不思議な出来事を思い出していたのだ。楓はまだ幼かったころ、一度だけおかしな町に迷い込んだことがあったのだ。今となってはもう夢かもしれないその出来事を、楓は決して忘れることができなかったのだ。
 幼い楓が体験したのはこんな出来事だった。

 それは冬の夕暮れのことだった。楓・・・

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俺には記憶領域が10個ある。

18/07/16 コメント:0件 小高まあな 閲覧数:252

 俺には記憶領域が10個ある。
 10個のセーブデータを保有することができるのだ。RPGゲームと同じ、失敗したらセーブデータを呼び出し、またそこからロードしてやり直すことができる。
 幼い頃は、これは皆が持っている能力だと思っていた。だから、皆が試験後、試験前に戻ってやり直さないことが不思議だった。俺は何度も100点近くをとれるまでやり直していたのに。
 どうやらこの能力が俺にし・・・

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パンとスープ

18/07/15 コメント:0件 つつい つつ 閲覧数:174

 うつぶせになり崖の下をそっと覗きこんだ。林の中にいくつかの建物が見え隠れする。そこが僕の目的地だった。背中に背負ったパラシュートはちゃんと開くか心配だったけど、それは実際飛んでみないとわからないことだった。僕は覚悟を決めて周りにいる仲間に「行くよ」と告げた。みんなは僕の肩をそっと叩き、「お前は村の英雄だ」、「お前のことは忘れないよ」と、励ましてくれた。
 思えば僕の人生のほとんどは役立たず・・・

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生まれ変わり

18/07/15 コメント:0件 ひーろ 閲覧数:170

 自信はないほうがいい。そんなことを誰かが言っていた。曰く、真っすぐで揺るぎない自信を胸に突き立てている人ほど、何かの拍子に簡単に心が折れてしまうのだと。迷いながら悩みながらゆれている人の方が折れにくい。ちょうど、五重塔やスカイツリーの構造のように。
 この言葉は、すっかり生きる自信を失くしてしまった僕に、追い打ちをかけてきた。ちょうどこの頃、長年付き合っていた彼女に別れを告げられ、親友だと・・・

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みやちゃん

18/07/15 コメント:0件 三明治 閲覧数:125

 朝から母と口論になった。
 その日は整形外科に通院する予定になっていたのだが、母が突然ごねだした。
「からだが痛いから病院にいきたくない」
「なんだよ、痛いからいくんじゃないか」
「うごけないから、いやだ」
「そんなこと言わないでくれよ」
 何度かやり取りを交わした後、互いに、だんまりを決め込んだ。昔から言い出したら聞かない母の性格は、要介護の身になってから、・・・

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ノナウミガメの方向転換

18/07/15 コメント:0件 安城和城 閲覧数:180

 男女共学化した現在でもお嬢様学校として有名な深窓(しんそう)大学に入ってからというもの、桜井春子(さくらいはるこ)にとって、長期休暇明けの講義はこれ以上ないほど憂鬱なものとなっていた。
 それもそのはず、同じ学部の友人たちから、どこそこに行って一日中泳いでいただの、どこそこで新年を迎えて昨日帰ってきたばかりだの、嫌でもそんな話を聞かされるのだ。
 その「どこそこ」が多くの場合海外の地・・・

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芸術って何?

18/07/15 コメント:0件 はやかわ 閲覧数:256

 僕はふと頭の中で芸術家になろうと考えた。何がいいだろう。小説家、映画監督、音楽家、画家。
 頭に浮かぶのはそれくらいで、なんとなく映画監督になろうと思った。なにより、映画が一番面白いと思ったからだ。

「ねえ、映画作ってみない?」
 僕は大学の友達に話しかけた。
「映画? 俺達で? そんなの無理だよ」
 彼はそう言った。
 彼は僕と話している時もゲームに・・・

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爪の垢

18/07/15 コメント:1件 かめかめ 閲覧数:247

 貧乏下宿に帰ると部屋のドアにノブがなかった。ノブがついていたところにポッカリと穴が空いている。ドアノブ泥棒だろうか。健太郎は首をひねりながらドアを開けた。
 廊下の灯りが玄関に差しこんで、人の足が二本ニュっと伸びているのが見えた。
 慌てて電気をつけると老人がうつぶせに倒れている。
「大丈夫ですか!? どうしました!?」
 健太郎は老人のそばに膝をつき呼吸を確かめた。息が・・・

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極楽惑星

18/07/14 コメント:0件 松本エムザ 閲覧数:218

「アナタはゾンビなのですか?」

 唐突な質問に、僕は目を丸くした。

「ど、どうして、そう思うの?」
「アナタはお風呂に入ると『極楽極楽』と言いますよね? 『極楽』とは、死んだ人が行く『天国』のことですよね? つまり、アナタは一度死んで、よみがえってココにいる」
「いやいや、そうじゃないんだハッくん」
 ハッくんの流暢な日本語と読解力には感心してしまうが・・・

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ブルーな海底から晴れ空を仰ぐ

18/07/14 コメント:0件 Fujiki 閲覧数:175

 瑞樹の見ている世界を見るには、ひとまず一番近くの水族館に足を運んでほしい。水族館の水槽にはたいてい青のライトが使われている。透明な水を青く見せ、幻想的な雰囲気を演出するためだ。水を抜いてみたら背景の壁が明るい水色をしていることも多い。魚が文句を言わない限りピンクや蛍光イエローの水槽があってもいいはずだけど、青が圧倒的に多数である。
 そんな水槽の前に立ってみよう。通路が暗ければなおいい。青・・・

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ジャスコが苦手な理由(わけ)

18/07/14 コメント:0件 くりまん 閲覧数:182

 ジャスコ今はイオンなのかやヨーカドーでの買い物が、最近苦手になってきた。
雨が降りそうな日曜日、地元のジャスコの交差点を曲がる時、無性に悲しくなって涙まで出そうになった。
 かつては、喜々として買い物に参列していたのに。こんな便利な施設はないと感心していたのに。
いつから変わってしまったのだろう。

 僕がこういう大型スーパーを意識したのは、社会人になってから・・・

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憧れのプレミアリーグのピッチ

18/07/14 コメント:0件 ポテトチップス 閲覧数:182

『P.S. 
 20年後、ボクはプレミアリーグのピッチ上で、誰よりも早く駆け抜けている。
 1998年 2月15日  6年2組 上谷岳』

 マッケーロが、岳の肩を軽く叩いた。表情に自然な笑みを浮かべて。
 これから始まる試合の緊張に飲み込まれず、冷静を保っている彼はさすがだ。
 マッケーロは、頭上から岳の目を真っすぐに見つめて英語で話しかける。岳は聞き取った・・・

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リアル雪女

18/07/14 コメント:0件 田辺 ふみ 閲覧数:204

「ようこそ、ワンダースノーへ。今日はあなたを不思議な雪の世界にお連れします。案内人は僕、雪だるまのダルマーです」
 明るい声を上げているのは若い普通の男性だ。宇宙服のような全身を覆うスーツとヘルメットを身につけている。いかついゴーグルは額の上に上げていた。
 雪だるまとは似ても似つかぬ姿に客席にはくすくすと笑い声が広がった。
 できたばかりの話題のテーマパークなので、家族連れとカ・・・

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獄中記(某月某日、使徒来たる)

18/07/14 コメント:0件 秘まんぢ 閲覧数:321

 きょう、義兄への傷害罪で長く服役中のわたしへと面会者が来た。平坦で単調な毎日をすごすしかない服役囚にとって、面会は暗闇から神様がまっすぐ自分のもとへ歩いて来るのにひとしい。恩寵を告げにだ。
「どんなやつです?」
「それがな、キム・ベイシンガーみたいな名前の女だよ。おまえ英語できるのか?」
 看守がまんざらでもない興味を示して聞く。
「まさか」
 安心したように「だろ・・・

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心の形

18/07/14 コメント:4件 浅月庵 閲覧数:368

 ◇
 チャイムの音色が授業の終わりを告げると、僕も含めた生徒たちは廊下へ抜け出た。
 ただ、次の授業は体育だけど、僕だけは体育館ではなく“違う場所”へと導かれていた。

 その歩を進めている最中、すれ違いざま隣のクラスの峯岸琥珀に耳うちされた。彼女から声をかけられたのは、これが初めてのことだった。
「横田くんさ、変な気起こさない方がいいよ」
 僕は峯岸さんから・・・

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ホーム・スイート・スイート・ホーム

18/07/13 コメント:0件 腹時計 閲覧数:125

 俺は小さい頃、ヒットマンになりたかった。
友達から借りた漫画の中で、黒コートを着こなすヒットマンは、まるで世直しのごとく、悪者を倒していた。冷酷だけれど実は情に厚く、圧倒的に強いヒットマンにあこがれるのは、何の力もない子どもとしては当然のことだと思う。
 貧しい家庭に生まれつき、母はあまり家にいなかった。飲んだくれの父はずっと家にいて、モンスターを家の中に飼っているようだった。

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『星の界』を聴いてのあとがき、もとい感想

18/07/13 コメント:0件 マサフト 閲覧数:147

人智は果てなし 無窮の遠に 其の星の界 きはめも行かん

昔の人、具体的に何時代だとか何処そこの国だとかは無しにして、とにかく昔の人の想像力とは如何なものなのだろう。

星を眺め、角度を計り、目星目印にして現在位置や方角、距離を割り出す。それは解る、手筈は知らないもののその行為、目的は理解できる。
だが星座はどうだろう。勿論、先に述べた手順の前段階と・・・

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本音

18/07/13 コメント:0件 風宮 雅俊 閲覧数:114

「ねぇ、豊彦くん。『あとがき』ばかり読んでいて面白いの?」
 私の彼は同じ文学部。そして今年から同じゼミ。
「面白いよ」
 ぽつりと言うと、『あとがき』に目を戻す。
 豊彦くんは興味の湧いた作者を見つけると、初版日順に作品一覧を作る。同じ題名でも単行本や文庫本、出版社が違うもの、改稿したものを丹念に調べて作成する。良くある事が絶版になっている本。その時には近くの図書館から一・・・

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博士が愛した罪

18/07/13 コメント:2件 路地裏 閲覧数:518

青の街、アメリア・カルセドニ。建物の高さは厳しく規制され、屋根の色はアトランティコ・ブルーで統一されている。街を囲む同色の海も、より一層輝きを放つ。この地を初めて訪れた者は「まるで海の中に居るようだ」と口を揃えて言う。私もその中の1人だった。まさか10年もこの地に留まることになるとは。アトランティコ・ブルーの魅力は、私の心を掴んで離さない。

私の職業は小説家である。「だった」という・・・

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ストーカー店長

18/07/13 コメント:0件 りんごさん 閲覧数:362

「お弁当温めお待たせいたしました〜」

高田 敏夫は業務用電子レンジからコンビニ弁当を取り出しながら、マニュアル通りのセリフを呟く。
今日はチーズたっぷりカルボナーラか。女性が食べるにしてはカロリーが高めだな――敏夫の心にさざ波が立つ。まさか男と一緒に食べるつもりなのだろうか。

「フォークはお一つでよろしかったでしょうか?」

商品が一つなのだからフォー・・・

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作家になりたかった

18/07/13 コメント:0件 はやかわ 閲覧数:181

 僕がこれを書いているのは、作家になりたかった自分のためだ。様々なことを考えた。
 僕の母親は専業主婦で週に五日パートを飲食店でしている。僕の父親は製薬会社で管理職をやっている。
 どことなく居心地が悪い家庭だった。父親は怖く、母親は僕に無関心だった。それで小さい頃から僕は人並に地味に生きてきた。
 大学在学中に僕は友達が一人もできず、ひどいうつ病になってしまい、自殺未遂をした僕・・・

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