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記録が伸びない私

18/05/26 コメント:0件 笹岡 拓也 閲覧数:257

記録が伸びなくなった。今まで練習を重ねれば、自然と記録が付いてきたのに。やっぱり6メートルの壁は相当大きい。こんな記憶じゃ全国で活躍できるわけない。
「裕子は幅跳びをするために生まれきたのかもね!」
私は中学で陸上を始めたのにも関わらず、グングンと成績を伸ばしていった。顧問からも驚かれるほどの成績と言われるほどだった。その期待は私の活力へと変わり更なる成績向上へと変わっていく。友人も親・・・

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浮遊する物体

18/05/26 コメント:0件 ちや 閲覧数:203

 しばらく、目の前をゆらゆらと振り子のように揺れていた白い物体を眺めていた。
揺れは次第に速度を落としていき、いつしか静止する。
そして若葉を通りすぎてきたからっとした爽やかな風が抜けていくと、再びそれは舞い始める。右へ左へ、時にはこちら側にあちら側にと言った風に。

 しばらく眺めていると、自然と首が曲がるし、目が疲れてきて瞬きを繰り返す。
それでも、揺れるそれは・・・

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浮遊する恋

18/05/25 コメント:0件 甘宮るい 閲覧数:355

 先輩のものだった、2つ上の彼女が誰のものでもなくなった。
 恋をしたのは春のことだった。随分と前の、入学式の日だった。一目ぼれに近かったけれど、一目ぼれではなかった。
 彼女は移り気な人だった。不安定で、美人局な人だと知った。
 街に薄暮の迫る頃、駅前でずっと待っていた彼女から「予定が入った」と連絡がきた。何度目かのことだったから、何とも思わないはずだった。先輩と別れた彼女にど・・・

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渓谷にて

18/05/24 コメント:0件 みゆみゆ 閲覧数:287

 お父さんは、吊り橋の真ん中まで歩いて下を見おろしました。干上がった川底の石は実際の大きさが計り知れないほど小さく見えて、お父さんは思わず半歩、後ずさりました。そして顔を上げると、みいちゃんが渓谷に浮かんでいたのです。
 紅葉の季節はとうに過ぎた寂しい山々を背景に、そこだけお花の咲いたような黄色いワンピース。背丈も髪の長さも、道の脇に停めた車ですやすやと眠る、三歳のみいちゃんそのままです。顔・・・

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グラビティ・ゼロ

18/05/23 コメント:0件 新屋鉄仙 閲覧数:338

 それまで、半年以上同じ女性と付き合ったことがない私が、彼女とは一年も付き合っていた。
 彼女は生まれつき念動力、つまり物を浮かせることができる超能力を持っていた。と言っても、自分自身を地面から十センチほど浮かせることしかできないかわいいものだ。彼女の能力は自分でコントロールできないらしく、喧嘩をすれば怒りながら宙に浮き、感動する映画を見れば泣きながら座高が十センチ伸びたかのように浮き上がっ・・・

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浮かんでいくのは簡単で

18/05/23 コメント:0件 瑠璃 閲覧数:299

数ヶ月前に、メールでの文通にはまった。本名も、顔も、何も知らない相手との文通に。毎日1通か2通ずつくらいのやりとりを続けた。やりとりの相手は優さんという名前を使っていた。優さんは優しく楽しい人で、親や友達に相談できないようなことまで相談した。人によっては可笑しな話だと思うかもしれない。しかし、私は優さんに恋をしていた。毎日、優さんからのメールだけを楽しみに生きていた。特技や趣味などがない私にとって・・・

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この浮遊する世界で

18/05/23 コメント:2件 向本果乃子 閲覧数:417

最近、女子中学生につきまとわれている。
ー父親が自分は絶対正しいと信じて疑わないことが嫌!この世に絶対なんてないでしょ
ーえっと俺は君の親でも先生でもなく…
ーだから話してるの!
ーあ、そう
一体どうしてこんなことに。俺はたばこの煙を吐き出して溜息を隠す。
ー客席行く
少女は言い捨て去って行く。俺もベースを持ちステージに向かう。ロリだったのかとバンド仲間が・・・

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俺とアイツの3時間

18/05/22 コメント:2件 飛鳥かおり 閲覧数:990

 「急がば回れ」などという言葉がある。
 ちょっとばかし閉所恐怖症の俺は、エレベーターには極力乗らずにいつもは階段を利用する。だが、オフィスのある九階から一階まで降りるのはやはりエレベーターの方がだいぶ早い。
 仕事を終えた俺は、時計を見ると今日は予定より一本早い電車に乗れそうだったので、珍しくエレベーターに乗り込んだ。良くも悪くも、それがすべての始まりだった。

 やはり・・・

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幽体サバイバー

18/05/22 コメント:0件 まきのでら 閲覧数:241

 強く意識しろ!
 スピードを上げろ!
 俺は俺だ!
 俺の肉体は俺だけのもんだ! 誰にも渡しゃしねえっ!!

 はじまりは何時間か前のこと、その夜は久々に自分を慰めて賢者モードで眠りに落ちた。
 次に目を開けると俺は俺を見ていた。これをどう表現したものか。つまりは意識だけがふわふわ浮遊して自分の部屋の天井から寝ている俺を見ているってヤツ。とどのつまり幽体離脱と・・・

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夢中海

18/05/22 コメント:0件 時津橋士 閲覧数:255

 深夜。楓は自分のアパートメントに帰ってきた。彼は手早く風呂に入り、歯を磨き、床に就いた。早く眠りたかったのだ。しかし誤解してはいけない。彼は何も一日の疲れをとるために眠るのではない。彼が眠るのは夢のためである。楓は自らが望む通りの夢を見ることができた。しかし、ここにおいても誤解してはいけない。彼が毎晩のように見る夢は決して面白いものではなかった。それはとても痛ましい夢であった。しかし、楓はその夢・・・

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恋愛相談

18/05/22 コメント:0件 若早称平 閲覧数:318

 父からこのバーを受け継いで二年が経つ。軒を連ねる店の半分がシャッターの閉まったこの平手町商店街の地下に僕がマスターを務める「ラブリーインフェルノ」はある。一刻も早く改名したいくらい絶望的なダサい名前だが父が存命の間は絶対に許さないと言い張るので、僕は血の涙を流しながら今夜もネオンを点灯させる。

 店名のせいなのかこの土地柄なのか客層も個性的な人が多い。もとい、変人が多い。今夜は常連・・・

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私と世界の境界線

18/05/22 コメント:0件 夢野そら 閲覧数:318

まだ仄暗い午前5時前。家族に気づかれないように家を出て、私は森を駆けていた。右手に携えたほうきと共に。肌に冷たい風を感じながら、木々の間を走り抜ける。もうすぐ日の出。今日こそいけるかもしれない。森を抜けて小さな丘のてっぺんに着いたとき、私は、とんだ。


とんだ、飛んだつもりだったんです。本当に、今日こそ成功すると思ったんです。でもとんですぐに、しりもちをついて野原に寝っ転がって・・・

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赤い風船

18/05/21 コメント:0件  浅縹ろゐか 閲覧数:214

 赤い風船に手紙と花の種を同封して飛ばすということを、小学生の頃に何度かやったことがある。海に手紙を入れた瓶を流すのに憧れたのだが、私が住んでいる地域には海はなかった。苦肉の策で思いついたのが、風船で代替させることだったのだ。
『この花のたねを、うめてください』
 確かこのような手紙とも呼べないような、紙を風船に括りつけていた。あまり重いと遠くまで風船が飛ばないだろう、ということは分か・・・

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浮けない私、恋恋恋したーーーい

18/05/21 コメント:0件 虹子 閲覧数:181

体育の時間、校庭のトラックまわりを走っていると、急につんのめってこけた。 密かな笑い声と突っ伏した私をひらりと超えていくたくさんの浮いた足たち。 「おーい、藤原。いつまでそこに寝てるんだ。早く立て」 鬼教師の声にびくっとして何とか立ちあがろうとすると妙な重力を感じた。両手をついて足をふんばると自分の足先が地面に少しめりこんでいるのがみえた。 「てかさぁ、あんたもう重症だね」 そう言って笑う・・・

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空の大かぞく

18/05/20 コメント:0件 はるの 閲覧数:288

 よし、今日はお空をたんけんしにいってみよう。
 どうやっていこうかな。
 あ、そうだ。風さんにおねがいしよう。
 風さんとばしてくださーい。

「よぉし、おれにまかせとけ。いくよービュー」

 わぁい、たのしいな。
 あ、くもさん、こんにちは。
 くもさん、くもさん、くものおかあさんとおとうさんだれかな?
 くもは水でできているから…。・・・

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大富豪誕生秘話

18/05/20 コメント:0件 本宮晃樹 閲覧数:392

 誰しも子どものころ、一度くらいはふんわりと宙に浮かんでみたいとこいねがったことがあるはずだ。自由に飛翔する鳥たちを見てぼくも/あたしもあんなふうにお空を駆け回れたら……なんと純真だったことか!
 かつてのピュアなガキどもは長じるにつれ、薄汚い社会の瘴気にさらされる。連中は見るも無残に現実とやらを思い知らされ、ヒースの根っこみたいにひねくれた人間へ変貌を遂げてしまう。
 だがなかには蔓・・・

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月と兎と走り幅跳び

18/05/20 コメント:0件 マサフト 閲覧数:193

「宇宙空間とか、重力が弱いところに長くいるとこつしょしょうしょうになるんだってー」

傍らで『宇宙での生活』という、ーー今後地球から出ることのないであろう我々一般市民には特に役に立たないであろうーー図説入りの本を読みながら、彼女は驚いていた。

「骨粗鬆症な」
「こつしょそうしょう」
「(もうええわ)骨がスカスカになるやつだっけ」
「そーそー。筋肉とか・・・

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浮かぶ魚と、セーラー服

18/05/18 コメント:6件 秋 ひのこ 閲覧数:626

 入り江の先に、オレンジ色のひとの頭ほどの玉が浮いている。一列になって、ぷかぷかと。そこに向かい、泳ぐというか流されるというか、一度も止まらず、まっすぐ進んでいく小さな頭。
 こんなにも私が吼えているのに、振り向きもしない。



 弟のセイジが好きなもの、最大の関心事は、「浮いているもの」だ。
 物心つく頃からずっと。それこそ大人たちが「おや、この子はもしや・・・

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父の背中

18/05/18 コメント:0件 マサフト 閲覧数:385

久しぶりに田舎に帰ると、昔のままの風景の中に混じって、記憶にない物が増えていたり、逆に懐かしいものが減っていたりする。

空き地が多く、寂れていた駅前は新興住宅地だとかができたためか大きく様変わりし、同じような形の新築の家がおもちゃのブロックのように立ち並んでいた。立方体の白い家は、窓のあるところの壁だけ黒く塗られているものだから、醤油をかけた豆腐のようだ。子供の頃の行きつけだ・・・

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サイダー

18/05/18 コメント:0件 山盛りポテト 閲覧数:331

机に置かれたサイダーの入ったグラスは水滴がだらだらと落ち、その歪んだグラス越しに見える彼女の輪郭は失われ、ただそこにぼんやりと存在していた。その光景がおかしくて、
「俺たちの関係みたいだね」
と言おうとしてそれは洒落ですまないことに気づき寸前でやめた。
クーラー嫌いな僕が開けた窓を彼女はずっと眺めていた。
点けっぱなしにしている扇風機が面倒くさそうに生ぬるい風を運び、その音・・・

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ハイパーエスケープガール

18/05/17 コメント:0件 清野勝寛 閲覧数:349

ぷっかぁーってしてる、あたし。
今日も現実逃避だよ。

ふわふわついでにひとりごと。
いや、今はキミもいるからふたり、だね。

例えば、あたし一人この星で生きていたとしたら、とか時々思う。
だって誰かと関わるのって面倒くさい。
誰もいなかったら、めっちゃ楽じゃん。
いちいちおしゃれしなくても、おでかけ出来るし。

……え? おしゃれ・・・

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星の上の女

18/05/17 コメント:0件 はやかわ 閲覧数:265

 俺はただ一人で夢想していた。あらゆることを考えた。この世界がどんな法則に支配されているのかとか、人間はどういった法則によって動いているのかとか、答えは出ない。全ては謎めいている。そして俺はきっとこうやって誰かより優れた存在でいたいと切望しているのだ。
 いったい他人がどうやって生きているのか俺は知らない。ただ俺は特殊な性格のせいか物事の詳細まで気にする。
 テーブルの上に置かれている・・・

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寄す処

18/05/17 コメント:0件 春海 閲覧数:237

シュウは、 手のかかる幼馴染みだった。
転んでは泣き、友達にからかわれて泣き、花が枯れて泣く男の子だった。
そんなシュウと、私はいつも手をつないで小学校を登下校していた。
泣き言を聞いて慰めたり、一緒に蝶々を追いかけたりした。
クラスの男子に、付き合っているのかとからかわれても、私は全く気にしなかった。シュウは私にとって可愛い弟みたいなものだった。

・・・

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浮かんだ煙は消えていく

18/05/17 コメント:0件 アベアキラ 閲覧数:286

 煙草を吸うと彼を思い出す。たった一時間だが肩を並べて歩いた、僕の友達だ。
 出会いは唐突であった。喫茶店でゆっくりと煙草を燻らせていたときである。隣の席に座っていた彼が話しかけてきたのである。
「コンニチハ……煙草クダサイ」
 多分カナダ人であろう彼、片言の日本語だが煙草の発音が妙に流暢なのが気になった。今までも僕以外の人物に話しかけていたのだろうか。
 何故カナダ・・・

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まるで必要ないような

18/05/16 コメント:0件 瑠璃 閲覧数:210

カーテンの隙間から光が差す。ありきたりの毎日。そして私は、まるでこの世界に必要とされていないような悲しい錯覚に陥って、目を覚ます。目覚まし時計をちらりと見ると、時刻は午前6時30分。また、今日が始まってしまった。着替えを済ませ、朝ごはんを食べ、黙々とロボットのように身支度を整えていく。決められた毎日。この世界が私を必要としていないのと同じで、私もこの世界を必要としていない。私は、いつもそうなのだ・・・

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初めての、

18/05/14 コメント:0件 夢野そら 閲覧数:414

「もういい加減やめてくれよ。」

まったく、俺の友達はどうしてこんなに低レベルなのか。こんな弊害どうってことない、すぐに収まる、なんて思ってたのに、2週間経ってもこれだ。

帰りの挨拶をした瞬間に俺を取り囲んでくるヤツらをテキトーにあしらって、足早に教室を出てく。お前らに構ってる時間なんてないんだよ。
それに下手に口を滑らせるとジマンだなんだって煩そうだし。
・・・

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空中浮遊

18/05/14 コメント:0件 犬童 幕 閲覧数:312

実は私、空を飛べるんです
いや
空じゃない
空中に浮くことが出来るんです
これも的確じゃない
見た目では分からないくらい
微妙に浮いているんです
しかも
私の意志に関係なく24時間
これってすごく不便です
地面に足が付いていないので
歩けない、走れない
風が吹けば流される
今も木に掴まってます
これって病気でしょう・・・

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死んだ彼女

18/05/14 コメント:0件 はやかわ 閲覧数:360

 彼女と夢で出会う。黒髪でほっそりとしていて、高身長で僕は一目見て彼女に惹かれた。そんな彼女は夢の中で王女となっていた。身にそぐわないドレスを着てどこかぎこちない彼女の姿を僕は大衆の中の一人として見ていた。
 目が覚めて、今日は休日だと気づく。いつものようにコーヒーとトーストを用意して朝食を食べる。
 普段の日課だったが、僕の気持ちは憂鬱だった。気分が晴れることはない。これは恋なのか愛・・・

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監獄

18/05/13 コメント:0件 ダイシゲ 閲覧数:265

 囚人番号28号と31号は、刑務官の隙を見て、風呂場の高窓から風呂場の屋根に出た。
「でどうする」
31号は、隣の建物の屋根を見ていた。
「まず、隣の建物の屋根に飛び移ろう」
28号は、屋根の平らな部分で助走して、ジャンプして隣の建物の屋根に飛び移った。31号も助走してから飛び移ろうとし
た。隣の屋根に着地したもののバランスを崩し、倒れそうになったが、28号が腕をつか・・・

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スノウちゃん

18/05/13 コメント:0件 こぐまじゅんこ 閲覧数:342

 今は夏です。
 はるくんは、庭でシャボン玉をしてあそんでいます。
 ちらちらちら
 白いものが空からふってきました。
「なに?」
 はるくんは、そっと手にのせました。
「つめたい!」
 つぶをよくみると、白いワンピースをきた女の子です。
「うわぁ。」
 はるくんは、びっくりしてふりおとしました。
 女の子は、ひまわりの葉っぱに、ちょこん・・・

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蛙の皇帝あるいは生身の帝国空軍

18/05/12 コメント:1件 時雨薫 閲覧数:369

 降る雨が途切れなくアスファルトを打ち、周波数の合わぬラジオが拾った電波のように無意味な音がただザーザーと憂鬱に街を覆っている。折傘は跳ねる水で裾が濡れるのにも構わず、右手に苔生す石垣の続く道を足早に歩いていた。折傘は余りに軽装だった。傘に守られぬ肩の上が濡れた。
 折傘は俯き加減に歩いていたから、ほんの目の前に迫るまでそれに気づかなかった。道の両端に蛙が二つの列をなしていた。中央をのっそり・・・

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風乗り日和

18/05/12 コメント:0件 本宮晃樹 閲覧数:340

「みんな、準備はいい?」引率の女教師は子どもたちの顔をぐるりと見渡した。「〈巨人たちの遺跡〉まで数メートルもの大旅行。わくわくするね」
 子どもたちはむろんわくわくした。なにせ初めての社会見学である。めいめいが口々に興奮を表明し、彼らの棲家である〈ハニータウン〉の外縁からいまにも飛び出さんとする勢い。二、三人のせっかちな子たちは早くも気流をとらえ、ふらふらと宙へさまよい出ている。
 女・・・

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浮遊大会

18/05/12 コメント:1件 KOUICHI YOSHIOKA 閲覧数:395

「いよいよ今日は浮遊大会だな。みんなで応援にいくから頑張るんだぞ」
 父に背中をたたかれて家をでたカイは勢いよく小学校へかけだした。
 この日のためにどれだけ作戦を練ったことか。雨の日も晴れの日も、リビングで寝転びながら、テレビを見ながら、ゲームをしながら、鼻をほじりながら、必死に脳内浮遊訓練を繰り返してきた。
「一番になったらスマホ買ってほしいな」
 カイがおねだりをする・・・

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塔の女

18/05/11 コメント:0件 広田杜 閲覧数:336

その塔のてっぺんには、一人の女が定住していた。
浮力を纏ったその女は、飽きることなく塔の周りをくるくると回り浮いている。長い髪が風にたなびいているのがわかるが、地上の私からは表情まではわからない。私もまた飽きることなく彼女を見上げる地上の人間の一人だった。
あるよく晴れた日のことだった。塔の上の彼女は動きを止めると、空の彼方へ顔を向け何かを見つめている。ちょうど地上の人間たちが彼女を見・・・

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Spilling out of hand

18/05/11 コメント:0件 清野勝寛 閲覧数:333

 そう、酷く雑多だった。馬鹿みたいに大声を上げ、自らの足で立つことも出来ず、誰かに支えてもらうことが当たり前だと思っているおめでたい奴等。そんな連中が、間もなく最終電車が到着する駅のホームに蔓延っている。  俺も、こんな醜く愚かに溢れるゴミ共と同じ「人間」であるのかと考えると、生きているのが馬鹿らしく思えてくる。蛍光灯が明滅するその下で、奴らを蔑む言葉を飲み下し考える。どうして奴等はあんなにも雑多・・・

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音をみる

18/05/11 コメント:2件 秋 ひのこ 閲覧数:429

 僕はその日、生まれて初めてレコードというものを聴いた。
 小早川君の家で、だ。

 去年出てきたバンドが今は流行っていて、あとはアイドルから独立した子も人気。中学生の僕らはそういう音楽を聴く。だから、きいこきいこした楽器が重なるだけでメリハリがあるのかないのかわからない音が延々と続き、挙句「歌」がない、という外国のクラシック音楽は、はっきり言って退屈だ。
 それを、小早川・・・

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地獄は浮遊する

18/05/10 コメント:0件 鎌太郎 閲覧数:387




 知っているかい? 死んだ人間は死ぬ瞬間で静止してしまうんだって。なんて話をどこかで聞いた事があるだろうか。
 死とは、人という存在の時間を静止させる現象だ。人が死ぬと、その死という静止の中で、死に揺蕩い続けるんだそうだ。
 初めて聞いた時は、ずいぶん荒唐無稽で風変わりな話だと思った。
 天国地獄理論というのはどこの宗教でもあるものだが、しかしそのような・・・

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浮遊日和

18/05/09 コメント:0件 KOUICHI YOSHIOKA 閲覧数:449

「今日は天気もよく浮遊日和ですな」
「湿度が50%以下になると浮遊もしやすくって気持ちがいいわね」
 ドーナツ屋の店先でスーツ姿の男と女がプカプカ浮かびながら話をしていた。
「湿度が50%を超えると、ほんと浮遊しにくいですからな。地に足をつけて歩くなんて不潔なことしたくないし」
「そうですね。足をつけて歩くなんて野蛮人のすることですから」
 帰るまで我慢ができないのか・・・

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浮き上がる時間

18/05/09 コメント:0件 黄間友香 閲覧数:320

 高校の頃、彼女はクラスの中で浮いていた。容姿はどちらかというと素朴な感じで、物語に出てくるミステリアスな女性には程遠かった。でも、皆どこか彼女を遠巻きに見ていた。彼女の方も年頃の女子が喋るのに興味がないのか、皆の会話に入ることは稀だった。代わりにいつも窓際の席に座って長い髪を耳にかけ、ぼんやりと外を眺めていたのを覚えている。友人が一人か二人いたような気もするけれど、その人たちとも学校で話すぐらい・・・

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空の旅

18/05/08 コメント:0件 雨のかえる 閲覧数:383

《空の旅》







僕は今 空の上

窮屈な座席に縛られ

エアポケットの中を

上がったり下がったり



隣も隣も熟睡モード

我慢しよう、とにかく。

目を閉じてやり過ごす



後ろは多動の子供達

さっきから 僕・・・

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浮かばれない!

18/05/07 コメント:0件 斎藤緋七(さいとうひな) 閲覧数:422

深雪ちゃんが死んだ。心臓発作。 深雪ちゃんは「発見」が遅くて死後1週間で大家さんに発見された。 私は息をしていない深雪ちゃんとこのハイツの狭い部屋で過ごしていたことになる。 ちなみに、今の季節は、2月、冬。 寒さの影響か深雪ちゃんは死後1週間もたつのに、綺麗なままだった。 私はロシアから空輸された、 マトリョーシカ人形なんだもん。 深雪ちゃんは、家庭のある従兄弟のおっさんとつきあっていたの。 し・・・

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もし、山田君が飛べるようになったなら

18/05/07 コメント:0件 井川林檎 閲覧数:451

 飛行が上手いひとほど、ヒエラルキー上位者。
 すうっと大きく円を描いたり、気の合うひと同士でダイナミックなダンスを踊ったり。
 
 電線に触れるか触れないかの際どさで、おどけたように飛ぶ彼ら。
 かっこいい。素敵。先生たちや親たちは、危ないから飛ぶときは、電線に触れない位置でまっすぐ飛びなさいと口うるさい。でも、そんな注意なんか守るわけがない。
 
 カッコイ・・・

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水と浮遊

18/05/07 コメント:0件 胡蝶陽夜子 閲覧数:298

嫌なことがあったとき
わたしはぼうっと宙を仰ぐ
何も見ていないような
何かを見ているような
だけど心はどこかへ行っていて
目の前のモノは透明になる

こんな時は
水に身体を投げ捨てて
すべてを委ねて
ゆらゆら
ふわふわ
たゆたっていたい
水の中の世界は
現実から切り離された
幻想をまとっていて
水の音が・・・

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太陽の光のように

18/05/06 コメント:0件 はやかわ 閲覧数:241

 俺は空から雨を降らせたことがある。俺は地球を自転させている。俺は大地の草木を自由に操っている。俺はそう思っていた。
 俺は病室のベッドに括り付けられていて、自由に動くことができない。
 こうなったのは二度目だった。それでも俺が考えたことは全てが妄想だったのだろうかと自分で疑ってしまう。
「早川さん。調子はどうですか?」
 看護師の村上さんが無様な俺の元へとやってくる。彼女・・・

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風船はつながれている

18/05/06 コメント:1件 アシタバ 閲覧数:397

弟(現在)
 引越しをするにあたって、荷物を整理していたところ、押し入れの奥から古い写真を見つけ出す。俺と姉が二人並んでいる写真だった。こんなところにまだ残っていたのか、と少なからず驚いた。すべて捨てた筈だった。両親を事故で亡くし、叔父夫婦に引き取られた直後に撮影したもので、この時は姉がいなくなるなんて思いもしなかった。
 叔父夫婦は両親を失った俺達姉弟の親戚縁者として、最低限の責務を・・・

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いつも楽しい夢を

18/05/05 コメント:0件 リードマン 閲覧数:275

夢の中で自分はいつもフワフワ浮いているけれど、これはきっと地に足がついてないって事なんだろう。
楽しくて仕方がなくて、頭も心もフワフワ浮いてしまう。酔っている? そう、きっと寄っている。
なんて幸福なのだろう? 夢から醒めて、現実に恋してる。
ずっと欲しかったタカラモノ。
答えを得てしまった後の人生も、きっと幸福であると確信している。
いつか来る終わりも、恐れる事なん・・・

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浮かばれぬ浮遊霊

18/05/05 コメント:1件 若早称平 閲覧数:337

 あっと思った時にはすでに体は宙に浮いていた。アドレナリンのせいなのか、こういう時周りがスローモーションに見えるというのは本当のことのようだ。恐怖なのか驚愕なのか分からないが私を轢いた車の運転手が目と口を大きく広げている様や、後ずさる歩行者や、久しぶりに厚い雲が晴れた青空を、私はわりと冷静に観察していた。地面に着く前にしっかりと走馬灯も浮かび、「ああ、ここで死ぬんだな」とまるで他人事のような感覚で・・・

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影響

18/05/05 コメント:0件 W・アーム・スープレックス 閲覧数:338

 そのニュースの内容を真に理解したものはおそらくほとんどいなかったとしても、毎日のようにテレビの画面に黒ずんだ渦巻き状のCG画像がうつしだされて、識者、科学者、政治家、はたまたお笑いタレントたちが真剣な顔をよせあってさかんに意見交換する場面が連日放映されるのを、だれもがみたにちがいない。

 日菜子はしかし、それどころではなかった。半年前、じぶんの落ち度で手をひいていた老母が石段につま・・・

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災い男

18/05/05 コメント:0件 KOUICHI YOSHIOKA 閲覧数:532

「もっと石をなげろ。そんなんじゃ、あいつには届かないぞ。ぶつけて災いを落としてしまうんだ」
 楡の木の下で村の顔役の男に怒鳴られながら、数人の子供たちが木の上をめがけて石を投げていた。木の上では今年の災い男が枝にしがみついている。
 災い男とは一年間のありとあらゆる災いを肉体に宿した男のことである。二百年前からこの村では五月五日の日に災い男を一人選び、神社の御神木でもある楡の木に登らせ・・・

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飛べない鳥

18/05/05 コメント:0件 清野勝寛 閲覧数:285


 夜の明かりは直視出来ないほど目に痛い。私は眩しすぎる都市の中心部から、視線を僅かに右、広がる海へと逸らした。夜の海は宵闇に溶け姿を消す。ただ打ち寄せる波と潮騒だけが、そこに存在しているということを主張していた。光の浮かばないその空間を見つめていると、視界が少しずつ明暗を認識しなくなる。やがてその中に呑み込まれてしまうのではないかという錯覚に襲われ、身震いする。たまらず服の裾を握りしめた。・・・

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