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お日様

19/06/20 コメント:0件 つつい つつ 閲覧数:17

 学生時代の友人の理子とランチした。理子は大学を卒業してすぐ上京したから、会うのは2年ぶりだった。
「でも、美結が公務員なんてね。それもちゃんと続いてるんだから意外なもんね」
 食事の後、紅茶を飲みながら理子は私を不思議そうな目で見つめた。
「なんでよ。やり甲斐もあるし私には合ってるよ。で、そっちはどうなの?」
 理子は髪を右手でかきあげ、いかにも苦労してますって表情で言う・・・

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数え切れない優しさがあることを覚えていてよ

19/06/19 コメント:0件 hayakawa 閲覧数:37

 大学時代に僕と玲奈は出会った。ゼミが一緒だったのだ。僕は適当に発表していたが、彼女は違った。引用文献をこちらが圧倒されるほど調べあげ、教授顔負けの発表をした。彼女はその時彼氏がいて、僕は男友達の一人だった。なんとなく男友達というのは切ないものだ。本当は僕も彼女と付き合いたかった。
 卒業後、彼女は大手の化粧品メーカーに勤め、僕は小さな学習塾に内定を貰うことができた。
 その学習塾は個・・・

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白いてのひら

19/06/19 コメント:0件 待井小雨 閲覧数:58

 夏のバス停で、ゆらゆらと白い手が揺れている。
 僕はその腕を捕らえたくて必死で走るけれど、辿り着いてもそこには誰もいない。シャツの合わせを掻き毟る様に掴む。
 太陽が火照った体を焼いていく。
 ここで倒れたらあの人はあの時のように現れてくれるだろうか。……逃げて翻ったワンピースの裾。
 やがて到着したバスに乗って振り向いても、もうあの手は現れない。
 あれは幻――そ・・・

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若い感性で描かれた純情って何だよ

19/06/18 コメント:0件 hayakawa 閲覧数:35

 文芸部には部員は二人しかいない。僕である圭介と愛の高校三年生だ。秋の文化祭で出す小説の短編集を出すために僕らは毎日、小説を書いては顧問の先生に出しに行っていた。顧問の先生は頭の禿げた国語教師で、授業は退屈でおもしろくなく、「ハゲ」と陰口をたたかれている。そんな顧問の先生だが、昔から小説を書いて読んできたせいもあるせいなのか、人一倍、部活動には精を出している。
 僕ができた小説、原稿用紙十枚・・・

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がくあじさいのがっくちゃん

19/06/18 コメント:0件 こぐまじゅんこ 閲覧数:57

「今日もおひさまが顔をだして、雨がふらないなぁ」
 がくあじさいのがっくちゃんは、しょんぼり。
 がっくちゃんのとなりで、ちょうちょさんが、ひらひらおどっています。
「雨がふらなくて、よかった!」
 ちょうちょさんは、はずんだ声で言いました。
 がっくちゃんは、
「わたしは、のどがカラカラなのよ。雨がふってほしいのに……」

 そのとき、サーサーとシ・・・

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純情だったかもしれない

19/06/17 コメント:0件 要諦の山 閲覧数:31

 恋愛ゲームのような展開にあこがれたことはないだろうか。
 例えば、幼なじみの女の子とひょんなことから一緒に暮らすようになったとか。
「そんなこと、現実にはほとんどありえない」と思う人もいるだろう。
 それでも、そういう展開にひそかにあこがれている、という人も中にはいるのではないだろうか。
 実を言うと、僕もそんなことを夢想していた時期はあった。
 けれども、あこがれ・・・

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理由

19/06/17 コメント:0件 秋 ひのこ 閲覧数:45

 それを男と女なら純愛だと、ひとは言う。
 相手を想って想って、どうしようもないくらい大切な、尊いこころ。
 たとえこの気持ちが「愛」ではないにせよ、私はだったら、何と呼べばいいのだろう。

 ユキはいつも、耐えていた。
 家庭環境に、高校の副担任、F島に。
「別れてくれない」
 と、ユキが私に暗い顔を見せる。
「怒鳴るし、髪とか引っ張られて、土下座・・・

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ラセツ

19/06/15 コメント:1件 土井 留 閲覧数:74

 純情‐計算を抜きにして、相手を信じて疑わない気持ち(様子)‐『新明解国語辞典』第7版

1936年2月26日午前10時頃、陸軍大臣官邸内

 磯部浅一は得意の絶頂にあった。
 若手陸軍将校の一団は、日本を蝕む元凶をまさに一掃しようとしていた。
 私利私欲に走る政党政治家、資本家と手を組んで日本を食い物にする軍閥の領袖、そして宮中で専横を極めた奸臣たちが、仲間と・・・

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川端文学の「純情もの」

19/06/15 コメント:0件 治ちゃん 閲覧数:37

・・・

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メール・デート

19/06/14 コメント:0件 治ちゃん 閲覧数:45

・・・

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偽りのない

19/06/11 コメント:0件 藍田佳季 閲覧数:44


 人間は年齢が上がれば上がるほど、純粋な部分は減る。
 けど、奥底にはある。
 それが働いた結果が、いまのこの状況。

 顔を合わせて三日の相手。それを心から信じて前に進もうとしている。
 これから共に生きていく相棒だと信じて。
 
 信じた先に何があるかは分からないけど、覚悟はできている。
 それがないとどこへも辿り着かない。

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ミラクルツイン

19/06/08 コメント:0件 とよきち 閲覧数:118

 足は一本、翼はひとつ。おまけに頭も嘴も半分しかない奇妙なひよこ。
 子どもの頃に読んだ童話に出てくるそのひよこは、まるで僕たちだった。
 というのも、高校で『ミラクルツイン』と呼ばれる僕たち双子は成績が優秀で特別視されてはいたけれど、いみじくも、その呼び名にはもう一つ意味があったからだ。
 僕と弟の理央は、別々の身体でありながら、情報と感覚を共有している。
 理央が得た情・・・

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教授、うんこから前世を語る。

19/06/07 コメント:0件 堀田実 閲覧数:53

「うんこを笑うのは小学生の昔からの特徴ですが、実はその昔というのは人類が始まって以来ずっと続いているものではないか、と私は時々思うのです。」

 満開だった桜も散りはじめた頃、教授は入学したばかりの新入生たちを前にして唐突に話し始めた。

「生物学的に考えるならそれはおそらくうんこを笑うことが種の保存あるいは生存競争に勝つために有意なものだったから、ということになりましょう・・・

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メスのホンノウというやつ

19/06/07 コメント:0件 秋 ひのこ 閲覧数:60

 冴島先生は、セイブツガクテキ魅力に満ちている、とフーコは思う。

「主君の敵を討つべくここで秀吉が中国からすっとんで戻ってきたわけだ。すごいだろ、早いだろ、ありえないだろ」
 秀吉の中国攻めのあたりから、冴島教諭はいつもに増して熱い。本能寺の変でやられてしまった信長そっちのけでやたら秀吉を語る。
 10月に入ったというのに空気はまだ熱を帯び、冴島は片手にチョーク、片手に団・・・

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咄嗟の他人行儀

19/06/07 コメント:0件 悠真 閲覧数:54

 電車が停車したことを体で感じ、ドアが開いたことを耳で知る。開いていた文庫本から一瞬だけ目を離し、窓ガラス越しにまだ降りる駅ではないことを確認。その目は再び文庫本に戻って文字を追う。
「もしかして、津村さん?」
 顔を上げると、数年前に別れた彼が立っていた。
「いいえ、違います」津村は咄嗟に否定してしまった。どうしていいかわからず、視線を落として本の世界に逃げる。
 しかし・・・

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その男、盲目につき

19/06/06 コメント:0件 悠真 閲覧数:56

 早く食べ終わったので、何をするでもなく席に着いたままぼんやりしていると、トレイを持ったマキさんが視界に割り込んできた。
「やあ。ここ、いい?」
 僕が返事するより先に、マキさんは椅子を引いて向かいの席に座った。トレイの皿には野菜と果物しかない。
「ダイエットですか?」
「人聞きが悪いな。私がダイエットを必要とする体をしているように見えるかね」マキさんは顎を引いて、顔を斜め・・・

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Fってきっと古川くん

19/06/05 コメント:0件 路地裏 閲覧数:170

 日下部さんからメールが届いたのは、二日前のことだった。
 古川くんが亡くなった。古川くんは、高校時代のクラスメイト。日下部さんもまた、そうだった。
 驚いたのだけれど、彼が亡くなったのは一年前のことらしい。日下部さんは彼の死を受け入れるのに、人より少し時間がかかってしまったそうだ。

「お待たせ」
 そう言って現れた日下部さんは、すっかり大人の女性になっていた。白い・・・

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ルーイン

19/06/03 コメント:0件 村沢走 閲覧数:50

「夜に浮かぶ雲が好きなんだ」と、彼女は言った。長い睫毛を瞬かせている其の姿は、僕の腹案をも冥暗の内。鮮やぐ絶佳も輔弼の内。504号室の中で彼女は告げた。御馴染みの姿で、彼女は言った。「哲也君。ドア・イン・ザ・フェイス・テクニックというのを知ってるかい?」。僕は、「嗚呼」と即答し、「Aという無理難題を先に投げ、妥協したとみせてBを通す遣り方な」と、付け加える。「うむ」。と、納得した様に彼女は応え、次・・・

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私は成長したのかもしれない

19/06/01 コメント:0件 糸井翼 閲覧数:54

夏の暑い日に祖父母の家に顔を出した。子どもの頃からいつも同じ、パッケージに変な子どものキャラクターが笑っているアイスを出してくれる。祖父母にとっては私はいつまでも小さな孫なのだろう。社会人になると普段は絶対選ばないが、味覚は子どものままなのか、それとも疲れているせいか、冷たくてこってり甘いこの味は、本当に美味しいと思う。
「じいちゃんは、一人で寂しくなったら、つばさちゃんの小さな頃の写真を眺・・・

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確かにあれは、恋だったんだよ

19/06/01 コメント:0件 小峰綾子 閲覧数:63

窓におでこをつけて景色を眺めていた。あっという間に、思い出に浸る暇もないスピードで流れていく景色。

そこには見慣れた人の姿があった。手を振っている。それは、私の愛しい人…

なんてこと、ドラマでもあるまいし起こらない。そもそも新幹線のスピードじゃ無理である。

せめて最後、一度だけ会ってくれないか。

先生の、最後の、たった一度の我儘ともいえるメッ・・・

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おはな

19/06/01 コメント:0件 こぐまじゅんこ 閲覧数:88

 おひさま さんさん
 おはなに水をあげましょう
 さきちゃんが じょうろをもって
 じゃあ じゃあ じゃあ
 おはなは ごくごくのんじゃった

 かぜさん そよそよ
 おはなをゆらす
 おはなは るんるん おどってる

 あまぐも もくもくやってきて
 あめが しとしとふってきた
 おはなは シャワーをあびながら
 い・・・

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純情くん

19/05/31 コメント:0件 吉岡幸一 閲覧数:62

 純情くんは今夜も駅の高架下でポストカードを売っていた。手描きのイラストに小さな朱印が押されたポストカードを敷いた布の上に並べて、折り畳み椅子に座りながら人々が通りすぎていくのを黙って眺めていた。
 ときどき通りすがりの会社員や酔っ払いが興味半分にポストカードを眺めていたが、金を出してまで買おうという人は滅多にいなかった。皆、鼻で笑っては手に取ったポストカードをすぐにもとの場所に戻して立ち去・・・

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公園に眠るファラオ

19/05/31 コメント:0件 とよきち 閲覧数:110

 食卓に飾られた花瓶に僕は眉をひそめる。嫌な予感がした。
「どうしたの、これ」と妻に聞くと、航太くんから、と彼女は口元を綻ばせた。小学三年生の航太は姉の子どもで、つまりは僕の甥にあたる。花瓶に活けられた白い百合の花はやや萎れてはいたが、綺麗だった。僕があまりにその花を睨みつけていたからだろうか。妻は苦笑した。
「なあに、ヤキモチ?」
「まさか」
 ふんと僕は鼻を鳴らす。

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ゼロの底の純情

19/05/29 コメント:0件 堀田実 閲覧数:60

 ある日突然すべての数がゼロになるように定義された。数字の定義が変わったのだ。ゼロにはいくつ足してもゼロになるし、いくら掛けても割っても引いてもゼロのままだ。
 そんなほんの少しのお遊びのような違いが途端に世間の常識を一変させてしまった。
「昨日のテストを返すぞ」
そう言って一人一人に採点結果が配られる。
「川上よくできたな0点だ」
「山岸、全然勉強してなかっただろう・・・

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純情な君

19/05/28 コメント:0件 路地裏 閲覧数:205

 裸の男が寝ている。
 ベッドのシーツは捲れあがり、私の下着も男のものも部屋に散乱している。私はベッドに頬杖をつきながら、だらしなく眠る男を眺める。
 それは、綺麗な死体みたいだった。

 テーブルに置かれた煙草を手に取る。オレンジ色のライターは、コンビニで適当に選んだものだろう。
 私は煙草を吸わない。昨晩煙草を吸っていた男の姿を思い出しながら、不器用に火をつける。・・・

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埋まった

19/05/26 コメント:0件 村升 青 閲覧数:91

ある雨の日の放課後、親友に伝言を伝えられた。
「雪絵が、タイムカプセル埋めるから裏山に来て欲しいって」
にやけてそう言う彼は、良い奴だが嘘も多い悪戯好きだったので、一瞬驚いた僕はふうんと平静を装い、傘を差すといつも通り一人で家に帰った。
次の日登校すると、幼馴染の雪絵はいつも通り席に着いていた。
僕が来てもおはよと笑うだけだったので、やはり彼の言葉は嘘だったのだと僕は胸を撫・・・

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夏の親友

19/05/25 コメント:0件 海見みみみ 閲覧数:76

「あなたの血、マズイわね」
 突然聞こえた声。ジュンがビックリしていると、目の前に一匹の蚊が現れました。
「こんなどんよりして薄暗い味初めてだわ。……あなた、見ない顔ね」
「私、ジュン。小学一年生」
「なるほど、この家のおじいさんの孫ね。……アナタ、今夜はおいしいものを食べなさい。それで血がおいしくなったら、また吸いに来てあげる」
 そのまま蚊は飛んで行ってします。蚊・・・

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純情性癖モラトリアム

19/05/25 コメント:0件 クナリ 閲覧数:137

 メロンシロップを混ぜたプリンのようだ、と自分の髪を見て自分で思う。
 高校一年生の九月、私の通う教室では、異質なものを見る目がいつも遠慮なく突き刺さってきた。

 放課後、いつものように一人で帰る。
 ふと体育館の裏を見ると、貧弱な外階段の踊り場に、同級生の男子が座っているのが見えた。
 工藤という、黒髪に眼鏡の真面目野郎だ。
 工藤の視線を追うと、その先には・・・

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新生物

19/05/24 コメント:0件 R・ヒラサワ 閲覧数:80

「私にしてみれば、タチバナ君だって『新生物』の様なものだ」と、所長は心の中で思った。
 所長の居る研究所は、食品会社が百パーセント出資している子会社で、主に原料となる植物の研究をしており、品種改良による理想の苗を開発するのが目的だった。
 数名いる研究員の中で、一番若手のタチバナは、所長と親子ほど年齢が離れていて、その扱いに頭を悩ませていた。
 基本的に打たれ弱い。注意するにも気・・・

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純情のありさま

19/05/24 コメント:0件 マサフト 閲覧数:81

何かにつけて心は平静を失う
いかにしてこの激情を説明したもうか
身体は動かぬままなのに
中身だけが暴れる様な
頭は冷たく冴えているのに
胸中だけが騒いでいる様な
大声を出しながら静謐を保つ
駆け出しながら静止する
そんな矛盾を抱えているのです
道理に合わない ちから なのです

何かにつけて心は羞恥する
いかにしてこの倒錯を鎮・・・

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純情グミ

19/05/23 コメント:0件 W・アーム・スープレックス 閲覧数:70

 田所靖といえば、これまで寝た女はそれこそ星の数ほどと豪語するまさに現代のカサノヴァともいえる男だった。ことその道にかけては彼の足下にもおよばない私からみれば、まったく羨ましいかぎりで、彼の女性遍歴をこうして酒場でグラスをくみかわしながらきかせてもらうのがせめてもの慰めだった。
 田所の、過去に関係した女の話を、微に入り細に入り、包み隠さずはなすのをきいていると、あたかも自分がその場にいたか・・・

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純白のサメ

19/05/22 コメント:0件 海見みみみ 閲覧数:76

 小学生四年生の夏休み。ボクはサメを飼い始めた。シャーク、海のギャングのサメだ。
 夏祭りに行った時のこと。おこづかいを握りしめ出店を見て回っていると、奇妙な店があった。『鮫屋』と書かれたその出店の前には、大きな水槽が置かれていた。水槽の中には真っ白な手乗りサイズのサメが泳いでいる。
「こいつはエモクイザメ。特別なサメだよ」
 店主のおじさんがボクに気づき、声をかけてくる。ボクは・・・

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美少女愛里の純情

19/05/22 コメント:1件 笹峰霧子 閲覧数:117

 愛里は町はずれの中学を終えると市の高校へ入学した。高校は自宅から自転車で20分ほどの距離にあった。中学までの友達はそれぞれ進路別の高校を選び散り散りになったので同じ高校へ進んだ者は数名にすぎなかった。

 中学校までは一番で通した愛里もこの学校ではついて行くのが精一杯というほど良くできる生徒が集まっていた。
 一年生の時は友達もいなかったので、授業が終わるとすぐに帰宅してピアノ・・・

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私は空っぽなただのカラス

19/05/21 コメント:0件 浅月庵 閲覧数:115

 昼休みにミサトと、私の終わった恋愛について話をしていると、彼女が核心をつく。
「リカってさ、才能ある男に弱いんだね」
 あはは。図星だ。高一の始まりから秋頃までに、すでに七人の男と付き合い、別れた。同じ高校のサッカー部やバスケ部の有望選手。後は軽音楽部のギターボーカルなんかと付き合った。私の目には例え顔がイマイチだったとしても、なにかしらの才能さえ感じられれば、彼らが宝石のように映っ・・・

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純情ボート

19/05/21 コメント:0件 犬飼根古太 閲覧数:84

 その村には「クロフネ」と呼ばれる小さな黒い舟があった。
 なんの変哲もない古びた小舟だ。
 だが、まるで秘密基地を少年少女たちが代々受け継ぐかのように、クロフネは若者たちに受け継がれ、彼らにとってなくてはならないものとなっていた。

 先月中学三年に上がったチハルは、黒い詰め襟の制服の胸元を少し緩め、苦しそうに告げた。
「俺、高校は……都会のとこに行こうと思うんだ」・・・

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放棄した彼女を放置した僕

19/05/21 コメント:0件 悠真 閲覧数:65

 今になって思えば、あれは初恋で、一目惚れに分類されるものだったのだろう。
 二年前の春。中学生から高校生に肩書きが変わった四月。初めは気もそぞろだったが、一週間もすれば中学校と変わらない雰囲気が形成された。そんな中、僕は一人の女子を意識するようになる。決して外見に魅かれたわけではない。それもそのはず。彼女はおしゃれ要素が皆無の、どこか古さを感じさせる丸メガネをかけていて、伸びるままに任せた・・・

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地味弁

19/05/21 コメント:0件 南野モリコ 閲覧数:142

お弁当の日は嫌いだ。4年2組の教室では彩りよく詰められたお弁当を皆、誇らしげに机に乗せるのに比べ、うちのママのお弁当ときたら、海苔を敷いたご飯に大きなハンバーグをでんでんと並べただけ。ハンバーグは好きだけど、他の女の子のお弁当と比べると全然、可愛くないからだ。
「うっわー、レイナの弁当、地味だな」
私のお弁当を目ざとく見つけて叫ぶ声がした。勉強ができて顔もよく、女子にも人気のある山崎蒼・・・

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パンケーキ!!

19/05/20 コメント:0件 奇都 つき 閲覧数:56

誰が悪いと問われれば、TVの特集だろう。
お昼時少し過ぎ、食べ損ねたが今日は休日。なにも食べずに夕方まで持たせようと思っていたのに、TVはどこを付けても食べ物関連ばかり流していた。いくらチャンネルを変えども出てくる食物たちに、私の胃はしびれを切らし、グウグウと抗議の声をあげた。
仕方がない。面倒がらずに食べようか。
問題は何を食べるかだ、とう思い冷蔵庫の中身を思い出していると、レ・・・

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六根清浄の蛭

19/05/20 コメント:0件 W・アーム・スープレックス 閲覧数:76

 友樹とその一行は巡礼の旅の途中でみつけた一軒の食堂に足をふみいれた。聳え立つ神山を望む聖地を目前にしてのことだった。
 友樹はテーブルに座り込んだ仲間たちの一様にうち沈んだ顔を、ゆっくりと見まわした。
 みんな心に深い苦しみ、癒されることのない悩みを抱えていた。ある人は宗教にすがりつき、ヨガ、瞑想、なかには神秘思想にのめりこむものもあったが、結局何をしてもいっそう煩悩がますばかりとい・・・

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丼つくれ怪人を倒す間に

19/05/20 コメント:0件 mokugyo 閲覧数:51

怪人倒してる合間にできる、誰にでも簡単に作れるレシピを教えよう。

まずは再生数がのびなくても、いいねがもらえなくとも悩まない心が必要だ。心がまえというのはどんな料理でも大切。

食べる人のことを考えると、よりおいしい料理ができるは当然だ。

だが、今日作るのは『直説丼』だ。食べる人のことを考え過ぎてはいけない。味がわざとらしくなるからだ。それは舌にとっても失礼・・・

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ジューサーミキサー

19/05/20 コメント:0件 青苔 閲覧数:46

 そのレシピを発見した時、私は小躍りしたいほど喜んだ。
 どこで、どうやって、それを発見したのかについては誰にも話すまい。今この地球上で、その存在を知っている者は私一人だけなのだ。人の口に戸は立てられない。だから私は、私一人だけの秘密として胸にしまっておくつもりだ。
 私はそのレシピを実践するにあたって、何よりもまず、ジューサーミキサーを最初に用意しようと考えた。私には、これが第一の難・・・

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数学者v.s.コロッケ

19/05/20 コメント:0件 北 流亡 閲覧数:60

西村玲子は困惑した。レシピに書いてあることが、ほとんど理解出来なかった。
1+12だ。斜辺の長さをc、他の二辺の長さをa、bと定義すると、c^2a^2+b^2だ。3以上の自然数nについて、x^n+y^nz^nとなる自然数の組 x,y,zは不在だ。
しかし、ジャガイモと挽肉と玉ねぎからコロッケが出来る。理解は、出来なかった。

数学とは、迷路のようなものだと、玲子は思っている・・・

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19/05/20 コメント:0件 みや 閲覧数:40

「カフェオレを一つ、お願いします」

今日も彼女は僕が働いているカフェにやって来た。彼女は毎日昼過ぎ頃にやって来て、いつもカフェオレを注文する。大学の講義の合間のコーヒータイムかな…僕の妄想は止まらない。
彼女はとても可愛らしくて、彼女が初めてこのカフェに現れた時に僕は一目で恋に落ちた。明日も来てくれるかな…と僕は期待していて、次の日も彼女がカフェに現れた時には僕は心の中でガッツ・・・

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思い出の隠し味

19/05/20 コメント:0件 小高まあな 閲覧数:93

 ミートソースのパスタが食べたい。
 そう思った自分に驚いた。私にとってそれは、タブーだったから。
 六年前、事故で亡くなった私の婚約者。彼の得意料理だったから。どうしても、作る気にも食べる気にもならなかったのだ。
 何かが吹っ切れたのかな。嬉しいのか、悲しいのか。わからないまま、私はキッチンに立つ。
 料理人だった彼は、レシピを残さないタイプの人だった。だから、私の記憶だ・・・

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レシピ釣り

19/05/20 コメント:0件 田辺 ふみ 閲覧数:60

 最近、メニューがマンネリ化してきたので、レシピを釣りに行くことにした。
 結婚前、母からこっそり教えてもらった池は自宅から一時間ほどだった。
 新居が決まっていたから、近い池を教えてくれたのかもしれない。
 釣りにふさわしい服装って何だろう。悩みながら、決めたのはTシャツにジーパン。帽子にサングラス。
 ふだんのわたしとはまるで、違う格好だから、知り合いに出会っても気づか・・・

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妙味は、ひとしずく

19/05/20 コメント:0件 冬垣ひなた 閲覧数:112

 惣菜屋『ふるさと』は、駅前にあるテイクアウト専門の小さな店だ。几帳面な店主の人柄通り、清潔な店内には和洋中でコーナー分けされた手作りの惣菜が並んでいる。レジ前には、混ぜご飯やおにぎりも取り揃えてあり、夕方の時間帯は年配の主婦や子連れのママが来店して賑わう。
「ただいま」杏奈が高校から帰ってくると、父の恭平は品出しをしている所だった。白いコックスーツで快活に働く顔には、笑い皺が刻まれている。・・・

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クックパッパの奇跡

19/05/20 コメント:0件 宮下 倖 閲覧数:66

 ナスカの話をしよう。
 本当の名前は明日香というのだけれど、小学五年生のとき給食で出たナスの揚げ出しにハマり、しばらく「ナス、ナス」とうるさくて、ついにはあだ名にまでなったナスカの話だ。
 彼女の趣味は食べること、そして、作ること。
 ナスカは両親と弟との四人家族なのだけど、彼女が食に興味をもつようになったのは母親のせいである。
 となれば、彼女の母親がいかに料理上手で、・・・

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移住

19/05/20 コメント:2件 W・アーム・スープレックス 閲覧数:89

 どんより曇った空に響く拍子木の音も湿りがちだったが、その音にひきつけられて集まってきた子供たちが、たちまち公園の中央に繁みをひろげる木の下にかたまった。
 かれらのまえに止まっている自転車の荷台には紙芝居の舞台がすえられ、女性が一人、その舞台の横にたち、おもむろに紙芝居のはじまりを告げた。
 子供たちは、次々と展開する絵にあわせて語られる女性の、巧みな口ぶりにたちまち魅せられたように・・・

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星空

19/05/20 コメント:0件 風宮 雅俊 閲覧数:62

 夕陽を左に受けながら高速道路を一時間ほど走ると、アマチュア天文家の観測ドーム群がある。その一角にあるのが僕たちの観測ドームだ。
 そこには、無粋な街の光はない。街路灯もない。時折見えるのは水平線を滑るように進む貨物船の光だけだ。
 夕日が西の空をオレンジ色に染めた後、東の空から藍色が広がってきた。
 星空の開催だ。


 天体観測が毎週の楽しみになったのは、さ・・・

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キレイなドロ水

19/05/20 コメント:0件 海見みみみ 閲覧数:65

 人生に嫌気がさして、ドロのように眠っていると、目覚めたら本当にドロになっていた。待って、ワタシは二十五歳。独身のフリーター。彼氏なし、ついでにお金もなし。
 でも今の姿はどうだ。どこからどう見ても、ドロドロのドロ。当然ベッドで寝ていたので、寝具はドロだらけ。まだシーツ買い換えたばっかりなのに。いや、今はそんなことを気にしている場合じゃない。
 人間からドロに変身してしまい、正直ワタシ・・・

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