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考える山猫

19/04/22 コメント:0件 中村瑞帆 閲覧数:0

むかしむかし、あるところに猟銃を持った若い紳士二人に生クリームとお酢をかけた絶品レシピを考えた山猫がいるのではないかと考えた顔がくちゃくちゃの紳士がいるのではないかと舌なめずりをしている山猫が注文の多い料理店でどんぐりの裁判を抱えて悩んでいたところ、どっどど、どどうど、どどうど、と風が吹いたので、アメニモマケズ、カゼニモマケズとつぶやきました。・・・

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謎肉弁当

19/04/21 コメント:0件 千日 閲覧数:11

 しとしとと細かい雨つぶが、傘をさしてもいろんな方向からとびついてくる。ぼくは雨がきらいだ。くわえて風邪をひきかけているらしい。息苦しくて、うだうだと寝がえりを何度もうったあと、あきらめて、レインコートを着込んで自転車に乗り、風邪薬とからあげ弁当を買いにいった。
 風邪薬はドラッグストアでそのとき安いものでいいけれど、からあげ弁当は二百五十円のと決めている。それも、自転車で十五分行って橋をふ・・・

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アンゴーさんの暗号

19/04/20 コメント:0件 海見みみみ 閲覧数:10

『エエラカフロY』
 意味不明な言葉が並んだ文章。アンゴーが出した暗号を、お嬢さまは解き明かします。
「最後のYがポイントね。これはほかの言葉もアルファベットにするんじゃないかしら? ローマ字に直すと『EERAKAHUROY』。これを逆から読むと『夜はカレー』ね」
 お嬢さまの推理が当たり、アンゴーは拍手をします。お嬢さまは自慢げな様子でした。

 今より少し前のお話・・・

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納豆菌のような女

19/04/20 コメント:0件 W・アーム・スープレックス 閲覧数:18

 日曜の昼前、敏郎がぼんやり時間をすごしているとき、その訪問者があらわれた。
「こんにちは」
 開けたドアの向こうには、これまでみたこともない、若い女がたっていた。女は彼がまだ何もいわないさきに、彼をおしのけるようにして部屋にあがってきた。
「なんなんですか、きみは――」
 あっけにとられる敏郎に、彼女はいった。
「台所は、こちらかしら」
 と女は、短い廊下のさ・・・

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雀のよるべ

19/04/20 コメント:0件 秋 ひのこ 閲覧数:18

 “レモン’’が死んだ。
 いつも黄色い服を着ているからレモン。路地裏で生ゴミに頭突っ込んで、白目むいて泡吹いて死んだ。毒々しい色の腕と、地面に転がった注射器が、人の同情を寄せ付けない。
 
「イチゴ、これ、この前シフト代わってくれたお礼」
 モモがにやりと笑い、指先でつまんでみせたのは、名刺大の透明な袋。中に白い粉とカプセルがひとつ入っている。
「モモちゃん頼むわぁ・・・

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幸せのレシピ

19/04/18 コメント:0件 吉岡幸一 閲覧数:33

「うちは貧乏なのにどうしてお母さんはいつも幸せそうな顔をしているの」
 私がまだ小学五年生だったころ、台所で肉の入っていないカレーを作っていた母に聞いたことがあった。
「お母さんが幸せそうにしている理由はね……」
 手を止めて振り返った母はうれしそうに話してくれた。

 子供ながらうちの家が貧乏なのは仕方がないと思っていた。失踪して行方不明になった父のせいでうちは貧乏・・・

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父ちゃんの料理

19/04/17 コメント:0件 風宮 雅俊 閲覧数:35

 風邪をひくと、学校を休まないといけない。友だちと遊べないし勉強も出来ない。身体も熱が出てふらふらするし、あちこちが痛くなる。
 でも、一つだけ良い事がある。この日だけは父ちゃんがご飯を作ってくれるからだ。

「どうした、学校いかないのか?」
 布団の中で丸くなっていると父ちゃんが様子を見にきた。たぶん、学校から電話があったんだと思う。
「ごめんよ父ちゃん。朝飯作れな・・・

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魔法のラーメン

19/04/17 コメント:0件 海見みみみ 閲覧数:42

「いっしょにラーメン屋をやらないか?」
 シロウから飛び出した言葉。それにケントは驚いているようだった。
「ずいぶん突然な話ッスね」
「とにかくまずはこれを食べてみてくれ」
 そう言うとシロウは机に一杯のラーメンを置いた。ワケがわからない様子だが、ケントはそれをすする。するとその目が見開かれた。
「なんだこれ、うまいッス!」
「これを見ながら作ったんだ」
・・・

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はるくんのりょうり

19/04/17 コメント:0件 こぐまじゅんこ 閲覧数:58

 はるくんは、保育園の年長さんです。
 保育園には、ばあちゃんがむかえにきてくれます。
 家に帰ると、ばあちゃんは、台所で料理をはじめます。
「今日は、はるくんのすきなミートオムレツをつくるよ」
 ばあちゃんは、れいぞうこから、たまごとミンチをとりだします。
 玉ねぎは皮をむきます。
 はるくんは、ばあちゃんのとなりにいすをもってきて、よこに立ってみています。<・・・

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食わず嫌い

19/04/17 コメント:0件 W・アーム・スープレックス 閲覧数:41

 タルクは銃をかまえて腹ばいになり、でこぼこした大地のうえを茂みの影まではっていった。
 正規軍兵士の影がちらとでもみえれば瞬時に、下を流れる渓流に飛び込む覚悟だった。仲間のゲリラがいれば、力をあわせて立ち向かうこともできたが、その仲間たちも次々に射殺されていくのをこの目でみているだけにタルクは、神経を針のようにとがらせながら、なおも匍匐前進をつづけた。
 と、灌木の向こうに、なにやら・・・

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王のレシピ

19/04/17 コメント:2件 紅茶愛好家 閲覧数:60

古代ローマの遺跡から王の食べたレシピが見つかった。見つけたのは研究者ジョバンニ=フィオーレ、彼は石板に刻まれたそれを大事そうに研究室へと持ち帰った。
「これは当時の王がどんな食生活をしていたか分かる貴重な資料だ。解読した暁にはレシピを再現しよう」
ジョバンニの言葉に同僚のマルコが頷く。
「大変な話題になることは間違いないな」
「美味しければ企業とタイアップして商品化すること・・・

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マニュアル

19/04/17 コメント:0件 R・ヒラサワ 閲覧数:32

 以下の手順は大まかに書かれています。状況に応じて各自、臨機応変にアレンジして下さい。

●素材をよく見て、どう料理するべきか熟考して下さい。
●切り口はどういう感じがいいか? 素材によって変えます。
●次にいためてみて下さい。軟化するかもしれません。
●次に十分間ぐらい置いてみます。
●見た目が赤くなったり、青くなったりした場合は良くありません。元に戻す方法を・・・

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夕暮れ前に焼き飯を食う人々

19/04/16 コメント:2件 クナリ 閲覧数:86

 キャバレー勤めのまま三十路をとうに越え、腕や腹の肉が貫録を与えてくれるのは、いいやら悪いやら。
 この頃は、舌打ちが増えた。始終イライラしている気がする。

 昨夜の無茶な酒が体に残っている。
 まだ無人の店に入ると、初夏の十五時の空気は生暖かかった。
 掃除用具を出していると、裏口のドアから見知った子供が入って来た。私は、ち、と舌打ちする。
「あんたさ、今年・・・

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最後の晩餐

19/04/16 コメント:0件 浅月庵 閲覧数:54

 アイス・ペリントンは王の愛娘を殺害した罪に問われ、明日の早朝、民の前で首を刎ねられるという。彼は自分の無実を主張しているようだが……その真偽についてはどうでもいい。
 私の職務はただ、アイスに最後の晩餐を用意してやることだ。悪しき魂を現世に留まらせず、安らかな気持ちのまま天に返すには、最高の料理を提供せねばならない。

 シェフであるこの私、ナーク・ウェルズは、独房の前でアイス・・・

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ヤオのはじまり

19/04/16 コメント:0件 海見みみみ 閲覧数:34

 昔々。中国の山奥で仙人と共に修行をしている若者がいました。
「今までこの辛い修行をよく耐えてきた。免許皆伝じゃ。このレシピを持っていけ」
 そう言って仙人が渡したもの。それは不老不死のクスリのレシピが記された書でした。

 修行を終えた若者、ヤオは早速不老不死のクスリの調合を始めました。
「月のしずくに黄金桃の果汁、それに砂糖とジャンとなにかステキなものアル」

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私をおいしく食べる方法

19/04/16 コメント:0件 W・アーム・スープレックス 閲覧数:37

 五人は眼前にそびえたつ大江山をみあげた。
「本当に鬼はいるのだろうか」
 忠吾は仲間をみまわしながら、不安そうにいった。
「本当は鬼ではなく、鬼と化した心をもつ人間がいるのだろう」
 と、年長者らしい分別をみせたのは、五平だった。それには他の面々も一様にうなずいた。誰しも、おのれの中に鬼を認めたことは一度や二度ではあるまい。
「相手が人なら、たとえ鬼の心をもった相手・・・

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実践! 料理部

19/04/16 コメント:1件 犬飼根古太 閲覧数:57

「実践」を掲げる料理部であること。
 それがこの料理部が、一般的な料理部と違うところだ。
 かつて廃部寸前だった部を立て直した部長が「実践的に料理を学べる部にしよう」と言い出し、見事に再建したのだった。
 その方法とは…………。

 冷蔵庫の前に部員十名が集まっている。
 期待と緊張に満ちた視線が冷蔵庫に集まる中、部員の一人が扉を開ける。
 冷蔵庫の食材を・・・

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賛歌

19/04/15 コメント:0件 森音藍斗 閲覧数:38

 実家が好きではなかったから大学で東京に出た。

 父はいない。母は過保護で、友人とカラオケに行くことすらままならなかった。そのせいで友達もいない。作ろうとしたこともあったが、彼らみんな休みの日にゲームセンターに行った話で盛り上がるものだから居心地が悪くてやめてしまった。電車に乗らなければショッピングモールもない田舎、小中学校は丘の上だったから通学は億劫だったし、趣味も習い事も種類がな・・・

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かぐや姫の帰還

19/04/15 コメント:0件 青苔 閲覧数:29

 その日、月では、誰も彼もが上を下への大騒ぎだった。

 特に月の女帝は、廊下を行ったり来たりしながら落ち着かない様子で、時々空を見上げては、そばを通る下働きの者をつかまえては、こまごまとした指示を与えていた。
 かぐや姫を地球に送り出してから、三年。母親である月の女帝だけでなく、月の住民たちもこぞってかぐや姫の帰りを待ちわびていた。
 あのかぐや姫が戻って来られるそうだ。・・・

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3年ぶりのユウキ帰省

19/04/15 コメント:0件 mokugyo 閲覧数:23

3年ぶりに実家に帰って驚く。

実家は、郊外のみすぼらしい木造一軒家だったんだ。それがおぞましい外観に変貌していて。

キューブ状の建物に無数の配線が巻き付いていて、謎の研究所の様になってる。

目を疑うが、確かにここは実家だ。

その証拠に入口の門は昔のまま。標札の「高橋」も変わってない。

木の柵の小さい門を開けて、俺はおそるおそる玄・・・

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つなぐ【エッセイ】

19/04/15 コメント:0件 宮下 倖 閲覧数:40

 双葉の家な、秋にほどくことにしたから。
 2018年の元旦、おせちと雑煮の朝食を終え食後のお茶を飲むと、父はまっすぐに私たちを見てそう言った。
 並んで座っていた私と妹は互いを見ることはなかったけれど「きたか」と背筋を伸ばす。
「うん。わかった」
 そろって静かに頷けば、一瞬止まったように思えた時間が私たちを窺うように動き出した。
 私の実家は福島県の浜通り、双葉町・・・

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My Home

19/04/15 コメント:0件 みや 閲覧数:21

私は実家が嫌いだ。

私の実家は小さな三階建ての一軒家で、古くて狭くて臭い。古い家なので壁は土壁で床は畳。犬を飼っているのでやはり匂いは動物を飼っていない家よりは臭いと思う。

家族構成は私、私の母、母の両親(つまり私の祖父母)の四人と犬が三匹の合計七人で、私は生後半年で私の父と離婚した私の母と一緒にこの私の母の実家で暮らしていた。幼い頃は古いとか狭いとか臭いとか何も思わな・・・

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わらの家

19/04/15 コメント:0件 タック 閲覧数:106

僕は実家を恥ずかしく思っていた。中学二年生までの話である。

僕は自然豊かな田舎に生まれ育った。夏には緑色の絨毯が田んぼを埋め、秋には紅葉に色づいた山が空の一角に映える。そんな地域だ。
そのような地域だったから、小学生の頃は十二人しか同級生の男子がおらず、人数の少なさのためか僕らは比較的仲良く遊んだ。
休日や放課後にはよく互いの家にお邪魔し合い、僕もたびたび自宅に友達を招き・・・

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実家作り体験教室

19/04/15 コメント:0件 紅茶愛好家 閲覧数:49

世の中にはいろんな事情で実家の無い人々がいる。僕もその一人、そう僕には帰る実家がない。生まれた時から天涯孤独、ずっと児童養護施設で生活してきた。しかし、今日語りたいのはそんな悲しい身の上話じゃない。今日僕は人生をかけてあるツアーに参加した。『実家作り体験教室』、つばめバスの主催する体験型ツアーだ。
『さて、間もなくバスは深見村へと到着です。お降りの際はお忘れ物などないようお願いいたします』<・・・

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帰る実家はありません。

19/04/15 コメント:0件 小高まあな 閲覧数:52

「実家に帰らせていただきます!」
 そう宣言して家を飛び出した。が、飛び出したところで、私に帰る実家などなかった。
 とりあえず手元にあった鞄を持ってでてきたが、中には碌なものが入っていない。お金だってあまりない。
 どうしたものかな、と思いながら近所の公園に向かう。夕方が近づいてきて、人はどんどん帰っていくところだった。寂しい。
 とぼとぼとブランコに座る。
 友達・・・

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家を生むモノ

19/04/15 コメント:0件 秋 ひのこ 閲覧数:31

「あれ、また模様替えした?」
 夫が帰ってくるなり開口一番に指摘した。
「うん、なんかもう少し使い勝手よくならへんかなあと思って」
 ナミエは表情ひとつ変えず、手早く野菜炒めを電子レンジに突っ込み、冷蔵庫からサラダを出す。
 動かしたのは、食器棚とリサイクル用の仕分け箱だ。
「アミもてつだったよ」
 パジャマに着替えた6歳の娘が夫の足にくっついた。夫はそれに適当・・・

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Recipe

19/04/15 コメント:0件 R・ヒラサワ 閲覧数:31

「新しい彼女が出来たんだ。だから、これで君を含めて五人って事になるね」
 タクミの言葉を聞いてもコトネは全く反応しなかった。それは人数が六人や七人に増えたところで、同じだったに違いない。会話の流れとしてコトネは一応聞いてみる。
「今度は何がいい人なの?」
「運動神経だよ。水泳に陸上に球技全般。何でも出来るみたいだ」
「ふうん。そうなんだ」
 聞いたところでコトネの心境・・・

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帰る家がない

19/04/14 コメント:0件 紅茶愛好家 閲覧数:43

田所家はその夜、会議を開いていた。議題は耐震補強に伴う自宅改修について。
「せっかく家を弄るんだからついでに不便なところも変えましょ」と嫁、咲江。
「じいちゃんとばあちゃんの部屋の段差をなくしたほうがいいよな」
孫で介護士の永利(えいり)が提案する。すると祖母、絹子が目元を潤ませる。
「永利は優しいねえ、涙が出るよ」
「いっそのこと風呂もいじるかぁ」と祖父の永吉。

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おちゃめな母は魔法使い

19/04/14 コメント:0件 海原 閲覧数:35

「母さん夕方まで帰らないし、父さんも外出しているから鍵忘れないようにね。」
実家に帰る日の朝、母からこんなメールが届いていた。久しぶりに実家へ帰るのに、父も母も不在とは少し寂しいな…。そんな気持ちを抱えながら、京都から実家のある兵庫へと向かっていた。お土産に京都産のワインとチーズとお豆腐をリュックサックに詰め込んで。季節は5月を迎え、すっかり桜は散ってしまった。今年も仕事が多忙でゆっくりとお・・・

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夜空に浮かぶ実家

19/04/14 コメント:0件 悠真 閲覧数:30

 機内にいる人は皆、金持ちだと考えてよい。概ね人生において成功者に分類される人々だ。
 目的地は同じ。目的も同じ。
「失礼かもしれませんが、お仕事は何を?」私はたまたま隣合っただけで初対面にも関わらず、隣席の男性に話しかけた。「答えたくなければ構いません。私はアパレル関係の会社で、デザインをしています」
 機内で初めて会った人と言葉を交わすことは珍しくない。電子端末の持ち込みは禁・・・

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僕らの窓

19/04/14 コメント:0件 千日 閲覧数:27

実家のリフォームをすることになった。
 大々的にやらねばというので、四十を過ぎて未だ独身の僕はせめてもの親孝行にといつもならメジャーデビュー前の地下アイドルにつぎ込まれるはずの金を奮発し、独創的な空間づくりが評判の建築家Rを呼んだ。Rは早速やってきて、バリアフリー、エレベーター、床暖房、ヒートショック対応トイレなど快適な空間を提案した。父は聞いただけでお腹いっぱいになってしまいほぼ夢見・・・

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実家詣

19/04/14 コメント:0件 中村瑞帆 閲覧数:25

 妻の実家に帰るのは、毎年のことながら憂鬱である。義父はいつも言う。
「君の顔を見ているとどことなく辛気臭い」
 自分でもそう思うが、そう言われても自分の顔は自分では選べないのだ。
義父が伸びをした拍子に首が伸びて天井にあたり、ゴキン、と音がした。
「あなた、気をつけないと。何度ぶつかったら気が済むの」
 義母がぺろぺろと床のゴミをなめながら言った。義母は、体中緑色で・・・

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夢の我が家

19/04/14 コメント:0件 田辺 ふみ 閲覧数:26

「ただいま」
 大きな声を出して、古い木製の引き戸を開けた。
「お帰りなさい」
 玄関には母が待っていた。
「疲れたでしょう」
「いや、荷物もないし、平気」
 上がり框に腰を下ろして、靴を脱いだ。
 裸足で床を歩くと、ひんやりとした感触が伝わって来る。
 古い家独特の木と線香と何かが混じった匂い。
 ああ、家に帰ってきたんだ。
「お茶にす・・・

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帰省

19/04/14 コメント:0件 碧井空 閲覧数:19

 上司が言った。
「手帳を最近買ったそうだな。それを全部使いきらなければ、ただの札束と同じだ。ほら、飲め」
上司は缶コーヒーをくれた。
「それが、ただのスチールと同じように」
鼻で笑いながら石を蹴ったその先に、少年たちが捕り損ねた野球ボールが転がっていた。上司は機敏な動きで投げ返した。
 鼻の頭に玉のような汗があり、ネクタイに垂れた。
「おまえ、お盆に帰省はしな・・・

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故郷から五万二千天文単位

19/04/14 コメント:0件 本宮晃樹 閲覧数:52

「なぜ地球だけを特別視するのか、わたしは理解に苦しみます」
 鼻つまみ者の生物学者であるフレッド・ホイル・ジュニア氏はさる大学の公聴会で、自説を高らかに開陳しているところだ。
「生物の単一子孫、いわゆるコモノートが地球上において自然発生する確率が非常に低いことは周知の通りであります」
 公聴会に訪れた人びとはしらけていた。彼らはべつの科学者の演説を聞きにきたのであり、ホイル氏のた・・・

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実家に帰らせてもらいます

19/04/14 コメント:0件 つつい つつ 閲覧数:50

 今日は久しぶりに仕事が定時に終わったので急いで家に帰ることにした。いつも残業ばかりで少し年上の妻の麻衣さんと、この春から小学校に通う美桜と一緒に夕食を食べることも出来なかったから電車の中でも早く帰りたくて、ドアの前で足踏みなんてしたりもした。 
 最寄り駅から駆け足で歩いていると、ちょうどスーパーから出てきた麻衣さんと美桜を見つけて僕は思わず美桜に抱きつこうと駆け寄った。
「変態!」・・・

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失考の幇助

19/04/13 コメント:0件 日向 葵 閲覧数:58

「全く、ツイてないな…」
圏外になった携帯電話とエンストした愛車を見て思わず愚痴がこぼれた。
辺りを見回すと薄い月明かりが深い緑を包んでいる。この様子では車通りは期待できないだろう。一先ず愛車を押して車道の脇に寄せると額から汗が滴った。
「少し歩けば、電波が入るかもしれない」
丁度良く火照った体をそのままに薄明るい夜道を歩くことに決めた。

電波こそ入らなかった・・・

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写真の赤ん坊

19/04/13 コメント:0件 ハッギー 閲覧数:53

 母が4年前に亡くなり、実家は住人のいない状態が続いていた。
 退職し時間に余裕が出来たので、遺品の片付けに自転車で10分くらいの実家へ足繁く通うようになった。
 約五十坪ある各部屋を整理していった。埃まみれになって整理したが、結局ほとんど捨てることになった。最後は、倉庫の整理に取りかかった。
 倉庫の中から、ホコリを被ったいろいろな物が出てくる。大抵は木箱や段ボールの中にしまわ・・・

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あなたの家の

19/04/13 コメント:1件 待井小雨 閲覧数:89

 結婚の挨拶をするために、彼女の両親に会いに行くことになった。付き合い始めてから数年になるが、彼女の実家に行くのは初めてだった。
 
「家に連れていくのは、少し不安で」
「不安?」
 地方の寂しい駅を降り、バスを待つ。
「前に付き合ってた人がうちに来たことがあるんだけど、その時に……何て言うか、その家だけの文化みたいなのってあるでしょう? それが合わなかったみたいで、・・・

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家を売らないお父さん

19/04/13 コメント:0件 ササオカタクヤ 閲覧数:58

「絶対この家は売らないぞ」
何度も何度も都市計画のため行政が土地買収の話を持ちかけてくる。それでも一向にお父さんは売ろうとはしなかった。もうこの家も相当廃っているし、この際多額で持ちかけられているんだから売って新しい家でも買ったらいいのに。なんて娘の私は考えている。
「まったく、人が建てた家をあーだこーだ言ってきやがって。ふざけやがって」
「まぁ気持ちは分かるけど。でも私や和葉は・・・

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こいつが座って俺が立つまで

19/04/13 コメント:0件 悠真 閲覧数:39

 今日の日替わりランチはヒレカツ定食だった。
「お疲れ様です」
 二人席の空いていた向かいに腰掛けてきたのは、同じ部署の後輩社員だった。
「お疲れ」
 軽く挨拶して、俺はメインのヒレカツ、その最後の一切れを、口の中に放り込む。
「いやー、気づけばもう今年も終わりですね。先輩は年末年始、どうされるんですか」
「俺は今年も神社かな」
 咀嚼しながら俺は答える。・・・

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ねじれ階段

19/04/10 コメント:0件 hanamama 閲覧数:57

 わたしが昔住んでいた家は、すこし変わった造りをしていた。
 度重なる増築で家じゅうのところどこに段差があり、また上階へ昇るための階段が二つあった。
 そして老朽化にともない改築を重ねた結果、一方の階段は新しいが二階部屋は古く、他方の階段は古いが二階部屋は新しい、何ともいびつな形状になっていたのである。前者が祖父母の寝室で、後者が息子夫婦つまり私たちのそれだった。
 きしむ古い階・・・

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あやかしの家

19/04/09 コメント:0件 冬垣ひなた 閲覧数:103

 高度経済成長期の只中にあって、鬱蒼とした樹木に守られるその山は、誰からも忘れられていた。青年が9年ぶりに訪れた父の屋敷も、苔むした廃屋と化し、かつての栄華は見る影もなく荒れるがままにされている。
 悟は少年の頃の記憶を辿り、土足で縁側から屋敷に上がり込む。広大な敷地は動物の住処となっていて、森の中にいる錯覚をしてしまう。
 抜け殻となった家の中を、見えるはずもないのに、悟は美鈴の姿・・・

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父さんの再婚相手

19/04/08 コメント:0件 ササオカタクヤ 閲覧数:95

父さんから電話があった。
もう2年以上実家に帰っていないし、電話で話したことも記憶にない。だから嫌な予感がした。しかし電話越しから聞こえてくる父さんの声は、俺の知ってる声よりも輝いて聞こえた。
「晴人、父さん実は…再婚しようと思ってるんだ」
母さんが死んでから男手一つで俺と妹を育てた父さん。妹も高校を卒業したし、セカンドライフは新しいパートナーがいてもいいんじゃないか?寛大な心を・・・

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遠すぎた実家

19/04/07 コメント:0件 本宮晃樹 閲覧数:72

 異変に気づいたのは新幹線の指定席を予約したときだった。
 携帯端末の画面を前にして目をしばたく。チケットの料金が値上がりしていたのだ、それも万単位で。
 ただでさえあまり帰省したくないというのに、大幅に値上げをされたのではかなわない。
 鉄道会社のホームページを漁ってみるも、値上げの理由はどこにも見当たらない。これほど一方的に高額な値上げをするのはよほどの理由がない限り難しい。・・・

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帰らない

19/04/07 コメント:0件 koori 閲覧数:63

「結婚したんだからそんなに帰ってくるものじゃないんだよ。もうここは五月の家じゃないんだからね」
見慣れた石油ストーブの前でのんびりと横になっていたら母から思いもよらない言葉が飛んできて耳を疑った。はっ?実家って帰ってきたらだめなんだっけ。
嫁いだ娘を諭しているのかと考え直してもみたが、母の顔を見た途端に違うなとすぐにこの考えは打ち消された。60過ぎの割には白髪は目立たず、艶のあるしっか・・・

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おとぎのお家

19/04/06 コメント:0件 やまぐちなみこ 閲覧数:75

 郵便受けを開けるとヤギがいた。その足もとには紙吹雪。郵便物の残骸だろう。艶めく彩り豊かな紙がもとチラシなのは明らかで、私はほっと吐息する。むろん私宛ての郵便物など、服屋のダイレクトメールだとか、せいぜいが携帯電話の利用料金請求書だとかでしかないのだけれど。
「お腹が空いていたんだね」郵便受けに収まる手のひらサイズのヤギに、私は話しかけ、「古紙回収の日まで溜めておくつもりだったチラシの束、あ・・・

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神様との会話

19/04/06 コメント:2件 路地裏 閲覧数:154

 実家に帰省して二日目の朝。今日の昼には東京に戻る。一階では母がバタバタと忙しなく家事をしている音が聞こえてくる。

 こっちの朝はまだまだ寒い。俺は布団に包まりながら、スマートフォンのホームボタンを押し録音アプリを起動する。そして再生ボタンを押した。

『久しぶり父さん』

「久しぶり。大学はどうだ?」

『ぼちぼち。そっちは?』

「・・・

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彼女のピアス

19/04/05 コメント:0件 紅茶愛好家 閲覧数:98

「実家のパパに買ってもらったの!」
そう言って佐奈はロゴを模ったブランド物のピアスを見せる。
「いいなあ、佐奈の家はお金持ちで」
「大して金持ちじゃないわ。これは二十歳の誕生日だから特別」
「でも、ウチは手作りケーキだけだったよ? 羨ましい」
その『羨ましい』が佐奈の大好物であることを僕は知っている。
「今度使わなくなったピアス持ってきてあげる。あげるわ」

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実家アロマ

19/04/05 コメント:1件 松本エムザ 閲覧数:64

 何をしても疲れが取れない。
 連日連夜に渡る激務。口煩い上司、調子のいい同僚、頭の硬すぎる後輩に囲まれて、四面楚歌の毎日。

 久々の休日、私は食料やトイレットペーパー等の生活用品をGETすべく、フラフラと街へ出た。本当は、何もかも忘れて一日中ベッドで眠りこけていたかったのだけれど、人として最低限の生活を維持する為に、渋々と。
 何しろ私の部屋ときたら「驚愕!片付けられな・・・

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