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  2. 第170回 時空モノガタリ文学賞 【 庭 】

第170回 時空モノガタリ文学賞 【 庭 】

今回のテーマは【庭】です。

恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

時空モノガタリ賞発表日:2019/08/26

※同一投稿者からのコンテストページへの投稿作品数は3作品とさせていただきます。
※R18的な暴力表現・性描写はお控えください。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。

ステータス 募集中
コンテストカテゴリ
投稿期日 2019/06/24〜2019/07/22
投稿数 44 件
賞金 時空モノガタリ文学賞 5000円 ※複数受賞の場合あり
投稿上限文字数 2000
最大投稿数 3
総評

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投稿済みの記事一覧

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「庭には」五年四組 坂本千夏

19/07/21 コメント:0件 むねすけ

 ゆめが染み出て、種になる。
 坂本千夏には嫌いなものがふたつあった。
「自己紹介カード、書けた?」
「うん、はい」
「わぁ、ピーマンと道徳の教科書のにおい、嫌いなもの一緒だー」
「ね」
 また、言えなかった。 
 千夏が本当に書きたかった嫌いなものは、鳥と風、種を運んでくるものたち。
 世界の外側に一番近い甘皮、恐怖の手前、理に踏み込まない約束のた・・・

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忘れ得ぬ音

19/07/20 コメント:0件 みつ1122

 もうふた昔も前の話である。
 私は月に二度、参禅会に通っていた。ちょっとした精神統一にもなり、だらだらと過ごしがちな日曜日の朝にアクセントを加える行事として気に入っていた。かくして、転勤という仕方のない理由によって終わりを告げるまでの十年間、休むことなく通うこととなった。
 それは、ある冬の朝のことである。未明から降り始めた雪は、早朝には止んでいた。こんな日の禅堂はとにかく寒い。左足・・・

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忘れ得ぬ音

19/07/20 コメント:0件 みつ1122

 もうふた昔も前の話である。
 私は月に二度、参禅会に通っていた。ちょっとした精神統一にもなり、だらだらと過ごしがちな日曜日の朝にアクセントを加える行事として気に入っていた。かくして、転勤という仕方のない理由によって終わりを告げるまでの十年間、休むことなく通うこととなった。
 それは、ある冬の朝のことである。未明から降り始めた雪は、早朝には止んでいた。こんな日の禅堂はとにかく寒い。左足・・・

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ロストガーデン

19/07/20 コメント:0件 つつい つつ

 授業が終わるとヨシュアが俺の席まで駆け寄ってきた。
「今日、ユウキの部屋に集まろうよ。修学旅行の予定を決めたいんだ」
「そうだね」と言いながらキースとニカラが集まってくる。
「なんでいつも俺んとこなんだよ」
 言ってみたものの、ヨシュアは後ろから俺に抱きつき「ユウキの部屋が一番居心地がいいの。綺麗だし、コーヒーも美味しいし」と、甘えてきて、うやむやにされた。
「久し・・・

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歌う花と首の幻

19/07/20 コメント:0件 待井小雨

 引っ越しを考えていたところ、手頃な賃貸の物件を見つけた。渡りに船、とその部屋に住むことを決めた。

 引っ越し先の部屋で、荷物運びを手伝ってくれた男友達のタキが訊いてきた。
「何で引っ越しすることにしたの?」
 麦茶を注ぎながら私は答える。
「ずっと見えていたから不吉かなと思って」
「? 見えていたって」
 何が、とタキが言いかけた時、カーテンが不自然に・・・

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手を一度握れば、ビビッとくる

19/07/20 コメント:0件 小高まあな

 手を一度握れば、ビビッとくる。
 それがその結婚相談所の売り文句だった。
 そこのバナー広告は何度も見ていた。うざったいぐらいに。おそらくフリー素材であろう手をつなぐ新郎新婦の写真にかぶさる、「手を一度握れば、ビビッとくる」の文字。その日それをタップしたのは、うんざりしたからだ。結婚しないの? なんて聞いてくる会社の人たちに。カレシぐらいいるでしょ? なんて笑う、同期の女。最近婚約し・・・

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境界を越えて

19/07/20 コメント:0件 マサフト

庭の生垣を越えた先には何があるのだろう。


幼い頃のわたしにとって世界とは家の庭の事であった。庭より先に世界が広がっているとは思えなかった。母親に連れられ、近くの公園などにも行っていたはずだが、それらを自身の住む世界とは認識していなかった。今思えば、おそらく幼い私にとっての「世界」とは自分ひとりで行ける範囲のことを指していたのだ。だから、ひとりでは行けなかった公園は私の世界では・・・

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七不思議の庭

19/07/19 コメント:0件 鮎風 遊

 時節は晩夏、だが暑い。仕事帰りの私は居酒屋で生ビールでもと足を向けた時、角にある旅行社の看板が目に飛び込んできました。

 七不思議の庭・けったい園が公開の運びとなりました!
 飛鳥時代に造られた池泉式日本庭園、先人たちはその美に魅了されてきました。
 されども庭内で多くの者が神隠しに合ったため、ここ1世紀の間封印されたままでした。
 朗報です! 時代は令和、科学の・・・

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隕石温泉

19/07/19 コメント:0件 吉岡幸一

 今朝、隣の庭に隕石が落ちてきた。まだ日が昇る前で田中は布団の中でまどろんでいる時だった。爆発音と共に地面が揺れ、家も揺れ、田中も揺れた。
 驚いて飛び起き、二階にある寝室の窓を開けると隣の庭から土煙が沸き立っている。隣の太田もパジャマ姿のまま飛び出していて、口をあんぐりと開けて庭を見つめていた。
 風が土煙を追い払った後には大きく広い穴が空いて、底のほうからボコボコと温泉が沸き出して・・・

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おまえたちが稲作を知る頃には……

19/07/18 コメント:0件 犬飼根古太

「それじゃあ、昔は『庭』がなかった、ってことですか?」
 鈴村浩一が質問すると、教室中がしんと静まり返った。
 社会の先生は先程、日本の稲作の歴史を話していた。
 稲作を知らず、狩猟採集で生活していた頃、「ここは自分の土地」という考え方がなかっただろう、と語ったのだ。
 そして、狩猟採集から稲作などの農耕に移った結果、「そこは俺の田んぼだとか畑だとか言い出すようになったのだ・・・

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ローズ・ガーデン

19/07/18 コメント:0件 moco

「もう帰ってくれる?」
 彼女はいつもと同じように、ベッドから立ち上がると、男物の白いシャツに腕を通して背中を向けた。
 そのまま、振り返ることもなくシャワールームに続くドアに向かい中に入ると後ろ手に扉を閉める。
 もしかしたら、わざと冷たい音で扉を閉じたのではないかと思うと、心の奥から吹き出す冷気でその場で凍りそうになる。凍ってしまった僕が、彼女がシャワールームから出てきたとき・・・

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オジギソウと王子様

19/07/17 コメント:0件 moco

 5歳の頃、幼稚園バスを降りると私はいつも自分の家とは反対に歩き、古い一軒家に向かっていた。
 幼稚園バスのバス停から子供の足で3分くらいの場所にある曽祖父母の家。共働きの父母が帰って来るのを曽祖父母の家で待つことが幼稚園時代の私の日課だった。
 インターフォンもついていない玄関の引き戸を開けて、自分で靴を脱いで上がる。
 70歳を超えていたけれど曽祖母は元気で、いつも近所に出か・・・

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ドラえもんがいた庭

19/07/17 コメント:4件 秋 ひのこ

 生家は、無駄に大きな家だった。
 祖父が建てた、自慢の屋敷。所有していた山と土地がたまたま開発対象となり、ただの田舎の農家だった祖父の人生は50を前にがらりと変わった。
 名高い庭師を呼んで造り込んだ池泉回遊式の庭。祖母のためにと、何故か手前にバラ園が、そして孫の私のためにと、小さな迷路まである謎の庭。それだけでなく、成金を地でいく祖父は、石像を買い集めて庭に並べ始めた。
 純・・・

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さいた、さいた。

19/07/16 コメント:0件 はじめアキラ

「いい加減にしたらどうなの」

 私は庭の隅に咲いた蒲公英を、強い視線で睨み付けた。

「何度咲いたって、私は貴方に謝る気なんか微塵もないんだから」

 毎年だ。毎年その場所にだけ、蒲公英が咲く。塀の角、隅の隅。本来なら黄色いはずの花びらが、良く言えばオレンジ――悪く言えば赤みを帯びた色で咲き誇るのである。
 まるで、地面の下から何かを吸い上げるように。<・・・

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風鈴虫

19/07/15 コメント:0件 いっき

 春の柔らかな陽射しの射し込む日曜日。庭に目を遣ると、黄色いタンポポが穏やかな太陽に顔を向けて微笑んでいた。
 健気な生命の息吹に、自分の顔も自然と綻ぶ。その庭で、小学校に上がりたての息子が虫捕りをしていた。
「ちょうちょ、ちょうちょ。出てきておくれ♪」
 ちょうちょの歌の替え歌なんかを歌いながら一丁前に首から虫カゴをぶら下げ、虫捕り網を持って虫を探している。とはいってもやっと春・・・

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出土した宇宙

19/07/14 コメント:2件 本宮晃樹

 徳川埋蔵金、平家の落ち武者が残した隠し財宝、古代遺跡、その他いろいろ。
 そのいずれかがうちの庭に埋まっていないと誰にも断言できまい。
 少なくとも庭を掘り返してそれらがないことを観測するまでは。

「あなた、本当にやるの」妻はわたしの計画を聞いてすっかり呆れ果てているようだ。「うちの庭に徳川埋蔵金なんかあるはずないじゃない」
「あるいは平家の隠し財宝か、古代遺跡・・・

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庭女

19/07/11 コメント:0件 若早称平

 きっかけは息子のしつけに関する意見の違いだった。真夜中の言い争いはだんだんと激しさを増し、激昂した夫に突き飛ばされたのが生前の最後の記憶だ。
 夫の家系は代々この辺りの地主で、それ相応の立派な日本家屋を広い庭が取り囲む。専属の庭師がいて月に一度手入れをしにやってきていた。次に気がつくと私はその庭になっていた。と言っても庭に誰かのいる気配が分かり、かすかに音が聞こえるだけで家の中や外の様子は・・・

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嗤うラブドール

19/07/11 コメント:0件 路地裏

 お守りを握りしめながら彼の部屋の玄関に立つ。履き潰された靴やボロボロになったサンダルが転がっている。いつもの正しい彼が履いている靴とは似ても似つかないものばかりだ。

 こんな人は知らない。薄暗いワンルームの奥からロゴが入った白いTシャツと水色の短パン姿の彼が現れる。「どうぞ」と狭い玄関に散乱したそれらを端へ寄せてくれた。

「お邪魔します」
 高級マンション。私の・・・

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庭のカメ

19/07/11 コメント:2件 こぐまじゅんこ

 ひいじいちゃんが、春になくなった。
 ひいじいちゃんが世話をしていた庭のマーガレットの花は、さびしそうに風にゆれていた。

 ぼくは、白井たいき。小学一年生。
 ひいじいちゃんが元気だったころ、ぼくは、ひいじいちゃんといっしょに庭に水をまいたりしていた。
 ぼくが、
「トマトを植えて!」
って頼んだら、ひいじいちゃんは植木鉢にミニトマトの種をまいてくれた・・・

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箱庭の天地創造

19/07/09 コメント:0件 土井 留

 B博士は、時間の促進を実現した天才物理学者である。名声と富を得て引退し、彼は自宅の庭で疑似創造主になろうとした。
 手順はこうである。まず、庭を閉鎖し、動植物を入れて自然環境を造る。そして庭の時間を早め、長い年月を経過させる。すると、閉ざされた庭の生態系が変遷し、生物の環境適応、つまり進化が起きる。こうして庭先で起こる生物のドラマが、博士の老後の楽しみになるのだった。
 B博士の広大・・・

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お爺さん

19/07/08 コメント:0件 デヴォン黒桃

 チョット、僕の話を聞いてくれるかな。

 隣に住むお爺さんは、僕が物心ついた頃からお爺さんだった。いつも保育園へ向かう途中で、母が挨拶していたので印象に残っている。その頃からお爺さんだった。ソンナ人が町に居たことは有るだろう?
 家族は居ないようだった。聞いてはいけないような気がして、其の事について訪ねた事もない。毎日が寂しくて人恋しくて、庭を守るように眺めては道を行く人に声を・・・

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庭が武装解除された日

19/07/06 コメント:0件 本宮晃樹

 下北啓一郎(御年五十歳)は自分の庭――若かりしころに購入した猫の額――を見渡し、満足げに何度もうなずいている。「いつ見てもほれぼれするな。これなら誰も俺の庭にちょっかいを出せんはずだ」石をも噛み砕けそうな歯を見せて呵々大笑。「ロハの昼飯なんかありゃせんのだ」
 下北氏の庭を一言で形容するなら、〈デスマッチ用のプロレスリング〉である。害獣よけの高圧電流柵で覆われ、それは高さ二マイルほどもある・・・

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ハルディン。

19/07/04 コメント:0件 ダイナマイト・キッド

ハルディン。Jardinと書く。スペイン語で庭という意味の言葉。
メキシコ合衆国メヒコ州ナウカルパン市ハルディン。それが私の住所だった。
18歳の春。高校卒業後すぐに私はそこにいた。

 プロレスラー養成学校・闘龍門に入学するためだった。
 高校在学中にバイトして貯めたお金と、足りない分は母に立て替えてもらってメキシコに渡った。東京の江東区にある事務所で面接をして、後・・・

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食虫植物はかわいいな。

19/07/04 コメント:0件 ダイナマイト・キッド

 去年の夏ごろから近所のお花屋さんで買ってきた食虫植物を育てている。小さな鉢植えに入ったアフリカナガバモウセンゴケというモウセンゴケの一種と、お馴染みのハエトリソウが仲良くお庭の片隅に並んでいる。もともと食虫植物やキノコには子供のころから興味があったし植物図鑑のページを日がな一日見てられるような子だったので、今になって自分の家のお庭にミニサイズのハエトリソウとモウセンゴケがあるのが楽しくて仕方がな・・・

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音無しの秩序と調和

19/07/04 コメント:0件 秋 ひのこ

 枝切り鋏が刃を重ねるたびに、松の枝葉がはらりと落ちる。
 口を真一文字に結んだ初老の男が、脚立の上で汗を拭う。
 その様子を、9歳のユタカは縁側で膝を抱えて飽きもせず、朝から延々眺めている。
 すっと手前が暗くなり、見上げると父が立っていた。紺鼠木綿の着流しで、ユタカを見下ろしやや目を細めると、骨張った大きな掌でユタカの頭をぐり、と撫でた。
 中央に池、奥に富士山を見立て・・・

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僕の家の虚ろな庭

19/07/02 コメント:2件 堀田実

 僕の庭には首吊り死体がたくさん連なっている。小さい子供の死体もあれば背の高い大きな大人の死体もぶら下がっている。
「今日もまた一段と大きくなったね」
僕はいつものように死体に声をかける。僕の庭にこの木が植えられてからの毎日の日課だ。不思議だけれどこの木は死体を実らせる木らしいのだ。どんな名前の木なのか父に聞いたけれどいまいちよくわからなかった。今まで普通に話をしていたはずなのに、その・・・

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数百円で消える家族の話

19/07/02 コメント:0件 村升 青

私は生まれた時から小さくて、一人前になってもお姉ちゃん達と同じようには動けなかった。
役立たず、と置いていかれてばかりだったけど、それでも私は小さな足で必死にお姉ちゃん達の後ろについて回った。
ママは赤ちゃんが生まれるから動けないし、パパもいない私達は自分でご飯を用意しなくちゃいけない。
私が赤ちゃんの時は、お姉ちゃんがご飯を食べさせてくれた。
だから私も幼い妹達と、ママの・・・

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超美的探究者の論理と心理

19/07/01 コメント:1件 土井 留

 半ば腐った死体が折り重なっている。衣服をはがれ、あるいはぼろ布をわずかに巻きつけ、一様にやせ細って男女の区別もつかない。死体の山から、蒸気のようなものが一筋、二筋と立ちのぼり、寄り集まって霧となった。紫がかった霧に、無数の人の顔や手足が浮かんでは消えた。指がうごめき、ぽっかりと空けた口が苦痛に歪んだ。
 怨霊をはらんだ霧がふわりふわりと漂い、烏丸通を抜けて室町殿の板壁に達した。しかし、飢え・・・

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庭に愛された男

19/07/01 コメント:0件 W・アーム・スープレックス

 やっぱり庭が後をつけてきている。
 そんなバカなと、友樹はじぶんでじぶんの考えを否定したが、細い通りにならぶ家屋の二軒さきの、フェンスのなかにのぞく庭を、どうにも不可解そうにのぞきこんだ。
 そこには、やっぱりさきほど、ここから少し離れたところでみた家の庭とおなじものが、あった。
 その庭とは、言葉で表現しにくいのだが、なんとも艶めかしい庭だった。
 何気なくその家のまえ・・・

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車で五分

19/07/01 コメント:2件 海見みみみ

「おじいちゃんも八十歳なんだから危ないよ! 免許は返納して、運転はやめて!」
 キッパリ告げると、私はおじいちゃんとの電話を切り、ため息をついた。
 最近高齢者が自動車事故を起こす話をよく聞く。私のおじいちゃんももう八十歳だと言うのに、未だに車を運転していた。まったく危なっかしくて仕方ない。
 高齢者の免許なんて、強制的に返納するようにすればいいのに。近頃の事件を聞くと、そう思わ・・・

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神に見放された庭

19/06/30 コメント:2件 本宮晃樹

 わたしは強固な無神論者である。
 イギリスの動物学者であるリチャード・ドーキンス(もちろん無神論者)が神の存在可能性を1〜7の段階で示している。1は神がいると「知っている」狂信者の状態、7は神がいないと「知っている」筋金入りの無神論者の状態。ドーキンスはまだ証拠がないのでやむをえず7寄りの6であると公言しているが、わたし自身は7であると自信を持って断言したい。
 この小論でわたしは庭・・・

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鯉のいる庭

19/06/30 コメント:0件 W・アーム・スープレックス

 米須はしゃにむに塀を乗り越え、下草の上に着地した。
 塀の外に耳をこらすと、まもなく、ばらばらと複数の足音がとおりすぎていくのがわかった。警官たちをまいたことで、胸をなでおろした彼は、事務所荒らしで奪った金品のつまったリュックを満足そうになでさすった。
 ザブッという水音が聞こえた。みると、庭には人口の小川が流れていて、岸辺に設置された照明にゆらゆらと水面が光っている。いまの音はきっ・・・

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昨今の校庭事情

19/06/29 コメント:1件 悠真

 窓際の席に座っている男子生徒が「犬だ!」と窓の外を指差して声を上げた。
 窓際の他の生徒も体ごと窓の方を向いて「ホントだ!」、「大きい!」などと騒ぎ始める。その声につられるようにして、教室内の人口密度は窓際に偏った。
 私も窓から校庭を見下ろすと、確かに一匹の犬がとぼとぼと校舎に向かって歩いて来ている。
 白い毛が黄ばんだのか、元からそういう色なのか判断がつかないが、とにかく汚・・・

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庭先の戦争

19/06/29 コメント:0件 はらくん

「庭には二羽鶏がいる」

 この庭駄洒落界の雄に待ったをかけたのが、「何はともあれ浪花の庭」であった。

 これを聞いた庭駄洒落界隈の人々は唸った。NIWAというフレーズの繰り返し数は三回と同じながら、更にNANIWAが掛かっているのだ。ここまでのテクニックは、駄洒落に回文を組み込んだトマト洒落界のレジェンド、「トマトと的」以来かもわからない。

 だが、庭をモ・・・

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月夜の養殖人間

19/06/28 コメント:2件 海見みみみ

「ロンヂルさんですか?」
 夜のハンバーガー店。スマホの出会いアプリで知り合った男らしき人物に声をかける。
「キクちゃんかな? 俺がロンヂルだ」
 キク、私のハンドルネームを男が答える。一応普通そうな人。彼で間違いないようだ。
「変なことは一切なし。ここでただお話をするだけ。それでいいですね?」
「もちろんだとも。もっと派手な子が来るかと思ったら、普通の中学生でビック・・・

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美しい緑の庭

19/06/28 コメント:2件 笹峰霧子

 田舎育ちの喜美子にとって思い出の大部分は自然豊かな庭や畑、竹藪であった。
 田舎の家はどこも敷地が広い。家の周りには庭があり果樹が植えられていたりする。喜美子の家の周辺には少し距離を置いてぽつぽつと小さな家が建っていた。
若くして病死した父なきあと、一粒種の喜美子は母の元で何不自由なく育った。
 そうはいうものの喜美子の生い立ちは母ひとり子ひとりの心寂しいものだったのである。近・・・

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庭にいる

19/06/28 コメント:1件 浅月庵

「庭に誰かいる」
 妻は掃き出し窓の前に立って、ガラス越しに暗闇を見つめていた。
 俺は妻に近付くと、彼女を自分の背後に退かせ、半ば強引にカーテンを閉めた。
「変なこと言うなよ」
「洗濯物を取り込まなくちゃ」
「……明日、明るくなってから俺がやるよ」

 都会の雑踏にも、仕事で数字ばかりを追いかける毎日にも疲弊し切っていた俺は、妻を説得して先月から、田舎暮・・・

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遥かなり、わが愛しの庭

19/06/26 コメント:2件 W・アーム・スープレックス

 レイ・城市は隊長のブリバから、もしいますぐ転送するぞといわれたら、どこがいいときかれたとき、即座に、
「わが家の庭」とこたえた。
「家じゃないのか」
 他の隊員たちが一様に、家族のまつ家といったことをふまえて、ブリバは問いかけた。
「庭には私と妻のおもいでが、ぎっしりつまっているのです」
 周囲のみんなの顔には、また彼ののろけがはじまったといった表情がうかんだ。

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じいちゃんのつくる庭

19/06/26 コメント:0件 こぐまじゅんこ

 けんくんは、三さい。
 じいちゃんもいっしょにくらしています。
 けんくんのおうちには、庭があります。
 じいちゃんのすきな松の木や柿の木があって、花壇もあります。
 けんくんの遊び場も作ってくれています。
 
 じいちゃんは、けんくんが一さいをすぎたころから、花壇のすみっこに、すなばを作ってくれました。
 けんくんは、ちょこちょこ歩けるようになると、そ・・・

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怪獣ちゃんは見てる

19/06/25 コメント:0件 海見みみみ

「アタシ怪獣って言うの。よろしくねシヅカ」
 自称怪獣の女の子は、ハンカチで私の涙をぬぐってくれました。小学生くらいの元気そうな子。どう見ても怪獣には見えません。
 中学校の裏庭。放課後だからか、私たち以外に人の姿はありませんでした。
「シヅカ、がんばってるよね。中学に入ってから、ずっと陸上部で」
「私のこと知ってるんですか?」
「知ってるよ。ずっと見てたもん」

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箱庭

19/06/24 コメント:0件 風宮 雅俊

 カーテン越しに強い光が入ってくる。車の音も風の音も聞こえない静かな朝だ。着替えると用意してある朝食を食べる。今日のメニューは目玉焼きとトーストとコーヒーだった。まだ温かさが残っているのは嬉しいものだ。
 両親はすでに出掛けた後、朝の時間に両親と顔を合わせる事はまずなかった。


 ―――全実験体に、テストを起動


 駅に向かう道・・・・、今日は静かだ。・・・

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スケッチブック

19/06/24 コメント:0件 風宮 雅俊

「たしか、この辺に夏物を詰めた段ボールをしまったはず・・・」
 袋詰めの古着をどかすと、見覚えのない段ボールがあった。中腰のまま持ち出そうとすると重くて持ち上がらない。
「腰が・・・・」
 気持ちを切り替えて慎重に引き出す。この重さ只者ではない、私の力で動くところを見ると残念ながら金塊ではない様だ。そうなると札束に違いない。うちの押し入れだから諭吉はないとして英世か。記憶にないほ・・・

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ひとはえの庭

19/06/24 コメント:2件 クナリ

 僕の家の近所には、「ひとはえの庭」と呼ばれる空き地があった。
 そこはただ雑草と蔓が茂る、空き地としか呼びようのない空間だったが、壊れた花壇の石組みや、池の名残らしい水たまりなどが残っていたため、庭と呼ばれるようになったらしい。
 そして。

 その「庭」には、人間が「生える」という。

■ 

 中学一年生の時だ。
 秋の半ば、僕は夜の家路・・・

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私の庭

19/06/24 コメント:2件 R・ヒラサワ

 出勤前の朝、情報番組の特集コーナーの予告を観てケイコの手が止まった。興味のある内容なら、録画予約をするのが習慣だった。
『ゴミ屋敷』
 普段なら見送る内容だったが、モザイクの男性の後ろに映るゴミ屋敷。そこには、かつて愛用していた外国製のオレンジ色の鍋があった。
 予約後、直ぐに家を出た。職場でも集中できず、同僚から声をかけられる事もあった。仕事を終え直ぐに自宅に戻った。
・・・

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