1. トップページ
  2. 第168回 時空モノガタリ文学賞 【 レシピ 】

第168回 時空モノガタリ文学賞 【 レシピ 】

今回のテーマは【レシピ】です。

恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

時空モノガタリ賞発表日:2019/06/28

※同一投稿者からのコンテストページへの投稿作品数は3作品とさせていただきます。
※R18的な暴力表現・性描写はお控えください。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。

ステータス 終了
コンテストカテゴリ
投稿期日 2019/04/15〜2019/05/20
投稿数 61 件
賞金 時空モノガタリ文学賞 5000円 ※複数受賞の場合あり
投稿上限文字数 2000
最大投稿数 3
総評

最終選考作品

3

妙味は、ひとしずく

19/05/20 コメント:0件 冬垣ひなた

 惣菜屋『ふるさと』は、駅前にあるテイクアウト専門の小さな店だ。几帳面な店主の人柄通り、清潔な店内には和洋中でコーナー分けされた手作りの惣菜が並んでいる。レジ前には、混ぜご飯やおにぎりも取り揃えてあり、夕方の時間帯は年配の主婦や子連れのママが来店して賑わう。
「ただいま」杏奈が高校から帰ってくると、父の恭平は品出しをしている所だった。白いコックスーツで快活に働く顔には、笑い皺が刻まれている。・・・

0

クックパッパの奇跡

19/05/20 コメント:0件 宮下 倖

 ナスカの話をしよう。
 本当の名前は明日香というのだけれど、小学五年生のとき給食で出たナスの揚げ出しにハマり、しばらく「ナス、ナス」とうるさくて、ついにはあだ名にまでなったナスカの話だ。
 彼女の趣味は食べること、そして、作ること。
 ナスカは両親と弟との四人家族なのだけど、彼女が食に興味をもつようになったのは母親のせいである。
 となれば、彼女の母親がいかに料理上手で、・・・

0

父のレシピ――隠し味は一粒の涙

19/05/20 コメント:0件 文月めぐ

「大学受かった」
 父に一言メッセージを送信すると、すぐに「今からお祝いしよう」と返ってきて、俺は自転車にまたがった。父は、俺と母さんの住む家から自転車で十分くらいのマンションにいる。両親は離婚してしまったが、父のところには頻繁に訪れている。
「合格おめでとう。いつもと変わらないが、ラーメン作るか」
 ドアを開けると、柔らかい父の笑顔と暖房のぬくもりが迎えてくれた。大好きな父が作・・・

1

二人の世界でレタスのサラダ

19/05/18 コメント:0件 待井小雨

 滅んだ世界に一人残されたあなたが可哀そうで、私は言葉を話すレタスになった。

「今朝のおすすめのレシピは?」
 そう言って温室に入ってきたあなたを、私は野菜にしては大きすぎる体で迎えた。
「サラダには私の葉を使っていただいて、向こうのトマトも良い色をのでそちらも入れて下さいな」
 そこまで言ってから、はたと気づいて少し冷たく言ってみる。
「他にも食べ頃の物はあ・・・

0

秘伝のレシピ

19/05/17 コメント:0件 待井小雨

 結婚記念日に妻が見たことのない料理を作ってくれた。
「母から教わった秘伝のレシピなの」
「へえ」と大した興味もなく口にしたそれは、しかし信じられないほどに美味しかった。これまで食べてきた物とは次元が違うと言っていい。味も薫りも素晴らしく、僕はこの料理の虜となった。
 特別な日にしかあの料理を作らない妻に、僕は普段も作ってくれるようせがんだ。しかし妻は「特別な料理だから」と取り合・・・

0

雨の日の塩むすび、秋晴れの梅おにぎり

19/04/29 コメント:0件 秋 ひのこ

 さ、どうぞ、と村田ヨシは緑の団子を盛った皿を縁側に置き、膝に手をついてよっこらしょと腰をおろした。
 さっきまで、ここで背を丸めてすり鉢でごりごりとヨモギをすっていた。そこに練った団子の粉を入れ、力仕事だよ、とすり棒を渡された熊野が戸惑いながら必死で混ぜ合わせたのだ。
「えっと、それで撮影もですね、全部ここでやって。東京に来ていただく必要は全く」
「まあ、先にお食べなさいな」<・・・

0

春の夜に

19/04/23 コメント:0件 アシタバ

「味はどう?」
 と妻が聞いてくるので
「いつもと同じで美味しいよ」
 と僕が答えた。
 柔らかく煮込まれたロールキャベツを箸でほぐし、口へと運びながら、僕は素直な感想をのべた。
「そう良かった」
 自分でつくった味噌汁を啜り、彼女は満足げな笑みを浮かべる。
 ふたりでテーブルを囲んで、夕食をとり、談笑するのは当たり前の日常風景である。
 話す内容も・・・

0

幸せのレシピ

19/04/18 コメント:0件 吉岡幸一

「うちは貧乏なのにどうしてお母さんはいつも幸せそうな顔をしているの」
 私がまだ小学五年生だったころ、台所で肉の入っていないカレーを作っていた母に聞いたことがあった。
「お母さんが幸せそうにしている理由はね……」
 手を止めて振り返った母はうれしそうに話してくれた。

 子供ながらうちの家が貧乏なのは仕方がないと思っていた。失踪して行方不明になった父のせいでうちは貧乏・・・

2

夕暮れ前に焼き飯を食う人々

19/04/16 コメント:8件 クナリ

 キャバレー勤めのまま三十路をとうに越え、腕や腹の肉が貫録を与えてくれるのは、いいやら悪いやら。
 この頃は、舌打ちが増えた。始終イライラしている気がする。

 昨夜の無茶な酒が体に残っている。
 まだ無人の店に入ると、初夏の十五時の空気は生暖かかった。
 掃除用具を出していると、裏口のドアから見知った子供が入って来た。私は、ち、と舌打ちする。
「あんたさ、今年・・・

1

最後の晩餐

19/04/16 コメント:1件 浅月庵

 アイス・ペリントンは王の愛娘を殺害した罪に問われ、明日の早朝、民の前で首を刎ねられるという。彼は自分の無実を主張しているようだが……その真偽についてはどうでもいい。
 私の職務はただ、アイスに最後の晩餐を用意してやることだ。悪しき魂を現世に留まらせず、安らかな気持ちのまま天に返すには、最高の料理を提供せねばならない。

 シェフであるこの私、ナーク・ウェルズは、独房の前でアイス・・・

1

ヤオのはじまり

19/04/16 コメント:4件 海見みみみ

 昔々。中国の山奥で仙人と共に修行をしている若者がいました。
「今までこの辛い修行をよく耐えてきた。免許皆伝じゃ。このレシピを持っていけ」
 そう言って仙人が渡したもの。それは不老不死のクスリのレシピが記された書でした。

 修行を終えた若者、ヤオは早速不老不死のクスリの調合を始めました。
「月のしずくに黄金桃の果汁、それに砂糖とジャンとなにかステキなものアル」

投稿済みの記事一覧

1

地味弁

19/05/21 コメント:0件 南野モリコ

お弁当の日は嫌いだ。4年2組の教室では彩りよく詰められたお弁当を皆、誇らしげに机に乗せるのに比べ、うちのママのお弁当ときたら、海苔を敷いたご飯に大きなハンバーグをでんでんと並べただけ。ハンバーグは好きだけど、他の女の子のお弁当と比べると全然、可愛くないからだ。
「うっわー、レイナの弁当、地味だな」
私のお弁当を目ざとく見つけて叫ぶ声がした。勉強ができて顔もよく、女子にも人気のある山崎蒼・・・

0

パンケーキ!!

19/05/20 コメント:0件 奇都 つき

誰が悪いと問われれば、TVの特集だろう。
お昼時少し過ぎ、食べ損ねたが今日は休日。なにも食べずに夕方まで持たせようと思っていたのに、TVはどこを付けても食べ物関連ばかり流していた。いくらチャンネルを変えども出てくる食物たちに、私の胃はしびれを切らし、グウグウと抗議の声をあげた。
仕方がない。面倒がらずに食べようか。
問題は何を食べるかだ、とう思い冷蔵庫の中身を思い出していると、レ・・・

0

丼つくれ怪人を倒す間に

19/05/20 コメント:0件 mokugyo

怪人倒してる合間にできる、誰にでも簡単に作れるレシピを教えよう。

まずは再生数がのびなくても、いいねがもらえなくとも悩まない心が必要だ。心がまえというのはどんな料理でも大切。

食べる人のことを考えると、よりおいしい料理ができるは当然だ。

だが、今日作るのは『直説丼』だ。食べる人のことを考え過ぎてはいけない。味がわざとらしくなるからだ。それは舌にとっても失礼・・・

0

ジューサーミキサー

19/05/20 コメント:0件 青苔

 そのレシピを発見した時、私は小躍りしたいほど喜んだ。
 どこで、どうやって、それを発見したのかについては誰にも話すまい。今この地球上で、その存在を知っている者は私一人だけなのだ。人の口に戸は立てられない。だから私は、私一人だけの秘密として胸にしまっておくつもりだ。
 私はそのレシピを実践するにあたって、何よりもまず、ジューサーミキサーを最初に用意しようと考えた。私には、これが第一の難・・・

0

数学者v.s.コロッケ

19/05/20 コメント:0件 北 流亡

西村玲子は困惑した。レシピに書いてあることが、ほとんど理解出来なかった。
1+12だ。斜辺の長さをc、他の二辺の長さをa、bと定義すると、c^2a^2+b^2だ。3以上の自然数nについて、x^n+y^nz^nとなる自然数の組 x,y,zは不在だ。
しかし、ジャガイモと挽肉と玉ねぎからコロッケが出来る。理解は、出来なかった。

数学とは、迷路のようなものだと、玲子は思っている・・・

0

19/05/20 コメント:0件 みや

「カフェオレを一つ、お願いします」

今日も彼女は僕が働いているカフェにやって来た。彼女は毎日昼過ぎ頃にやって来て、いつもカフェオレを注文する。大学の講義の合間のコーヒータイムかな…僕の妄想は止まらない。
彼女はとても可愛らしくて、彼女が初めてこのカフェに現れた時に僕は一目で恋に落ちた。明日も来てくれるかな…と僕は期待していて、次の日も彼女がカフェに現れた時には僕は心の中でガッツ・・・

0

思い出の隠し味

19/05/20 コメント:0件 小高まあな

 ミートソースのパスタが食べたい。
 そう思った自分に驚いた。私にとってそれは、タブーだったから。
 六年前、事故で亡くなった私の婚約者。彼の得意料理だったから。どうしても、作る気にも食べる気にもならなかったのだ。
 何かが吹っ切れたのかな。嬉しいのか、悲しいのか。わからないまま、私はキッチンに立つ。
 料理人だった彼は、レシピを残さないタイプの人だった。だから、私の記憶だ・・・

0

レシピ釣り

19/05/20 コメント:0件 田辺 ふみ

 最近、メニューがマンネリ化してきたので、レシピを釣りに行くことにした。
 結婚前、母からこっそり教えてもらった池は自宅から一時間ほどだった。
 新居が決まっていたから、近い池を教えてくれたのかもしれない。
 釣りにふさわしい服装って何だろう。悩みながら、決めたのはTシャツにジーパン。帽子にサングラス。
 ふだんのわたしとはまるで、違う格好だから、知り合いに出会っても気づか・・・

1

人間レシピ

19/05/20 コメント:0件 ササオカタクヤ

私は神様です。この世に今まで数えられないほど人間を作り上げてきました。しかしもう作ることに嫌気がさしてしまい、作ることを止めようと考えております。仕事を引き継いでくれる方を募集しておりますので、気になる方は神様までご連絡ください。


たまたま仕事を探している時、目に止まった張り紙。ふざけて誰かが書いただけの張り紙だろうけど、俺はとにかく気になって仕方なかった。ただ連絡先が書いて・・・

0

いまもむかしも

19/05/16 コメント:0件 寒天

「今日の晩ごはん、どうしよう…。」
まだ朝は少し寒く、熱めのシャワーで眠気ごと洗い流しながら菜月はそんなことを考えた。
そう、まだ朝なのに。

三日前のこと。
菜月の母は急に友人の旅館へ住み込みで1ヶ月ほど手伝いに行くと言いだした。
なんでも、一度着物を着て働いてみたかったとか。
「ええ!ちょっと急すぎるよ、ご飯どうすればいいの?私あんまり作ったこと無いよ・・・

0

爽快レシピ

19/05/19 コメント:0件 一太

 煙草の煙が右に左に揺れる度、頭の中の考えも二転三転してしまう。この煙は、俺に残された上司である海老原に対して最後の良心のようだ。それは揺らめいては消えていく。
 俺は煙草を吸い終えた瞬間、何かに目覚めた。脳裏にフラッシュバックする様々な殺し方の映像は、まるで上質なホラー映画を見ているようだった。楽しすぎてずっと夢想にふけりそうだ。さながら、思春期の自慰行為にちかい。
 さて、どうやっ・・・

0

卵かけご飯の作り方

19/05/19 コメント:0件 悠真

 母のペンが進まなくなった。
 兄は春から一人暮らしをする。そんな兄が一人でも自炊できるように、母はよく作る料理のレシピをノートにまとめて兄に持たせようと考えたのだそうだ。それには私も賛成した。兄は不器用ではない。作り方がわかれば、きっと上手くするはずだ。
 初めは思いつくままに様々なレシピを書き起こしていたのだが、次第にエスカレート。わざわざ書き起こさなくてもいいと思えるようなものま・・・

0

失われたものを、取り戻す旅

19/05/19 コメント:0件 小峰綾子

「ちょっとカオル何してんの?手伝ってよ」
ママのお使いを手伝いたいと言うので海辺まで連れてきたのに、弟は砂浜で見つけた何かに夢中になっている。まだ5歳だから仕方がないか、とため息をつき、私は作業を進める。今日のお使いは、砂浜に打ち上げられた黒くて長い海藻を集めることだった。

ママとパパ曰く、それはコンブという海藻で、それをカサカサになるまで何日も天日干しにしたあとによく煮るとお・・・

0

悪魔のレシピ

19/05/18 コメント:0件 堀田実

 悟はレシピに書かれた料理を再現しようとしたがまず必要なのはネズミの死骸だった。ネズミの死骸など身の周りでそう簡単に手に入るはずもなく、探し回ることに苦労するかと思われた。戦前の衛生環境が整っていない時代の日本であればネズミごときはネズミ取りを仕掛ければ数日でかかっていたもしれない。しかし幸い今の便利な世の中では動物や虫の死骸もネット注文をすれば手に入る。どんなものでも商品になるものだと悟はパソコ・・・

1

盗まれたレシピ

19/05/18 コメント:0件 ササオカタクヤ


「店長!レシピがありません!」
私が営む洋食屋のレシピがある日、何者かに盗まれてしまった。ただ私はそこまでレシピが盗まれてしまったことに驚きもしなかったし、心配もしていないかった。
「店長。これってやっぱり警察に届け出だした方が」
「いい。いずれ返ってくるだろう」
私の考えは山勘に過ぎないが、なぜか自信に満ち溢れていた。長年の勘ほど当たるものはない。
私が営む・・・

0

教えて、ミチル。

19/05/17 コメント:0件 路地裏

 ミチルはこの場所を酷く気に入っているようだった。彼女がここへ通う理由は大体予想がつく。彼女は私を含むクラスの全員を見下しているからだ。ここへ来れば大人にでもなったつもりなのだろう。外見に恵まれていて勉強もできるのだから、あとは愛想よくすればいいだけの話なのに。窓ガラス越しでも分かる彼女の美しく長い髪の毛は、私を惨めな気持ちにする。
 私は友達に「また遊ぼうね」の後ろに楽しげに笑う黄色い顔の・・・

0

恋の魔法

19/05/16 コメント:0件 つつい つつ

 お昼休みのチャイムが鳴り、お弁当を持ってリカの席に行くと、リカはお弁当も出さずに斜め左を見ながら物憂げな表情をしていた。
「サツキ、私たちが真っ直ぐ道を歩いてるとするでしょ。でもね、ずっと歩き続けると一周する頃にはそれは直線じゃなくて円になってるの。おかしくない?」
 リカとは小学校からの付き合いの私は気にせずお弁当を食べることにした。十五分程黙々と食べ続け完食した後、声を掛けた。<・・・

0

秘蔵のレシピは誰の手に

19/05/13 コメント:0件 森音藍斗

「レシピが、ないんです」
「レシピがないとはどういうことだ」
 僕は分厚いポケットファイルの、最後に近いページを開いて見せた。何も入っていない、空っぽのページがはらりと垂れ下がる。
「中身は全部確認しました。ないのは唐揚げのレシピです」
 藤堂先輩は、クリアファイルを取ってぱらぱらと捲ると、ふむ、と頷いた。
「確かに無いな」
「盗難、でしょうか」
「……だ・・・

0

令和元年5月1日のレシピ

19/05/13 コメント:0件 たま

 5時に目覚めた。やはり、痛む。
 連休前に宮本先生にもらった薬は4日分だった。今日は5月1日。連休のど真ん中だから宮本先生には診てもらえない。困った。まだ、痛む。どうしても薬がほしい。とりあえずダメ元で連休中の診療機関を検索してみた。
 救急センターは避けたい。患者が大勢いるだろうし、この私が急患かというと、急患でもない気がする。それに救急センターで、たまが痛くて……なんて、恥ずかし・・・

0

作ってあげるよ

19/05/11 コメント:0件 郷海 希

「あの味を再現したいんだよね」
 土曜昼下がりのリビングでパパが言った。
 パパが指さしているのはテレビ。昨日借りてきたDVDはちょっと古いアニメ映画。主人公が食べているサンドイッチが確かにおいしそうだ。
「仕方ないなぁ。作ってあげますか」
 ちょうど暇だし、小腹も空いてる。いつもならパパに買ってきてよって言うところだけど、今日は作ってあげるよ、特別にね。
 よっこら・・・

0

魔女とクッキー

19/05/07 コメント:0件 文月みつか

 17歳の乙女には花も恥じらうという噂だが、花が恥じらっているのは一度も見たことがない。
 常々、女子力がないと言われてきた。幼少期に遊んだのは人形ではなくブロックやジグソーパズルの類。今でも服と髪型にこだわりなし。化粧はまだ未体験。そんなんだから友人にも何かと話のネタにされる。曰く、ゆらぎは一生彼氏ができない、女を捨てている、男子更衣室に入ってもバレない、将来は進化して男になる、料理もでき・・・

0

堂々たる失業

19/05/04 コメント:0件 本宮晃樹

「なぜだ」筋金入りのリバタリアンである森村氏はテレビのモニタを前に愕然としている。「なぜこいつらは元号の変更にこうも浮かれ騒いでるんだ」
 なんであれシステムの変更には多大なコストがともなう。たとえばOSの半強制的なアップグレードというのがあった。企業の都合で旧OSは新OSに置き換えられることになり、慣れ親しんだ旧バージョンにこだわるユーザーは、執拗にアップグレードを推奨してくる運営側と徹底・・・

0

消えた天才シェフ

19/05/03 コメント:0件 hayakawa

 僕がイタリア料理店に取材に行ったのは八月の夏の太陽が照り付ける日だった。僕は出版社のライターでその日、雑誌のページに掲載する料理店をインタビューした。
 店が始まる前に僕は取材のため、客のいない店内のテーブルに座っていた。オーナーシェフは三十台半ばで業界では天才として知られているらしい。
 ウェイターの女性が僕にアイスコーヒーを持ってきてくれた。
「わざわざすみません」
・・・

0

落としたレシピ

19/05/03 コメント:0件 紅茶愛好家

 降りしきる雨の日、衣笠恵美子はスーパーの駐車場でそれを拾った。
 小さなメモに走り書き、どうやら料理のレシピのようだ。鉛筆文字は雨でにじみ、しかし判別不能なほどじゃない。

―ー何々? 人参、ブロッコリー、大根、シイタケを刻んで茹でる。なるほど、なるほど、そしてハツを茹でてから刻む。ハツか。ハツは食べたことないよな。それで? 水切りした豆腐と混ぜてごはんにかける。で、出来上がり・・・

3

レシピの交換

19/05/02 コメント:0件 地主恵紀

「めぐちゃんのあのミカンのお菓子の作り方、おばあちゃんにも教えてちょうだいよ」
「あれね、オレンジよ。おばあちゃんあれ好きよね」
「名前はなんだったかな。友達にも作ってあげたい」
「オランジェット」
 祖母は、私が作るオランジェットが好きだ。初めて祖母にオランジェットをプレゼントしたのは、小学校六年生の頃のバレンタインデー。ほろ苦さが良いと、絶賛してくれた。あれから十年、バ・・・

0

母の作る卵焼き

19/05/02 コメント:0件 flathead

 私は卵焼きの作り方を知っている。
 しかし、そのレシピ通りに作っても母が作る卵焼きの味には到底叶わないだろう。それはふんわりと柔らかく舌で解け、卵自体の甘みとでも言うのだろうか、安易に砂糖には頼りませんよと言わんばかりの味。それが口いっぱいに広がって幸せな気分になる。けれどそんな微かな幸せの味を私はもう味わうことができない。
 母が急死した。原因は過労によるもの。
 私達家族は・・・

0

継承されるレシピ(想い)

19/05/02 コメント:0件 バルジリス

 私にとってレシピとは記憶であり、想いである。継承される想いである。祖母や母から子や孫へ、師匠から弟子へ、そして先生から生徒へ。継承されていくのは、調理の方法だけでなく、その調理法に詰まっている記憶や想いもまた、継承されるのだ。
 例えばの話だ。私の祖母の母はとても高野豆腐の煮物が美味しかったらしい。味のベースは醤油で、昆布と鰹出汁の煮物。その味を祖母は受け継ぎ、そして母が受け継ぎ、私も受け・・・

0

受け継がれるちらし寿司

19/05/01 コメント:0件 バルジリス

 ふわり、ふわりと庭の桜の木から花びらが落ちる季節のこと。息子が、女性を連れて家に帰ってきました。
 私の息子は、都会の方で仕事をしています。何でも、輸入品関係の仕事だとか。良くは知らないのですが、とにかく、忙しく、難しい仕事をしているようです。そんなある日のことでした。電話で、彼女を連れて帰るよという連絡があったのは。
 あの子も、彼女さんを見付けて、連れてくる年になったんだなぁと思・・・

0

命よりも大切なもの

19/05/01 コメント:0件 若早称平

 僕は江戸時代から骨董品屋で働いている。長らく働いていると思い入れのある品はもちろん、印象深い客との出会いもある。今日はその中の一人の話をしよう。

 掛橋は初めて店を訪れてから月一回くらいのペースで来店している。まだ若いわりに高額の商品を購入していく男だった。最近知ったのだが、彼は有名なプロ野球選手だったらしい。あまりテレビを観ず、世間に疎い僕に「俺を知らない奴がまだ日本に居たとは驚・・・

0

魔法のレシピ

19/04/30 コメント:0件 hayakawa

 優斗という男は二十六歳で大学院を出た後、食品会社で研究職に就いた。大学は国立大学で、それなりにエリートだと自負していた。しかし、今まで彼女がいたことがない。内気な彼は女性と仲良くなることはできても、それ以上親密になることはできなかった。
「街コン行って彼女探すしかねえよ」
 大学の同期に週末の飲み会で言われた。彼は大学卒業後、商社に就職した。優斗とは違い、コミュニケーション能力が高く・・・

0

パスタ

19/04/29 コメント:0件 hayakawa

 マンションの一室にはテーブルが置いてある。半年前にお付き合いをしていた女性から譲り受けたものだ。その女性とは大学時代に知り合い、四年付き合っていた。そのテーブルは彼女が僕と暮らす時に一人暮らしの部屋から持ってきたものだった。

「ねぇ、私たち別れない?」
 ある日唐突に彼女は言った。当時の僕はどうして彼女がそういうのか理解できなかった。
「そんな……。お前と結婚を考えてい・・・

0

男子三人、女子一人、ガラケー少々

19/04/29 コメント:0件 柴ケンタロウ

「……もしもし?タカシか、どした?」
「……なあ、お前は俺のどこが嫌い?俺のどこが悪いと思う?遠慮なく全部言ってくれ」
「……んー?……えーっと……夜中の2時にこういう電話をかけてくるとこかな。それと、こないだ俺の最後のカップラーメンを勝手に食って帰ったとこ」
「真面目に答えてくれよ」
「至って真面目だわ、あほう」
「明日行っていい?」
「喧嘩したてのこの電話か・・・

0

失敗作

19/04/28 コメント:0件 黒村聖羅

 ーー貴方は悪くない。そう、全て私が悪いのよ。貴方は一生上手になんか作れない。だって貴方はーーーー。

「みのり、みのりっ!」
 フライパンの上で焼ける音、焦げた臭いで我に返る。慌てて火を止めた。
 またやってしまった。ポロポロとした卵は炭だらけになりもう料理とは呼べない。肩を落とし、やたら綺麗な丸い紙皿に茶色と黄色のスクランブル状になった卵を移す。スクランブルエッグを作ろ・・・

0

相対論的味つけ

19/04/28 コメント:0件 本宮晃樹

 太陽系で最高の腕前と評される料理人、パーシヴァル・K・ライアン氏は自己顕示欲の塊であった。この手のご仁はすべての人間に自分の価値を認めさせるのに人生を賭けるのも辞さない。
 昨今のように地球外生命との交渉がまれでなくなった時代であれば、その対象は当然人間以外にも拡張される。
「ブラックホール近傍で生活する宇宙人が発見され、彼らとのコンタクトがさかんに試みられています」インタビュアーは・・・

0

脳のレシピ

19/04/27 コメント:0件 嶺 ナポレタン

当たり前だが、我々は一人一人違っていて、それぞれ得意なこともあれば不得意なこともある。ある物事に対して得意であるか不得意であるかは、その物事に対する脳の使用割合で決まるのではないかと私は思う。。脳は物理だ。



ここは天界の脳データ作成会社。仕様書の通りに脳データを作成するのがここで働く人々の仕事。今日もいつものようにキーボードの音がカタカタ鳴り響いている。

0

私の料理歴

19/04/26 コメント:1件 笹峰霧子

 最近は料理の本でもテレビの料理番組でもレシピなるものが表示されるので初心者でも巧く料理ができるようになった。
 私が一番最初に料理を作ったのは高校生の時で、たしか大根の煮物だった。レシピはあったと思うが、出来上がった代物は美味しいとはいえず、ペッと吐き出したのを覚えている。
 
 高校を卒業したとき、母は私に料理の本を買ってくれた。というのは卒業と同時に病で倒れた私は、入学した・・・

0

考える山猫

19/04/22 コメント:0件 中村瑞帆

むかしむかし、あるところに猟銃を持った若い紳士二人に生クリームとお酢をかけた絶品レシピを考えた山猫がいるのではないかと考えた顔がくちゃくちゃの紳士がいるのではないかと舌なめずりをしている山猫が注文の多い料理店でどんぐりの裁判を抱えて悩んでいたところ、どっどど、どどうど、どどうど、と風が吹いたので、アメニモマケズ、カゼニモマケズとつぶやきました。・・・

0

謎肉弁当

19/04/21 コメント:0件 千日

 しとしとと細かい雨つぶが、傘をさしてもいろんな方向からとびついてくる。ぼくは雨がきらいだ。くわえて風邪をひきかけているらしい。息苦しくて、うだうだと寝がえりを何度もうったあと、あきらめて、レインコートを着込んで自転車に乗り、風邪薬とからあげ弁当を買いにいった。
 風邪薬はドラッグストアでそのとき安いものでいいけれど、からあげ弁当は二百五十円のと決めている。それも、自転車で十五分行って橋をふ・・・

0

アンゴーさんの暗号

19/04/20 コメント:0件 海見みみみ

『エエラカフロY』
 意味不明な言葉が並んだ文章。アンゴーが出した暗号を、お嬢さまは解き明かします。
「最後のYがポイントね。これはほかの言葉もアルファベットにするんじゃないかしら? ローマ字に直すと『EERAKAHUROY』。これを逆から読むと『夜はカレー』ね」
 お嬢さまの推理が当たり、アンゴーは拍手をします。お嬢さまは自慢げな様子でした。

 今より少し前のお話・・・

0

納豆菌のような女

19/04/20 コメント:0件 W・アーム・スープレックス

 日曜の昼前、敏郎がぼんやり時間をすごしているとき、その訪問者があらわれた。
「こんにちは」
 開けたドアの向こうには、これまでみたこともない、若い女がたっていた。女は彼がまだ何もいわないさきに、彼をおしのけるようにして部屋にあがってきた。
「なんなんですか、きみは――」
 あっけにとられる敏郎に、彼女はいった。
「台所は、こちらかしら」
 と女は、短い廊下のさ・・・

0

雀のよるべ

19/04/20 コメント:0件 秋 ひのこ

 “レモン’’が死んだ。
 いつも黄色い服を着ているからレモン。路地裏で生ゴミに頭突っ込んで、白目むいて泡吹いて死んだ。毒々しい色の腕と、地面に転がった注射器が、人の同情を寄せ付けない。
 
「イチゴ、これ、この前シフト代わってくれたお礼」
 モモがにやりと笑い、指先でつまんでみせたのは、名刺大の透明な袋。中に白い粉とカプセルがひとつ入っている。
「モモちゃん頼むわぁ・・・

0

父ちゃんの料理

19/04/17 コメント:0件 風宮 雅俊

 風邪をひくと、学校を休まないといけない。友だちと遊べないし勉強も出来ない。身体も熱が出てふらふらするし、あちこちが痛くなる。
 でも、一つだけ良い事がある。この日だけは父ちゃんがご飯を作ってくれるからだ。

「どうした、学校いかないのか?」
 布団の中で丸くなっていると父ちゃんが様子を見にきた。たぶん、学校から電話があったんだと思う。
「ごめんよ父ちゃん。朝飯作れな・・・

0

魔法のラーメン

19/04/17 コメント:0件 海見みみみ

「いっしょにラーメン屋をやらないか?」
 シロウから飛び出した言葉。それにケントは驚いているようだった。
「ずいぶん突然な話ッスね」
「とにかくまずはこれを食べてみてくれ」
 そう言うとシロウは机に一杯のラーメンを置いた。ワケがわからない様子だが、ケントはそれをすする。するとその目が見開かれた。
「なんだこれ、うまいッス!」
「これを見ながら作ったんだ」
・・・

0

はるくんのりょうり

19/04/17 コメント:0件 こぐまじゅんこ

 はるくんは、保育園の年長さんです。
 保育園には、ばあちゃんがむかえにきてくれます。
 家に帰ると、ばあちゃんは、台所で料理をはじめます。
「今日は、はるくんのすきなミートオムレツをつくるよ」
 ばあちゃんは、れいぞうこから、たまごとミンチをとりだします。
 玉ねぎは皮をむきます。
 はるくんは、ばあちゃんのとなりにいすをもってきて、よこに立ってみています。<・・・

0

食わず嫌い

19/04/17 コメント:0件 W・アーム・スープレックス

 タルクは銃をかまえて腹ばいになり、でこぼこした大地のうえを茂みの影まではっていった。
 正規軍兵士の影がちらとでもみえれば瞬時に、下を流れる渓流に飛び込む覚悟だった。仲間のゲリラがいれば、力をあわせて立ち向かうこともできたが、その仲間たちも次々に射殺されていくのをこの目でみているだけにタルクは、神経を針のようにとがらせながら、なおも匍匐前進をつづけた。
 と、灌木の向こうに、なにやら・・・

1

王のレシピ

19/04/17 コメント:2件 紅茶愛好家

古代ローマの遺跡から王の食べたレシピが見つかった。見つけたのは研究者ジョバンニ=フィオーレ、彼は石板に刻まれたそれを大事そうに研究室へと持ち帰った。
「これは当時の王がどんな食生活をしていたか分かる貴重な資料だ。解読した暁にはレシピを再現しよう」
ジョバンニの言葉に同僚のマルコが頷く。
「大変な話題になることは間違いないな」
「美味しければ企業とタイアップして商品化すること・・・

0

マニュアル

19/04/17 コメント:0件 R・ヒラサワ

 以下の手順は大まかに書かれています。状況に応じて各自、臨機応変にアレンジして下さい。

●素材をよく見て、どう料理するべきか熟考して下さい。
●切り口はどういう感じがいいか? 素材によって変えます。
●次にいためてみて下さい。軟化するかもしれません。
●次に十分間ぐらい置いてみます。
●見た目が赤くなったり、青くなったりした場合は良くありません。元に戻す方法を・・・

0

私をおいしく食べる方法

19/04/16 コメント:2件 W・アーム・スープレックス

 五人は眼前にそびえたつ大江山をみあげた。
「本当に鬼はいるのだろうか」
 忠吾は仲間をみまわしながら、不安そうにいった。
「本当は鬼ではなく、鬼と化した心をもつ人間がいるのだろう」
 と、年長者らしい分別をみせたのは、五平だった。それには他の面々も一様にうなずいた。誰しも、おのれの中に鬼を認めたことは一度や二度ではあるまい。
「相手が人なら、たとえ鬼の心をもった相手・・・

1

実践! 料理部

19/04/16 コメント:3件 犬飼根古太

「実践」を掲げる料理部であること。
 それがこの料理部が、一般的な料理部と違うところだ。
 かつて廃部寸前だった部を立て直した部長が「実践的に料理を学べる部にしよう」と言い出し、見事に再建したのだった。
 その方法とは…………。

 冷蔵庫の前に部員十名が集まっている。
 期待と緊張に満ちた視線が冷蔵庫に集まる中、部員の一人が扉を開ける。
 冷蔵庫の食材を・・・

0

Recipe

19/04/15 コメント:2件 R・ヒラサワ

「新しい彼女が出来たんだ。だから、これで君を含めて五人って事になるね」
 タクミの言葉を聞いてもコトネは全く反応しなかった。それは人数が六人や七人に増えたところで、同じだったに違いない。会話の流れとしてコトネは一応聞いてみる。
「今度は何がいい人なの?」
「運動神経だよ。水泳に陸上に球技全般。何でも出来るみたいだ」
「ふうん。そうなんだ」
 聞いたところでコトネの心境・・・

ログイン