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  2. 第167回 時空モノガタリ文学賞 【 実家 】

第167回 時空モノガタリ文学賞 【 実家 】

今回のテーマは【実家】です。

恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

時空モノガタリ賞発表日:2019/05/20


※同一投稿者からのコンテストページへの投稿作品数は3作品とさせていただきます。
※R18的な暴力表現・性描写はお控えください。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。

ステータス 終了
コンテストカテゴリ
投稿期日 2019/03/18〜2019/04/15
投稿数 63 件
賞金 時空モノガタリ文学賞 5000円 ※複数受賞の場合あり
投稿上限文字数 2000
最大投稿数 3
総評

投稿済みの記事一覧

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賛歌

19/04/15 コメント:0件 森音藍斗

 実家が好きではなかったから大学で東京に出た。

 父はいない。母は過保護で、友人とカラオケに行くことすらままならなかった。そのせいで友達もいない。作ろうとしたこともあったが、彼らみんな休みの日にゲームセンターに行った話で盛り上がるものだから居心地が悪くてやめてしまった。電車に乗らなければショッピングモールもない田舎、小中学校は丘の上だったから通学は億劫だったし、趣味も習い事も種類がな・・・

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かぐや姫の帰還

19/04/15 コメント:0件 青苔

 その日、月では、誰も彼もが上を下への大騒ぎだった。

 特に月の女帝は、廊下を行ったり来たりしながら落ち着かない様子で、時々空を見上げては、そばを通る下働きの者をつかまえては、こまごまとした指示を与えていた。
 かぐや姫を地球に送り出してから、三年。母親である月の女帝だけでなく、月の住民たちもこぞってかぐや姫の帰りを待ちわびていた。
 あのかぐや姫が戻って来られるそうだ。・・・

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3年ぶりのユウキ帰省

19/04/15 コメント:0件 mokugyo

3年ぶりに実家に帰って驚く。

実家は、郊外のみすぼらしい木造一軒家だったんだ。それがおぞましい外観に変貌していて。

キューブ状の建物に無数の配線が巻き付いていて、謎の研究所の様になってる。

目を疑うが、確かにここは実家だ。

その証拠に入口の門は昔のまま。標札の「高橋」も変わってない。

木の柵の小さい門を開けて、俺はおそるおそる玄・・・

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つなぐ【エッセイ】

19/04/15 コメント:0件 宮下 倖

 双葉の家な、秋にほどくことにしたから。
 2018年の元旦、おせちと雑煮の朝食を終え食後のお茶を飲むと、父はまっすぐに私たちを見てそう言った。
 並んで座っていた私と妹は互いを見ることはなかったけれど「きたか」と背筋を伸ばす。
「うん。わかった」
 そろって静かに頷けば、一瞬止まったように思えた時間が私たちを窺うように動き出した。
 私の実家は福島県の浜通り、双葉町・・・

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My Home

19/04/15 コメント:0件 みや

私は実家が嫌いだ。

私の実家は小さな三階建ての一軒家で、古くて狭くて臭い。古い家なので壁は土壁で床は畳。犬を飼っているのでやはり匂いは動物を飼っていない家よりは臭いと思う。

家族構成は私、私の母、母の両親(つまり私の祖父母)の四人と犬が三匹の合計七人で、私は生後半年で私の父と離婚した私の母と一緒にこの私の母の実家で暮らしていた。幼い頃は古いとか狭いとか臭いとか何も思わな・・・

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わらの家

19/04/15 コメント:0件 タック

僕は実家を恥ずかしく思っていた。中学二年生までの話である。

僕は自然豊かな田舎に生まれ育った。夏には緑色の絨毯が田んぼを埋め、秋には紅葉に色づいた山が空の一角に映える。そんな地域だ。
そのような地域だったから、小学生の頃は十二人しか同級生の男子がおらず、人数の少なさのためか僕らは比較的仲良く遊んだ。
休日や放課後にはよく互いの家にお邪魔し合い、僕もたびたび自宅に友達を招き・・・

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実家作り体験教室

19/04/15 コメント:0件 紅茶愛好家

世の中にはいろんな事情で実家の無い人々がいる。僕もその一人、そう僕には帰る実家がない。生まれた時から天涯孤独、ずっと児童養護施設で生活してきた。しかし、今日語りたいのはそんな悲しい身の上話じゃない。今日僕は人生をかけてあるツアーに参加した。『実家作り体験教室』、つばめバスの主催する体験型ツアーだ。
『さて、間もなくバスは深見村へと到着です。お降りの際はお忘れ物などないようお願いいたします』<・・・

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帰る実家はありません。

19/04/15 コメント:0件 小高まあな

「実家に帰らせていただきます!」
 そう宣言して家を飛び出した。が、飛び出したところで、私に帰る実家などなかった。
 とりあえず手元にあった鞄を持ってでてきたが、中には碌なものが入っていない。お金だってあまりない。
 どうしたものかな、と思いながら近所の公園に向かう。夕方が近づいてきて、人はどんどん帰っていくところだった。寂しい。
 とぼとぼとブランコに座る。
 友達・・・

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家を生むモノ

19/04/15 コメント:0件 秋 ひのこ

「あれ、また模様替えした?」
 夫が帰ってくるなり開口一番に指摘した。
「うん、なんかもう少し使い勝手よくならへんかなあと思って」
 ナミエは表情ひとつ変えず、手早く野菜炒めを電子レンジに突っ込み、冷蔵庫からサラダを出す。
 動かしたのは、食器棚とリサイクル用の仕分け箱だ。
「アミもてつだったよ」
 パジャマに着替えた6歳の娘が夫の足にくっついた。夫はそれに適当・・・

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帰る家がない

19/04/14 コメント:0件 紅茶愛好家

田所家はその夜、会議を開いていた。議題は耐震補強に伴う自宅改修について。
「せっかく家を弄るんだからついでに不便なところも変えましょ」と嫁、咲江。
「じいちゃんとばあちゃんの部屋の段差をなくしたほうがいいよな」
孫で介護士の永利(えいり)が提案する。すると祖母、絹子が目元を潤ませる。
「永利は優しいねえ、涙が出るよ」
「いっそのこと風呂もいじるかぁ」と祖父の永吉。

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おちゃめな母は魔法使い

19/04/14 コメント:0件 海原

「母さん夕方まで帰らないし、父さんも外出しているから鍵忘れないようにね。」
実家に帰る日の朝、母からこんなメールが届いていた。久しぶりに実家へ帰るのに、父も母も不在とは少し寂しいな…。そんな気持ちを抱えながら、京都から実家のある兵庫へと向かっていた。お土産に京都産のワインとチーズとお豆腐をリュックサックに詰め込んで。季節は5月を迎え、すっかり桜は散ってしまった。今年も仕事が多忙でゆっくりとお・・・

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夜空に浮かぶ実家

19/04/14 コメント:0件 悠真

 機内にいる人は皆、金持ちだと考えてよい。概ね人生において成功者に分類される人々だ。
 目的地は同じ。目的も同じ。
「失礼かもしれませんが、お仕事は何を?」私はたまたま隣合っただけで初対面にも関わらず、隣席の男性に話しかけた。「答えたくなければ構いません。私はアパレル関係の会社で、デザインをしています」
 機内で初めて会った人と言葉を交わすことは珍しくない。電子端末の持ち込みは禁・・・

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僕らの窓

19/04/14 コメント:0件 千日

実家のリフォームをすることになった。
 大々的にやらねばというので、四十を過ぎて未だ独身の僕はせめてもの親孝行にといつもならメジャーデビュー前の地下アイドルにつぎ込まれるはずの金を奮発し、独創的な空間づくりが評判の建築家Rを呼んだ。Rは早速やってきて、バリアフリー、エレベーター、床暖房、ヒートショック対応トイレなど快適な空間を提案した。父は聞いただけでお腹いっぱいになってしまいほぼ夢見・・・

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実家詣

19/04/14 コメント:0件 中村瑞帆

 妻の実家に帰るのは、毎年のことながら憂鬱である。義父はいつも言う。
「君の顔を見ているとどことなく辛気臭い」
 自分でもそう思うが、そう言われても自分の顔は自分では選べないのだ。
義父が伸びをした拍子に首が伸びて天井にあたり、ゴキン、と音がした。
「あなた、気をつけないと。何度ぶつかったら気が済むの」
 義母がぺろぺろと床のゴミをなめながら言った。義母は、体中緑色で・・・

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夢の我が家

19/04/14 コメント:0件 田辺 ふみ

「ただいま」
 大きな声を出して、古い木製の引き戸を開けた。
「お帰りなさい」
 玄関には母が待っていた。
「疲れたでしょう」
「いや、荷物もないし、平気」
 上がり框に腰を下ろして、靴を脱いだ。
 裸足で床を歩くと、ひんやりとした感触が伝わって来る。
 古い家独特の木と線香と何かが混じった匂い。
 ああ、家に帰ってきたんだ。
「お茶にす・・・

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帰省

19/04/14 コメント:0件 碧井空

 上司が言った。
「手帳を最近買ったそうだな。それを全部使いきらなければ、ただの札束と同じだ。ほら、飲め」
上司は缶コーヒーをくれた。
「それが、ただのスチールと同じように」
鼻で笑いながら石を蹴ったその先に、少年たちが捕り損ねた野球ボールが転がっていた。上司は機敏な動きで投げ返した。
 鼻の頭に玉のような汗があり、ネクタイに垂れた。
「おまえ、お盆に帰省はしな・・・

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故郷から五万二千天文単位

19/04/14 コメント:0件 本宮晃樹

「なぜ地球だけを特別視するのか、わたしは理解に苦しみます」
 鼻つまみ者の生物学者であるフレッド・ホイル・ジュニア氏はさる大学の公聴会で、自説を高らかに開陳しているところだ。
「生物の単一子孫、いわゆるコモノートが地球上において自然発生する確率が非常に低いことは周知の通りであります」
 公聴会に訪れた人びとはしらけていた。彼らはべつの科学者の演説を聞きにきたのであり、ホイル氏のた・・・

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実家に帰らせてもらいます

19/04/14 コメント:0件 つつい つつ

 今日は久しぶりに仕事が定時に終わったので急いで家に帰ることにした。いつも残業ばかりで少し年上の妻の麻衣さんと、この春から小学校に通う美桜と一緒に夕食を食べることも出来なかったから電車の中でも早く帰りたくて、ドアの前で足踏みなんてしたりもした。 
 最寄り駅から駆け足で歩いていると、ちょうどスーパーから出てきた麻衣さんと美桜を見つけて僕は思わず美桜に抱きつこうと駆け寄った。
「変態!」・・・

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失考の幇助

19/04/13 コメント:0件 日向 葵

「全く、ツイてないな…」
圏外になった携帯電話とエンストした愛車を見て思わず愚痴がこぼれた。
辺りを見回すと薄い月明かりが深い緑を包んでいる。この様子では車通りは期待できないだろう。一先ず愛車を押して車道の脇に寄せると額から汗が滴った。
「少し歩けば、電波が入るかもしれない」
丁度良く火照った体をそのままに薄明るい夜道を歩くことに決めた。

電波こそ入らなかった・・・

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写真の赤ん坊

19/04/13 コメント:0件 ハッギー

 母が4年前に亡くなり、実家は住人のいない状態が続いていた。
 退職し時間に余裕が出来たので、遺品の片付けに自転車で10分くらいの実家へ足繁く通うようになった。
 約五十坪ある各部屋を整理していった。埃まみれになって整理したが、結局ほとんど捨てることになった。最後は、倉庫の整理に取りかかった。
 倉庫の中から、ホコリを被ったいろいろな物が出てくる。大抵は木箱や段ボールの中にしまわ・・・

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あなたの家の

19/04/13 コメント:2件 待井小雨

 結婚の挨拶をするために、彼女の両親に会いに行くことになった。付き合い始めてから数年になるが、彼女の実家に行くのは初めてだった。
 
「家に連れていくのは、少し不安で」
「不安?」
 地方の寂しい駅を降り、バスを待つ。
「前に付き合ってた人がうちに来たことがあるんだけど、その時に……何て言うか、その家だけの文化みたいなのってあるでしょう? それが合わなかったみたいで、・・・

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家を売らないお父さん

19/04/13 コメント:0件 ササオカタクヤ

「絶対この家は売らないぞ」
何度も何度も都市計画のため行政が土地買収の話を持ちかけてくる。それでも一向にお父さんは売ろうとはしなかった。もうこの家も相当廃っているし、この際多額で持ちかけられているんだから売って新しい家でも買ったらいいのに。なんて娘の私は考えている。
「まったく、人が建てた家をあーだこーだ言ってきやがって。ふざけやがって」
「まぁ気持ちは分かるけど。でも私や和葉は・・・

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こいつが座って俺が立つまで

19/04/13 コメント:0件 悠真

 今日の日替わりランチはヒレカツ定食だった。
「お疲れ様です」
 二人席の空いていた向かいに腰掛けてきたのは、同じ部署の後輩社員だった。
「お疲れ」
 軽く挨拶して、俺はメインのヒレカツ、その最後の一切れを、口の中に放り込む。
「いやー、気づけばもう今年も終わりですね。先輩は年末年始、どうされるんですか」
「俺は今年も神社かな」
 咀嚼しながら俺は答える。・・・

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ねじれ階段

19/04/10 コメント:0件 hanamama

 わたしが昔住んでいた家は、すこし変わった造りをしていた。
 度重なる増築で家じゅうのところどこに段差があり、また上階へ昇るための階段が二つあった。
 そして老朽化にともない改築を重ねた結果、一方の階段は新しいが二階部屋は古く、他方の階段は古いが二階部屋は新しい、何ともいびつな形状になっていたのである。前者が祖父母の寝室で、後者が息子夫婦つまり私たちのそれだった。
 きしむ古い階・・・

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あやかしの家

19/04/09 コメント:0件 冬垣ひなた

 高度経済成長期の只中にあって、鬱蒼とした樹木に守られるその山は、誰からも忘れられていた。青年が9年ぶりに訪れた父の屋敷も、苔むした廃屋と化し、かつての栄華は見る影もなく荒れるがままにされている。
 悟は少年の頃の記憶を辿り、土足で縁側から屋敷に上がり込む。広大な敷地は動物の住処となっていて、森の中にいる錯覚をしてしまう。
 抜け殻となった家の中を、見えるはずもないのに、悟は美鈴の姿・・・

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父さんの再婚相手

19/04/08 コメント:0件 ササオカタクヤ

父さんから電話があった。
もう2年以上実家に帰っていないし、電話で話したことも記憶にない。だから嫌な予感がした。しかし電話越しから聞こえてくる父さんの声は、俺の知ってる声よりも輝いて聞こえた。
「晴人、父さん実は…再婚しようと思ってるんだ」
母さんが死んでから男手一つで俺と妹を育てた父さん。妹も高校を卒業したし、セカンドライフは新しいパートナーがいてもいいんじゃないか?寛大な心を・・・

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遠すぎた実家

19/04/07 コメント:0件 本宮晃樹

 異変に気づいたのは新幹線の指定席を予約したときだった。
 携帯端末の画面を前にして目をしばたく。チケットの料金が値上がりしていたのだ、それも万単位で。
 ただでさえあまり帰省したくないというのに、大幅に値上げをされたのではかなわない。
 鉄道会社のホームページを漁ってみるも、値上げの理由はどこにも見当たらない。これほど一方的に高額な値上げをするのはよほどの理由がない限り難しい。・・・

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帰らない

19/04/07 コメント:0件 koori

「結婚したんだからそんなに帰ってくるものじゃないんだよ。もうここは五月の家じゃないんだからね」
見慣れた石油ストーブの前でのんびりと横になっていたら母から思いもよらない言葉が飛んできて耳を疑った。はっ?実家って帰ってきたらだめなんだっけ。
嫁いだ娘を諭しているのかと考え直してもみたが、母の顔を見た途端に違うなとすぐにこの考えは打ち消された。60過ぎの割には白髪は目立たず、艶のあるしっか・・・

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おとぎのお家

19/04/06 コメント:0件 やまぐちなみこ

 郵便受けを開けるとヤギがいた。その足もとには紙吹雪。郵便物の残骸だろう。艶めく彩り豊かな紙がもとチラシなのは明らかで、私はほっと吐息する。むろん私宛ての郵便物など、服屋のダイレクトメールだとか、せいぜいが携帯電話の利用料金請求書だとかでしかないのだけれど。
「お腹が空いていたんだね」郵便受けに収まる手のひらサイズのヤギに、私は話しかけ、「古紙回収の日まで溜めておくつもりだったチラシの束、あ・・・

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神様との会話

19/04/06 コメント:2件 路地裏

 実家に帰省して二日目の朝。今日の昼には東京に戻る。一階では母がバタバタと忙しなく家事をしている音が聞こえてくる。

 こっちの朝はまだまだ寒い。俺は布団に包まりながら、スマートフォンのホームボタンを押し録音アプリを起動する。そして再生ボタンを押した。

『久しぶり父さん』

「久しぶり。大学はどうだ?」

『ぼちぼち。そっちは?』

「・・・

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彼女のピアス

19/04/05 コメント:0件 紅茶愛好家

「実家のパパに買ってもらったの!」
そう言って佐奈はロゴを模ったブランド物のピアスを見せる。
「いいなあ、佐奈の家はお金持ちで」
「大して金持ちじゃないわ。これは二十歳の誕生日だから特別」
「でも、ウチは手作りケーキだけだったよ? 羨ましい」
その『羨ましい』が佐奈の大好物であることを僕は知っている。
「今度使わなくなったピアス持ってきてあげる。あげるわ」

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実家アロマ

19/04/05 コメント:1件 松本エムザ

 何をしても疲れが取れない。
 連日連夜に渡る激務。口煩い上司、調子のいい同僚、頭の硬すぎる後輩に囲まれて、四面楚歌の毎日。

 久々の休日、私は食料やトイレットペーパー等の生活用品をGETすべく、フラフラと街へ出た。本当は、何もかも忘れて一日中ベッドで眠りこけていたかったのだけれど、人として最低限の生活を維持する為に、渋々と。
 何しろ私の部屋ときたら「驚愕!片付けられな・・・

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振袖

19/04/05 コメント:0件 コジコジ

 駅の構内を歩くたびにハイヒールの音が心地良く鳴った。六年振りの帰省だ。
 春子はスーパーへ食品を卸す会社に勤めていたため、正月やお盆など繁忙期には思うように休暇を取れなかったのだった。母には帰ることを電話で知らせておいたが、同級生などには連絡をしていない。もうこの年齢になると子育てで忙しかったり家族優先になるため、今では親しくしている同級生や友人はいない。
 母はまた結婚の話しをする・・・

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笑った

19/04/05 コメント:2件 naokiti

「そっちはどうなの? ちゃんとしてくれてる?」
 電話の奥から、探りを入れるような母の声がする。私より祖父母の様子が気になるのだろう。
「よくしてくれてるけど、なるべく早く出ようと思う。おばあちゃんも年だしね」
「どうして? 孫なんだからいいじゃない」
「ずっと二人暮らしだったから、私の食事、作るの大変そうで」
「まあ、そんなこと言われたの!」
 尖った声だ。し・・・

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あの子の故郷は遠い地の果て

19/04/02 コメント:2件 文月みつか

 昼時の学食は食べ物の匂いと学生たちの活気に満ちていた。
 マーニャは「いただきます」と手を合わせ、塗り箸で華麗に醤油ラーメンをすすった。
「いつもラーメンで飽きないの?」
 私が聞くとマーニャは少し首を傾げて答えた。
「今日は少し塩気が強いです」
「つまり毎回微妙に味が違うのを楽しんでいると?」
「はい。ラメンは私が日本にやってきた主な理由の一つです」
・・・

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第二の故郷

19/04/01 コメント:0件 本宮晃樹

 例のごとくだしぬけにバーナード星方面軍に転属が決まったと思ったら即出撃、量子トンネルを潜ってさあやっつけるぞ、と意気込んだらこのざまだ。
「森下かすみ部隊長どの、聞きたいことがあります」兵員輸送船のスクリーンを通して見えるとんちんかんな星座にまごつきながら、「ここはいったいどこなんですか」
「あたしが知るわけないだろ」鉄火肌の部隊長は肩をすくめた。
 端末を起動して星図を確かめ・・・

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僕と父のちょっと

19/03/29 コメント:0件 こまっちょ

 僕の実家は小さな酒屋。
店主はタバコと酒を愛する父。
いつも酒くさい。禁煙したって、家族から煙たがられる。そんな存在。

「おい、ちょっと来い」

 父は「ちょっと」が多い。そして話もちょっと長い。勉強から生活態度まで。
無理もない。うちには母ちゃんがいない。でも反抗期。うるさい父。それは靴の裏にこびりついて離れないガムのよう。ガムならまだマシだ。目立た・・・

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おかあさんのおかあさん

19/03/28 コメント:0件 こぐまじゅんこ

 わたしは、まえだあいり。
 小学二年生。
 おかあさんのおかあさんの家、つまり、おばあちゃんの家は、わたしの家のすぐ近くにある。
 おかあさんは、わたしをつれて、しょっちゅう、おばあちゃんの家に遊びに行く。
 おばあちゃんの家には、たたみの部屋がいっぱいあって、こたつもあるから、おかあさんは、必ずこたつにはいって、
「あー、やっぱり実家はおちつくわぁ」
って、・・・

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おかあちゃんねる

19/03/26 コメント:0件 若早称平

 頬杖をついて見るバスの窓に映った自分の顔が思っていたよりもやつれていた。実家に帰るだけとはいえ、ちゃんと化粧してくれば良かった。こんな顔じゃ両親に心配をかけるかもしれない。
 大学を出て就職したのがいわゆるブラック企業だった。果てしない残業で死んでしまう前に私はなんとか逃げ出すことができた。母に電話で話すと、
「なんも心配せんと帰ってきーや。あんたの部屋はそのままやけ」
 私は・・・

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実家が――大変な事にー!

19/03/25 コメント:0件 とむなお

 四月中旬のこと…… 
 東京アーティスト大学2年生の田村フミヤは、ゴールデンウイークを利用して、千葉県にある実家に帰省することに決めていた。

 以前から電話で母に、
『そんなに遠くないんだから、一度は帰ってきなさいよ!』
 と言われていたためと、今年のゴールデンウイークは4月28日から5月6日と長かったからだ。

 4月28日――快晴の昼前に、フミヤは・・・

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日が暮れるまで

19/03/25 コメント:0件 吉岡幸一

 街から片道四時間、電車とバスを利用して三ヶ月ぶりに実家に帰ってきた。懐かしいという感覚はない。落ち着くという感じでもない。ただ実家をほったらかしにしていては心配だから、私は年に四度ほど帰ってきているだけだ。
 父も母も死んだ。すでに亡くなって五年が過ぎている。実家にはだれもいない。私を迎えてくれる人も当然いない。ただ空っぽの家が埃をためて私を待っていてくれるだけだ。
 両親が死んだの・・・

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祖父の知られざる一面

19/03/24 コメント:0件 嶺 ナポレタン

亮介の実家は今どき珍しい三世代家族である。東京で働き始めて4年目になるが、盆正月は必ず福岡の実家に帰っていた。

そして今年の盆休みも例のごとく実家に向かっており、その道中、電車の窓から見える曇り空とそれに覆われた世界をぼーっと眺めていた。

ふと目に入ったのは、電線を支えながら山の上にそびえ立つ東京タワーのような物体。1つ見えるとまた1つ見え、俯瞰して見ると予想以上にたく・・・

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終の住み処

19/03/24 コメント:0件 桜森湧水

 男は断崖絶壁にしがみ付いていた。
 天高くそびえる塔の岩肌を、ゆっくりと登る。
 雲海を抜ければてっぺんは近い。
 毎年、男はこの仙境を訪れる。
 物好きな冒険家というわけではない。
 ただ、雲の上に実家があるだけだ。

 玄関で息を切らしてへたり込む男を、老婆が出迎えた。
「おかえり。よく来たねぇ。くたびれたろう?」
「ただいま。毎度のこと・・・

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夏の夜明けを抱いた詩人

19/03/24 コメント:0件 W・アーム・スープレックス

 何より凡庸な平俗さを嫌ったという詩人の家があるシャルルヴィルにやってきた私は、とめどなくこみあげる感動にしばらく言葉をなくしていた。
 若くして世界中の詩人たちを驚愕させた詩を書き綴り、わずか二十歳でいっさいの詩業を放擲してその後数奇な運命をたどり37歳でこの世を去った天才詩人がこの家で生まれたとおもうだけで、私は全身に鳥肌がたつのをおぼえた。
 私がいまこうして詩の世界で生きている・・・

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母の掌と閉じられた家

19/03/24 コメント:0件 文月めぐ

 右足が階段を踏み外したのが、やけにはっきりとわかった。階段を一段飛ばしで駆け上がっていたぼくは、ゴンゴンと嫌な音を立てながら、背中から滑り落ちていった。当時小学校一年生だったぼくは、母が仕事から帰ってくるまで階段の下で泣きわめいていた。
 帰ってきた母が一目散に駆け寄ってきて、ぼくの背中をさすってくれた。その温かさをいまだに覚えている。

 
 年末に熱を出してしまうなん・・・

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死んだ世界から

19/03/23 コメント:0件 hayakawa

 大学生の僕らは二人で電車に乗って休日に海に出かけた。海が近づくにつれてわくわく感は高まっていった。
「ねえ、海ってどんな景色なんだろう?」
「さぁ? でもどうして急に海に行きたくなったの?」
「なんとなくだよ。夏休みみたいだろ?」
「まだ夏じゃないわ」
 春香はそう言ってくしゃっと笑った。
 海に着くまでの間、二人でただ茫然と街の景色を見ていた。
「街も・・・

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ロックンロール ニアリー アルコオル

19/03/22 コメント:0件 入江弥彦

 親父が素面でいるのを見たことがない。
 朝は俺が起きるよりも早くから飲んでいて、夜は俺が寝るよりも遅くまで氷の音を響かせている。酒癖が悪いわけではなかったし、暴力をふるうこともなかったけれど、無関心で無気力な男だった。
 俺が東京に行くと言った時も、そうかと一言吐き出しただけで、こちらも見ずに瓶をさかさまにしていたのをよく覚えている。止めてほしかったわけではないし、応援してほしかった・・・

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彼が生まれた家

19/03/22 コメント:0件 W・アーム・スープレックス

 つきあってもう3年になるけど、一樹がその間に自分の過去のことを話したのは、ただ一度だけ――俺の田舎はトンボがたくさんいるんだ、だけだった。しかもそれをいったときにも、うっかり口がすべったといったふうなので、こちらから水をむけても、わざとのようにはぐらかしてしまう彼に、私もいい加減、頭にきてしまった。
 だって、二人の間がここまできたら、お互いのことをあらいざらいうちあける時期だと思うんだけ・・・

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実家での一コマ

19/03/21 コメント:0件 犬飼根古太

 ドアノブを回すと、音もなく扉が開いた。
「まあまあ遠いところからよく帰って来たねぇ、さぁさぁお上がり」
 腰くらいの高さから響く甲高い声が、扉を開けた俺を出迎える。
「ただいま、母さん。一年振りだね」
「ほんとそうだねぇ……実家って言っても近いんだから、もっと頻繁に帰って来なさいよねぇ」
 小言をいう声には心情がこもっていた。
「母さんは、実家に帰りたいって思・・・

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履歴で繋がるその路は

19/03/21 コメント:1件 悠真

 決意表明のように連絡先から実家の番号は削除していたが、母からであろう着信履歴からいつでも連絡できる状態だった。
 何がしたいのか言わず強引に家を出た私が、心配で仕方ないのだろう。悪いとは思っているが、話せるような将来の展望を持っているわけではなかった。
 時間を持て余していたからか、冬の寒さと静けさが寂しさを助長させたのか、ただの気まぐれか、私はその履歴から実家にかけていた。
・・・

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母のいる実家は天国

19/03/21 コメント:0件 笹峰霧子

 実家は良いなあ〜!という母親に続いて、こっちの高校へ入学したいな〜と、後に続いて言うのは今年中三に進級する子だ。
 そんなに良いもんかねぇ、と内心理解できない私である。というのは私は一人っ子なので、母が亡くなるまで同じ邸内に暮らしていたからだ。
 私の場合いわゆる実家とは少し違うが、或る期間だけ母親の待つわが家を恋しく思ったことがある。それは大学在学中の四年間で、夏と年末と春の休みに・・・

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偽物の義母

19/03/20 コメント:0件 浅月庵

 嫁の実家が苦手だーーというより、義母が苦手だ。
 彼女は会話の途中で、突然こちらの心をズガッと削る言葉を放ってくる。
 俺の働いてる職場に対し「そんな会社聞いたことないねぇ」とか「男は遊ぶのが仕事だと思ってるからねぇ」ってのが、神経質かもしれないけど俺的には結構苦痛だ。

 ただ帰省ってものは避けては通れない恒例行事で、今年のお盆も嫁の実家へ車で帰る。
 およそ三時・・・

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幻洞

19/03/19 コメント:2件 クナリ

 「幻洞」を知っているだろうか。
 山中などの埋めたはずの洞が、夜中になぜかぽっかりと口を開け、中にさえ入れるという怪奇現象だ。
 なぜこんなことを訊くかといえば、それは……



 昭和の話だ。
 当時地方都市の大学生だった僕に、一人暮らししている母親から、山村の実家を取り壊すという連絡が届いた。
 父は僕が中学生の頃に他界しており、それ以来母一・・・

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ダンボールの家

19/03/18 コメント:0件 W・アーム・スープレックス

 俺をうけいれてくれるのは、この家だけだ。
 夜の10時から翌朝9時までの間、とざされたシャッターの前で俺は、ダンボールの中に横になって朝までぐっすり眠れるというわけだった。
 ほかのホームレスたちはもっぱら、駅周辺に寝床をつくった。公衆トイレがちかくにあるし、最近はめっきりへったが、捨てられたタバコにありつけるのも、あのあたりが最も多かった。
 俺がその前を寝床にしている店は、・・・

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怪奇短編「母のレコード」

19/03/18 コメント:0件 ダイナマイト・キッド

 これは、40年以上前に我が家で実際に起こった出来事を聞いて書きだしたお話です。

 私の母ミワコはレコード収集が趣味で、今でも我が家にはCDにカセットテープ、VHSにDVDにレーザーディスク、そして沢山のアナログ盤がある。
 当時は近所にレコードショップがあって、母も若いころはそのお店に頼んで輸入盤なんかも取り寄せてたらしい。
 
 1970年代のある日、いつものよ・・・

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ビートのりこ

19/03/18 コメント:0件 ダイナマイト・キッド

 うちのバアさんこと佐野ノリコさんは、近所でも親戚のなかでも豪傑で知られていた。
 6人兄弟の長女で運動神経も抜群、昔から女親分だったノリコさんはとにかくお金も出すところは出すし、買い物も欲しいものはすぐに買うというザ・三河の女。
 喫茶店でコーヒー飲むのが大好きで家の近所から旅行先まで、そこいらじゅうの喫茶店のコーヒーチケットが買ってあった。
 コーヒーチケットってのは早い話が・・・

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ばあちゃんの冷やし中華ごまだれ味

19/03/18 コメント:0件 ダイナマイト・キッド

 おばあちゃんというのは気の長いイメージだ。
 だがそれは我が家の豪傑バアさんことノリコさんには当てはまらない。まあ世の中には今、キレる年寄りとかもいるのでそれと一緒にされたくはないのだけれど。
 なんつーか、カクシャクとしていたんだノリコさんは。

 そんな豪傑バアさんだが、やっぱりどっかおばあちゃんという年齢、概念になったのだなと思うことに
 同じ食べ物を延々リピ・・・

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リバースモーゲージ

19/03/18 コメント:0件 風宮 雅俊

「ママ、不在通知が入っていたから電話しておいたよ」
 ソファーでタブレット見ている娘が、思い出したように言った。
「ありがとう。どっからの荷物?」
「銀行って書いてあったよ」
「どこの銀行?」
「知らなぁい」
 通販の荷物は明後日のはずだし、パパが注文したのかな? 銀行から荷物ってなんだろう・・・

     〜 ・ 〜

「ここに、手す・・・

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ゴミ屋敷

19/03/18 コメント:0件 風宮 雅俊

 二十年ぶりの実家だった。幼少期を過ごした思い出の家のはずなのに、ホントに我が家なのかと疑うほどに変わっていた。縄跳びをした芝、夕飯のおかずを採ってきた母さん自慢の家庭菜園は全て雑草で覆いつくされていた。
 リビングのカーテンは昔と同じだったけど、窓に張り付いていた。その理由は家から漏れ出る悪臭が全てを物語っていた。私の実家は、帰省できない間にゴミ屋敷になっていた。

 事の発端・・・

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イヌのくに

19/03/18 コメント:0件 海見みみみ

「あいそうが つきました! じっかに かえらせて もらいますワン」
 そう いうなり あいけん ピコは いえを でていきました。おどろいた ケンゴくんは ピコの あとを おいかけます。
「いきなり どうしたんだよ?」
「エサは マズイし、さんぽは さぼるし、もう ガマンの げんかいだワン」
 そう ピコは グチを いいます。
 ピコは トンネルの まえに つくと、3か・・・

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とどいたモノは

19/03/18 コメント:0件 海見みみみ

 タダヒトさんは はるから ひとりぐらしを はじめました。きゅうじつ いえで グータラ していると にもつが とどきます。おかあさんからの しおくりで ミカンが たいりょうに はいっていました。
「さすが こうぶつが よくわかってる。でも つぎは もっと いいもの たべたいな」
 タダヒトさんは ミカンを たべながら じっかあてに てがみを かきます。
『ミカン たいへん おいし・・・

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だいじなたてなおし

19/03/18 コメント:0件 海見みみみ

 とある ふるい いえに おばあさんと おじいさんが すんでいました。ふたりには むすこが いましたが、いまは ひとりぐらしを しています。さいきんは むすこから れんらくも なく、おばあさんたちは さみしく ひびを すごして いました。
 そんな あるひ。おばあさんは いえの かいだんを のぼり ためいきを つきます。
「さいきん かいだんが つらいわねぇ。てすりが あれば いいんだ・・・

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帰れない

19/03/18 コメント:0件 R・ヒラサワ

「両親はもう居ないの」
 初めてケンイチに会った時、ミサキはそう話した。
 本当の事は客であるケンイチには勿論の事、周囲の誰にも伝えていない。夜の世界に生きていれば不思議な事ではなかった。
 高校生の頃、ある時期を境に両親と不仲になり、卒業を待たずして家出した。
 ミサキが住んでいたのは、他人にプライベートが簡単に知れ渡る様な小さな町だった。
 家出する前には、『不良・・・

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