1. トップページ
  2. 第166回 時空モノガタリ文学賞 【 おくりもの 】 ※時空作者による選考回

第166回 時空モノガタリ文学賞 【 おくりもの 】 ※時空作者による選考回

◆テーマは【おくりもの】です。

◆今回は、時空モノガタリ事務局ではなく、時空モノガタリ作者有志による選考回となります。多彩な作品のご応募をお待ちしております。

◆最終選考以上の作品には「こうすると良くなる点」と「良かった点」について選考者からコメントをいただく予定です。

恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

◆時空モノガタリ文学賞発表日:2019/04/26

※同一投稿者からのコンテストページへの投稿作品数は3作品とさせていただきます。
※R18的な暴力表現・性描写はお控えください。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。

ステータス 終了
コンテストカテゴリ
投稿期日 2019/02/18〜2019/03/18
投稿数 57 件
賞金 時空モノガタリ文学賞 5000円 ※複数受賞の場合あり
投稿上限文字数 2000
最大投稿数 3
総評

投稿済みの記事一覧

1

星の贈り物

19/03/19 コメント:0件 南野モリコ

都心から電車を乗り継ぎ数時間で辿り着く海辺のホテル、サザンテラスは、星がきれいなことで知られている。夏が終わり、誰もが海を見飽きた頃、星を見ることを趣味とする「星好き」たちでサザンテラスは静かなシーズンを迎える。「星好き」たちは、手持ち花火の火薬が散らばる砂浜に天体望遠鏡を立てる。テントの中でアルコールランプで暖をとりながら、お目当ての星が見えるのを待つのだ。
星のシーズンには、勤務中のホテ・・・

0

迷ったあげく

19/03/18 コメント:0件 霜月秋旻

 私の部屋のすみに墓石が置かれていた。
 仕事から帰ってくると、私が住むアパートの一室に、誰が置いたのか知らないが、高さ一メートル半はあるだろう、見るからにズッシリとして立派な、黒色の和型墓石が置かれていたのである。何が起こったのかわからなかった。そういえばこのところ忙しく、夜もよく眠れていない。幻覚でも見ているのかもしれない。しかし、何度まばたきしても目の前にある墓石は消えてくれない。消え・・・

0

二月二十九日の誕生日プレゼント

19/03/18 コメント:0件 壬生乃サル

 私は二月二十九日生まれだ。
 いわゆる、うるう年。誕生日の話になると、決まって言われることが二つある。

「え? 四年に一度しか年取らないの? 良いなー、良いなー」

 これに関しては、かなり高い確率で言われた。それも心底羨ましそうに。
 しかし、そんな夢のような話はない。みんなと同じように、しっかり年は取っている。
 私は今日、還暦を迎えた。時の流れに・・・

1

あなたがくれた

19/03/18 コメント:0件 森音藍斗

 窓辺に揺れるモビールは、誕生日のおくりものでした。
 部屋に彩りが欲しくも植物を育てるのが苦手な私に、ぴったりな萌葱色をあなたは選んできてくれました。半透明のフィルムが、太陽にきらきら反射して、部屋に色を落とします。
 いつもコーヒーを飲むマグカップは、クリスマスのおくりものでした。
 いつも一緒に居られなくてごめんねと、赤いリボンの描かれた真っ白なマグカップと、インスタントコ・・・

0

少女はサファイア色の涙を流す

19/03/18 コメント:5件 橘瞬華

 幾重にも重ねられた薄絹のヴェールのような、夜の帳が一枚ずつ剥がれ、埃っぽい部屋に光が射し込む。やがて光は埃に反射し、部屋全体を白く満たし、静謐な朝が訪れる。
「おはよう、昨日はよく眠れたかな?」
「はい、旦那様」
 お着替えを用意しようと背伸びをすると、欠伸が溢れそうになり慌てて口をつぐむも空しく、カランと音を立てて生理的な涙が落ちた。窓から射し込む光を眩しいくらいに反射してい・・・

0

星を紡ぐうさぎ

19/03/18 コメント:0件 みや

私達が月に到着して二週間が経っていた。元気だった熊になった彼が昨日からぐったりとしていて、意識が無い。彼はこのまま死んでしまうのだろうか?うさぎになった私の小さな心臓がザワザワしていた。

人間が他の動物に変化すると、人間だった時の感情は失ってしまうのか?
博士達に聞いても明白な答えを得る事が出来なかったこの疑問。その答えを私達は自ら実感した。うさぎになった私も、熊になった彼も人・・・

0

神の御技を賜りて

19/03/18 コメント:0件 青苔

「妊娠、されていますね」
 それが、僕がこの世界で初めて認識された瞬間だった。
 僕の母はその時、素直に、と言うべきか、無邪気に、と言うべきか、とにかく笑顔でその事実を喜んだらしい。そして、僕の存在を告げた医者は、マニュアル通りに次の言葉を続けた。
「まずは出生前診断が必要ですので、一週間後に来院してください」
「あの、……もし陽性だったら」
「その時は堕胎についての・・・

0

「シャコンヌ」の編曲

19/03/18 コメント:0件 沓屋南実

 バッハが残した素晴らしいヴァイオリン作品、机の上に置いた「シャコンヌ」の楽譜を僕は眺めている。どうにかしてピアノで演奏してみたくなった。ヴァイオリンの比類なき名手で20年来の友人の演奏を聴いていて、すっかり虜になってしまったからだ。しかし、演奏を聴く機会はとても限られる。彼の住まいはベルリン、僕はウィーン。加えて、彼は頻繁に演奏旅行に出てつかまえるのが難しい、超売れっ子。
 彼の伴奏なしの・・・

1

紙の花束

19/03/18 コメント:0件 待井小雨

 買い物を頼まれて外に出ると、向かいのアパートの階段に女の子が座っていた。紙で何やら一生懸命折っている。小さな膝頭を合わせてちょこんと座っているのが可愛らしい。
「ね、何してるの?」
 女の子に視線を合わせて話しかける。幼稚園生ぐらいだろうか。女の子はびくっと顔を上げると、困ったように視線を彷徨わせた。警戒心を抱かせてしまったようだ。
「ごめんね、知らない人から話しかけられたら怖・・・

1

神か、悪魔か、猫フィギュア

19/03/18 コメント:0件 小高まあな

「先輩のその猫、いなくなっちゃうの、寂しいなー」
 隣の席の先輩が退職する。婚約者が転勤になるから、それに着いていくらしい。仕事が出来る先輩だから勿体ないけど、二年前に結婚直前で婚約破棄になっているし、慎重になってるのだろう。
「これ?」
  先輩は机の上に飾っていた、猫のフィギュアを手に取る。ガチャガチャでありそうな、眠っている猫のフィギュア。
「そうですぅ、可愛いか・・・

0

赤に舞う白い鈴

19/03/18 コメント:0件 kanza

「この度は紅白(歌合戦)初出場決定おめでとうございます」
 こんな言葉で始まった雑誌のインタビューは終始和やかに進んだ。そして、話しも一段落した頃、突然記者が声を潜めた。
「話しは変わるんですが、ある噂のことってご存じですか?」
 今までとは違う卑しさを含んだ笑みを浮かべ、視線を私の手首に向けている。きっと週刊誌の見出しにあったあのことだろう。
――バンダナで隠された筧すず・・・

1

世界からの贈り物が消えた日

19/03/18 コメント:1件 入江弥彦

 夕暮れ時はこのさびれた団地にも人が多くなって、僕の居場所が極端に狭くなるようだった。
 買い物袋を持ったおばさんや、くたびれた様子のサラリーマン、泥だらけの服を着た同い年くらいの男の子、それぞれが誰かの待つ家に帰る中、僕は決して手触りがいいとは言えないボロの背中を撫でていた。
 嬉しそうに尻尾を振ったボロがすんすんと鼻を鳴らして僕の手を舐める。ボロというのは、僕がつけた名前だった。首・・・

1

虫食いだらけの世界で僕はひとり砂を踏む

19/03/18 コメント:2件 入江弥彦

 僕らの世界は、バグに侵食されている。
「リョウスケにバグがでたんだって」
 まるで明日の天気や、遠い異国の話でもするようにチナホが言った。頬杖をついて見つめる窓の先には砂漠が広がっている。地平線の端が明滅を繰り返していた。校庭というには広すぎる砂のなかでサッカーをしているクラスメイトが転ぶのが見える。
「バグって、あのバグ?」
「それ以外になにがあるのよ」
 冷静に・・・

0

虹の麓

19/03/17 コメント:0件 夏日 純希

「死は俺にとって一番の贈り物だったよ」

シュンは俺にそう言った。
たいていのことなら意気投合してきた俺たちだったが、
今回ばかりは難しかった。
俺たちの関係も、死がふたりを分かつまで
ということなのかなと寂しさがこみ上げる。

シュンは命を落とす前に、あるプロジェクトへの参加を表明していた。
それは彼にとってメリット、デメリットがあるわけでは・・・

0

贈り者

19/03/17 コメント:0件 繭虫



与えられたなら、返さなければならないような気がしてしまうのが難儀だ。

天井裏にそっと、餌を差し出す暖かな表情に、与えられ続ける『生』に、私はいつしか報いなければならないような気持ちになる。

――私の生まれた村はひどく飢えていた。度重なる飢饉、日照りで食うものがない。親も失くして、さまよって。
生きるためにずいぶん無茶もしたものだが、そんな元気もとう・・・

1

最後の贈り物

19/03/17 コメント:2件 田辺 ふみ

「今から行ってもいいか?」
 んー、どうしよう。男二人がかち合ったりしたら、面倒くさいなあ。
「長い時間はいられないんだけど」
 それなら、大丈夫かな。
「ちょっと、プレゼントがあるんだ」
 お金、苦しいんじゃないの? まあ、いっか。
「うん、じゃあ、ユナ、楽しみに待ってるね」


「ユナはお金がかかるの。わかってる?」
 そう、わかって・・・

0

期日迫りし悩める乙女

19/03/17 コメント:1件 悠真

 彼の誕生日が目前に迫り、いよいよ万策尽きたので、思い切って訊いてみた。
 何か欲しいもの、ある?
「うーん、特にない」
 というわけで無駄でした。それどころかお前のセンスに任せる、期待してるって暗に言われた気がするのですが、余計にハードルが上がってませんか、気のせいですか。
 家族の誕生日は気恥ずかしくて何もしてこなかった親不孝者。ヘンナコ扱いされて誕生日を祝い合えるほど・・・

0

春を待つ

19/03/17 コメント:0件 ドーンヒル

 旅立ちの日というのは桜の花が舞い散る頃と決まっているのだろうか。今日は3月21日。無事に22回目の誕生日を迎えることが出来た。無事に、ということを少し強調しておこう。おじいちゃん、おばあちゃんになるまで生きるのが当たり前だと思ったらそれは大きな間違いである。何の変哲もない家族に愛され、今度は僕が新しい家族を作る。子供たちが新しい家族を作る。そう、仮想未来に生きる僕はおじいちゃんになって、花見を楽・・・

0

おくれるマシン

19/03/17 コメント:0件 悠真

 博士が作ったそれは、過去の同座標に紙を送れるというだけの代物で、タイムマシンとして満足のいかない出来だった。だがここまで時間をかけ過ぎた。自分の寿命がもう持たないことは明白だ。そこで博士はタイムマシンの設計図を過去へ送ることにした。それさえあれば、三年ほどで作れるはずだ。博士は、今が三年後だという嘘のメッセージと、データから紙に落とした設計図をマシンにスキャンしていく。

「博士、こ・・・

2

余計なプレゼント

19/03/17 コメント:2件 悠真

 食器類が片付けられた夜のテーブル。テーブルの上には一つの紙袋。紙袋を挟んで向かい合うように座る二人。二人は夫婦。
「あなた、ゲームなんてしないでしょう」口を開いたのは女。「どうして受け取ったの?」
 紙袋の中身は最新のゲーム機だった。空気が重たいのは、それが男の同僚である女性からの贈り物だと知れたからだった。
 仕事から帰宅した男が下げていた紙袋を見て、それどうしたの、と女が問・・・

2

つつむもの

19/03/17 コメント:4件 秋 ひのこ

 春松百貨店の入口に、3月末をもって閉店の貼紙が出たのは、新春初売りの初日のことだった。
 創業57年。開業当時は、客を根こそぎとられることを恐れた駅前商店街の猛反対にあったが、10年、20年と経つうちに地域のランドマークと化し、40年、50年で過疎化に伴い町の小売店がばたばたと消えゆく中、それでも住民を商店街につなぎとめる唯一の枷として、開業当時とは別の意味でその存在は「希望」となっていた・・・

0

スマホからのおくりもの

19/03/16 コメント:0件 鮎風 遊

 ところで皆さん、スマホを愛用されてますよね。時々おかしなことが起こりませんか?
 私の場合は、触った覚えがないのにマナーモードになっていたり、着メロが変わっていたりとかです。その上写真投稿サイトなんかは、勝手にフォロワーとして登録されていたりです。
 おっと挨拶が遅れました、私、本間慎一郎と申します。本日はこの小説投稿の機会を得て、私に起こったことを紹介させてもらいます。
 三・・・

0

座敷童子

19/03/15 コメント:1件 いっき

結婚後、久々に実家へ帰って来た。
妻と母は微笑ましいほど仲が良くて、僕の子供の頃の写真を引っ張り出して談笑し始めて。気恥ずかしくなった僕は庭へ出た。

穏やかな陽を浴びたタンポポに、真っ直ぐに生えるツクシ。故郷の春の風景に心が和んだ。しかし同時に、何か歯痒い想いも感じた。
何か、忘れてはいけないことを忘れてしまっているような想い。僕はツクシを見つめ、その『何か』を思い出そう・・・

0

セカンドバースデー

19/03/15 コメント:1件 若早称平

 教室に入るといつもと空気が違うのを感じた。クラスメイト達の私に対する視線がなんだかよそよそしい。妙な緊張感とともに鞄をおろして席に座ると数人の女子が私の席へと近付いてきた。みんな一様ににやにやしている。
「せーの、誕生日おめでとう!」
 その言葉を合図に私に向けられたクラッカーが一斉に音を立てた。少し遅れて教室のあちらこちらでもクラッカーが炸裂する。「びっくりしたでしょう?」と言って・・・

0

本当の兄弟になった日

19/03/15 コメント:2件 ポテトチップス

 新幹線の車窓からは、田園にまばらに建つ民家の明かりが時々見えた。
 車内で乗客の誰かが酒でも飲んでいるのか、酒臭い匂いが漂ってくる。剛志はなるべく車窓に顔を向け、隣に座る母から顔を背けていた。
「お腹空いてない?」
 母が言った。
 母といっても、剛志が生まれてすぐに男と駆け落ちした女である。父は生前、母のことを男好きな情婦だと、酒によっては剛志に言い聞かせていた。その時・・・

0

猫が嫌いな花屋の娘

19/03/14 コメント:2件 高月雫

ジョアンは、花屋の看板娘だった。
誰にでも優しくて、明るくて、誰からも好かれていた。
街で一番裕福な家に育った僕も、一目で恋に落ちた。

明るい金髪に、澄んだ空色の目・・・その目が寂しげだったのは、両親を早くに無くして、叔父と叔母に育てられ、そして少し貧しい生活をしていたせいだと思っていた。
でも、紹介された、叔父さんと叔母さんは、とてもいい人だった。
僕との結・・・

0

おそうしき

19/03/14 コメント:0件 海見みみみ

 おじいちゃんが しんだ。そうきいて ボクくんは ないしん したうちを しました。
 あしたは ずっと たのしみにしていた おくたまでの ツリに いく よていのひ。でも おじいちゃんが しんで あしたは おそうしき。ツリには いけません。
――なんで こんなときに しんだんだよ。おじいちゃんの バカ。
 ボクくんは そう こころのなかで つぶやきました。

 よくじつ・・・

0

母からの贈り物

19/03/13 コメント:1件 堀田実

 挨拶も早々に済ませると喪主である崇彦は生前の母との思い出をつらつらと並べ立てていく。ほとんどが身に覚えのない作り話だったが、何十人という聴衆を前にすると不思議と罪悪感は芽生えてこない。
 白けた気持ちになりながらも崇彦は目頭をぬぐい母との思い出話を終える。崇彦の話を真面目に聞く人たちは目に涙を浮かべている。おそらく母の人格者ぶりを思い返しているのだろう。母は旧来から外当たりがよく学校の婦人・・・

0

頼りないギフト

19/03/13 コメント:2件 海見みみみ

 光田レントは走っていた。あと一分で高校の校門が閉まる。このままでは遅刻だ。
 仕方なくレントは自身の顔をこねた。するとなんとレントの顔がみるみる変わっていく。
 校門はすでに閉まり、体育教師が前に立っている。そこにレントは恐る恐る近寄った。
「……登校中にケガをしてしまったッス。これって遅刻の取り消しにならないッスかね?」
 レントの顔を見て体育教師が悲鳴をあげる。その顔・・・

0

いらないプレゼント

19/03/13 コメント:0件 海見みみみ

 クリスマスイブの朝。タクヲくんはボクを抱え走っていました。
 ボクはタクヲくんが買ってくれたプレゼント。今は鮮やかな包装紙に包まれています。
 タクヲくんが走って探していると、ようやく想い人であるコマチさんを見つけました。
「あら、タクヲくん。どうしたの?」
「これ、よければ受け取ってもらえますか!」
 ボクが差し出されると、コマチさんは笑顔で受け取ります。同じく笑・・・

0

吸血鬼の僕ら

19/03/12 コメント:1件 hayakawa

 吸血鬼。僕は西洋の物語に出てくる存在を想像していたが、まさか自分が吸血鬼になるとは思っていなかった。
 高校の授業の始まり、僕は登校する。
「おはよー」
「おはよー」
 僕は友達が声をかけてきたので返事をする。
「宿題やった?」
「やってない」
 僕が座った前の席の同級生たちはそんな話をしている。
 僕は後ろを振り向き、親友でしかも女の玲奈に話しか・・・

0

おくりものがたり

19/03/11 コメント:3件 奈尚

 妹が駅まで送ってくれると言うので、ありがたく助手席に収まった。
 独特の香りが肺を浸す。車には各々特有の匂いがあるものだ。実家の車は、実家の車の匂いがする。
「終電まだある? あっち、随分と田舎なんでしょう」
「ああ」
 ここも大概だけどな。
 流れていく夜景をぼんやり眺めながら答える。久しく離れていた故郷の風景は、記憶のそれとは様変わりしていた。
 あんなに・・・

0

小さな幸せ

19/03/11 コメント:1件 hayakawa

 深夜の二時になっても眠りにつけないので、テレビを見ている時、一瞬この世界を疑った。それはこの世界は誰かが作り上げているもので、自分はその中で飼われているだけなのではないかということだった。
 やけに意識は鮮明で体に残る疲労が、心にくすぶる不安が自分を苛めている。スマートフォンのロックを解除し、メモ帳のアプリを開き、そこに「この世界は洗脳」と書いた。
 明日は大学院に通わなければならな・・・

0

消去していいですか?

19/03/10 コメント:2件 つつい つつ

休みの日になるとカメラを持って出かけた。どこにでもある安物のデジタルカメラ。町を歩き回り気になればシャッターを押す。
 文化住宅の軒先で積まれた雑誌、古びた洗面器、なにが植えてあるかわからない植木鉢。住宅街の奥まった場所の何年も人が使ってないようなさびれた公衆電話から伸びる影。通りを少し曲がったら出てくる汚いどぶ川に日が落ちてさらに澱みを増す様子。そんな撮る必要のない景色が好きだった。

0

等しいおくりもの

19/03/10 コメント:2件 naokiti

「本日から昼夜ずっと留守番電話にしています。電話に出ないとお父さんと決めました。用事の時は名前を言って下さい」
 母からのメールを見てどきりとした。振り込め詐欺やらオレオレ詐欺やら、それ以外でも様々な勧誘の電話が、かかってくることは聞いていた。ついに騙されたのか?
 私が両親の元へ帰るのがいいのかもしれない。兄妹で結婚していないのは私だけで、その上去年会社もやめてしまった。アラフォーか・・・

0

太陽から

19/03/09 コメント:0件 嶺 ナポレタン

太陽は、お届け先もお届け日もお届け時間帯も指定せず、幸せな気分になる光を与えてくれる。受け取り手が幸せを感じた瞬間にお届け完了というシステムだ。

私たちは太陽の会員なので、どれだけ受け取っても送料は必要ない。だから、何度でも幸せな気分になる光を受け取ることができる。

しかし、同じ会員であるのに、何度も幸せを感じる人もいれば、ほとんど感じない人もいる。

そこ・・・

0

哀しい贈り物

19/03/07 コメント:0件 デヴォン黒桃


 
 ──ただユックリと眠りたかった。脳内を駆け回る思考の種たちよ芽吹かないで呉れ──

 アナタと同じ速さで歩けたら、まだ側に居て呉れただろうか。

 ──傲慢──
 最後の夜に、罵倒を繰り返した、其れは胸が苦しかったから。自分の想いを伝えるのだけ必死で、愛したはずのアナタの心情を慮ることを置いてけぼりにして、劣情とも云える汚い言葉をぶつけた。ボクが求・・・

0

アナタヘノタンジョウビプレゼント

19/03/06 コメント:2件 比些志

ボクにとって彼女は女神そのものだ。陰りのある瞳、陶器のように滑らかな白肌、しなやかな体の動きに反して揺れる長い黒髪、時折見せる無邪気で無防備な笑顔と潤いに満ちた笑い声。すべてが愛おしく、そして眩しい。その姿は目をつぶっていても脳裏に思い浮かべることができる、などと言うとおそらくきっと笑われだろうが、ボクは気にしない。だって本気で彼女が好きなのだから。

ボクの望みはただ一つ。彼・・・

1

あなたからの贈り物

19/03/06 コメント:0件 ササオカタクヤ

毎年この季節がやってくるとあなたのことを思い出す。74歳になっても私の中であなたは輝き続けているの。
そんなあなたが亡くなってから、もう6年が経とうとしてる。息子たちから気遣ってもらいたくなくて、つい平気な素ぶりをしてしまうけど、本当は誰かに縋りたい気分になるの。一人でいることに慣れるどころか、日に日に寂しい気持ちが増してくるわ。

あなたは出逢ってすぐに結婚しようと言ってくれた・・・

0

黒猫のおくりもの

19/03/06 コメント:1件 吉岡幸一

 黒猫はいつも港近くの郵便局の前で昼寝をしていた。よく晴れた日はポストの上で、曇った日はポストの下で、雨の日は姿をみせない。いつもといっても黒猫が来るようになってまだ二月ほどにしかならない。
 サトシは小学校からの帰り道、黒猫をみつけては眺めていた。大半は寝ていたのでただ眺めるだけだが、起きているときはポケットから煮干しを出して与えたりしていた。
 かなり歳なのかもしれない。黒猫はおと・・・

1

贈る言葉

19/03/04 コメント:1件 浅月庵

 先生は今日お前らに、伝えたいことがある。輝かしい未来へと羽ばたくために非常に重要なことで、言うなれば“贈る言葉”ってやつだ。
 おいおい騒ぐな。羽山、五月蝿いぞ。え? 卒業式に言うならわかるけど、三年生の頭に贈る言葉だなんて、頭おかしいんじゃないかって? なーに、遠慮するなって。そうだ。羽山、順番はお前からにしようか。

 羽山お前さ、イケメンで成績優秀だなんて、天は二物を与え・・・

0

おばあちゃんからの手紙

19/03/04 コメント:0件 こぐまじゅんこ

 かんたくんのいえでは、おばあちゃんもいっしょにくらしています。
 かんたくんは、おばあちゃんがだいすき。
 保育園のおむかえも、いつもおばあちゃんがきてくれます。
 おばあちゃんは、かんたくんがもうすぐ年長さんになるので、なにかプレゼントをおくりたいなぁ、とおもっていました。
「いえに、いっしょにいるから、かんたくんにてがみをだしたことがなかったねぇ」
 おばあちゃ・・・

0

11光年でのプレゼント

19/03/03 コメント:2件 W・アーム・スープレックス

 ミサ隊員の顔が、妙にこわばっているのが気になった。
「無理もない」
  隊長のオクムラは、ひとりつぶやいた。
 ここは地球から11光年へだてた宇宙空間だった。我々惑星調査隊の搭乗する宇宙船はいま、いかなる人類も経験したことのない未知の領域にあるのだ。
 めざすは、赤色矮星の周囲をまわる惑星アルテミス。太陽系外で生物の生息する可能性のもっとも濃厚な惑星だった。生物学者のミサ・・・

1

ありえないプレゼント

19/02/27 コメント:1件 とむなお

3月24日のこと……
新宿区にある美術大学1年生のカナは、板橋区のKマンションに住んでいた。
彼女は、近くの横断歩道で困っていた老女を助けた。
感心した老女は、物陰にカナを誘うと、
「あなたはとても親切なので、これをプレゼントしましょう」
真珠のような玉が入った小袋を二つ、差し出し、
「一つはお友達に上げるといいわ」
そして、その玉の使い方を教えると、角を・・・

0

19/02/27 コメント:2件 W・アーム・スープレックス

「こんにちは」
 訪問者は丁寧に挨拶すると、応対に出た月波等の顔を、まじまじと見つめた。
 等は、ヤバイと思った。
 この男が宗教、または保険の勧誘にきたのなら、どうして断ればいいのかいまから案じる彼だった。だが相手が両腕でしっかり抱えている四角い箱をみると、相手が勧誘ではなく、何かのセールス目的なのを察して、なおさらヤバイと思った。それが新興宗教なら自分は仏教の信者で通せばいい・・・

0

ねずみ

19/02/27 コメント:1件 浅月庵

 午後十一時過ぎ。連日激務続きの私は、今日も残業を終えて独り暮らしの自宅に帰る。玄関扉を開けるやいなや、私は思わず鋭い悲鳴を上げたーー部屋のベッドの上で、何者かが倒れているのだ。
 私はその場で尻餅をついてしまうも、なんとか家を這い出てすぐさま110番をした。

 そして夜中から朝方にかけて警察から事情聴取を受けつつ、謎の人物の素性もその際に判明する。
 男の名前は横井忠文・・・

0

僕から未来のおくりもの

19/02/26 コメント:1件 273

一通の手紙が届いた。
今時手紙なんていう時代遅れの代物を寄越してくるのは、大概が年金を取り立ててくるお役所様か、大量の年賀状をコピーすることだけが生き甲斐の老人ぐらいだと思っていた。
しかし、その手紙は、僕の想像とは全く逆ベクトル、つまり未来から送られていた。
未来からの手紙?
小学生の頃に大嫌いで仕方なかった馬面の教師に強要され、20の自分に向けた手紙を書いたことはあるが・・・

0

君に花を

19/02/26 コメント:1件 文月めぐ

 あなたに贈ります、この花を

 水曜日の午後六時半。やはり今日も「あの人」はやってきた。
 スーツ姿でふわふわとパーマをかけた髪はハーフアップにくくっている。仕事終わりと見て間違いないだろう。
 彼女が買う花はいつも様々だ。カーネーションやガーベラ、ユリ。色も赤や黄、オレンジ、白と特に決まりはない。これは相当な花好きだろうと私は想像していた。私はこの人のことを勝手に「カ・・・

0

ミライ・ザ・チョッパー

19/02/26 コメント:2件 夏日 純希

大学で講義が終わると突然の雨。
傘がなければ不幸の始まり?
ううん、それはイケメンが傘を貸してくれない場合に限る。ふふん、そうよつまり不幸の始まり。
今日はだめかと、長いため息。用事がある日に限ってこれだ。とりあえず雨空にチョップしてみた。痛かったよ、なんか心の辺りが。
しばらくすると幸福が舞い降りた。
「傘、使うか?」
それは医学部のプリンス手塚君だ。経済学部・・・

0

尊き贈り物

19/02/24 コメント:2件 W・アーム・スープレックス

 迎撃用ミサイルがついに発射されずにおわったのには、理由があった。
 宇宙のかなたから飛来したそれが、隕石などの自然の物体でないのはその造形的な輪郭をみれば明らかだった。ゆっくりと日本の上空にまでたっしたとき、まっさきに迎撃反対をとなえたのは、じつに仏教界だった。空からまいおりてくるそれは、地上のいかなる仏像よりも貴いお姿をしている――多くの高層たちのそれが一致した見解だった。
 新聞・・・

0

ぷれぜんと

19/02/24 コメント:0件 こぐまじゅんこ

 はるくんは、三さい。
 だれかに、ぷれぜんとをあげたくてしかたがありません。
 
 かにさんに、おはなをあげました。
 でも、かにさんのハサミでチョキンときれてしまいました。
「はるくん、ごめん。せっかくくれたのに、もてないわ」
 かにさん、しょんぼり。
「ざんねん」
 
 はるくんは、こんどは、さかなくんに、アイスクリームをあげました。

0

神様からのおくりもの

19/02/23 コメント:2件 笹峰霧子

 母が勤めていた官庁を退職したのは72歳だったように記憶している。
母は医師だったので年齢制限はなかったがそろそろ休みたいと思ったのだろう。
母が退職した時、私は第一子の長女を出産していた。二年後に次女も生まれた。

 ワタシは家で中学生に勉強を教える仕事をしていたので昼間は暇だったが、
母が退職してからは二人の幼児は夕食まで母の部屋で過ごしていた。

 ・・・

0

おめでたい家族

19/02/23 コメント:2件 文月みつか

「母上様」
「何よ改まって気持ち悪い」
 食後のティータイムを楽しんでいるところに、長女の緑が現れた。
「こちら、デパ地下で手に入れた高級かりんとうでございます。ちょうどお茶の時間のころ合いのようだったので」
 「高級」のところを強く発音し、お菓子の袋をテーブルの端にうやうやしく乗せる。
「おかしいわね。これと同じものを近所のスーパーで見かけたことがあるんだけど」

4

宝島より愛をこめて

19/02/19 コメント:8件 クナリ

 少し昔の、ある田舎町の話だ。
 中学一年生の頃、僕はよく、近所のベーカリーに通っていた。
 南仏風の、穏やかで明るい造形。
 うちとはあまりにも違った。
 僕の家は町の誰よりも大きかったけれど、暖かい場所はひとつもなかった。

 店内のカウンタには川原祥子さんという二十代半ばの女の人がいつも立っていて、厨房ではその夫の剛健さんがパンを造っていた。
 傍目・・・

0

挨拶の品

19/02/19 コメント:2件 R・ヒラサワ

 半年ほど空いていた隣の部屋に、新しい住人がやって来たのは、日曜の午後の事だった。久々に私の部屋のチャイムが鳴ったのだ。
「ごめんください」
 ドアを開けて声の主を確かめてみると、それは二十代後半ぐらいと思しき綺麗な女性だった。
「すみません突然。私、隣に引越して来た者なんですが、ご挨拶にと」
「ああ、そうでしたか。それはご丁寧に」
 最近では引越しの挨拶も珍しくなっ・・・

0

GIFT

19/02/18 コメント:2件 R・ヒラサワ

 見覚えのある女の名で夫あての荷物が届いたのは、火曜日の夕方の事だった。アサミはその事が無ければ、今日が何の日か気付かなかった。夫であるタツヤの誕生日だ。
 結婚して九年目だった。お互い二度目で子供は居ない。日々を何となく過ごし、二人で出かける事も殆ど無くなった。それはタツヤが転職した事で、出費を抑える必要が出来たからだ。結婚して四年目の事だった。
 転職後、タツヤの仕事は順調だったが・・・

0

万年筆は語る

19/02/18 コメント:1件 霜月秋旻

 書きたいものが無い。何も浮かんでこなくなった。スランプだ。
 書斎で毎日、空白の原稿用紙と睨み合いをしているが、私の右手に握られた万年筆の筆先は、原稿用紙に触れることなく、ただ、インクが乾いていく。時だけが過ぎていく。トイレに入ってる間も食事の間も、アニメを観ている間もアイデアがちっとも浮かんできやしない。それを毎日繰り返す。四年前までは、人気小説家として何作も書けていたはずなのに。

ログイン