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  2. 第165回 時空モノガタリ文学賞 【 弾ける 】

第165回 時空モノガタリ文学賞 【 弾ける 】

今回のテーマは【弾ける】です。

恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

時空モノガタリ賞発表日:2019/03/25

※同一投稿者からのコンテストページへの投稿作品数は3作品とさせていただきます。
※R18的な暴力表現・性描写はお控えください。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。

ステータス 終了
コンテストカテゴリ
投稿期日 2019/01/21〜2019/02/18
投稿数 59 件
賞金 時空モノガタリ文学賞 5000円 ※複数受賞の場合あり
投稿上限文字数 2000
最大投稿数 3
総評

投稿済みの記事一覧

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弾ける笑顔の埠頭にて

19/02/18 コメント:0件 mokugyo

映画館の前で、弾けるような笑顔で君が待っていたんだ。

残念だったよ。水も弾くと言われるその肌がゆるむのを見て、僕の決心が鈍るからだ。

僕は、君を殺さなければならない。その使命を全うする為に君に近づいたんだ。だから、くだらない映画を一緒に観て夕食を食べたら、隙をうかがって君をハジキで撃ちぬいて死体を弾町一丁目に持っていかなければならないんだ。

だから頼むよ、・・・

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感情☆ドロップ

19/02/18 コメント:0件 ぐりのぐりこ

粉々に砕けた。破片が散った。彼女が叫んだ。
「ことばになんてできるわけないじゃんっっ」
私の頭の中で彼女のことばがぐるぐると駆け巡る。
ことば、コトバ、言葉、言羽、言刃、言破……。
ああ、そうかこれが――。
「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」
目の前の無数の色に取り込まれる。
「うん、そうだね」

この曖昧な関係にことばなどいらない。

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デビュー

19/02/18 コメント:0件 沓屋南実

 女性ピアニストは、それだけで注目を集める。それも小さな子どもだったら。曲芸師のようなピアニストにだけはすまい。音楽を深く理解し、表現できる一流の芸術家を目指すように、自らの意思で求めるように。ヴィークは、リハーサルを終え、支度を終えた娘のクララを感慨深く見つめていた。
 クララは、ピンクの裾の広がった薄桃色のドレス姿の自分を鏡に映してみる。長い黒髪を、ヘルテル家出入りの美容師に結い上げても・・・

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シャボン玉、はじけた

19/02/18 コメント:0件 青苔

 シャボン玉が、昔から好きだった。
 きらきら、ふわふわしているところが好きだった。こことは違う世界のようで好きだった。
 だから、シャボン玉の液を作る時から、わくわくしていた。
 ガスコンロの前に踏み台を持ってきて、その上に登って、鍋でお湯を沸かす。沸騰したら火を止めて、きちんと火が消えたかどうか確認する。これはとても大切なことだ。
 それから、コンロの脇に置いてある容器・・・

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サイダーガール(ズ)

19/02/18 コメント:0件 北 流亡

トラックが、朱に染まり始めていた。
タータンの茶色と刻まれた白線が曖昧になっていた。
遥香はそれを見て、何時間も観客席に居たことを自覚した。
ひたすらに、静かだった。
地面が蹴られる音も、槍が空を切る音も、何も無かった。
風が草を撫でる音。それだけがあった。
明日から、もうこのトラックで走ることは無い。「部活」という物語は、今日終わったのだ。
遥香は、スタ・・・

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雑草の実がはぜるように、生きてみたい

19/02/18 コメント:0件 冬垣ひなた

 午後の寒空には、粉雪がちらつき始める。6歳になる優菜の手を引いて、閑散とした公園の散歩道を歩く芹香は、しきりに足を止める娘を不思議に思う。
「何か気になる?」
「あのね、しあわせを探しているの」
 哲学的に語る娘のあどけない瞳に、瑞々しい光が宿っている。親馬鹿を承知で褒めるが、この子は芸術家肌なのかもしれない。先ほど絵画教室の無料レッスンを体験したところ、うっとりとした表情を浮・・・

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夏よ終わらないで

19/02/18 コメント:0件 糸井翼

「ねー、七瀬はそれでいいの?」
友だちは怖い顔をして私を見る。
「あの山田くんと二人でアイスを食べてたんでしょ」
「山田くんは幼なじみだから」
私は笑ってごまかす。この手の話題はあまり好きじゃない。山田くんにも失礼だから。
「山田くんが他の女に盗られていいの、ねえ」
「別に私のものじゃないでしょ、もー」
山田くんは幼なじみであり、私なんかにも優しくて、かっ・・・

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Frajile

19/02/18 コメント:0件 みや

キッチンで朝食の用意をしていると、十三歳の息子が二階から降りてきた。
「おはよう、ノエルにごはんをあげてくれる?」
息子は私の言葉を無視して冷蔵庫から牛乳を取り出しコップに注いでいる。
「聞こえてるの?ノエルにごはんをあげてって言ってるでしょ」
息子は更に私の言葉を無視して牛乳をゴクゴクと飲み干した。
「聞こえてるんでしょ!」
私は怒りにまかせて息子を怒鳴った。・・・

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スプリング ハズ カム

19/02/18 コメント:0件 そらの珊瑚

ここにいると季節がない。快適で、だけど虚しい。

 鏡を見る。いつのまに、こんなおばあさんになっちゃたんだろ、あたし。

 高級老人ホームっていったって、狭いワンルームに押し込められて、ああ、息が詰まりそう。
 たとえばここは宇宙船。機械が壊れたせいで、酸素が薄いからそっと息を吸うしかないのだ。どこへ向かっているんだろう。月、だろうか。月は地球より重力が弱いから、き・・・

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芸の為なら

19/02/18 コメント:2件 高月雫

大手得意先のA社の社長は、一見ヤクザのような風貌をしている。
風貌だけでなく、何か問題が発生すると大手メーカーのSだろうがTだろうが怒鳴り込みに行って相手先を謝らせたなどという武勇伝がまことしやかに流れている。

そのA社を担当していた課長が、商品手配を大幅にミスしたまま、突然、退職してしまった。
運悪く、課長の下にいた私が、担当せざるを得なかったが、無いものは無い。

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しゃぼん玉

19/02/18 コメント:0件 森音藍斗

 ゆっくり息を吹き込むと、それはふうっとふくらんで、虹色に輝いた。
 虹色は太陽の色で、だから、私は希望の七色が消えてしまわないように、だいじにだいじに育てたんだ。
 私の吐息を内側に宿して、透明な筈なのに輝くまんまるのしゃぼん玉は、まだストローの先にいて、そこから離れたらどうなってしまうのか怖がる私の臆病を他所に、独りで宙に飛び立っていった。
 風が当たらないように、壊れてしま・・・

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エナジードリンク「弾ける」

19/02/18 コメント:0件 小高まあな

 テンションをあげることが苦手だ。
 黄色い声を出すことができない。プレゼントは本当に嬉しいのに、他の子みたいな「嬉しい!」ってぴょんぴょん飛び跳ねるような反応ができない。サプライズに対応できなくて、相手を不愉快にさせてしまう。
 感情を弾けさせることが苦手なのだ。自分で言うのもどうかと思うが、私の中にはしっかりとした感情があるのに。情熱があるのに。それを、表に出せない。
 だか・・・

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復讐の板チョコ

19/02/18 コメント:0件 霜月 秋旻

 この高校一のイケメン教師と言われている速水ともみち。職員室にある彼の机の上に、三十個はあるだろうチョコレートがこんもりと乗っかっている。それに比べて齢六十近い薄毛の私は一個も貰えなかった。教師生活三十年、生徒から一個たりとも貰ったことが無かった。逆に凄くないか?義理チョコすら貰えないんだぞ?と誰かに問いかけたいくらいだ。
「いやぁ参ったなぁ毎年毎年こんなに!おやおやぁ?温水先生、もしかして・・・

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いつか爆ぜた心

19/02/17 コメント:1件 野々小花

 午後の授業を終えた教室は解放感に満ちている。
「誰か、立候補者はいないのか」
 担任が声を上げても何の反応もない。まだホームルーム中だというのに帰り支度に勤しむ者や、スマートフォンでオンラインゲームに興じている生徒もいる。
「仕方がないな。……杉里、お前、頼めるか」
 そう言いながら、一番前に座る生徒に視線を落とした。担任の申し訳なさそうな顔が、一番後ろの席に座る僕にもは・・・

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悪魔の夢はしゃぼん玉

19/02/17 コメント:0件 壬生乃サル

「オレ、天使になりたい!」
 魔界の王子・アックンが、突然そんなことを言い出しました。
「なんだと? きさま、血まようたか? わが大魔王の息子たるもの、この運命にあがらうことなど許されぬわ!」
 顔をまっかにして怒りをあらわにする大魔王に対して、アックンはあっけらかんとしています。
「悪魔なんて嫌われものじゃん。そもそもオレは次男だし。どうせ次の大魔王になるのは兄ちゃんなん・・・

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おばあちゃんが教えてくれたおはじき

19/02/17 コメント:1件 戸松有葉

 親戚一同からは「おばあちゃん」と呼ばれているが、厳密には子供らの祖母ではない。ともかく親戚間で「おばあちゃん」といえば、御年八十五歳のこの老女を指す。
 身体こそ小さくなってしまったが、目立った病気もなく、至って元気だ。温厚な性格と面倒見がいいことから、子供の親らからは有難がられている。
 子供も懐いているわけだが、現金なもので、ただ優しいだけで懐くわけではなかった。実利があるのだ。・・・

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手花火オフィス

19/02/17 コメント:1件 アシタバ

 日付が変わったというのに二人の社員が職場に残って残業と格闘を続けていた。明かりも控えめのオフィスでパソコンのタイピング音がカタカタと鳴り響く。ふとその音がやんでかわりに女の溜息がした。
「嗚呼、疲れた」
 椅子の軋む音、肩の骨を鳴らす音もする。
 それに呼応するかのように今度は書類をめくる音がとまり、もう一人、オフィスにいた男が分厚いファイルから目を離して、女に声をかけた。

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午後の魔法使いたち

19/02/17 コメント:1件 たま

 その子はいつも目を閉じて本を読むのだった。

 浅田祐子、年齢16歳。私が司書をしている猫又木市民図書館の常連だった。ほとんど毎日というか、雨の降らない日はかならずやって来て本をひらいている。私がそれに気づいたのはひと月ほど前のことだった。貸し出しカウンターから祐子がいつも腰かける椅子が見えた。図書室の北側は天井まで届くガラス張りになっていて祐子はいつも窓辺の椅子に腰かけて本をひらい・・・

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僕の恋は苦み100%

19/02/16 コメント:2件 ドーンヒル

 三番ホームは折り返しの下り列車を待つ人でごった返していた。けたたましい警笛を鳴らして列車が入線してくると、待ち人たちはすぐさまドア付近に群がる。一歩先に行くことで、次の数十分が大きく変わる。片道一時間かけて上京する登紀子も例外ではなかった。金曜日の4限はよく分からないが長い。そのため、ホームにたどり着いた時、列車は既に到着していて、多くの乗客を抱えている。一本乗り過ごせば確実に座れるのだが、生・・・

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未確認生物――弾けて、ヤツは、どこ行った

19/02/16 コメント:1件 鮎風 遊

 ゴールデンウィーク間近、私はこの長い休暇をどう過ごそうかと安アパートで一人思案にふけっていました。そんな時に未確認生物発見同好会のリーダーだった浩二から「直樹、暇だろ、とにかく会わないか?」とラインが入りました。
 久し振り、しかしこんな性急な誘いは、多分パンダ猫に勝る生物の捜索に付き合えということでしょう。だがこれで休みが埋まるかなと、OKと返しました。

 翌日居酒屋で、貧・・・

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じいちゃん、はじける

19/02/16 コメント:1件 田辺 ふみ

「なんだ、これ?」
 俺は思わず、声を上げた。
 目の前にあるのは、結婚式で花婿が着るような服。そうだ、タキシードだ。
 しかも、色はシルバーで光っている。
 ありえない。なんで、こんなものがじいちゃんの一人暮らしの家にあるんだ?
 ガチャ。
 家の鍵が開く音に俺は慌てて、玄関に行った。
「じいちゃん」
「なんだ、智史、もう、来てたのか」
「こ・・・

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じいちゃん、はじける

19/02/16 コメント:0件 

「なんだ、これ?」
 俺は思わず、声を上げた。
 目の前にあるのは、結婚式で花婿が着るような服。そうだ、タキシードだ。
 しかも、色はシルバーで光っている。
 ありえない。なんで、こんなものがじいちゃんの一人暮らしの家にあるんだ?
 ガチャ。
 家の鍵が開く音に俺は慌てて、玄関に行った。
「じいちゃん」
「なんだ、智史、もう、来てたのか」
「こ・・・

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炭酸使いのMくん

19/02/15 コメント:3件 待井小雨

「僕には炭酸飲料の泡を操る力がある」とクラスの地味男子・Mくんが言った時、誰もが何言ってんだコイツ、と思った。
「胃の中の泡を何倍にも膨らませて、それを僕の意思で弾けさせることができる」
 ボンッ、と爆発だ――という言葉に教室が静まったのはわずかのこと。
「何あれキモい」
 誰かのその言葉を契機に、あちこちから「キモい」の声が上がる。私も変な奴、と思いながら雑誌に視線を戻し・・・

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膨らんじゃった絶望

19/02/15 コメント:2件 繭虫

「クラスの男子、全員殺そう。」

放課後の教室で、箒を片手にミサキは呟いた。

「ンッフ。」

掃き掃除をしながらユウは妙な笑い声を上げる。

「わりと本気なんだけどな。」

――ミサキとユウ。二人は幼なじみで、小学校では親友だった。
今は、よくわからない。あまり口を利かなくなったな、とユウは感じている。
中学に上がってから、・・・

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恥を蹴ろ!

19/02/14 コメント:1件 ササオカタクヤ

昔じいちゃんが僕に教えてくれた「恥を蹴ろ」という言葉。誰にでも隔たりなく話すことができ、大勢の人の前に自ら出て発言できるじいちゃんとは違い、人前に出ることが大の苦手で人とコミュニケーションをとるのも緊張してしまう僕。じいちゃんが教えてくれた言葉を理解することはできなかった。

「島田くん、今度の文化祭でジュリエットやってよ」
僕に思いもよらない悲劇が起こる。学校行事の文化祭で僕は・・・

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硝子の心に爆弾発言

19/02/14 コメント:1件 蒼樹里緒

 ごく稀に、成長途中で心が硝子化する人間が生まれる。私もその一人だ。
 自分の精神状態が、野球ボールくらいの大きさの透明な結晶体となって現れる。頭の上に浮かぶそれは、誰の目にも見える。結晶体の形も人それぞれで、私の場合は星型だ。
 この怪奇現象は、他人への共感能力が高い子どもに限って発生するらしい。医学的にも科学/化学的にも、原因が解明されていない。
 月三回までと外出を制限され・・・

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響け、僕の愛の歌

19/02/14 コメント:0件 ジェームズボンバークライシス

1人の青年はモテていた。
高須と名乗るその彼は、僕の好きな女の子数人に愛されていた。
残念ながら、僕は高須くんのようにモテる男性にはなれない。
だから、僕はその好きな女の子の中でも一番好きな女の子のために10曲の歌を作った。

愛の歌、その曲は彼女の胸に響くのだろうか。
僕の書いた愛の歌「詩」は、彼女に届くのだろうか。その不安、僕は拭いきれないでいた。
<・・・

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爆発ピアノ

19/02/13 コメント:4件 腹時計

 結婚なんて、死んでもしたくないなあと、ココロの中で思っている。
 そんなあたしは、小学六年生だ。ふつう、こんなこと考える必要なんてない。ウェディングドレスにあこがれを抱く友達はいても、「死んでも結婚したくないなあ」とか言う友達はいない。
 どうして結婚なんてするのだろう。好きだから? だったら、どうしてケンカするのだろう? どうして離婚もせずにケンカばっかりしているのだろう?
・・・

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モテバブル崩壊

19/02/13 コメント:3件 若早称平

 校門をくぐるその瞬間に、彼は無言で私に手紙を押し付けてそのまま走り去っていった。見かけない顔だったので一年生かもしれない。
「お前またラブレターもらったのかよ? マジですげーな」
 幼馴染みの真治がからかい半分に後ろから覗き込む。それに気付いた私はさっと手紙を制服のポケットにしまった。
「見てたの?」
「一部始終な」
 真治が白い歯を見せる。私は恥ずかしさで自分が赤・・・

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雨つぶ

19/02/13 コメント:1件 吉岡幸一

 午後になってようやく雨があがった。三日間降り続いた雨は大気を浄化し梅の香りにも色をつけている。空たかく舞うやせたトビの姿もはっきりとして、木の葉をはこぶ風にも影が写るようだった。
 軒下から雨粒が一滴一滴間を開けながら落ちていた。ブリキ製のバケツの底に雨粒はぶつかっては弾けている。耳を澄ませても聞き取れないほどの透明な音をたて、小さな一滴をさらに小さく何滴も扇状にわけてバケツの底にひろがっ・・・

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悩みのループ

19/02/11 コメント:2件 naokiti

 私、森に住むリスでございます。職業はカウンセラーで、お客様は森に住む動物の方々。動物だって悩むことはありますよ。お話をじっくりお聞きして、解決方法のご提案をさせて頂いております。
 と言いましても、ほとんどの方は、解決方法をご自分でお持ちですね。お悩みをお聞きする中で、見え隠れする解決策にお気づきになるよう、誘導させて頂くのがほとんどですから。お話するだけで、ご自分の中で整理がついて、次の・・・

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炭酸飲料飲んでくれない!

19/02/11 コメント:1件 ササオカタクヤ

こんなチャンスこれから何度訪れるか!きっと数えるほどしかないはずだ。でもこのチャンスが失敗に終わったら二度とチャンスはやってこないだろうし、後戻りができなくなる。このまま今の状態を保った方が幸せなのかもしれない。しかし僕は考えがまとまらずに口走る。
「もう少し!…もう…少し話さない?」
僕の頭上に神様と悪魔がいたとしたら、きっと神様は「あー!それはダメー!」と言っているだろう。チャンス・・・

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しょうらいのゆめ

19/02/10 コメント:2件 つつい つつ

 頭からふとんを被り、縮こまっていた。
 ゴンッ! ゴンッ! ゴンッ!
 鳴っていないはずの音が頭の中で響き渡った。その度に体がビクッと硬直した。僕はさらに耳を手で塞いだ。
 アパートのドアを慌ただしく開ける音がすると、父さんが大声で喚き散らす声が聞こえた。
「お前ら、何寝てんだ。こっちは仕事して帰ってきたんだぞ!」
 僕は怖くて父さんが帰ってくるまで寝たことなんて一・・・

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19/02/10 コメント:3件 ひーろ

「わたし、雨が大っ嫌いなの」
 これが、勇気を振り絞って告白した直後の、彼女の第一声。
「雨の日なんかは機嫌悪くなるけど、平気?」
 付き合い始めてから、ぼくは、少しずつその言葉の意味を実感していくこととなる。ある夏の休日。おいしい冷やし中華食べたいね、なんて話をして、店を予約までしていたにも拘わらず、予報外れの雨を理由に、外食は中止となった。湿気でくるくるした髪を掻きむしる彼女・・・

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いつか咲ける日

19/02/09 コメント:2件 宮下 倖

 昇降口の奥の角を折れると、渡り廊下から吹きこんでくる風はもうだいぶ秋の冷たさを含んでいた。重かった足取りがついに止まる。
 私は渡り廊下の向こうに見える中庭に視線をめぐらせてため息をついた。
 ついこのあいだ高校受験を終えたばかりのような気がしているのに、もう大学受験の話だなんて早過ぎる。いや、高二の秋を迎えているのだから当然か。私がぐずぐずと思い悩んでいるからそんな気もちになってし・・・

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私の可愛い弟くん

19/02/09 コメント:3件 浅月庵

 弟の優弥が私の部屋を訪れて「○○デビュー」するって、ちょっと勿体ぶってから言ったのに、私は「○○」の部分が聞きとれなくて、この子って音楽の才能や文才なんてあったっけ?と困惑する。
「よく頑張ったね! おめでとう」
「お姉ちゃん。頑張るのはこれからだよ」
 あらら。私が手探りで行なった反応は、どうやら間違いだったらしい。

 それで詳しい事情を訊けば、中学校を卒業して・・・

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ギルティキッス

19/02/08 コメント:0件 嶺 ナポレタン

夕陽が差し込む電車の中、慎介の向かい側に、ビニール袋を持った汚ならしいおじいさんが座った。

そのおじいさんは、足元に転がっている銀の玉に気づき、まず足で玉を寄せ、それから指で拾い上げ、まじまじと玉を見つめた。慎介はその様子に嫌悪感を覚えた。

おじいさんは長い間その玉を見つめ続けた後、それをビニール袋に入れた。しかしすぐに取り出しまた見つめ始めた。そして次の瞬間、飲み込ん・・・

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ふたたび帰らぬ思い出

19/02/08 コメント:4件 笹峰霧子

 三十年前まで住んでいた生家の裏山はわがやの植物の宝庫だった。もう国道建設の為に無くなっている景色だが私の瞼にはありありと浮かぶ。
 家の裏には狭い空き地と畑があり水路を挟んで細い道が頂上まで続いていた。最初に目に入るのは細道の片側の山の斜面にある数本の栗の木。
 秋になると栗の木の下に小粒の栗がぱらぱらと落ちて毎朝籠一杯ほど採れた。イガごと落ちているのもあってイガが弾けて中から栗の実・・・

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夏、弾ける

19/02/07 コメント:1件 文月めぐ

 自転車のペダルをぐっと踏み込む。洋美と香は電車で来るから、駅で待ち合わせをすることになった。花火は八時からで、待ち合わせは七時。腕時計にちらりと視線をやると、ちょうど七時を差していた。ここに来て長い踏切に引っかかってしまった。これはついてない。耳の前を流れる汗を手の甲でぬぐう。私はぱたぱたと手でかすかな風を送った。その時。
「田島?」
 後ろから名前を呼ばれた。振り返らなくても声だけ・・・

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美しい姉妹

19/02/07 コメント:5件 秋 ひのこ

 姉が笑うと、きらきらまばゆいものがぱっと飛び散る。
 ひまわりみたい、太陽のよう。大人は姉の弾ける笑顔に目を細めた。
 母以外は。
 3つ上の姉は、母曰く「顔の造形に難あり」な子供だった。小粒な目を細め、潰れていびつな鼻の下で、妙に突き出た薄い唇の奥からガタガタの歯を見せて笑う姉に、美しい母は、「不細工が笑うと惨めで痛々しい」と、蔑むように口の端を少し持ち上げる。そして、「ねー・・・

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ポップコーン

19/02/06 コメント:0件 こぐまじゅんこ

 まこちゃんは、五さい。
 おかあさんが、
「きょうのおやつは、ポップコーンをつくるわよ」
といって、はりきっています。
「これ、みて。とうもろこしをかんそうさせたつぶなんだよ」
「これで、できるの?」
「そうよ」
 おかあさんは、フライパンをだしました。
 とうもろこしのつぶとバターをいっしょにフライパンにいれて火をつけました。
「ふたをして・・・

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その花は、さっきより少し鮮やかに見えた

19/02/03 コメント:1件 陽川 文実

 ゆるやかな坂を上った先に、その神社はある。鳥居から続く常は暗い森が、今日はたくさんの提灯に照らされて、さながら異世界への入り口だ。
「うわぁー! 今年もキレイだねー!」
 今にも飛び出しそうな彼女の華奢な手を強めに握る。万一転んだりされてはたまったものではない。少し息が上がった彼女の背を撫でてやる。浴衣のさらさらとした手触りが心地良かった。
 彼女と並んで、境内の道をゆっく・・・

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19/01/31 コメント:2件 64GB

 墨の中 仏の姿探すとも 十重二十重と 今日も生きれり

 この村に来て一年、いつの間にか私は一丈(約3メートル)の土中に生きたまま仏になるために座り、読経し瞑想している。目を開けて見える暗黒は、目を瞑っているよりも暗い。

「てめえが仏? てめえだって鬼か畜生だろうが!」
 暗闇から現れた男はかつて廻船問屋の番頭で、私が殺した男だ。私は彼の罪を被って縄を打たれた。私・・・

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ぽんっ

19/01/31 コメント:4件 井川林檎

 「それで。検査結果によっては、おろすの」

 台所は明るかった。麦茶を飲みながら、わたしはぼそりと、おろしたくないんだけど、と、答えた。
 
 胎動らしいものは未だ感じない。本当にここにいるのだろうかという疑問は、激しい悪阻によって、力づくで納得させられた。こどもがここに宿っているという事実は、強く、確実に、わたしを苛んだ。
 検査結果が出るのは、おなかがもっと出て・・・

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おつかい だいじょうぶ?

19/01/29 コメント:0件 こぐまじゅんこ

 あんずちゃんが、おつかいにいきます。

 あんずちゃんのうしろから、くるまが、
 ぶーぶー
 はなをならしてはしってきます。
 キーッ
 くるまは、きゅうブレーキをかけました。
「あぶないなぁ。みちのまんなかをあるいちゃだめだよ」
「ごめんなさい」
 あんずちゃんはぺこりとあたまをさげました。
「こんどはきをつけようっと」
 あん・・・

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防弾スプレー

19/01/28 コメント:1件 戸松有葉

 防御こそ最大の軍事力!
 攻撃力を突き詰めても、強過ぎて戦略兵器としての役割になってしまい、使用はできない。あるいは、攻撃は先制で行わねば国民を守れないが、その理由を作るのが難しい。
 ならば極めるべきは防御だ。
 ミサイル迎撃システムに代表されるように、防御用のものであっても、パワーバランスを崩す懸念で反発されるものはある。しかし一方で核シェルターを用意することまでは阻止され・・・

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風船のものがたり

19/01/27 コメント:4件 白*haku

 自転車の空気入れで、ぼくは赤い風船を膨らませていた。シュウッ、シュウッっと行き場をなくした空気は赤色のゴムを押し広げ、その色は徐々に白く薄くなっていく。
「風船なんか売れるものか。夢を売ってるつもりか」
 目の前にひとりの少年が立っていた。道行く人の目がぼくに向けられた。
「そんなもの誰も買いやしない。この美しい街並みに、子どもだましの代物は似つかわしくない」
 見苦しい・・・

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放課後の音楽室

19/01/27 コメント:1件 うたかた

 それは金曜日、校舎中にチャイムが鳴り響く。短いホームルームで先生のくだらないダジャレを聞いたところで放課。
 僕は音楽室へ向かった。実は今日は考査の一週間前、部活動はどこも休みだから早く帰らないと見回りの先生に叱られる。
「おい、危ないだろ。廊下は走るなって――」
「すみません!」
 角で冬場なのに汗を垂らす生徒指導の先生とぶつかりそうになったが、それも華麗にかわし、階段・・・

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神の指

19/01/26 コメント:4件 七原 紗亜弥

彼女は、一度耳にした曲なら全て正確に弾くことが出来た。ピアノも、ギターも、琴も、どんな楽器も弾ける上に、勿論アレンジを加える事も出来た。

誰もが彼女が鍵盤をはじくその音色に魅了され、彼女は天才的ピアニストとして、世界に名を馳せていた。

そんな彼女の家系には秘密があった。生まれてから一生の間に三つだけ、なんでも願いを叶えることが出来ると言うものだった。

彼女・・・

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おんな八十なかば、はじけちゃう

19/01/23 コメント:4件 W・アーム・スープレックス

「栗山さんの、お婆さん――本人の前でお婆さんなんていったら、怒られるわね――、またいちだんとお若くなられて、あれで八十なかばだなんて、とても信じられないわ」
「ほんと。あたしより三十年上というのに、うちのバカ亭主ったら、お前より若くみえるなんていうのよ」
 と、たまたま街角ででくわした近所の奥さんたちが、いつおわるともない立話の話題となっているのは、このすぐむこうにすむ栗山という、五年・・・

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ハッシュ

19/01/23 コメント:2件 村沢走

 深閑たる平原を抜けると、其処に湖は在って、二人は水上ボートの横に着く。「乗ろうか」「云」。と呟き合って、其の日二回目のチャンスが来る。僕は、美織ちゃんの手を引くと、漫ろ足になって、湖を渡る。――美織ちゃんは、クラスのマドンナだった。斯うしてデート出来たのも、小百合の御蔭であった。小足払いにも似た衝撃で、ぐらりとボートが揺れる。僕は、「きゃ」と残した美織ちゃんを支え、船着場の板を愛でた。有り難う。・・・

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ドゥ・ジ・エヴォリューション

19/01/23 コメント:2件 村沢走

 大食い選手権なんて、出れるだけ凄いと思うが、家の彼女は格が違った。エビチリ四人前を完食しデザートにパフェを食べる。其れも一人で。僕は、隣で「凄いな」と述べると、自分のパフェを注文した。鍋奉行なんて流行らないと思うが、其れでも千穂は熱心だった。「嗚呼。tv出る様な人はね……格が違うのよ。格が……っ!!」とは、彼女の弁である。僕はパフェを食べ終えると、其の足で会計を済ませ、金額に仰天した。モツ鍋って・・・

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フィックス・ユー

19/01/23 コメント:2件 村沢走

 女だてらに格闘技なんて遣るからには、其れなりの理由が有る筈だった。彼女の実家は御菓子屋さんを営んでいて、葛切り、桜餅、大福が絶品である。地域の振興新聞にも載った店であった。御嬢様とチアリーダーの二足の草鞋なんて、其れだけで嫌になってしまいそうな物だが、此いつの場合は格が違った。田中単十六歳。杉の実高校二年生の生徒会長である。ツインテールが弾け、「フレッ!! フレッ!! 加治木っ!!」なんて聞こえ・・・

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メロンソーダでよろしいですね

19/01/22 コメント:4件 悠真

 着々と客を捌く店員。
「次のお客様、どうぞー」
 呼ばれて前に出た客は注文カウンターのメニューの上で視線を泳がせる。
「この弾けるメロンソーダは何ですか?」客は尋ねた。
「何、とは?」
「他の店だとメロンソーダなんですけど、ここでは弾けるメロンソーダだったので」
「いえ、これはですね、その、他の店とは一味違うぞっていうのを、こう、名前でアピールしてるんです」<・・・

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獣の別名

19/01/21 コメント:4件 クナリ

 高校二年の十二月。放課後の、人影のない帰路で、クラスメイトのホナミが私に言った。
「ハルノ。あなた、エクスプローダだよね」
「違うと思うけど」
「絶対そうだよ。私、お兄ちゃんがそうだから分かるの」
「やめてよ」
「試してみればいいよ。ほら、あそこに野良猫がいるでしょう。手をかざして」
 ホナミが私の手を掲げる。三メートルほど先の路地にいる猫に掌を向けさせられた・・・

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シャボン玉 ♪♪

19/01/21 コメント:2件 風宮 雅俊

 ストローをシャボン液が垂れないように慎重に口に運ぶと、ゆっくり大きく息を吹き込んだ。

 みるみる、シャボン玉が大きく膨らんでいった。
 今までで一番大きく膨らんでいった。
「ママ。おっきいシャボン玉、できたぁ」
 娘の喜ぶ顔に、ママは笑顔で答えた。

     〜 ・ 〜

 大きな物の時間はゆっくりと流れ、小さな物の時間は早く進む。

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星のおまつり

19/01/21 コメント:0件 こぐまじゅんこ

 ちらちら雪のふる夜です。
 ももちゃんとおばあちゃんが、ふとんにはいってねようとしていました。
 でも、ももちゃんはねるのがきらいです。
 だって、こわいゆめをみるから……。
 なかなかねむれずにいたら、
 パチパチパチ
 なにかがはじけるような音がします。
「なぁに?」
 ももちゃんとおばあちゃんは、みみをすませました。
 パチパチパチ

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冤罪のない国

19/01/21 コメント:1件 戸松有葉

「不当逮捕だ! 大使館に連絡しろ!」
 その国を訪れた外国人は、拘束されてからずっとそう訴えているのだが、勝手に国選弁護人が付くのみだった。
「なんて国だ。冤罪のない世界で唯一の国という話も聞いたのに」
「はい、我が国に冤罪はありません」弁護士は事もなげに言う。「あなたの覚せい剤所持や使用も冤罪ではありません」
「冤罪だ! 私はそんなことをしていない!」
「存じていま・・・

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虹色

19/01/21 コメント:4件 R・ヒラサワ

 虹色をした球体はタケルの手からわずか数十センチの距離で、パッっと弾けて空へと消えた。
 カメラを構えたままのタケルは、モニターとナオミの顔を交互に見た。そしてナオミと目が合った。
「ねえ、タケル。やっぱ無理なんじゃない?」
「そんな事ないよ、絶対に出来る。いや、撮りたいんだ」
「だって、シャボン玉は飛んでるんだよ。で、私はここでじっとしてるの。だからタケルは動かなきゃいけ・・・

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