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第164回 時空モノガタリ文学賞 【 着地 】

今回のテーマは【着地】です。

恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

時空モノガタリ賞発表日:2019/02/25

※同一投稿者からのコンテストページへの投稿作品数は3作品とさせていただきます。
※R18的な暴力表現・性描写はお控えください。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。

ステータス 募集中
コンテストカテゴリ
投稿期日 2018/12/24〜2019/01/21
投稿数 37 件
賞金 時空モノガタリ文学賞 5000円 ※複数受賞の場合あり
投稿上限文字数 2000
最大投稿数 3
総評

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投稿済みの記事一覧

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エレベーター

19/01/19 コメント:0件 64GB

 オレは今エレベーターホールを真っ逆さまに落ちている。

 えっ?ぶつかる瞬間にジャンプしろって?

 おいおい何キロで落ちていると思っているんだい?慣性の法則っていうのがあるんだぜ。仮にどんぴしゃりのタイミングで飛べたとしても、垂直飛びで40メートル以上の記録の持ち主でもない限り助かるのは無理ってもんだ。オレはノミじゃないからね。だいたい無重力でジャンプするのはほぼ無理な・・・

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そして、動き出す

19/01/18 コメント:1件 若早称平

 ドラえもんが靴を履かないのは少し宙に浮いているからだ。そう教えてくれたのはたしか中学時代の同級生だったと思う。それを聞いて俺と同じだな、と思った。
 ほんの少しだけ、数センチ宙に浮くことができるようになったきっかけをもう覚えていない。ただ人に話したら研究所に連れて行かれて一生人体実験をされるという恐怖心があったのはよく覚えている。この能力をどう使おうか悩み、人にバレたらどうしようと悩み、高・・・

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上だけの世界 〜いつ着地するのか?〜

19/01/15 コメント:2件 とむなお

 
 ウツウツ……とした気分で、僕は目を開けた。 
 すると僕は、どこかの建物の外に設置された階段の踊り場に倒れていた。
 フラフラ……建物の壁をはうように、僕は体を起こした。
 手擦りは無いが、上の階の踊り場には黒いドアが見える。
 そのまま視線を外にやると、遥か向こうに、エベレストのような高山が見えた。
 次に真下を見ると、雲海のように遥か遠くまで雲がつづい・・・

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着地失敗

19/01/10 コメント:3件 W・アーム・スープレックス

 惑星探査ロケット『クマタカ』は、その名のとおり鳥のように軽やかに地面を離れると、上空高く舞い上がっていった。めざすは地球から3万キロへだてた宇宙空間にうかぶ小惑星『ONIGASIMA』だった。
 『クマタカ』が無事離陸した瞬間、管制室でおおきな歓声があがった。だれよりよろこんだのはプロジェクトチームの主任であるサユリ・チャイカだった。彼女は精神分析医の権威でありまた、超能力研究においてもそ・・・

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田中

19/01/06 コメント:3件 

田中にはいつにもまして自信があった。この高さから飛び降りれば生きる見込みはない。いままで何度も自殺未遂を試みては失敗を繰り返し、首の皮一枚で生きてこられた。実際には死にきれるだけの度胸がなかっただけなのだが、彼のとってみればそんな事実はお構い無し、自殺を試みたということ自体が勲章なのであった。
なのしろ生まれてからこのかた母以外に人に誉められたという経験がなく、才能がなく、努力する気力さえな・・・

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パラシュート部隊

19/01/09 コメント:0件 デヴォン黒桃

  西日差し込む窓の側。突然の目眩に襲われて、膝から崩れ落ちて床にうつ伏せにバタリと倒れた身体。薄れゆく意識の中に見えたモノは、リンゴ程のサイズの小さなパラシュートを装着し、手の平に乗りそうな小さい人の形をしたナニカがユラユラと舞い降りてくる光景であった。

 小さな手足をバタバタさせて俺の太ももに降り立ったナニカは、パラシュートを畳み、背中からロープのようなものを取り出して俺の太もも・・・

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使命

19/01/09 コメント:0件 ri


 わたしたちは金色の果実しかたべない。わたしたちはよくうたう。わたしたちはよくねむる。そして、わたしたちはほほ笑む。いかなるときも。
 わたしたちは菩提樹からうまれた。わたしたちはそれを父とよび、愛している。ヒトはよきおこないをするとわたしたちのせかいでいきることができると考えるようだが、それはちがう。わたしたちは父からうみおとされた実にすぎない。
わたしたちの寿命はみじかい。・・・

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交響曲異譚

19/01/06 コメント:2件 三明治

 時は文化5年と申しますので19世紀初頭1808年、処はヨーロッパ音楽の都ウィーンでこと。
後の世になりまして<楽聖>とあがめ奉られますところの、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン、このとき男盛りの38歳。石造りの安アパートメントの一室で、肖像画で有名な、あの逆立ったモジャモジャ頭を掻きむしりながら、ピアノの前でガマ蛙のごとく脂汗をタラリ、タラ〜リと流し、苦悶の表情を浮かべ何やらブツブツと・・・

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異能力窮鼠

19/01/06 コメント:1件 悠真

 数十分前に死を覚悟したつもりだったが、いざ目前に迫ると、そんな覚悟は所詮形だけだったのだと、自分の生への執着心の強さを思い知らされるのだった。
 事実、漫画みたいに突然特殊な力に目覚めて退屈な現実から抜け出したいと言う夢想を常々抱いていた。そしてそれは叶った。どういう経緯でそうなったのか、つい先刻のことなのでまだ俺の頭が追いつけていないが、とにかく俺は能力を手にした。他の能力者と戦うトーナ・・・

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未来人田中

19/01/05 コメント:2件 

田中はいつにも増して憂いていた。なぜならいつまで経っても車が動かなかったからだ。車といっても多くの人が考え想像するような車ではなく、人間で作られた車であるという点を除けば確かに普通の車であることに違いはなかった。が、ここは100年後の日本であるのでそんなことも有りうるのだ。
なぜ100年もの間でこんなにも世界が変わってしまうのだろう、きっと多くの人がそう思うに違いない。なぜなら2019年の日・・・

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月への行き方

19/01/05 コメント:1件 miccho

 ヘルメットの中の乾いた呼吸音だけが、一定のリズムで鼓膜をかすかに震わせている。服というよりは装置と呼んだ方がふさわしい大層な代物を身に着けているはずだが、想像していた以上の浮遊感があり、心が踊った。歩くたびに、あとを追いかけるように灰色の足跡が刻まれていった。 
「ユウ、どうだ、初めての月面着陸は」
 ヘッドセットに内蔵された通信機からクルーの耳慣れた声が届いた。
(兄貴も俺の・・・

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かぜこんこん

19/01/05 コメント:0件 こぐまじゅんこ

「はるくん、きょうはちょっとだるそうだね。はやくねようか。」
 ばあちゃんは、はるくんをふとんにねかせました。
「まだ、あそびたいなぁ……」
 はるくんは、ぐずぐずいっています。
 ことことことん
 まどのそとでおとがしました。
 ばあちゃんは、みみをすませました。
 それからすぐに、はるくんの目をふさぎました。
「たいへん、たいへん。かぜこんこんが・・・

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恋は落とし穴

19/01/04 コメント:1件 浅月庵

 俺の周りにはキュートな女の子がいっぱいいるので、みんなのことが好きになる。それで手当たり次第女神たちに告白しまくるけど玉砕続きで、だけど次々気になる子が出てくるもんだから、ずーーーっと幸せ。

 そんな思考回路が周りから見れば結構キツいみたいで、実際一人の女の子に人間性を咎められる。
「ちょっと頭おかしいんじゃないの」
 菱山時子。大学のサークルとバイト先が一緒で、家の方・・・

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着地狩り

19/01/04 コメント:1件 越百まひろ

 着地狩りがまず基本だ。
 最初にも言ったように移動にはブーストを消費する。そして着地時にブーストゲージは回復する。
 ブーストを消費すればするほどゲージの回復に時間がかかり、着地した時の隙が大きくなる。だから相手が着地する瞬間に合わせて射撃武器を撃ったり、近ければ格闘武器を振ったりしてダメージを取る。それが着地狩り。
 そこで問題、どうやって相手にブーストを消費させるか。

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ワンシーンの代役

19/01/04 コメント:2件 悠真

 撮影は十秒にも満たない一瞬の着地シーン。映るのも腰より下の足元だけ。先輩の体調不良は心配だが、初めて本番の現場でスタントに臨める機会を得られた。後は俺がきっちりスタントを決めるのみ。
 なのだが。
 俺はすでに五回もその着地シーンの撮り直しをさせられていた。撮影のたびに建物の屋上に上がらなければならない。
 監督は先輩のスタントにかなりの信頼を置いていたようで、突然代わりに現場・・・

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ある方法

19/01/04 コメント:5件 蹴沢缶九郎

ある男が、ビルの高層階からエレベーターに乗り込んだ。男は自分の降りる階である一階のボタンを押し、自分以外に誰もエレベーターに乗り込んでくる者がいない事を確認すると、『閉』ボタンを押した。ドアが閉まり、完全に密室となったエレベーターは、男一人を乗せ、ゆっくりと下降を始めた。
ドアの対面が外の風景を見渡せるガラス張りになっている訳でもないエレベーター内で、男は何をするでもなく、暇潰しにドアの右側・・・

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回収とそれに至る道筋の試行錯誤

19/01/03 コメント:1件 悠真

 男は女を少しでも楽しませたい一心なのか、あれこれたわいもない話を繰り広げているが、女は「へえ」とか「ふうん」とたまに適当な相槌を挟むだけで、退屈しているのは明らかだった。
 二人は森の中を歩いている。歩きながらできることなど会話以外にないのだからと、男は趣味のマラソンの話を続ける。いくら女の反応が悪いからといって、ここで口を止めては負けを認めたことになるとでも思っているのか。女にしてみれば・・・

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飛び降りて、飛び上がり、着地する

19/01/03 コメント:1件 吉岡幸一

 女は今まさに超高層ビルの屋上から飛び降りようとしていた。
 ビルの屋上には強い風が吹いていた。女は靴を脱いでビルの端に立っている。足が震え、手に力がはいらなかった。
 霧と雲に覆われて地上は見ることができなかった。下がどうなっているのかわからない。きっとビルの下だからコンクリートの地面があるだろう。打ち付けられれば死に損なうなんてことはないはずだ。ここから飛び降りれば確実に死ぬことが・・・

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時を紡ぐ悠久の奇跡

19/01/02 コメント:2件 邑生ゆじ

「今度はボクの番だって、生まれた時からわかっていたことだから」
 そう呟いた穏やかな笑みの中にいくつもの感情が混じり合う。それは抗えない運命への諦念であり、己の存在が消えることへの怖れでもある。そして何より、自分の最期を見届ける兄たちが既に無いことへの哀しみと、役目を果たした三百六十四人の兄たちと同じ場所へ行けることへの安堵でもあった。
「ボクが在るのは兄さんたちのおかげだ。見てて、き・・・

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しりとり

19/01/02 コメント:2件  紫金曜日


 病院から帰る途中、母は幼い僕を連れて映画館に寄った。
 片田舎のさびれた古い小さな映画館。
 窓口の前に立っていた色の白いやせた若い男からチケットを買い母はトイレに入って行った。
 タイツが伝線したからさっき買ったのに履き替えてくる、と言い残して。
 とにかくどこへ行くにも何をするにも長く待たせるのが倣いの母だったので、僕は待つのには慣れていた。
 ポイント・・・

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Like the Zombie

19/01/01 コメント:2件 64GB

 ゾンビのように男が歩いている。
 夕方のNYの路地を焦点が定まらずに下唇一杯によだれを溜めて、ズルズルと歩いている。全米で55万人以上いるホームレスの一人が日本人観光客のグループの目にとまった。
「あれ見てください!あのまま歩いて行ったら街灯にぶつかりますよ」
「本当だ!完全に前見てないよね」
 彼らの予想通りその男は頭を柱に打ちつけた。痛がるかと思ったが、なんと頭を柱に・・・

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深淵への旅

18/12/31 コメント:1件 マサフト

“これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である”

沈みゆく中ふと頭に浮かんだのは、世界一有名な宇宙飛行士の歴史的名言だった。当時の彼の状況と今の私の状況は似ている。確かに似ている。私が小さな一歩を踏み出すことは許されないことを除いては。

忌々しいほどに狭苦しい座席に縮こまって座り、うなだれるように眼前の丸窓と計器類を交互に凝視する。沈・・・

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進めない着地

18/12/30 コメント:1件 うたかた

 そのとき僕は、白くて柔らかなしかく確実な踏み心地のある地面に着地した。いや、地面というよりは雲だろう。自分の身体が浮き上がるような感覚に襲われた。立っていられない。思わず僕はしりもちをついた。
 不思議だ、きっと夢に違いない。違いないのだが、夢の中でもこれだけ意識がはっきりとしているものなのか。

「……た、たすけて」

 僕は一言も発していない。どこからか女子の独・・・

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最初の一歩

18/12/27 コメント:4件 W・アーム・スープレックス

 地質学者のハーンがもたらした分析結果が、惑星調査船ギ・ルレア号の搭乗員たちを心底驚嘆させたその数時間前、惑星上に着陸したギ・ルレア号のエアロックから出た十名の隊員たちは、スロープ式タラップにずらりとならんだ。地表には呼吸するに充分な大気がみちているので、簡易式生命維持装置をまとったかれらは、短いタラップを、はやる気持ちをおさえておりはじめた。
 処女惑星におりたつときの感激はまたとなかった・・・

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ワンダリング・スター

18/12/26 コメント:3件 村沢走

 パジャマ姿の御姉さんが出て来た。彼女は真帆途の実姉で、名を久美さんという。僕は、「嗚、真帆途居ますか……?」と、結んで扉の内に招待された。偏に、十年振りであった。斯うして、星野家の敷居を跨ぐのは。僕は言う。「久美さん。綺麗になりましたね」。此方の言に気を良くしたのか、「真帆途ね。ちょっと待ってて」と、久美さんは結ぶ。僕は、居間に通されて、其処で御茶の御馳走になった。十年といっても、短い物である。・・・

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メザニン

18/12/26 コメント:2件 村沢走

 修学旅行の帰り道で、隣同士の席になった。
 オブリーク・トゥのクレープソールに、タイトなスカート。
 フライ・フロントなんて出で立ちの彼女は、冊子を片手に浮かれていた。
 アラビア語で御父さんを呼ぶ時は、ヤバイとか言うらしい。スワンプマン宜しく沼地を逃れた僕は、帰りの途を急いでいた。クローズド・サークルのじんわりとした暑さが映え、僕は独り身となった。大木楓は話し掛けて来る。嘘寝・・・

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バンジージャンプ

18/12/26 コメント:2件 村沢走

 此の命綱が切れたなら、如何なるのだろう。
 私は、足許に広がる異観を見た。
 春容は只漠然と其処に在って、其れで私は怖くなった。
 思えば、人生は何時も斯うだった。
 中一の時、好きな子が出来た。
 彼は、戒君といって、学年でもモテていた。
 私の存在意義等、気にも留めない人だった。反動で、高校ではモテにモテた。毎年、二十人位から、ラブレターをもらった。私は、・・・

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マイスター・カフェを探して

18/12/25 コメント:0件 クナリ

 君、すまんが冷蔵庫を開けてくれ。
 チョコレートはある。
 コーヒーは?
 もういらないか?

 冬の雨が降る午後四時、田舎道の傍らで、カギフリュー・カフェには準備中の札がかかっていた。
 若い店員のピナーダは、ドアがノックされる音を聞く。
「準備中です」
「何の準備中ですかね」
 入ってきたのは、異様な男だった。子供のような背丈にスーツを着・・・

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すなばあそび

18/12/25 コメント:0件 こぐまじゅんこ

 ゆうちゃんが、すなばであそんでいます。
 すなをバケツにつめて、ぎゅっぎゅっとおさえます。
「えいっ」
 ひっくりかえすと、おおきなプリンみたいなかたちができあがりました。
「わぁい、たのしいなぁ」
 ゆうちゃんは、なんてんの、あかいみをとってきました。
 おおきなプリンのまわりにかざっていきます。
 おちばもひろって、のせていきました。

・・・

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犯罪差別

18/12/25 コメント:2件 戸松有葉

 同じ境遇の人たちが集まり、交流することはよくあるが、その集まりは少し特殊だった。「同じ境遇」の幅が広めで、直接は関係ない識者や一般人も混ざっていたからだ。
 集まっているのは、刑期を終えた犯罪者、犯罪加害者家族、犯罪被害者やその家族、冤罪を被った者やその家族――犯罪関係の人々が中心となっている。そこに、犯罪関連の専門家および、一般の人まで参加している格好だ。
 当初、加害当事者やその・・・

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ミステリーサークルの真相

18/12/25 コメント:2件 戸松有葉

 いわゆる宇宙人が地球へ飛来していることが判明した。
 地球での反応は様々だったが、どんな世論や独裁者があろうと、地球各国の見解は、結局ひとつに行き着く。
 友好的であることを願うしかない。地球より文明が高度なのは確かなのだから、争えば一巻の終わりだ。地球人は未だ、地球外知的生命体の存在すら発見できない段階だったのに、向こうは地球を発見したばかりか、飛来もしているのだ。科学力の差は歴然・・・

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遠くへ、飛べ

18/12/25 コメント:2件 小峰綾子

「翔馬!飛べ!」
気が付いたら、叫んでいた。着地する先を見つめながら、少しでも、数センチ、数ミリでも遠くに、飛べ。そう祈りながら。

翔馬とは、小学校の市内陸上大会の強化練習で仲良くなった。小学校の中では足が速かった俺たちは校内の代表に選ばれ、放課後の強化練習に参加していたのだ。俺は、短距離とリレー、翔馬は走り幅跳びの選手だった。
「豊、中学校に入ったら陸上部入らねぇ?」<・・・

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そいつ

18/12/25 コメント:2件 W・アーム・スープレックス

 暗黒の天空から、そいつはやってきた。
 獰猛という言葉ではまだまだいいつくせないその凶悪きわまりない形相。全身は、あまねく宇宙に存在するおぞましい生き物たちがみな、穏やかにおもえるほどものすごい姿をしていた。
 そいつは、数万年にわたるはげしい飢えを抱えたまま、あてもなく宇宙空間を彷徨していた。
 そいつの記憶にありありとこびりついているのは、一万年前に食べた獲物の味だった。そ・・・

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心蛙

18/12/24 コメント:2件 荒井文法

 「着地するとき、何を考えてる?」

 コーチに問われて、少しだけ考える振りをした。

 「何も、考えてないです」

 僕の答えを聞いても、コーチの顔は相変わらずの表情で、何を思っているのか把握できない。僕とコーチは暫く無言で向き合ったままだった。

 「そうかぁ……」
 コーチは自分の顎を指先で掻きながら、空気と一緒に言葉を吐き出した。

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小惑星探査

18/12/24 コメント:1件 風宮 雅俊

「高度八百メートル」
 探査機のフラットなアクセントで高度の報告がされた。ヘッドマウントディスプレイの視野いっぱいには小惑星表面が映し出され、視野の隅には探査機の状態を表す各種モニターが表示されていた。

 この小惑星、正確には地球の二番目の衛星『ルナツー』であった。ルナツーは三年前に発見され各国の観察の結果、天文学的に奇妙な特徴を示す事が分かっていた。
 まず、『永遠の新・・・

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地雷。そして、託された希望

18/12/24 コメント:2件 風宮 雅俊

 カチ

 右足の靴底が捉えた硬い物体、微かに聞えたスイッチ音。

 今、自分の置かれている状況の全てを理解した。国境までの二百メートル、追っ手を撒いたのではなく果てしなく広がる地雷原に追い込まれたのであった。
 この幅五百メートルの地雷原は国際社会には国防を謳っているが住民が逃げ出さないようにするために敷設したものだった。

 右足に体重を掛けながら足元・・・

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五点着地

18/12/24 コメント:2件 R・ヒラサワ

「先輩、それをマスターすれば本当に大丈夫なんですか?」
「ああ。絶対とは言えないけど、今のままじゃダメなのは間違いないね」
「そうですか......」
 戦隊ヒーローのメンバーであるトモヒロは、五人中の五番人気、四番目は紅一点のチカちゃんだった。
「アクションがイマイチな女子より人気がないの?」
 トモヒロの彼女が放った一言は、彼に大きなダメージを与えた。まるで怪人達・・・

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