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第163回 時空モノガタリ文学賞 【 504号室 】

今回のテーマは【504号室】です。

恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

時空モノガタリ賞発表日:2019/01/28

※同一投稿者からのコンテストページへの投稿作品数は3作品とさせていただきます。
※R18的な暴力表現・性描写はお控えください。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。

ステータス 終了
コンテストカテゴリ
投稿期日 2018/11/19〜2018/12/24
投稿数 59 件
賞金 時空モノガタリ文学賞 5000円 ※複数受賞の場合あり
投稿上限文字数 2000
最大投稿数 3
総評

入賞した作品

1

不思議の部屋のアリス

18/12/22 コメント:4件 田辺 ふみ

 ママはイライラしている。
 原因は上の家の騒音だ。
 今は静かだけど、夜になると、何だかうるさい。音楽に笑い声。ドンドン響いて、振動もある。
 パパに抗議に行ってもらおうとしたんだけど、ご近所さんとけんかしたくないって言ったものだから、余計にママは怒っている。
「管理組合も役に立たないし」
 エレベーターのところに『夜間の騒音は迷惑です。気をつけましょう』という張り・・・

2

沈む部屋

18/12/13 コメント:3件 たま

 ドーム型の背のひくい建物だった。
 どう見ても、マンションには見えなかった。巻き貝の殻の口のような入り口を入ると、建物の円周に沿った青い絨毯貼りの廊下があって、そこを過ぎると、だだっ広い円形のホールに出た。どうやらここがマンションのエントランスで、ホールの中央には直径10メートル余りの穴があった。なだらかな螺旋階段が地下に向かって延びている。

「エレベーターはありませんので…・・・

5

うさぎ小屋に名前を

18/12/04 コメント:8件 秋 ひのこ

 アパートやマンションのことを、祖父は「うさぎ小屋」と呼んだ。
「そんなうさぎ小屋に住んでどうすんだ。隣近所と壁一枚でくっついてるなんてな、家畜小屋だ」
 人口200人に満たない山間の村に生きる祖父は、村を見下ろす段々畑の上に建てた木造二階建てが自慢で、そこに祖母と母、私の4人が暮らしていた。婿養子の父が隣村の女と浮気して逃げて以来、祖父が父代わり。その祖父に、死んでしまえと何の罪悪感・・・

3

504号室王国の王子

18/11/30 コメント:4件 繭虫

504号室王国。

人口は2人。

少数民族国家である。

時空ハイツ大陸の503号室王国と505号室王国の間に位置している。


503号室王国には、大陸唯一、「猫」の生息が確認されている。可愛い。
505号室王国は武力国家で、紛争が絶えない。よく、怒鳴り声や大きな物音が聞こえてくる。
その間に位置する504号室王国は、一人の女王・・・

最終選考作品

1

滲み出る

18/12/23 コメント:4件 待井小雨

 母は体調を崩すと体臭にあらわれた。胃を悪くするのか匂いを発して寝込む。心を弱らせやすい人で、体の方がそれに影響を受けるのだ。
 ――お父さんに棄てられたらどうしよう。
 不安げな母の言葉を、匂いと同じく疎ましく感じていた。親類のない母は必死に父にしがみ付いて生きていた。
 
 私が就職を機に家を出たのは数ヶ月前。もう今更不安もないだろうと考えてのことだ。だが、それが安易な・・・

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お勧めの事故物件

18/12/20 コメント:1件 吉岡幸一

「それなら、半年間家賃無料の物件があります。お安いマンションをお探しでしたらお勧めですけど」
 男の希望を聞いた不動産屋は即座に高級マンションの五〇四号室を提案した。
 毎日夜中まで働いていた男にとって家とは寝に帰るだけの場所であった。家に金をかけるなんて無駄だと思っていた。会社に近く、セキュリティもしっかりしていて、静かに眠れて、家賃も安い、そういった物件を探して不動産屋を訪れていた・・・

2

シシャモの帰る部屋

18/12/20 コメント:2件 入江弥彦

 部屋番号は504がいいの。そんな意見を尊重してくれる主人はいい人だと思う。もしかすると、私が何かを主張するのが珍しかったからかもしれない。
「504号室に何か思い入れでもあるの?」
 興味津々と言った様子で私に問いかける主人にコーヒーを用意して正面に座る。
「あのね、シシャモが帰ってくるかもしれないから」
 昔のペットか何かなの、と首を傾げる彼を見て私は目を細めた。

2

ある部屋のつぶやき

18/12/16 コメント:2件 与井杏汰

2月20日
 今日、久しぶりに人が入ってきた。物件を探している若い男性のようだ。私の中を隅々まで眺め、壁のわずかのシミを同行した不動産業者に指摘して、それでも「良い部屋ですね。窓からの景色もいい」と感想を言って帰っていった。

3月4日
 先日の男性がまた訪ねてきた。どうやら私が気になったようだ。
水道と電気、ガス開通の手続きを不動産業者に確認していた。もしかすると、・・・

0

504号室が消えた

18/12/12 コメント:1件 若早称平

 そのマンションに決めたのは彼の方でした。私も彼も大の虫嫌いで、七階以上だと虫が出ないっていう都市伝説みたいな話を信じてたんですけど、結局妥協して今のマンションの五階にしたんです。
 彼は株のトレーダーをしていて、たまにジムに行く以外はほとんど家にいます。虫は出ないみたいなんですけど、まさかこんなことになるとは思ってもいませんでした。

 きっかけの手紙を見つけたのは私でした。引・・・

2

頭のおかしい腐った蜜柑

18/12/04 コメント:2件 浅月庵

 ◇
 冬場になると昔よく、母親が送ってくれた蜜柑のことを思いだす。
 そして今の俺のこの状況と重ね合わせて、まるでここは腐った蜜柑しか存在しないダンボール箱のなかだ、と思ってしまう。

 ◇
 朝目が覚めると、口元が鉄製のマスクで覆われており、俺はまた“あの日”がきたことを瞬時に理解する。

 マスクは首の後ろまで回りこみ、鍵がかけられているので人力で取・・・

2

奇跡の部屋

18/12/03 コメント:4件 W・アーム・スープレックス

 その攻撃が政府軍のものかそれともテロ集団かは定かではなかった。が、飛び交うロケット弾に建物の大半が吹き飛ばされ、その巨大な建築物のあった場所にはわずかなガレキが残るばかりでそれはちょうど人が死んで灰と骨片が残るようなものだった。
 そのガレキの上に、部屋がひとつ、のっかっていた。窓は鎧戸がおりて室内をうかがうことはできない。知らないものがみたら、ガレキの上に部屋なんか置いたのは誰だとあきれ・・・

5

404からは出られない

18/11/22 コメント:7件 クナリ

 高校二年の冬。
 私は放課後、同級生の立花君のマンションを訪れた。
 もう彼が学校に来なくなって半年になる。
 彼と何の関係もない私ができることはないのだけれど。
 立花君に何かあったのかもしれないと思うと、胸が張り裂けそうだった。

 エレベーターに乗る。
 立花君の家は505号室だ。
 回数ボタンを見ると、1、2、3階の次が5階になっていた。<・・・

投稿済みの記事一覧

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504号室のヤンヤンバァ

18/12/25 コメント:0件 nekoneko

「すいません」社会福祉法人心の里の駄々広い玄関の中で私の声が響き渡る。インターホーンを押しても誰も出てくれなかった。唐突に来たのが悪かたのか。奥の方からは人の喋り声聴こえてくる。なにか忙しそう。聴こえていないのかも。仕方ない。それではもう一度、更に大きな声を出そうとした時に具然、職員らしき人が通りかかる。「アッすいません」私の喉元から肩透かしを食った様な声が漏れ出た。「あら、御免なさい。いらしゃた・・・

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悪い生き物

18/12/24 コメント:0件 紫聖羅

 湿った土の臭い。葉に落ちる雨粒の音。その音の割に注いでくる水滴は小さい。雨の日の森の中は不思議だ。足下はぬかるみ、柔らかくなった地面をボロボロのスニーカーの足形に凹ませていた。
 ずっとここにいたい。さっきから膝を抱えた両腕の中に頭を埋めて動かないでいる。ずっとこうしていれば、僕も木になれるだろうか。
 一瞬よぎったその考えを振り払い、罪悪感に苛まれる。そんなことあるわけない。許して・・・

1

薪をくべろ!

18/12/24 コメント:1件 霜月 秋旻

 脱いだまま放置された衣類、買ってまだ読んでない本の山、録画してまだ観てない番組が溜まったテレビのハードディスク、まだ読んでいない、返信していないスマホ、パソコンのメール、封が切られないまま放置された郵便物、スーパーの袋に入ったまま読んでいない雑誌、複数の空のペットボトルやお菓子の空箱、そして、ぐちゃぐちゃのベッドに呆然と横たわった兄が、その部屋にいる。


「あなたのお兄さん、・・・

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おばけの5階

18/12/24 コメント:0件 奇都 つき

私が幼稚園に通っていた頃、目の前に公園があるマンションの403号室に住んでいた。
その上の階には1度しか行ったことがない。なぜなら、上の階にはおばけが住んでいるというではないか。しかも情報の出どころは親だった。身近な大人の言うことの信憑性の大きさたるや。
そして、そのたった1回で見てしまったのだ。本当におばけを。今でも思えている。
自分の階と同じ造りのはずなのに、薄暗くて肌寒かっ・・・

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歌声

18/12/24 コメント:0件 森音藍斗

 インターホンが鳴った。505号室の奴だろう。月末だし、回覧板を届けに来たんじゃないだろうか。ちょうどいい。聞きたいことがある。
 最近、奴にカノジョができたらしい。毎晩ちょうど今頃、言うなれば風呂の時間帯に、隣から女の歌声が聞こえてくるのだ。かなり上手いから文句はないが、しかし、独り身の愚痴を肴にジョッキを交わした仲だ、報告ぐらいしろよ、水臭い。
 あの歌声の持ち主がどんな顔をしてい・・・

1

待ってたよ

18/12/24 コメント:0件 小高まあな

 高校の時、友達とふざけて行った占いの館で、黒い爪をした占い師に言われた。
「あなたは高いところに住まないほうがいい。引きずられるから」
 引きずられるとは何なのか、高いところとはどれぐらいなのか。訊いても教えてくれなかった。
 意味がわからなかったけれども、嫌に胸に残って、一人暮らしをはじめるときに選んだのは一階の部屋だった。
 それ以降、引っ越しを何度かしてきたが、すべ・・・

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最上階の陽気な住人

18/12/24 コメント:0件 mokugyo

12月の配達なんてのはやるもんじゃねえ。毎年やってるが、この時期の荷物の多さは尋常じゃねえんだ。宅配の仕事は辞めたいと思いつつも、なかなか辞められん。うちは給料がそれなりに良いからな。

それなり良い給料だけあり、妙な配達場所に行かされる。

今日はやたらとでかいマンションに来てる。廊下がいちいち広い。吹き抜け構造で、各部屋の間隔も広くて、1フロアに4部屋だけある。ドアは横・・・

1

いつか還る場所

18/12/24 コメント:0件 みや

「ご、まる、よん、ご、まる、よん」
二歳になる息子がまた楽しそうに言っている。私はそれを聞いてまた苛立たしさを募らせていた。
「ご、まる、よん、ご、まる、よん」
「ね、それ何の事?ママに教えてよ」
私は苛立たしさを押し隠して息子に尋ねるけれど、息子は聞こえないのか、返事をせずに楽しそうにレゴブロックを積み重ねていた。
ご、まる、よん。一カ月前に末期癌の闘病生活の末に亡・・・

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みゆき荘504号室の住人

18/12/24 コメント:2件 野々小花

 幼少期に発症した吃音症に、高校二年生になった今でも悩まされている。緊張すると「藤原みか」という自分の名前さえ言えなくなってしまう。春、進級時のクラス替えは、私にとって地獄そのものだ。起立して、自己紹介をする。他人の視線が自分ひとりに集まっているのを感じると、途端に駄目になる。「ふ、ふふ、ふふふ」と同じ音を繰り返してしまう。教室は静まり返っていた。皆、面食らった顔をしている。驚いた目でこちらを見て・・・

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ヒルベルト・ホテル

18/12/24 コメント:1件 青苔

「……ここか」
 私は立ち止まって、目の前にある建物を見上げた。
 外観は巻貝のような形をしており、かなり大きい。だが、ここで間違いないはずだ。入り口の自動ドアの上部には、砂にまみれて読みにくくなっているが、確かに「ホテル」と書かれた看板が掛けられている。
 ホテルの周辺には何もない。ただ砂地だけが広がっている。時折風が砂を巻き上げるので、辺りの空気は妙に黄色っぽい。
 私・・・

1

おとぎの森

18/12/24 コメント:2件 冬垣ひなた

 夜は嫌い、でも。
 ママを待って、一人ぼっちでうずくまるのはもっと嫌い。そんな時は久志おじさんのいる504号室を思い出す。
 窓の外の遊園地は、可愛いピンクや緑や青のイルミネーションで彩られる。周囲に立ち並ぶ家が木々のように漆黒を作っていて、暗い影に沈む観覧車は、おとぎの国の森のような光と闇の魔法を従えていた。
 まるで大きな糸車だ。あの牢獄で心に針を刺し苛まれる人の優しさを、・・・

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セピア色の『504号室』

18/12/24 コメント:2件 そらの珊瑚

 神田神保町に祖母が営む「猫又古本店」がある。間口一間ほどの小さな店。一か月ほど前、転んだ祖母は大腿骨を骨折し入院。私が手伝うことなった。通っている大学も夏休みだったしバイトも兼ねてという軽い気持ちだった。朝、店を開け簡単に掃除を済ませると、あとはすることがない。客はびっくりするほど来ない。これじゃバイト代をもらうのは気が引けるなあ。店の奥のカウンターの椅子に座り、ガラス戸越しに道ゆく人々を見て・・・

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別れの夜

18/12/24 コメント:1件 悠真

 夜になって目を覚ますと、正一が荷物整理をしていた。すでに家具は運び出されていて、それ以外の小物類をボストンバッグに詰めている最中のようだ。
「この部屋、出て行っちゃうの?」
 私が起きて来たことに気づいた正一は「うん」と短く頷く。
 否定を期待する一方で、もしかしてという不安もあった。私は「どうして?」と、そして正一の返事を待たずに「私と遊ぶの、嫌になったの?」と、半ば答えを強・・・

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「−1」の祝福

18/12/24 コメント:1件 谷流鳩都

「504号室利用いただいた高林様、本日はおめでとうございます!!あなたに−1をプレゼントします!!良かったですね!!」
と大家から聞いた話の内容がさっぱり理解出来なかった俺は、とにかく時計と説明書を受け取り、54歳にして初めてのアパート暮らしが始まった。…3ヶ月前に母を亡くしたとも知らないで、あの大家はなんなんだ。しかも−1ってなんだよ。マイナスに良い意味を見いだせないと俺は思ったが、あの時・・・

1

君のスマホになりたい!

18/12/23 コメント:4件 南野モリコ

「メリー・クリスマス。今年もお世話になるよ」
「白石様、お待ちしておりました」
 ここは都心から数時間の好立地に作られたリゾート地のプチホテル。夏は避暑地として賑わうが、都会より早く冬がやってくるし、決して便利とは言えない環境であることからクリスマスとなるとひっそりとしてしまう。
 しかし、この土地をよく知る旅慣れた人たちには、子供連れも少なく、師走の週末をゆったりと過ごせる穴場・・・

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チーム4

18/12/23 コメント:4件 宮下 倖

 十歳のころ、おれが住んでいたのは古いマンションだった。各階五部屋の五階建てで、うちは404号室だった。外壁が茶色で、遠くから見るとチョコレートみたいに見えたっけ。
 似たような歳の家族が多かったのだろう。同じ小学校に通う子どもがけっこういて、遊び相手には事欠かなかった。
 一階に住む大家のおばさんの意向で、たて割り清掃の日というのが週に一回あった。日曜日の朝にマンションの周囲を掃除す・・・

1

母の病室

18/12/23 コメント:1件 悠真

 5階の案内板を隅から隅まで確認した結果、その場に立ち尽くすしかなかった。
 そもそも病院の館内に一人で立ち入ることが初めての経験だった。見ず知らずの場所、見ず知らずの人達。私が最も苦手とする環境だ。
 それでも。
 私は携帯電話を取り出して通話履歴を呼び出す。数十分前の母親との通話。内容はまだしっかり頭に残っていて、母の声で再生できる。
 バイクとぶつかってして怪我をした・・・

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故郷

18/12/23 コメント:1件 hayakawa

 少年は森の奥地で生まれた。村では火をおこし、川の水をくみ、野生動物を採り、野菜を栽培していた。
 彼は東京にやってきた。初めて東京に来た時、いったいここはどこだという観念に襲われた。
 東京駅から山手線で新宿駅まで向かった。彼はそこで日本語を学んだ。古びたアパートの504号室に住んでいた。
 隣人とはすぐに仲良くなった。彼は中国人の女性だった。
「初めまして」と少年は言っ・・・

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余計な気遣い

18/12/22 コメント:1件 つつい つつ

 アルバイトから帰ると、部屋の中に六、七歳くらいの男の子がいた。俺は部屋を間違えたかなと思って部屋の入り口を確かめるとちゃんと504号室だった。
「あの、どっから来たんだ? ここ俺の部屋なんだけど」
 男の子はこくりとうなづくと答えた。
「ああ、ごめんなさい。居心地良さそうだったので、少しおじゃましてます」
 見かけの割にしっかりとして大人びた態度だった。だけど、髪の毛はお・・・

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隣人よ、電波を飛ばせ

18/12/22 コメント:2件 三明治

(ぼちぼちはじめよう)
(そう、はじめないと)
(部屋の明かりを消すよ)
(そうしましょう)

 (……どうやら深夜一時を回ったようだね。僕の声は君たちに届いているかい?この極東の片隅の505号室から世界に向けて放射される、真夜中の怪電波。富山のミサちゃん、那覇のケンジくん、フランスのバルネ、コロンビアのカルロス爺さん、ネバダのウェンディ、そして、妄想電波の蜘蛛の巣に・・・

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殺し屋が住んでいる

18/12/22 コメント:1件 ササオカタクヤ

「ねぇ聞いたんだけど知ってるか?」
「え?なに?!」
小学5年生の将太は友達の智史に、最近学校で噂さている情報を自慢気に話す。智史は将太のことをリスペクトしており、この類いの話になると犬が餌を貰うように喜びながら話を聞く。
「あのボロ団地あるだろ?」
「第2公園の?」
「そうそう!そこのさ504号室なんだけど」
「え!なに!なに!」
「殺し屋が住んでいるら・・・

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約束

18/12/21 コメント:2件 村沢走

「大人になったら504号室に住むんだ」と言っていた。
 其処に憧れていた君香ちゃんが住んでいたからだ。
 十二年経って僕は其の事を忘れてしまっていた。
 久々に帰郷すると其処に未だマンションは存在していて、其れで興味本位で足繁く通った。
 表札には僕の名字が掲げられており、ひょっとして何かの偶然かな、と思った。チャイムを押してみると中からは女性の声が聞こえて来る。其れでいて・・・

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504号室の君

18/12/21 コメント:2件 村沢走

 運命的な出会いを信じてはいた。真乃は言った。「アンタになんかあの御嬢様を落とせる訳、無いじゃない」。桜野高校二年F組。桜木真帆。一年の時から、景仰している、僕の姫様であった。僕は言った。504号室の家賃が滞納されている。良い加減、払ったら如何だ。真乃。と。「うるっさいわね。今から払おうと思っていた所よ」と、ぞんざいに言って真乃は封筒を取り出す。僕の家はマンションを経営している。後呂真乃は其の50・・・

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504号室を抜けて

18/12/21 コメント:2件 村沢走

 冬扇夏炉に、私は決別した。
 彼との出会いは運命的だった。
 其んな彼との破局は、私の運命を変えた。
 三徳包丁を握り締め、私は台所に立つ。
 台所に突っ立った儘、恨み節の一つでも、と、嘯く。
 大場湊は良い男だった。
 別れ際には此方を気遣ってくれたし、何より私に取っては彼こそが掛け替えのない存在だった。
「悠子はさ……強過ぎるんだよ……俺なんか居なく・・・

2

天国へ続くカフェ――504号室の秘密

18/12/21 コメント:2件 文月めぐ

 「4」という数字がつくだけで縁起が悪いと思われてしまう。そういう理由で私が店を開いているこの504号室も家賃が他の部屋と比べて安くなっている。おそらく他の階の「4」がつく部屋もそうなっているのだろう。
 五階建てのマンションの一部屋を借りて営んでいるこの「ブックカフェ・アダージョ504」はお客さんが十人も入ればそれでいっぱいになってしまう。しかし、一人で営む店だから、それが限度だ。
・・・

0

兄ちゃんとぼく

18/12/20 コメント:1件 naokiti

「はあ、お腹がすいた。それに痛い、寒い」
 ツツジの植え込みの下で、ぼくはうずくまっていた。昨日から何も食べていない。その上左の前足から血が出ている。
「おい、何やってんだ。だいじょうぶか」
 いつの間にか、傷ついた足をなめてくれている。頭を上げず目だけを動かすと、茶色に黒い格子模様の体が目に入った。
「兄ちゃん、もうぼくはダメだ。今までありがとう」
「バカなことを言・・・

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IP NOISE

18/12/20 コメント:1件 マサフト

薄暗い牢獄のような部屋。打ちっ放しのコンクリートの壁や床は冷たく、独特の黴のような臭いを放っている。明かり取りの小窓には鉄格子が嵌められ、冷たい緑色をした月を縦にスライスしている。小窓の反対側の壁面には鉄格子でできた扉があり、当然のごとく鍵が掛けられていた。扉と天井の間には大きく威圧的に

『504 Gateway Timeout 』

と書かれた看板が取り付けられてい・・・

1

ツイスミ不動産 物件5: 504号室アパート

18/12/19 コメント:2件 鮎風 遊

 外が暗い。なぜと自称イケメン・紺王子宙太(こんおうじちゅうた)が窓越しに目を懲らすと、牡丹雪がボタンボタンと道路に落下してるではないか。「氷河期到来か」と大袈裟に吐き、視線を室内へと戻す。それからおもむろに「そうだ、今夜は鍋にしよう、だけど準備に時間が掛かるん…、ですよね」と語尾強調の独り言を。
 客足が途絶えた営業所、否が応にも上司の耳に入る。
「クワガタ、何が言いたいのよ?」とル・・・

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部屋

18/12/18 コメント:1件 hayakawa

 圭介は春香のお見舞いに来ていた。彼女は重篤な病を抱えている。それでこの間、余命宣告をされたらしい。
 病室の中で、圭介は椅子に座り、春香の横たわるベッドを眺める。
「ねえ、春香。死ぬ前に何がしたい?」
「私はもうしたいことはないわ」
 春香はそう言って涙を流す。
「海を見たりとかさ、海外に行ったりとか。確か春香はまだ海外に行ったことがなかったろ」
 圭介はぼん・・・

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開かずの

18/12/18 コメント:2件 柴ケンタロウ

 丸山正浩は、同期入社の仲間から「マル」という愛称で呼ばれていた。本社まで一時間半かかる郊外に建つ独身寮の五〇四号室が、彼に与えられた部屋だった。

 十二月十九日
「だから、百田部長の講義は眠くなるんだって!あの中性的な声は反則だろ?もう子守唄にしか聴こえなくてさ。それで俺も……」
 尤もらしく弁解する折田を、宍戸が笑いながら制する。
「いやお前は百田さんとか関係な・・・

1

内面を愛するマンション

18/12/15 コメント:1件 黒猫千鶴

 初めて彼氏が出来た。三十路を過ぎるまで色恋沙汰には興味がなかった。いや、なかった訳じゃない。ただ、怖くて遠ざけていただけ。
 私には五つ年下の妹がいる。彼女は私とは比べものにならないくらい可愛く、清楚で可憐だった。瞳もビー玉のようにキラキラと輝いている。同じ人から生まれたとは思えないくらい違う私達は、同級生や先輩からも陰口を叩かれた。
「妹の方が美人だよなー」
 知ってる。

1

おにぎり

18/12/12 コメント:4件 再帰樹海


おにぎりが食べたかったのですが、あいにく塩がありませんでした。
しようがないので近くの店屋に行くことにしました。
10分ほど歩くとマンションがあり、コンビニもありました。

以前目にとまった《天然塩》なんてのもおいてあったと思うのですが、
《天然塩》の味を知らない自分にとっては《天然》かどうかなどの、
表示されただけの言葉などどうでもよく、確かな製造元と・・・

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全国定額制提携賃貸契約

18/12/09 コメント:2件 64GB

転勤があるオレにとっては、全国定額制提携賃貸契約は画期的な契約だった。
かいつまんでいうと、全国の504号室で空き部屋さえあれば東京であろうと北海道であろうと定額で移動することができるというものだ。全国の504号室の家賃を全部足して店子で割る。すると地方の家賃は少し上がるものの東京の家賃の相場ではありえない安さになる。集められた賃料を分配する手間はかかるがオーナーは損をしない仕組みだ。なにし・・・

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504号室のアリ

18/12/06 コメント:0件 こぐまじゅんこ

 アリたちのちっちゃなアパートがありました。
 土をほって、地下にもぐっていくアパートです。
 一階から、どんどんもぐっていって五階まであります。
 ひとつの階には、横に四つ部屋があって、101号室から504号室まであるんです。
 ひとつの部屋には、アリが一匹ずつくらしています。
 アパートには、全部で二十匹のアリがくらしていました。
 101号室のアリは一番え・・・

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504号室の隣人は幽霊

18/12/03 コメント:1件 吉岡幸一

 隣人は幽霊だといったら信じてもらえるだろうか。
 夏の最中に急な人事異動を命じられた俺は、よく調べる間もなく引っ越し先を見つけなければならなくなった。
 たまたま駅の近くにレンガ造りの洒落た二階建てのアパートを見つけることができ、すぐに空き部屋の505号室に引っ越した。
 二階建てのアパートなのに、まるで五階の部屋のように505号室というのはおかしな番号と思うかもしれないが、そ・・・

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504号室のシベリアンハスキー

18/12/01 コメント:2件 marotch

今日も会社に行く、当たり前のルーチンに憂鬱な気持ちを抱えながらマンションの扉を開けて外に出る。と、同時に504号室から隣人が出るドアの開く音。対してご近所と親しくない私にとって隣人との邂逅は気まずい瞬間だが、仕方ない。挨拶をしようとその姿を直視すると同時に目を疑う光景に凍り付く。
504号室から出てきたのはシベリアンハスキーだった。
シベリアを原産とする大型犬種。非常に社会性に富み、人・・・

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とってつけたような話

18/11/26 コメント:1件 W・アーム・スープレックス

 おやじもおふくろも酒のみだったから、ぼくの名前を考えたときもきっと、二人とも酔っていたのにちがいない。そうでなければどうして、生まれた子供にこんな名前をつけたりするだろう。
 ――号室。読み方はそのものずばり、ごうしつ。ふだんよぶときは、ごうし、ごうしだった。
 それだけのことならぼくも、気にいらないながらも、しょうがないとあきらめることもできた。問題は苗字のほうだ。五百五。これをな・・・

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僕には解けないダイイングメッセージ

18/11/23 コメント:2件 夏日 純希

504号室には質量の一部を失った女の子で、僕が人生で3番目に抱いた女の子がいた。
「アインシュタインの理論によれば質量は膨大なエネルギーと等価で、私は大事な一部を無くしてしまったから、きっと生きるエネルギーの多くを失ってしまったの」
と彼女は言うから
「もしそれが本当なら、甘いものをたくさん食べればいいよ」
と、僕は応える。
「甘さは脂肪にしかならないのよ。悪くないけ・・・

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真上の異界 〜上の階に行ってはいけない〜

18/11/23 コメント:2件 とむなお


 それは、12月24日――クリスマス・イブのことだった。
 都立W大学2年生の、和也、正治、弘司の3人は……

 ――どこか変った所で、クリスマスしようぜ――

 という勝手な計画を立てた。
 3人は昼食後の講義をサボり、ホームセンターで買ったハンディライトを、それぞれオーバーのポケットに入れた。
 駅前のの専門店で、それぞれ好きなショートケーキを・・・

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ホテルの幽霊

18/11/23 コメント:1件 うたかた

「お待たせいたしました。こちらがお部屋の鍵になります」

「ありがとうございます」

 俺はフロントから鍵を受け取ると、右にあるエレベーターの前に向かった。外観は街に埋もれて古びて見えていたが、内装はいたって普通。清潔感もあって空気も悪くない。
 部屋番号を確認すると、『504号室』とあった。
 到着したエレベーターに乗り込むと、何も考えず『5』を押す。六人が乗・・・

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可能性探偵助手とずっと504号室

18/11/23 コメント:2件 浅月庵

 探偵が風邪で休みとなれば、その助手も一緒に休みになりそうなものだけど、私は念のため事務所に顔を出している。
 ただいつもは閑古鳥が鳴いてばかりの探偵事務所だというのに、こんな日に限って突然入り口の扉が開かれた。
「マジ助けてほしいんだけど!」
 現れたのは金髪の白ギャルで、正直私と真反対の人種で対応に困る。
「本日探偵であるハガナイはお休みで、ご依頼の内容だけでも私にお聞・・・

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1008号室

18/11/22 コメント:2件 荒井文法

 「いらっしゃいませー」
 「すいません、四月から大学行く関係で、アパート探しているんですけど、ネッ」
 「あ、新入生の方ですねー?」
 「はい、そ」
 「おめでとうございますー! どちらの大学ですか?」
 「法治大学なんですけど、ぼ」
 「わあすごい! 私もそういうとこ行ってみたかったですー」
 「あの」
 「お部屋ですよねー、どうぞこちらへ、パソ・・・

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超能力青年ヨシオ

18/11/22 コメント:2件 荒井文法

 決して、彼女のあとをつけていたわけじゃない。偶然だ。だから、彼女が五〇四号室の玄関を開けて中に入っていくのを見たのも偶然だ。

 大学生になって初めての一人暮らし。憧れのトーキョー。田舎で二十年間を過ごしてきた僕は、何をするにもワクワクして、どこを見ても人がいて、毎日鼻血が出そうなくらい興奮して夜も眠れないから、当たり前のように、あっという間に、夜型人間へ移行していた。
 一に・・・

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紅い秋桜

18/11/22 コメント:2件 荒井文法

 一ヶ月に一度、彼の爪を切ってあげる。

 窓際にはコスモス。今日、私が摘んできた花が花瓶に生けられている。
 彼がコスモスを好きかどうかは知らない。知る術もない。
 窓から差し込んでいる夕陽が、ピンクのコスモスを紅く染めている。

 彼の爪は伸びるのが遅い。爪だけでなく、髪もそうだ。彼が植物状態だからだと思っているが、医師や看護師に質問したことはない。そんな質・・・

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え?・・・マジか

18/11/22 コメント:1件 風宮 雅俊

「え?・・・マジか」
 周りの視線が集まる。
「何でもないです。クレームのメールじゃないです」
 事務所に広がった緊張が安堵に変わると、それぞれの仕事に戻っていった。

 今は、仕事中だ。人目を引くような事は慎まないといけない。あくまでも仕事中だ。仕事中は仕事をしなくてはいけない。がしかし、頭の中は推敲をしていてもばれない・・・。そもそも、隣では書類を作成する振りをし・・・

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決めつけてかかるな

18/11/22 コメント:2件 W・アーム・スープレックス

 トミオは503号室をノックした。
「なにか」
 男が顔をつきだした。
「じつは僕、504号室をたずねてきたのですが――」
「1番ちがいだ」
「あの、504号室は、503号室の、隣ですよね」
「わかっているなら、いけばいいだろう」
「ところがですね……」
 トミオは横をむくと、まるで海原にうかぶ島影でもみるような調子で額に手をかざした。
「お・・・

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超予測変換

18/11/22 コメント:2件 R・ヒラサワ

 最近はスマートフォンの性能も随分と良くなった。普及率もどんどん上がり、持たない人が少数派に追いやられるばかりだ。使えるアプリも増え続け、便利な世の中になったものだと思う。
 ワープロの様な文字編集専用のテキストエディタなどは、小説を書く人によく利用されるようだ。それらと連動する文字の変換機能も重要な性能で、特に『予測変換』などは入力がスムーズに行えるようになって便利である。
『超予測・・・

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