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  2. 第160回 時空モノガタリ文学賞 【 伏字 】

第160回 時空モノガタリ文学賞 【 伏字 】

今回のテーマは【伏字】です。

恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

時空モノガタリ賞発表日:2018/10/29

※同一投稿者からのコンテストページへの投稿作品数は3作品とさせていただきます。
※R18的な暴力表現・性描写はお控えください。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。

ステータス 募集中
コンテストカテゴリ
投稿期日 2018/08/20〜2018/09/24
投稿数 58 件
賞金 時空モノガタリ文学賞 5000円 ※複数受賞の場合あり
投稿上限文字数 2000
最大投稿数 3
総評

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投稿済みの記事一覧

1

神さまは世界が終わると言ったんだ

18/09/17 コメント:0件 入江弥彦

 明日で世界が終わる。
 この地球がなくなって、僕がいなくなって、暴力的な両親も消えて、仲の良い友達は元からいないけれど、僕に無関心な教師たちも消える。それから風子も。
「私ね、実は××なの」
 いつもその言葉だけノイズ交じりに聞こえているから、正確なところはわからないのだけれど、僕は彼女が何者かであるということを知っていた。
「ねえ、耀太くん見てよ、教科書が四冊になっちゃ・・・

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〇山美咲の名前なくし

18/09/17 コメント:0件 アシタバ

 よく物を落としたり、予定を忘れたりと、間抜けな私ですが、まさか自分の名字の一部を失ってしまうとは流石に予想できませんでした。
 〇山美咲にとって一生の不覚です。

 ある金曜日の夜のことです。職場の飲み会でその日はたくさんのお酒を頂きました。ちょうど難しい仕事が片付いて気分が高揚していたのです。しかし、暴飲のツケはすぐにやってきました。飲み会がお開きになる頃にはフラフラで一人で・・・

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XX

18/09/17 コメント:0件 田辺 ふみ

 あたしの家は古い由緒がある家で万葉時代から続いているんだって。
 屋敷は、あ、家っていう言葉が似合わないの。時代劇に出てくるような屋敷。木造で和風で、黒く塗られていて、まるで、悪役の屋敷だよ。信じられる? 江戸時代に作られたらしんだけど、住んでると、古臭くって、プライバシーもなくて、最悪。
 でもね、蔵があるの、蔵。
 お金持ちっぽいでしょ。
 お手伝いの沢さんがあたしに・・・

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答え合わせの図書館

18/09/16 コメント:2件 秋 ひのこ

 私は、頭の悪い子どもだった。
 友だちから「馬鹿がうつる」と避けられ、先生から無視され、親から心底見放されるような。
 そういう、子どもだった。

「ママ、これ何」
 引っ越し先で片っ端から荷物を開梱していると、10歳の娘、千草がやってきた。その手には、ところどころ黒く塗り潰され、黒い斑点が散る色褪せた新聞。私の私物の箱を開けたのだ。今日から母ひとり子ひとりの新生活・・・

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時を越えた記憶

18/09/15 コメント:1件 うたかた

 時は2118年、十年前ほど前にタイムマシンで過去や未来に行くことが民間人でも可能になり、社会ではそれに関する法律も制定された。もちろん、自由に行けるわけではなく、タイムマシンを管理する政府機関に行って正しい申請を行う必要がある。この日俺は、丁度十年前の日に戻るためにこの期間を訪れていた。

「それでは、こちらへどうぞ」

「わかりました」

 俺は返事をしたが・・・

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罰当たりなアミノ酸

18/09/15 コメント:0件 本宮晃樹

 信心深く、かつ能力の低い者は狂信者になる。
 信心深く、かつ能力の平均的な者は無害な信徒になる。
 信心深く、かつ能力の高い有神論者は教祖になる。
 では信心深く、かつ能力の高い有神論者で、おまけに気ちがいじみたフェミニストだった場合は?
 むろん、道徳的な生化学者になるのだ。

     *     *     *

「どうでした」期待を込めたふ・・・

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お上品な僕は汚い言葉が███になる。

18/09/15 コメント:0件 笹岡 拓也

僕は生まれも育ちもお上品。だから汚い言葉を口にすることができない仕様になってる。
じゃあ汚い言葉を今言ってみるから聞いていてもらいたい。
「███!」
ほら!汚い言葉は僕の口からは言えない。いや言ってる感覚はあるけど、みんなに伝わらないようになってるんだ。

そんな僕はある日、友人とお話をする機会があった。その前の日に起きたことを友・・・

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記憶の中の彼女

18/09/15 コメント:0件 はやかわ

 僕は高校三年生で季節は冬で、文芸部に所属していた。同じ部活の玲奈は学校に来ていない。彼女は病気で入院していたのだ。冬、辺り一面に雪が降った。そんな日、僕は玲奈のお見舞いにいった。
 クラスでは人気者でクラス中の男子の目線が彼女に向いていた。そんな彼女がもうじきこの世を去ろうとしていた。
 僕は雪道を歩き、バスに乗って、玲奈のいる病院に行った。バスは雪を踏み、先へと進む。僕も久しぶりに・・・

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暗い夜

18/09/15 コメント:2件 はやかわ

 大学院を神経衰弱で中退した。あの頃の俺はどうかしていた。俺は将来作曲家を目指すという理由で就職もせず、今の塾のアルバイトを始めた。
 生徒はとにかく褒めた。高学歴だった過去の俺と同じように上を目指してほしかった。
「この問題わかります?」という反抗的な生徒のメタファー。それは反抗期を繰り返してきた昔の俺と似ていた。
「因数分解はこうやって解くんだよ」
 俺は一から生徒に教・・・

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父からの手紙

18/09/14 コメント:1件 笹岡 拓也

結婚式を明日に控えた私のもとに一通の手紙が届く。その手紙の差出人は父からだった。普段堅物で言葉数も少ない父からの手紙に私は胸を踊らせ、バタバタとしている忙しい中、手を止めて手紙を開く。

アイスランドに壊れた
劇を隠してみる。
理由がゴマ、餅と罰。
無地布、酒はよせ。
備えず葱、フグ、蛇で
ほぼお披露目だぞ。

私はこの手紙を感動するような言葉・・・

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秘密

18/09/13 コメント:1件 新世界

 梅雨入りしたばかりの空は暗く、今にも雨が降り出しそうだった。じっとりと重い、湿った空気が体中にまとわりつき、息苦しさを感じる。
 ――故 里村 沙也子儀 葬儀式場。
 自分の母親の名が書かれた看板を眺めるのは妙な気分だった。居なくなったという実感はまだ無いが、言葉で表現するにはあまりに纏まりのない気持ちで足元はぐらぐらと揺れていた。受付に並ぶ参列者には知らない顔の方が多く、学生の私は・・・

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海風の部屋

18/09/11 コメント:1件 白汐鈴

 レースのカーテンが揺れていた。
 もとは真っ白だったその布は、柔らかく風を纏いゆらゆらと乳白色の陰影を浮かべ、くすんだ色が経た時の長さを感じさせた。
 窓を開けたのはいつぶりだろう。
 閉ざされた扉の向こうに、この部屋はずっとあり続けていた。

 姉は美しい人だった。
 真白なカーテンの脇に立ち、ゆるりと吹き込んだ風がその髪をかきあげ、陽を透かし、ふと彼女が私・・・

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心の伏字

18/09/10 コメント:2件 土佐 千里

 今日、久しぶりに昔の恋人の達也を見かけた。私は結婚してしまっているけど達也はまだ独身。
 わざと私に見えるような位置を歩いていた。まだ、恋人はいないみたいだけど、わざと女子社員と仲よさそうな笑顔を浮かべていた。彼はきっと、すでに結婚して子供もいる私にみえるように、こんな笑顔をしたんだと思う。俺だって楽しくやっているよって。わざと視界に入る距離で、そう伝えていることがわかった。でもあなたと長・・・

3

それは九月の朝

18/09/09 コメント:4件 みゆみゆ

 ノートを開くと伏字の黒丸があちこち散りばめられた文章が現れる。それが私となみちゃんの交換日記の特徴。教師や生徒の名前といった固有名詞は勿論、感情を表す動詞や時には形容詞さえ伏字。仲良しの二人にしか分からないと言えば聞こえは良いが、お互いに分かっていない可能性もある。
 伏字だらけのそのノートがクラスメートにばれないよう、私たちはこっそりと渡し合っている。幸い二学期が始まった今でも一度も見咎・・・

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十年越しのクロスワードパズル

18/09/08 コメント:0件 本宮晃樹

 わたしにはクロスワードパズルに特別な思い入れがある。
 時間の空いたとき――白状すればたいていの休日が該当するわけだが――はなんでもいいから雑誌を買ってきて、記事そっちのけで目的のしろものを一日じゅう解いていたりする。
 いまもなじみの喫茶店にコーヒー一杯で陣取り、益体もないパズルに頭を悩ませている。店員の目が鋭さを増すなか、わたしの集中力は研ぎ澄まされていく。
 こんな奇特な・・・

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Tangle

18/09/08 コメント:0件 雪見文鳥

 残念なことに世の中には、いくら言葉を尽くして喋っても、人の気持ちを理解できない人がいる。彼らに悪気はなく、自分が誰かを傷つけたという自覚がない。彼らは決してひとりになろうとしない。いつだって集団になって、たったひとりを傷つける。そして残された人たちは、か弱い自分を守るべく、必死でバリケードを作るのだ。


 中学1年生の夏、私に一人の彼氏ができた。けれど一つ大きな問題があった。・・・

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伏せ爺と僕

18/09/08 コメント:0件 むねすけ

 外では我慢している。黙るフリは上手くなった。
 家に帰る。靴を脱いで、揃えて、鞄を置くよりも早く、僕は喋り出す。帰り道で一人でも、癖を出さないのは母さんとの約束だ。僕はもう小学生じゃないから、約束は守れた。成長というのは嬉しいことばかりじゃない。要らなくなった踏み台の踏み心地を大好きだったこともある。
 僕の癖。独り言、と、人は言う。けど違う、僕のそれはカウンセリングの先生によって独・・・

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この世界の真理とは

18/09/08 コメント:1件 うたかた

 とある場所でとある人物が本を読んでいる。
 その本には一体何が書かれているのであろうか。感情が不図揺らいだ、かと思った瞬間、夢が覚めた。
 白く凹凸のある天井。小鳥のさえずり。全身を包む布の柔らかさ。布団の暖かな香り。これらを認知した僕は一体どういう仕組みでこれらを捉えているのだろうか。
 或いはこれらが存在していて、自らも存在し得るのであろうか。
 そのような自分の最も・・・

1

或る未完の原稿

18/09/07 コメント:2件 みーすけ

 これは、私が見つけた、書きかけの小説もどきである。
 原稿は、とある図書館の机の上に放置されていた。
 ここに内容を紹介させて頂く。なお、人名は、伏字とさせて頂いた。

   *

 ひと月以上前だった。バーで飲んでいると、僕の前に一人の男が現れた。痩せている、というより、やつれ果てて見えた。
 男は僕に、ある品物を買わないか、と持ち掛けてきた。
・・・

0

ルポルタージュ:紙面の白き盾

18/09/05 コメント:1件 マサフト

「伏せろおおーーー‼」

分隊長の怒号が飛ぶ。
私の目の前で整然と並ぶ、丸く白い盾を持った兵士たちが一斉に紙面に這いつくばった。盾を背中に構え、跪く彼らは守っているのだ。紙面に浮かぶ文字を。その文字をうかがい知ることは私にはできない。


先程の号令を飛ばした分隊長にお話を伺う。

ーーどんな文字を守っているのですか?
<・・・

0

君と過ごした日々

18/09/04 コメント:0件 はやかわ

 朝目覚めて、太陽の日差しを眺める。美しい景色だ。初夏の太陽は黄金に輝いている。
 リビングに降りていくと母親が朝食を作っている。
「お母さん。おはよう」
「おはよう。圭」
 母親と僕の二人暮らしだ。母親は父親と僕が生まれた時、離婚した。理由はわからない。
 僕らは朝食が出来上がると食べた。
「圭は好きな人いるの?」
「いない」
 僕はそう言って嘘を・・・

2

伏字ソフトの女

18/09/04 コメント:2件 W・アーム・スープレックス

 アダルト作家茂木伸の仕事部屋には、優秀な伏字ソフトがあった。
 伏字ソフトといっても、パソコン専用のソフトではない。彼の手書き原稿を、横でチェックしてワードでうちこむ、布施純子という助手のことだった。
 アダルト小説作家として、茂木伸の名はそれなりに売れていた。三年前、彼の手になる一作が、公序良俗をいちじるしく乱すと判断され、裁判沙汰にまでなって罰金刑をいいわたされたことがあった。お・・・

1

認知外クラック

18/09/03 コメント:1件 荒井文法

 メトロノームのように単純作業を繰り返す親指が、タイムラインを弾き落とし続ける。
 見飽きたプロフィール画像と、どこかで読んだことがあるような文字列がザァザァと降っていく。
 一瞬、見覚えのないプロフィール画像と、物騒な文字が見えた気がして、タイムラインを戻してみると、知り合いがリツイートしたものが現れた。


 ※


●山●美 @●●t●s●●●・・・

3

Prayer for healing

18/09/03 コメント:3件 向本果乃子

 今日最初の患者ー三十代の痩せた女性が口を開く。
「どうしても書かないとだめですか?担当医は報告しておくと」
「聞いています。ただ、自分の言葉で書くことが必要なんです」
 女性は渋々鉛筆を握った。字を書くこと自体久しぶりなのだろう。何度か握りなおして真っ白な紙を見つめる。
「決まりはありますか?」
「ありません」
 女性はしばらく紙をみつめていたがやがてゆっくり・・・

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トワイライトカフェ

18/09/02 コメント:0件 妄想シネマ

「ねえ、本当のこと話してよ。ヨッシーってなに」
彼女は真剣だった。
今、緑の恐竜について熱弁することもできる。赤い帽子を被った配管工を背に乗せ、長く伸びる舌で敵を丸呑み。卵も投げられ、レーシングマシンに乗せれば加速は随一。すごいよね、ヨッシー。
もしそう説明したのなら、彼女は立ち上がり、短い言葉を残して去るだろう。最悪ビンタの一つや二つは覚悟すべきだ。そしてこのカフェに残された僕・・・

1

書き置きが読めない

18/09/02 コメント:2件 浅月庵

 ◇
 朝起きると僕は、文字が読めなくなっていた。
 いや、正確に言うと妻の書き置き“だけ”が読めなかったのだ。

 ケータイのホーム画面は、今日が元日であることを示していたし、テーブルに置かれた新聞の見出しは、白ヌキ文字で僕の目に容赦なく飛び込んでくる。

 だけど、テーブルに置かれている少し皺の寄ったコピー用紙。そこに残された、見慣れたはずの妻の筆跡は、僕に・・・

2

裁かれた言葉

18/09/01 コメント:2件 本宮晃樹

◎今月の要注意ワード
 財団法人 日本語適正化機構より公表する〈望ましくない日本語〉(九月度分)は次の通りです。漏れのないよう目を通していただき、極力使用を控えるようご配慮願います。

スリッパ 語感が悪い。窃盗の俗語であるスリとかかるため。→アタリッパなら許容。
おまんま 幼児語として不適切。女性器の俗語と混同しやすい。→代替用語なし。原則使用不可。
だるま 四肢欠・・・

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ふせ字解読下じき

18/09/01 コメント:1件 海見みみみ

 放課後。カタルくんは近所に住む、いとこのチエミお姉さんの家へ遊びに行きました。しかしこの日のカタルくんはどこか変で、デレデレとしまりのない顔をしています。
「どうしたの? そんな面白い顔して」
「面白い顔とはなんだ。……実は今日小学校でラブレターをもらったんだ」
「あら、よかったじゃない」
 チエミお姉さんがお祝いのはくしゅをすると、カタルくんはさらにデレデレとしました。・・・

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きにして

18/08/31 コメント:0件 春海

濃い霧の中。冷たい朝の気配が辺りにたち籠めている。
こんな早い時間に、何故私は一人通学路を歩いているのか。
ぽつりぽつりとすれ違う人はランニング中か犬の散歩。
こういう雰囲気ってなんて言うんだっけ? あ、そうそう。せいひつな感じ。漢字は分からないケド。

なんだかざわざわする。静かで、でも何か動き出しそうな。実はニンゲンは世界に私一人になっちゃっていて、周囲の家の中・・・

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ほにゃららを教えて

18/08/30 コメント:2件 安藤みつき

私は放課後の誰もいない教室で小説を読むのが好きだ。
この誰もいない空間では、自分という存在を忘れて小説の登場人物になりきり、物語に没頭することができた。
そんな空間で突如不釣り合いな音がなり始めた。
学生生活で何千、何万回と聞いただろうチョークで黒板を叩く音だ。
小説を読んでいたかったが、音が気になり黒板に目を向けた。

(ほにゃららを教えて)

黒・・・

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伏せられた名前

18/08/29 コメント:0件 W・アーム・スープレックス

 こういう地方のホテルだからか、二人の名前を記帳してくれと受付にいわれて、私がとっさに「来栖富雄」と書いたのは、彼女がいつも私をみてトム・クルーズに似ているといっていたからだった。それまでトム・クルーズという俳優のことをしらなかった私だが、彼女にいわれてからはその俳優が出演している映画などもみるようになって、へえ、おれってこんなイケメンなのかと、自惚れもてつだっていささか気をよくしていたのだ。

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夢と君とミステリー

18/08/29 コメント:0件 55

 その日は照り返すような太陽の熱が、道路に反射して、目の前が揺れていた。僕は桜子の歩く道の先が、揺ら揺らしているのが不安で、首に伝う汗を拭った。

 僕はよく夢を見る。同じように夢を見る人には理解できると思うが、夢は必ずしも心地の良いものじゃない。身近な人間から、過去の他愛ない風景まで、ごちゃ混ぜになって出てくる。大体の場合、そんな舞台の中心に立つのは、心配事だ。
 桜子の父親は・・・

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排水溝奇譚

18/08/27 コメント:3件 クナリ

 僕は道端の排水溝の中に入って仰向けに寝転がり、蓋を閉めて、その隙間から空を見るのが好きだった。
 小学校の頃にこの趣味を自覚し、高校一年生になった今でもそれは変わらない。
 しかし、この行為はとても卑劣な覗き行為と不可分だ。
 いくら僕にその気がなくても、それはまごうかたなき犯罪だ。

 だが僕は僕で、この趣味をやめるわけにはいかない。
 排水溝に入らないでい・・・

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『非現実』

18/08/27 コメント:0件 カジキM

 卑猥な言葉を叫びたい。
 そんな衝動に駆られる。
 「○×△△」や「△□〇」など、ここに記すには伏字にしなければならないような、私たちが生きる社会の上では決して使ってはいけないような単語をだ。
 なるべく堅苦しい場面が望ましい。大学の講義、会社の会議、葬式、そんな場面で幼稚な声色で、無邪気に卑猥な言葉を叫べたらどんなに快感だろう。

 こんな衝動に目覚め・・・

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サプライズ好きの彼

18/08/26 コメント:0件 キップル

 マンションのエレベーターから降りて右へ曲がり、いつもの廊下を歩く。最近立て続けにバイトの子が辞めたのでたくさんシフトを入れられて辛い。角部屋のひとつ手前が私の部屋だ。いつもならすぐにドアを開けて、靴を脱ぎ捨てソファにダイブするのだが、今日は違った。ドアの郵便受けに白い封筒が刺さっていたのだ。

「何だろうこれ?」

封筒には切手が貼られておらず、差出人の名前もない。多分誰・・・

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塗りつぶされた手紙

18/08/26 コメント:0件 雪見文鳥

 その便箋の名前は、トイといいました。すずらんの花がプリントされた、綺麗な便箋でした。トイの将来の夢は、だれがだれに宛てた手紙でも良いから、まごころを込めて書かれた手紙になることでした。転校してしまった友達への手紙、母親が遠く離れた息子へ送る手紙、大好きな人に宛てた手紙。そんな美しい手紙に。
 トイの持ち主は、高校生の花乃子さんです。息が凍ってしまいそうな寒い夜、書店のレジ近くで、花乃子さん・・・

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みえない

18/08/25 コメント:0件 55

 咲絵は死んだ。地下に沈む小さなライブハウスで、アコースティックギターを折った。最前列から避けるように空いたフロアの穴が、一歩分広がる。立ち尽くすファンの手から、蛍光色のペンライトが落ちた。
「二十八歳になりました」
 咲絵は亡霊のまま、スタンドマイクに息を吹きかけるように言う。
「ずっと、有名になりたいと思ってやってきました」
 ショッキングピンクのガーターリングを脱ぐ。・・・

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言葉にならない、●してる

18/08/25 コメント:0件 腹時計

 その日まで、彼女のことがとりわけ好きだということはなかった。
 少なくとも、自覚している分には。

 その日の朝、湊章太は朝七時には起きて、ゆっくりと朝食を取り、課題のレポートをコーヒー片手に片付けた後、昼近くになってから、大学へ向かった。こんなに余裕のある午前中を過ごすことは滅多にない。時間の余裕は、心にもゆとりをもたらす。なんだかすれ違う人に対しても、朗らかな挨拶をしたくな・・・

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誰を、思いやるがゆえ

18/08/25 コメント:0件 秋 ひのこ

 大学を卒業する年、まだ高校生の彼とつき合い始めた。
 人懐っこい子どものようなAを、私は無垢な犬みたいに可愛がった。私の家に入り浸ることを喜び、ろくに勉強もバイトもしなくとも、その伸び伸びとした姿を微笑ましく愛でた。
 自分の変化に気づき始めたのは、就職して3年目、Aが大学2年の年だ。

『西森教授、盲●で入院だって。ラッ●ー、休講!』
『今夜、餃子求ム。王●の再現・・・

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ゲーデルの眼

18/08/25 コメント:0件 カンブリア

 秘密。
 秘密とは何か、考えたことがあるだろうか?
 真実が常にそうであるように、逆説的な話をしなければならない、すなわち、もしもそこに秘密があることが知られているならば、それはすでに秘密ではない。
 秘密とは、矛盾と同様に、もっともありふれていなければならず、そして、ありふれているのだ。

 この事実は、電子データに記されてはならない。
 全てのネットに接続・・・

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あて字クイズ

18/08/24 コメント:0件 こぐまじゅんこ

 はるくんは、四歳。
 今日は、ばあちゃんとおるすばんです。
 ばあちゃんが、
「はるくん、あて字クイズしようか。」
と言いました。
「あて字クイズってなに?」
 はるくんが、きょとんとしていると、ばあちゃんは、紙とマジックをもってきました。
 紙を四角く切ると、

 り○ご

とマジックで書きました。
「この○にはいる字をあ・・・

2

伏字ラブレター〜十三文字の秘めごと〜

18/08/22 コメント:1件 文月めぐ

 絵理沙は透明な書類ケースを使っているから、中身が丸わかりになってしまう。大学生協に売っているやつだ。それにレポートやらルーズリーフやらを詰め込んで移動するのだが。
 「周へ」
 そんな文字が見えた気がして、俺は思わず二度見してしまった。
 その封筒は確かに絵理沙のケースに収められていて、これはラブレターだ、彼女は周が好きなんだ、と確信した。
 俺は絵理沙が好きだ。いつも研・・・

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将来を

18/08/22 コメント:0件 佐竹竹之助

夏の夕暮れは蝉時雨と蜃気楼を連れて訪れる。白昼夢のような光景を見つめ膝を抱えていた。
「なぁ、芥生よ」
僕、榊健二郎は陽が沈みかける校庭の木陰で、隣に座る芥生恭助に声をかけた。
「なんだぁ、榊。こんな暑い日に校庭で夕陽を見るだなんて」
返ってきたのは気怠げな声色の文句であったが、それを無視して僕は問うた。否、問おうとした。
「僕らはこれから……」
「その先、言う・・・

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ニセン●年

18/08/22 コメント:0件 土佐 千里

「太田さん、お誕生日おめでとう!」
今日は30回目の私の誕生パーティー!うちの会社は全従業員が10人でアットホームだから、社長も含め一緒にお祝いしてくれて、セレブになった気分。入社して5回目の誕生パーティーになるけど私にとっては、本当に毎年楽しみにしている行事の一つだ。
 今年も毎年恒例、それぞれが何か気軽なプレゼントを用意してくれた。入浴剤やタオル、スイーツまで小さくてもうれしいもの・・・

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無口な私の分岐点

18/08/21 コメント:0件 土佐 千里

 私はこれまで、なんとなく平凡な人生を歩んできた。性格も無口なほうで、あまり友達もいない。いじめられている人をみても注意もできず、逆にいじめられることもあった。将来なりたいものがなく、公立の小学校から中学、高校、そして何の苦労もなく、大学は指定校推薦がきている学校に面接だけで入学した。
 就職活動の時期になって、これといった企業も特に無く、ヘタな鉄砲も数うちゃあたる方式で、幅広い業種の就職試・・・

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「天才ミライの未来。」

18/08/21 コメント:0件 倉本莉亜@小学生小説家

ミライは、自分でも天才だと信じていたし、世界もそう信じていると思っていた。

まるでそれが「あなたの名前はミライです。」と同じことのように、生まれた時から天才なのだと。

ミライは、7歳で宙に浮く車を発明した。

8歳で全ての家事を自分で行う知能が備わった家を設計した。

9歳で携帯やパソコンといった機械が必要ない、空気がパソコンや電話になるエアーネ・・・

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言論の自由を絆す会

18/08/21 コメント:0件 荒井文法

 「もうほんと、チ●ポ法、まじ勘弁っす。意味分からないっすよね」

 二人の男が食事している狭い部屋、否、本来は広い部屋なのだが、膨大な書類が床に雑然と積まれているため、床面積の二十五パーセントしか空いていない部屋で、眼鏡をかけている男が、唇をミミズのように踊らせながら言った。男の口の中では、コンビニ弁当から移された様々な食べ物が渾然一体であるが、その様子を説明しようとすれば、都の迷惑・・・

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「秘め事」

18/08/21 コメント:0件 篠五野 ユウ

 成功したの。
 そう、同性だからと半ば諦めていたけれど告白が成功したの。それでね、それでね。私達、恋人になったの。そして、その日のうちにどちらともなくキスしたの。放課後の教室。カーテンに隠れて。二人の秘め事。はじめの秘め事。だーれにも言えない空白だから秘密にしましょう。そうしましょう。それでね、それでね。神様が、夕焼け小焼けの茜の色で、二人の頬と。私の本当の色を隠してくれたの。
*<・・・

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「バケツ人間はBarに集う」

18/08/21 コメント:0件 篠五野 ユウ

 そのかぶり物を作るのは簡単だ。指定された百円ショップで、頭がすっぽりと入るプラスチック製のバケツを購入し、半田ごてで、お面のように自分の目の位置に見通し穴を空ける。そしてヤスリで尖った部分を削る。それだけだ。

「初めてで驚いたでしょう?」
 ここのバーのマダムがカウンター席に座っている私に話しかけてきてくれた。
「ええ。ドアを開けたらバケツを被った人達が十数名いて、開・・・

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知見調査士

18/08/20 コメント:0件 荒井文法

 あの凄惨な事件をきっかけに制定された悪名高き知見担保法(通称なんだけどね。正式名称は「知見の信頼性を担保するために講ずる調査に関する法律」。蔑称、チ●ポ法……)であれば、たくさんの人が知ってると思うけれど、片や『知見調査士』のことになると、知らない人が途端に多くなる。一応、国家資格なんだけどね……。

 誰でもネットが使えるようになって、わざとじゃないにしても、嘘の情報を拡散すること・・・

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◆※▽

18/08/20 コメント:3件 風宮 雅俊


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マイノリティ

18/08/20 コメント:0件 風宮 雅俊

 彼女は、今日は欠席している。たぶん今週は来ないだろう。もしかしたら、そのまま辞めてしまうかもしれない。彼女は▼◇Φ▽だから・・・・

「ねぇ、知ってる? 彼女▼◇Φ▽なんだってよ」
 隣の席のA子に訊いた。
「知ってる、知ってる。彼女、今まで▼◇Φ▽だって事を隠していたんでしょ」
 さすが、A子。情報が早い。
「うそ・・・、▼◇Φ▽なのに私たちの中にいたの?」・・・

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こんな隣人のハナシ

18/08/20 コメント:0件 とむなお

ハッ――と、僕は起き上がった。
「なーんだ、夢か……」
僕は、ホテルの涼しいロビーで寝ていたのだ。
やがて僕は、ヨロヨロとホテルから出ると、都心の空に目をやった。

ジメジメした季節が過ぎ去り、次の季節がやってきて、一ヶ月が過ぎようとしていた……。
――が、太陽は、日の出を少し過ぎると、めいっぱいの熱量を、人々の頭上に降りそそぐ。
街は昼を待たず、ふっとう・・・

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伏字原稿

18/08/20 コメント:2件 戸松有葉

「おいクソ野郎、こんなの誤字脱字じゃないだろ」
「どうしたんですか、急に自宅まで訪れて来て。それにクソ野郎呼ばわりだなんて。いくら出版業界や世間で舐められがちなラノベ作家といっても、パートナーの編集者がそんな接し方していいんですか」
「お前にだけはいいんだよ、それだけのことをしているんだよ、ふざけんなクソ野郎」
「何がいけなかったんですか。プロットは好反応だったじゃないですか」<・・・

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履歴書に伏せ字があるのですが?

18/08/20 コメント:2件 戸松有葉

 新規採用募集に応じられた、学生らの履歴書をチェックする人事部の中年男性は、ある履歴書に目が留まった。
 決していい意味ではない。そもそもいい意味で目に止まる履歴書など、考えにくい。「ありえないほどの高学歴でうちの会社に?」というものでもない限り。いや、その場合でも、本気なわけがないからと馬鹿にしていると捉えて、いい意味にはならない。
 さて、どんな履歴書だったのか。顔写真が抜けており・・・

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伏字にせねばならない国、日本

18/08/20 コメント:0件 戸松有葉

 ここで記すのは、ノンフィクション――実話です。創作物のように、カタルシスを得たり余韻が残ったりする終わり方ができないことをご承知ください。現実である以上、この話は、今もこれからも続いています。
 すべてを記すと長文になるので、警察に焦点を絞ります。そのため話の前後が見えにくいでしょうが、読者に直接関わることではないので、適度に流してください。
 警察と言いました。公的機関・公人の話で・・・

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ANSWER

18/08/20 コメント:2件 R・ヒラサワ

 アキコが二十歳ぐらいから知るショッピングセンターは、オープンから既に三十年は経つだろう。ここにはしばらく来なかったが、最近また利用するようになったのは、十年以上連れ添った夫と別れた事がきっかけだった。
 夫の浮気が原因で離婚してから半年。今年で五十歳になるアキコにとって、熟年離婚は簡単な事ではなかった。
 夫が提示した慰謝料によって、経済面の不安がある程度解消された事と、何より、自分・・・

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バベルの塔再建阻止

18/08/20 コメント:0件 蒼樹里緒

 昔々、同じ言語、同じ言葉を使っていた人間たちは、神様に挑戦しようと、天まで届く高い塔を建て始めました。
 ところが、その様子を見た神様は、人間たちの言語をバラバラにし、彼らの言葉の意味が互いにわからなくなるようにしてしまいました。
 人間たちは仕方なく、別々の国、別々の文化を作って暮らすようになりました。
 それから何千年もの月日が経ちましたが、言語や言葉が変わっても、何度とな・・・

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