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第1回 時空モノガタリ短編文学賞

テーマはございません。

恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

時空モノガタリ短編賞発表日:2018/08/27

☆★2015年6月21日、不慮の事故で急逝した時空モノガタリ作者・松山椋君のお父様から賞金の一部をご提供いただきました。松山椋君の時空ページへリンクするバナーを貼りましたので、皆さまぜひ松山椋君の作品を読んでみてください★☆

【 松山椋 プロフィール 】

・1990年7月27日生〜2015年6月21日  享年24歳
・愛知県出生
・岐阜県在住
・2013年3月 立命館大学卒業(京都を愛した文学青年)
・不動産業勤務
・音楽、そして日本文学をこよなく愛し、最近は執筆活動をしていました。
・2015年6月21日、24歳の若さで突然の事故により他界。
・元々持病があり、近年は好きな酒や煙草を断ち『長生きする』と日々口癖。
・『走れ、走りつづけるよ』将来の目標は作家。近いうちに自費出版予定でした。

※投稿作品数は1作者1作品とさせていただきます。

※R18的な暴力表現・性描写はお控えください。

※2次創作品の投稿はご遠慮ください。

※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。松山椋君ページ

ステータス 終了
コンテストカテゴリ
投稿期日 2018/06/18〜2018/07/16
投稿数 94 件
賞金 大賞 5万円
青き筋肉の疾走賞〜松山椋君を偲んで 3万円
優秀作品賞 2万円

※それぞれ複数受賞の場合、該当なしの場合あり
投稿上限文字数 4000
最大投稿数 1
総評 初の4000字制限ということで、この字数増がどう作用するかと心配をしたのですが、内容の濃い作品がいつもにも増し多く、素晴らしいコンテストになったと感じています。普段はさほど目立たない作者の作品の多くが、いつもより読みやすくまとまっていて、そこにかけた時間やエネルギーがしのばれます。2000字よりもある意味では書きやすかったのかもしれないですね。通常のコンテストでは冒頭部分に緊張感がないために損をしている作品が多く、短い文章であればそれが大きく作品全体の質に影響しますが、長い文章であれば、その欠点を中盤から後半にかけての充実具合が補ってくれるからです。短い中で、無駄なく表現するというのは、やはり技術が必要とされるのかもしれません。結果的に多くの作者が、いつもよりも数段面白いものを仕上げてきていて、非常にうれしく感じました。複数入賞されている作者にとっても、様々な長さの文にチャレンジすることは、やはりいい訓練になるのではないでしょうか。 『リインカーネーション』角膜移植というものは死後の肉体にメスを入れるだけなのだから割り切ってしまえ、といえば簡単ですが、当事者とすれば生と死の交換条件のようで罪悪感を覚えてしまうかもしれませんね。沖縄の海と空の青がつながって見えたように、二人の生と死が、断絶したものから連続性したものとなり、未来へとつながっていくところに希望を感じます。緻密な表現の中に世界への愛と熱量を感じ、引き込まれました。 『押し入れに花束を』自分を守る心理的なツールとしての「傘」を持たずに孤独を抱える少年の苛立ちが、現実と虚構の交錯する日常の中に凝縮されているようでした。少年に、思い通りに世界を創造する力があったとしても、その自己肯定感の薄さゆえでしょうか、排除的な世界しか創造できない悲しさと、底の見えない孤独が印象に強く残ります。 『ノラの寝床』「きっと立ち止まった場所がそうなのだ」と述べられているように、未来のゴールを設定して頑張ってみても、いつしかまた別の居場所を求めてしまうというループを終わらせるのは、ノラ猫のように、その瞬間その場に立ち止まり自由に生きることなのかもしれませんね。後半にかけてだんだん吸引力が高まっていき、ラストの段落の猫のシーンには派手さはないけれど、しみじみ伝わるものがありとても引き込まれました。 『魔女っ子キララ』過去にのみ生きる人間の哀しさ、そして認知症の母との心理的物理的な距離感を模索する家族像がリアルでした。自分もやはり架空のイメージに浸っていると気づいてしまう娘玲子の冷静さが印象的で、多かれ少なかれ、誰でも心地いい虚構の中で生きることで安心を得ているところは、確かにあるのですよね。とはいえ、その程度の差が現実では決定的なわけで、娘の存在すら忘れ去った母と家族であり続ける辛さを感じます。 『凪子さん』十代らしい繊細な感性が魅力的でした。ツユカの中で凪子さんは、「自分では気づけなかった自分」なのですね。自分の経験から言っても、十代は他者を見ることを通して自己を模索する時期なのかもしれません。未知の優等生という「ありきたり」の像への憧れと、そこから徐々にありのままの人間像に触れていく瞬間の切り取り方が美しく、新鮮さに満ちていました。

入賞した作品

8

土まみれの純白

18/07/16 コメント:10件 飛鳥かおり

 一番初めに覚えた諺は「出る杭は打たれる」であった。子ども用のことわざ辞典をめくっていたときに、「ああ、私のことだ」と思ったのだ。
 小学校に通いだした私は、教室で大人しく座っているというノルマを毎日こなしていた。
 教科書は配られた週の週末に読み終えていた。算数ドリルをもらった翌日に全問解いたものを提出したら「みんなに合わせようね」と先生に呆れられた。
「どうして?」
 ・・・

7

ほんうたい

18/07/16 コメント:5件 宮下 倖

 信号が青に変わった。再生ボタンが押されたみたいに一斉に人々が動き出す。
 その流れに足を任せ、ぼくは左手に持っていた本を右手に持ち替えた。周囲にも本を携えて歩く人がいる。彼らの足取りは弾み、表情も楽しげだ。もしかしたらぼくも同じように見えているのかもしれない。
 しずかに宵が迫ってきた。鬼灯色の夕陽が空を溶かし、地平からゆっくりと夜を引き上げてくる。
 今日はよく晴れていたから・・・

5

小説家の洞窟

18/07/12 コメント:3件 若早称平

 もともと書くのが早い方ではなかったが、ここまで書けなくなったのは作家になってから、いや、小説を書き始めてから初めてのことだった。机に向おうが散歩をしていようが食事中だろうが、寝ても覚めても小説のことを考えているのになにも書けない。アイディアが浮かばない。とうとう雑誌のページに穴をあけ、八つ当たりのように仕事用のノートパソコンを壊したとき、妻であり、編集者でもある一実からしばらく休んで旅行にでも行・・・

7

哀しい人

18/07/02 コメント:10件 向本果乃子

 家の中にいても波の音が聞こえる。
「ここに住んでたんだよね」
 海辺にある平屋の一軒家。
「すごい物の量」
「週末で片付けるのは無理だね」
 溜息をつく妹の頭に白髪を見つけた。三つ下の妹は三十七になる。自分たちがそんな歳になったなんて信じられない。でも七十の父が心筋梗塞で亡くなったのだから確かに月日は流れたのだ。
「お母さんが死んで一年もたなかったね」
・・・

最終選考作品

12

リインカネーション

18/07/16 コメント:16件 冬垣ひなた

「何度も言うようですが、亡くなったドナーの情報はこれ以上お教えできません。感謝の気持ちを伝えたいのであれば、あなたの名前を伏せて、ご遺族の方にサンクスレターを書く事が出来ますよ」
 角膜移植手術の経過は順調だった。16歳にして円錐角膜の大病を患った私は、善意の人の命と引き換えに窮地を救われ、再び視力を得たのである。
 左目の角膜を提供してくれたのは、20代の男性だそうだ。
 忘れ・・・

5

押入に花束を

18/07/16 コメント:4件 入江弥彦

 もしも、僕に可愛い彼女ができたなら。
 そう思った翌日、僕の隣には裸の女の子が寝ていた。わざとらしいくらいカールしたまつ毛にほどよく上気した頬が可愛らしい。作り物みたいに透き通った肌に触れると、彼女が本当に作り物だということが分かった。けれども、後ろめたさを隠しながらめくった布団の下にある彼女の胸は上下しているし、温度の変化のためか鳥肌も立っていた。
「カイリ、そろそろ起きなさいよー・・・

3

ノラの寝床

18/07/12 コメント:3件 白汐鈴

 茜がその日に見たのは、ふつうの青い青い空だった。
 雨など降りそうになく、そのことが少し憂鬱で、すべて放ったらかして飲みに出かけようかと考えたりもしていた。
 開け放った縁側から暑くも寒くもない穏やかな風にのせて、品のない笑い声が裏の家から聞こえてくる。ここらあたりに住む人たちは良くいえば豪快、悪くいえば野蛮という言葉が似つかわしく、喧嘩しているようなやりとりは明日の祭りの打ち合わせ・・・

3

魔女っ子キララ

18/07/10 コメント:4件 秋 ひのこ

「だから電話でもお話ししましたように、母にテレビ出演なんて無理です」
 自宅の居間で、玲子はふたりの男性と向き合っていた。隣には夫の聡真(そうま)がいる。
「VTR出演だけでも駄目ですか」
 30の玲子たちとそう歳は変わらないテレビ局からきた男が、熊のような身体を乗り出した。
「我々がお母様の施設に機材を持って伺いますし、それほど負担にはならないかと……」
 熊の隣で・・・

2

凪子さん。

18/06/27 コメント:0件 れいぃ

数学のできる女の子は、できない子より少し繊細で美しい。
数の世界に踏み込んでいくのは、無機質なガラスをかきわけていくみたいだもの。
 ツユカは、背中で揺れる凪子さんの黒い髪を見るたびにそういうことを考える。数学が苦手な子がほとんどのクラスの中で、難しい数式をすらすらとける凪子さんの存在は特別なものに思えた。ツユカは現代社会や政経は得意だけど、数学となるとさっぱりだから、余計に凪子さんを・・・

投稿済みの記事一覧

1

岬のふたりと散弾銃

18/07/16 コメント:0件 mokugyo

「この世に言葉があるからこそ、人は不幸になる」

こう言うのだ、佐々木は。その視線の先には広大な海が広がっている。しかし、佐々木の目には海の青さもむなしい色にしか見えないのだろう。

狂いそうになる程の夏の暑さとは裏腹に佐々木の表情はきわめて冷静である。それはもう憎らしいほどに冷たい。仮に5秒後に彼女と吉田が立っている岬が崩れてふたり揃って仲良く落下しても、佐々木は表情を変・・・

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春を待ってる

18/07/16 コメント:0件 紫聖羅

 *

 僕が生まれたのは、三月のとても寒い日だった。その日、東京は大寒波で大雪に見舞われた。人々は口々に、
「今年に入って何度目の積雪かしら」
「地球がおかしくなってるんだ」
 とぼやいていたけれど、僕はとても寒さに強いので気にならなかった。
 この時、まだ目は見えていなかった。僕は元から足がない。でもそれで不自由なことは何もない。手は生まれてから3日目にで・・・

1

ドア

18/07/16 コメント:1件 奇都 つき

 友人が一人も受講していない授業では、特に席も決めていなくて、適当に座っていた。もっとも、決まってないとはいえ、あまり知らない人が得意ではない私はいつも端っこの席を取るようにしていた。隣の人との間隔が二席くらい離れていると尚良いと思う。丁度この講義で使う教室は直前まで授業が入っていないので、私は前の授業が終わるよりも早い時間に教室に入る。だからいつも一番乗りだ。
 しかし、ドアを開けると先客・・・

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君に、あなたに響く歌

18/07/16 コメント:0件 共和国民

 ここは、夜の商店街。聴こえてくるのは、青年の優しい歌声とアコースティックギターの音色。ほとんどの店のシャッターは閉まり、規則的に並んだ電灯が、赤茶色のブロックを敷き詰めた道路を寂しく照らしている。千鳥歩きの酔っ払いが演奏を終えた彼に尋ねる。
「どうしてこんな人気のないところで歌ってるんだい?」彼はこう答える。
「待ち人がいるのさ」
 ここは、夜の商店街。人通りは少ないが、ここを・・・

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B4N R.I.P.

18/07/16 コメント:0件 凪野裕介

ー†ー
ある日、突然僕は死んだ。
交通事故で即死だった。
この話はそこから始まる!!
ー†ー



睦美にとって娘の凛は不思議な存在だった。
時折、誰も居ない道端で挨拶をしてみたり。
ひとりで部屋に居るはずなのにな会話が聴こえてきたり。
携帯電話も与えてはいないし部屋を覗いても他には誰も居ない。
育児本によると小・・・

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歴史

18/07/16 コメント:0件 55

 小学生の頃だった。バラエティ番組の笑い声が響くリビングルームで、父は自らの胸を叩いた。同時に台所に立つ母が、食器棚に手を伸ばす光景を覚えている。棚から一枚の皿が落ちると、小さな悲鳴をあげた母は物憂げな視線を落とした。振り返る父の首と同じ速度で、笑顔が出来あがった。
「大丈夫よ」
 自慢話を遮られた父は「そうか」と言って私に向き直った。しゃがみこんで皿の破片を集める母は、あの表情に戻っ・・・

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アナザー・ニュー・ホライズン――未完請負人・小椋小夜子――

18/07/16 コメント:5件 滝沢朱音

 突然私のもとを訪れたのは、見知らぬ中年男性だった。
「小椋先生、この小説の続きを書いていただけないでしょうか。お願いします!」
 リノベーションした古ビルの一室が、私の自宅兼事務所だ。広告や看板の類は一切出していないのに、この男はどうやってたずね当てたのだろう。いぶかしむ私に、男は説明する。
「仕事柄、出版社の方とも取引がありまして……それで先生のことを知ったのです。急逝した作・・・

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私と無口な先輩と

18/07/16 コメント:0件 七霧孝平

それは高校に入学した日のことでした。

「あれ、ここどこだっけ……?」

入学早々、私は高校の一角で迷子になっていました。
高校の奥の林は思っていたより広く私を包み込んでいます。
1人、高校探索をしてみたのはいいもののこのままでは帰れません。そんな時でした。

「……」
「きゃっ!?」

木から突然、男の人が降りてきました。
・・・

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女客

18/07/16 コメント:0件 

「『チェリー・21』の者です」
「あ、今ドアを開けます」
「こんばんは。えっと俺」
「時間通りね。入って」
「失礼します」
「はぁ、道端にしゃがんでる小僧ってかんじだけど。んー、もう少しワイルドマッチョがあたしの好みかなあ」
「他の者にチェンジもできますが」
「まあいいや。座って。缶ビールしかないけど、飲む? チェック・インする前にかるくひっかけて来たんだ・・・

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甘い生活をあなたと

18/07/16 コメント:0件 みや

僕がスーパーの品出しの仕事を終えて休憩室で冷えた麦茶を飲んでいると、レジ係の中年のおばさんが休憩室に入って来た。僕が妻と結婚した一ヶ月前にこのスーパーで働き始めたのと同じ時期にこのおばさんもこのスーパーで働き始めたていたので、僕達はなんとなく仲が良かった。
「あー今日も忙しかったね、お疲れ様。夕方のお客さんの多さと言ったら」
「お疲れ様でした」
「何急いで帰ろうとしてるのよ」

3

勘定狐

18/07/16 コメント:2件 奈尚

「それでね。その時ゴトーがさ」
「イヤだぁ、もう」
 昼休み。いつものように数人のグループを作り、談笑し合う同級生達の中に私はいた。
 活気にあふれた教室。束の間の自由を惜しむかのように絶え間なく笑い声が上がり、すぐ近くで聞き耳をたてていないと、誰が何を話しているのか判らなくなる。
 まあ、全グループの話を理解する必要は当然なく、私の場合は目の前にいる二人の親友――ムツミと・・・

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フライトタイム

18/07/16 コメント:0件 清野勝寛


「いらっしゃいませー」

 毎朝7時丁度に、その子は店にやってくる。肩まである真っ直ぐの髪の間から見える小さい耳。白いイヤホンで音楽を聞きながら制服のポケットに手を突っ込んで、真っ直ぐ俺の前……レジを横切ってカレーパンとミルクティーを手に取り俺の元へ持ってくる。俺は差し出されたそれを手に取りバーコードを読み取る。読み取らなくても会計は覚えたが。

「237円になりま・・・

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【エッセイ】私がアンジェリーナだった頃

18/07/16 コメント:1件 野々小花

 二十代前半の頃に結婚をした。相手はひとつ年上で、ブラジル生まれのひとだった。彼の両親は、幼い頃にそれぞれ家族でブラジルに渡り、現地で知り合い結婚した。そして彼が生まれて、彼が小学生になる前に、一家で日本にやって来たのである。
 彼は出会ったとき「うちは家族で小さなスーパーを経営している」と言っていた。どんなスーパーだろうと思ったら、日本の商品はほとんど売っていなかった。日本に出稼ぎに来てい・・・

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名札

18/07/16 コメント:0件 海音寺ジョー



 グリーンランドの西の村に、巨大な氷山が漂着したとインターネットのニュースで写真が流れてきた。

 村を覆うような大きい氷の山。

 神は海から来ると、柳田国男の『海南小記』に書いてなかっただろうか。綺麗というよりも、すごいというよりも怖い感覚に襲われる。

 払暁に仕事が終わって、終日営業をしてるスーパーに買い物に寄り、帰宅してからずっとパソコ・・・

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キャンデー

18/07/16 コメント:0件 ツチフル

 一粒で三十二種類の味が楽しめるキャンデーを買う。
 口に放り込み、舌の上で転がしてみる。
 始めはオレンジ。味の始まりはオレンジからと言う格言通りの、無難な出だしだ。
 わざとらしい酸味と甘みに、果皮に付着したワックスの風味も相まって、安物のオレンジ具合を見事に表現している。
 しばらく舐めているうちに味に変化が生じてきた。グラデーションのようにオレンジが薄らぎ、覆い被さ・・・

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ある自転車の話

18/07/16 コメント:2件 木野 道々草

 
 ◇◇◇

 夏の日照りの中、山沿いの国道をトラックが走っていた。その荷台に山積みにされた自転車たちが、振動に揺られて互いの体をぶつけ合っていた。修理が効かない自転車たちは、これから鉄工場へ送られるところだった。
 しかし彼らの中に、まだ走られる自転車があった。
 名前は、“六ペンス”といった。
 六ペンスを見つけた神様は、空から長い腕を伸ばし、ひょいと右手・・・

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白百合のかをり

18/07/16 コメント:2件 そらの珊瑚

 図書係はたいてい暇だ。中学校の図書室で本を借りる生徒は少ないし、いてもなぜか皆無口なので「お願いします」等必要最小限しか話さない。で、私は思うのだ。図書係に貸し出しカードを渡すという事は、自分が何を借りたかを知られてしまう可能性があるという事。そんな恥ずかしい事を赤の他人の私ごとき女子に知られてしまうかもしれない事実を前にして、やはり人は無口にならざるしかないのだ、と。
 でも私は差し出さ・・・

3

恋、時を超えて

18/07/16 コメント:2件 スプリット

 最近、田崎健太の電話の打率がにわかに上がった。
「もしもし、おれ、おれ」
そう言っただけで、いきなり電話を切られることがほとんどだったのに、「誰?」とか「どうしたの?」とか、相手が話に乗ってきてくれるケースがやたらに増えた。
 どうしてだろうか。この仕事を一緒に始めた京洛高校の野球部時代のチームメート、岡田隆二は「声が真に迫っているよ。相手も引きずり込まれるんじゃないか。やはり・・・

5

水底の邑

18/07/16 コメント:4件 泡沫恋歌

 一冊の本を持って旅にでた。
 本のタイトルは『水底の邑(みなぞこのむら)』文学的な響きに魅せられる。
 水底をみずぞこではなく、みなぞこと読ませて、村ではなく、邑(むら)という中国漢字を使っているのが興味深い。
邑(ゆう)音読み。(むら)は訓読み。口(くにがまえ、領域)+巴(屈服した人)、人を服従させ、その地に止めるの意。
『水底の邑』は、名も知らない作家の小説である。<・・・

0

海へ還す

18/07/16 コメント:0件 アシタバ

 母娘が訪れたのは小さな漁村だった。
 派手さはないが美しい海と緑の濃い里山がある。それらに挟まれるようにして古い民家がたち並び、村は潮の香りと蝉の鳴き声に埋め尽くされていた。
 小さく幼い娘と若い母親はそんな村の風景を写真に収めたり、海辺で波の音を聞いたりして時間を過ごしていた。
 やがて昼時になり、二人は空腹に気がつく。
 娘は海辺に一軒の定食屋があるのを見つけた。海の・・・

2

真っすぐ立って真っすぐに進む

18/07/16 コメント:2件 むねすけ

 メルちゃんの右目。曲のタイトル、夜のギターケース。駅に聴こえる初心者コードみっつのメロディー。
 メルちゃんの右目。小説のタイトル、更新される夜の十時。回るアクセスカウンター、読まれるストーリーは幸福な未来を友達に語りかける。
 メルちゃんの右目。パンの名前、早朝四時の寝ぼけた眼が目を描く。中身は美味しいウグイス餡。友達は春が好きだと左目で見ていたから。
 メルが右目の視力を失・・・

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さよならイツカくん

18/07/16 コメント:0件 高橋螢参郎

. 世の中の面倒事をスポンジのように吸い込んですっかり重くなった身体に何とか鞭打って、仕事を終えた僕は今日もベッドに倒れ込んだ。
 ひどい時にはこのままシャワーを浴びる事もなく明日を迎えてしまう。明日もまた同じように仕事をして、半分気を失うように眠るのだろう。息継ぎするのに必死の、下手くそなクロールのようなこの日常があと三十余年続くかと考えるだけで、僕の胃はひどくよじれた。
 もうダメ・・・

3

片想い

18/07/16 コメント:1件 石蕗亮

 あれはやけに腹を空かせていた時のことだった。 窓際のベッドで外を眺めている女が表通りから見えた。 カモだと思った。久しぶりに旨いものが食えると思った。  まずは身だしなみを整えねばと、それらしい格好をしてから女の部屋に現れた。 女は私の存在に気が付くとその瞳に憶びれの色も写さずに「誰?」と一言放った。 「見ての通りの者さ」 「目に映るものが全てではないでしょう」 素気なく答える女に折角身なりを・・・

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貴方に花を。色とりどりの、綺麗な花を。

18/07/16 コメント:0件 黒江 うさぎ

 そこは、真っ暗な…灯り一つ無い、真っ暗な場所。
 そこに、一人の女の子がいました。
 真っ暗な場所で、一人ぼっち。
 女の子は蹲って、すんすんと鼻を啜りました。
 …と、不意に。
 ぽっ、ぽっ、と、真っ暗なその場所に灯り達が灯りました。
 灯り達は、果ての見えない一本道を照らす様に、優しく、温かそうに灯っています。
 ふと、女の子が手の中を見れば、そこに・・・

0

人型恋愛ロボット

18/07/16 コメント:0件 柳瀬

もう少しだ、もう少しで完成する。
アキラ博士の長い研究の成果によって、もうすぐ人型恋愛ロボットが完成する。
これで、僕にも彼女が....いや、そんな卑猥な事を考えてはダメだ。
僕は人付き合いが苦手で彼女が出来ない不器用な男子の為にこの研究を成功させるんだ。
あとはこのロボットに声を吹き込むだけだ。
どうせだったら本物の女性の声を吹き込みたいな。
そう思った博士は・・・

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苦しみの町

18/07/16 コメント:0件 時津橋士

 夜。楓は自室でベッドに腰掛け、考え事をしていた。といっても、難しいことを考えていたのではない。昔体験した少し不思議な出来事を思い出していたのだ。楓はまだ幼かったころ、一度だけおかしな町に迷い込んだことがあったのだ。今となってはもう夢かもしれないその出来事を、楓は決して忘れることができなかったのだ。
 幼い楓が体験したのはこんな出来事だった。

 それは冬の夕暮れのことだった。楓・・・

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俺には記憶領域が10個ある。

18/07/16 コメント:0件 小高まあな

 俺には記憶領域が10個ある。
 10個のセーブデータを保有することができるのだ。RPGゲームと同じ、失敗したらセーブデータを呼び出し、またそこからロードしてやり直すことができる。
 幼い頃は、これは皆が持っている能力だと思っていた。だから、皆が試験後、試験前に戻ってやり直さないことが不思議だった。俺は何度も100点近くをとれるまでやり直していたのに。
 どうやらこの能力が俺にし・・・

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パンとスープ

18/07/15 コメント:0件 つつい つつ

 うつぶせになり崖の下をそっと覗きこんだ。林の中にいくつかの建物が見え隠れする。そこが僕の目的地だった。背中に背負ったパラシュートはちゃんと開くか心配だったけど、それは実際飛んでみないとわからないことだった。僕は覚悟を決めて周りにいる仲間に「行くよ」と告げた。みんなは僕の肩をそっと叩き、「お前は村の英雄だ」、「お前のことは忘れないよ」と、励ましてくれた。
 思えば僕の人生のほとんどは役立たず・・・

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生まれ変わり

18/07/15 コメント:0件 ひーろ

 自信はないほうがいい。そんなことを誰かが言っていた。曰く、真っすぐで揺るぎない自信を胸に突き立てている人ほど、何かの拍子に簡単に心が折れてしまうのだと。迷いながら悩みながらゆれている人の方が折れにくい。ちょうど、五重塔やスカイツリーの構造のように。
 この言葉は、すっかり生きる自信を失くしてしまった僕に、追い打ちをかけてきた。ちょうどこの頃、長年付き合っていた彼女に別れを告げられ、親友だと・・・

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みやちゃん

18/07/15 コメント:0件 三明治

 朝から母と口論になった。
 その日は整形外科に通院する予定になっていたのだが、母が突然ごねだした。
「からだが痛いから病院にいきたくない」
「なんだよ、痛いからいくんじゃないか」
「うごけないから、いやだ」
「そんなこと言わないでくれよ」
 何度かやり取りを交わした後、互いに、だんまりを決め込んだ。昔から言い出したら聞かない母の性格は、要介護の身になってから、・・・

1

ノナウミガメの方向転換

18/07/15 コメント:0件 安城和城

 男女共学化した現在でもお嬢様学校として有名な深窓(しんそう)大学に入ってからというもの、桜井春子(さくらいはるこ)にとって、長期休暇明けの講義はこれ以上ないほど憂鬱なものとなっていた。
 それもそのはず、同じ学部の友人たちから、どこそこに行って一日中泳いでいただの、どこそこで新年を迎えて昨日帰ってきたばかりだの、嫌でもそんな話を聞かされるのだ。
 その「どこそこ」が多くの場合海外の地・・・

2

爪の垢

18/07/15 コメント:1件 かめかめ

 貧乏下宿に帰ると部屋のドアにノブがなかった。ノブがついていたところにポッカリと穴が空いている。ドアノブ泥棒だろうか。健太郎は首をひねりながらドアを開けた。
 廊下の灯りが玄関に差しこんで、人の足が二本ニュっと伸びているのが見えた。
 慌てて電気をつけると老人がうつぶせに倒れている。
「大丈夫ですか!? どうしました!?」
 健太郎は老人のそばに膝をつき呼吸を確かめた。息が・・・

1

極楽惑星

18/07/14 コメント:0件 松本エムザ

「アナタはゾンビなのですか?」

 唐突な質問に、僕は目を丸くした。

「ど、どうして、そう思うの?」
「アナタはお風呂に入ると『極楽極楽』と言いますよね? 『極楽』とは、死んだ人が行く『天国』のことですよね? つまり、アナタは一度死んで、よみがえってココにいる」
「いやいや、そうじゃないんだハッくん」
 ハッくんの流暢な日本語と読解力には感心してしまうが・・・

1

ブルーな海底から晴れ空を仰ぐ

18/07/14 コメント:0件 Fujiki

 瑞樹の見ている世界を見るには、ひとまず一番近くの水族館に足を運んでほしい。水族館の水槽にはたいてい青のライトが使われている。透明な水を青く見せ、幻想的な雰囲気を演出するためだ。水を抜いてみたら背景の壁が明るい水色をしていることも多い。魚が文句を言わない限りピンクや蛍光イエローの水槽があってもいいはずだけど、青が圧倒的に多数である。
 そんな水槽の前に立ってみよう。通路が暗ければなおいい。青・・・

1

ジャスコが苦手な理由(わけ)

18/07/14 コメント:0件 くりまん

 ジャスコ今はイオンなのかやヨーカドーでの買い物が、最近苦手になってきた。
雨が降りそうな日曜日、地元のジャスコの交差点を曲がる時、無性に悲しくなって涙まで出そうになった。
 かつては、喜々として買い物に参列していたのに。こんな便利な施設はないと感心していたのに。
いつから変わってしまったのだろう。

 僕がこういう大型スーパーを意識したのは、社会人になってから・・・

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リアル雪女

18/07/14 コメント:0件 田辺 ふみ

「ようこそ、ワンダースノーへ。今日はあなたを不思議な雪の世界にお連れします。案内人は僕、雪だるまのダルマーです」
 明るい声を上げているのは若い普通の男性だ。宇宙服のような全身を覆うスーツとヘルメットを身につけている。いかついゴーグルは額の上に上げていた。
 雪だるまとは似ても似つかぬ姿に客席にはくすくすと笑い声が広がった。
 できたばかりの話題のテーマパークなので、家族連れとカ・・・

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獄中記(某月某日、使徒来たる)

18/07/14 コメント:0件 秘まんぢ

 きょう、義兄への傷害罪で長く服役中のわたしへと面会者が来た。平坦で単調な毎日をすごすしかない服役囚にとって、面会は暗闇から神様がまっすぐ自分のもとへ歩いて来るのにひとしい。恩寵を告げにだ。
「どんなやつです?」
「それがな、キム・ベイシンガーみたいな名前の女だよ。おまえ英語できるのか?」
 看守がまんざらでもない興味を示して聞く。
「まさか」
 安心したように「だろ・・・

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心の形

18/07/14 コメント:4件 浅月庵

 ◇
 チャイムの音色が授業の終わりを告げると、僕も含めた生徒たちは廊下へ抜け出た。
 ただ、次の授業は体育だけど、僕だけは体育館ではなく“違う場所”へと導かれていた。

 その歩を進めている最中、すれ違いざま隣のクラスの峯岸琥珀に耳うちされた。彼女から声をかけられたのは、これが初めてのことだった。
「横田くんさ、変な気起こさない方がいいよ」
 僕は峯岸さんから・・・

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ホーム・スイート・スイート・ホーム

18/07/13 コメント:0件 腹時計

 俺は小さい頃、ヒットマンになりたかった。
友達から借りた漫画の中で、黒コートを着こなすヒットマンは、まるで世直しのごとく、悪者を倒していた。冷酷だけれど実は情に厚く、圧倒的に強いヒットマンにあこがれるのは、何の力もない子どもとしては当然のことだと思う。
 貧しい家庭に生まれつき、母はあまり家にいなかった。飲んだくれの父はずっと家にいて、モンスターを家の中に飼っているようだった。

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博士が愛した罪

18/07/13 コメント:2件 路地裏

青の街、アメリア・カルセドニ。建物の高さは厳しく規制され、屋根の色はアトランティコ・ブルーで統一されている。街を囲む同色の海も、より一層輝きを放つ。この地を初めて訪れた者は「まるで海の中に居るようだ」と口を揃えて言う。私もその中の1人だった。まさか10年もこの地に留まることになるとは。アトランティコ・ブルーの魅力は、私の心を掴んで離さない。

私の職業は小説家である。「だった」という・・・

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ストーカー店長

18/07/13 コメント:0件 りんごさん

「お弁当温めお待たせいたしました〜」

高田 敏夫は業務用電子レンジからコンビニ弁当を取り出しながら、マニュアル通りのセリフを呟く。
今日はチーズたっぷりカルボナーラか。女性が食べるにしてはカロリーが高めだな――敏夫の心にさざ波が立つ。まさか男と一緒に食べるつもりなのだろうか。

「フォークはお一つでよろしかったでしょうか?」

商品が一つなのだからフォー・・・

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魔法使いマホガニー

18/07/11 コメント:2件 さくって

その日マホガニーは学校の帰りに本屋に立ち寄り、いつものように小説の表紙だけを見ていた。

マホガニーには特技があった。
それは、表紙を見ただけで、つまりタイトルと表紙イラストを見るだけで、その小説の内容が6割方わかるという特技だ。
マホガニーは想像力が豊か。
それも結構的を得たものだった。

マホガニーは将来小説家になればその想像力で売れっ子になれるかもし・・・

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馬鹿と煙は高いところへ上る

18/07/11 コメント:0件 佐々々木

「働くのってしんどいな」
 高校からの友人は、煙草の煙を吐き出しながらそう零した。顔をしかめて軽い調子で続く。
「こんなに仕事が辛いもんだとは思わなかった。大学時代に戻りたいよ」
 この春就職した彼とは違い、大学院へと進んだ僕はその気持ちがまだわからない。そんなことを言われても相槌を打つくらいしかできないんだけど、と内心困りながら、しばし間を置き、「そうなんだ」とだけ返した。

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走馬灯システム

18/07/11 コメント:1件 笹岡 拓也

「これにて炭田奏多様の走馬灯を終了させていただきます。また炭田様は享年32歳とお若く亡くなられているため、生前親しくされた方1名様と数分程ご歓談できますがご利用なりますか?」

目を覚ますと私は真っ白な部屋で大きなプロジェクターに映し出される私の走馬灯を観せられていた。走馬灯を観ながら喪服を着た男に様々な状況を説明させられる。どうやら私は不慮の事故で亡くなったようだ。
私は突然死・・・

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何でもあります

18/07/10 コメント:0件 新屋鉄仙

 ゴールデンウィークの初日、連休を読書で過ごすことにした独身男の陽介は、家から少し離れた大型書店に来ていた。
話題作を次々と手に取り、どれを買って帰ろうか悩んでいると、胸ポケットに入れていた携帯電話が小刻みに揺れた。
 相手は会社の同僚で、コンパのお誘いメールであった。コンパの場所は今いる書店から近く、開始時間も二時間後であった。今から家に帰っても、すぐに戻ることになるため、小説を一冊・・・

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わたしノオト

18/07/10 コメント:1件 カンブリア

 もしも叔父と、もうすこし遅く出会っていたならば、たとえば中学生、いや、小学校に入りたての頃からだって、もしかしたらあんな関係にはならなかったかもしれない。
 父とは十五歳も離れていて、むかしは恥かきっこなんて言ったらしいが、ともかく叔父は、高校のときには山奥の実家からわたしたちの家に下宿していて、そののちに私のものとなった部屋はずっと彼のものだったのだ。
 事故で死んだのは、高校生の・・・

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恋人ごっこの両縁結び

18/07/10 コメント:0件 笹原 琥太郎

 雨の中で、私は泣き暮れる。雨なのか、涙なのか、空に聞いてもわからない。空はただ、静かに暮れていくだけ。
 心寂しい冬の寒気は鈴の音の迎えを期待させては、落胆させる。
 座り込んだ岩の上から見える鳥居の赤が目に映る度、私の胸は酷く痛んで、向かうこともできずに俯いた。
 りん。
 空に線を引くような、愛しい鈴の音。又、りん、と鳴る。その音は段々と強くなり、最後に私の手の上で、・・・

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彼の死んだ世界

18/07/10 コメント:0件 hayakawa

 夕暮れの中を彼と歩いていた。電柱や家々の窓がある。やけに街灯の明かりは明るい。
 二人で酒を飲んだ帰りだった。
「俺の家泊って行けよ。明日は休みだろ?」
 大学生の彼はそう言って、僕らは彼の住むマンションに向かった。すごく見た目が立派なマンションだった。とても一人暮らしの若者が住むようなところじゃない。
「ずいぶん立派なところだな」
「だろ? うちの親は医者だから。・・・

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よく似ている

18/07/09 コメント:0件 ひろP

 「おいっ、このバカ」  そう、誰かが呼び止めた気がした。  「『気がした』じゃねェよ。呼んだんだよ、呼んだ。おいっ、聞いているか、バカ」  幼女の声だ。  でも、振り返っても、誰もいない。  「当たり前だろ。いないのは、お前の方なんだから」  意味が、分からない。  「頭悪いな。死んでこの世にいないのは、お前の方。幽霊のお前には、現世の人間が見えないんだよ」  死んだ?  僕が?  いつ?  「・・・

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墓荒らしと猫

18/07/09 コメント:0件 早良龍平

 月が浮上し、その高さが頂に達したと思われるとき、人里離れた共同墓地では墓荒らしが黙々、土に鋼鉄のシャベルを突き立てていた。
 墓荒らしの背後、少し離れたところから作業を見守るモノ、月光に照り光る翡翠の瞳はひとつの黒の猫である。
 猫は四肢を地につけ、背の筋を伸ばして座っていたが、墓荒らしを見るのに飽きたのだろう、細く長い尾をゆらりと浮かせ、少し面をさげてちろちろと、真赤な舌で前肢の爪・・・

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隠し味

18/07/07 コメント:0件 リーマン一号


ラーメン。

中華麺とスープを主とし、焼豚やメンマ、煮卵などをトッピングした麺料理。

別名では中華そばや支那そば・南京そばなどと呼ばれるが、その歴史は古く、

今日では醤油・塩・味噌・とんこつなどスープの種類によって区分けがなされ、日本の第二の主食とも呼べるほどの人気を誇る国民食である。

そして・・・

私が初めてラーメンを食・・・

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死体の家、家の死体――キャット・イーター事件――

18/07/06 コメント:8件 クナリ

 百瀬シレンは、女装した状態で、血まみれの猫の死体に唇を当てて開いた瞬間を、写真に撮られた。
 人気のない、地方都市の路地裏。シレンとは中学の同級生である常磐町キネリが、スマートフォンの液晶の角度を変えながら、映り具合を確認する。
 黒いブラウスに青いスカートという今日のいでたちは、シレンのお気に入りだった。上下黒のジャージ姿で、長い髪をこれも黒いキャップの中に押し込んだキネリよりも、・・・

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エルピス――最後に残るもの――

18/07/05 コメント:4件 しのき美緒

 高山一樹は走っていた。
ニコライ堂の前の坂を大きなストライドで息を一つも乱さずに上り、それから聖橋口改札の前を左へ折れた。そのまま電車に乗っても良かったのだが、学生時代から馴染んだこの街を味わっておきたかったのである。丸善では学生たちが静かに立ち読みをしている。その向かいには老舗画材店が変わらずにあった。一階入り口付近には最近流行のマスキングテープや、輸入品の美しいカード類がディスプレ・・・

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恋と花束

18/07/03 コメント:0件 糸白澪子

 もはや楽園か?  他校からいらした講師さんからはよくそう言われる。ここは100年以上の歴史をもつ4年制大学。白を基調とした西洋建築風の校舎が立ち並ぶ象牙の塔。付属博物館でもある時計台なんて、本当に映画に出てきても何ら違和感のない外観をしている。今の季節、紫陽花が景色に映える。  そのキャンパスの一画、竹林の横の校舎へ、私は小走りで入る。金曜2限の教室はここの3階。階段を駆け上がろう……か迷ったが・・・

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平凡な日々

18/07/03 コメント:0件 ちや

 俺の生まれた日、うす雲の覆う三月だというのにやたら肌寒い日だった。

 妊婦にとって子供の顔を見ることが出来ずに息絶えるなど、想像していなかったはずだ。肌寒さからかストーブをつけてあり、やかんがかけられていた。彼女は自分の腹から子供が出てくるのを心待ちにしていたであろう。しかし思いもしない方法で子は母親の胎内から出されることになった。
 犯人は彼女を絞殺したのち、腹を裂いて子供・・・

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TVで見たのと少し違うけど

18/06/30 コメント:0件 小峰綾子

「今日は帰りが遅い時間になるので夕食は何か買って食べてください。お金置いてあるからね」

帰りのバスの中で母からのメールを確認する。最近は特に珍しいことでもない。「コンビニ弁当で夕食なんて新鮮」と思ったのは最初の何回かで、ワンパターンの濃い味ももう飽きてしまった。ここ何回かは最寄りのコンビニではなく少し離れたスーパーまで弟とお惣菜を買いに行くのが続いている
バスを降りた後、弟に電・・・

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全力疾走

18/07/01 コメント:2件 瀧上ルーシー

 これは追悼小説、または追悼エッセイだ。あるいはただの駄文だ。僕の自伝でもある。
 僕の名前はR、もう三十代の所謂小説家志望だ。
 十七歳の頃から小説を書いて新人賞に投稿している。その頃に持病も発症した。持病のことは事細かに語らない、へんに同情されたくないからだ。とにもかくにも十七歳の頃、今は無きとあるエンターテインメント小説の新人賞に処女作を応募してB評定を貰った。選考の一番最初から・・・

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幸福は剃刀の形をしていない

18/07/01 コメント:0件 氷室 エヌ

 なんだかよく分からないんだけど、突然どうしようもなく幸せになりたくなる時がある。そうでなければ、もう死んでしまいたいと思う瞬間がある。
 例えば、行きずりの女と一夜を共にした後一人で目覚めてしまった朝とか。夜勤に向かうためにコンビニでエナジードリンクを選んでいる時とか。留守電に録音されていた、母親の「たまには帰ってこい」という催促を聞いてしまった昼間とか。怖い夢を見て汗びっしょりのまま目が・・・

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祈りの先に

18/07/01 コメント:2件 文月めぐ

 人はなぜ祈るのだろうか。

 今日は流れ星が見れるんだって、とクラスメイトの小原が言った。その日の休憩時間はしし座流星群の話で盛り上がっていたことをよく覚えている。クラスで一番騒がしい小原は「今日は遅くまで起きて、流れ星見るんだ」と自慢げに言い放った。すると他のクラスメイトも「僕も」「私も」と次々と便乗していった。「研一くんも見るでしょ?」と問われれば、わけもわからずうなずくことしか・・・

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新作人情噺「介護から看取りまで」

18/07/01 コメント:0件 治ちゃん

少子高齢化が深刻な今の時代。落語の語りにのせて、介護から看取りまでの状況を、新作落語と称して短編にしてみました。人情噺で有名だった三遊亭円生が噺ていると想像してお読みいただければ嬉しいです。・・・

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TVで見たのと少し違うけど

18/06/30 コメント:0件 小峰綾子

「今日は帰りが遅い時間になるので夕食は何か買って食べてください。お金置いてあるからね」

帰りのバスの中で母からのメールを確認する。最近は特に珍しいことでもない。「コンビニ弁当で夕食なんて新鮮」と思ったのは最初の何回かで、ワンパターンの濃い味ももう飽きてしまった。ここ何回かは最寄りのコンビニではなく少し離れたスーパーまで弟とお惣菜を買いに行くのが続いている
バスを降りた後、弟に電・・・

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夜星

18/06/28 コメント:0件 KOUICHI YOSHIOKA

 結婚をしたその年に病気で夫を亡くした私には、小学三年生になったばかりの俊太くんがひとり残りました。俊太くんは私の実の子供ではなく、亡くなった夫の連れ子です。
 夫が亡くなれば血の繋がった実の母親が引き取るのが筋かもしれませんが、実の母親は俊太くんを引き取ろうとはしませんでした。頑ななまでに拒否をしたのです。余計なものを背負いたくないのかと思いましたが、どうも顔をみていると無理して本当の気持・・・

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きみを連れて行くバスを待つ

18/06/28 コメント:0件 蒼樹里緒

 日付が変わりそうな夏の時間。人や車の通りも減った道路を歩くと、なんだか別世界に来たみたいだ。生ぬるいそよ風が、独特な夜の匂いも運んでくる。
 近くのバス停に、ちょうどバスが来ていた。深夜料金は高いけど、変質者に遭ったら嫌だし、歩いて帰りたくはない。わたしは、あわてて走った。
「すみませーん、乗りまーす!」
「はい、前払い四四〇円ね」
「あれ……?」
 財布の中に、小・・・

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月に恋して

18/06/27 コメント:4件 W・アーム・スープレックス

 友よ、こうしてメールで告白することをゆるしてくれ。
 告白するのは、いまこのときをおいてない。機会は二度とおとずれないにちがいない。
 まず蛙のことからはじめようと思う。
 僕は池のほとりに傘をさしてたっていた。目はじっと、しな垂れる草の先がなびく水面下をみつめていた。草のあいだに蟇蛙がうごめいていた。青朽葉色の膜におおわれた頭を水面につきだしては、黒々とみひらく目で雨をうけて・・・

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わたしのつばさ

18/06/27 コメント:0件 藤光


 五年ぶりに会った香澄はすっかり変わっていた。
 学生だった頃から、彼女の伸びやかな手足と整った顔立ちにはずっと憧れていた。身につけている流行のファッションや最新のメイクは何度も真似をさせてもらっていた。でも、待ち合わせに指定したカフェに現れた友人の顔は化粧気がなく、肩まで伸びた髪も行き届いた手入れがされてなくて、実際の年齢は三十五歳なのに、目尻に目立つ小じわも相まって五十歳のように・・・

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アーベントロート

18/06/26 コメント:0件 ぜな

 夕焼けに反射して、雪で白い山肌が赤くなる。まるで火の海になったかのように綺麗な赤色に染まり、僕と明美はその中心にいた。心中でもするカップル如く、僕たちは今、この火の海に飲み込まれようとしている。

「赤いわね」
「赤いね」
「寒いわね」
「寒いね」
「眩しいわね」
「眩しいね」

 木霊するように僕たちは同じ言葉を繰り返す。同じものを見ている・・・

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病室の花嫁

18/06/26 コメント:0件 和傘栗 素敵

水を打ったような虚ろな宵闇だった。
さきほどまでの蕭条な雨はおさまり、気づけば霧が出始めている。乳白色の薄霧が、静かに流れ動く。港の方角から、幾度となく汽笛が鳴った。
窓枠に肘をついて、私はぼんやりとその静かな運河を眺めていた。
オレンジや青、緑の光が、水面にくずれて滲み、異様に美化されて、その下にあるすべてを隠しているようにも見える。
私は、いつのまにか、先ほどの彼女との・・・

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サクラ

18/06/25 コメント:4件 R・ヒラサワ

「サクラって言うと印象が悪いかもしれないけど、あれだって立派な演技なんだよ」  大事な出番の前、ユカの頭の中に芸能事務所の社長の声が響いた。  日曜日である今日、大型ショッピングモールのイベント会場の付近で、ユカはそっと待機していた。視線の先には『サクラ』の依頼主である餅屋の主人の姿があった。 「ウチの団子は旨いんだよ。ほれ、あんたも食べてみなよ」  餅屋の主人はユカに『サクラ』の依頼をした日、店・・・

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図書館の同級生

18/06/24 コメント:0件 あらしお

 図書館の中は涼しい世界が広がっていた。自宅から自転車で三十分。炎天下の中を全力疾走してかいた汗も一瞬のうちに冷えてしまった。
 いつものように自習スペースの一番奥の席に出入口のほうを向いて座った。館内全体を見渡せる席だ。すぐ隣には本が並んでいて参考書もすぐ使える。何より気晴らしにすぐ小説を手に取れるのがいい。マ行から始まるその棚には、お気に入りの作家の作品が並んでいた。
 早速、数学・・・

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彩色兼鼻

18/06/23 コメント:0件 君鳥いろ

夏、俺は同年齢の彼女と祭りに来ていた。綺麗な花の模様が施された紺の浴衣は、彼女の美しさをより一層引き立たせていた。やはり、普段周りから「大和撫子」ともてはやされているだけある。
付き合い始めて数ヶ月。なかなか頻繁にデートなどしたがらない彼女だったが、この日なら、ということで頷いてくれた。久々のデートで、しかもそれが祭りだということに俺は心を躍らせていた。
「なあ、かき氷食べない?」<・・・

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退学試験

18/06/23 コメント:0件 瀬口利幸

その日、僕は、公民館で行われた専門学校の入学式に出席していた。
そして、二時間に及んだ式が終わり、体をほぐしながらロビーに出て
みると、そこでは、色々な部やサークルの勧誘が行われていた。
そんなものにまったく興味がなかった僕は、人ごみの中を素通りしようとした。
その時、ある物が僕の前に差し出された。
それは、一冊の文庫本とチラシ。
「どうぞ」
続けざまに聞・・・

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幸せの時期

18/06/23 コメント:0件 蹴沢缶九郎

三十代半ばの男がいた。結婚をして、子供がいてもおかしくない歳であったが、男の場合は違っていた。日雇いの仕事でその日暮らし、よって未だ独身である。
決して優秀と言えない男は、周りから対して期待もされず、親しい友人や彼女の存在もいない、山も谷もない自分の人生を悲観していた。十年前とほぼ変わらない人生は、十年後、はたまたその先もさほど変わっていないだろうというのが男の出した結論である。

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1秒間の経験

18/06/23 コメント:0件 とむなお

 
 足立 宏と森田圭子は、半年前から同棲生活したいと考えていた。
 彼の両親は許してくれた。
 今だに反対しているのは……例によって彼女の親父サンだった。

 その夜も、宏は圭子の実家に訪れていて、一緒に食事していた。
 その時、たまたまテレビでは、プロ野球のジャムアンツ対タンカースという、名物戦をやっていた。
 親父サンは、熱狂的なタンカースのファンだ・・・

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おじさんの勝手な話

18/06/20 コメント:0件 きのみ

「人生なんて嘘みたいな事ばかりでできている。
そういうもんだ。」

そうなのか。
嘘みたいなことばかりとは、
一体どういうことなのだろう。
本当はあるのか。
というか本当ってなんだろう。

うーん、よくわからない。
よくわからないけれど、
そう言っているのだから、
きっとそういうことなのだろう。

信じる根拠は特に・・・

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アオすぎる彼

18/06/19 コメント:0件 十文字兄人

 透き通るようなアオい空。
 この空を眺める度に、別れを告げられたはずの彼のことを思い出してしまう。
 あの時の彼は言った。
――僕は、空が嫌いなんだ、と。
 なぜか、その言葉だけが私の心に今も棲みついている。


 彼と出会ったのは、今日とは真逆。車軸のような雨が降る夕刻だった。
 私は屋根のあるバス停で、いつ来るかわからないバスをベンチに座りなが・・・

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現代帽子論

18/06/19 コメント:4件 紅茶愛好家

「今日も素敵なお召し物ですね」
 梅沢夫人は玄関に膝をつきながら、夫の被る『帽子』を褒めた。
「うむ、行ってくる」
 梅沢茂夫は靴べらで足を靴に滑り込ませるとドアノブをつかんだ。
 『帽子』を褒められたことで彼は上機嫌だった。
「行ってらっしゃいませ」
 夫人は両手を膝の上に重ねて軽やかに見送りをした。
 爽やかな春の出来事であった。

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人生設計図

18/06/19 コメント:0件 undoodnu

 平日の昼下がりの公園で、ベンチに座っている一人の男性がいた。年の頃、40か50くらいか。スーツ姿のため、外回りの仕事をしているのだろうか? どうも覇気を感じられない。ちょっと気になり、余計なお世話かもしれないが声を掛けてみた。
「ご休憩中ですか?」
「いえ、商売中ですよ」
 男性は答えた。商売中……? 一体、何の商売をしているというのだろうか? 気になってさらに聞いてみることに・・・

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体外臓器

18/06/19 コメント:0件 黒井ぎちょー

 俺の記憶の初めの頃には、既に親父は眼鏡を掛けていた。
 視力がとても悪かった親父の眼鏡は、とても分厚く、重かった。その為、親父はしょっちゅうずり落ちる眼鏡を直す羽目になった。
 親父は良く本を読んだ。休日には一日中本をひたすら読む。種類は問わない。
 子どもの俺にはとても退屈な親父だった。話しかけても「あー」だとか「うん」だとか、生返事。本から視線を逸らす事はなかった。
・・・

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ラプラスの小説家

18/06/18 コメント:0件 いっき

*プロローグ*

 そのコンピュータ『ラプラスの小説家』は、瞬間、瞬間における全ての力学的状態を知ることができ、かつそれらのデータを解析できるシステムを保有していた。『ラプラスの悪魔』と呼ばれる概念を保有する装置……それは、未来の全てのものを知ることができた。
 その能力を以って『ラプラスの小説家』により創作された小説は、この世で起こるであろう全てのことを予言するものだった。

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晩夏のホーム

18/06/18 コメント:0件 風宮 雅俊

 乗り継ぎ駅のホームに辿り着くと、人もまばらになっていた。夜の九時を過ぎビジネスマンも塾帰りの中学生も疲れた顔でホームに佇んでいた。時折、暑さの残る乾いた風が人の間を縫いながら吹いていた。
 ふと見ると、どこか懐かしい長椅子が置いてあった。電車通学の中学時代に、こんな感じの椅子に座っては本を読んでいた。今では、酔っ払い対策で一人掛けの椅子ばかりになったと思っていた。
 長椅子に座り込む・・・

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きおくのーと

18/06/18 コメント:2件 上村夏樹

 健一は小学校に通えないの。
 今までそう言われてきたけど、今日こそ通えない理由を聞いてみようと思う。
 台所からニンジンを刻む包丁の音が聞こえてくる。規則正しいリズムのするほうへ向かうと、カレーのいい香りがした。
「あら。健一、どうかしたの? カレーだから、つまみ食いはできないわよ?」
 夕飯の支度をしていたお母さんは、ちらりと僕を見た。
「……お母さん。どうして僕・・・

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18/06/18 コメント:0件 くまなか

 江戸からほど遠い辻に旋風が走る。暴れん坊として名高い一之助がじゃらんじゃらんと八尺に及ぶ錫杖を鳴らしている。修験どころか修羅の道を行き、身の丈七尺余、でっぷりとした褌一丁。ひん剥くような濁った眼、傷痕あらわな赤銅色の肌に栗色に縮れた蓬髪と髭、錫杖を握る手も毛に覆われ……鬼だ。
うら若いおんなは皆店や、老婆に手を伸ばされて屋内へ逃げた。刀を下げた武士すらもその場を後にした。
 伍介だけ・・・

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だから、僕は走り続ける

18/06/18 コメント:0件 かわ珠

 神様なんて、いない。
 それが、誰よりも神様から才能を与えられた彼の口癖だった。
 彼は陸上短距離競技の選手として圧倒的に優れていた。同世代の選手の中でも、彼がずば抜けた才能を持っていたのは、一目瞭然だった。
 そんな彼が神様なんていない、と断言するのは、その競技人生が怪我との戦いでもあったからだろう。
 彼は選手生命の危機に瀕する大怪我を二度負っている。
 一度目・・・

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暴衛主義

18/06/18 コメント:0件 syo-tan

人を殺す事は、なぜしてはいけない事なのか。
この問いに対して、なぜしてはいけないか、論理的にかつ簡潔に小学1年生でも即座に理解出来るほど明快な答えを持っている人が世の中に何人居るだろうか。
自分がされて嫌だから。
では、自殺志願者が人を殺す事は人を喜ばせる事になるのか。
法律で、そう決まっているから。
法律でなぜそう決めたのか?問いがループする。

大人は・・・

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雪華模様

18/06/18 コメント:2件 ちほ

  ……まだ降り続きそうだな。リンブルグは、ほんとうによく雪が降る。でも、僕は自分の名に「ユキ」が付いているせいか、雪が何だか親しく思えるときがあるよ。若い頃は、リンブルグに医者がいないため、空中都市ユースチス・レイまで、飛行能力のある雪鈴豚の橇で吹雪の中を駆けることもあったものだ。
父は、『生まれた子が女だったら、ユキヤを後継者に。男だったら、ユキヤの首を切る』
と、妻の・・・

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