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第157回 時空モノガタリ文学賞 【 コメディ 】

今回のテーマは【コメディ】です。

恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

時空モノガタリ賞発表日:2018/07/30

※同一投稿者からのコンテストページへの投稿作品数は3作品とさせていただきます。
※R18的な暴力表現・性描写はお控えください。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。

ステータス 終了
コンテストカテゴリ
投稿期日 2018/05/28〜2018/06/25
投稿数 86 件
賞金 時空モノガタリ文学賞 5000円 ※複数受賞の場合あり
投稿上限文字数 2000
最大投稿数 3
総評 以前の「お笑い」に比べると、テーマがより広いユーモアのニュアンスが含まれているためでしょうか、ウィットが溶け込んだ作品が多いように思われました。同じテーマや似たコンテストは時々開催されていますが、どれもより良くなっていると思います。『てれびのじかん』―――生きる限りは誰でも、人生というドラマの主演を演じ続けなければいけないですが、往年の栄光を失い世から忘却され孤独の中で生きることは、時に辛いことかもしれません。過去の自分さえ、他人のように距離を感じてしまう寂しさを感じました。『男前寝込み襲われ』―――自分の心の映し出す閉塞的な闇は、他者から向けられた悪意にくらべて逃げようがない分、ある意味ではより怖いのかもしれません。自分の心が自分の現実を作っていく、ということでしょうか。『悲劇と喜劇のシーソーゲーム』―――「本来の私」の定義はなかなか難しいですが、「諜報員」のように心を抑圧し、「殺してきた感情」の残骸の中で生きることに麻痺してしまうことは、平凡な人の日常の中でもしばしば起こることではないかと感じます。これは心の抑圧と解放の物語としても読んでみたい気持ちになりました。『傘がない』―――なぜか雨に濡れることを忌み嫌う世界に翻弄されてしまう困惑ぶりが面白かったです。世界に対する微妙な違和感や生きにくさとも重なって見えます。これはいくら年を取っても完全に消えることはないような気がしますね。価値観の反転した世界観がユニークでした。『笑って』―――これは向本さんのいつもの作品とは毛色の違う青春ラブストーリーですね。「男子憧れの女子」から告白されそうになりながらも幼なじみの繭を選ぶあたり、なんだかリアルだなあと思います。幼馴染同士の恋愛というのは個人的になぜか純粋なものに思えるのですが、家族のように隠し立てのない近しい関係に憧れてしまうからかもしれません。

入賞した作品

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カバディーカバディー・コメディーコメディー

18/06/25 コメント:2件 むねすけ

「カバディーとコメディー聞き間違えちゃった作戦?」
「そうです!!」
 先輩にお小遣いはたいてホテルのケーキバイキングを奢る。逃げも隠れもモンブランだ。断るも拒絶するもレアチーズのパンナコッタだ。意味などない、感じれば甘い、のだ!!
「だってさヤッちゃん。あんた東堂女子に通うんでしょ?」
「はい」
「ヤッちゃんのお母様はカバディー部創部者で、今も監督さんよ?」
・・・

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マッスル・ド・エリカの死闘──深い敬愛と友情と筋肉と──

18/06/23 コメント:0件 長玉


「コメディコメディコメディコメディコメディ!」
先攻は筋肉芸人マキシ・マム。
筋肉最高神マッチヨーに認められた、世界最高の筋肉戦士である。
「コメディコメディコメディ!」
息が続くかぎりマムは叫び続け、そして変顔をくり出し相手選手の笑いをさそう。
「コメディコメディコメディ!」
相手選手のマッスル・ド・エリカがおもわず口元をゆがめる。
攻撃側は「コ・・・

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友達のインターネットの検索履歴

18/06/12 コメント:2件 忍者の佐藤

 俺が同じ大学で一人暮らしをしている橋本の下宿先へ行った時の事だ。急に橋本が

 「ちょっと用事で出てくる」

 と言って外へ出て行ってしまった。

 暇だなあ、と思って部屋を見渡していた俺の目はデスクトップPCで止まった。

 あいつは普段、ネットで何を調べているのだろう? 

 気になった俺は一抹の罪悪感を感じながらも検索履歴を古い方・・・

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駆け落ちの賭けをしようか

18/06/03 コメント:2件 腹時計

 彼はそのとき高二で、高橋はその担任だった。残暑厳しい秋の日の放課後、束ねていないカーテンが波打つ教室で、彼は爆弾発言を投下した。

「先生、ぼくと駆け落ちしてください」

 高橋はしばらくその意味がつかめず呆然とした後、激しく咳き込み、息苦しさに身体をくの字に曲げる。なんだか胃がむかむかするのは、きっと気のせいではない。元凶の発言をかましてくれた生徒は、無表情のまま、冷め・・・

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人生はコメディ

18/06/01 コメント:0件 みゆみゆ

 「あのね、これからはぼくが、お母さんを笑わせてあげるよ」おやつのホットケーキをもぐもぐしながら晴斗が言う。小学生になって、一度に二枚食べるようになった。「笑うとね、元気が出るんだって」
 「じゃあ、ママを元気にしてくれるの?」晴斗は「そうだよ」とうなずいてホットケーキを口に運ぶ。この時間に私の幸せが詰まっている。幼稚園で泥だんごを作っていた頃の顔を、学校での出来事を話す顔に重ねて見える成長・・・

最終選考作品

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てれびのじかん

18/06/25 コメント:2件 野々小花

 トミ子は朝起きると、廊下に付いた手すりを頼りに、のたりのたりと玄関まで歩いていく。新聞受けから新聞を抜き取って、リビングにある大きな籐の椅子に座る。テレビ欄を眺めて、全てのチャンネルと時間帯を確認する。今日もあった。昼過ぎの再放送のドラマ枠。そこに「鏑木八千代」の名前を見つけて、トミ子は満足げに大きく息を吐いた。 

「トミ子さん、おしょくじデキましたよ」
 アンの声がして、ト・・・

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男前寝込み襲われ

18/06/24 コメント:0件 タック

千太には大層な悩みがあった。夜な夜な、誰とも知れぬ「モノ」に寝込みを襲われるのである。

千太は長屋に住む町人である。顔立ちが良く、細身で色白のため、江戸の女に非常に好かれる男だった。町を歩けば多数の秋波が飛び、ふと目を移せば、幾人かの倒れる音がする。まさに江戸随一の美男子と呼ぶに相応しい、女であれば誰もが惹かれるであろう男だった。

男だった、が、千太にも難点があった。<・・・

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悲劇と喜劇のシーソーゲーム

18/06/23 コメント:2件 待井小雨

『人生が幸せなものかどうかは、それまでに笑った回数で決まるわ』
 妻のイヴがそう言うので、僕は彼女を笑わせる為に色々なことをした。
 何でもない日に花を贈るのは当たり前で、時には大道芸人を連れて帰宅したり自分がピエロになって玉乗りをすることもあった。「怪我をするわ!」と慌てる妻に「大丈夫さ」と笑ってみせて、それで玉から転げ落ちてしまった時の彼女の叫び声は今でも忘れられない。
「ふ・・・

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傘がない

18/06/09 コメント:2件 つつい つつ

 雨が降ってきたので、傘を買いに行こうかと外に出たけど、外は大雨で数メートル歩いただけでびしょぬれになったから家に引き返した。いつもこうだ。
 次の日も大雨だったけど、仕事だったから仕方なしに出かけた。コンビニに着く頃には案の定スーツもびしょぬれで、おまけに一番近いコンビニで傘は売り切れていた。
 そのまま傘もなしに駅にたどり着くとスーツどころかパンツまでずぶぬれなのがわかった。周りの・・・

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笑って

18/06/06 コメント:3件 向本果乃子

「おつかれサマーバケーション!」
 サッカー部の練習を終えて汗だくの俺の前に立つ繭。突然口をとがらせて親指を立て肩をすくめると、縄跳びネタが人気の芸人の動きを始めた。俺の後ろにいた1年が爆笑する。
「柏木先輩、そんなキャラでしたっけ?」
 繭は後輩がいたことに気づいていなかったらしく、顔を真っ赤にして俯いた。
 いつからか俺の前でダジャレを言ったり芸人の真似をしたりするよう・・・

投稿済みの記事一覧

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快走力走! 清掃レース 

18/06/25 コメント:0件 タック

校舎の廊下を、陽光が照らしている。
そのなかに姿勢を低くし、二人がレースの開始を待っている。
競技者は、トモヤとソウタ。
一年生のクラスメイトである二人は、最近「清掃レース」の対戦者となった二人だった。

スターターが手を振り下ろし、同時に床が強く蹴りだされる。
教室内から観戦する生徒たちの声が高まり、雑巾を手に、両者が廊下を駆けていく。
――「清掃レース・・・

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ぶんぶくお鍋

18/06/26 コメント:0件 nekoneko

 ある山奥深く入った森の中、数匹の子ダヌキ達が変身の練習をしていた。その中の一匹の子ダヌキが頭の上に葉っぱを乗せると、何やら呪文の様な言葉を唱え出すと辺りから煙りが立ち込め出し、次に「えっい」と気合の様な声を掛けると子ダヌキはそれは見事なカブト虫に変身した。それを見ていた周りの子ダヌキ達も我も負けじと次から次へと変身して行く。子ダヌキ達は桃やお箸、バッタ。と皆、思い思いの姿に変身していった。が、一・・・

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海中時計

18/06/26 コメント:0件 間 亮彰

ずいぶんと昔のことになりますけどもぉ。
ぶらり、ぶらりと砂浜の上を何の気なしに歩いてたんでございますよ。
そいでね。潮だまりってあるじゃないですか。そこんとこをね。ちょいとのぞいてみたんですよ。いやぁ、なんかいるかなぁ、なんてね。
で、そんなぼうっとしてるからなんでしょうなぁ。
するり。
ぽちゃん。
ぶくぶくぶくぶくぶくぶくぷくぶくぶくぶくぶくぶくぶくぶくぶくぶ・・・

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神対応の一之瀬さん〜触らぬ紙に祟りなし〜

18/06/25 コメント:0件 紫聖羅

やってしまった。触らぬ神に祟りなし。先人の教えを信じるべきだった。1つ言い訳ができるなら、一之瀬さんにこの間尋ねた質問の答えに驚いたからだ。僕らはドラッグストアで働く社員である。一之瀬さんは常にニコニコ接客しているから、つい、
「接客業をしていて一番嫌なことってなんですか?」
と聞いてしまった。
一之瀬さんは破顔を崩さぬまま、
「接客です」
と・・・

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ナイフとフォーク

18/06/25 コメント:5件 木野 道々草

 安田(あだ)が、午後七時までに行くようにと所長に言われたのは、Shade Treeという名のレストランだった。通されたテーブルには、高齢の男性が座って待っていた。その人は彼を見ると立ち上がり話しかけた。
「冨森法律事務所の冨森といいます」
 安田は、八十歳くらいだろかと思いながら丁寧に頭を下げた。
「阿田法律事務所の安田と申します」
 二人は名刺を交換すると椅子に座った。・・・

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見返心中冬景色

18/06/25 コメント:0件 間 亮彰

「見返心中冬景色。」
「急に何よ。」
「いや。ここ数年でよく聞くようになったよなぁ。この病名。」
「えぇ。件数は少ないけれど。ほら、すごく不思議な病だし。」
「治療法はあるのかな。」
「ないらしいわね。」
「不治の病か。」
「この病が広がってから離婚件数も増えているみたいだし。」
「何にせよ嫌な話だよなぁ。」
「でも、ほら。すごくロマンチックな・・・

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ハロウィンの夜

18/06/25 コメント:0件 R・ヒラサワ

「すると、君もその男性が仮装をしていると思ったって事なのかな?」 「ええ、そうです」 「一目で分かる程のあぶら汗をかいていたというのに?」 「ですから、それも最近のメイクだったら簡単に出来る事なんで……」 「ハロウィンなんて、厄介なものが流行ってしまったものだな。年々参加する人数が増えてるそうだし、コスチュームやメイクもどんどんリアルになってきてるそうじゃないか」 ベテランの刑事は目撃者と名乗る連・・・

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スマイル

18/06/25 コメント:0件 みや

「あんたの妹、また面白い事言うてみたいやで」
「そうなんや」
「体操服隠されたのに、これで体育の授業受けんでいいわ、やったーって喜んでたらしい。私の弟が言うてたわ」

小学校の帰り道に友達が面白そうに私にそう教えてくれた。
小学四年生の私の妹は自分がイジメられている事に気が付いてないのか、いつもそんな調子でニコニコしている。イヤな事をされても、傷付く事を言われても。そ・・・

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なんて素敵な米日和!

18/06/25 コメント:0件 小高まあな

「米粒一粒に、七人の神様がいるという都市伝説を聞いたことがあるかい?」
 茶碗に持ったご飯をモリモリ食べながら都市伝説探偵は言った。
 都市伝説探偵は世の中の都市伝説についてだけ調べている探偵だ。別に誰からの依頼がなくとも自分が気になったら調べ、勝手に満足している。不動産収入で食べている人間の、道楽である。
「都市伝説ではないと思いますが」
 あきれたように助手がつっこむが・・・

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逃げろ

18/06/25 コメント:4件 泡沫恋歌

 誰かが耳元で囁いた“逃げろ”と、おそらくその声は俺の中に潜む野性の勘ってやつだ。
 俺はその声に従い走りだす。
 やはり俺の勘は当たっていた、校舎から飛びだした俺の姿を、三階の教室の窓からアイツが見ていた。
 ヤバイ! 早く逃げないと捕まってしまう。
 昔から逃げ足が早いといわれた、この俺よりもアイツの方が駿足なのだ。
 とにかく学校から逃げだし、駅まで逃げ延びて電・・・

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週刊・諏訪部

18/06/25 コメント:0件 宮下 倖

 アラタ、そわそわしてるね。
 そう言いながらおもしろそうに目を細めるユウナに俺は「べつに」と短く答えた。
 毎週金曜日の夜八時、時報みたいに正確にやってくる訪問者がいつもより一分遅れたからって心配なんかしちゃいない。
「すぐ来るよ」
「だろうな」
 な、を言い終わらないうちにインターフォンが鳴った。こちらもピンポーンの余韻が消えないうちにドアを開ける。
「たい・・・

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ジャンとマリア

18/06/25 コメント:2件 そらの珊瑚

パリ、モンマルトルの享楽街の中でも、ひときわ輝く大きな劇場があった。名を『ムーランルージュ』という。  彼らはそこで活躍する芸人だった。 「ねえジャン、あたしたちがコンビを組んでもう何年になるかしら?」 「五年、いや六年くらいじゃないか?」 「月日は知らないうちに経ってしまうものね。目尻のこのしわを見て。ああ、このままじゃあたし、あっという間におばあちゃんよ」  そう言ってマリアはため息をつ・・・

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ゾンビパパ!

18/06/25 コメント:0件 紫聖羅

ある日突然、大好きなパパがいなくなった。「必ず戻ってくるからね。それまで、絶対外に出てはいけないよ」その言い付けを守っていた。
それから2ヶ月。
「ユキちゃん、ただいまーパパだよー!」
玄関の方から扉を叩く音がする。パパが帰ってきた!
私は急いで玄関の扉を開ける。そういえばパパは、私のことを、ちゃん付けで呼んでいたっけ?
そこにいたのは、・・・

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スラップスティック・サルベージ

18/06/24 コメント:0件 むねすけ

 男は機嫌を損ねていた。
 四年に一度のお祭りサッカーに備えて夜食に購入したカップ焼きそば、塩を買うつもりがうっかりソースを買ってしまったことに開始のホイッスルと同タイミングで気づいてしまったからだ。
「ちっきしょう」
 男は不機嫌を湯切りの間際にこぼす。「ベッコン」と、シンクの先をとって言葉にしてやったのだ。
「いっひっひ」
 男は意地悪く笑ってトポポポ、お湯を切っ・・・

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コメディによるコメディ

18/06/24 コメント:0件 うたかた

「コメディってなに?」
 僕は君の問いかけに明確に答えることはできなかった――


 何気ない日常にはたくさんの『コメディ』と呼ばれるものが存在している。それはテレビやラジオ、インターネットにおける画像や音声、映像作品にとどまらず、私たちの家族や友人、あるいは通りすがりの人にでさえ適応される、人と人とのかかわりの中で繰り広げられているものなのである。
 そんな『コメデ・・・

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月に吠える

18/06/24 コメント:1件 若早称平

 吸血鬼は自分の寝床である棺桶に座り、グラスに半分残ったワインを一気に飲み干した。
『君は三度の奇跡を起こしたことになる。一つ目はその見てくれでガールフレンドができたこと。二つ目にその子が人間だということ。三つ目にその子が俺すらも認める美少女だということだ』
「可愛い人間のガールフレンドができた、で一つにまとめられないですか? あと頭に直接語りかけるのやめてもらえません? せっかく久々・・・

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親切な店員

18/06/24 コメント:0件 吉岡 幸一

 この日、昼飯を食べる暇もなく仕事をした俺は猛烈に腹がへっていた。帰りがけにいつものコンビニによると、大盛りから揚げ弁当にお茶にお菓子にアイスクリーム、その他もろもろの品を籠に入れてレジに持っていった。
 さいわいレジには誰も並んでいない。すぐに金を払って、徒歩三分の家に帰って弁当に食らいつこうと思っていた。腹はグーグーと鳴っていて、胃は空気の抜けた風船のようになっていた。
「お弁当を・・・

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いろいろ

18/06/24 コメント:0件 ひーろ

 ある日の雨上がりの昼下がり。地面に反射した光がぽろぽろと砕けて空中に漂いはじめました。そのあまりの美しさにつられて、赤・橙・黄・緑・青・藍・紫の七色が地上に集まってきました。彼らはいつもと同じように整列し、光を呼びだし、空にきれいな虹を架けました。
 しばらくすると、嫌われ者の黒がやってきました。これもいつものことです。

 黒「何で、おれは虹の七色に入っていないんだ? どうも・・・

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笑われ者

18/06/23 コメント:0件 紫聖羅

 深夜0時に「夜のサーカス」は開演する。
 チケットをポケットの中でぐしゃぐしゃに丸める。最後部の座席の背後に設置された手すりに両腕を乗せて、舞台を見下ろした。チケットを持っているのだから、もちろん座席はある。しかし、ここで十分だ。肥えた金持ち共の娯楽に潜り込むのは、今日が最初で最後だ。
 開幕と同時に、派手な衣装を身に纏った司会者がステージ中央でお辞儀をする。
「ようこそ夜のサ・・・

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ニャルパラへようこそ!

18/06/23 コメント:2件 冬垣ひなた

 ニャルタン・パラダイス(通称ニャルパラ)といえば、東のT○L、西のUS○に続く、巨大テーマパークだ。
 猫に似た不思議な精霊・ニャルタンが踊る超高速ダンスは、動画サイトで爆発的な人気を博し、ここは世界中から観光客が訪れる人気スポットとなった。
 
 南国をイメージして作られたオープンセットのような街並みは、親子連れとカップルで超満員だ。そんな人ごみに紛れてはいたが、花山タケルの・・・

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イス取りゲーム

18/06/23 コメント:2件 秘まんぢ

 服部が前田だった頃、おれは山田だった。山下は山下のままだったのは親が離婚しなかったからだ。中学時代、ヤンキー仲間だった服部とおれは新しい姓でよばれることが恥ずかしく落ち着かなかったが、意外や山下もバツが悪そうだった。
 おれも山下だったのだ。
 クラスに山下が急に二人になり、おれとちがい山下はおとなしかった。それがクラス内外でいつも名が挙がるようになって明らかに困惑していたようだ。<・・・

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「ひ」を「き」に変える少女

18/06/23 コメント:0件 アシタバ

(茜)
「新しいパパ? これゴリラだよ」
わたしが言うとママの顔が真っ青になった。
「茜、なんてこと言うの、ごめんなさい強羅さん」
「ゴリラさん?」
「ご・う・ら・さ・ん!」
ママが大きな声を出すので耳を手で塞ぐ。ママの隣にいるのはどう見ても動物園にいるゴリラだ。
ママが新しいパパを家に連れてくると言ったので、ずっと不安だったけど、やってきたのは毛むくじゃ・・・

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決め手はゴン太

18/06/23 コメント:2件 待井小雨

 我が家のゴン太は普段は可愛い柴犬だけど、実はなかなかハイスペックなワンコである。
 時折彼はペット業務を休んで趣味に打ち込む。時にはパンを作り、時には絵を描き、時にはお父さんとゲームをして休日を満喫する。
 どんな犬とも違う我が家のゴン太は、特別で大切な私の家族だ。

「さすがゴン太、頭脳明晰……!」
 私は感心してほうっと息を吐く。ゴン太は肉球についた墨を拭きなが・・・

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新生児室の同窓会

18/06/23 コメント:0件 瀬口利幸

今から三十年前に僕は生まれ、新生児室に入れられた。
それから三十年後。
その新生児室で、僕の隣に寝ていた同級生から、同窓会を開催する
という知らせが届いた。
あの時、新生児室に寝ていたメンバーが、全員、出席するらしい。
面白そうなので、参加してみる事にした。


僕が、居酒屋の二階座敷に上がって行くと、もう、すでにそこには、
僕と同世代の男女が・・・

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人魚

18/06/23 コメント:0件 瀬口利幸

会社員の高橋は、友人の佐藤と、小型ボートで海釣りに来ていた。
「何だ、あれ ?」
「どうした ?」
高橋の呟きに、隣で釣りをしていた佐藤が反応した。
「あれ・・・何だろう ?」
高橋が、海を指差す。
「えっ ?」
佐藤が、高橋が指差した方向を辿っていくと、100mくらい沖の
海面に女性らしき姿を発見した。
「泳いでるんじゃないか」
佐藤が・・・

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ぞろ目のお札

18/06/23 コメント:0件 瀬口利幸

昨日、僕は銀行でお金を下ろし、何気なくそのお金を眺めている
と、お札の紙幣番号が1のぞろ目だという事に気付いた。
こういうお札は高く売れると聞いた事があるので、早速、買い
取ってもらえる店に持って行った。
「あの・・・」
「はい」
「さっき、銀行でお金下ろしたら、1のぞろ目のお札が出てきた
んですけど、買い取ってもらえるんですか ?」
「ええ、勿論・・・・

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まさかの忘れ物

18/06/23 コメント:0件 奇都 つき

私は中学時代3人で通学していた。待ち合わせ場所は近所の橋の上だった。
今日は小テストがある。なので早く行って3人で勉強をしよう、となり、私たちは普段よりも30分も早く待ち合わせをすることになった。
「おっは」
「おはよう」
いつもみんな同時位に集まるのに、今日は一人遅れてしまった。
おかしいね、寝坊かな?寒いから家出たくないもんね。もしかして、忘れてないよね?なんて話・・・

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母の通夜のそのまた夜のお話

18/06/23 コメント:0件 秋 ひのこ

 母が六十を前に死んでしまった。
 通夜の席で父が言った。
「そういえば母さんな、死ぬ時は朝日を浴びながら静かな海辺で薔薇に囲まれて死にたいって言ってたんだった」

 もう死んでしまったが、せめて最後に夢を叶えてやりたい。
 
 そんなわけでサトミは今、大学生の妹コノミと父、祖母に加え、母の遺体と車椅子をのせ、小さな愛車にぎゅうぎゅう詰めで海に向かって夜道を走行・・・

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オーガニック

18/06/22 コメント:0件 柳瀬

「皆さま、オーガニック社へようこそ。
私はオーガニック社で主任をやっています。安之丞と申します。
本日皆さんにこのビデオをご覧いただければ、当社の素晴らしい理念をご理解頂く事が出来ます。
それでは皆さま、VTRスタートです。」
私たちの命は地球という生態系があって生まれています。
自然の生態系がもたらす恵みを私たちが頂いているのです。
人間のエゴを捨て地球環境を・・・

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神様への誓い

18/06/22 コメント:0件 柳瀬

「お母さん、もうダメみたい。」
飾りけも何もない真っ白な病室で、4人の子供達が、末期癌で今にも息を引き取りそうな母親の言葉に耳を澄ましている。
「タケシ、アキラ、アユム。
好き嫌いしないでいっぱい食べて大きくなること。
お風呂には毎日ちゃんと入ること。
それと、夜更かししないでいっぱい寝ること。
それから信頼できる友達を沢山作りなさい。
最後にお兄ちゃんの・・・

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パール

18/06/22 コメント:0件 柳瀬

世界中で10万種以上、地球上の生命で昆虫に次ぐ種類の多さを誇っている軟体動物、貝。
貝の魅力は、ときに人の人生までを変えてしまいます。
海岸には今このときも、美しい貝が浜辺に打ち上がっています。
そう思うと、海に行きたくなる思いは子どものころから今まで変わっていません。
僕は教室から海が見渡せる学校に通っていました。
放課後にはいつも裸足のままで海に駆け出し遊んでいま・・・

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奥手なみちこの遠まわしな奮闘

18/06/22 コメント:0件 秋 ひのこ

 こんにちは、みちこです。
 最近の悩みは、44歳になるオットが臭いだしたことです。
 これは家庭の一大事、ひいては社会(オットの生活範囲内)の一大事でありますので、妻である私がオットに真実を告げなければなりません。

 専業主婦の私に、夫は毎日家に帰ってくるたびに「今日は何したの」と聞きます。
 結婚生活10年目。
 これが何より嫌いな質問だということを未だに・・・

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鼻男カジモド氏の調律

18/06/21 コメント:0件 猫春雨

 カジモド氏は、自身のマクワウリのように大きく特徴的な鼻をこう揶揄されたことがある。
「君の鼻だったら音だって嗅ぎ取れるんじゃないかい」
「音だって!」
 思わずカジモド氏は叫んでいた。
 怒ったわけじゃない。
 むしろ天啓のように受け取ったのだ。
「音色があるのなら、鼻で嗅ぎ取れる音臭があってもおかしくないはずだ」
 それはとても素敵な考えのように思え、・・・

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ミラクルさん

18/06/21 コメント:0件 きのみ

ミラクルさんは言う。
「私の名前はミラクルです。
 私の仕事はミラクルを発見し、伝えること。
 趣味は何がミラクルなのか考えることです。」

ミラクルさんの周りではいつもミラクルが起こります。
でも実はミラクルが起こっているわけでは無いのですが、
ミラクルさんはミラクルなので、
ミラクルでないこともミラクルだと考えます。
なので、どんなことが起・・・

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ご近所さん回覧板ですよー!

18/06/20 コメント:0件 紅茶愛好家

 回覧板が戻ってこないのにはいくつか理由があった。
 共働きの夫婦が多いこと、日中は子供だけの家、留守を預かる耳の遠いおばあちゃん、足の不自由なおじいちゃん、そもそも回すことが嫌いな無精者……。種々の理由を差し引いても全周するのに二週間というのは遅すぎる。あまりに戻りが遅くて戻ってきたころには案件が溜まっており次の回覧板をすぐに回さなくてはならない。
 さてどうしたものかと班長浦本一は・・・

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言葉にせずとも

18/06/20 コメント:0件 飛鳥かおり

 月に一度の行事の日が今月もやってきた。芸人がやってくるのだ。毎日ひたすら単純作業をこなすだけのつまらない日常に変化をもたらすただ一つの行事でありながら、その実とても楽しめるものではない。笑えば処罰という監視体制のなか聞かされるお笑いなど精神修行以外の何物でもない。
「並べ」
 雨と汗の匂いが漂う体育館。俺たちは機械的に並べられたパイプ椅子に番号順に着席させられ、後ろで手を組んだ状態で・・・

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わたしの小説

18/06/20 コメント:0件 志水孝敏

 自分は小説の主人公であるが、いったいわたしの小説はどのような小説なのであろうか。
 たとえばヒーロー小説であれば、現在自分は単なるしがないサラリーマンであるけれども、おそらくある日、ふとした事件がきっかけで、内にひそむ力を目覚めさせ、大活躍して名声をほしいままにし美女とイチャイチャしたり、あるいは世を忍び闇に潜んで悪を倒したりしつつ美女とイチャイチャするであろう。
 もしくは最近はや・・・

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無人島で最初にやること

18/06/20 コメント:0件 ちほ

リンブルグ領主館で少し話しができないかと、領主のユキヤに誘われた。彼は、僕の親友である。いつでも何か手伝いたいと思っていたので、頼られて嬉しいくらいだ。
領主館の居間に案内された。
「あれぇ、お父さんだぁ!」
 先客がいた。僕の息子のウォルターだ。小さな体は、草色のソファに埋もれそうになっている。あたたかいココアの甘やかな香りが、少し湿り気味の空気にさらさらと溶け・・・

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春告げの捨て身

18/06/20 コメント:0件 君形チトモ

「君は今日一日、この家から出られない」
「はい?」
 残業から帰宅してうっかりテーブルで寝て、ハッと起きたのがさっき。髪をオリーブグリーンに染めた地味な服の美青年が、私の部屋と外を繋ぐドアの前に立ちふさがっていた。知らない人だ。家にあげた覚えもない。
「……あなた誰です、警察呼びますよ」
 手探りでスマホと武器になりそうなものをさがす。あれ、テーブルに置いたはずのスマホがな・・・

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時間の流れと感情の流れ

18/06/19 コメント:0件 黒井ぎちょー

「あなたの事がとても好きよ」



































「あなた馬鹿じゃないの」・・・

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憧れの軍帽

18/06/18 コメント:0件 syo-tan

「俺、自衛隊入る!」
この時期になると毎年このセリフを言い出す友達が居る。
今年27歳。
応募出来るのは今年が最後だ。
いつもは「そうか頑張れ」と軽く流すのだが、なぜ昨年は応募しなかったのか今年は聞いてみる事にした。
だって、今年が最後だから。
「自衛隊って、登山用のシューズとかリュックとか自分で用意しなきゃならないから色々金がかかるんだ。」
どうやら自衛・・・

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笑えないコメディアン

18/06/18 コメント:0件 笹岡 拓也

世界で最も有名なコメディアンが言っていた。「コメディアンは決して笑ってはいけない」と。人を笑かすのに自分が笑っていたら卑怯だという意味だろう。ただ今の時代、誘い笑いができないコメディアンはなかなか芽が出ない。 「ユージくんってさ、どうして笑わないの?」 僕の夢は世界中の人々が笑ってくれるコメディアンになることだ。ただ僕自身が笑うことができない悩みを抱えている。僕以外のすべての人が笑ってくれたら…な・・・

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心にコメディを

18/06/17 コメント:0件 うたかた

 人口減少とともに労働力不足が加速する日本。その不足を補う目的で人工知能を搭載したアンドロイドがいくつもの企業から製品化され、発売されている。しかし、ある企業が開発したアンドロイドは人の心をほぼ完全に再現した機能を搭載し、その扱いについて政府でも議論が行われ始めている。  そのアンドロイドが突然、僕の部屋の前に倒れていたのだ……。  僕は一人暮らしをしている学生だ。今日は休日であるから近くのコン・・・

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我慢そしてガマン

18/06/17 コメント:0件 吉岡 幸一

「なんて長い行列なんだ、おい」
「トイレまで渋滞しているのかよ」
 夏の盆休みに兄弟そろって実家に帰省している途中だった。高速道路にあるパーキングエリアに車をとめて、トイレに行こうとして降りてみれば、道路だけでなくトイレまで渋滞していた。
 炎天下の午後二時、まだ二十代の若さとはいえ列に並ぶのは辛い。しかし並ばなければトイレにはいけない。いかなければ洩れてしまう。次のパーキングエ・・・

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ちょび髭おじさん

18/06/16 コメント:0件 一青アラン

「ママ、いってらっしゃい」
大好きなパンダのぬいぐるみを両腕に抱えた4歳の娘が保育施設の下駄箱が並ぶ出入り口で、私にお見送りの言葉を投げかける。
「行って来るね」
私は、二つに結わいたおさげ髪を揺らしながら保育士のお姉さんの手に引かれ施設の中へと進んで行く娘の後ろ姿を確認した後、自転車に股乗りし立ち漕ぎで職場に向かう。
先週梅雨入り宣言された雲空の中、私は超高速で自転車を跳・・・

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つまらない日常の中に

18/06/16 コメント:1件 文月めぐ

 マンションの一室に戻ると、飼っている猫のあらたが出迎えてくれた。社会人三年目で彼女なしの一人暮らし。俺の心を癒してくれるのはあらただけだ。その彼の瞳が「お腹空いた」と語っているのはいつものこと。
「はいはい、ちょっと待ってろよ」
 俺はコンロ下の収納スペースを開け、猫缶を取り出そうとして気がついた。ストックが、ない。
 これは大変だ。仕事帰りに寄ったスーパーで自分の夕飯の食材は・・・

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話はそれからだ

18/06/12 コメント:0件 

 促され分娩室に入ろうとした瞬間、廊下を挟んだ向いのドアごしに聞こえてきたのは分娩中と思しき妊婦の耳をつんざくような絶叫。
 もう殺してぇえええええ、切ってくださあさあああーーい、いいいいいいいああああああ。
 そ、そんなか。思わずへたり込んで座ってしまったピンク色のソファの端をつかんだ指の爪がウレタンに食い込む。
 傍らでは駆けつけた実母が、看護師さんに「あの、大丈夫かしら。あ・・・

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He:

18/06/12 コメント:0件 紅茶愛好家

俺は今、肛門科にいる。
世紀の実験に万全の体制で臨むためである。
医者はオレの肛門を見るなり、
「いい肛門ですねえ」と言った。
「屁でアメリカまで飛ぼうと思うのですが大丈夫そうですか?」
急に医者の顔が険しくなる。
「難しいでしょうね。体重六五キロの人がアメリカまで飛行するには毎秒約五万発分の推力を出し続けなければならない。アメリカに辿り着く前にまず肛門が崩壊し・・・

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コミュニケーション

18/06/11 コメント:0件 undoodnu

 宇宙人が地球に降り立った。目的は、地球人の調査である。
 宇宙人の間では、テレパスの能力が進化しており、口頭でコミュニケーションを取ることは一切なくなっていた。
 今回、地球に来た目的は、宇宙人の間で失われた口頭でのコミュニケーションとはどういったものなのかを調査することだった。
 事前に調査した結果、芸能人という職種の人間達がいるらしい。この人間達は、口頭でのコミュニケーショ・・・

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裁判官、大阪魂を擁護す

18/06/10 コメント:0件 本宮晃樹

 付箋が大量に貼りつけられた書類が、どすんと重厚な木の机に叩きつけられた。年若い検察官は不動の姿勢をとり、高らかに宣言する。
「被告人日下部真琴は大阪府の住民であるにもかかわらず、被害者のボケを公然の場で見過ごすという許されざる違反を犯しました。早速証拠調べに入りたいと思いますが?」
 裁判官は重々しく宣言した。「検察側は証拠を提出してください」
 法廷の歴史あるデスクに携帯端末・・・

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18/06/09 コメント:0件 早川

 俺は周りの景色から断絶された。光は見えない。暗闇の中をさまよっているわけでもない。ただ理性的にしかも強靭な理性によって生きている。それは過剰な自意識とも言える。
「ねえ、この間さ、同僚と話をしたんだけど、凄く冷たくされたの」
 女友達が俺にそう問いかけてきて、俺は、内心これはコメディかと思いながら目の前の女を眺めていた。俺の心はただ固く閉ざされていた。そしてその後に女が何かを言っても・・・

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りんごの君

18/06/08 コメント:0件 広田杜

「本当に出るんだってよ」
友人が息巻いて僕を誘ったのは、元病院の廃墟だった。友人は無類のオカルト好きで、「出る」と噂の場所を探してきては、ビデオカメラと懐中電灯を持って探索に行く。一人で行けば良いものを、「俺の背中を任せられるのはお前しかいない」と僕のことを連れて行く。腕っぷしは弱く、以前使われなくなった学校に不法侵入して、その場にたむろしていた不良少年にカツアゲされる羽目になった友人の華奢・・・

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この上ない理想の夫

18/06/08 コメント:0件 斎藤緋七(さいとうひな)

「男の人のトレンチコート姿が好き。私、ケンジント○のロングトレンチコートが好きなのよねー。あれ、着てる人がいい。」 と、40オーバーの姉は言う。 「バー○リーじゃないとダメなの?」 「出来たらバー○リーがいいなあ。」 「25万はすると思うよ。」と言うと、 「もう!現実的なことを言わないでよ!」 と、怒られた。 「はよ、現実的に考え始めないと、今年四十五でしょうが。」 姉は15歳年が離れている私に言・・・

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お前の生霊を飛ばしてくるな!

18/06/08 コメント:0件 斎藤緋七(さいとうひな)

「百合子、おーまーえーなー!」 お昼休みにお弁当を食べてると隣のクラスの元カレ、相馬が怒って教室に入って来た。 「なによ!なんか用?」 私と相馬は幼馴染なので別れた後も、なんとなくは友達関係が続いていた。 「飛ばしてくんなよ!」 「は?なにをよ?」 「生霊だよ!お前毎晩、生霊になって俺の枕元に立ってるんだよ。自覚あんのか?」 「自覚はないけど。生霊くらいでガタガタ言わないでよ。ちっちゃい男ね!」 ・・・

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ひよことたまごとニワトリとうずらの関係性

18/06/07 コメント:0件 ちほ

  リンブルグ村の古着屋『クスクス』の裏から続く細い道を通った先に、育てたキノコが全て薬に使えるように変化する神の地『果て』がある。どう開拓しようかとユキヤが頭を捻らせていると、森の方から小さな男の子がトコトコ歩いてくる。パブ『ロビン』の店主・ピートの息子ウォルターだ。幼い子どもが、こんな場所にひとりでやってくるとは、どういうことだろう。
  逃げ出したひよこを追いかけていたら、・・・

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ヴァンパイア

18/06/05 コメント:0件 早川

 僕の側にいるのは一人の恋人だ。彼女は吸血鬼だった。人の血を吸う事でしか生きることができない。そして僕は彼女の秘密を抱えながらそっと生きている。
「ねえ」
 彼女の名前は玲奈と言った。見た目は至って普通の人間。しかし、彼女の八重歯は人の血を吸うことができる。
「ねえ、聞いてる?」
 彼女は僕に問いかける。
「聞いてるよ」
 僕はその美しさに魅了されていた。なぜだ・・・

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チェーン彼女

18/06/04 コメント:2件 浅月庵

 付き合った当初は優しくて愛嬌があって、髪の生えたミシュランマンみたいだなって思ってたけど、どうやら彼女は短距離走が得意な子のようだった。

 付き合って三ヶ月くらいで本性を現し、ソファに寝転がって煎餅を齧りながらケツを掻くような女になり下がってしまい、もう煎餅のボリボリ音だかケツのボリボリ音だかわかんなくてボリボリする。いや、イライラする。

 しかも自分のことをお姫様と・・・

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18/06/04 コメント:0件 六井 象

 アルバイトをしている喫茶店に、朝から妙な4人組が来て、コーヒー1杯で夜まで居座り続けていた。
 コーヒーを飲んだり煙草を吸ったりする時以外はずっと額を付き合わせて、何かを話し合っているのだが、その結論がなかなか出ないらしい。
 とうとう閉店の時間になってしまったのでそのことを告げに行くと、4人組のうちの1人が突然私を指さし、「もう、この人に決めてもらおう」とやけになったような調子で言・・・

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地獄と炎

18/06/04 コメント:0件 六井 象

 拷問ポイントが貯まったので、お前を焼く業火の色を選べます、と地獄の鬼に言われたが、周りの罪人たちから浮きたくなくて、結局プレーンを選んでしまった。
 本当はレモンイエローが良かったのに。

 地獄に落ちても、結局僕は何も変わらなかった。・・・

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ヌード

18/06/04 コメント:0件 六井 象

 裏通りで何だか晴れ晴れとした様子のガイコツとすれ違った。
 ガイコツのやってきた方へ歩いていくと、女の髪や皮や指輪が無造作に突っ込まれたゴミ箱を前に、コンビニのアルバイトが呆然としていた。・・・

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ノストラダムス症候群

18/06/03 コメント:0件 いっき

「IQ300……」  ある日、サイトのIQテストをすると凄まじい数字が出た。 『あなたは天才を超えた超天才です。全てのことを予測することができるあなた程の天才は、あなた以外存在しないでしょう』  ここまでのコメントが書かれていた。 (凄い!俺は天才を超えた超天才だったのか!)  俺は胸を弾ませた。 (俺は無敵だ。全てのことを予測することができるのだから。それでは、手始めに……女だ!桜桃男子の俺だ・・・

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コメディアン

18/06/03 コメント:0件 早川

 俺と圭は二人で教室の隅に座っていた。この高校の落ちこぼれでお互いに友達がいない。クラスの連中を見上げては陰口を言い合う。
「さゆりの化粧みてみろよ」と俺は言った。
「あいつ高校生にもなってまだ反抗してるよな。正直時代遅れ」
「そうそう。ああやって派手な化粧して仲間に入ろうとしてる」
「馬鹿みたいだよな」
「ほんと笑える」
 俺と圭はそんな風にクラスの目立つグル・・・

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マイコメディアン

18/06/03 コメント:0件 W・アーム・スープレックス

 一杯飲み屋のテーブルに向かいあってのんでいた山本が、ふいにカウンタ―のほうを指さした。
「ほら、あそこに――」
 なんのことかと僕は、彼の指先をたどって、カウンターの端にすわる一人の男をみた。白いものがめだつ後頭部よりも、そのどこか寂し気な背中が男のうらぶれた心情を素直に物語っていた。
「あの人が、どうした」
「彼だよ、喜多南」
「きた、みなみ……ってあの、お笑い芸・・・

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理系男子と恋の方程式

18/06/03 コメント:2件 上村夏樹

「理央くん。恋愛研究部の活動を始めよう」 「ああ。文香よ、今日の活動内容はこれだ」  理央くんは黒板を指さした。そこには白い文字で『夏祭りデートで異性に告白するシミュレーションをしよう』と書かれている。  ここは恋愛研究部の部室。放課後、私たちは学校では教えてくれない恋愛について日々研究している。  相方の理央くんは理系科目を愛している理系男子だ。一方、私は平凡な文系女子である。 「さて、どちらが・・・

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フィクションorノンフィクション?

18/06/02 コメント:0件 新屋鉄仙

『今から数千年前、猿から人へと進化した人類はこの地球の支配者となっていた。文明を発達させた人類は生活を楽にするため、AIを開発し、身の回りの全てのことを最高の存在であるアンドロイドたちに任せるようになっていった。
 怠惰を極めた人類は体を動かすことをやめるため、エネルギー補給などの生理的な行動を全て自動化していった。いつしか人類は全ての生産的な行動をアンドロイドに任せるようになっており、エネ・・・

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笑いを取り戻せ!

18/06/02 コメント:0件 本宮晃樹

「アノ、スイマセン……」ミネソタあたりからやってきたであろう壮年夫婦。彼らは期待に目を輝かせている。「わたしたち、聞きたいことアリマス」
 肩で風を切って歩く若者は内心うんざりしていたが、これも大阪のためだと涙を呑む。大阪生まれ大阪育ち、そして当面のところ大阪から出ていくつもりはない。彼は大阪を誰よりも愛し、万が一大阪が滅びるなんてことがあるのなら、喜んでそれに付き合うつもりだった。
・・・

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コメディって。

18/06/02 コメント:0件 泡沫

「面白かったね!」  君はそう言って笑った。僕にはただの笑顔にしか見えないのだが、その裏にある僕に対する――いや、僕に限らず周りにいるみなにもあてはまる――同情の想いを感じざるを得なかった。 「うん、また見ようね」  僕はコメディドラマが録画してあるDVDを取り出し、テレビの電源を落とした。消灯の時刻だ。  僕は今、各部屋六人が布団を敷けるだけの部屋にいる。男女ともに三人ずつの部屋割りは前か・・・

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窓枠テレビ〜あの日、路地裏スタジオから〜

18/06/02 コメント:2件 クナリ

 なぜ私が人を笑わせる仕事を生業に選んだのかと言われれば、この他に理由はない。
 あれは私が小学六年生、はなたれ坊主の頃だった。
 下町というのはどこもそうなのかもしれないが、私の住んでいた長屋には、幾筋もの裏路地が家々の間を渡っていた。
 私には三つ上の、背が高く見目もよく秀才という、大変出来のいい兄がいて、兄への引け目からか、私は裏路地だの町外れだの、そういうところを主な遊び・・・

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ある中学校での話

18/06/01 コメント:0件 たい焼き好き

『いただきます』の合図でみんなが一斉に箸を取る。最初にご飯に手をつける人もいれば、魚の骨を取る人もいる。そんなありきたりな風景の中、私、神楽舞は、重大な問題に悩まされていた。
「牛乳おかわりいる人ー…は、いないか…。よーし、じゃあ剣崎、これ全部飲め」
「えー流石に五本はきついっすよ先生!1リットルですよー!」
「あ、じゃあ俺のもよろしくー」
「ちょ、こゆびは自分で飲めよ!っ・・・

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シナイ写本 p457

18/06/01 コメント:0件 64GB

サンフランシスコ大学で教鞭を取っている私がシリアを訪れることになったのには訳があった。
ギリシャ語で書かれた最古級のパピルス写本が見つかったからだ。新しい資料が見つかったくらいでは、わざわざシリアまで来ることはないのだが、大発見の予感がある。シナイ写本やヴァチカン写本と匹敵するほどの一級品の資料だと言うのだ。
もしかするとパウロが書いた手紙の原文かもしれない。そう思うと言い知れない思・・・

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ソフィア

18/05/31 コメント:0件 路地裏

眠そうに開かれたサファイアブルーの瞳は今なおその美しさを維持している。小さな手がこちらへ伸びてきて、不慣れな様子で私の体を撫でる。酷く下手くそな撫で方だ。こんな風に撫でられるのは私の人生においてこれが2度目である。

少女は私と同じサファイアブルーの瞳をしていた。少し癖っ毛だが美しいブロンドヘアを持つその少女の名前はソフィアと言う。フランス人の父と日本人の母の元に生まれた美しい娘だ・・・

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絶対に笑ってはならない

18/05/30 コメント:2件 W・アーム・スープレックス

 困ったことになった。貫夫は途方に暮れてしまった。
 美紀の母親が、急な病で他界した。間近に結婚式を控えていたやさきのできごとだった。美紀は、貫夫より三つ年下だったが、気丈にも、彼のまえでは涙ひとつみせなかった。三人きょうだいの長女でもあり、母の告別式の準備に、父親ともども率先して動く姿がむしろ痛々しくうつった。
 問題は、そのことではない。
 これまで、人には話したことがなかっ・・・

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アホの鳥

18/05/28 コメント:0件 井川林檎

 昔々あるところにアホの鳥がいました。

 アホでしたが食べたら旨いので、それが唯一かつ最強の自慢でした。



 ある時、

 「こんなに俺は旨いんだから、他に取り柄を伸ばそう」

 と、鳥は思いました。



 それから、ただ旨いだけだったアホの鳥の快進撃が始まりました。



 めっち・・・

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わたしを見て笑って。

18/05/28 コメント:0件 井川林檎

 その少女は美貌で、頭脳明晰で、特殊な能力を授かっていた。病人に手をかざし、あっという間に治癒することができた。どこにいっても少女は歓迎された。

 ある時、少女は不治の病に侵された。この世のものとも思えぬ奇病だった。
 血は吐くわ目は見えなくなるわ髪の毛は抜けるわ食事は喉を通らぬわで、少女はやせ衰え、病室で死を待つばかりとなった。
 
 これまで少女が手をかざせば病・・・

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お笑い予選

18/05/28 コメント:0件 風宮 雅俊

 テレビ局内の小ホールには、予選出場者と同じくらいの人数が観客席に詰め掛けていた。予選参加者は出番待ちに緊張していた。観客席側も一言一句聞き逃すまいと緊張していた。
「これより、第二十三回、お笑い大会の予選を行います。予選に先立ち、第二十三回より昨今の放送事故を防ぐ為に関連団体の方に審査の協力をお願いしております。よろしくお願いいたします」
 司会は観客席にお辞儀をした。
「では・・・

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キラワレモノと破壊神

18/05/28 コメント:0件 蒼樹里緒

 割れ物注意、なんて注意書きは、俺に合いすぎている。むしろ、割れ物どころか『壊れ物』、さらに言えば『キラワレモノ』だが。
 向けられた銃口を軽く握っただけで、銃は粉微塵になった。
 自分の手元と俺の無表情を、男は唖然と見比べる。
 その間、俺の横を他人が素早く駆け抜けた。
「隙ありぃっ!」
「ぐほあぁッ!」
 自分より小柄な女の体当たりを、男はまともにくらった。・・・

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