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第153回 時空モノガタリ文学賞 【 報酬 】

今回のテーマは【報酬】です。

恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

時空モノガタリ賞発表日:2018/04/09

※同一投稿者からのコンテストページへの投稿作品数は3作品とさせていただきます。
※R18的な暴力表現・性描写はお控えください。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。

ステータス 終了
コンテストカテゴリ
投稿期日 2018/02/05〜2018/03/05
投稿数 74 件
賞金 時空モノガタリ文学賞 5000円 ※複数受賞の場合あり
投稿上限文字数 2000
最大投稿数 3
総評 「報酬」というテーマを、人生の転機としてとらえた作品が多かったですね。魅力がある作が多く、読んでいて楽しかったです。内容的にさほど目新しいという訳ではなくても、 描き方に工夫があり、新鮮な印象が残る作品が多かったのが素晴らしいと思いました。 「結婚の報酬」妻を好きだった事実を忘れることが現実的かどうかという疑問は残るものの、もし作品全体が一人の男の心の象徴的に表したものであって、妻は彼が忘れていた大切な何かを体現したものと捉えてみると、なかなか興味深い内容でした。誰でもちょっとしたきっかけで感情を抑圧してしまうことはよくある気がしますし、”本来の自分”というものがあるとするなら、それとの再会とでもいうべき内面的な変化が興味深かったです。 「ケン・オス・ムードメーカー」動物が相応のもの以上の知力を持つとしたら、なんと残酷なことでしょうか。人間と同等の知能を持つゴリラの悲哀に胸が痛かったです。ケンのメダルに込められた「望み」は、少なくとも表面的に”普通の”ゴリラの役割に戻ることだったように見えますが、彼の知性は残されたままなのかは明示されません。そのことにより、一般観客が動物園の動物を見るように、読者が遠景からケンの内面の苦しみの有無を想像せざるを得ないもどかしさが逆に良かったのではないかと感じます。 「雨の報酬」 しっとりした雨の町の描写から、微かな将来への不安と新たな人生の始まりの予感が静かに伝わってきました。セリフよりも、風景描写が間接的に語る部分が多い作品だと思います。同僚から手渡された傘は主人公を元の場所へ戻すのではなく、別の道を踏み出させる一助になったのでしょうか。 「4月になれば」すぐに結婚に飛び込むのではなく、奨学金という区切りにこだわる主人公の独自の地に足の着いたリアリティに引き付けられました。そして徐々に不器用に育まれていくのであろう宇津木との関係にも詩的な美しささえ漂っていて、地味ながらも一人の女性の生き方が手触りを持って伝わってくるようでした。 「colors」川という境界線で分断された街と、見える世界と見えない世界。二つの境界線が交差し溶けあうかのように、二人の人間の出会いと変化を描いていく構成が良かったと思います。「外の世界を知らなければ自分が不幸だとなんて思わない」と思いつつも、それを見たい欲求も分かる気がしました。 「イタリアの人々」これはご自身の実体験に基づく作品でしょうか。イタリアの田舎町の風景や人々の暖かいエピソードが新鮮で、引き込まれます。わざわざ老人のために頭を汚す村人の微笑ましいエピソードは、表面的ではない人間同士の暖かい繋がりを感じさせてくれました。 「五限目の苦悩」相手に脈がなくても、わずかな可能性を探してしまうのが恋する者の弱みかもしれません。原田さんの言動を深読みした結果、意図とは真逆の発言をしてしまうドジさ加減が妙にかわいらしかったです。 「振り向き症候群を救う会」精神的な病というのは、感情や思考が何等かの対象に執着してしまった状態なのかもしれません。時に恋愛というのは依存的な性質があり、単に対象が過去から恋愛に変わったということでは、根本的な解決は難しいのかもしれませんね。人を救うこと、救われることは人間の深い欲求だと思いますが、その難しさを痛感させられる作品でした。 「地球最後の報酬」地球が滅びる最後の日であっても、淡々といつも通り生きる人々の優しさと明るさが印象的でした。考えてみれば、人生とは瞬間瞬間の積み重ねであり、その瞬間を真に生きられれば、「最後」の日であっても幸福であることが、もしかしたら可能なのかもしれません。

入賞した作品

2

宝石を食べる悪魔と契約した話

18/03/04 コメント:1件 小高まあな

 結婚式まであと二週間だった。招待状も出したし、ドレスも料理も何もかも全部決まっていた。  なのに、あの男は、 「ごめん! 彼女のことが好きになったんだ!」  後輩に手を出していた。 「先輩っ、ごめんなさい」  わざとらしく、後輩が泣いている。 「すまない、彼女は悪くないんだ。俺がっ」  全員が同じ職場だ。私が結婚することを後輩も知っていた。迫ったのが彼からだったとしても、女が悪くないわけがない。・・・

4

子どもの報酬

18/03/04 コメント:3件 待井小雨

 父は私がすっかり大人になった今でも、ごほうびだと言ってキャンディやチョコを用意している。 「だってお前、甘い物が好きだろう」  そう言って目尻を下げてとても優しく笑う。  ええ、好きだったわ。甘い物が好きな小さな女の子だった。けれどお父さん、私はもうチョコで口の周りを汚していた女の子ではないのよ――とそう言っても、父は「そうか」と言ってまた忘れ、私の為のお菓子を用意して待っている。 「嫌いじゃな・・・

最終選考作品

1

結婚の報酬

18/03/05 コメント:0件 吉岡 幸一

「娘と結婚してくれたら高層マンションの最上階を買ってやる。それに将来は会社もゆずるつもりだ」  社長は溺愛する娘のために俺と結婚させようと必死になっていた。愛娘の望みを強引に叶えるために、結婚の報酬まで提示してくるのはいかにも結果重視の社長らしい。 「なに、結婚してしまえば、愛情なんてものは後からついてくるものだよ」  三ヶ月前、社長は手をさすりながら言ってきたが、結婚した今でもそんな高尚な感情は・・・

4

ケン・オス・ムードメーカー

18/03/04 コメント:2件 宮下 倖

「へえ。ムードメーカーだって。ゴリラなのに」  甲高い女の声にケンはちらりと檻の外を見た。  複雑な形に指をからめた男女が低い位置に立てられた看板を覗き込んでいる。そこには檻の中にいる四頭のゴリラの紹介が書かれていた。 「ゴリラのムードメーカーってなに? こういうとこにはふつう、好物はバナナとか書くもんじゃないの? ほら、こっちはスミレ・メス・りんごが好きって書いてあるよ」  ケンはさりげなく立ち・・・

1

雨の報酬

18/03/04 コメント:1件 吉岡 幸一

 夕方になって突然降り出した雨は男の真新しいスーツを濡らした。男はシャッターの降ろされた保険代理店の軒下に飛び込むと、片手でスーツについた雨粒を払い落とし、曇った眼鏡の奥から真っ黒な空を見上げため息をついた。  再就職活動をしていたが思うような結果が得られないまま三カ月が過ぎようとしていた。この日面接を受けたシステム開発の会社でも、経験不足を理由に目の前で断られる情けない有様だった。  どこも僕な・・・

3

四月になれば

18/02/28 コメント:2件 野々小花

 一月の半ば、深夜のオフィスはひどく冷える。今日の分のノルマは、まだ当分終わりそうにない。徹夜になると覚悟した瞬間にため息が漏れる。私はボサボサになった長い髪をひとつに結わえた。ぐるぐると首にマフラーを巻く。最後に美容院に行ったのはいつだっただろう。毎日仕事で忙しくて、そんなことも忘れてしまった。  専門学校を卒業して、小さなIT企業に就職したのが十年前。駆け込みの細かい仕事が放り込まれることも多・・・

3

COLORS

18/02/21 コメント:2件 若早称平

 初めて盗みをした時のことはもう覚えていない。掛け算よりも先にスリの技術を仕込まれた俺達にとってそれはただの通過儀礼以外なんの意味もなかったからだ。  人から物を盗むことが悪いことだと知ったのは十二歳になった頃だった。この施設で育った子供達はみんな同じだと思う。親の顔を覚えていないのもみんな同じだ。それが当たり前で世界中の子供が同じだと思っていた。 「聞きました? 柊の話」  仕事を終え、施設の・・・

3

イタリアの人々

18/02/20 コメント:3件 W・アーム・スープレックス

 イタリア人は日本人贔屓が多いというのは、ほんとうだ。ぼくがそのイタリアで一人旅をしているとき、地元の人々が日本人だとわかるとひとなつっこくちかよってきて、ぎゅっと首に腕をまきつけて親愛の情をみせつけられたのは一度や二度ではない。ピザ店でたべているとき、ぼくが日本人だとわかると、手首に巻き付ける皮のベルトをプレゼントされたこともある。また公園のベンチに座って目の前の風景をスケッチしていると、これは・・・

2

五限目の苦悩

18/02/14 コメント:1件 若早称平

「ねえねえ、坂口。ちょっとこっち来て」  今日がバレンタインデーでなければ、なんてことない呼び出しだった。同じクラスの原田さんが手招きする。緊張のあまり食べたばかりのカレーパンを吐きそうになった。僕が彼女に密かに想いを寄せていることを知っている友人からの冷やかしと激励が遠くに聞こえた。  彼女の後ろについて廊下の隅に歩いた。制服のポケットからのぞくチョコに期待が膨らむ。  人気のない物陰で彼女が振・・・

4

振り向き症候群を救う会

18/02/12 コメント:2件 入江弥彦

 七年前のハイジャック事件が怖くて飛行機に乗れない。三年前の殺人事件が怖くて人と口論ができない。十三年前の脱線事故が怖くて電車に乗ることができない。僕がこの世に存在する前の爆弾魔が怖くてビルの高層階には登れない。僕が生まれた日に母を殺した医者が怖くて病院に行けない。  過去に足を引っ張られ続けた僕は、今では立派な振り向き症候群だ。 「難しい顔してるよ」 「顔なんてそっちから見えないでしょ」  後ろ・・・

2

地球最後の報酬

18/02/09 コメント:2件 紅茶愛好家

世界の終わりは突然やってくる。西暦二XXX年、預言者ノストラダマスの予言した地球最後の日、巨大隕石の襲来に人々が慌てふためく中でそれでも僕は―― ――レジを打つ。 「いらっしゃいませー」 「らっしゃいませー」 気だるげな山彦挨拶をしていると店長が険しい顔でやって来た。 「笹倉君『らっしゃいませ』じゃないからね、『いらっしゃいませ』だから!」 「うぃーす」 「いらっしゃいませー」 「らっしゃいませ・・・

投稿済みの記事一覧

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毛を買う悪魔

18/03/05 コメント:0件 土地神

 今日はいい契約をした。契約といっても仕事のことじゃない。俺の前に悪魔が突然現れて「毛が欲しい、毛を売ってくれ」と頼んできたのだ。
「毛が欲しい? おいおい、どこにそんなふざけた要求をする悪魔がいるんだ。結局は俺の魂が目当てなんだろう? 今どき騙されると思ってんのか。帰れ帰れ」
「いやいや、本当に毛が欲しいんだ。実はこっちの世界で魔術用の人毛が枯渇しててな。早い話が、売ると儲かるんだ。・・・

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どんぐり

18/03/05 コメント:0件 トミザワ 鏡太朗

よかったら俺のくだらない話を一つ
聞いてくれないか?

俺がまだ小学生2年生だったときの話
クラスに1人、吃音症の女の子がいたんだ
伊織ちゃんって言う、名前のイメージ通り繊細で優しい子だったよ
彼女は喋れない訳じゃないけど、いかんせんよく聞き取れない

みんな最初は一生懸命聞き取ろうとしてたけど
だんだん億劫になって話しかけなくなったり
・・・

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18/03/05 コメント:0件 むねすけ

――なんにもあげられないよ。
 その女の人が言った。声は僕の耳や鼓膜ではなく、内側の水分に波紋となってたぶん聞こえた。
「なにかもらえると思ってないよ。大丈夫」
 僕が女の人に言いたい言葉は、唇を動かさなくても音になってまた、波紋になった。女の人には聞こえているんだろうか。
――それがわかっているのなら、どうして?
 よかった。ちゃんと聞こえているみたい。どうしてか?・・・

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整形手術

18/03/05 コメント:0件 林一

 一億円の銀行強盗に成功した彼は、たった一つだけ痛恨のミスを犯していた。銀行強盗の最中、銀行員に抵抗され、覆面を脱がされてしまったのだ。
 このままでは、防犯カメラに映った顔から自分の犯行だとばれ、警察に捕まってしまう。そう考えた彼は、ある医者の元を尋ねた。その医者とは、犯罪者の間では少し名の知れた闇医者だ。
「あなたの噂を聞きつけてきました。私の顔を別人に整形してください」
「・・・

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佐倉タクシー回送中

18/03/05 コメント:0件 紅茶愛好家

金曜の夜、街にネオンが灯る頃、飲み屋街から少し離れた電車通りで一台の佐倉タクシーが停車していた。乗務員は立花勝五十四歳、勤続二十四年目になるベテランドライバーだ。立花はその時ラジオでプロ野球の中継を聞いていた。五回と三分の一でピッチャーが失点をし、ランナー一塁二塁で打席は四番、ドルフィンズがピンチを迎えた時だった。ドアをコンコンコンとノックする音がする。思わず聞き入っていた立花はドキリとして後方の・・・

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天使の報酬

18/03/05 コメント:0件 みや

ママをひとりじめしたい。
それが四歳の郁弥の今の願いだった。

弟の和弥が産まれて半年、ママは赤ちゃんの和弥にかかり切りで、郁弥をあまり構ってくれなくなっていた。郁弥は毎日昼間は保育園で過ごし夜は早く寝かし付けられ、ママと遊ぶ時間なんて殆ど無い。
保育園がお休みの週末にはママは弟の和弥と一緒に実家に帰ってしまい、郁弥はパパと二人きりで過ごすことになっている。

・・・

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マイの報酬

18/03/05 コメント:0件 奈尚

「やれやれ。やっと完成した」

 博士はため息をつくと、柔らかなクッションに深く身を沈めた。
「これで長年関わってきたプロジェクトもひと段落だ。君のおかげだよ。マイ」
 巨大なスーパーコンピュータを前にそう語りかける。
 若い頃に妻を亡くし、仕事だけに没頭してきた彼にとって、このコンピュータ『マイ』は大切な右腕であり、信頼できるパートナーだった。
「君が面倒な計・・・

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オニオン・テロリスト

18/03/05 コメント:0件 冬垣ひなた

 毎週日曜日、賑わう公園の一角で繰り広げられるのは、個性豊かなパフォーマンス。ジャグリングあり、道化師あり、パントマイムあり、技を競って客を楽しませるために、誰もが小さな舞台に胸を張って立っている。
「どうも―っ、こんにちは!イケメンパフォーマーの翔です。何、イケてない?大丈夫ね、イケてないのは顔だけやから。これが、とっておきの技見たらイケてる思えてくるんやで、催眠術かかって」
 観客・・・

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誤算

18/03/05 コメント:0件 光石七

 彼らは『影疾風』と名乗っていた。要求する報酬は高額だが、引き受けた依頼は完璧に遂行する。持ち込まれる案件は法やモラルに反するものがほとんどだ。各々が持つ知識とスキルを活かし、時に多額の費用をかけ、あらゆる依頼を鮮やかに成し遂げる。彼らは自分たちの仕事に自信と誇りを持っていた。
 殺し屋のSは『影疾風』の窓口役も兼ねている。この日、Sは地味な風貌の青年と会っていた。この青年は何年もかけ独自の・・・

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丸山君

18/03/05 コメント:0件 nekoneko

「えっ報酬だって。」僕は自分の耳を疑った。丸山君は僕が頼んだ事に今までずっうと何かを要求して来た事は無かった。いつも、笑顔でうんいいよて言う感じで頼まれてくれていた。それが…。「報酬て、そのつまりお金を払えて事なの?」「そうさ」丸山君は落ち着き払った様に答えた。「僕は決めたんだ。これからは、君が僕に何かを頼み事をし、それに対して僕が何かをするんだったら報酬を貰うと言う事をさ」「でもどうして、急にそ・・・

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貴方に捧げる愛の報酬

18/03/05 コメント:0件 黒江 うさぎ

 私には、恋人がいる。  その人の名前は、カトレーヌ。  カトレーヌは私と同じ女の人で、今は私のボディーガードで…昔は、私の家に売られて来た奴隷。  …うん。カトレーヌにたとえ過去に何があっても、私とカトレーヌは相思相愛の恋人なんだ。 「…ねぇ、カトレーヌ」 「如何しましたか?お嬢様」 「…どうしてカトレーヌは私に何もしないの?」  …カトレーヌからは、本当に何もしてこないけれど。  カトレーヌに・・・

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夕暮れの公園

18/03/05 コメント:0件 セレビシエ

仕事が終わり、外に出た。今日も定時で帰ることが出来る。ここのところ、仕事の調子がとても良かった。
外は夕陽に包まれてオレンジ色に輝いている。春を知らせるような暖かい風も吹いていた。

最寄り駅まで電車で揺られた。直ぐに家に帰ってもいいのだが、今日も寄り道をする。
家の近くにあるとても小さな公園、そこに今日も彼がいた。
「お待たせ、タクミくん」
「もー、待ったよ〜・・・

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笑わない少女

18/03/04 コメント:2件 むねすけ

 病室の少女がテレビジョンに映し出される。
 エイとオウの二人は安酒場でピーナッツを砕きながら安酒を注ぎ合っていた。
「やれやれ、いつになったら」
「男酌の不味い酒から解放されますか」
「ね」
「ね」
 エイとオウ、二人を知るものは彼らをコンビとしてブルーと呼んだが、二人は、
「そのエイじゃない」
「そのオウじゃない」
 と、呼ばれるを好まな・・・

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内角高めのストレート

18/03/04 コメント:0件 キップル

「日本シリーズ第4戦。3連敗で後がない信州グランバーズ。2点リードで迎えた7回表、ここで大橋がマウンドに上がります!」

 俺は大歓声の中マウンドに立った。緊張はない。キャッチャーミットはよく見えている。俺の役割は明確だ。

「ピッチャー大橋、第1球目を投げました!打った、打球は1、2塁間、抜けた!ノーアウトのランナーが出ました!」

 レフトスタンド、大阪タイ・・・

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部活手当

18/03/04 コメント:0件 林一

 学校の部活動は、教師にとって大きな負担になっている。
 教師は通常、朝の八時過ぎから一六時過ぎまで仕事がある。普通のサラリーマンなら昼休みがあるが、教師は給食時間も、生徒達と一緒に食べながら指導に当たらなくてはならない。
 さらに、授業の準備やテストの採点などで残業したり、家に持ち帰って仕事をしている教師もざらにいる。教師はただでさえ忙しいのだ。
 その仕事に加えて部活動の顧問・・・

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教師あり学習

18/03/04 コメント:0件 ファリス

朝だ。
カーテンを開けると綺麗な青空が広がっていた。日光を全身に浴びながら伸びをすると、視野の真ん中、手を伸ばせば届きそうな空間の一部に、ドーナツのような赤いマルが現れた。すると、なんとなく気持ちが良くなったけれど、僕はそれを無視した。いつものことだ。
顔を洗い、パンを食べた。その後冷たい牛乳を飲んだら、今度は青いバツが現れた。その瞬間、僕は少し気分が悪くなった。しかしそれもいつものこ・・・

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カニ味噌

18/03/04 コメント:0件 林一

 私はお手伝いさんとして、ご主人様の元で働いている。
 私が仕えるご主人様はとてもケチな性格で、自分には高級食材を使った料理を作らせるくせに、私には質素な料理を食べることしか許してくれないの。ひどい話よね。
 だけどその代わり、この仕事で楽しみにしていることが一つだけあるの。
 ご主人様は毎週金曜日に、決まってカニ料理を私に作らせるんだけど、ご主人様はカニ味噌が苦手だから、調理の・・・

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18/03/04 コメント:0件 セレビシエ

島の真ん中に台がある。
島の外側は海で囲まれていて、そこに毎日大きな石がひとつ流れてくる。僕はそれを拾って台まで運ぶ。石は重いから僕は毎回くたくたになりながらそれを運んでいた。
そうすると空から食べ物が降ってくるのだ。
僕はそれを食べて生活していた。
石は、僕が寝ると、どこかへ消えてしまって、また新しい石が流れてくるのだ。永遠に変わらない単純作業を僕はくり返していた、生きる・・・

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飛べば終焉。飛ばねば百億。

18/03/04 コメント:0件 ヤヤ

 例えばの話をしよう。君の目の前には崖がある。それも深くて暗い、底があるのかどうかもわからぬ崖である。
 君はその崖を前、問いを投げ掛けられるだろう。悩むことすら億劫になる、ひどく簡単な問いかけを。

「飛べば終焉。飛ばねば百億」

 さあ、どうする──?



「──飛ばないで百億もらう」

 目の前の男はそう言った。真剣なまでの・・・

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報酬、または悩み多き人生に幸あれ

18/03/04 コメント:0件 キップル

 ザッザッザッ。

 春を待つ柔らかな雪の斜面に一歩、また一歩と足跡が刻まれていく。ところどころ雪の間からぬかるんだ地面が覗き、デコボコの坂道が視線のずっと先まで続いていた。まだ葉をまとっていない落葉樹は、優しい日差しに照らされ網目のような影を生み出している。

 はぁ、はぁ…。

 山に入ってまだ十分ほどだが、すでに男の息は上がっていた。少しペースを落とそうか・・・

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世界で廻る羊たちよ。

18/03/04 コメント:0件 松田リリー






「終わりました。」

そう声をかけると、扉についてる小さな窓からニョっと手が出た。
その手からバラバラと飴が落ちてくるので、慌てて拾う。

「拾い終わったなら、早く帰って。」

冷たい声にお辞儀をして、
僕は足早に駆けて行った。

僕たちは、偉い人たちの顔を見ることもない。
街と村の間には壁が・・・

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ゴクロウさん

18/03/04 コメント:0件 霜月秋介

『金ガ欲シケレバ働ケ。男ガ欲シケレバ貢ゲ。物ガ欲シケレバ買エ』

 AIロボット『ゴクロウさん』は、電源を入れるとまず、そのフレーズを喋りだす。ゴクロウさんは、主に専業主婦の為に開発された、主婦の働きに応じて報酬を与えることができるAIロボットだ。
 ゴクロウさんの両目にはビデオカメラが搭載されており、家にいる特定の人間の行動を一日中監視することができる。その人間が半径二メートル・・・

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最強の剣

18/03/03 コメント:0件 使ってません

帝国にはあるとき、一人の素直な若者がいた。彼は剣の腕に非常に優れた剣士だった。帝国の闘技場では今、王子の主催する一大大会が開かれていた。今回は一戦あたりの賞金といい、参加者数といい、何から何まで特別だった。王子が直々に開催する、帝国はじまって以来最大の大会だからだ。 ここは弱肉強食の闘技場。優勝すれば報酬として富が得られる。 若者は一大稼ぎ頭にして、今や帝国のスターだった。 彼が求めていたのは今回・・・

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美しい宇宙

18/03/02 コメント:0件 つつい つつ

 最初に光が生まれた。広大で無限の闇に覆われた空間に光がどんどん浸食し始めた。神様はここに新しい宇宙を造ることにした。
「神様、次はどうしましょう」
 南西の第114エリアを造り終えた天使が次の指示を待つ。神様は大きな地図を広げると、「こういうのもいいかな」と大きくうなずき設計図をささっと書くと天使に渡しました。
「わあっ、流れ星が巡回しながら航路を描く星雲ですか。ロマンチックで・・・

0

契約カップル

18/03/01 コメント:0件 笹岡 拓也

卒業式を終えた私たちは誰もいない教室で契約完了の手続きをしている。
「杉咲、今日までありがとう」
彼は満面の笑みで私に感謝を告げる。教室の窓から入ってくる風で貼ってあった掲示物がめくれ上がり音を立てる。私は彼に掛ける言葉を必死で探していた。


ちょうど一年前のある日、彼は私に告白をした。それは突然のことで驚きが隠せず、恥ずかしさのあまりほとんど考えずに断った。しかし・・・

4

猫の集会

18/03/01 コメント:4件 そらの珊瑚

 今宵は新月。極細の金の筆で、さっと書いたような細い月が出ていた。  ささやかな月明り。  暗闇に、それでも時折光るいくつもの小さな目玉。海に近いここ、かもめ橋に猫たちが集まってきた。 「みにゃさま、本日の議題は報酬です」橋の欄干の上に座った大きな白猫が言った。 「ほうしゅうって?」仔猫が母猫に訊いた。 「働いて得るもののことよ。つまり、猫にとったら人間にもらう食べ物のことかしら」母猫が答える。・・・

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報酬の対価

18/03/01 コメント:0件 moto

「おい、後藤。来月から給料100%カットな。」
部長の言葉は、俺の心臓を一瞬止めた。

サービス残業で無休状態が当たり前のブラック企業に、8年間真面目に勤めてきた。
それが、数日前に起こしたミスがキッカケで突然給料の停止を迫られている。
給料100%カットだなんて確実に違法だ。

「無給期間は半年。勤務態度が良かったら給料は復活させるつもりだ。
もし・・・

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レンタルフレンド

18/03/01 コメント:0件  浅縹ろゐか

 友達がいないということを、後ろめたく感じる人は全くいなくなっていた。私はしがない会社員だ。職業は、レンタルフレンドである。レンタルフレンドというのは数年前に生まれた職業で、依頼者に対し私達のような社員が友達として派遣されるサービスだ。依頼者は希望する条件を提示し、それにマッチングする友達を紹介する。こうした職業が生まれた当初、疑問視する声も当然上がった。友情を金銭でやり取りするのは、如何なものか・・・

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チタンの胃袋とあざとい男

18/03/01 コメント:0件 浅間

 二限後は、そのまま講義室に残って昼食を食べる学生も多い。槇原千絵里もその一人であった。彼女は当然の如く、ずっしりとした直方体を包む風呂敷を解き、光沢のあるお重を三段、どすん、どすん、どすん、と机の上に堂々と広げる。とても細身の女性が一人で食べきれる量には見えないが、彼女はチタンの胃袋をお持ちだ。
食べやすいように、長い黒髪を結ったところだった。哀れな一人の青年がロケットの如く飛んでくると、・・・

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窓枠の内にあった幸せ

18/02/25 コメント:0件 橘瞬華

其処は、まるで仄暗い闇が蹲っているようだった。丸太で組まれた素朴な山小屋、白んだ木製の軋む床。やがて日が姿を現し、白く薄いカーテンが微かに揺れ、舞い上がる埃と無数のキャンバスを照らし出した。その中で壁に掛かる一枚の画用紙に描かれた絵だけは毛色が違った。幼い筆致。歪なパース。背の高い無精髭を生やした男と少女が笑っている。
これは、一夏の間少女を匿った、画家の男への報酬である。

そ・・・

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最高の報酬とは

18/02/25 コメント:0件 氷室 エヌ

 限定品のマカロン、日本に上陸したばかりのカップケーキ、どこぞの有名ショコラティエが作ったチョコレート、新作のフラペチーノ。
 家を出る前に渡されたメモに再び目を通す。買い忘れはない。俺は小さく頷き、両手に抱えたいくつもの紙袋を持ち直す。せっかくの休日を棒に振るわけにはいかない、さっさと帰ろう。
 そう思った瞬間、ジーンズの尻ポケットに入れたスマホが震える。俺は紙袋を落とさないように四・・・

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失恋の報酬

18/02/25 コメント:0件 腹時計

「なあ、おい」
 無愛想な声にはっと目を覚ますと、前の席の男子が迷惑そうな顔つきでこちらを振り向いていた。
 え、なに?
「はやく」
 プリントをつっけんどんに押しつけられて我に返る。そうだ今は数学の時間だった。
 あたしは顔を赤くして受け取った。ごめんとも言わず。そして速やかにそのうち一枚を自分の机に置いて後ろの席に回した。
「ど・ん・ま・い」
 と、後・・・

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白い鳥

18/02/25 コメント:0件 アシタバ

 曇り空に雪がちらつき始めた。空の下には冷え切った湖があり、雪は水面に舞い降りると静かに消えてゆく。
 湖面は冷気に磨かれた鏡のようであり、その周囲に降り積もった雪は深い。冬の山野に色はなく、枯れた木々が雪に埋れまいと懸命に耐えていた。風や獣がたてる音もなく、降り続ける雪だけが時の流れを感じさせる。とても寂しい風景だった。
 湖畔には雪でつくった小さなかまくらがある。湖近くに住む村人が・・・

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ハル

18/02/24 コメント:0件 華満零

リビングのお気に入りの座布団の上で、日向ぼっこをする、至福の時間。窓越しに差してくる温かい光に、うつらうつらしていた。春眠暁を覚えず、だなんて前は思わなかったけれど。微睡んでいると、パソコンに向かっていたはずの妹、美緒が、隣に座っていた。
「今日は暖かいねえ…ハル、散歩でも行こうか」
その声に、はいよ、と返事をして腰を上げる。
最近少し体がいうことを聞かなくなってきたけれど、頑張・・・

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オハヨウからオヤスミ

18/02/23 コメント:0件 重一

オハヨウ。
太陽の光は最高に輝いている。私はそいつに挨拶をして、今日も学校へ向かう。

いつも見るあの学生は今日も寝癖を直さずに歩いてる。あのサラリーマンは見事にパリパリしてハキハキと仕事に打ち込みそうだ。またいつものように生意気な小学生があの子をからかってる。
電柱は年中立ちっぱなしのカカシ。カラスを大歓迎するから遠慮なくカラスは余らず皆乗っかかって私たちをまじま・・・

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月の住人

18/02/22 コメント:0件 広田杜

「じゃあここでいいか」
 彼女はこともなげにそう言うと、僕を壁に押し付けキスをした。彼女の一連の造作には迷いも恥じらいもなくて、僕だけが石造のように動けずにいる。僕より五センチほど背の低い彼女は背伸びをやめつつ唇を離すと言った。
「じゃあまたよろしくね」
 去っていく彼女の長い髪から花のような少し甘い香りが漂う。僕はさっきまで爆発しそうに鼓動を打っていた心臓を服の上から押さえると・・・

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賭けの報酬

18/02/22 コメント:0件 W・アーム・スープレックス

 戦争というのは、人を殺すことだということがやっとわかった。俺にとって縁もゆかりもない人間に、情け容赦なく銃弾を撃ちこむことなのだ。
 兵士になって一週間後に、俺はそのことに気づいた。兵士になった理由はただひとつ、くっていくためだった。そしてその俺の腹をみたすために、敵国の人間を撃ち殺すのだ。
 俺が派兵されたさきは、この地上の地獄ともいわれている最前線だった。敵味方、毎日いったい何人・・・

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僕が書く理由

18/02/20 コメント:0件 向本果乃子

 僕は何のために書いていたんだっけ?初めて書いたのは十三の秋。でもそれはまるで日記のような、宛先のない手紙のような、自分の中に生まれる怒りや苛立ちを吐き出すように書き殴った小説とも詩とも言えない文字の連なり。学習ノートにHBの鉛筆で殴り書きしたそれが僕の初めての作品。それから僕は手に負えないあらゆる感情を白い紙の上に文字として書き続けた。誰に見せるためでもないから、汚い感情も意味不明な言葉も独りよ・・・

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手を伸ばしても手に入らない

18/02/20 コメント:0件 蒼樹里緒

 畳に敷かれた布の上で、数十の鉱石が煌めいている。こんもりと積まれ、自ら発光するそれらは、行燈の光を反射してなお眩く存在を主張していた。
 しかし、それを差し出された若い男の目にも心にも、感慨は浮かばない。胡坐をかいた膝をつかむ無骨な指に、力がこもる。
「おい、おっさん。まさか、これっぽっちの報酬でこの俺様が依頼を請けるたぁ考えてねえよな?」
 喉から出たのは、低い不満の声だった・・・

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報酬は缶ビール

18/02/19 コメント:0件 ケイジロウ

「わかった、わかった、もうそんなところで勘弁してくれ」
 真っ暗な田んぼ道を歩く栗山諒太はそう乞うたが、北風は容赦なく諒太にタックルしてきた。
 仕事さえ見つかればこの北風は止まるだろう、諒太はそんなことを本気で信じているようだった。
 今まで何社に落とされたかわからない。30社、いや50社くらいになるだろうか。今日職安で取り次いでもらった会社もおそらくだめだろう。そもそも社会は・・・

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報酬は春告草

18/02/18 コメント:0件 文月めぐ

 二月下旬、まだまだ寒いが、もうこのあたりでは雪は降らないんじゃないか――春への期待が高まるこの時期。俺の心に降り積もっていた雪も、徐々に解けて、陽が差してきた。
 大きな生命保険の契約が決まった。新規のお客様で、ここまで額が大きいと、緊張もするし、変な高揚感がある。震える手でタッチパネルを操作して、契約を進めていくが、汗ばんだ手から何度もタッチペンが落ちそうになった。
 ずっと営業が・・・

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探偵事務所のアルバイトの報酬

18/02/17 コメント:0件 小峰綾子

「これが今回の報酬となります」
所長が封筒をカウンターの上に置く。
「今どきこんな形でお給料を渡す機会もないから、新鮮だよね」
と言って笑う。
「そうですよね。わがままを言ってしまいすみませんでした。ありがとうございます。」

ここは都内のとある探偵事務所。僕の本業はサラリーマンなので、副業で収入を得ていることがバレると色々と面倒そうなのだがという相談をしたとこ・・・

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報酬はあなたの命

18/02/17 コメント:0件 君形チトモ

「我が仇、悪逆非道の宮廷魔術師よ! その所業の報い、受けるがいい!!」
 王宮前の広場で、青年は無数の銀の弾丸を放った。
 青年は、この国の王や宮廷魔術師たちに滅ぼされた村の出身だ。一人生き残って復讐を誓った当時の幼い彼は、力を身につけるべく、報酬さえあればどんな依頼も受ける、不老不死の魔女へ弟子入りを頼んだ。
「やだね。アタシは弟子なんていらないし、しかも報酬はないって、馬鹿に・・・

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穴掘りゴンゾー

18/02/15 コメント:0件 W・アーム・スープレックス

 ゴンゾーが地面に穴を掘りだしてから、かれこれ一時間がたった。
 きわめてゆっくりとした動作でスコップを扱うその姿は、みていてあくびがでるほどのんびりしていた。むろんそんなかれのふるまいを見物するような暇人はどこにもいなかったが。
 日中ともなれば彼のいるところは遮るものとてなにもなく、肌は焼けつくように熱くなった。
 夕方になってもまだ、ゴンゾーは穴を掘っていた。穴はすでに、彼・・・

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殺しの報酬と奇しき唇💋

18/02/15 コメント:0件 比些志

今回の標的は隣国の大富豪シコースキーとその妻。奇妙なことに、二人を同時に殺すというのが元締めから示された条件だった。
報酬は1億ドル。一生遊んで暮らせる金だ。
悲運の夫人に興味を抱いた俺は、さっそく庭師を装い、怪しまれることなく豪邸の庭先に忍び込むと、辛抱強く夫人に近づく機会をうかがった。
それから数日たったある日、いつも通り庭仕事を終え帰ろうとすると、その妻が出合い頭に玄・・・

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殺しの報酬

18/02/13 コメント:0件 風宮 雅俊

 今日の依頼は三十代男性の狙撃だ。写真を見る限り普通の会社員に見える。ヤクザの金に手を出せるほどの根性は感じられない。あの無防備な歩き方ではどこかの国のスパイと言う事もない。この男のどこに殺すだけの価値があるのかは分からない。ハッキリしているのは、この男を殺す依頼の前金は受取済みである事だ。俺にはそれ以上の理由は必要なかった。

 スコープを覗くと二百メートル先に男がいる。距離はそれほ・・・

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小説少女と殺人少年

18/02/12 コメント:0件 クナリ

 コンクリート打ちっぱなしの、無愛想な正方形の平屋に、平岡クツリは住んでいた。
 僕と同じ十七歳だが、学校には通っていない。この平屋は離れで、すぐ側に母屋があり、クツリの父親が一人で住んでいる。
 僕が、ベッドと子供用の学習机しかないクツリの部屋を訪れると、いつも最初に僕からの報告が行われる。
「今日は、高校生にカツアゲされている小学生を助けた。代わりに僕が殴られたけど」
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僕が欲しいもの

18/02/12 コメント:0件 ジェームズボンバークライシス

僕は他者にしてきたことは、必ず自分に返ってくると祖父に聞かされたことがある。
だから僕は他者に対して貢献をすれば、必ず恩恵が返ってくると思っていたから僕はしばらくの間は利己主義だった事実は否定できない。
だけどもその行動が習慣化されると、そういうことは無意識に行っていたし、自己犠牲以外の常識を知らないわけだから、結局人に当たり前のように尽くす。
おかげで、僕は騙されることも多かっ・・・

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報酬はティーチのあとで

18/02/12 コメント:0件 浅月庵

 兄ちゃん、一人で飲み屋なんか来ちまって、彼女さんとかいないの? がはは、こんなオヤジに女の心配なんかされたくないよな。

 仕事は? バイトで食ってくのは厳しいもんがあるぞぉ。
 なに、夢があるだって? 小説家を目指してんのか。うんうん、だけどなかなか結果が出せなくて困ってる、と。

 ゴホン、仕方ねぇな。俺がいくつかアドバイスしてやるよ。え? ド素人に意見なんかさ・・・

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自ら動けば、きっと世界は

18/02/11 コメント:0件 麗蘭

夕日が辺りを照らす黄昏に、ハルトはあてもなく高架下を歩いていた。持っているカバンは教科書がパンパンに入っており、重みから時折肩からずれそうになる。冬の寒さが身にこたえるが、ハルトは家に帰る気にはなれなかった。
「だって、どうせ家に帰っても、父さんも母さんもいないんだ…」
ひとりぼっちの空間はハルトにとって苦痛だった。ハルトも中学生になり、両親の仕事の多忙さは理解している。しかし、だから・・・

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我々の報酬、あなた方の報酬

18/02/11 コメント:1件 どようび

 野原に、無数の飛行物体が着陸しました。
 金で出来たものもあれば、銀でできたものもあり、地球では採取できない未知の物質から成るものもありました。
 空から降りてきては、その家一つ分の大きさの機体で地面を揺らし、立ち所に周辺の人々が集まり遠巻きに観察を始めました。
「あれはきっと侵略してきたに違いない」
「いいや、きっと貿易が目的だね」
「地球より遙かに優れた技術を持・・・

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命の値段

18/02/11 コメント:0件 山盛りポテト

品のいい革張りのソファーに深く腰掛け、手に取った札束を舐めるように見つめ、一枚一枚指で弾いた。
「今回も稼がせてもらったな」
俺がこの仕事を始めてから何年経ったろうか、ムショ上がりで両親は幼少の頃に他界、天涯孤独。親しい友人もいないので自然と普通の人間じゃまずやらないようなことで稼ぐようになった。気がつけば肩までどっぷり使った深い欲の沼から抜け出せずにいた。
仕事は至って単純だ。・・・

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156分の1

18/02/10 コメント:0件 64GB

 昭和26年7月、その日母と死に別れるとは知らずに、4才の私は新しいお出かけ用の赤い靴を履いた。自宅から渡し船とバスで札幌の五番館デパートまで片道二時間かけて行った。屋上にある遊園地につれて行ってもらうために何日もいい子でいた気がする。
「恵美子は美人だからエレベーターガールになれるかもよ」母はそんなことを言った。美人という言葉に私は嬉しくなって「上に参ります!3階はおもちゃ売り場です!」と・・・

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物語は、定時に終わる。

18/02/08 コメント:0件 松田リリー



『おはようございます。』

ニュースキャスターの朝のご挨拶。
キャスターはいつも決まった時間に、おはようございますと言ってくれる。ありがとう。
朝食は、白米に納豆。
汁ものはなし。
身支度をして部屋を出て行く。

ドアを開けるといつもの景色。
忙しく歩いている人々を上から見下ろす。
ここは、駅が近い。
そして自分もそ・・・

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天使のお仕事

18/02/08 コメント:0件 風宮 雅俊

「次の天使さん」
 地上での任務を終えると、私の所で清算をするのだ。天使の任務は人々が道を迷わない様に険しい道も乗り越えられる様に、ある時は優しくある時は厳しく導き手として。また、成長を促すシチュエーションを作る役者として、人々の間に紛れ込み任務を果たすのである。
 その任務は多岐に渡り、心の傷を癒すカウンセラー、戒めを与える悪党、慈悲を目覚めさせる病人などとなるのであった。しかし、天・・・

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金・金・金

18/02/08 コメント:0件 斎藤緋七(さいとうひな)

勇人は「別れさせ屋」をやっていた。
もちろん、『金をもらって』だ。依頼者は圧倒的に男が多い。
新しい彼女が出来たから古い付き合いの女とはおさらばしたいと言うのが一番多い。
その日も友人の一人、智に依頼された。
「勇人。親友割引で頼む。」
「割引なんかしないぞ。有里は一途だから。料金も高くなる、
一番別れ際タチが悪いタイプだ。」
今月に入って2件目の依頼だ。・・・

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さようなら、私が殺した私

18/02/07 コメント:0件 斎藤緋七(さいとうひな)

「妹は恨みを買うような子じゃなかった。」

早紀子と死んだ妹の有美子は双子の姉妹だ。

誰もまだ気が付いていない。姉妹がいれかわっている事、生んだ親も笑ってしまうくらい私たち姉妹はそっくりだったから。



私、早紀子は有美子を殺した。

妹を殺し、妹になりすまし妹の人生を生きようとしている。

世間では、私、早紀子が死んだ・・・

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『お金』がない国

18/02/07 コメント:1件 葉月三十

 夢のような国だ。
 その国にはお金が存在しない。
 とある国、そこではもう百年もの間、お金というものが使われていなかった。
 人々はその国を理想郷と呼び、沢山の旅人がその国を訪れた。
 今日もまた一人、とある青年がその国に入国した。
「お若いの、観光ですか?」
「そうですね、旅をしています」
 旅人は世界各国を回っていた。現実社会に辟易したのだ。故の自分・・・

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白魚の手

18/02/06 コメント:1件 広田杜

 私の飼い猫が私に贈り物を持ってくるようになったのは最近のことだ。
 食器にドライフードを足そうとしていたときのこと。猫専用ドアの開く音がし、彼が帰ってきた。名前をしらすという真っ白な彼は、口に雀の死体をくわえていた。私は小さく悲鳴を上げると、外に持っていくようにきつくしかった。しらすは反省するように頭を下げ、しぶしぶ外に雀を持って行った。
 翌日のこと。読書をしている私の足元にしらす・・・

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ゲームオーバー!

18/02/06 コメント:4件 とむなお

はっ――と目を開けた。
僕はジャケット姿で、走るバスに乗っていた。
そんなに混んでなくて、立ってる客は皆無だった。
そして、空席も少しあった。
窓の外に目を向けると、美しい夜景が見えた。
いったい何処を走ってるのかも……僕には分からなかった。

まもなくバスは、街中へと入った。
だが、妙なことに、何処へ行こうと思って、このバスに乗ったのか……まったく・・・

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米$の身体

18/02/06 コメント:2件 斎藤緋七(さいとうひな)

ジュースの中に入れた薬がまわって抵抗できない「女」の喉元がひくひく動いている。私は先端を当てているアイスピックをもつ手に力を込めた。「お願い、空ちゃん…お母さんが間違ってた。」「間違ってた?ナニを?言って見なさいよ。」 「体外受精で子供を産んでもらったお礼にブラウンさんに『あなたをお礼に上げたこと』ブラウンさんが『情がうつちゃったからどうしても一人欲しい』って言ったから。」 「あんたさあ。」 実の・・・

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かけがえのない温もり

18/02/05 コメント:1件 いっき

今日はボーナス支給日。
パソコンの給与明細画面を見て心躍らせる。
僕も妻も誕生日は十二月だ。
綺麗な夜景の見えるレストランで、毎年豪華なディナーを楽しむんだ。

皆がボーナスにウキウキしていたその時。

「大変です。県内養鶏場で鳥インフルエンザ陽性が確認されました」

電話を受けた同僚が青ざめて言った。
僕達、県職員は皆、凍りつく。

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応援

18/02/05 コメント:1件 井川林檎

 「この道は舗装されていて、まっすぐだ」

 眼鏡の女は、腕を組んで立っていた。
 みんな、疲れたら座り込んで休んだり、会話したりしている。
 わき目もふらずに歩いてゆく人もいる。

 濃紺のアスファルトは陽光に照らされ、てらてら光っている。
 広い道の両端は、ここからは見えない。だけど、道の両側は、果てしなく広い砂場が続いているのだ。
 乾いて、何・・・

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