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第153回 時空モノガタリ文学賞 【 報酬 】

今回のテーマは【報酬】です。
恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。
時空モノガタリ賞発表日:2018/04/09
※同一投稿者からのコンテストページへの投稿作品数は3作品とさせていただきます。
※R18的な暴力表現・性描写はお控えください。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。
ステータス | 終了 |
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コンテストカテゴリ | |
投稿期日 | 2018/02/05〜2018/03/05 |
投稿数 | 74 件 |
賞金 | 時空モノガタリ文学賞 5000円 ※複数受賞の場合あり |
投稿上限文字数 | 2000 |
最大投稿数 | 3 |
総評 | 「報酬」というテーマを、人生の転機としてとらえた作品が多かったですね。魅力がある作が多く、読んでいて楽しかったです。内容的にさほど目新しいという訳ではなくても、 描き方に工夫があり、新鮮な印象が残る作品が多かったのが素晴らしいと思いました。 「結婚の報酬」妻を好きだった事実を忘れることが現実的かどうかという疑問は残るものの、もし作品全体が一人の男の心の象徴的に表したものであって、妻は彼が忘れていた大切な何かを体現したものと捉えてみると、なかなか興味深い内容でした。誰でもちょっとしたきっかけで感情を抑圧してしまうことはよくある気がしますし、”本来の自分”というものがあるとするなら、それとの再会とでもいうべき内面的な変化が興味深かったです。 「ケン・オス・ムードメーカー」動物が相応のもの以上の知力を持つとしたら、なんと残酷なことでしょうか。人間と同等の知能を持つゴリラの悲哀に胸が痛かったです。ケンのメダルに込められた「望み」は、少なくとも表面的に”普通の”ゴリラの役割に戻ることだったように見えますが、彼の知性は残されたままなのかは明示されません。そのことにより、一般観客が動物園の動物を見るように、読者が遠景からケンの内面の苦しみの有無を想像せざるを得ないもどかしさが逆に良かったのではないかと感じます。 「雨の報酬」 しっとりした雨の町の描写から、微かな将来への不安と新たな人生の始まりの予感が静かに伝わってきました。セリフよりも、風景描写が間接的に語る部分が多い作品だと思います。同僚から手渡された傘は主人公を元の場所へ戻すのではなく、別の道を踏み出させる一助になったのでしょうか。 「4月になれば」すぐに結婚に飛び込むのではなく、奨学金という区切りにこだわる主人公の独自の地に足の着いたリアリティに引き付けられました。そして徐々に不器用に育まれていくのであろう宇津木との関係にも詩的な美しささえ漂っていて、地味ながらも一人の女性の生き方が手触りを持って伝わってくるようでした。 「colors」川という境界線で分断された街と、見える世界と見えない世界。二つの境界線が交差し溶けあうかのように、二人の人間の出会いと変化を描いていく構成が良かったと思います。「外の世界を知らなければ自分が不幸だとなんて思わない」と思いつつも、それを見たい欲求も分かる気がしました。 「イタリアの人々」これはご自身の実体験に基づく作品でしょうか。イタリアの田舎町の風景や人々の暖かいエピソードが新鮮で、引き込まれます。わざわざ老人のために頭を汚す村人の微笑ましいエピソードは、表面的ではない人間同士の暖かい繋がりを感じさせてくれました。 「五限目の苦悩」相手に脈がなくても、わずかな可能性を探してしまうのが恋する者の弱みかもしれません。原田さんの言動を深読みした結果、意図とは真逆の発言をしてしまうドジさ加減が妙にかわいらしかったです。 「振り向き症候群を救う会」精神的な病というのは、感情や思考が何等かの対象に執着してしまった状態なのかもしれません。時に恋愛というのは依存的な性質があり、単に対象が過去から恋愛に変わったということでは、根本的な解決は難しいのかもしれませんね。人を救うこと、救われることは人間の深い欲求だと思いますが、その難しさを痛感させられる作品でした。 「地球最後の報酬」地球が滅びる最後の日であっても、淡々といつも通り生きる人々の優しさと明るさが印象的でした。考えてみれば、人生とは瞬間瞬間の積み重ねであり、その瞬間を真に生きられれば、「最後」の日であっても幸福であることが、もしかしたら可能なのかもしれません。 |
入賞した作品
最終選考作品
4
ケン・オス・ムードメーカー
18/03/04 コメント:2件 宮下 倖
「へえ。ムードメーカーだって。ゴリラなのに」 甲高い女の声にケンはちらりと檻の外を見た。 複雑な形に指をからめた男女が低い位置に立てられた看板を覗き込んでいる。そこには檻の中にいる四頭のゴリラの紹介が書かれていた。 「ゴリラのムードメーカーってなに? こういうとこにはふつう、好物はバナナとか書くもんじゃないの? ほら、こっちはスミレ・メス・りんごが好きって書いてあるよ」 ケンはさりげなく立ち・・・
3
イタリアの人々
18/02/20 コメント:3件 W・アーム・スープレックス
イタリア人は日本人贔屓が多いというのは、ほんとうだ。ぼくがそのイタリアで一人旅をしているとき、地元の人々が日本人だとわかるとひとなつっこくちかよってきて、ぎゅっと首に腕をまきつけて親愛の情をみせつけられたのは一度や二度ではない。ピザ店でたべているとき、ぼくが日本人だとわかると、手首に巻き付ける皮のベルトをプレゼントされたこともある。また公園のベンチに座って目の前の風景をスケッチしていると、これは・・・
4
振り向き症候群を救う会
18/02/12 コメント:2件 入江弥彦
七年前のハイジャック事件が怖くて飛行機に乗れない。三年前の殺人事件が怖くて人と口論ができない。十三年前の脱線事故が怖くて電車に乗ることができない。僕がこの世に存在する前の爆弾魔が怖くてビルの高層階には登れない。僕が生まれた日に母を殺した医者が怖くて病院に行けない。 過去に足を引っ張られ続けた僕は、今では立派な振り向き症候群だ。 「難しい顔してるよ」 「顔なんてそっちから見えないでしょ」 後ろ・・・
投稿済みの記事一覧
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オニオン・テロリスト
18/03/05 コメント:0件 冬垣ひなた
毎週日曜日、賑わう公園の一角で繰り広げられるのは、個性豊かなパフォーマンス。ジャグリングあり、道化師あり、パントマイムあり、技を競って客を楽しませるために、誰もが小さな舞台に胸を張って立っている。
「どうも―っ、こんにちは!イケメンパフォーマーの翔です。何、イケてない?大丈夫ね、イケてないのは顔だけやから。これが、とっておきの技見たらイケてる思えてくるんやで、催眠術かかって」
観客・・・
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貴方に捧げる愛の報酬
18/03/05 コメント:0件 黒江 うさぎ
私には、恋人がいる。 その人の名前は、カトレーヌ。 カトレーヌは私と同じ女の人で、今は私のボディーガードで…昔は、私の家に売られて来た奴隷。 …うん。カトレーヌにたとえ過去に何があっても、私とカトレーヌは相思相愛の恋人なんだ。 「…ねぇ、カトレーヌ」 「如何しましたか?お嬢様」 「…どうしてカトレーヌは私に何もしないの?」 …カトレーヌからは、本当に何もしてこないけれど。 カトレーヌに・・・
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内角高めのストレート
18/03/04 コメント:0件 キップル
「日本シリーズ第4戦。3連敗で後がない信州グランバーズ。2点リードで迎えた7回表、ここで大橋がマウンドに上がります!」
俺は大歓声の中マウンドに立った。緊張はない。キャッチャーミットはよく見えている。俺の役割は明確だ。
「ピッチャー大橋、第1球目を投げました!打った、打球は1、2塁間、抜けた!ノーアウトのランナーが出ました!」
レフトスタンド、大阪タイ・・・
1
飛べば終焉。飛ばねば百億。
18/03/04 コメント:0件 ヤヤ
例えばの話をしよう。君の目の前には崖がある。それも深くて暗い、底があるのかどうかもわからぬ崖である。
君はその崖を前、問いを投げ掛けられるだろう。悩むことすら億劫になる、ひどく簡単な問いかけを。
「飛べば終焉。飛ばねば百億」
さあ、どうする──?
「──飛ばないで百億もらう」
目の前の男はそう言った。真剣なまでの・・・
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報酬、または悩み多き人生に幸あれ
18/03/04 コメント:0件 キップル
ザッザッザッ。
春を待つ柔らかな雪の斜面に一歩、また一歩と足跡が刻まれていく。ところどころ雪の間からぬかるんだ地面が覗き、デコボコの坂道が視線のずっと先まで続いていた。まだ葉をまとっていない落葉樹は、優しい日差しに照らされ網目のような影を生み出している。
はぁ、はぁ…。
山に入ってまだ十分ほどだが、すでに男の息は上がっていた。少しペースを落とそうか・・・
0
世界で廻る羊たちよ。
18/03/04 コメント:0件 松田リリー
「終わりました。」
そう声をかけると、扉についてる小さな窓からニョっと手が出た。
その手からバラバラと飴が落ちてくるので、慌てて拾う。
「拾い終わったなら、早く帰って。」
冷たい声にお辞儀をして、
僕は足早に駆けて行った。
僕たちは、偉い人たちの顔を見ることもない。
街と村の間には壁が・・・
1
チタンの胃袋とあざとい男
18/03/01 コメント:0件 浅間
二限後は、そのまま講義室に残って昼食を食べる学生も多い。槇原千絵里もその一人であった。彼女は当然の如く、ずっしりとした直方体を包む風呂敷を解き、光沢のあるお重を三段、どすん、どすん、どすん、と机の上に堂々と広げる。とても細身の女性が一人で食べきれる量には見えないが、彼女はチタンの胃袋をお持ちだ。
食べやすいように、長い黒髪を結ったところだった。哀れな一人の青年がロケットの如く飛んでくると、・・・
1
窓枠の内にあった幸せ
18/02/25 コメント:0件 橘瞬華
其処は、まるで仄暗い闇が蹲っているようだった。丸太で組まれた素朴な山小屋、白んだ木製の軋む床。やがて日が姿を現し、白く薄いカーテンが微かに揺れ、舞い上がる埃と無数のキャンバスを照らし出した。その中で壁に掛かる一枚の画用紙に描かれた絵だけは毛色が違った。幼い筆致。歪なパース。背の高い無精髭を生やした男と少女が笑っている。
これは、一夏の間少女を匿った、画家の男への報酬である。
そ・・・
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オハヨウからオヤスミ
18/02/23 コメント:0件 重一
オハヨウ。
太陽の光は最高に輝いている。私はそいつに挨拶をして、今日も学校へ向かう。
いつも見るあの学生は今日も寝癖を直さずに歩いてる。あのサラリーマンは見事にパリパリしてハキハキと仕事に打ち込みそうだ。またいつものように生意気な小学生があの子をからかってる。
電柱は年中立ちっぱなしのカカシ。カラスを大歓迎するから遠慮なくカラスは余らず皆乗っかかって私たちをまじま・・・
2
賭けの報酬
18/02/22 コメント:0件 W・アーム・スープレックス
戦争というのは、人を殺すことだということがやっとわかった。俺にとって縁もゆかりもない人間に、情け容赦なく銃弾を撃ちこむことなのだ。
兵士になって一週間後に、俺はそのことに気づいた。兵士になった理由はただひとつ、くっていくためだった。そしてその俺の腹をみたすために、敵国の人間を撃ち殺すのだ。
俺が派兵されたさきは、この地上の地獄ともいわれている最前線だった。敵味方、毎日いったい何人・・・
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手を伸ばしても手に入らない
18/02/20 コメント:0件 蒼樹里緒
畳に敷かれた布の上で、数十の鉱石が煌めいている。こんもりと積まれ、自ら発光するそれらは、行燈の光を反射してなお眩く存在を主張していた。
しかし、それを差し出された若い男の目にも心にも、感慨は浮かばない。胡坐をかいた膝をつかむ無骨な指に、力がこもる。
「おい、おっさん。まさか、これっぽっちの報酬でこの俺様が依頼を請けるたぁ考えてねえよな?」
喉から出たのは、低い不満の声だった・・・
1
探偵事務所のアルバイトの報酬
18/02/17 コメント:0件 小峰綾子
「これが今回の報酬となります」
所長が封筒をカウンターの上に置く。
「今どきこんな形でお給料を渡す機会もないから、新鮮だよね」
と言って笑う。
「そうですよね。わがままを言ってしまいすみませんでした。ありがとうございます。」
ここは都内のとある探偵事務所。僕の本業はサラリーマンなので、副業で収入を得ていることがバレると色々と面倒そうなのだがという相談をしたとこ・・・
1
穴掘りゴンゾー
18/02/15 コメント:0件 W・アーム・スープレックス
ゴンゾーが地面に穴を掘りだしてから、かれこれ一時間がたった。
きわめてゆっくりとした動作でスコップを扱うその姿は、みていてあくびがでるほどのんびりしていた。むろんそんなかれのふるまいを見物するような暇人はどこにもいなかったが。
日中ともなれば彼のいるところは遮るものとてなにもなく、肌は焼けつくように熱くなった。
夕方になってもまだ、ゴンゾーは穴を掘っていた。穴はすでに、彼・・・
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殺しの報酬と奇しき唇💋
18/02/15 コメント:0件 比些志
今回の標的は隣国の大富豪シコースキーとその妻。奇妙なことに、二人を同時に殺すというのが元締めから示された条件だった。
報酬は1億ドル。一生遊んで暮らせる金だ。
悲運の夫人に興味を抱いた俺は、さっそく庭師を装い、怪しまれることなく豪邸の庭先に忍び込むと、辛抱強く夫人に近づく機会をうかがった。
それから数日たったある日、いつも通り庭仕事を終え帰ろうとすると、その妻が出合い頭に玄・・・
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僕が欲しいもの
18/02/12 コメント:0件 ジェームズボンバークライシス
僕は他者にしてきたことは、必ず自分に返ってくると祖父に聞かされたことがある。
だから僕は他者に対して貢献をすれば、必ず恩恵が返ってくると思っていたから僕はしばらくの間は利己主義だった事実は否定できない。
だけどもその行動が習慣化されると、そういうことは無意識に行っていたし、自己犠牲以外の常識を知らないわけだから、結局人に当たり前のように尽くす。
おかげで、僕は騙されることも多かっ・・・
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報酬はティーチのあとで
18/02/12 コメント:0件 浅月庵
兄ちゃん、一人で飲み屋なんか来ちまって、彼女さんとかいないの? がはは、こんなオヤジに女の心配なんかされたくないよな。
仕事は? バイトで食ってくのは厳しいもんがあるぞぉ。
なに、夢があるだって? 小説家を目指してんのか。うんうん、だけどなかなか結果が出せなくて困ってる、と。
ゴホン、仕方ねぇな。俺がいくつかアドバイスしてやるよ。え? ド素人に意見なんかさ・・・
2
自ら動けば、きっと世界は
18/02/11 コメント:0件 麗蘭
夕日が辺りを照らす黄昏に、ハルトはあてもなく高架下を歩いていた。持っているカバンは教科書がパンパンに入っており、重みから時折肩からずれそうになる。冬の寒さが身にこたえるが、ハルトは家に帰る気にはなれなかった。
「だって、どうせ家に帰っても、父さんも母さんもいないんだ…」
ひとりぼっちの空間はハルトにとって苦痛だった。ハルトも中学生になり、両親の仕事の多忙さは理解している。しかし、だから・・・
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我々の報酬、あなた方の報酬
18/02/11 コメント:1件 どようび
野原に、無数の飛行物体が着陸しました。
金で出来たものもあれば、銀でできたものもあり、地球では採取できない未知の物質から成るものもありました。
空から降りてきては、その家一つ分の大きさの機体で地面を揺らし、立ち所に周辺の人々が集まり遠巻きに観察を始めました。
「あれはきっと侵略してきたに違いない」
「いいや、きっと貿易が目的だね」
「地球より遙かに優れた技術を持・・・
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物語は、定時に終わる。
18/02/08 コメント:0件 松田リリー
『おはようございます。』
ニュースキャスターの朝のご挨拶。
キャスターはいつも決まった時間に、おはようございますと言ってくれる。ありがとう。
朝食は、白米に納豆。
汁ものはなし。
身支度をして部屋を出て行く。
ドアを開けるといつもの景色。
忙しく歩いている人々を上から見下ろす。
ここは、駅が近い。
そして自分もそ・・・
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金・金・金
18/02/08 コメント:0件 斎藤緋七(さいとうひな)
勇人は「別れさせ屋」をやっていた。
もちろん、『金をもらって』だ。依頼者は圧倒的に男が多い。
新しい彼女が出来たから古い付き合いの女とはおさらばしたいと言うのが一番多い。
その日も友人の一人、智に依頼された。
「勇人。親友割引で頼む。」
「割引なんかしないぞ。有里は一途だから。料金も高くなる、
一番別れ際タチが悪いタイプだ。」
今月に入って2件目の依頼だ。・・・
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さようなら、私が殺した私
18/02/07 コメント:0件 斎藤緋七(さいとうひな)
「妹は恨みを買うような子じゃなかった。」
早紀子と死んだ妹の有美子は双子の姉妹だ。
誰もまだ気が付いていない。姉妹がいれかわっている事、生んだ親も笑ってしまうくらい私たち姉妹はそっくりだったから。
私、早紀子は有美子を殺した。
妹を殺し、妹になりすまし妹の人生を生きようとしている。
世間では、私、早紀子が死んだ・・・
0
米$の身体
18/02/06 コメント:2件 斎藤緋七(さいとうひな)
ジュースの中に入れた薬がまわって抵抗できない「女」の喉元がひくひく動いている。私は先端を当てているアイスピックをもつ手に力を込めた。「お願い、空ちゃん…お母さんが間違ってた。」「間違ってた?ナニを?言って見なさいよ。」 「体外受精で子供を産んでもらったお礼にブラウンさんに『あなたをお礼に上げたこと』ブラウンさんが『情がうつちゃったからどうしても一人欲しい』って言ったから。」 「あんたさあ。」 実の・・・
0
かけがえのない温もり
18/02/05 コメント:1件 いっき
今日はボーナス支給日。
パソコンの給与明細画面を見て心躍らせる。
僕も妻も誕生日は十二月だ。
綺麗な夜景の見えるレストランで、毎年豪華なディナーを楽しむんだ。
皆がボーナスにウキウキしていたその時。
「大変です。県内養鶏場で鳥インフルエンザ陽性が確認されました」
電話を受けた同僚が青ざめて言った。
僕達、県職員は皆、凍りつく。
ピックアップ作品
結婚式まであと二週間だった。招待状も出したし、ドレスも料理も何もかも全部決まっていた。 なのに、あの男は、 「ごめん! 彼女のことが好きになったんだ!」 後輩に手を出していた。 「先輩っ、ごめんなさい」 わざとらしく、後輩が泣いている。 「すまない、彼女は悪くないんだ。俺がっ」 全員が同じ職場だ。私が結婚することを後輩も知っていた。迫ったのが彼からだったとしても、女が悪くないわけがない。・・・