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第148回 時空モノガタリ文学賞 【 ホラー 】

今回のテーマは【ホラー】です。

恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

時空モノガタリ賞発表日:2018/01/01

※同一投稿者からのコンテストページへの投稿作品数は3作品とさせていただきます。
※R18的な暴力表現・性描写はお控えください。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。

ステータス 終了
コンテストカテゴリ
投稿期日 2017/11/06〜2017/12/04
投稿数 74 件
賞金 時空モノガタリ文学賞 5000円 ※複数受賞の場合あり
投稿上限文字数 2000
最大投稿数 3
総評 ホラーというテーマにふさわしく、エンターテイメント性と読みやすさ、さらにオリジナリティを備えた作品が多かったと思います。人間の欲望や利己性、孤独と弱さが伝わる作品が多く読み応えがありました。また、“恐怖”というものは、視覚や触覚などの五感から得た情報に妄想が加わり増幅し、人を巻き込んでいってしまうのかもしれないということも考えさせられました。『禁忌』―――夜道に迫る気配に恐怖を膨らませた体験は誰でも経験があり、感情移入しやすい内容ではないかと思います。町に伝わる言い伝えが主人公の恐怖を裏付け、緊張感のあるストーリーになっていますね。母の不在が明らかになり、安堵から再度恐怖に突き落とされるラストもインパクトがありました。『自動音声案内』―――リラックスした旅の途中、徐々に「名所」に導かれ、徐々に不穏な予感が高まっていく流れがうまいと思います。いないはずの助手席の警告音も不気味ですね。読みやすい文章でうまくまとまった作品だと思います。『影盗り』―――日常の風景の中、自分だけ気づいた奇妙な光景。誰かにバトンを渡さないかぎり負のループから逃れられないというホラーの典型的構造の作品だと思います。大勢の中で自分だけが”あちら側”に引き釣りこまれてしまうというのは、恐怖と孤独を、より強めるものなのかもしれません。『顔の皮を売る店』―――もしも服を着替えるように顔を変えられる店が存在したら、商売繁盛しそうですね。誰もが多少なりとも変身願望を持っているのではないかと思います。自らの欲望を大金と引き換えに購入した「顔の皮」で満たそうとする者たちの悲喜こもごもが興味深かったです。『剥ぐ』―――こちらも『顔の皮を売る店』と同系列の作品ですね。見知らぬ他人が「顔」のコレクションをアパートに置くというシュールな設定の面白さと、まんまと男の顔と自分の顔を挿げ替えてしまう主人公の徹底した利己性がなんとも印象的でした。『蔵の中』―――作品全体を覆う湿り気に満ちた空気感に魅力があると思います。「外の世界から切り離された」田舎の古い屋敷という設定からは、都会では封印された人間の残酷さと哀しさが伝わります。古い価値観と人間的しがらみの下、紗世のような不幸な人間が今でもどこかに存在しているのかもしれませんね。 『どこ』―――これは畳みかけるようなリズムが独特で、インパクトがありました。「トントントントン」という包丁の音と抑揚のない妹の声が、壊れたラジオのようにリフレインを繰り返す中、主人公を取り巻く世界全体が無機質な狂気に満ちていく過程が怖かったです。これは、心の拠り所となるはずの家庭が失われ、行き場のなくなっていく精神的な恐怖でもあるのかもしれません。『少女組み立てキット』―――不可解な荷物がどこからか届くというタイプの作品が今回いくつか投稿されていましたが、これはその中でも、 異様かつ幻想的な雰囲気にインパクトがありました。次々と置かれる身体のパーツ入りの段ボール箱の送り主は誰なのか、少女は殺されたのだとしたら、犯人は一体誰なのか。解決されない謎めいた終わり方が印象的です。薬指を持っているところからすると、箱の送り主さえも「俺」なのであって、すべては自作自演なのでは?という疑問も感じてしまいますね。『首』―――首だけの女と、それに魅せられた男。両者の孤独を強く感じました。人間が”首だけ”の存在であるということ、これはあたかも思考に偏り身体性を失った人間の不完全の隠喩でもあるかのように、個人的には思えました。果たして、「最終駅」に彼女はたどり着くのか、永遠に終わりのない電車で旅を続けるのか。悪夢のような閉塞感と孤独感が強く残る作品でした。

入賞した作品

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今までなくしたもの

17/12/04 コメント:6件 霜月秋介

『あなたが今まで失くしたもの、すべて見つけてお届けします』  会社の昼休みにスマホでネット検索をしていたら、そう書かれた広告を見つけた。ためしにその広告を開いてみた。 『ご登録有難うございます。お客様の名前は井尻 須磨雄さまですね。生年月日は×月×日、ご住所は…』  なんと広告を開いた途端に、俺の個人情報が次々と表示されていた。まずいと思い、すぐその広告を閉じようとしたが、何処をタップしても広告が・・・

4

シュロの髪の毛

17/12/03 コメント:4件 待井小雨

 シュロの木をあまり見つめてはいけないと言われていた。あの幹に絡みついているのは、あれは人の髪の毛だから。  祖父母の家は古びた家屋で、庭にはシュロの木が生えていた。その幹にまとわりつくようなその繊維は、幼い目には人の毛のように見えもした。ごそりとした手触りのそれに指を埋めれば、そこから人の目が覗くような気さえしていた。  子供の頃、両親に何か用事があって家を空ける日があった。その日は祖父母の家・・・

3

ホラー映画で女子を見せる!

17/11/24 コメント:1件 笹岡 拓也

私はある日、冬馬くんに映画に行こうと誘われた。冬馬くんはクラスの中でも1.2を争うイケメンで人気のある男子。冬馬くんを彼氏にしたら、あらゆる女子が嫉妬することだろう。そんな女子たちを私は見下すことができる。だからこのチャンスはしっかり物にしておきたかった。 「この映画なんだけどさ、怖いのとか大丈夫?」 冬馬くんが一緒に見たいと言った映画はホラー映画だった。私は正直、ホラー映画が好きじゃない。理由は・・・

最終選考作品

5

禁忌

17/12/04 コメント:5件 石蕗亮

 初冬の冴え冴えとした夜空に鮮やかな満月が浮かんでいた。 その中を私は独り足早に家路を急いでいた。 街灯は少ない。 道の両端は既に稲刈りも済んだ田んぼが続いている。 路面は所々凍結もあるので自転車は止めた。 最寄りの駅から自宅までは1km強。 自宅周辺まで民家や人気は無い。 その道中を私は白い息を吐きながら足早に急いでいた。  後ろから来る「何か」を振り切るように 駅を出て時、私が最後だったの・・・

8

自動音声案内

17/12/03 コメント:3件 黒谷丹鵺

 大きな仕事が一段落したところで休暇を取った。  ちょうど車を買い換えたばかりということもあり、足慣らしも兼ねて一人旅に出かけることにした。  この新しい相棒は、キーを差し込まなくともスイッチひとつでエンジンがかかるタイプの新車だ。ナビゲーションシステムのおかげで、知らない道でも迷う心配はない。急カーブや踏切の存在も手前で知らせてくれて頼もしい。 「300メートル先、右折専用レーンがあります」  ・・・

2

顔の皮を売る店

17/11/29 コメント:1件 KOUICHI YOSHIOKA

 四回ノックして錆びた鉄のドアを開けると、破れて色のくすんだ暗幕がある。重くじっとりと濡れた暗幕を開くと八坪程の狭い空間があり、壁一面が棚になっていて天井から床までびっしりと円筒上の硝子のケースが並べられている。  硝子のケースの中には透明な薬品につけられた人の顔の皮が入れられている。よく見ると赤ん坊から死に際の老人まで、ありとあらゆる年齢層の顔の皮がある。男も女も、美人も不美人も、白人も黒人も黄・・・

2

剥ぐ

17/11/29 コメント:1件 KOUICHI YOSHIOKA

 ノックの音が続いている。午前二時を過ぎた頃から玄関のドアがコツコツと叩かれている。周りを気遣うような小さな音だが、僕がドアを開けるまで諦めそうにない。  こんな夜中に一人暮らしのボロアパートに訪ねてくるのは借金取りくらいしか思い浮かばない。友達はいないし、両親はとっくに他界している。仕事もしていない借金まみれの引きこもりニートの部屋を訪ねてくる奴なんてろくでもないに決まっている。 「なんですか、・・・

2

蔵の中

17/11/27 コメント:2件 野々小花

 物心ついた頃から、美織は母と二人で暮らしていた。  その母が交通事故で亡くなったのは美織が小学校四年生のときだ。  母方の祖父母の元へ引き取られることになり、母の故郷である朽川村に初めて足を踏み入れた。  山陰地方にある周囲をぐるりと山で囲まれたその村は、まるで外の世界から切り離されたようだった。  外灯ひとつなく、夜になれば村は漆黒の闇に包まれる。美織の知っている明るい都会の夜とはまるで違って・・・

2

どこ

17/11/24 コメント:2件 クナリ

 中学の制服の襟がなかなかなじまないのを気にしつつ、麻衣はドアを開けた。  そこには、居間がある。  夕暮れの弱く鈍い光の中、すぐ横の、少し古いのれんの向こうにある台所から、トントントントンと包丁を使う音が聞こえている。  居間は板張りで、こたつの周りに座椅子がよっつ。くたびれたカーテンに、黒くて奥行きのある古いテレビ。ガラス戸の外には、小さな庭がある。 「あれ?」  麻衣はそうつぶやいて、その場・・・

3

少女組み立てキット

17/11/23 コメント:0件 黄鱗きいろ

 始まりは、部屋の前に放置された一つの段ボールだった。  俺が住んでいるのは四畳半ワンルームの安アパートの二階だ。ある日、アルバイトを終えてくたくたになった俺は、いつも通り重い足取りで金属製の階段をカンカンと上っていった。  なんて人生だ。楽しみも何もない。大学受験に落ち、浪人するも志望校には入れず、親に見放され、藁にも縋る気持ちで受けた正社員試験にも落ち、薄給でしたくもないアルバイトをする日々。・・・

2

17/11/06 コメント:2件 井川林檎

 わたしは美しい。  神話の女神のような顔立ち。  艶やかな瞳。  誰もがわたしを渇望する。  桜色の唇を奪い、髪の毛を愛撫したいと願う。    だが次の瞬間、人は絶望する。  心を燃え上がらせた直後、はっと眼を逸らす。そして、一生、後悔する。  わたしを、見てしまったことを。  髪の一房は白いリボンで結ばれている。長く伸ばしたリボンの片端は自転車置き場のフェンスに繋がれていた。  わ・・・

投稿済みの記事一覧

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恋は2度目から

17/12/04 コメント:0件 南野モリコ

日が短くなった美術部の部室で、1年生の高橋カズエ19歳は、1人キャンバスに向かい、彼が来るのを待っていた。部長の近藤俊彦は、皆が帰ったこの時間に、コンクールに出品しようと密かに製作している大作に手を入れに来ているのをカズエは知っているのだ。

うふ、近藤先輩。先輩は、照れ屋で自分からは私に話しかけられないから、私が2人になる時間を作ってあげたわ。先輩は、すごく気を使う人なのよね。2年生・・・

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シック・アズ・ア・ドッグ

17/12/04 コメント:0件 むねすけ

 入院、となって却って安心してしまったのか、見舞客と話し込んで楽しい。
 毎日増えてゆく花束、果物カゴ、果ては社員の皆さん入魂の千羽鶴。職場に三十年弱居座った古だぬきに残された枯れ葉が見事に化けたものだ。
「病院食はどうですか?」
「うーん。まぁまぁね。胃の病気だから贅沢は言えないわよ。そうねぇ、ミルミルがこんなに美味しいって思わなかった。もー、みるみるうちに減ってく減ってく。パ・・・

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火車(かしゃ)

17/12/04 コメント:1件 冬垣ひなた

 眼を閉じても、見開いても、広がるのは虚ろな闇ばかり。右も左も、天も地も定かでない奇妙な空間に、いつから佇んでいたのか敦司にも分からなかった。
 前後の記憶はひどく曖昧だったが、手の中に温かな光源を見つけて少し驚く。使い込まれた折り畳み式の携帯電話は、懐かしい思い出の品だ。
 か細く光る携帯電話の光を頼りに、敦司はおぼつかない足取りで歩き始める。
 行けども行けども闇。
 ・・・

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吸血鬼カフェ

17/12/04 コメント:1件 泡沫恋歌

 木製の大きな扉は自動ドアになっていて、軽く触れるだけで開いた。だが、ギィギィーギギィ―――と不気味な音がする。どうやら音響効果としてそんな音をつけているらしい。同時に来客を告げる呼鈴にもなっていた。
「いらっしゃいませー」
 全身黒ずくめの若い男が出てきた。
 店内は薄暗く、電燈のかわりに蝋燭の炎が揺れている。煉瓦の壁には不気味な肖像画が飾ってあり、木のテーブルが三つ、各テーブ・・・

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愛しのミリア

17/12/04 コメント:0件 小高まあな

 どんなホラー映画よりも怖いのは、君がいなくなることだ。
 愛しい君が僕の前からいなくなる。それは僕にとって、世界の滅亡と等しい。君がいない世界で生きている意味なんてあるだろうか?
 それに僕は、君とだから生きていけるのだ。
 例え、チェーンソーを持った殺人鬼が襲ってきても、ゾンビ化した人々に囲まれても、未知のウイルスが蔓延っても、ポルターガイスト現象が家で連発しても、謎の着信が・・・

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頭から離れない

17/12/04 コメント:0件 みや

人間にとっての真実の恐怖とは、大切な誰かを喪うかもしれないと感じた瞬間である
ー有名大学の教育学者の名言ー

私達人間は、生活をしている上で日々色々な恐怖を感じる時があります。休みの日にホラー映画を観た時や、部屋にゴキブリが出た時など。これらの恐怖はかなり軽いレベルの恐怖で、過ぎ去った後には特に気にする事もありません・・・

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三人くる

17/12/04 コメント:0件 宮下 倖

 夜にまぎれてなにかが無防備なドアをたたく。
 読んでいた小説の中のそんな一文がなんとなく引っかかった。
 敦也は文庫のページから顔を上げ、何度か瞬きをした。視界が澄んで部屋の蛍光灯が明るくなったように感じる。ずいぶん集中して読んでいたらしい。
「どうしたの?」
 怪訝そうな声が間近で聞こえ、敦也ははっと息を飲んだ。
「優、奈……?」
「あー。また私の存在忘れる・・・

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ルーム

17/12/04 コメント:0件 OSM

 平穏な日々を送っていた女子高生のHは、ある日ふと、死にたいと思った。
 スマートフォンを操作し、死にたい、とSNSに書き込んだ。
 HはSNSを日記やメモの代わりとして活用している。彼女は死にたいと思ったことが今までに一度もなかったので、そう思ったことには重大な意味がある気がして、反射的に書き込んだのだ。
 あくまでメモをするのが目的、レスポンスを期待していたわけではなかったが・・・

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鍋鍋底抜け 底が抜けたらかえりましょ

17/12/04 コメント:0件 そらの珊瑚

ハナは貧乏な家の子ども。レイコは村一番の金持ちの家の子ども。幼馴染の二人は、姉妹のように育ち、互いに十歳になった今でも友達だった。
「ハナちゃん、久しぶりだね」
「なかなか遊べなくてごめんね。家の手伝いが忙しくて」
「大変だね」
「だけど今日はあたしの誕生日だからレイコちゃんと遊んできていいよって母ちゃんが言ってくれたの」
 レイコは自分の首元に下げていた金のネッ・・・

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血を吸う音

17/12/04 コメント:0件 ケイジロウ

 ベトナムのある一日が終わろうとしていた。僕は自転車のスピードを下げ、周りをキョロキョロと眺めまわしていた。清流に沿ったこの道の左右は雑木林で、民家もほとんど見られない。野宿するにはまずまずの条件だ。
 僕は雑木林に入れそうな小路を見つけると自転車を停め、周りに誰もいないことを確かめると、雑木林の陰へ手際よく身をおさめた。
 成功。
 煙草に火をつけると、清流の音が耳の奥の方に入・・・

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願い帳

17/12/04 コメント:0件 ツチフル

「これは【願い帳】よ」
 ママがくれたのは、手のひらより少し大きな帳面だった。
「最初のページを開いて。…そう。そこに理恵のお願いを書くの」
「お願い?」
「やりたいこと。欲しいもの。何でもいいわ」
 私はしばらく考えてから【ハンバーグが食べたい】と書いた。
「書いたよ」
 ママは私のお願いを見て微笑み、その下に横線を引いて【方法】と書いた。
「ハン・・・

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庭に腕みたいな植物が生えたんです

17/12/04 コメント:0件 むねすけ

 明け方前に目が覚めた。何かいいことがありそうな朝の五時半。たくさん時間が使えるぞ、私は痺れていた左手を揉み解しながら、清々しい冬の早朝に体の輪郭を感じるため布団を出る。
「たくさんの時間? 早く起きても起きなくても仕事のないあんたには同じことじゃないの」
 トイレで用を足して、俯いたまま水の流れが止まるのを待った。流し方が下手だと流れっぱなしになることがあるから、そうなると姉さんがう・・・

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違う自分になるために

17/12/03 コメント:0件 斉藤しおん

昔からお姉ちゃんが嫌いだった。
寡黙で、こちらを見る瞳がまっすぐで。
何を考えているか分からない。
頭が良くて。陰気で。
化粧っ気がないのに肌が白くて、お母さんに似た黒目がちな大きな瞳が羨ましかった。

「沙良ちゃんはもう少し頑張らないとね」

どれだけ頑張っても姉と比べられた。
姉のように習い事を頑張るように、姉のように勉強を頑張るように。<・・・

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私の深刻な悩み。

17/12/03 コメント:0件 霜月秋介

 私はホラーものの作品が苦手である。極力は観ないし読まない。それは何故か。答えはシンプルだ。夜中にトイレに行けなくなるからだ。
 くだらないと思うだろう。しかし私にとっては重大なことだ。夜中にふと目が覚めると、トイレに行きたくなる。しかし行けない。布団から出ようと決意すると同時に、いつか読んだホラー漫画の一コマが脳裏に蘇ってくるからだ。そして再び布団を被る。そうこうしているうちに、ボウコウに・・・

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幽体離脱体験

17/12/03 コメント:0件 黒谷丹鵺




「慣れれば簡単だよ」

 先輩の説明は丁寧だった。

 学祭でオカルト研究会のブースに立ち寄ったのは冷やかしだったが「幽体離脱体験コーナー」は面白かった。

「目をとじて……力を抜いて」

 簡易ベッドに横になり、先輩の指示通りに手順を踏んでいくと、ふわっと浮くような感覚があって、目は閉じているのに天上が見えた。
 スー・・・

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サインカーブ・ユニバース

17/12/03 コメント:0件 本宮晃樹

「あなた、幽霊の正体知ってますか」質問というより断定だった。どうせ知らないだろう、といった感じの。「ここだけの話、教えてあげてもいいんですけどね」
 よほど俺が暇に見えたらしい(まあ事実そうなのだが)。街でのんびり歩くのはご法度だと今日わかった。次からは忙しいふりをして、もっと足早に、かつ威嚇的にいこう。とにかくいまはこの変人を振り切ることに集中しなければ。
「すまんが忙しいんでね」<・・・

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ハグ

17/12/03 コメント:0件 水谷暁

 クリスマス近い金曜深夜の駅のホームは、酔客で混み合っていた。ボクの連れは最終電車を待ちながら、もう一人と陽気なおしゃべりだ。
 ボクは手持ちぶさたにしていて、ふいに懐かしいにおいに鼻腔をくすぐられたんだ。
 甘い石鹸みたいな香りと、たばこのヤニくささが入り交じって、なんとも形容のしようがない。ある期間、確実にボクが間近で意識していた。その源に顔をうずめたい気持ちもわき起こってきた。<・・・

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ONE

17/12/01 コメント:0件 つつい つつ

 物心付いた頃から妻はいつも僕の隣にいた。僕たちは同じマンションの同じ階に住んでいて、生まれた日も同じ、星座も血液型も一緒で、ずっと兄妹か双子のように育てられた。
 そして幼稚園、小学校、中学校、高校、大学まで僕たちは同じ学校に通った。思春期になり、中学生になると当然のように妻と付き合い、そして二十五歳の時、当たり前のように結婚した。
 はっきり言って僕たち二人より愛し合っている人なん・・・

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羽化

17/12/01 コメント:0件 望月ひなた

少年は独り、ドアも窓もない部屋で目を覚ました。
四面がコンクリートのような灰色の物質で覆われ、その立方体の内部には何もなかった。
しかし、部屋全体はほのかに明るく曇天のような光を放っていた。
少年はどこか一方を眺めたまま、部屋の中心に立ち竦む。着ているものは真っ白で縫い目がなく、パジャマのような形をしていた。

少年はそれからはずっとそこにいた。
夢見心地でずっ・・・

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きっかけ

17/12/01 コメント:0件 秋 ひのこ

「ねえ、昨日のことなんだけど、あそこまで否定すること、ないんじゃない?」
 大学の食堂で柿崎がひとりカレーを食べていると、同じゼミのスガワミホが突然話しかけてきた。

 昨日――ゼミの新歓。美人で明るく人気者のミホが「嫌いなものはホラー映画とお化け屋敷です」と朗らかに自己紹介したのだ。
 柿崎はほぼ面識のないミホに言ってやった。
「ホラーが嫌いだなんて、欺瞞だ」と。<・・・

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Untitled

17/11/30 コメント:0件 キシモト何某

椿の花が
ポトリと落ちる
あな美しや! とぞ思ふ刑場かな
・・・

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はるくんとねむりおに

17/11/30 コメント:0件 こぐまじゅんこ

 はるくんは、夜、なかなかねむたくなりません。
 おかあさんが、
「もうおそいから、はやくねよう。」
と、ふとんをかけてくれるのですが、
「ねむくない!」
と、ふとんをけとばしてしまいます。
 はるくんは、ねるのが、もったいない気がするんです。まだまだ、おかあさんとあそびたいって思っちゃうんです。
 
 おかあさんが、急に小さな声で、はるくんの耳もと・・・

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入れ替り

17/11/29 コメント:0件 スイカ

「なんで?」
 男が発した驚きの声に、彼は深い笑みを浮かべた。なんで? そんなこと決まってるだろう。
「ドッペルゲンガーって知ってるか?」
 そう言いながら、彼は自分と瓜二つの顔をした男に向かってナイフを勢いよく振り下ろした。


「ああ。肉、肉、肉、肉肉肉肉肉、肉!」
 本物との入れ替わりを無事果たしたドッペルゲンガーは、自分の物となった腕を、足を、胸を・・・

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カツラの木の下

17/11/29 コメント:0件 田中あらら

 冬季は閉鎖される山小屋だが、エミは小屋の主人に頼み「雪かき」と称して入山した。銀世界をひとりで満喫したかったのだ。開山期にはスタッフとして働くエミは、小屋の勝手を知っていた。最寄りのバス停からスノーシューを使って歩くこと3時間、小屋は雪に埋れていた。ラッセルしながら入り口にたどり着きドアを開けると、中はしんと静まり返っていた。土間がスペースの半分を占め、客用ダイニングとしてテーブルと椅子が並んで・・・

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あの世とこの世とその境

17/11/27 コメント:0件 文香

とある人里離れた森の中に仲の良い夫婦が暮らしていた。
若い夫婦は貧しいながらも仲睦まじかったそうだ。
ところが突然、妻が亡くなった。
男は妻の白骨を丁寧に洗い土の中に埋め、その上に石を積み上げて立派な墓を作った。
「最期まで、ありがとう」
毎日毎日、新しい花を供えている。
妻をとても愛していた男は、妻のいないこの世界をひとりでどう生きていたっら良いのだろうか、と・・・

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ノートを見てしまった

17/11/26 コメント:0件 小峰綾子

その人から告白されたのは5月の末。サッカー部のマネージャーから、放課後に3組の昇降口に行って、と言われた時に、ついに来たなとは思った。3年生になったころから、彼が私のことを好きらしいと噂が立っていたようなのだ。

言われた通り放課後昇降口に行くと、竜也君は緊張気味の表情で立っていて、メモ紙を渡してきた。

「好きです。付き合ってください。」

もちろん答えはOK・・・

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17/11/25 コメント:0件 スイカ

 着慣れない喪服に身を包み、男は友人宅――正式にはその実家――の玄関を出た。広い庭には挨拶が終わったのか何組かの人間が立ち話をしている。
 友人の訃報を聞いた時は驚いたが、不思議とそれほど悲しい気持ちは湧かなかった。親しくなかった訳ではない。むしろ親しい間柄だった。彼の家に遊びに行ったことも一度や二度ではない。
 本来なら悲しむはずのところなのだが、何となく彼とはもう会えない予感がして・・・

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お化け屋敷

17/11/25 コメント:0件 与井杏汰

都心のデパート、6階の催事場で「お化け屋敷」が開催されていた。平日の午後、行き交う人もまばらなフロアで、京太と里美はその前を通り過ぎた。
 「お化け屋敷って、最近見かけないよね」
 「逆に珍しいかも」
入口で料金を見ると、1人500円。早速中に入った。
薄暗い通路を歩くと、突然首筋に冷たい柔らかいモノが触れた。
 「キャー」
里美が悲鳴を上げると、京太も「うわっ・・・

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秘密

17/11/24 コメント:0件 土佐 千里

美華が誠と知り合ったのは大学の合コンだった。第一印象は落ち着いていて大人っぽく真面目でちょっとミステリアスな人だった。色白で眼鏡をかけていてインドア派の理系男子だった。
美華は今まで明るいチャラ男とばかり付き合っていて、浮気をされていたので、真面目なキャラクターに惹かれ、誠と付き合ってみることにした。
初デートのときは、アボカドオイル入りの化粧水をくれた。
「みかちゃん・・・

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そこに彼女はいた

17/11/24 コメント:0件 田中色


11月17日、午前4時45分。
昨日起床時から今日のこの時刻まで寝ていない。昨日の夜薬飲むの忘れた。まァいいやもう。帰ったら朝に薬を飲もう。
「……の前に一服〜」
コンビニによって熱い微糖缶コーヒーとアメスピブラックを買う。
「あ、あのすみません。念の為保険証とかで年齢確認させてもらってもいいでしょうか?」
レジの新人であろう女性店員がおどおどした口調でそう言・・・

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爆破室

17/11/23 コメント:0件 要崎紫月

昨晩から降り続いた雨は夕方に止み、車がようやくすれ違うことの出来る林道に霧が出ていた。けども通い慣れた道、いつもと変わらないスピードでバイクを走らせる。
この道で一番急なカーブ。結露したカーブミラーは何も映せない。
その下にぼんやりと白い物が見えた。目を凝らすと誰か居る。ワンピースを着た女だ。その姿をはっきりと捉えた瞬間、全身に激痛が走り、視界が暗転した。

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プールの死神

17/11/22 コメント:0件 林一

 プールの監視員をしている彼は、常にプールの様子を観察し、少しでも危ない行動をしている子供がいると、すかさず注意をした。
 その甲斐あってか、彼が監視員をしている間は、一度も事故が起きたことはなかった。あの日までは……。

 彼がいつものようにプールの監視員をしていると、怪しい女の子を見かけた。
 彼女はプールサイドでじっと座っていて、プールの中には決して入ろうとはしなかっ・・・

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ストーカー

17/11/22 コメント:0件 林一

 絹のように滑らかな肌。キラキラと透き通った瞳。まっすぐ鼻筋の通った鼻。ぷっくりとセクシーな唇。男性が彼女を見れば、思わず見とれてしまうだろうし、女性が彼女を見れば、その美貌に憧れ、彼女のようになりたいと願うであろう。
 そんな美しい彼女は、普通に道を歩いているだけで男にこっそりと後をつけられることが度々あった。美人過ぎるが故、彼女に一目惚れした男達が次々とストーカーと化してしまうのだ。

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愛があればなんでも

17/11/22 コメント:0件 有屋春


ある日、妻の里見がちょっと話があるんだけどと言ってきた。こういう言い方をする時は大抵言いにくいことを話す時だ。さて、思い当たることは特にないんだが、、
あれこれどんな話があるか大して気にせず待っていたんだがその話は予想とは全然違った。
その話とは実は里見はどMで暴力的なセックスが好きだという話だった。アブノーマルだし嫌われるかもとずっと言えなかったそうだ。

私はか・・・

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ホラーな女

17/11/22 コメント:0件 W・アーム・スープレックス

 その話をもし山根ではなく他のだれかから聞いていたら、もちろん私ははなから信じなかったにちがいない。ふるくからの知り合いで、どんな理由があれ人を欺いたり、まちがったことを平気で伝えるような男でないことは、私が一番知っていた。その話をした場所がいつも二人でいく居酒屋で、すでに二人とも少し酔っていたことが若干、信憑性にかけるといえばかけるが、大の男が二人して素面でこんな話もできないだろう。 「その女性・・・

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ろくろの首

17/11/21 コメント:0件 土佐 千里

薄暗い部屋に顕微鏡がずらりと並んでいる。黒いカーテンの外から少し太陽の光が差し込んでいる。ペトリ皿に自分の髪の毛を置き、ろくろの上で器用に回転させながら培養していく。
明の作業部屋だ。
富松明、32歳、会社員。生物学部卒。社会人になった今も、仕事の傍ら、趣味の研究に励んでいる。
明の目標は、誰も作れなかったクローン人間を作ること。
「俺と同じクローンを作って、仕事も行っても・・・

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ホラービデオ

17/11/21 コメント:0件 瀧上ルーシー

 うちのお父さんはホラー映画が大好きだ。
 その日中学校から帰ってくると、私は手を洗ってうがいをして部屋着のスウェットに着替えてリビングに出た。テレビ台の中のDVDレコーダーの下の段には何本かホラー映画のDVDが入っていた。またお父さんがレンタルビデオ屋で借りてきたらしい。私は学校でクラブも帰宅部だし、勉強にもそんなにやる気を出さないので暇だった。友達くらいは一応はいるが、毎日は一緒に遊ばな・・・

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ありふれたホラ女の言い分

17/11/21 コメント:0件 秋 ひのこ

「お約束だけど、観た後思わず自分の腕くっついてるか確かめちゃったよー」
「やるよねー」
 「鑑賞会」の後、場所を移動したカフェでヒカリをはじめとする5人の女性が盛り上がっている。全員、20代後半。ネットを通じて知り合ったホラー愛好家、改め「ホラ女(じょ)」たち。
「あー、でも本当にこのメンバーと出会えてよかった」
 ヒカリが桃のカクテルを手にしみじみ言った。
「ホラ活・・・

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空間

17/11/21 コメント:0件 土井 留

 気が付くと何もない空間に立っていた。
 辺りは薄暗く、四方は漆黒に沈んでいる。
 地面が無く、足下には空間が広がっている。
 そして、巨大な、とてつもなく巨大な眼球がひとつ、下からこちらを見上げていた。
 私は悲鳴を上げて半歩後ろによろめいた。
 景色が見えないのに距離を感じるのは奇妙だが、その巨大な目は確かに遥か下方にあった。暗さのためか瞳孔は大きく広がり、瞳の大・・・

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笑般若島(わらいはんにゃじま) ──刑事:百目鬼 学(どうめき がく)──第28話

17/11/19 コメント:0件 鮎風 遊

 尖った白波のてっぺんを粉雪が驚きの速さでかすめていく。そんな冬の到来を充分知覚させてくれるある日、1立方メートルの木箱が浜に打ち上げられた。
 きっと荒波に揺さぶられた船から落下し、その後漂流してきた積み荷に違いない。途中岩に叩かれたのだろう、ぽっかりと穴が開いている。高波を求めて遊びに来たサーファーが中を覗くと、激切に白い生物、いや白面の人間がカッと瞳孔を開いていた。
 結果、百目・・・

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かがみ

17/11/17 コメント:0件 キシモト何某

鏡の中で自分が笑つてゐる。
何がそんなにヲカシイのだらう。
私にはさつぱり解らない。
ハ・ハ・ハ・ハ・ハ………………。・・・

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ババ抜き

17/11/16 コメント:0件 kina

「みちるは、真央に似ている」と、薫が言った。
「え? どこが?」と、私は尋ねる。薫が友人らの顔を確認する。裕子も由香も、静かにうなずいている。
一方真央は、意志の強そうな眉をピクリとも動かさず、ノートにペンを走らせていた。
 中学生になって知り合った真央は、私と違っていつも堂々とした子だ。私も真央もイラストを描くことが趣味で、そんなところは似ている。
 真央は自分のイラスト・・・

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盗賊の犬丸

17/11/15 コメント:0件 マサフト

「クソッ!やっちまった!焦って殺しちまった」
犬丸は焦っていた。彼は強盗を生業としている、いわゆる盗賊である。新月の夜半、反物屋に盗みに入ったものの偶然厠に行くため起きていた店の主人と出くわし、咄嗟に野太刀で切り掛かって殺してしまったのである。
「俺は盗みはしても殺しはしないのが信条だったと言うのに…。いや、見られた以上殺さなければならなかったのだ!俺は悪くない!あんな場にのこのこ・・・

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黒いコートの男

17/11/15 コメント:0件 マサフト

3日ほど前から妙なものを見るようになった。
その日は雨だった。よく行く喫茶店の窓際の席に座り、外の通りを眺めていたら、その妙なものが目に付いた。黒い傘を差し黒いトレンチコートを羽織り、黒いハットを深めに被った、恐らく男性。ズボンもブーツも手袋さえも全て黒尽くめの出で立ちである。物凄く目立つというのに、道行く人々の目には映っていないように見える。喫茶店の、同じく窓際にいる人達も同様に気付い・・・

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はらむ

17/11/14 コメント:0件 要崎紫月

 携帯電話が鳴る。時計を見ると、もうすぐ二一時。こんな時間に架けてくるのはアイツだろう、と一度無視する。どのみちもう一度鳴らしてくる。
 少しの無音。そして、再度の着信。
「もしもし」
「あ、ルミさん? 今、電話いい?」
 ハルカはそう確認して一気に喋り出した。少なくともこのまま一時間は喋り続ける。仕事の事、遊び仲間の事、付き合っている男の事。尽きない話題に私は適当に相槌・・・

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願いが叶う時

17/11/14 コメント:0件 土佐 千里

今年、我が家にも子供が産まれた。慣れない育児に毎日大変。まだ3ヶ月だっていうのに、夫は今日から一週間、海外出張…。
「私も旅に出たい…」
そう呟いた由美は赤ちゃんを連れて隣街に一泊二日でぶらりと旅をする支度をし始めた。
旅行鞄に必要なものは揃った。銀行からこの旅のために少し贅沢に30万円おろしてハンドバッグへ。
あとはお化粧だけ。
三面鏡をひらき、化粧をするとため息を・・・

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オカルトハウス

17/11/14 コメント:4件 W・アーム・スープレックス

 夕方の五時ともなれば、この辺りには寒々とした黄昏がたれこめて、人通りもほとんどない。昼間でもこの界隈は、木々の繁みが分厚く層をなして重なり合い、いくら空が晴れ渡っていてさえ地上は黒ずんだ灰色の影がみちているようなところだった。    静寂のなかにきこえるものといえば、私がこぐ自転車の単調な回転音か、自分自身のせわしげな息遣いぐらいのものだった。  自転車の荷台には、ほとんど配りおえた新聞の、・・・

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無人(むびと)

17/11/13 コメント:2件 浅月庵

 無人は、人の姿をして人に非ず。
 無人は、死の概念を持たず。
 無人は、人の悲鳴を好む。

 ーーこれはまだ日本に、妖の類が蔓延っていた時代のお話。
 孤児である平吉は、同じ境遇の子らと名主の家で“飼われて”おり、今日も朝方から川に水を汲みに出かけていた。

「悲しい話だが。槍助のやつ、妖に喰われて死んだらしいぞ」
 道中を共にする五郎が、平吉に向・・・

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演技力

17/11/13 コメント:0件 セレビシエ

彼の蹴りは強い。僕が彼について記憶していることの全てはそれだったが、記憶よりも強かった。そういえば今日は月曜日だから体力が有り余っているのかもしれない。彼はすぐに飽きてしまう。それもだいたいいつも同じくらいの時間だ。終わると僕はお腹が空くのでコンビニで肉まんを買うことにしていた。額から流れる血に視線が注がれて愉快な様な滑稽で馬鹿馬鹿しい様な気持ちになる。声をかけてくる物好きはいなかった。ガラス越し・・・

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金魚

17/11/12 コメント:0件 和倉幸配

 仕事休みの日、切らしたごみ袋を買いに行ったホームセンターの片隅に、金魚を販売するコーナーがあった。
 私は特に金魚が好きな訳ではないが、冬空のような鈍色の日常にささやかな彩りを添えてみたくなり、真っ赤な金魚を一匹買って帰った。

 家に帰ると、妻はソファで横になっていた。眠っているわけではない。目を開けてはいるのだが、私が部屋に入っても、何の反応も示さない。それがいつもの光景に・・・

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AM6:00

17/11/12 コメント:0件 ポテトチップス

小泉が、洞窟に入ろうと言った。
その洞窟は、島では恐れられている洞窟だ。

小泉は臆することなく洞窟に入って行く。
俺はビビリながら後をついて行った。

洞窟の入り口から50メートル程進むと、行き止まりになった。
そこには、お地蔵さんが1体設置されている。

小泉は、お地蔵さんに小便をかけた。
俺は、ビクビク怯えた。

その数・・・

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【閲覧注意】読んではいけない物語

17/11/11 コメント:0件 t-99

 題名にひかれ誤って目を止めたあなた、悪いことは言いません。
 今すぐ読むのをやめて別の著者の素晴らしい物語に目を通すことをおすすめします。
 
 読めば必ず後悔します。
 
 特にお年寄り、小学生以下のお子様、ジンクスや心霊、霊魂の存在を信じている人もおやめください。

 どうしてかって? 
 
 私の書いた作品を読むと必ず『呪い』にかかって・・・

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粗品

17/11/11 コメント:2件 蹴沢缶九郎

遊園地の入場ゲートで、何やら男が係員と揉めている。

「だから何でこのチケット使えないんだよ!!」

「ですから、入場規制中はそちらのチケットでは入場出来ないのでありまして…」

こんなやり取りをもう三時間程繰り返している。係員もほとほと困り果てていた。やがて男は、

「もういいよ!! 二度とこんなとこ来ねぇ!!」

と、悪態をつき帰って・・・

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悪夢

17/11/09 コメント:0件 山盛りポテト

私は恋をしていた。
夢の中に出てくる女性にだ。
その姿はぼやけていてはっきりしないのだが、彼女のもつ雰囲気にとても魅かれた。
彼女は何も喋らない。そして私も同じく何も喋らない。
夢特有のとても抽象的なもので、真っ白な何もない部屋に私と彼女がいて、そこでお互い何もせずにジっとしているだけのものだ。
それがとても落ち着き、そして心が癒されたのだ。
しかし、いつも夢に・・・

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侵食アイデンティティー

17/11/08 コメント:0件 浅月庵

 彼氏のユーイチが浮気して、お相手が同じサークルのユリカだとわかった時に、やっぱりと思う。

「見てー! アミちゃんとおそろのネイルにしたんだぁ」
 すべてはユリカが私のネイルを見て可愛いと言ってくれたので、行きつけのサロンを教えてあげたことがきっかけだった。
 それからユリカはことあるごとに私をマネてくるようになった。お気に入りのコートやバッグ、ピアスだったり、携帯カバー・・・

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すきをさがして

17/11/07 コメント:1件 六連 みどり

 恋人との何回目かのデートの帰り。
 青紫色と紺色が混じり合う、そんな空の色を眺める彼女の横顔をみつめた。
 スッとした鼻筋に、長いまつ毛。ピンク色の唇は弧を描いている。10人中10人が彼女のことを美女だと言うくらいに七弥の恋人は美しかった。

「どうしたの?」

 彼女と視線が交じり合う。
 その瞬間、七弥の心臓は大きな音と早い速度で鼓動をうち始めるのだ・・・

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扉の向こうは

17/11/07 コメント:0件 蒼樹里緒

 学校帰りに寄った、夕暮れの森。私の前にある大きな樹の根元に、小さな扉があった。私が幼稚園児だったら、立ったままでも楽に通れたかもしれない、木彫りの扉。四つん這いでくぐろうとしても、高校生になった今では頭も入りそうにない。取っ手もおもちゃみたいで、少しでも力を込めたら取れてしまいそうだ。
 扉がいつからこの森にあるのか、知っている人はほとんどいないだろう。私が物心ついてから来たときには、この・・・

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Be My Baby

17/11/07 コメント:0件 向本果乃子

 部屋に入ると冷たい風が頬を撫でた。その気配はずっと私にまとわりついていた。不思議と嫌な感じはせず、むしろ好ましかったので私はその部屋を借りた。古くて狭いアパートだ。夫とは別れることになるだろう。結婚十二年のうち八年を不妊治療に費やした。キャリアを積んでいた私は一生仕事を続けるつもりだったが、三年前治療に専念するため退社した。仕事を辞めた私は赤ちゃんのことばかり考えるようになり、夫との間に少しずつ・・・

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死亡フラグにご用心

17/11/06 コメント:0件 若早称平

 いつも客なんてそんなにいないのに、と心の中で悪態をついた。仕事帰りに彼氏が観たいと言い出したDVDを借りに来たのだが、さすが話題作だけあって見事に全部貸し出し中の札がつけられていた。映画が公開中に私がいくら誘っても観に行かなかったくせにどうして今更心変わりをしたのだろうかと彼氏にさえ腹が立ち始めた。
 腹いせに全然違うのを借りていってやろうといたずら心が芽生え、私はホラー映画の棚の前に立つ・・・

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石つみ

17/11/06 コメント:0件 井川林檎

 ひとつ、ふたつ、まだ世界は無限の光に満ちて。
 みっつ、よっつ、オレンジ色のぬくもり、ひなたの匂い。
 いつつ、むっつ、理不尽の意味を知りながらも無償の愛にくるまれていた。

 ここは、どこだろう。
 ひざの破れたジーンズと赤と黒のネルシャツを着て、わたしは尻をついている。
 さらさらと川は流れていて、あたりは石ころだらけだ。
 空を見上げると、薄寒い曇・・・

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社畜

17/11/06 コメント:0件 風宮 雅俊

「本日の試食会では、前回賜った『歯ごたえのあるワイルドな食感がありながら口の中で蕩ける様に広がる肉汁のバランス』を改善した試作品番号171129−G4J3D1C2のハンバーガーです」
 社長、副社長、取締役、取締役、取締役、営業部長、学生メインの客層なのに四十も違う連中が評価した結果が、一人負けの業績だろうに。それに、いつから営業が上から目線で評価できる身分になったんだ。売れなければ開発の所・・・

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キリ番

17/11/06 コメント:0件 風宮 雅俊

「やだぁ、今時キリ番なんていけてない」
 ちょっと大きい声に周りの食事の手が一瞬止まった。どこのグループも自分たちの話をしながらも周りの話題に聞き耳を立てていた。話がつまらなそうだと分かると、自分たちの話に戻っていた。
「そうかな? でも四桁の大台を目の前にして伸び悩んでいるのよ」
「フォロワーさん、何人いるの?」
 私のスマホを開いて見せた。
「960人・・・、確か・・・

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鶏病 にわとりびょう)

17/11/06 コメント:2件 クナリ

 ようこそ。
 こんな田舎まで、私のような年寄りの話を聞きに来るとは、物好きですな。
 ええ、鶏病のことですね。

 あれを私が目にしたのは、まだ十二歳の頃です。
 ここは山の中の村ですが、それでもずいぶん見目のいい、タキさんという、当時十五六だったかな、そんな娘が近所におりました。他の女は赤ん坊が老婆ばっかりですわ。
 ある日のことです。
 戦後すぐで物・・・

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