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第117回 時空モノガタリ文学賞 【 本屋 】

今回のテーマは【本屋】です。

恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

時空モノガタリ賞発表日:2016/10/24

※同一投稿者からのコンテストページへの投稿作品数は2〜3作品程度とさせていただきます。
※R18的な暴力表現・性描写はお控えください。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。

ステータス 終了
コンテストカテゴリ
投稿期日 2016/08/29〜2016/09/26
投稿数 64 件
賞金 時空モノガタリ文学賞 5000円 ※複数受賞の場合あり
投稿上限文字数 2000
最大投稿数
総評 今回は少し難しいお題だったかもしれません。場所を限定されたお題のためか全体的に似たような傾向の作品が多かったです。特に人生が書かれた本や、本屋に携わる人びとといったオーソドックスな内容が多く、それ自体は決して悪くないのですが、コンテスト的には似たような傾向の作品同士の比較となってしまうため、やや不利にはなってしまうかもしれません。また平凡さを避けようとしたためか、工夫は凝らしていても説得力に欠ける内容も散見されたのはやや残念でした。このあたりの匙加減は難しいところですね。その中で入賞・最終選考に選ばせていただいた作品には、他にない独自性を持つものと奇をてらわないストレートな魅力を持つもの、二つの傾向があったと思います。一見、奇抜な設定だったとしても心理的な裏付けがあったり、あるいは、さりげないけれど人生の機微を感じさせる繊細で魅力的な作品達が多かったですね。その中で今回のコンテスト「本屋」で特に印象的だったのは、吉岡幸一さんの「夏の本屋」「男爵芋と檸檬」でした。これまでも何げない出来事を、オチを殆どつけずに淡々と描写された作品が多い吉岡さんですが、今回本屋という場所に限定されたことが、うまく効果的に働いてその魅力が発揮されていたのではないでしょうか。「男爵芋と檸檬」もそうですが、特に「夏の本屋」では本屋という狭い空間性が、絵画の額や小さな舞台のような囲い込みの役割を果たしていて、吉岡作品の内容と文体持つシンプルで静謐な空気感が強調されていたように思います。ほとんど特別なことは何も起こらないのに魅力的なところは、上質な静物画のようですね。その他の最終選考作では「本のムシ」は古本という特性を生かしたところが素晴らしいですし、「本の神様コンシェルジュ」「おばあさんと少年」「boy meets lonely-girl」「昭和古本屋ものがたり」もシンプルな内容を丁寧に描き優しく心に響いてくる内容でした。総括すると、全体的に二極化されたコンテストだったかもしれません。またテーマ毎に生かされやすい文体や内容というものがあるのではないか、ということも再認させられたコンテストでした。

入賞した作品

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柱妖ちゅうよう――黒い視線

16/09/03 コメント:7件 クナリ

 近年、日本国もようよう大戦の痛手から復興せんという世相である。
 一軒の古本屋が、私の住まいであった。二階建てで、一階を丸ごと店舗にしてある。
 その店の中央には、四角く野太い柱が突き立っている。実は中が空洞で、柱の一片にある扉(そうとは見えぬよう細工してある)を開けると、大人一人くらいは中に立っておれる空間がある。
 元は万引きを見張るために設けた――酔狂としか言えぬのだが―・・・

最終選考作品

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本の神様コンシェルジュ

16/09/25 コメント:4件 黒谷丹鵺

親父が死んで、俺は数年ぶりに故郷の土を踏んだ。
寂れた田舎町の駅前商店街で本屋を営んでいた親父は、遅い帰りを案じたお袋が様子を見に行った時、脚立と沢山の本に埋もれるように倒れていたという。
急性心不全だから本の下敷きになったわけではないが、その死に様は無類の本好きである親父らしいと思った。
俺が到着した時、早くも親父の長年の友人達が集まって葬儀の相談をしていた。
「てっちゃ・・・

1

おばあさんと少年

16/09/20 コメント:1件 ひーろ

 少年がリュックサックに百科事典を忍ばせたまま、店の外へ出ようとしたその瞬間……。
「ちょっとあんた。そのリュックの中身を見せてごらん」
 小さな古本屋を一人で切り盛りするおばあさんが、少年を鋭く睨みつけて言った。あっけなく、彼の犯行は暴かれた。
「うちの前の雑草を、きれいさっぱり抜いてくるんだ。悪いことした罰だよ。わかるね」
 少年はすでに罪悪感の底に深く沈みこんでいた。・・・

1

【男爵芋と檸檬】

16/09/20 コメント:2件 KOUICHI YOSHIOKA

 梶井基次郎の「檸檬」を気取っているのだろうか。典子の勤める本屋には閉店間近になるときまってあの男がやって来る。平積みされた写真集の上に檸檬ではなく男爵芋を一個置いていく。本を買うでもなく、立ち読みするでもなく、ただ男爵芋を置き去って行くのである。
 午後十九時五十五分、閉店の五分前になると男はさっと店に入ってきて、男爵芋を置くとさっと出て行くのだ。「檸檬」のように男の頭の中では爆弾をイメー・・・

2

【夏の本屋】

16/09/15 コメント:2件 KOUICHI YOSHIOKA

 夏の日差しから逃れるために、僕は街のはずれにあるJAZZの似合う本屋で立ち読みをしていた。
 ハイデッガーでも読んでいたらカッコいいと思われるかもしれないな、と思いながら、週刊漫画雑誌を一頁一頁丁寧に読んでいた。
 店内はほどよくクーラーが効いていて涼しい。
 それほど大きくない本屋だったが天然木を基調とした落ち着いた雰囲気が気に入っていて、週に二日は大学の行帰りに立ち寄ってい・・・

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昭和古本屋ものがたり

16/09/10 コメント:9件 冬垣ひなた

「お母さん、おこづかいちょうだい」
「無駄遣いしたらあかんよ」
 夕食の買い物に出かける母は、わたしに100円玉を握らせた。
 近所で駄菓子を買って、おつりの20円は週末までためておく。
 日曜日に通うスイミングスクールのそばには、年季の入った古本屋があった。
 ためたお金は、そこでマンガを買う。ほらね、ちっともムダじゃない。
 そんなわたしに母は苦笑するが、何・・・

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本のムシ

16/09/07 コメント:8件 デヴォン黒桃

 僕は小銭が惜しいので、読んで仕舞った本は古本屋に買い取らせる。
 ソシテ別の古本を、幾つか見繕って持って帰るのだ。
 此処迄、本の虫なのは、現実世界の人間付き合いが苦手で在るから。
 かと云うて、独りが好きかと問われれば、ソレは違うと思う。
 只、上手く人と話したり、想いを語らったり、アレしてコレしてと云えないのだ。


 其の点、本はナニも云わず、僕の・・・

3

ラヴェンダーの香り

16/09/06 コメント:6件 Fujiki

 四月に引っ越してきて以来、海岸の散歩が文子の習慣になった。土曜日の朝、音楽を聴きながら二時間ほど砂浜を歩く。白い砂の模様や海の表情、常に形を変えていく雲にはいつも新鮮な発見があった。海辺の町にあるマンションを買って本当に良かったと実感できるひと時だった。
 散歩から帰る途中、本を載せたワゴンを表に出している古めかしい二階建ての家の前をいつも通る。学術書や小説が並べられ、本の合間には豚の貯金・・・

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目が覚めて、バター・ナイフをくるむ銀紙を

16/08/30 コメント:6件 クナリ

 ある秋の水曜日ことだ。僕は大学を自主休講にして、本屋に行った。
 平積みされていた新作を、一冊を手にとる。人気の女性作家の新作だった。顔立ちが可愛らしく、僕もテレビで見たことがある。
 内容は、繊細な女性主人公が人生を切り開いていく、重厚なラブストーリーのようだった。ぱらぱらとページをめくって行くと、重要な脇役として、ある男性キャラクタが登場した。
 そのキャラクタは、同性愛者・・・

投稿済みの記事一覧

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本屋大賞

16/09/26 コメント:0件 タック

「本屋くん、店、継いだんだ」
「ああ。昔からの、夢だったからな」

書店の内装は昔と変わらず、記憶通りの風景を残していた。
十余年ぶりに再会した僕たちは驚き合った後に気恥ずかしく笑い、狭い書店内において旧交を温めた。
書店奥のスペースに視線を送れば、そこにはコーナーが派手なポップと共に展開されていた。
変わらぬ風情に僕は苦笑し、懐古に二人は、小さく声を漏らした。・・・

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本屋さんの思い出

16/09/26 コメント:0件 むねすけ

 思い出をそのまま脚色なしで書くことは過去の自分を俯瞰することであるので、中空に浮遊する自身の五体が重力という名の約束を食いちぎるようで、心地いいのです。
 本屋さんにまつわる僕の中の思い出を、字数制限の許します限り書き連ねてまいりたいと思います。
 まずは小学生の頃、あれは確か四年生、親戚の誰かから図書券をもらった僕は、「これで何か本を書いに行こう」と、二歳年上の兄を誘って二人、陽気・・・

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こんな自分にもまだ変れる未来があるなら

16/09/26 コメント:1件 石蕗亮

 繰り返される平凡な毎日。刺激の少ない日常。
大それたことをしようという野望めいた夢も目標も無く、現状に緩やかな不満と不安を内包した時間を只惰性的に繰返し消化するような人生を過ごしていた。
休みの日といっても別段することがあるわけでもなく、引籠もる意思もなく、
居場所を求めるように街へでた。
目的も当てもなく散策をしていると見慣れない建屋が目に留まった。
それはコンク・・・

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月光レール

16/09/26 コメント:0件 宮下 倖


 書店員ならば「満月手当」を楽しみにしている人も多いと思う。ぼくもそのひとりで、勤務表をもらうたびに一喜一憂している。
 今夜は久しぶりの満月夜勤。群青色に艶めく天空には薄雲すらなく、空に穿たれた穴のように白く月が輝いていた。
 深夜十二時かっきりに、ぼくは店のいちばん大きな窓を全開にした。店内の照明はすべて落としてある。店にはぼくひとりきり。ほどよく田舎の風景が残る町に建つ店・・・

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絵本20冊分の打算

16/09/26 コメント:0件 ケイジロウ

 昨日製本されたばかりの絵本が20冊入ったリュックサックを背負い、本田代美子は<○×書店>から出てきた。まだ日の入りまで時間があるはずなのだが、外は薄暗かった。秋の風が夏服の代美子には冷たく感じられた。
 <○×書店>は、代美子が今日訪れた10店目の本屋だった。朝、家を出るときの、「20冊で足りるかしら」という代美子の予想は大きく外れ、まだ一冊も店頭に置かせてもらえていない。
 できる・・・

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貞子の出る本屋

16/09/26 コメント:0件 にぽっくめいきんぐ

「貞子が出る」と噂の本屋がある。
 ホラー小説「リング」「らせん」「ループ」三部作に登場する、あの貞子だ。

 街の本屋はネット書店の攻勢にあって激減している。そのテコ入れと考えても、これはかなり刺激的だ。

 早速行ってみた。

 まずは平積みの雑誌を手に取る。
 表紙グラビアから、水着姿の貞子が這い出てきた。
 スレンダーボディを彩るは血の・・・

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今どきの本屋事情

16/09/26 コメント:7件 泡沫恋歌

このサイトにお集まりのみなさん、よく聞いてください。

『小説は売れません』

わたしは某本屋で働いている者ですが、
本屋の店頭でよく売れてるものといったら、
雑誌、漫画、コミックス、ラノベ、エロ本、そして小説の順です。
ぶっちゃけ、小説はエロ本にも敵いません。

本屋で売れる小説といえば、
ネームバリューの利いた人気作家の本です。

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ラスト本屋

16/09/26 コメント:0件 ココ


 ページをめくるときの感触、音、そして匂い。
 それらが生み出すのは、本を読んだという何とも言えない心地。
 祖母の家で紙媒体の本を初めて見たとき、私は心を奪われた。
 しかし、時代の流れはすでに電子書籍となっており、世間から紙媒体の本は消えていた。

 ラスト本屋。
 日本で唯一かつ最後である私の本屋はそう呼ばれている。
 電子書籍が登場して百年・・・

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立ち読みガール

16/09/25 コメント:0件 東屋千歳

 とある商店街の一画にある小さな本屋。
 僕はそこの一人息子だ。
 大学を卒業してから就職先が見つからず、不本意ながら親が経営するこの本屋でアルバイトをしている。
 折角大学を卒業したのに、このままではこんな汚く、小さい本屋を継ぐ羽目になってしまう。
 それだけは避けたいと思っていた――――のだが、今はそれも悪くないかなと思っている。

 実は、うちの本屋に良く・・・

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父、古本屋でプレゼントを買う

16/09/25 コメント:2件 そらの珊瑚

ボクはこの古本屋が気に入っている。美味しそうな匂いのする本が多いからだ。
 えっ? 本は読むもので匂いを嗅ぐものではないって? ああ、普通はそうだよね。ボクだってそのくらいの社会常識は持ち合わせているつもりだ。だからこの古本屋で本を選ぶ時、店番のおばさんが見ていない隙に、すばやく頁に鼻を寄せるのさ。
「すぅー」
 ハッ。
 視線を感じておばさんを見る。おばさんはあわてて目・・・

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本屋酔い

16/09/25 コメント:0件 かめかめ

 私は本屋で酔う。本の海に陶酔する、という意味ではない。車酔いするように、本屋へ入ると目眩、頭痛、吐き気に襲われるのだ。本屋に入り、なんとか新刊が平積みされた一角にたどりつき、しかしもうそれ以上は耐えられず本屋から逃げ出す。本屋の前を通りかかるたびに、それを繰り返している。苦しい思いをするくらいなら何もわざわざ本屋に入らなくてもよかろうに、と友人はあきれる。しかし私は本屋の楽しさを知っている。あの・・・

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本屋、お兄ちゃん、それからわたし。

16/09/25 コメント:0件 桜枝巧

 お兄ちゃんは、本屋に恋をしている。

 そう気がついたのは、三か月前のことです。
 最近、めっきり遊んでくれなくなりました。小学校から帰っても、お兄ちゃんは家にいません。わたしはひとりぼっちで宿題をして、おやつを食べて、ゲームで遊びます。夜になって、お夕ご飯の時にやっと戻ってきます。どこ行ってたの、って聞くと、楽しそうな顔で本屋だよって答えるのです。

 その本屋は・・・

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船の本屋さん

16/09/24 コメント:5件 そらの珊瑚

 戦争がやっと終わった。

 瀬戸内の海に点在する島々を巡って、やってくる一艘(そう)の船があった。皆に『船の本屋さん』と呼ばれて、親しまれていた。



 船長の名は宗吉という。彼の家は代々漁師だった。祖をたどっていけば、遥か昔、この海を本拠地に活躍していた村上水軍の末裔だとも伝えられていた。
 彼もまた父親の跡を継ぎ、漁師となったが、徴兵され、戦地・・・

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いつか、誰かに

16/09/24 コメント:0件 alone

帰り道の途中、見慣れない本屋さんを見つけた。
毎日のように通ってきた道だけど、どうして今まで気づかなかったのだろう。

店構えは、古くからある町の古書店という雰囲気で、引き戸に使われている木材は、年季の入った濃い色をしていた。
戸にはすりガラスがはめ込まれていて、店内は開けてみなければ分からない。お店の名前はどこにも書かれていなかった。

営業中なのか不安に思い・・・

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行きたい本お待ちください

16/09/23 コメント:0件 せんさく

<行きたい本お持ちください>
私が通りかかった本屋にはそんな貼り紙がしてあった。

土曜日、私はまだよく知らないこの街を散策してみることにした。
いつも歩いている大通りから一本裏の道に入る。

そこで一軒の本屋を見つけた。

<夢現書店>

木造平屋、瓦屋根のその本屋にはおかしな貼り紙がしてあった。
「行きたい本お持ちください?」<・・・

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うたかた書店

16/09/23 コメント:6件 泡沫恋歌

 あれは高校二年生の夏休みだった。
 文芸部の部員と顧問の先生と八名で蒜山高原に、二泊三日ので合宿にきた時だった。合宿といっても運動部ではないので、練習とかはない。その代わり、顧問が出したお題で2000文字の小説を書かなくてはならない。
 宿泊先のペンションに着いた時点でお題が発表された。そのお題というのは『本屋』だった。
 さっそく、みんな原稿用紙に向って書き始める。親友の頼子・・・

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人それぞれの本棚

16/09/23 コメント:0件 にぽっくめいきんぐ


 知は力だ。

 認識が変わる。

 判断が変わる。

 行動が変わる。

 俺は、それを追い求めた。

 知が詰まった、白い紙の集合体が「本」だ。

 自分の思考をどんなに練っても辿り着けない世界が、この白い塊にはある。

 学生の頃から、本が好きだった。

 学校の授業はルーチンワーク。

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親切な本屋

16/09/22 コメント:0件 村咲アリミエ

 その本屋は、親切な本屋ではなかった。

 僕の隣で、店長おすすめの本が並ぶ本棚を見上げている彼女は、きっとため息をついているに違いない。
 この本屋の本棚は、高い。百九十センチある僕が背伸びをしてやっと届く距離に商品を置くなんて。おまけに脚立がひとつしかないものだから、余計に不親切だ。
 困っている人を見かけると、僕は進んで声をかける。親切心ももちろんあるけれど、本当の理・・・

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惑星書店

16/09/22 コメント:0件 午前4時のスープ

 濡れた音がかすかに耳をかすめる。
 雨だ。水滴が細やかに壁や窓や地面をたたく。雨足は決して強くはない、そんな音だ。
 閉じていた目を開く。薄暗い。からだを起こし、部屋の窓を開けると、湿り気を帯びた風が部屋の中に吹き込んだ。
 この星のにおい、この町のにおい、道路のにおい、公園のにおい、木々のにおいなどが交差し混じり合っている。
 深い呼吸をひとつすると、呼気は灰色の雲に向・・・

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猫のうたたね本屋さん

16/09/22 コメント:0件 待井小雨

 小さな本屋で、店主のおじさんはいつものように店番をしていました。
「本屋のおじさん。本屋のおじさん」
 カウンターの下から声がします。見ると、ふくふくとした毛並の前足がありました。覗くと三角の耳がぴんと立っています。
「おや、一体誰だろうなぁ」
 おじさんは笑いながら、背伸びしてカウンターに前足を乗せる猫に問いかけました。
「一生懸命背伸びする僕を抱き上げてはくれな・・・

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リラックスする人たち

16/09/20 コメント:0件 トム

「なんで本屋にいるとトイレに行きたくなるか分かるか」
突然、隣にいるバイトの先輩がそんなことを聞いてきた。
怠そうに左手でレジにもたれ掛かり、右手でボールペンを回しながら、どうせ知らないだろとでも言うような口ぶりだった。
「確かに、本屋に入るとなぜかトイレに行きたくなるってよく言われてますけど、なんでですか?」
先輩は、僕がそう答えるのを待っていたかのように、自慢げに理由を・・・

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エッカート・マルルーレ

16/09/18 コメント:0件 れいちぇるかるふーる

   一


バスを待つあなたを見ている
きれいに刈り込んだ髪
スーツもシャツもパリッとしてる
この時間だとあなたがいる
だから少うし合わせてみた
本を読んでることもある
スマホを見てることもある
彼女さん?
ではなさそう
バスの揺れに乗じて画面チラ見したら配本サイトだった
本当
本が好きなのね
吊り皮もつ手・・・

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本当に?

16/09/18 コメント:0件 素元安積

「本当に?」

 それが女の口癖だった。

 その度に男は本当だよと答えたが、女の返しもまた、本当に? ばかりであった。

 ある日男は聞いた。

「じゃあ、君にとっての本当って何なんだ?」

 男が聞くと、女はこう答えた。

「嘘ではないことよ」

 女の答えを聞くと、男はため息を一つして立ち上がった。
<・・・

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初恋

16/09/18 コメント:0件 よたか

 彼の初めての買物は『小学1年生』という月刊誌だった。
 卒園式が終わったあと、祖母から貰った小銭を握りしめて、商店街の端っこにある本屋へ駆け込んだ。
 これからは小学生らしい本≠読もうと思って、彼が選んだ本が『小学1年生』だった。
「これください」そう言って、本とお金を自分の視線と同じくらいの高さのカウンターの上に載せた。
「あっ、10円足らんね。買うとやったら、さっ・・・

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生ける本屋へようこそ

16/09/18 コメント:0件 黒猫千鶴

「返してよ!」

 妹の悲痛な叫びが、書店に響く。私は手を伸ばす妹を止めることしか出来ない。

「貴様、この状況下でこんな物を読もうとは……恥を知れ!」

 制服を纏った男性が、怒鳴り声を上げた。もう一人がニヤニヤと笑ったまま、何もしない。声を張り上げている男性の手には、小さな子どもが好むお姫様の絵本がある。

「返してよ!」
「おい、ここの店・・・

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ぼくは記憶の本屋に売っている。

16/09/17 コメント:0件 せろり

 わたしの頭のなかには本屋があるんだ。
 彼女は自分の頭を指差して笑った。ぼくは首を傾げた。図書館ならまだわかる。でも、本屋というのはわからない。
 ぼくの様子を見て、言葉が足りないことを理解してくれたらしい。それとね、と続けた。
 あと、自分の部屋があって本棚があるの。
 付け足された言葉はやっぱり意味不明で、ぼくの首は傾いたままだった。
 こんな会話をしたのは一年・・・

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白紙に我を想う

16/09/17 コメント:2件 日向 葵


『あなたの本売ってます』

 京都は下鴨、鴨川と高野川を脇に抱える下鴨神社を中心に、歴史を感じる木造の住居が建ち並ぶ。そんな街の一角の、まるで人目から隠れるように埋もれる古本屋の入り口に、その貼り紙はあった。
 就活に失敗して、気晴らしに京都へ一人やってきたは良いが、先の見えない将来への不安が頭の中を支配し、辺りの美しい景色は私の目にはまるで入ってこなかった。そんな私の重・・・

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立ち読みする彼

16/09/17 コメント:0件 杏花

行きつけの本屋は、田舎にしては珍しい大型複合施設の最上階にあった。お店としたらいいのか悪いのか分からないけど、その本屋は図書館や公民館とはまた違うタイプの静けさを持っている。その雰囲気が大好きだった。この日は木曜で、息抜きがてら一人でいつも通り本を見に行った。二階から七階までエスカレーターに乗ってゆったり、どんな本を買おうか迷っていた。
(……珍しい)
本屋にたどり着いて真っ先に目に入・・・

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思い出の本、取り扱っております。

16/09/16 コメント:3件 空蝉

横殴りの大粒の雫が、凍えるように冷たく、街角に叩きつける。
それは泣き喚くような雨だった。
ほとんど役目を果たさなかった、ボロい傘を放り投げ、俺はその場所に飛び込む。

「いらっしゃいませ。
本屋『メモリーブック』へようこそ。」

ペタリと這い寄るような足音と共に、一人の男の店員が現れた。
長い黒髪は、両の目をすっかり隠していて。
だけど口角が・・・

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ラヴェンダーのひと

16/09/14 コメント:0件 こんちゃん

ラヴェンダーのひと。私がそう呼んでいる女性がいます。いえ、面と向かってそう呼ぶわけではありません。心の中で、そう呼んでいるのです。
私は駅前の小さな本屋を営んでいます。ここに時々買い物に来ていただく女性。名前もお住まいも知りません。ただ、私のお店を使っていただけていますから、近所にお住まいなのだろうという事はわかっています。
年のころは20歳代後半くらい、少し線の細い、色白な方です。髪・・・

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星の海を漂う本屋“アソラ”で

16/09/12 コメント:0件 浅月庵

 無限に広がる宇宙空間ーー。
 その星の海を漂う本屋“アソラ”。
 偶然その存在を知ってから、月一で通うようになった。

「いらっしゃい。レアなテキスト入ってるよ」
 店主のマットはハイマッキン星人だ。粘土をしつこいくらいこねくり回し、割り箸を数本突き立てたような形をしている。彼は地球言語で最も広く使用されている英語を理解してくれているので、とてもありがたい。
・・・

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とある人気アイドル解散騒動が、芸能ニュースに興味のない一学生に与える影響についての考察

16/09/11 コメント:0件 ニコロ

 某国民的アイドルグループSが解散するとの一報が入ったのは、私がまだ寝ぼけ眼をこすりつつ、無理矢理クリームパンを口に押し込んでいる時だった。穏やかな朝の時間はそれを機に一変した。昔からグループのファンであった母は呆気にとられ、食器を洗う手を止めテレビにくぎ付けになっている。ゴシップネタに目がない兄は,大騒ぎしながら手元のスマートフォンをいじくりまわしている。これは良くない兆候だ、そう見て取った私は・・・

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ハイデストの冒険者

16/09/10 コメント:0件 乙女☆心

 僕にとって本屋さんは、夢の場所だった。

 田畑がほとんどの田舎町にポツンとある本屋にいるのが、少年時代の俺には、唯一楽しめるひとときだった。

 可愛いタッチの絵本にインパクトのある漫画、全く読むことができなかった小説が棚いっぱいに並んでて、それを見ていつも興奮している自分がいた。

 当時の僕は、異世界扱いしちゃって、〈ハイデスト〉と国名をつけた。
・・・

0

たんぽぽ書店

16/09/09 コメント:0件 白取よしひと

 アーケードにぽつんとある街の本屋さん。商店街に人通りはあるのに、間口が狭くてうなぎの寝床みたいな店内にお客さんはひとりも見えません。入り口に近いレジでおばさんが何やら片付けをしている様です。

「亜衣ちゃん」
あら、あんまり淋しくてつい口に出ちゃったわ。亜衣ちゃんが帰ってからお店の中は火が消えたみたい。この日くらいゆっくりお話したかったけど用事があるんだから仕方ないわよね。最・・・

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はじまりのオワリ

16/09/08 コメント:0件 つつい つつ

 白い壁の四方八方に出鱈目に書かれた正の字を数えるだけで彼の一日は終わってしまった。今日で数えるのは五回目になるが、毎回途中で正確な数がわからなくなってしまい、おおよそ三千五百ということしかわからなかった。それは、彼が初めて中学校をサボった日に何気なくマジックペンで壁に書いたのがはじまりだった。
 壁を見つめ続けたせいで目の奥がチカチカする彼はそのままベットに倒れ込んだ。目を閉じても正の字の・・・

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本屋が消えた故郷にて

16/09/08 コメント:8件 あずみの白馬

「この街にはもう本屋は無くなってしまったんだな……」
 俺は誰に聞かせるでも無く、つぶやくように言った。

 高校の頃から作家デビューを夢見て、小説を書き続け、気が付けば30代になっていた。
 それでもあきらめずに仕事をしながら持ち込みを続けた結果、小さな出版社から声がかかり、夢にまで見たデビューがついに決まった。それを聞いた当時の文芸部の仲間が出版記念パーティーを開いてく・・・

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おっさんよ、大志を抱け

16/09/07 コメント:0件 本宮晃樹

「うちの雑誌はまぎれもなくクソですがね」編集者の若造は俺のネームをチン毛かなにかみたいに思っているふしがある。「だからってそこに載る漫画までクソにしてくれなくてもいいんですよ、日下部さん」
「そんなにだめかな、この内容」
「これのどこにゴーサイン出せる要素があるのか教えてもらいたいもんです」若造はコーヒーをまずそうにすすった。「そんなものがあればの話だけど」
 二十歳近くも下の生・・・

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歓迎、万引き少年

16/09/07 コメント:0件 W・アーム・スープレックス

ながい人生を歩んできて、身も心も目に見えて衰えきった人のような印象を漂わせる、それは本屋だった。いままで潰れもしないで持ちこたえてきたことじたい、奇跡のようだった。
店頭に並べられた雑誌類、書棚に並ぶ本の数もしれたものだった。ひょっとして、美麗の女店主でもいて、鼻の下をのばした男客が彼女に気にいられようとせっせと足を運んでは、読みもしない本を買ってこの店の売り上げに貢献しているのではと、あら・・・

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痕跡本に想いを

16/09/04 コメント:2件 上村夏樹

「あぁー! この本、マーカーで線が引かれてる!」
 お客さんのいない店に、私の声はよく響いた。
 ここは古書店『文撃堂』。私のアルバイト先だ。
 私が怒っている理由。それは本棚に並べようと思った単行本に、マーカーで線が引いてあったことだ。これじゃあ商品にならないから、廃棄しないといけない。
「千佳ちゃん。声大きい」
 注意してきたのは同じ高校に通っている琢磨くん。年下・・・

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親友

16/09/04 コメント:0件 猫野まち

 彼女は人生を本に捧げていたと言っても過言ではない。
 彼女にとって本は最愛の親であり、夫であり、親友であり、教師だった。
 傍からみれば彼女は生涯孤独で死んでいったかわいそうな女である。
 しかし、彼女はいつも幸せに包まれていたのを、私は知っている。

  ・・・

 幼い頃、私は両親を亡くした。
 今でも覚えている。私が7歳のときだ。8月16日金・・・

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死者に同情する記者

16/09/04 コメント:2件 ポテトチップス

 新宿から電車を乗り継いで約1時間、八王子駅に到着したトキオは、黒いリュックから地図を取り出し住所を確認する。さらに徒歩で歩くこと15分、目的地の本屋跡地に着いた。
 もうすでに町田書店の店は取り壊され跡形も無かったが、深さ1メートル程掘られた形跡が、真実を物語っていた。
 トキオはリュックからデジタル一眼レフカメラを出して、現場の写真を数枚撮影すると、メモ帳に感じたことを書き留めた。・・・

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ブックス・シー

16/09/04 コメント:0件 待井小雨

 電車に揺られてふと目を開けると、窓の外に知らない景色が広がっていた。
「え――」
 海の中のように見えた。
 澄んだ青の中に海の生き物たちが泳いでいる。ゆっくりと止まった電車から、誘われるようにしてその世界へ出た。
 明るく光に満ちた海底の白い砂を踏んで歩く。頭上高くに水面があり、そこから差す光がゆらゆらと帯のように揺れていた。辺りを見回し、広がる光景に息を飲んだ。

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本屋の作法

16/09/03 コメント:0件 みや

毎月発行されている婦人雑誌を、必ずいつも発売日当日に買いに来ていた品の良い老女が先月は発売日になっても姿を現さず、一か月が過ぎ今日ついに新しい号の発売日となった。これだけが楽しみで、と嬉しそうに毎月雑誌を購入していた老女がついに亡くなったのか…と白髪混じりの店主は複雑な気持ちになる。

店内は相変わらずガランとしていて、小説を立ち読みをしている常連の女子高生一人しか客はいない。ほんの何・・・

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貸本屋《四季》

16/09/03 コメント:2件 笛地静恵

 貸本屋《四季》の返却日だ。
 手元にあるのが、手塚治虫の『0マン』の第二巻だ。今日、かえさないと、えんたい料をとられる。忘れてはならない。
 高い山を左手に見ながら、木の橋をわたった。半ズボンからのびた足が短い。距離が遠く感じる。渡し守の姿が、上流に小さく見える。黒く細長い船だ。
 橋の向うは、別の小学校の学区だ。緊張してしまう。いんねんをつけられて、細い路地にさそいこまれるか・・・

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ようこそ、蔵書房へ

16/09/01 コメント:0件 鯨幕村中

「さぁさぁ、紳士淑女の皆々様、寄ってらっしゃい見てらっしゃい。世にも珍しい“世に出なかった”作品達が並ぶ蔵書房だよー。かの大文豪や今まで発掘されなかった隠れた名作、名品珍品が目白押しだよー。さぁ、寄ってらっしゃい……はぁ……」

 店先の前で店主が張り切って客引きをするが、誰一人通らない通りで一人虚しく叫んでいるのに気づいて肩を落す。
 そんな店主を書房の商品である本を広げつつ眺・・・

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本を失った店内

16/08/30 コメント:0件 ポテトチップス

 夜の7時、小池本屋の2階に魚屋の宮城と八百屋の福長が、椅子に座って待っていた。小池は部屋の冷房のスイッチを入れてから、宮城と福長と向かい合うように椅子に座る。
 八百屋の福長が言う。「もう、どんだけ頑張ってもショッピングモールには勝てない。あんなのができたせいで、商店はめちゃくちゃですよ」
 小池は福長の言葉に黙って頷きながら、1年前の谷町商店街の賑わいを懐かしく思った。
 谷・・・

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活字泥棒

16/08/30 コメント:2件 W・アーム・スープレックス

たまたま私がその書店にいあわせたとき、背後から、ここの店主の男性に意識して小声で語りかけている婦人の声が、きくともなしにきこえてきた。
「本当にごめんなさいね」
「なにもお母さんが謝らなくても………」
「でも、何冊もの本が、あの子のために、だめになったんじゃないかしら」
「落丁本として返品すればいいだけで、私どもにはそんな、ちっとも迷惑なんてかかってないですよ。それより、い・・・

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古本屋での決闘

16/08/30 コメント:0件 海見みみみ

 世の中にはレアな本を安く買い叩こうという悪質な古本屋が存在する。そこに本を高く売ろうとする客が現れた時、古本屋は決闘の舞台になる。

『亜久慈古書店』はそんな悪質な古本屋の一つだった。
「買い取り金額五十パーセントアップの券を持ってきたんですけど、使用できますか?」
「もちろんですよ」
 亜久慈古書店の店主が笑みを浮かべる。
 それからすぐ古本の査定が始まった・・・

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白鷺ノ城書店モノガタリ

16/08/29 コメント:4件 葵 ひとみ

 小生、猫多川賞受賞作家マタタビニャンキチが、

倉敷市の郊外にある複合ショッピングセンター内の

白鷺ノ城(しらさぎのしろ)書店に訪れた時のお話である――



SNSで出会った東京都北区在住の専業主婦の清水希実子(しみずきみこ)さんから

小生の小説をサイン入りで贈ってもらいたいと年末に頼まれていたのだが、

年末年始は連・・・

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ギリシャ風ホテル・プロメテウス内書店――アテナ――

16/08/29 コメント:2件 葵 ひとみ

 ここは小豆島の恋人たちの散歩道(さんぽみち)エンジェルロードの隣りにある、

ギリシャ風ホテル・プロメテウスである。

このホテルの名物は、ホテル内にとても素敵な書店がある。

その名前は――アテナ――。

このホテルでは、レストランでギリシャ人シェフの料理を食して、

アテナで購入した書籍をゆっくりとラウンジでシガーを薫(くゆ)らせな・・・

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絵本 さっちゃんとぺぺ

16/08/29 コメント:4件 こぐまじゅんこ

 ほんわか ベッドで
 ん−っと せのびする
 やっと 目がさめた
 さっちゃん
 ん? だれかいるの?
 がらっと 音がして
 だいすきな 
 いぬのぺぺが 入ってきた
 すぐに だっこした さっちゃんは
 きす をすると あたまをなでた
 でれぇと 耳をたれて
 すました顔で みあげるぺぺ
 えへっ かわいいね
 ほ・・・

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涙の止め方を忘れた女-本屋-

16/08/29 コメント:0件 蒼樹里緒

 あるところに、涙の止め方を忘れた女がいた。女は、嬉しいときも悲しいときも悔しいときも、ひたすらに泣き続けていた。
 夏の陽射しの下、女は小さな古書店に立ち寄った。商店街の裏通りにひっそりと佇むそこには、本の詰められた複数の木箱が、入口前の両脇に並んでいる。『三冊で税込五百円』という手書きの値札もそこに貼りつけられていて、なるほど、と女は納得した。箱の中の本は背表紙も本文の紙もだいぶ色褪せ、・・・

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本屋コンシェルジェ

16/08/29 コメント:0件 海見みみみ

「どんな本でもお探しいたします。世界中、ありとあらゆる本をお客様の元に」
 東京の一等地にある、日本一広い本屋『大東京書店アルカディア』。
 ここには人間の店員は一人もおらず、全てロボットが管理している。中でも評判のロボットが、聞かれればどんな本でも探し出す、本屋のコンシェルジェ『コン一号』だ。

「確か江國香織の本で、タイトルに色の名前がついてて。最後男女が心中して終わる・・・

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女人観察人

16/08/29 コメント:0件 水面 光

「疲れたのだよ、もう」彼は強烈に息まく画面の向こうの若い女に向かってつぶやき続けた。「夜になると酒をやったわけでもないのに吐き気がするんだ。なのに、余計それを助長する向精神薬をやらなくちゃならない。連中は当然だと思ってるらしいが肉体に異物を、しかも金属をぶっ刺すということの異常性が、勉強はよくできるはずなのに、それだけがまったく理解できないようなんだ。点滴なんぞ絶対に嫌なんだよ! 採血でさえ嫌なの・・・

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ダンジョン書店を探して

16/08/29 コメント:0件 海見みみみ

「ダンジョン書店がどこにあるか答えなさい」
 街の裏通り。巨大なトランクを持った女、シラは片手でチンピラを持ち上げ首をしめた。周りにはシラに倒されたチンピラが何人も転がっている。
「ダンジョン書店なんて知らない! あんなの都市伝説だろう?」
「話にならないわね」
 シラはそのまま片手でチンピラを投げ飛ばした。トランクで追撃を加えると、チンピラが気絶する。シラは自身に危害を加・・・

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