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  2. 第111回 時空モノガタリ文学賞 【 蕎麦 】

第111回 時空モノガタリ文学賞 【 蕎麦 】

今回のテーマは【蕎麦】です。

恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

時空モノガタリ賞発表日:2016/08/01

※同一投稿者からのコンテストページへの投稿作品数は2〜3作品程度とさせていただきます。
※R18的な暴力表現・性描写はお控えください。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。

ステータス 終了
コンテストカテゴリ
投稿期日 2016/06/06〜2016/07/04
投稿数 70 件
賞金 時空モノガタリ文学賞 5000円 ※複数受賞の場合あり
投稿上限文字数 2000
最大投稿数
総評

入賞した作品

6

引越ソバ(砂漠版)

16/07/01 コメント:6件 にぽっくめいきんぐ

「引越ソバ届けて。4人前」
 そんな手紙がやってきた。期日は1週間後。

「あいよーっ!」
 客に届くはずのない声を、お腹から絞り出す。威勢の良さが売りさね! 
 
 そして寝る。
 今から作ってもソバがのびるだけだ。

 ◆

 1週間後。
 ソバ屋の真っ白い服を着て、木の色をした特製おかもちを2つ持って、出かける。
・・・

4

夜啼蕎麦のブルース

16/06/20 コメント:5件 泉 鳴巳

 これは私がまだ新入社員だった頃の話だ。

 その夜、大衆居酒屋を梯子した挙句、何軒目かの店を出た私と直属の先輩は、街灯の下をふらふらと彷徨っていた。
 もはやどこへ向かっているのかさえ分かっていない。私は、呂律は回らず足許も覚束ない先輩に肩を貸し、自身もふらつきながら身体を引き摺るように歩いていた。そんな折、どこからか物悲しい音色が私の耳に飛び込んできた。
 音の正体が気・・・

12

私の父とそばアーマー

16/06/06 コメント:12件 クナリ

 高校二年のある春の日。
「そばアーマーでは、悪漢どもの攻撃を防げんな。だって柔らかいからな」
 父にそう言われて、ああこの人はおかしくなってしまったんだな、と私は静かに覚悟した。
 日曜日の昼下がりの居間。いつも通り銀縁メガネに七三分けの父は、茹で上がったそばを全身にくまなく巻きつけ、仁王立ちしてあさっての方向を睨んでいる。
 そばから湯気が立っているのが、無性に腹立たし・・・

最終選考作品

10

あなたのそばの、蕎麦がいい

16/07/02 コメント:14件 冬垣ひなた

 私は蕎麦。
 あなたに私が思い起こされるとき、どんな姿であるだろう?
 名店の暖簾をくぐり十割蕎麦として誇らしげに頂かれた時もあるけれど、あなたが駅の立ち食い屋で3分で啜り終え、短い一生を終える事もある。
 贈答品の箱に熨斗紙をつけて、あなたのもとに届けられた時は舞い踊りたかった位だ。
 けれど、家族団欒の席で「3玉100円なんて」と愚痴をこぼされたりしたら、最後まで食べ・・・

5

蕎麦食う女  

16/06/24 コメント:2件 デヴォン黒桃

 
 とある蕎麦屋で噂に成っている、蕎麦食う女。

 長い長い黒髪と赤白模様の派手な着物に、裾を引きずり、シャナリシャナリと街を歩いておるそうな。
 真っ白な頬に、小さく赤い唇、仄かな笑みを浮かべては、切れ長の瞳で上目遣いに男たちを見つめる。
 あまりの美しさに、男たちが声を掛けると、蕎麦の食べ比べで勝てたらば、一晩自由にしていいと、勝負に誘って来ると云う。
 ・・・

4

蕎麦の花

16/06/22 コメント:7件 そらの珊瑚

 夕方、相方に呼び出された。あたしらが漫才の練習をしていた、いつもの公園に。着いてみたら相方は既にベンチに座り、あたしのことを待っていた。
 人より大きな相方の丸みを帯びた背中。
 3Lの黒いTシャツに出来た汗の染み。
 スピーカーから流れていく、いくぶん早送りされている『家路』のメロディ。
 それに合わせて帰っていく小学生たち。いつもと変わりのない日常。
「九月だっ・・・

3

ある少女たちの会話

16/06/10 コメント:1件 黒森あまやどり

「おかしいなあ。ここら辺で見たんだけどなあ」

「もういいからマンションに戻ろう」

「うん私も暗くなる前に戻りたい」

「よくないだろ全然。蕎麦食うんだぞ蕎麦」

「……」

「……」

「普段食ってる乾パンとはわけが違うんだよ。日本人なら蕎麦食うときは必ず
薬味として葱を入れるの。これは常識なの」

「あ・・・

9

蕎麦湯の時間

16/06/08 コメント:9件 犬飼根古太

 墓参りの帰りに、亡くなった祖父にたまに連れて来てもらっていた蕎麦屋に彼女と寄った。
 平日のお昼過ぎの店内に人気は少なく、僕と彼女が美味しい蕎麦を堪能し終えた頃には客は二人だけになっていた。この店は昼の営業を終えると夕方まで閉める。店の奥にいた店主が表の営業中の札を引っ込めるのを目の端で捉えながらお茶を啜っていると、ふいに彼女が呟いた。
「なんか意外……」
 薬指に婚約指輪を嵌・・・

6

汚れた手

16/06/06 コメント:0件 ポテトチップス

さと美は、山谷地区に店を構える立ち食い蕎麦屋の引き戸を開け中に入った。
「へい、らっしゃい」店の店主の中谷平蔵が、皺くちゃな顔に笑顔で迎えてくれた。
「温かい蕎麦ちょうだい」
「へい、かしこまりました」
さと美は、店の壁に掛かっているカレンダーを見て、今日が12月25日だと言うことを知った。もうすぐ正月がやって来る。どうりで寒い訳だと納得した。
83年も無駄に生きてい・・・

投稿済みの記事一覧

0

選ぶことについて

16/07/05 コメント:0件 ケイジロウ

「コーヒーと紅茶、どちらになさいますか?」
と、食後に聞かれるわけなのだが、「コーヒー。ホットで」と即答できる。ざまぁみろである。
「ライスとパン、どちらになさいますか?」
と、ハンバーグなんか頼むと聞かれる。これに対しても「ライスで。割りばしも付けてね」と即答できる。
 しかし、この程度の決断が即できたからと言って自慢されても困る。しかも、厳密にはこれらは「即決」ではなく・・・

0

食べたものには生まれ変わらない

16/07/04 コメント:0件 むねすけ

夜の公民館、施錠係のシルバー派遣ばあちゃん。
剣呑になってしまった、平成の世の中で、
社会の善玉としての丸みを、縁側で座布団に沈めるばかりが脳じゃない。

集会、密会、悪なる組織、よからぬハカリゴトのお楽しみ、
その場所を提供するお小遣い稼ぎを思いついて、実行している。
施錠一回でもらえる数百円にプラスの一時間二千円の場所代。
第二会議室なら、明かりをつけ・・・

6

深大寺

16/07/04 コメント:7件 泡沫恋歌

 私は五十の手習いでパソコン教室に通い始めた。
 少し扱い慣れた頃、インストラクターの勧めでFakebookにアカウントを作り、生まれて初めてインターネットを体験した。最初は警戒心もあったが、プロフィールに写真や出身地、卒業した学校などを記載したら、いろんな人たちと繋がることができた。
 短大時代の友人ともFakebookで再会した。
 私からメールを送信して、チャットで話をした・・・

1

ひとそば

16/07/04 コメント:0件 囁きヒトデ

下級武士、梅崎吾郎(うめざきごろう)が生まれ育った畿内を離れ、江戸勤めとなってから早半年となる。
妻子と離れて暮らす吾郎であるから、ひとりぼっちの寂しさをまぎらわせようと、夜は決まって深酒をする。
その晩も、吾郎はふらつく足取りで帰り道をたどっていた。

肌を蒸す夏の陽気も、この時刻ともなればなりをひそめる。
月影を映す水路のふちでは、虫たちがさかんに声を上げている。・・・

1

身内話

16/07/04 コメント:0件 奈名瀬朋也

 あたしにとって、そばは風邪の時に食べるものだった。
 だから、先輩に昼食を誘われ、そば屋に連れていかれた時はそういう意味でも面食らった。

 あたしとしては、せっかく先輩に誘ってもらえたんだからもう少しおしゃれなレストランとかを期待していたのに。
 なんて態度は表に出さず、少しだけ拗ねてみるけど不機嫌になる程じゃなかった。
 それに、頬を膨らせるのに忙しくして、せっ・・・

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蕎麦の食べ方

16/07/04 コメント:0件 ななかまど

 初めて男のひととおつき合いしたのは、高校生のときで、相手は年上の大学生だった。家庭教師に来ていたひとで、4歳違いのその人は当時はとっても大人に思えて、どきどきしたものだ。
 親に見つからないように、デートは家からひと駅離れたところで待ち合わせして、彼の車に乗って移動する。映画や遊園地に行って、楽しい思い出を沢山作った。だけど、最後のデートの思い出は、なんとなく、苦い。
 私はいつもみ・・・

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思ひ出ずるずる

16/07/04 コメント:0件 篠下こゆき

「ユキは、酒呑みの口だな」

 小学生の頃、ユキさんは父にそう言われた。

「お蕎麦を食べると、お寿司が食べたくなって、お寿司を食べると、お蕎麦が食べたくなるんだよね」

 ユキさんがそう言ったことへの返事だった。
 ある夏の、夕飯の時だった。
 握りと蕎麦という組み合わせで、言った通りあちらを食べればこちらが欲しくなり、

「忙しいんだ・・・

5

妖怪「蕎麦すすり」

16/07/04 コメント:3件 そらの珊瑚

 仕事が終わり夕食用に何か買って帰ろうと思い、コンビニに寄った。
 最近ちょっと太りぎみだったので、カロリーの少ないざる蕎麦を選んで買う。小分けされた茹で麺と袋入りのだし汁と刻みネギと海苔が入っていた。
 アパートに帰り冷蔵庫からビールを取り出し、もそもそと蕎麦を食べ始める。
「ちょっと待たれい!」
 いきなり背中から声がした。驚いて振り返ったが誰もいない。空耳か? ああ嫌・・・

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縁はすぐ蕎麦に

16/07/04 コメント:0件 白野幸英

ー平日の朝。
私はいつものように寝ぼけ眼で目覚まし時計を止めた。すると・・・
「は、はちじさんじゅうにふん・・・!?」
二度寝をかましてしまったみたいだ。普段は8時に起きて割とのんびりしながら出勤の支度をする。
8時32分は、大慌てになるほどではないが、今日は会議もある。そこそこ急がなければならない時間だ。
「朝メシどうしよ・・・」
大学入学の時に田舎から上京し・・・

6

夏、流るる

16/07/04 コメント:0件 宮下 倖

 寝てないなんて言い訳にならない。明日の会議に完璧に備えなければ。
 岩崎は血走った目を瞬かせると、資料の詰まった鞄を持ち直した。

 湿気を含んだ夏の風が襟足で遊んでほどけていく。首筋に滲んだ汗を撫でるそれを、心地よいと感じる余裕さえない。早々に帰って資料の見直しをしようと足を速めた岩崎に耳に喧騒が届いた。靴先ばかりを見ていた視線を上げると、商店街の端の広場に煌々と灯りが燈って・・・

0

妹は蕎麦を食べたか

16/07/04 コメント:0件 むねすけ

「部屋に蕎麦はありませんでしたよ」
と、僕の問いに応えてくれたのは、マルボロメンソール。
「だったら帰りにうどんでも」
と誘ってみてもツレナイ、マルボロメンソールとUCCのコーヒー飲料はタッグを組んで、
「蕎麦じゃないならいい」
と、きたものだ。
怪異譚というのは、相場として蕎麦から始まるものだ。
うどんから始まる怪異なんて、耳の奥にも在庫がない。
・・・

0

侵略前夜

16/07/03 コメント:0件 440

「わかっているな、スパイ十二号。今日が地球人調査の最終日だ」
「こちら十二号。承知しております、本部。何事もなければ、明日からいよいよ地球への攻撃が始まるのですね」
 男は小さな住宅街のただ中で、夜空を見上げながら、頭の中でそう呟いた。
 会話の相手は月の裏に隠れている宇宙船だ。
 彼らドドン星人はテレパシーで会話することができるのだ。本部から無機質な思念が返ってくる。

0

お隣さんとの交流

16/07/03 コメント:0件 OSM

 初夏の夜、隣室に越してきた美人のお姉さんから蕎麦をいただいた。引っ越し蕎麦というやつだ。
 ちょうど夕食の時間だったので、いただいたばかりの蕎麦を食べることにする。麺を茹で、丼に入れたところで、僕は大変なことに気がついた。
 つゆがない!
「つゆなら私が持っているわ」
 出し抜けの声。振り向くと、玄関のドアの内側に、いつの間にか若い女性が佇んでいた。こちらへと歩み寄ってく・・・

1

願掛け蕎麦

16/07/03 コメント:2件 奈尚

 日が傾き始めた。
 一日の終わりを示す夕焼けが、仕事始めの合図になる者もいる。蕎麦打ちの平蔵も、その一人だ。いつも通り屋台に『夜鷹蕎麦』の暖簾をかけると、平蔵は『二八』と書かれた提灯に火を入れた。小さいながらも、店を始めて早三十余年。今では、彼の作る蕎麦の味を慕って遠方から来てくれる客も少なくない。
 どっぷりと暮れて川の対岸も見えなくなる頃。まばらにあった客足がついと途切れ一息つい・・・

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蕎麦の花も一盛り

16/07/03 コメント:0件 みや

幼い頃から周りの人達に器量が悪いと言われ続けていたので、自分の容姿の悪さは充分に自覚している。けれど、鏡を見る度に佳代は溜息が溢れた。

佳代が十二の時に死んだ母親にそっくりな腫れぼったい一重の目と団子の様に丸い鼻、唇は幸の薄さを現しているかの様に細い。かと言って、体型は決して細くはなく、肌が綺麗な訳でもなく髪が綺麗な訳でもない。褒める要素が一切無い自分自身が佳代は大嫌いだった。

15

妖怪蕎麦合戦

16/07/03 コメント:11件 石蕗亮

「注文は?」
燈無蕎麦屋の店主の狢が化狸の男と化狐の女に伺う。
「どうすっかな。」
 「何にしようね?」
「決まったら声かけてくれや。」
狢はそう言うと鍋に湯を沸かしに厨房へと入った。
 「そういえばさ。なんでたぬきって天かすなの?」
「所説あるが。まぁ、全部人間由来だがな。
ひとつは天ぷらのたね(具)が無い天かすを『たねぬき』と言ってのが略されて『・・・

1

背伸び蕎麦

16/07/03 コメント:0件 岩原みお

「母さん、ねぎは入れないでって言っただろ」
「好き嫌いせずに食べなさいって言ったでしょ」

 毎日繰り広げられるやりとりの後に、僕は目の前に置かれたお椀を睨みつける。お椀によそってある味噌汁には、僕の苦手なねぎが浮かんでいた。
 味噌汁は好きだ。大根や玉ねぎだって、火が通ったものは甘くて美味しい。ねぎも火を通してくれれば食べられるのに。でも母さんはこれが好きだからと言ってお・・・

14

妖蕎麦屋

16/07/03 コメント:5件 石蕗亮

 夕暮れも過ぎ掛け街灯が点り始める逢魔ケ刻
家路へ向かう人の流れ、または仕事終わりの一杯をひっかけに飲み屋街へと向かう人の波間の中。
 「お〜い、たぬ公!たぬ公って!」
雑踏の中から声に合わせて細い腕が上がる。
「うっせぇ!人前で狸呼ばわりすんな!狐づら!」
ふてくされた顔で男は声の主に意趣返しする。
 「相変わらず固いんだから。」
女は悪びれもせず応える・・・

0

時、既にお蕎麦

16/07/02 コメント:0件 相沢

「今何時だい?」
「ちょうど9つでございやす」
「10……11……で、16文、と、ごちそうさん!」

その日は一段と寒い晩でよ。あったけぇ蕎麦が恋しくなって屋台まで行ってみりゃ、先客がそうやって一文ごまかしてやがんだ。
そいつにえらく感心しちまった俺は次の日、わざわざ蕎麦を食いに屋台まで行ったってわけよ。
まず、蕎麦を頼むだろ? それから昨日の男は看板やら・・・

0

年越し庵

16/07/01 コメント:0件 本宮晃樹

 落石、ダート、なんでもござれの劣悪林道を安全運転で一時間弱(オールスタッドレス、四駆の完全装備でも滑ること数知れず)、その先は冬季通行止めのゲート封鎖でやむなく徒歩だ。冗談で持ってきたスノーシューが実地で役に立つとは思わなかった。目を疑うほどの積雪である。
 えっちらおっちら、雪に足をとられながら歩くことこれまた一時間弱、ついに〈年越し庵〉のある廃村に辿りついた。打ち捨てられた家屋はすべて・・・

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父の蕎麦、近づく僕

16/06/30 コメント:0件 かるり

「今日、タカシくん家は遊園地に行くらしいよ」

 ふて腐れた僕の言葉に、父は手を止めなかった。大きな背は丸めたままで振り返ることすらしない。
 日曜の午前に映し出されるのは、家にいるより会社にいる時間の方が長い父と、休日を満喫する僕、そして僕たちのやりとりを眺めて微笑む母。変わらないいつもの光景だ。
 父は蕎麦を打つのが好きで、休日になれば台所に立ち、僕たちに手作りの蕎麦を・・・

2

そばの夢

16/06/30 コメント:0件 あしたば

誇らしげな父を尻目に、わたしは両の手のひらを宙に差しのべた。目の前に広がっていたのは、それは立派な大海原だった。金色の月の光が白波に映え、わたしが指をふわりと動かせば、その影が魚のようにひらりひらりと水面を泳ぐのだった。
「父さま、わたくし…」
ふと我に帰って振り向く。でも、父はもうそこにはいない。
「父さま…?」
先ほどまでの高揚感は影を潜め、激しい不安。焦燥。だんだん大・・・

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蕎麦屋への道

16/06/29 コメント:0件 佐川恭一

 うまい蕎麦屋がある、というのである。
「おれが車出すし、みんなで食べに行こうや」。
 仕事の昼休みにそういったのは同期の勝浦で、おれは休日にまったく予定がなかったから案に乗った。おれと同じく予定のない佐々木と吉田も乗ってきて、「近くで蕎麦打ち体験もできるみたいやし、みんなでやろうや!」と大盛り上がり。苦しい仕事に精神をすり減らしながらウィークデイをくぐりぬけ、やっと迎えた土曜日。いつ・・・

0

なんのことはない

16/06/29 コメント:0件 小野坂 翔子

 鬱陶しいほど蝉が鳴く、暑い夏。いつもの店の前で、頼りないぼろいひさしに守られながら、人を待っていた。来ることは滅多にないから、定刻になれば店に入り、注文をして待つ。
「おぅい」
振り返ると、その人が店の入り口で手を振っている。褐色の肌の上に、薄汚れた白いタンクトップ。履き古された作業着のズボンと重たそうな作業靴。近づいてくると、ズボンに吊された工具の音が聞こえた。
「待ったか」・・・

1

知らない女

16/06/28 コメント:0件 雨宮可縫花

 杉浦が週刊誌の記者になって十年になる。ここ最近は特に忙しかったが、その仕事にもやっと区切りがついた。
 夜中の十二時過ぎ、二週間ぶりに自宅に帰ると、玄関の明かりは消えていた。妻の奈津美はもう寝ているのだろう。ほとんど一人暮らしのような生活をさせてしまっているが、それでも文句ひとつ言わない。
 シャワーを浴びて戻ると、暗かったはずのリビングに明かりがついていた。何やら、出汁の良い香りが・・・

5

蕎麦触れ合うも他生の縁

16/06/27 コメント:6件 あずみの白馬

 青森駅は、北海道への玄関口の座を新幹線の駅に譲り、三内丸山遺跡、白神山地への玄関口として大規模なリニューアルが施され、青森白神(あおもりしらかみ)駅として新たなスタートを切っていた。
 ホームにはかつて駅そばがあったが、その場所にはコンクリートの土台だけが残されていた。それを見ていると、あの日の想い出が蘇る……

――15年前

 貧乏旅行を終えた北海道への帰り道、・・・

0

ぼそぼそ

16/06/26 コメント:0件 素元安積

 私は蕎麦みたいにぼそぼそ。髪も、顔も、もはや心も。

 こんな私だって、みんなのようにつるつるとしていて自然と喉を通って、皆の中に溶け込める存在になりたいよ。

 でも、この姿も心も変えられそうに無く、私はずっと蕎麦のままで……。

「蕎麦だって、ツルツルで喉越しの言いものがいっぱいあるし、仮にぼそぼその麺だって、それはそれで美味いんだよ?」

 ・・・

2

ミッドナイトごん兵衛

16/06/25 コメント:0件 まきのでら

ごん兵衛が食べたい! それもテンプラの乗った赤いヤツだ!
真夜中だった。唐突にそう思った私はまるで進んでいない原稿に目をやり、すぐに見なかったことにしてPCを閉じた。

気分転換も必要だしな! 

しかし、最寄りのコンビニにはなく、少し歩いて二〜三軒回ってみたが、置いてなかった。
こんなことってあるだろうか?
赤いごん兵衛である。インスタント蕎麦の代名詞で・・・

2

蕎麦の実の生る頃

16/06/25 コメント:2件 日向 葵

 私は蕎麦屋の一人息子である。物心ついた時から母はおらず、気付けば蕎麦を打たされていた。それもあの親父の影響だろう。絵に書いたように無口な親父は、蕎麦を打つことでしかコミュニケーションをとらない人であった。私の蕎麦打ちを後ろから眺め、「まだ緩い」だの「太すぎる」だのと吐き捨てるように言う。幼い頃は文句も言わず蕎麦を打っていた私だったが、小学校を卒業する頃になると反発することが多くなった。田舎のおん・・・

2

手から蕎麦が出せます

16/06/24 コメント:0件 海見みみみ

 私の息子、縁(えにし)は変だ。つい最近五歳の誕生日を迎えた縁。そんな縁には他の子供と大きく違うところがある。
 手から蕎麦が出せるのだ。
 丼さえあれば、蕎麦をいくらでも出す事ができる。それもツユと一緒にだ。
 これだけ聞くとのほほんとして「面白いじゃない」と言われるかもしれない。
 冗談じゃない。手から蕎麦が出せるなんて異常だ。普通の人間ではありえない。
 我が子・・・

1

蕎麦がゆの味

16/06/23 コメント:1件 かめかめ

 幸代の子ども時代は空腹の記憶である。戦後間もなく生まれた幸代の家は貧農で、食べるものはかろうじて自足できたが、子ども五人の大家族、腹を満たすというには程遠かった。
 父がGHQの仕事を始めたのは幸代が四つの頃。貧しさの中でも幸代の父は飲む・打つ・買うの放蕩を続け、母が屑拾いをして稼いだ金でなんとか糊口をしのいでいた。そんな家に突如として米兵がわんさと押し寄せた。父が仲良くなった米人を見境な・・・

2

すべてがEになる

16/06/23 コメント:3件 alone

ガチャン――と玄関ドアを閉めて、鍵をかけた。
振りかえると、短い廊下が唯一の部屋へと続く。右手にはトイレと浴室のドア、左手には廊下に沿ってキッチン。まだ何も置かれていない調理スペースがくすんだ銀色に鈍く光っている。
居住者のいなかった時間が埃っぽさとなって室内の空気に含まれていた。そこに今しがた帰った引っ越し業者の汗のにおいがかすかに混じっている。
換気しよう。そう思って廊下を進・・・

2

マキくんと私

16/06/22 コメント:2件 ノベ・ツムギ

「そのお蕎麦を食べると、溶けますよ」

 絵具が干乾びたような赤い唇に、白い山芋を纏った蕎麦が耳障りな音をたてて吸い込まれていった。咀嚼し、私に一瞥をくれ、意味もなく汁をかき混ぜて、そっけなく義母は言った。

「いいから、早く食べなさい」
「いただきます」

 一周忌の帰りに蕎麦屋へ寄った。去年、納骨を済ませたあと入った店とは違う。道を変えたからだ。去年は・・・

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もりそば

16/06/22 コメント:0件 林一

 クイズ好きの太郎は、一週間後に視聴者参加型クイズ番組の出場が決まっていた。
 本番に向けて勉強をしていた太郎は、お腹がすいたため、近所の食堂へと出掛けた。
(今日はそばにしようかな。そういえば、もりそばとざるそばの違いはのりがあるかないかである、ってこの前勉強したけど、どっちのそばにのりがあるんだか忘れちゃったな。試しにもりそばを注文して、確認してみるか)
「すみませーん。もり・・・

0

力そば

16/06/22 コメント:0件 林一

「美代ちゃん、明けましておめでとう」
「おめでとう千代ちゃん」
「お正月は何してたの?」
「お正月は家でずっとゴロゴロしてたわ。テレビ見て力そば食べて、昼寝して力そば食べて、みたいな感じだったかな」
「えっ? 力そばって何?」
「そばに餅入れた奴だよ。お正月と言えば力そばでしょ。食べないの?」
「年越しそばは食べるけど、お正月に、しかも力そばなんて食べたことない・・・

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異界より来せり蕎麦

16/06/20 コメント:0件 秋澤

私は麺が好きだ。パスタもラーメンもうどんも好きだ。だがその中でも群を抜いてそばが好きだ。愛していると言っても過言ではない。鼻に抜ける香ばしい匂い、ちょうどいい太さ、つるつるとした喉ごし。どれをとっても最高と言わざるを得ない。そばにもいろいろと食べ方があるが、その中でも私の一押しはざるそばだ。薬味は葱、海苔、生姜、、少しの山葵、これだけでいい。

駅前大通りから一本入った通り、そこに小さ・・・

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花と蜜蜂

16/06/20 コメント:0件 各務由成

 鶏小屋の中、右手には、だらりと体が伸びた鶏の首。
 立ち尽くす横顔は冷ややかで、淀んだ嫌悪が滲んでいる。
 栂野がはっと、こちらを見た。見ながら、ぶら下げていた鶏を両手でそっと抱いた。泣き出しそうな、沈痛な面持ちで。さっきの横顔とは別人だった。動揺をぐっと抑え、金網越しの栂野に声をかけた。
「どうしたんだよ」
 あの、仄暗い表情は何だった? 俺に気づいて巧く隠した、そんな・・・

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蕎麦屋の前で、すこし後悔する

16/06/20 コメント:0件 KOUICHI YOSHIOKA

蕎麦屋の前でほどけた靴ひもを結ぶと春の日差しが背中にあたる。
水路の水は輝いて、浮いた水草の下でメダカの群れが泳いでいる。
麻でできた蕎麦屋の暖簾はやわらかな風に揺れ、黒塗りの壁をまえに雲が流れているよう。
立ちあがった彼は両手をひろげて背伸びをするが、通りには誰も居ず、野良猫だけが欠伸をしている。
「おいで」と、言って手招きしてみるが野良猫は知らん顔。
向かいの家の・・・

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お洒落なそば屋(売れるとは言っていない)

16/06/19 コメント:2件 ネコライオン

 「あ、今日からうちの蕎屋名前変わったからそこんとこよろしくな」
 土曜日の朝。起きて店の手伝いをしようと思った途端親父が突然言い出した。
 「とりあえず今日から名前なんなの?」と俺は聞いた。
 「ソバーバックス」と親父はとんでもなくダサく、かつどこかで聞いた事ある若者御用達の某コーヒーショップを模倣したような名前を口に出した。
 「ソバーバックス!??」俺はもう一度確認し・・・

2

定食屋さん

16/06/19 コメント:0件 イルカ

 朝の六時、新鮮な空気で少し肌寒い、友達と飲んでこれから家に帰るところだ。
駅を出ると急に空腹を覚えた。
この時間じゃ、どこも無いだろうと思っていたら、駅前に定食屋さんが開いているのを見つけた。

 自然に足がお店に向かった。
中に入ると、客でいっぱいだった。
 客は、みんな温かい蕎麦を食べていた。
席について、何を食べようかと、壁に貼ってあるメニューを見・・・

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空想

16/06/18 コメント:0件 猫野まち

 こんなことを考えていた。
 今俺が食べているこの蕎麦の一本が突然口を利けるようになり、そして泣き始めるのだ。お願い、お願いだから食べないで、と。仕方なしに箸を置いてふうーっと目を瞑りため息をつく。そして目を開ければそこは先ほどまで賑わっていた蕎麦屋でなく、壁が全面金箔で覆われた城が立ちはだかっている。どういうことだと辺りを見渡そうとすると横にはこれまで見たこともない絶世の美女が!そして彼女・・・

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飲み干せ、蕎麦湯

16/06/18 コメント:0件 想。””

至って静かなお昼時。

最近はお暑うございます、なんつってじゃあ、昼飯はざる蕎麦があったら言う事ないんじゃないかしらん?と思いながら、お湯が沸くのをじっくりと待つ。

なんたって今日は休日なのだ。存分にメタボ腹で飛べない羽を休めることが出来る。

やがて沸騰した湯に蕎麦をゆっくりと入れる。
なんたって今日は休日だから。ゆっくりゆっくり。

だが・・・

1

おかめそば、笑うまで

16/06/15 コメント:0件 黒川

「ちょっといいですか」
 その声に僕はぱた、と足を止める。笛を鳴らすように澄んでいて、どこか繊細な声音。客が店員を呼ぶ、ただそれだけのことなのに何故か印象深く感じた。振り返ると、ここらでは見慣れない女性が品書きをテーブルにそっと置くところだった。

「おかめそばは、何が“おかめ”なのでしょうか」
「ああ、具の配置がね。おかめなんですよ」
「具の配置が」
 かみし・・・

1

傍屋

16/06/14 コメント:0件 j d sh n g y

 須野 香(すの かおり)は同僚の渡辺千嘉(わたなべ ちか)と帰宅中、立ち喰い処傍屋に立ち寄った。

 傍屋は彼女たちの降りる駅のすぐ前にあり、値段も格安なのでたまに暖かな提灯の誘惑に負けてしまう。

 この店は一応居酒屋ではあるのだが、看板メニューはやはり蕎麦だ。

 出汁のきいたつゆに浮かぶほそくしなやかな麺。丼からうっすらとのぼる湯気。

 シ・・・

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バースデイ・ソバ・サプライズ

16/06/14 コメント:0件 しーた

 誕生日、なんでもいいからサプライズして欲しいっ!
 幼馴染の男子と並んで夕暮れの土手を歩きながら、私はそう切り出した。
 今日学校で友達が、誕生日に彼氏にサプライズしてもらったと嬉しそうに惚気ていた。
 だから、自分もされてみたいと思った。
 しかし自分には彼氏なんていなくて、さて誰に頼もうかと頭を捻って、そもそもこんなことを頼める男友達なんて隣を歩くこいつくらいしかいな・・・

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屯所前の蕎麦屋

16/06/13 コメント:0件 W・アーム・スープレックス

目的の場所はもう、目と鼻の先だった。
あそこに新撰組屯所があるのだ。
三五郎は目を輝かせて屯所への道を歩いていた。
どこからか流れてくる匂いに、彼は鼻を鳴らした。村を出てからここまで、夢中で歩いてきた。その間、川の水をのんだきり、なにも腹にいれてなかった。
石垣の角に屋台が出ていた。暖簾に、蕎麦の文字がくっきりみてとれた。
たまらず三五郎がちかづくと、すでに2人の先客・・・

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長蕎麦コンテスト

16/06/12 コメント:0件 yoshiki

 時は元禄元年 将軍が綱吉の時代。蕎麦が大好きな下総の大名が、とんでもない御触れをだした。
 長い蕎麦をつくる事。より長い蕎麦を打った者には褒美を与えるという、風変わりな触れ書きが高札に表示された。
 それを知った下総の庶民が、お上に聞こえないように愚痴をこぼした。
「いや、まいったねえ。いったいお上は何を考えていなさるのか、お犬様の次は長い蕎麦かよ、さっぱりわからねえ」
・・・

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ぽんちゃんとたぬき蕎麦

16/06/12 コメント:2件 KOUICHI YOSHIOKA

 引越し蕎麦をもって隣に挨拶にいくと、金髪の女が出てきて、蕎麦を見るなり笑いだした。
「あら、ちょうどお蕎麦を食べていたところなの。狸蕎麦をね」
 金髪女の口調に嫌みはなく乾いた笑い声は緊張していた青年の気持ちをほぐした。
 この春社会人になったばかりの青年は田舎を離れ初めての一人暮らしだった。田舎の母からは、引っ越したら隣近所にはお蕎麦を配りなさい、と行きつけの蕎麦屋から買った・・・

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麺クエスト

16/06/11 コメント:0件 福沢遊

顔が痛くて目が覚めた。

冷たい風が、肌を刺す。
僕は森の中にいた。


確か、僕はビールとスルメを片手に、一人寂しくテレビを見てた気がする。
仕事でミスをした僕は、恥ずかしくて辛くて、消えてしまいたい思いをした。
誰かに言い訳や自己嫌悪もできなく、とにかくヤケになっていた。

ここはどこだろう。
最後の記憶は、6本目のビールを開け・・・

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恐るべき憧れの蕎麦!!

16/06/10 コメント:4件 天野ゆうり

夏と言えば?
『ざるそばー!!』
年末と言えばー?
『年越し蕎麦ー!!』

はい、これは、とても一般的な答えですよね?

それから、私が大好きな軽井沢を含む、信州と言えば……お蕎麦ぁっ!!

100点満点の答えです。

だがしかし、ここに、1つ大きな問題があるのですよ。
え?ご存じないですか?

そう、【蕎麦アレル・・・

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蕎麦のち妄想

16/06/10 コメント:0件 水面 光

蕎麦は惨めとか哀れの代名詞。できることならそれが私だけのことであってほしい。私がそう思うようになったのは三十路もそろそろ店じまいかという人生の折り返し地点にさしかかったときのことだ。あのときの光景を忘れてなるものかと思いはするが薄れゆく記憶をたどった代償はたいてい虚しさや無常観に支配されるだけのことで、それがもし人の死を受け入れるということであるなら私はあと何度くそいまいましい悪夢を見ねばならない・・・

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母の年越し蕎麦

16/06/09 コメント:0件 待井小雨

 年老いてから、母の喉は食べ物を通しづらくなった。
 硬めに炊いたご飯をおかずと一緒に口いっぱいに頬張るのが好きな人だったのに、もう何年もおかゆのようなご飯を食事にしている。
「今日は……どうかな」
 味見をした物をベッドの母に運ぶ。自宅で二人、暮らしていた。
 おかずも柔らかく煮込んだ物が増えた。歯応えを楽しむ食事はもうとれない。喉につかえてしまえば命にかかわる年齢になっ・・・

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蕎麦はやっぱり春だよな

16/06/09 コメント:0件 素元安積

「んま、春蕎麦」

 彼女は、心から嬉しそうに蕎麦を啜る。

「蕎麦は春じゃ無いんじゃねぇ?」

 他人の考えなんて様々だが、大抵蕎麦が上手いのは気温の高い夏の日か、一年を迎える間の年越しなのでは? と、俺は思っている。

 俺がつっこんだところで、彼女は気にせず蕎麦を啜る。

「蕎麦はやっぱり春だよな」

 彼女は言った。<・・・

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もう一軒寄ってきますか

16/06/08 コメント:0件 つつい つつ

 繁華街は金曜日の夜だけあって人通りも多く、がやがやと賑わっていた。同業者グループの懇親会に参加した敏彦達四人は、この後どうしようかと悩んでいた。
「ちょっと歩いたとこに、いい蕎麦屋があるんだよ」
 ベテラン社員の松田が提案すると、同じくベテランの林が不満気な顔で言い返す。
「蕎麦って、昼飯じゃないんだから」
「いやいや、一品料理も揃ってるし、たまには蕎麦で一杯なんてのもい・・・

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着信音

16/06/08 コメント:0件 W・アーム・スープレックス

蕎麦に関する話で、まっさきにおもいだすのはやっぱり、加代という名の昔つきあっていた女のことかな。最近やたら外人っぽい容姿の女性が多い中で、加代はめずらしく純日本風の顔立ちをしていた。どことなくあんたにも似ているかな。
ある夜、彼女と二人で部屋にいるときいきなり『ずるずる……ずるずる』と言う音が聞こえだした。
最初きいたときは、なんの音だと眉をひそめた俺だったが、彼女がバッグから取り出し・・・

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森のおばあちゃん

16/06/08 コメント:2件 こぐまじゅんこ

 森に、ひとりですんでいるおばあちゃんがいました。
 おばあちゃんは、ひとりだったけど、さみしくはありませんでした。
 森のなかまたちが、しょっちゅう、あそびにきてくれるからです。
 おとといは、リスさんがきて、いっしょにおしゃべりをたのしみました。
 きのうは、クマくんが、やってきました。
「おばあちゃん、いっしょに、おどろうよ。」
 クマくんと、おばあちゃん・・・

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蕎麦… かもしれない

16/06/07 コメント:0件 yoshiki

 宇宙人が言った。
「これはいったいなんだ?」

 ここは地球から遠く離れた惑星。
 遠方に変わった形の山々がそびえ立ち、奇妙な建造物が都市を形づくっている。その中央の広場に複数の宇宙人が集まっている。その容姿については詳しく書かない事とする。なぜって読者が気分を害するといけないから。
 ともかく、そこに提出されたものは地球から持ってこられたものだ。彼らの探査船は何回・・・

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いつも貴方のそばに

16/06/06 コメント:0件 永春

 読んでくれてありがとう。貴方がこれを見ている頃には、きっと私はもうこの世にはいないと思うけれど。悲しまないで、少しだけ私の話を聞いて欲しい。

 私はすごく田舎の育ちで、都会の貴方に出会うまではたくさんの工程があった。どこ出身だと思う? 長野の山の中って言ったら、笑われちゃうかな。でも、出会ったのが都会だからって貴方が都会の人とは限らないよね。もしかしたら貴方も田舎育ちなのかも。ごめ・・・

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怪獣ソバ屋

16/06/06 コメント:0件 笛地静恵

 銀色のがいこつが、ソバをすすっている。夜泣きソバ屋。骨の上を赤い血が流れている。赤ちょうちんの、ろうそくの火がまるい。ソバは、どろどろにとけた怪獣たちだった。はしでつまんでいる。骨の口に入れている。
 ずぞぞぞぞ。
 すすりこんでいる。かんではいない。まるのみにしている。ぞっとする。
 しろがねの眼窩にともった陰火。悦楽をしめして光っている。殺すことを楽しんでいやがる。ソバの汁・・・

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渾身の一杯

16/06/06 コメント:2件 蹴沢缶九郎

蕎麦屋の店主は日に日に遠退く客足に頭を悩ませていた。決して蕎麦の味が悪い訳ではなかったのだが、近頃の舌の肥えた客達には物足りなかったのかもしれない。

このままではダメだと、店主は蕎麦の研究に取り掛かる。それまで築いてきたものを全て捨て、ゼロからのスタートである。世代、客層に好まれる蕎麦の統計を取り、日々様々な店を食べ歩き、蕎麦の麺に合う粉や汁、具材との相性、それらを作り上げる工程を研・・・

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メドゥーサの目薬

16/06/06 コメント:0件 Fujiki

 待ち合わせのそば屋に着いてみたら、悪魔は既にソーキそば定食を食べているところだった。午後にもアポがいくつか重なっているので先に注文することにしたのだという。さっそく差し出した署名済みの契約書を書類かばんに入れた悪魔は、小さな瓶をテーブルの上に置いた。
「目薬があるからといって、あんまり目を酷使したら駄目だからね。昔ある哲学者が言ったみたいに、あなたが深淵を覗き込む時、深淵もあなたのことを覗・・・

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