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  2. 第110回 時空モノガタリ文学賞 【 雨 】

第110回 時空モノガタリ文学賞 【 雨 】

今回のテーマは【雨】です。

恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

時空モノガタリ賞発表日:2016/07/18

※同一投稿者からのコンテストページへの投稿作品数は2〜3作品程度とさせていただきます。
※R18的な暴力表現・性描写はお控えください。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。ダーツ

ステータス 終了
コンテストカテゴリ
投稿期日 2016/05/23〜2016/06/20
投稿数 115 件
賞金 時空モノガタリ文学賞 5000円 ※複数受賞の場合あり
投稿上限文字数 2000
最大投稿数
総評 総評

入賞した作品

3

雨樋エイトビート

16/06/09 コメント:4件 まきのでら

雨が降ると心が踊った。

それは物心ついた時には既にあった感情だった。
僕の部屋のある二階の窓辺には、ベランダとまでは言わないが、ちょっとした出っ張りがあり、壊れた雨樋からはその日の雨量によっては結構な量の雨水がこぼれ落ちていた。
ある日、些細な理由から両親に叱られた僕は自室にこもって隅っこのほうで泣いていた。
その日も雨がジャアジャア降っていた。
不意に、雨樋・・・

6

友達に会える日

16/05/29 コメント:6件 つつい つつ

 把空薔薇(バーバラ)ちゃんはいつものようにお気に入りの絵本を寝そべりながら読んでいます。そこには、クジラ、サメ、イルカ、ジュゴン、アザラシ、セイウチ、トドなどの海の生きもの達の写真や可愛いイラストがたくさんのっています。その中でもバーバラちゃんは特にイルカさんが好きです。いつかイルカさんと仲良くなって、いっぱいいっぱい遊びたいなって思っています。
 バーバラちゃんは、すくっと立ち上がるとリ・・・

4

斎藤にまつわる、いくつかの存在証明

16/05/27 コメント:2件 秋吉キユ

「雨水って汚いんだぜ?」と、斎藤に言った。
 
俺の差すビニール傘が届く範囲では、とても斎藤を雨から守り抜くなんてできなかった。

びしょ濡れになった色素の薄い髪と肌を気にも留めず、斎藤は大きく手を広げて、唇を開いて。舌の上で跳ねる雨の粒を、慈しむように舐めた。
 
「それって美味いの?」
 
質問を重ねると、ようやく斎・・・

最終選考作品

4

アメーロンダリング

16/06/19 コメント:8件 にぽっくめいきんぐ

 私達は、地球の引力に引かれている。
 それを脱する人もいる。宇宙飛行士さんとか?

 引力は、物と物との間に、必ず存在する……らしい。
 私と、旦那と、息子の間にも。

 かつて私が惹かれた、あの人との間にも?

 私は今、小さな公園にいる。
 3人暮らしの2LDKのアパートから、歩いて5分ぐらい。
 でも今は8分位かかる。子供連れだか・・・

1

【スコップ男】

16/06/08 コメント:0件 KOUICHI YOSHIOKA

 スコップ男は雨が降ると庭を掘っていた。雨の降っている間は朝でも夜でも時間に関係なく庭の穴を深くしていた。
 都会でも田舎でもない新興住宅街の真ん中に、スコップ男が引っ越してきたのは半年前の冬である。同じような二階建ての建売住宅が立ち並ぶこの地域には古くからの住人はおらず、皆新しく越してきた者ばかりで、他人の生活に干渉するものはいなかった。
 庭に穴を掘りはじめた当初は誰一人興味を示す・・・

7

駅の雨傘

16/06/05 コメント:2件 雨宮可縫花

「実樹ちゃん、傘を持っていってね」
 朝食を食べていた実樹に、洗い物をしていた母が明るい声で言う。
 流しの片付けが終わると、母は洗濯物を干しに二階のべランダへ向かった。それから新聞を取りに外へ出て行く。
「午後から雨みたい。傘、忘れちゃダメよ」
 戻ってくると、天気予報の欄を見ながら実樹に念を押した。
 玄関で見送るときも、母はあれこれと実樹の心配をする。
「・・・

2

【燃える雨】

16/05/30 コメント:0件 KOUICHI YOSHIOKA

 午前0時を過ぎて車で帰っていると、大雨の中を小学生の女の子が傘もささずに立っていた。
 道の真ん中で赤いランドセルを胸に抱いてずぶぬれになるのも構わず道を塞いでいる。
 急ブレーキをかけて止まった車から降りてきた男は、女の子に駆けより「大丈夫か」と、声をかけた。
「お家が燃えたの」と、女の子は目を赤くしながら呟いた。
「火事か、どこかで家が燃えているのか」
 男の問・・・

8

雨音の檻、震える熱

16/05/28 コメント:6件 クナリ

 私の通う高校の、屋上へ続く扉の前の踊り場は、強い雨が降ると雨音がやかましく響く。
 屋上への扉は施錠されているので、ここに来る生徒は滅多にいない。せいぜい私と、同級生のミカワだけだった。
 休み時間に教室にいたくない私にとってちょうどいい逃げ場所が見つかったと思ったのに、こともあろうに同級生の男子とハチ合わせことになるとはと、胸中で舌打ちした。まあ別に嫌な奴ではなかったので、居心地が・・・

3

傘で空を飛ぶ

16/05/23 コメント:4件 Fujiki

 台風八号の強風は絶好の機会である。放課後、次第に勢いを増していく風雨から逃げるように他の生徒が下校していく中、翔吾はクラスメイトの博文と運動場の朝礼台に立っていた。二人の手には雨傘が握られている。翔吾がこの日のために用意した傘は六八〇円のセール品だったが、おろしたてである。
 風の強い日に傘で空を飛ぶ実験をするつもりだとおそるおそる打ち明けた時、博文は二つ返事で一緒にやろうと言ってくれた。・・・

投稿済みの記事一覧

6

雨菓子

16/06/20 コメント:5件 宮下 倖

 
 雨季が終わり、街に大きな市が立った。
 馬車が横に三台も並べるほどの幅の大通りは、人々の熱気と喧騒に包まれている。陽光に晒され埃っぽくなりつつある通りの両側には、さまざまな売り物を積み上げた商人たちが呼び込みの声を張っていた。

 他国へ向かう交通の要所、また交易の要であるこの街には旅人の姿も多い。
 市の外れで、この南の地には少々そぐわない厚着をした若い旅人が・・・

1

耳の仇討ち

16/06/20 コメント:0件 むねすけ

雨降る夜に月は半月。
月の甘やかな光に照らされて、
堀の川面に影落とす柳が、
今生の手下に一匹の魚を追う時分時。

夕餉を済ませた侍が一人、
手酌の晩酌あおり終えてごろ寝の板間。

目の端で格子の隙間より、雨の落ちるを見つめていた。

「雨は命の牢獄か」

思い起こすは亡くした妻との時間のことばかり。

天に溢れし・・・

0

屋上警備太一

16/06/20 コメント:0件 むねすけ

「屋上警備隊、番号!イチ!」
ニ、サン、
聴こえないな。
「二番三番はどーした?」
比較的多忙な仏教僧が昼の公園のベンチでランチパックを食べる様子を、
デジタル一眼で撮影すること、そっちを優先する?
なんだそれは、それは、
ルビも注釈もない古い時代の小説のように、傾けても意味をくみ取れないモノイイは。
もういい、隊長一人でゆけとゆー、上からの伝令だ、・・・

6

雨に濡れれば

16/06/20 コメント:9件 光石七

 時々、無性に“渇き”を覚えることがある。のどの渇きではない。のどの渇きなら、水なりジュースなり何か飲めばおさまる。そうではなく、体全体、細胞一つ一つが“潤い”を渇望している感じなのだ。夏の暑い日に経験する、体から水分が抜けて干からびそうな感覚と似ているようで全く違う。季節や天候、時間帯、場所などは関係ない。肌から“潤い”を浸透させたい気がするが、化粧水をつけたところで“渇き”はおさまらない。お風・・・

2

雨女と呼ばないで!

16/06/20 コメント:2件 泡沫恋歌

 ああ、また雨に掴まってしまった。
 私が外出すると決まってそうだ。特に梅雨時には必ず雨と遭遇する。さっきまで晴天だった空が、いってん俄かに掻き曇り、雷鳴とともににわか雨になった。傘を持っていても何の役にも立たない。しかたなく軒先で雨宿りをする破目になった。
 ――またかと溜息を吐いて空を睨む。
 子どもの頃から大事な行事の日にはたいてい雨が降る。遠足、運動会、旅行、そして……デ・・・

1

酸としての雨

16/06/20 コメント:2件 タック

粒としての雨が海を打ち、砂浜を打って、先輩を打ちつけていた。
先輩は傘を差すこともなくしとどに濡れそぼって立ちすくみ、長く美しい髪を背中や肩に張りつけて、直線に海を見続けていた。
紺の制服と黒髪は調和し、制服と一体化した肢体は、一つのそそり立つ思考のようにも窺えた。雨に濡れたまま砂浜に佇む女子生徒という構図は感情を惹起させるには十分な様相を持ち、傘の下、微動だにしない先輩に、背後から声・・・

5

砂礫の花

16/06/19 コメント:7件 冬垣ひなた

 途切れぬ雨音が、鼓膜を叩く。
 砂漠の国サフィヤにも雨期はやってきた。
 太陽に打ちひしがれる民も、この時ばかりは家から駆けだして服と髪を濡らし、仕事を放り出し肌をさらして踊る。
 シャン、シャン!
 鈴の音を高く低く奏でると、澄んだ歌声は空に波紋を描くように響き渡る。
 そこには、雨と交じりながら歌い、練り歩く巫女イゼッタの姿があった。
 天が裂けたような激・・・

1

狐と嫁入り

16/06/19 コメント:0件 奈尚

 幼なじみのササメは、ひどい雨女だ。
「やっぱり、雨になっちゃったね」
 激しく窓を叩く雨を眺めながら、私は笑った。隣でササメはひどく申し訳なさそうにしている。
「私を呼ばない方がよかったんじゃない。せっかくの結婚式なのに」
 そう、結婚式。主役の私は白無垢に身を包み、式の開始を今か今かと待っている。けれど今、私が気にかけているのは、式とは全く別のことだった。
「馬鹿・・・

1

十月十日

16/06/19 コメント:2件 OSM

 十月十日も降雨がないので、川は涸れ果て、大地はひび割れ、草木は枯死した。
 十か月以上も雨が降らないって、やばくね? 飲み水の貯えもぼちぼち底を突きそうだし、いい加減なんとかしないと、流石にまずくね? どうするよ?
 村人たちは膝を突き合わせて話し合った。出された結論は、

 そうだ 雨乞い、しよう

 というものだった。
 自らの強い希望で実行委員長に・・・

1

最初で最期であってほしい、雨。

16/06/19 コメント:0件 柚缶。





 ーーそれは初めて、雨に濡れた街がとても綺麗だと思った夜。

「わぁ、輝いている!」


 そして、綺麗はとても残酷だと、思った日。





「うわー……雨だよ、最悪」

 大雨警報が出され、雨に濡れ帰路につくことを覚悟しながら職場から出た。地元から離れているとはいえ職場のあたりも警報地・・・

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赤いアジサイ

16/06/19 コメント:1件 山上 太一

日曜日の朝、僕がリビングで少し遅めの朝食をとっていると、ルームメイトの相川が寝室から出てきた。
「今日も雨か。嫌になるな」
イライラした様子で相川が呟く。気象庁が梅雨入りを発表してから一週間、雨はほとんど降りっぱなしで、雨の嫌いな相川の機嫌は日に日に悪くなるばかりだ。
「そんなこと言ってもしょうがないだろ」
「とにかくこの音がうるさくてかなわん、気が滅入って来る。これだけで・・・

1

雨の日の魔法使い

16/06/19 コメント:1件 相崎リオ

 昔、魔法使いと一緒にいた。今は別の魔法使いと暮らしている。
「シュウくん、今日は駄目だよ。雨が降るよう」
洗濯物の準備を始めていた僕に、起きてきたばかりのヒカリは笑う。彼女は雨が降ることを言い当てる魔法が使える。昔よく一緒にいた魔法使いのお姉さんもそうだった。今から思えば、あのお姉さんも気圧の変化が分かる人だったのだ。ヒカリと同じように。
「頭痛くない? 大丈夫?」
「ん・・・

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雨音が運ぶ手紙

16/06/19 コメント:0件 川村 誠

 土曜日の朝、午前7時に目を覚ました向井は、起きるとすぐにカーテンを開けて天気を確かめた。このところ、週末は雨の日が多い。向井は昨晩から枕元に置いておいた生ぬるいペットボトルの水を飲みながら、部屋の窓を少しだけ開けた。そして、雨音を聞き、生ぬるい雨の匂いを嗅ぐ。向井はニュースで天気を確認すると、簡単な朝食をとり、読みかけの小説を読むことにした。どうせ今日は一日雨なのだろう。雨の音を聞きながら、本を・・・

1

やらずの雨だし今日も俺はハロワに行かない。

16/06/19 コメント:0件 れいぃ

あー。
雨だ―。
朝起きてすぐに分かった。
ざあざあ、ばらばらいう音が鼓膜を連打する。
ニート歴三年、ひきこもり歴四か月の俺はまた、布団を頭上までひっぱりあげた。
最近雨続きで干していない布団はちょっとくさい。
でも人間の鼻は同じにおい嗅ぎ続けるとそのうち麻痺してくるらしいから、大丈夫だ。

二十三歳でブラック企業をやめてから仕事をする気力もなく、俺・・・

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予想

16/06/19 コメント:0件 猫野まち

 「太陽の匂いがする。今日は快晴かも」
 「何それ?そんなのしないよ。・・・ほら、いつもと何も変わらない」
 「するって。なんていうのかな・・湿った感じの・・あー、わかんない」
 「まあなんでもいいんだけどさ。で、どうするの。」
 「僕は欲しいと思ってるけど、亜美はどうなの?」
 「・・・分からない。産みたいけど、産みたくない」
 「うん、もうちょっと悩んだらい・・・

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晴耕雨読

16/06/18 コメント:0件 想。””

晴耕雨読という四字熟語がある。
「雨」と聞いて、真っ先に思い浮かんだのがこの言葉だった。

理想の生活であると、私は思うのだよ。
だってね、生業に就かずにのんびりと過ごせるのだから。最高過ぎて、これ以上に求めるモノなら、私はその人に「じゃあお前はこの絡みに絡み合った現代社会の中で生きていけるのか?」と問い詰める意地悪をするだろうな。いやね、もう本当にそうしたい。

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雨降り男の噂

16/06/18 コメント:0件 いたる

「なあ、雨降り男の噂知ってるか」
僕が真剣に読書に耽っている最中に一馬が僕と本の間で手をヒラヒラさせながら話しかけてきた。
「知らないよそんなの。興味ないし」
「本の虫、物知り博士くんの大地なら知ってて当たり前だとおもったんだけどなーあ」

 正直鬱陶しい。一馬は数少ない友人だが自分の思った事はすぐ口に出すタイプで、時折僕が集中してることも気にせず喋りかけてくることが・・・

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雨宿り

16/06/18 コメント:0件 幸田 玲

 研修場のビルを目指して、夕方の目抜き通りを足早に歩いていると、雨のしずくが田崎の頬に当たった。空を見上げて「やばいな」と思ったら、雨がぼとぼと降り始めた。
 周辺にコンビニがなかったことを思い出し、田崎は舌打ちをした。
 どこかで雨宿りをするしかない。
 とっさに見渡すと、近くの緑色のオーニングテントが目について、その中に入った。そこは、花屋の入口になっていた。
 両開き・・・

2

温かい雨

16/06/18 コメント:0件 飛鳥永久

「雨って温かいよね」

今朝、登校して席に着くなり隣の席の天野君が唐突にそんな事を言い出し私は目を丸くした。

――何を言ってるんだろう

天野君は、この春に中学生になって同じ学校になった。どうやら彼は小学生の時から変人と言われているらしい。
彼のそんな噂を耳にしつつクラスでも浮き気味だった事は知っていたが、あまり関わりがなかった為にその理由が分からずにい・・・

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蛍日和

16/06/18 コメント:0件 2121

今年は蛍が見れなかったなぁ、なんてことを思う。
雨の止んだ直後。蛍を見るには絶好の条件は揃ったが、時期が違うならそれも意味をなさない。
少し残念に思いながら、立ち止まり、川を眺める。
水の音。
風の音。
葉の擦れる音。
――光。
「蛍」
いや、違うか。
濡れた景色。葉に吊られた水が、光を反射しただけ。車のライトにでも照らされて光ったのだろう。<・・・

2

「私はあなただけを見つめる」

16/06/17 コメント:0件 ねこち

泣かないで。
泣かないで。

うなだれ、地面を見つめないで。
真っ直ぐに背をのばし、太陽を見上げる、あなたが好きだから。

きっとあなたは気づかない……、わたしの淡くて青い想いに。
きっとあなたに映らない……、小さな小さな、わたしの姿は。

けれど、それでもかまわない。
凛とした、あなたこそ、わたしにとっての太陽だから。

<・・・

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No.Rain  No.Pain

16/06/17 コメント:2件 そらの珊瑚

  雨の日は嫌いだと彼女が云う。雨が降ると肋骨の古傷が傷むのだそうだ。

 古傷が傷むだなんて、まるでボクサーみたいじゃないか。
 原因は、DVだった元カレに殴られて肋骨にヒビが入ったとか、ある日急に死にたくなってアパートの二階から飛び降りてやっぱり肋骨にヒビが入ったとか、色々だった。
その真偽について確かめようもないのだが、いくぶん彼女は虚言癖があるのではないかと僕は日ご・・・

2

雨やどり

16/06/17 コメント:5件 美汐

 雨が好きなものもいれば、嫌いなものもいる。
 ぼくはどちらかというと雨が好き。彼女はどうだかわからないけど。
 彼女はいつも、とても美しい衣装を身にまとっている。ふんわりと柔らかそうな紫色のドレス。
 ぼくはそんな艶やかな彼女に一瞬で恋に落ちた。
 彼女が一番美しく見えるのは、朝の光を浴びたとき。キラキラと輝いて、とても素敵なんだ。
 今日は雨の朝。いつも輝かしい朝・・・

2

五つみ地蔵 ── 刑事 : 百目鬼 学(どうめき がく) ── 第23話

16/06/17 コメント:2件 鮎風 遊

 雨が続けば、五つみ地蔵に参れ!
 なぜなら、人の不幸の源には五つの『み』――うらみ、つらみ、ひがみ、ねたみ、そねみ、がある。
 賽銭を上げて拝めば、五つの『み』は霖雨(りんう)に流され、あとに五つの『い』が表れる、つまり嬉しい、楽しい、気分がいい、ありがたい、そしてハッピーい――になること間違いなし。

「ハッピーい? なによ、巫山戯てるわ」
 町を流れる鶯川を上流・・・

2

 雨の日のブティック

16/06/17 コメント:0件 KOUICHI YOSHIOKA

 雨の日のブティックは客がこない。街路樹の生い茂る通りに店を開いて三カ月が過ぎた。固定客も僅かながら付きはじめ、まだ赤字ながら先の見通しが明るくなってきたところだ。
 昨日の夜から降りはじめた雨は今日の午後になっても降り続いている。雨は通り過ぎていく車の窓を打ち、街の景色を白い夜の色に染めている。欅の葉に叩きつける雨の音がどこか悪戯な子供の声のように響いている。
 恵子は開いた硝子のド・・・

1

雨の名前

16/06/17 コメント:1件 雨宮可縫花

「何んていうんだっけ」 
 背広についた雨滴をはらいながら、上司の斎藤が言った。
「なにがです?」
 私は顔や髪をハンカチでぬぐいながら問い返した。
 ふたりで外回をしていた。予定が無事に終わり駅に向かっている途中で、とつぜん雨に降られた。曇ってきたなと思ったら、すぐに湿った匂いがして、どしゃ降りになった。
 あわてて、近くの商店の軒下に逃げ込んだのだった。 
・・・

0

自首願望

16/06/16 コメント:0件 nagan


――カロンコロン
 
外の天気とはあまり似つかわしくない爽やかなベルの音が響く。マスターはいらっしゃい、とだけ声をかけると、また手元に視線を落とした。カップを拭き続ける作業へと戻る。
 店内は薄暗い。ファンが二つ天井で回っているだけで、照明らしい照明は何もついていない。店先で心細く灯っていたランタンの灯と、覆っている窓ガラスから落とされる弱弱しい光だけ。
 紅茶・・・

0

瞼に、熱

16/06/16 コメント:0件 灰子



 湿気交じりの畳の匂いが鼻腔をつんと刺激する。
 窓の向こう側には鈍色の空が広がり、銀糸のような細く冷たい雨が天と地とを繋いでいた。
 こんな休日は、なにをする気にもなれない――大学の友人を呼びつけようかと一瞬だけ考えて、総介は小さくかぶりを振った。ただでさえ親戚の家に居候中で、肩身が狭い身の上だ。たとえば母屋にいる伯母が夫の留守をいいことに男を引き込んでいることを知っ・・・

3

袖振り合うも雨の縁

16/06/15 コメント:3件 そらの珊瑚

こんな雨の夜に、ビルの屋上にやってくるのは夜景フェチか自殺志願者の人間くらいなものではないか。今、向こうの手すりに手をかけて立っている人間は一体どちらだろうか。
「こんばんは」
 僕の言葉にふりむいた男の顔がぎょっとしていた。雨の音は足音も気配も消してしまう。
「あ、驚かせてしまってすみません。足、ありますよ。幽霊じゃないです」
 笑うとこなのに、見たところ三十がらみの男・・・

0

あかいコウモリさん

16/06/14 コメント:0件 嵐太郎

わたしは、あめのひがだいすきでよくいえのそとであそんでいます。 
そんなとき、いつもきているのがきいろいいろしたカッパさんです。
でも、コウモリさんはきらいなんです。

だって、あそぶときにじゃまだし、あたましかまもってくれないからきらい
でも、そんなわたしがコウモリさんをすきになるときがきました。

あるひ、かいものにいったときに、おかあさんがまっかなコ・・・

1

そらからのおくりもの

16/06/13 コメント:1件 胡蝶陽夜子

ぽつ ぽつ
ぽつ ぽつ
あめ あめ
ぽつ ぽつ

あめは どこからくるの
あめは どこへいくの
そらから ふってくるの
いたくないのかな

じめんに ぴちょん
くるまに ぴとん
たたきつけられて ほら
いたいって ないてる

だけど あめだから
ないても わからない
なみだも おんなじ
みず・・・

3

雨のよるには

16/06/13 コメント:0件 こぐまじゅんこ

「はるくん、なかなか、ねむれないみたいだねぇ。きょうは、雨がふっているでしょう。
雨の音をききながら、目をとじてごらん。雨のようせいが、ゆめのくにに、つれていってくれるよ。」
 おばあちゃんが、やさしく言います。

 二さいのはるくんは、そっと目をとじました。
 雨の音が、きこえます。
 ザーザー ザーザー
 雨は、はげしくふっています。

 ・・・

12

雨の妖

16/06/12 コメント:6件 石蕗亮

 テレビで和傘を見たら欲しくなってネットで調べた。中古で程良い値段の物があったので即決で購入した。
届いた傘を開いてみると結構な年代物で一部が破けていた。
 道理で安いわけだ。
そう思いながらも柄が気に入ったので早速雨の日にその破れ和傘をさして外へ出た。
和紙を打つ雨の音がビニールのそれとは違い趣があった。
そのまま雨を楽しんでいると、パサっと傘が閉じてしまった。

13

渇き

16/06/12 コメント:4件 石蕗亮

 飢えを忘れた現代だから、その一言がひどく印象的だった。

 暑かった。
その年は4月から夏日の観測が度々あり梅雨らしい雨もなかった。
都市の水瓶は早々に枯渇し行政から節水勧告がだされていた。
暑さに対しての電力消費も激しくなり程無くして節電勧告もだされた。
病院関係や介護・養護施設、行政施設以外は極力冷房を抑え、人々は涼を求めた。
大手食品スーパー売場で・・・

0

湿気

16/06/11 コメント:0件 林一

 会社が倒産し、私は突如として無職になってしまった。しかし、案外私は気楽に考えていた。
 私は会社に勤めてきた15年の間、特に金の掛かる趣味もなく、車もなく、安アパートで質素に一人暮らしをしていた。そのおかげで、多額の貯金があったのだ。特に贅沢をしなければ、10年以上は楽に暮らせる額である。
 そのため、すぐに仕事を探す気にもなれず、家に引きこもりながら自堕落な生活を送っていた。

1

雨音

16/06/11 コメント:1件 高原那智

布地に覆われていない肩に冷たい風が当たり、目を覚ます。
梅雨入りもしようという蒸し暑いはずの季節に似合わない冷たさだった。まだ覚醒していない頭で、雨音を聴く。

昨夜は蒸し暑く、窓を少し開けたまま寝ていた私はタオルケットをかけ直し今日は雨か、なんて思いながら冷たい風を感じつつ眠気と覚醒の狭間を愉しむ。携帯の画面を確認しそろそろ起きなければならない時間帯であることに少しため息をつき・・・

2

梅雨に咲くひまわり

16/06/11 コメント:2件 日向 葵

 雨が降ると思い出すのは、黄色い雨合羽。
雨合羽に小さな体をすっぽりと包み、黄色の長靴を履いて、フードを目深にかぶった彼女は私に顔を見せてはくれない。

「また梅雨がやってきたよ」

 四畳半のアパートの一室に設けられた仏壇には、沢山のひまわりを背に、麦わら帽子をかぶった娘が笑っている。窓の外を見ると、どんよりと曇る空から落ちた雨粒がアスファルトを静かに濡らしていた。・・・

1

雨降らしもラクじゃない 〜がんばれ ラファエル君!〜

16/06/11 コメント:2件 ちほ

「ラファエル君。先生は、あなたのこと本当に心配しているの。情に左右されてはならないお仕事なのに、あなたは……いえ、お説教は止めておきましょう。ただ覚えておいてね。物干しざおのお布団を見ても、風にはためくお洗濯ものを見ても、雨模様なのにカサを忘れた人を見ても、ずぶ濡れの犬を見ても、自分の気持ちだけで行動することがないようにしなさい」
「『じぶんのきもち』って何ですか?」
「先生が言いたい・・・

0

雨の妖精

16/06/10 コメント:0件 水面 光

俺がこれから語る話は俺の中ではもちろん嘘じゃない。だが言っとくが、あんたがたがもしそれを信じてどうかなっても、俺は一切の責任をとらないからな。第一人を本当に信用するってのは多かれ少なかれ危険を伴うものじゃねえか。──俺はあのとき雨が降りだしたことに異常に反応している自分の脳ミソに気付いた。そう、雨が降るのは親父が絶対に納骨式に来るなと言っている証拠だった。事実は知らないがしかし、俺がドタキャンした・・・

2

お金魚様

16/06/10 コメント:0件 小間満文

 雨の日にはお金魚様が泳ぐ。この町には、そんな言い伝えがある。
 山と田畑しかない町。ここは、そう言っても差し支えない程の田舎だった。街灯すらないのだから、日が沈むと真っ暗だ。近くにショッピングモールなんて勿論無くて、車で十分の距離にあるコンビニ程の小さなスーパーで食料を調達するしかない。そこも六時には閉まってしまう。
 何故、私がこんな田舎へ引っ越してきたかは、語ると長くなるのだが、・・・

5

せつない奇跡

16/06/10 コメント:7件 あずみの白馬

 6月の土曜日の朝、屋根に激しく降りつけてる雨音が聞こえてくる。
 けだるく目を覚ますと、僕は日課となっている挨拶をつぶやいた。

「ナナコさん、愛してる……」
 写真につぶやいてもなんの反応も返って来ない。でも、僕が一番彼女を愛してるんだ。

 ナナコさんとは5年前につきあっていたけど、半年程で別れてしまった。そして彼女はは別の男の人と結婚した。でもそれは悪い・・・

2

雨粒カフカ

16/06/10 コメント:0件 しーた

 目が覚めると、僕は雲の中にいた。かつては地上から見上げていた、どこまでも青い空に浮かぶ雲の中に。
 これは夢だろうか。
 確認してみよう。
 そう思って頬をつねろうとして、手を動かせないことに気が付いた。
 違う。
 僕は確かに雲の中にいるのだけれど、
 僕も、雲の一部になっていたのだった。

 文字通り風に流されるままに空を漂いながら、色々なこ・・・

2

雨粒カフカ

16/06/10 コメント:0件 しーた

 目が覚めると、僕は雲の中にいた。かつては地上から見上げていた、どこまでも青い空に浮かぶ雲の中に。
 これは夢だろうか。
 確認してみよう。
 そう思って頬をつねろうとして、手を動かせないことに気が付いた。
 違う。
 僕は確かに雲の中にいるのだけれど、
 僕も、雲の一部になっていたのだった。

 文字通り風に流されるままに空を漂いながら、色々なこ・・・

1

狐の嫁入り

16/06/10 コメント:0件 シャン・リ

私はあまり天気雨が好きではない。やけにジメジメしているからだ。
湿度が高い日は曇りであっても億劫になるのに、湿度に太陽と雨が
足されると、もう憂鬱な気分になってしまう。

今日は夕方からその天気雨が降っていたが、すぐに止んだので、
仕事帰りに影響がなかったのは助かった。やっと仕事が終わったというのに
憂鬱な気分で電車に揺られたくないというのは、人情であろう。

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天井の涙

16/06/10 コメント:0件 シャン・リ

雨漏りがしている。雨の日はいつもこうだ。

築数十年は経っている家の屋根は、最早完璧な仕事をする気がなく、
俺もまたその屋根を直すつもりも、業者を呼ぶつもりもない。
雫が落ちてくる箇所にバケツを置いておけば、それで万事解決だ。

雨漏りを受け止めているバケツの横にごろ寝をしつつ、天井を見る。
天井に一つだけあるシミは奇妙な形をしている。まるで人の顔のようだ・・・

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ある客人との場景

16/06/10 コメント:0件 各務由成

 過去にない大干ばつに喘ぐ石造りの町を、雨売りと名乗る男が訪れました。
 凡庸な容姿でしたが、身なりは整っていて、ねずみ色のコートと帽子にも清潔感があります。
 異様だったのは、運搬用の一輪車に乗った鉄くずの塊。見るからに胡乱で、さほど大きくもないのに、奇妙な存在感を放っていました。
 聞けば、この町の惨状を知り、自ら造った降雨機を売るために、西隣の町からやって来たそうです。

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恵みをもたらす雨の神、あるいは……

16/06/09 コメント:0件 hisa子。

 白銀の細い糸のような雨は、種を蒔いたばかりの畑には優しかっただろう。
 いつの頃からか、このような雨が降ると必ず見知らぬ男がぬかるんだ道を歩いていた。

「また、あのよそ者がおるよ」
「この辺りのモンじゃない。さっさとどっか行っちまえ」
「雨が降ると必ず陰気そうな顔してふらついて、気味が悪いったらありゃしない」

 農夫やその妻たちが囁いている。
・・・

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集団首つり

16/06/09 コメント:0件 林一

「ママ、明日の遠足晴れるかな?」
「きっと大丈夫よ。だって、こんなに作ったんだもの」
・・・

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虹に至るうた

16/06/08 コメント:0件 黒森あまやどり

 中学生の頃くらいからだろうか。
 その音が聞こえるようになったのは。

 ……ポトッ。

 耳にした時、近くで蛇口が緩んでいるのだと思った。
 水滴がこぼれ落ちるような音がしたから。
 だが付近に水飲み場らしきものは存在しなかった。

 音は日に二、三度思い出したかのようなタイミングだったが、やがて頻度を増してきた。

 ……ポト・・・

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相い会い傘

16/06/08 コメント:0件 ネコライオン

 「よーっす要君! 最近どうっすか!?」

 僕は話しかけて来た隣に住んでいる幼なじみの恵菜を無視して学校まで歩き始めた。
 しかし恵菜はしつこくついてくる。
 「昨日の巨人の試合見た? 菅野凄かったよねー! もう野球ゲームかってくらいの大活躍で!」
 非常に魅力的な話だったが僕は恵菜を再び無視する。
 そして何度も無視しても恵菜は話を続けるので僕は最後に

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傘はささずに

16/06/08 コメント:0件 岩原みお

 こんな日こそ、僕にはお似合いだと思った。

 昨日から降り続いている雨のなか、傘もささずに雑木林を歩く。
 晴れだなんて眩しすぎる舞台は似合わない。目立つ方法だってそうだ。
 こんな憂鬱になるような雨のなかで、そっと足を滑らせるくらいがちょうどいい。

 足元を見る。いい具合にぬかるんでいた。

「こんな日に、私以外にも傘を使わない人がいるのね」<・・・

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絵麻に降るあめ

16/06/08 コメント:2件 待井小雨

 雨をなめたらきっと甘いに違いないわ! と幼馴染の絵麻は言う。
 甘い物が好きな絵麻。僕の事を好きな絵麻。
「空が優しい気持ちで降らせるのが雨だもの、きっと絶対甘いのよ」
「甘いわけないだろ。それに雨は汚いから口に入れちゃいけないって言われてる」
 そっぽを向いて冷たく言っても絵麻は気にしない。幼稚園のおやつで配られる飴は絵麻の大好物だ。「雨」と「飴」は同じ名前だから、味も・・・

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夕立

16/06/08 コメント:0件 売れないサラリーマン

 夕暮れの公園に男が一人、ベンチに座り、缶コーヒーを手に項垂れていた。今日の営業活動も成果はなし。そんな毎日が続き過ぎて、会社に戻ってからの言い訳ももはや考えるのをやめていた。見つめる先には、歩き回り底がすり減ったぼろぼろの靴。靴だけでなく、スーツもくたびれ、ワイシャツは黄ばんでいる。
「身だしなみに気を遣えない営業マンなんてゴミでしょ」
 成績トップの先輩に昨日言われた言葉。頑張った・・・

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スティックパン

16/06/07 コメント:0件 福沢遊

初めて君と出会ったのは、ある晴れた夏の日。



ぼくは蝉の鳴き声がうるさくて、コンクリートに顔をうずめていた。
“あつい…“
「にやぁ…」


「大丈夫?」

風の音かと思うほど、静かな声が頭上から響いてきた。
ゆっくり顔を上げると2つの白黒がこちらを見ている。

“人間様か…“

この世界で、1番偉・・・

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先輩

16/06/07 コメント:2件 佐川恭一

 ギラギラした夏の陽射しが照りつける。マジで暑い。すげー暑いっすね、と先輩にいってみるが、先輩は「いや、わしは寒いけど」とかいうのである。先輩は185センチあるが、体重が55キロしかないそうだから、普通の人と温度の感じ方がちがうのだろう。
 
 おれは「夏こそカレー!」と書かれた、どこでもらったのかも忘れたうちわで顔をパタパタあおいだ。朝である。憂鬱な朝。仕事の始まる前のわずかな時間。・・・

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へのへのもへじ

16/06/07 コメント:0件 蹴沢缶九郎

梅雨の時期に突入し、連日雨が降り続いている。空を雨雲が覆い、久しく陽の光を見ていない気がする。窓から降りしきる雨を見ていた僕は、ふと小学生の頃の記憶を思い出した。それは、遠足の前日、「明日は晴れますように」と願って作ったてるてる坊主の記憶。
もうそんな歳でもないが、僕は久しぶりにてるてる坊主を作ってみようと思った。丸めたティッシュペーパーをティッシュペーパーで包んで、首にあたる部分を輪ゴムで・・・

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土竜のみる夢

16/06/07 コメント:2件 かるり




――きょうもきこえるよ。あめがふっているね。


――――そうね。





――だいじょうぶかな。おうちがこわれないかな。


――――大丈夫だよ。お家は壊れないよ。





 僕はまだ会ったことがないけれど、外の世界にはニンゲンがいるのだと聞く。
 ニンゲ・・・

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蒼の雨音

16/06/05 コメント:0件 天月儀 式




――雨は優しい蒼の音だから……










しとしとと降り注ぐ小さな雫に、思わず早足になる。
柔らかい雨粒がわずかに傘を揺らし、少女の目に涙が浮かんだ。

……雨は嫌い。

鳴り響く救急車のサイレン。病魔に絶望した母親の言葉……生きて欲しくて吐き捨てた言葉と頬を叩く感触…・・・

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いつか 雨も上がるんだ

16/06/05 コメント:0件 イルカ

  窓を見ると、さっきより雨が強くなり土砂降りの雨になった。
 交通渋滞でバスは動かなく車内は満員で蒸し暑くなっていた。
 運転手がマイクで、渋滞の為、お急ぎの方は次のバス停で降りて歩いたほうが、
 早いとアナウンスした。
「駅まで、どれくらい時間がかかりますか?」
「この渋滞じゃ、一時間はかかりますね」
 それを聞いて、バス停に着くと、出口で傘をさして、乗客は・・・

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月に住み、星を食べ

16/06/04 コメント:0件 alone


ザザァ――――…… ザザァ――――……

打ち寄せる波音で、僕は目を覚ました。
起き上がると、波が昨日より迫っていることに気づく。
もうすぐ《新月》だ。この《月》も、じき沈む。
そろそろ新しいのに引っ越さなきゃ。
そう思いつつ、また寝転がった。
《月》面はひんやりとして心地いい。
天上では《太陽》が変わらず照り輝いていた。
とても綺麗な・・・

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美しい雨

16/06/04 コメント:0件 みや

”本日は雨、小学生の子供達は学校がお休みです”
気象予報士の声がテレビから流れている。私は出勤準備をしながら雨が降ったら小学生以下の子供達は学校が休校になり外出禁止になったのはいつからだったのかな…と考えながら同じマンションに住む環境研究センターの教授が開発したMIKI TANAKAと私の名前が印字されている電磁波遮蔽レインコートを羽織ると、夫が私のお腹をそっと撫でて電磁波遮蔽ゴーグルを手渡・・・

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雨降る夜

16/06/04 コメント:0件 焼酎檸檬

雨降る夜。
拓哉は鉄橋の上から、流れる大きな川を見つめていた。その顔は窶れていて生気が感じられない。
季節は冬。空から舞い落ちる雨粒は、拓哉の身体を濡らし、体温を奪っていく。
悴む手。けれど、この手と冷えた身体を温めてくれる存在は……もういない。
小さくて、可愛くて、拓哉の大切な存在だった彼女。
そんな彼女と話す事も、笑い合う事も、抱きしめる事も……もう出来ない。

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卯の花腐し

16/06/04 コメント:0件 泉 鳴巳

「あ、宇津木先輩」
 部室のドアを開けると、後輩の雨宮が微笑みを携えながら僕を迎え入れてくれた。
 部室、といっても、あるのは机と椅子、申し訳程度の本棚だけ。相変わらず殺風景な部屋である。他に人の姿はない。それも当然のこと、文芸部もとい、部員不足により降格となった文芸同好会は、現在僕と雨宮の二人だけだ。
 窓を見れば、梅雨の走りに降る雨が町を白く煙らせていた。部屋の中はやや肌寒く・・・

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心の雨

16/06/04 コメント:0件 yoshiki

 ――心の内側に雨が降っている。窓から見える空はこんなにも晴れているというのに。
 それというのも知ってしまったからだ。私の食事に妻の玲子が毒をもっているという恐ろしい事実を……。
 私と玲子とは歳が二回りも違う。だから玲子が私と添い遂げると言った時に一抹の不安を感じずにはいられなかった。だが私は玲子の美貌に心身とも魅了されてしまった。玲子はあなたの創作の仕事が好きだから、傍にいてあな・・・

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DOLL

16/06/03 コメント:0件 末永 DADA

家の前の道路を車が通ったらしく、ばしゃっ、と水跳ねの音がかすかに聞こえた。さっき降り始めた霧雨は、今では傘の必要な小雨になっている。
久しぶりに実家を訪ねてみたが、表の玄関には鍵がかかっていた。インターホンは壊れているか電池が切れているらしく、鳴らなかった。さっきからずっと、縁側の掃き出し窓のガラス戸に顔をつけてカーテンの合わせの間から声をかけ続けている。
「お母さん」「お母さん」

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あめのむらくもきみの声

16/06/03 コメント:5件 クナリ

 サイトウ先生に、中学からの帰り道、声をかけられた日のことを思い出す。
 雨が降る中、田舎町の、田んぼの間のあぜ道で。
 気がつけばもう、半年近くも前のこと。



 三十一歳。
 サイトウ先生の正確な年齢を知ったのは、本人が失踪してからだった。
 先週、学区内で起きた、全国的に有名な殺人事件。
 先生はその重要参考人として、警察に探されてい・・・

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嫁入り

16/06/03 コメント:2件 素元安積

 それは、雨のしんしんと降る日のこと。

 森の中にいた私は、信じられないモノを見てしまった。

 この天候の中、半透明なベール、色とりどりの花束、キラキラとしたウエディングドレスを着て歩く花嫁と、彼女の腕をしっかりと支えて歩く新郎。

 確か、狐の嫁入りなんて言葉を祖母から聞いたことがあるけれど、まさかこの目で見る日が来るなんて。

 けれど、私に・・・

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僕の得たもの、そして失ったもの

16/06/03 コメント:0件 ちほ

 雨降る街メモリーで、高校生をやっている僕は、ある日博物館の裏に広がる森に迷い込んだ。三時間も迷い続け、疲れ果てた頃、真っ白な洋館を見つけた。大きな窓から覗くと、僕と同じくらいの年齢の少年が窓際で一人チェスに興じていた。僕は、窓を軽く叩いた。彼の驚いた顔が、すぐに笑顔になる。彼は、慌てて家の中に入れてくれた。
「シャワーを浴びて。そこがシャワー室だよ。タオル持ってくる。外は、まだ雨なの?」<・・・

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雨の日は稼ぎどき

16/06/03 コメント:0件 風富来人

 俺の勤める会社の社長がテレビの経済番組にゲスト出演することになった。
「今夜のドンブラコ御殿は、東京都市圏でのリサイクル傘の販売・レンタルで年商十一億円を実現されている株式会社古傘本舗の社長、雨宮幸三さんをゲストにお招きしました」
 実力派女優の女性司会者が社長を紹介した。
「雨宮さん、この傘を一本三百円で販売されているというのは本当ですか?」
 有名作家の男性司会者が高・・・

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「ウソつく世界」

16/06/02 コメント:0件 ツチフル

「おはよう」
「おはよ。今日はトーストとハムエッグよ」
「文句なしだ」
「言わせないわよ」 
 一昨日から降り続く雨はまるで止む気配がなく、今日も不規則なスタッカートを窓に刻み続けている。
 その雨音をBGMにして、イツキとミスミは寄り添いつつそれぞれの時間を過ごしていた。
 イツキはソファにもたれ、専門用語だらけの本を優美な詩のような気持ちで読みふけっている。・・・

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日照雨(さばえ)

16/06/02 コメント:9件 石蕗亮

 見てはいけないものを見てしまったと、後悔しても遅かった。

 五月闇の時期も終わり、入梅前のある逢魔ヶ刻。
薄紫闇の帳の向うに満月が顔を覗かせ、その風流に誘われ散歩に出掛けた。
歩いて程無く霧雨が掛かった。
おやと思い空を見上げるが、残照が雲に映え見事な月もある。
神鳴も無ければ驟雨、村雨にはなるまい。此は天泣か?と思い散歩を続けた。
小糠雨ではあったが・・・

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雨粒ト、涙一ツ

16/06/01 コメント:4件 デヴォン黒桃


 シトシト、シトシト……
 ソロソロ日付が変わろうとスル、コノ街。


 ヒトヒト、ヒトヒト……
 小走りの夜の蝶、雨宿りを諦めた、千鳥足の酔っぱらい。 


 道路を行き交うヘッドライトとテールランプが、絡み合いトケて流れる。
 白く浮かぶ街灯、空の紫に、黒紅色のグラデーションが降りてきた。
 
 突然降り出した雨に、抵抗・・・

2

神様のマニュアル

16/05/31 コメント:0件 永春

作用オブジェクト-0203「雨」

取扱方法:
「雨」は見習いの神が単独で使用することは禁じられています。単独での使用は三級以上の神に限られます。見習いの神が使用する際は必ず1柱以上の二級以上の神と共同で行ってください。調整作業と無関係な使用をする場合は海上で行ってください。

「雨」は作用オブジェクト02群「天候」に属します。「雨」を使用した神は地球上の任意の場所に・・・

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行動

16/05/31 コメント:0件 蹴沢缶九郎

「何でこうなった…」

僕の目の前には雨に打たれ、頭から血を流し倒れている男の遺体がある。

「誰がやった…僕か…僕なのか…」

混乱する頭で記憶を辿っていく…。そうだ、僕は数時間前、この男と酒を飲んでいた。カウンター席でたまたま居合わせた男と意気投合し、一緒に飲んでいたんだ。初めは楽しかったが、その内、男と口論になり、店の外に出て男に殴られ…、かっとなってつい・・・

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テラリウム

16/05/31 コメント:0件 W・アーム・スープレックス

彼女はいつもすみのテーブルに座っていた。そこは朝に僕がよくいく喫茶店だった。
壁のテレビが見やすいカウンターに着く僕から、テービルひとつはさんで彼女がいた。
彼女が誰で、どこからきているのか、むろんわかるはずがなかった。が、どうしてか妙に親近感をおぼえた。彼女のほうも、似たような気持ちにとらわれているのでは………。ときおり、目と目があったりすると、僕はその確信をふかめずにはおれなかった・・・

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君となら

16/05/31 コメント:0件 小雪

「ただいま」

返ってくる返事はない。まだ9時だというのにもう寝てるのか…。
ただでさえ雨の日特有の憂鬱な気分に浸っているのに、さらに気分が重くなる。
雨を吸って重くなったスーツを脱ぎながらリビングに行くと、作り置きしておいてくれたらしい夕飯があった。
夕飯をひとり寂しく食べたあと、さっさとシャワーを浴び、寝巻きに着替え恋人が先に寝ているであろうベットへ向かう。

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僕達は雨を知らない 

16/05/30 コメント:0件 かめかめ

 見渡す限りのサボテン畑で小柄な少年が二人せっせと刈入れをしていた。
「だからさ、ジョイ。夜に抜けだして最終チューブで帰ってくれば大丈夫だって」
「けどワットが見逃すはずないよ」
 いたずらの罰当番中だというのに黒髪のカルはまた孤児院を抜けだす算段をしていた。
「だって雨だよ、雨!本物なんだから!」
「空から水が降ってくるなんて信じられないよ」
 カルより一回り・・・

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まくちゃんとあじさいの花

16/05/30 コメント:0件 こぐまじゅんこ

 きょうは、あさから、くもが空をおおっています。
 くまのまくちゃんは、空をみあげて、つぶやきました。
「おひさま、でてこないかなぁ・・・。」
 
 そのとたん、ポツン、ポツンと雨がふりはじめました。
「あーあ、雨ふりだ。つまんないの。」
 まくちゃんは、まどべで、ほおづえをついて、外をみています。
 庭に、ももいろの花をみつけました。
「なんの花か・・・

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牢獄と蜘蛛の糸

16/05/30 コメント:0件 地ー3

「休日に降る雨はまるで牢獄のようだ」
 テーブルの上に置かれたカップを手に取り,中を満たす紅茶の香りを楽しみながら窓から見える降りしきる雨に文句をつけた。空を埋め尽くす雲からひっきりなしに降り落ちてくる水滴に辟易しながら,片手に持っていた文庫本をテーブルの上に置く。
 一週間に二日ないし一日しかないせっかくの休日であるにもかかわらず,人々から外へ出かける意欲を失わせ,鬱屈な気持ちを抱か・・・

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待ちぼうけ

16/05/29 コメント:1件 夜行佳幽

 庭に面した廊下に座し、私はただぼんやりと、どこかを見ていた。
 天から舞い降りるのか、見えぬ風に乗っているのかわからぬ細かな雨が、私の目を覆っている。
 白い空気を眺めれば、いつの間にか私は空を見ている。
 触れられるようで、触れられぬ。愛しいようで、虚しいようで。霧雨とはまことに不思議な雨だと想いながら、諾々と時間が過ぎるのを待っていた。

 ふわりと空にかかる暖・・・

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もし私が雨男だったのなら…

16/05/29 コメント:1件 安藤みつき

どうして、私は晴れ男として生まれてしまったのだろうか。
私はそう悔やみながら、晴れ男の仕事を全うしている。
別に晴れ男の仕事は悪くない。
植物に日光を与え、成長させる。
人に日光を与え、晴れ晴れとした幸せな気持ちにさせる。
仕事を並べ出したら切りがない。
まあ、簡潔に言うと、太陽が作った日光を皆に渡す運搬業だ。
太陽は仕事仲間で、日光を作るメーカーさんだ。・・・

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雨のファンタジー

16/05/29 コメント:0件 W・アーム・スープレックス

ふりしきる雨をとおして、ぼんやりと赤い光がみえてきた。
男は、雨のなかからただよってくる独特の匂いにひきつけられるように、ちっとも役にたたない傘をさしながら、その明かりにむかって足をはやめた。
上の道路からつづく石段のすぐ下に、その屋台はとまっていた。
それはまぎれもなくラーメン屋の屋台だった。
そこは石畳の敷きつめられた広場で、明るい昼間ならここに群がってくる鳩に、人が餌・・・

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単純な雨が降る

16/05/29 コメント:0件 更科シナ

 インターフォンに起こされてしまった。傍らの目覚まし時計を見ると朝の十時。日曜の私にはまだ早朝と呼べる時間だ。どうせ宅配か何かだろうと返事をして散らばっている服の山から引っ張り出したTシャツとジーンズに着替える。
 玄関のドアを開けるとそこにいたのは宅配便のお兄さん……ではなく、少年だった。雨が降っていたようで傘を持ってはいるものの肩のあたりが濡れている。十歳前後だろうか、どことなく見覚えが・・・

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雨に誘われて……最悪な現実とこんにちは

16/05/29 コメント:0件 夕凪ハロー

 同じように雨が降っていた。ちょうど、僕はこんな雨が降っている日に死んだ。

 街には、頭がおかしくなる病気の人が溢れていて、近づいた人に噛みついた。そして、どんどん病気の人は増えてゆく。
 僕は怖くて、やたらと綺麗に磨かれた窓ガラスに腹が立った。股間がそわそわするような感覚に耐えられなくなって、くしゃくしゃになったタバコのソフトパッケージに手を伸ばした。火を点けても、落ち着くの・・・

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雷、とどろきて

16/05/29 コメント:0件 W・アーム・スープレックス

キリクは肌に、細かな雨粒がまつわりつくのを感じた。
やがて、パラパラと音をたててふりだした雨を彼は、ひろげた両腕でうけとめた。
まわりでも何人もが、彼同様、心で雨を感じていた。すぐ横ではミスキが、ジッパーをあけて、もろにさらけだした豊かな胸に雨のシャワーを浴びている。
前ではワクトが、ピシッという独特の息音を発して、みんなを現実の世界に引きもどした
誰もがまさに、夢からさめ・・・

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天気雨

16/05/29 コメント:2件 まべくろー

 別に今は特段傘をさすべきような空模様ではなかった。空は、湿気を含んでいるが、太陽は不思議と雲に隠されていることはなくて、なんとか地面に光線を届けていた。ひとつ気がかりなものは、やたらに雲の行く速度が早いことか。雲の隙間をぬっている太陽は、どうして雲に隠れないか疑問にすらなった。
 それだけが疑問な訳ではなかった。三階の校舎から見下ろす玄関、それから外の道路に繋がる校門までの道に、ひとつの傘・・・

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雨音は故人声

16/05/29 コメント:3件 ゆきどけのはる

「今年も雨なのね」

 天からしっきりなしに降る雫達は音を立てて地面に落ちる。雨に濡れないようにと、ビニール傘をさした女が一人、溜息を零す。広い土地に彼女しかおらず、そこには多くの墓石が整列されている。彼女の目の前にある墓には彼女の性が彫られており、側面には【篠宮ほのか 6歳】と書かれている。
 菊を花立に活けて、線香に火をつける。ふわりと煙が彼女の前を横切り空中に溶けて消えてい・・・

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止まない雨

16/05/28 コメント:0件 琥初


「止まない雨はないんだよ」

静かに泣いていた私に、彼は笑顔でそう言った。
その日は雨の日だった。
その日の雨は雨というより霧みたいな雨だった。
小さなつぶが集まって、ひとつの雫をつくるような、静かな日だった。
彼のそんな言葉に、私の涙はぴたりとやんでしまった。

止まない雨はないのか。
その日は、こんな静かな時間が永遠に続くのだろうと・・・

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水槽の国

16/05/28 コメント:1件 くろた




 ――雨が降ればまるで水槽になる国があるらしい。しかし普通の人間は水槽になっている時期に入っては駄目だ。帰れなくなるんだとさ。








 干からびてしまうのではと思う程暑い日。
 僕が酒場で仕入れた情報は、見知らぬ旅人のおじさんからいただいた有難い言葉と、一枚の地図だった。


 水槽。今・・・

1

青い世界は、今日も美しい

16/05/27 コメント:0件 秋澤

ザアザアと雨が降る。雨粒が、木の葉を叩き、屋根を叩き、水面を叩く。
降り注ぐ雨、その雨音はどこか僕を安心させる。まるで僕の全部を包まれているようだった。重たげ空は、雨を降らせて身を軽くする。雨音はいらないものすべて流し去ってくれる。必要のない音を、滞る心のよどみも、冷たく静かすぎる夜も。
ザアザアと雨が降る。その音に抱かれながら、緩やかな睡魔に誘われていった。

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雨は君の中

16/05/27 コメント:1件 伊崎




「どうして傘なんて差してるの?」
「雨が降っているから」

 彼女はそう答えて、くるくると傘を回した。その動きは無邪気な子供のようで、とても愛らしい。だが僕は彼女の肩を掴んで、首を横に振った。

「もう、やめよう」
「___何を」
「わかっているんでしょ、W雨なんて降ってないW」

 もう何度目かになる僕のその言葉に、彼・・・

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感謝の雨

16/05/26 コメント:0件 つけもン

とおい昔、山ンの向こう、暗い森のなかに小っさい祠がありました。春には、小鳥の賛歌が聞こえ、夏には、草の匂いがむわっとして、秋には、村からの捧げもンがあって、そして冬には、キーっンとした静けさがありました。そのわけは、祠には水の神様が祀られておったからだと思います。よく、雨降らない日が続くと、村から雨乞いのために、酒やら魚なんかを捧げたりしたものです。
しかし、今となっては、祠の周りは荒れたま・・・

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さよなら、金子商店

16/05/26 コメント:2件 前田沙耶子

僕にとっては突然でも他の人には必然だったらしい、雨。小さく舌打ちをした。たまに実家に戻るとこうして嫌なことばかり起こるのは気のせいだろうか。

僕の実家はカジワラサイクルという自転車屋を営んでいる。ここらに自転車屋はうちしか無いのでそこそこ儲かっているらしい。大学進学を機に上京した僕はそのまま東京で就職する気満々だったが、両親は長男なのだから戻ってきて店を継げ、とうるさい。正直な話、こ・・・

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霧雨

16/05/25 コメント:0件 yoshiki

「ねえ君、山で迷ったことないですか?」
 カウンター席で青年が傍にいる女性にそう尋ねた。その青年は室内だというのに帽子を被ったままである。ところは信州、山の麓の小奇麗なカフェ。
 青年とその若い女性とは初対面で青年がグラスを持ったままで、そんな事を出し抜けに訊いたのである。
 女性の方は女友達ちと来ていたから、いくぶん心丈夫で丁寧にその質問に答えることにした。青年が見栄えのよい丹・・・

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ただここで、雨を悼む

16/05/24 コメント:0件 nagan

 落ちていく。
 灯の照る街に振る透明は、降下していく度にその濃さを増す。
 街は、大雨に見舞われていた。
 陽の沈んだ街は濁流で溺死してしまい、坂道に整列した街灯だけが、水煙に対抗していた。雨は、アスファルトに着地するたびに砕けて染みを作る。
 闇の下、男物の傘が坂道から顔を出した。ブーツが、水たまりをかき分ける音が近づいてくる。遠くの街並みまでを霞ませて、並木の枯れ枝を・・・

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六月の雨

16/05/24 コメント:2件 希咲 海


 今日も風が揺らめいて、木々が泣き叫んでいた。
 六月の雨など特別珍しくもないのだけれど……
「だからってこんな日にまで降ることないじゃない……」
 私は雨女だった。
そう打ち明けたとき、たいていの人は「そういう奴いるよねー迷信だよ」なんて反応をするけれど、小・中・高の遠足と修学旅行、初めてのデート、エトセトラ。すべて雨だったというエピソードを話すとドン引きされてし・・・

1

雨と王国

16/05/24 コメント:1件 yoshiki

 むかし赤道直下に王国があった。その王国をある歳、飢饉が襲った。
 日照りが異常に続き、河が干上がり作物は枯れ果てた。深刻な事態だった。餓死者が出ない前に王は牢獄の犯罪者をすべて処刑した。そしてこう言った。
「誰でもいいから雨を降らせてみろ。そうしたらそのものを士官とした上に、わしの財産の半分をやる」と。
 すると体中入れ墨だらけの呪い師が現れ、その場に座り込み天を仰いで祈祷を始・・・

1

雨宿り猫

16/05/24 コメント:1件 てんとう虫

「ニャーウ?」
いい?
と聞くように可愛く鳴く。
そのグレーと白の毛色のアメリカン•ショート•ヘアー猫には名札ついていた。大雨の日に飛び込んで来てからたまに姿現すようになったのだ。
mii-kuと名前と電話番号がのせてありプライベート載せる飼い主思いについ微笑んでしまう。
「また来たね、ゆっくり雨宿りしておいき。
ほんとうに賢いねmii-・・・

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雨が降る

16/05/24 コメント:1件 六連 みどり


「私、雨女なの」
「え?」

 突然の彼女からの告白に驚き、声をもらす。
 俺たちの小さな会話が聞こえているのか神父さまからの視線を感じ、少し気まずく思いながらも彼女を見た。純白のドレスをまとった彼女は、この瞬間誰よりも美しく輝いている。

「思い出してみて、私とデートした時、高校の文化祭に修学旅行……」

 彼女の言う通り、記憶を遡ってみた・・・

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雨乞いで台風を呼ぼう

16/05/23 コメント:0件 夏川

『台風は徐々に勢力を弱め、明日には温帯低気圧に変わる模様です』
 お天気お姉さんの言葉に、俺は落胆の声を漏らす。
「はぁ、休校のチャンスが」
「俺はこうなる気がしてたよ」
 杉野は澄ました顔をしているが、その声からは失望が滲み出ている。しばらくの沈黙の後、杉野は不意に真面目な顔で口を開いた。
「お前、台風が消えるのをただ見てるつもりか?」
「どういうことだよ」<・・・

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雨音のフェアリー

16/05/23 コメント:2件 天野ゆうり

雨の日は憂鬱だ。
気圧のせいで頭が痛い。

学校の授業も終わり、彼氏の委員会が終わるのを、教室の一角で待つ。

窓際の彼の席は、調度校庭が見渡せて、しとしとと雨が降り続いていた。

「早く終わらないかなぁ……一緒にかえってゆっくりしたいよーー」

彼はとても真面目な性格。
生徒会にも所属していて、毎日忙しい。

でも、そんな真・・・

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取り戻す

16/05/23 コメント:0件 蹴沢缶九郎

コンビニを出ると、傘立てに入れたはずの自分のビニール傘がない事に気づく。盗まれたのか、誰かが間違えて持っていったのかはこの際どちらでもいい。自分の傘を持っていかれたという事が問題なのだ。

俺はポケットから小型のリモコンを取り出しボタンを押した。五分ほどして、コンビニの前を救急車が通り、俺は救急車が走り去っていった方へと向かう。
数十メートル行ったところで救急車が止まっており、近・・・

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すべて雨のせい

16/05/23 コメント:0件 犬飼根古太

 部活後の柔軟体操をしていると、ぽつりと、伸ばしている脹ら脛に水滴が当たった。
 隣で前屈していたシュンも似たような感触を覚えたらしく、重そうな空を見上げた。
 そばにある走り高跳び用マットを打つ雨音が聞こえて、グラウンドの土が暗い色に変色していく。
「降ってきたな」
「だな」
 シュンの独り言のような声に、僕はシュンを見ず短く返す。
 会話が途切れて雨音だけが・・・

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雨に震える

16/05/23 コメント:0件 ポテトチップス

タケルはベッドに横になり、布団を頭からかぶって耳を塞いだ。
窓を閉めていても、雨音が部屋に響いた。
酷い頭痛と早まる鼓動に、言い知れぬ不安と恐怖に怯えた。
ベッドから起き上がったタケルは、病院でもらった精神安定剤を3錠、水と一緒に飲んだ。
夜、バイト先のコンビニに自転車で向かい、昼勤のスタッフと入れ替わった。明日の朝5時までが勤務時間だった。
同じ時間に勤務についた安・・・

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評価くださいい〜ま〜すぐ〜に〜♪

16/05/23 コメント:3件 にぽっくめいきんぐ

 さあっ! 雨の季節が始まりました!
 
 ジメジメで、蒸し暑くて、洗濯物も乾かなくて、「タ」イヘン!

 今日はみなさんに、ニポソニック製、「降」雨清浄機のご紹介!

 「ニ」ポソニックといえば高速サイクロニング、「も」ち「ろ」んこの降雨清浄機にも搭載されています。

 「だ」い容量で吸引した、「フ」ィルターに付着した、雨中の微細粒子を、「高」速サ・・・

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綿雨金魚

16/05/23 コメント:0件 笛地静恵

 ぼくは、夜店の茣蓙の前から立ちあがれませんでした。欲しいものばかりだったのです。人工の月の光が明るい小惑星帯の夜です。
 メンコには、大鵬も、柏戸も、力道山も、豊登もありました。召還すれば、強いものたちばかりです。すべて地球製です。印刷もあせていません。ぴかぴかしています。 
 複雑にからみあった、銀色の木星産の知恵の輪がありました。何匹もの金属の蛇が、苦しそうにからまりあっています・・・

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