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  2. 第105回 時空モノガタリ文学賞 【 水族館 】

第105回 時空モノガタリ文学賞 【 水族館 】

今回のテーマは【水族館】です。

恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

時空モノガタリ賞発表日:2016/05/09

※同一投稿者からのコンテストページへの投稿作品数は2〜3作品程度とさせていただきます。
※R18的な暴力表現・性描写はお控えください。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。メモリアルカプセル

ステータス 終了
コンテストカテゴリ
投稿期日 2016/03/14〜2016/04/11
投稿数 68 件
賞金 時空モノガタリ文学賞 5000円 ※複数受賞の場合あり
投稿上限文字数 2000
最大投稿数
総評

入賞した作品

5

僕らの水族館の壁が流された日のこと

16/04/11 コメント:7件 犬飼根古太

「俺らで秘密基地、作らへん?」
「秘密基地? でも二人しかいないよ?」
「いいやん。別に。……俺らを除け者にした奴らが羨ましがるぐらいごっつい秘密基地作ったろうぜ」
 父の転勤の都合で、愛知県名古屋市のベッドタウンに当たる海辺の片田舎に引っ越してきた小学五年生の僕は、同級生のタッちゃんと遊びの相談をする。
 タッちゃんは、いつもホッペを赤くして青洟を垂らし、靴底に泥をべった・・・

4

便所飯アクアミュージアム

16/03/18 コメント:4件 クナリ

 便所飯、という言葉を初めて聞いた時は、衝撃的だった。
 言葉の響きや意味ではない。僕が小学生の時の塾の夏期講習で編み出し、高校一年生になった今でも実施している行為に、既に社会的に名前が付けられているということがショックだったのだ。
 てっきり、この行為は僕だけのオリジナルだと思っていた。誰も真似などできるはずがないと確信していた。それが、実は意外とありふれた行為だったなんて。
・・・

最終選考作品

4

赤と黒のおはなし

16/04/11 コメント:6件 宮下 倖

 
 おかしいなと思ったのは両手が使えたからだった。
 奈々は自分の背よりも遥かに大きいガラスの扉に両手をぺたりとつけている。先程まで左手は絵本を抱え、右手は母の柔らかい掌に包まれていたはずだ。周りにはたくさんの人がいたのに、今は誰もいない。声も聞こえない。しんとした空間、触れたガラスの冷たさに奈々はぶるりと肩を震わせた。 

 母に連れられて初めてやってきた水族館は、色と・・・

4

水槽人間

16/04/11 コメント:6件 Fujiki

 涼介はこの十年間水槽の中で暮らしてきた。五歳の頃に風呂場で溺れかけて以来、水の中から出たことは一度もない。泣きながらガラスを叩く母親が警官に連れて行かれた場面は今でも夢で見ることがある。不注意から起こったただの事故だったと聞かされてきたが、彼が母親の姿を見たのはそれが最後だった。
 水槽の中の生活は単調だった。ガラスの向こうに見えるのはブラインドの下りた白い壁の部屋。絶え間なく聞こえてくる・・・

2

ペンギンがいない水族館

16/04/10 コメント:1件 鷺くじら

「ペンギンは飛んで逃げちゃったんだよ」
 ペンギンがいないとぐずっていた小さな子供に飼育員のお兄さんはそう説明していた。母親らしき女性は泣いている子供を抱きかかえ、お兄さんにお辞儀をして、イルカを見に行きましょうと子供に言い聞かせて足早に立ち去っていく。

 僕はその後ろ姿をほんの一瞬見送って、また何もいない岩と少し生臭いプールを冷たい手すりに両肘を置いて眺める。誰も泳いでいない・・・

4

不思議な水族館

16/04/10 コメント:10件 キャプリス

 テレビのニュースを見ながら朝のコーヒーを飲んでいると携帯が不気味な呼び出し音を鳴らした。奇妙な依頼の電話だという意味だ。こいつの予想は当たることが多い。
 電話の主はN市にある水族館の館長だと名乗った。
「魚が勝手に動くんだ」
 慌てた口調で彼はこう切り出した。
「魚が動く、それが何か」
「いや、入れておいた水槽とは別の水槽に移動するんだ」
「誰かが移したんで・・・

4

シブヤ水族館

16/04/09 コメント:4件 南野モリコ

シブヤに行くことは、シブヤ水族館に行くことを意味していた。つまり、デートに誘われたのだ。ハルカはシブヤもデートも初めてだった。ユージは、どんな男の子なんだろう。話は合うかな。きっと緊張しちゃうから、たくさん話をして、笑わせてくれるといいんだけど。ママには嘘をついて家を出て来た。そんな遠いところで男の子と二人で会うなんて、悪いことだから。

改札を出て、待ち合わせの花屋の前に行くと、ユー・・・

3

美咲とミサキ

16/03/15 コメント:4件 W・アーム・スープレックス

美咲は水槽のなかで静止しているミサキと、目を見交わした。
ミサキ。彼女はその魚に自分と同じ名前をつけた。
美咲は、いつも水族館が閉まる前に、すべりこむように入館する。すでに辺りに客の姿はない。周囲は、深夜のような暗がりが支配している。水槽の青々と輝く水の、ここはまるで延長上にあるようで、ときに美咲は自分が、ミサキと同じ世界にいるような気持ちを味わうことがあった。
喧騒と、埃と、機・・・

投稿済みの記事一覧

0

都会の水族館

16/04/12 コメント:0件 海音寺ジョー

池袋にあるムーンライト水族館は、高層ビルの屋上にある。都心の、憩いの場だ。アシ
カショーもやっていて、ミル子は調教師として舞台に立っている。
アシカのトレーナーの収入だけでは生活できないので、副業としてウチのラーメン屋で
パートをしている。
ミル子は真面目に働いてたので、オレはアシカの調教師って品がいいんだなあとしみじ
み感銘し、ムーンライト水族館のイメー・・・

2

海月館の天女

16/04/12 コメント:0件 森氏蛙夢吐

太田俊郎はウキウキしていた。
半月前に、思わぬ葉書が届いたのだ。
再び、あの国枝優子に会えるのだ。

半年程前に、仕事でT町のある山頂までを測量した時の事だった。
山頂の向こうの眼下に草原と沼があり、その傍に建物の屋根が輝いていた。

その後、用事があってT町に行った。
用事が終わった時、あの洋館を思い出した。
それで店番の老人に聞いてみ・・・

1

水上の光

16/04/11 コメント:2件 タック

水底からのライトに照らされた水槽内は海底のように静謐な空気をたたえ、色彩豊かな魚の回遊が、目の先には見られていた。
触れれば冷たそうなガラスの向こう側は見通せないほどに奥深く、注視しても幾匹かの魚の行き交う姿が、印象にはただ残るだけだった。
首を巡らせても、他の客の姿は見当たらず、水槽を眺めながら狭い通路を歩くのは、僕と小夜の二人きりだった。
その中で、
「……見ることので・・・

3

アクアリウム奇譚

16/04/12 コメント:0件 黒谷丹鵺

「もう逢えないかもしれない」
 セイラの口からこぼれる言葉に、アマネは深い海の底に沈んでいくような感覚をおぼえた。
 期末テスト明けの週末、久しぶりのデートに選んだ場所は水族館。
 なんとなく沈みがちなセイラの様子に、テストの出来が思わしくなかったのかなどとのん気に考えていたアマネは、人気のない深海魚の水槽の前でいきなり別れを告げられたのだった。
「お父さんに、ママのところ・・・

2

アザラシのおじいちゃん

16/04/11 コメント:0件 みるこ

私の名前はうきぐも。
空に浮いている雲のようにプカプカしているからだと、人間が名付けたのである。
私くらい長生きしていると、人に見られていてもちっとも気にならない。
のんびり泳ぐことが毎日の日課。
若いものは「自分がいちばん!」と人間に見てもらいたがっている。
見栄っ張りな時期は私にもあった。
思う存分やるといい。
そのうち、人生はそれだけじゃないことがわ・・・

5

トビウオとマグロ

16/04/11 コメント:6件 そらの珊瑚

 煙草を吸う。肺の奥まで吸い込んで、吐き出す。白い煙は徐々に薄くなり、キャンパスの青空へ溶けてゆき、その痕跡さえ残さない。
 そうしてまた吸う。吐き出す。特に面白くもないが、今まで水泳競技のために封印してきた『健康の悪いこと』をしている後向きの充実感が私を満たしていく。
「煙草は健康に悪いよ」
「うん、知ってる。だから吸ってる」
 ――不健康になって、退路を断つ。そしたら水・・・

3

めくり屋、冴島の掌。

16/04/11 コメント:4件 むねすけ

白いカラスは悲しからずや、
夜の闇にも、お日様の赤にも、染まらずに赤い目を客観することもできない。
めくり屋、冴島はいつもの癖で、暗唱している詩をこねくり遊ぶ。
「太郎を眠らせるために雪は降るのではない、僕らの悲しみと罪を隠すために降るのだ」
自分の中に堆積した言葉やイメージをばらして再構築する。
下らない遊びだったが、いつも何かしらの昂揚感があって止められない。

2

我、サカナを見ゆ

16/04/11 コメント:2件 奇都 つき

 進む足は自然と遅くなる。
 ここは不思議だ。先に先にと、次に次にとサカナを見たいのに、透明な壁の中はこちらと違う時間がゆっくりと流れているようで、見ているうちにその世界につられてしまう。
 悠々と泳ぐサカナたちは、とても神秘的で、美しくて、おいしそうだ。
 じいっと見ていると、足は進まなくなり、ついには止まってしまう。じっと一つの水槽に張り付ては、サカナの動きに合わせて手先を動・・・

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こちらうりずん水族館

16/04/11 コメント:9件 冬垣ひなた

 またうりずんの季節がめぐって来た。
 この時期出番が近づくと、透は何だか緊張してしまう。
 今日も立つのは、客席の一望できるステージ。
 そして沖縄の潤んだ空へ、あいつらは元気に跳ぶ!


 沖縄の海に憧れて何年だろう?三重県の水族館でアシカショーを担当していた透は、この南国の水族館への異動が決まった時有頂天だった。右も左も分からぬ観光客に混じって、透が「うり・・・

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海に還る日

16/04/11 コメント:11件 泡沫恋歌

 核戦争の後、地球は巨大な水族館になってしまった――。

「教授なにを観てるんですか?」
「ああ、これかね」
 アクロポリス・ヤマトにある東大アカデミーのヤマダ教授の机の上のディスプレイには美しい映像が流れている。
「これは熱帯魚と呼ばれる観賞用の魚なんだ。21世紀くらいの南の海ではこんなきれいな魚が泳いでいたらしい」
「23世紀の海にはグロテスクな魚類しかいま・・・

3

飼育員のおねぇさん

16/04/11 コメント:1件 ケイジロウ

 ここは天国に違いない。
 なんか水が穏やかだ。そして、きれいだ。
 餌が簡単に手に入る。昨日山田君に教わったんだけど、あの餌は飼育員と呼ばれる人間が、決まった時間に決まった量の餌を僕たちに届けてくれているらしい。お腹がすいたと思ったら、上からヒラヒラと餌が降ってくるので、おかしいなと思っていたんだけど、そういうことらしい。だから狩りの心配も空腹に苦しむ必要もなくなったんだ。
 ・・・

3

逆の立場で言えば、要はこういう事

16/04/11 コメント:6件 にぽっくめいきんぐ

 海中に「陸族館」が開かれた。土が盛られた大きな領域に空気を溜め、強くて透明な膜で囲み、土の上に、陸の生き物である「陸族」を大量に放つ。水中で陸族を鑑賞できる、水族の親子連れやカップルに人気の施設だ。

 イルカの母子がやってきた。
「すごーい! たくさん超音波の反響があるよ!」
 子供イルカが、はしゃぎながらバーク音の超音波で母イルカに言った。
 イルカは超音波で相・・・

1

サカナになっても愛されたい

16/04/11 コメント:1件 夕凪ハロー

「それはあんまりだよ。」

 あなたはそう言ったのでしょう。でも、私にその声は届きません。口をパクパクさせるあなたの姿は、まるで水槽の中のサカナみたいです。
 水槽の中にいるのは私なんですけどね。


 どうしてこんなことになってしまったのかを思い出すには、少しだけ時間がかかりました。それはもう、私の頭の中も半分サカナになりかかっているからかもしれません。私が、・・・

1

終わり

16/04/11 コメント:0件 kanza

堤防の先に座り、沈んでいく朝日≠見ていた。
ふと視界の端の古びたコクリートに気付き、小さかった頃を思いだした。
イルカショーなどで華やいでいたあそこも、イルカもいなくなったというから、もうすぐ終わる(潰れる)のだろう。
終わり、その言葉がちくりと胸に刺さった。
私は……終わってる。
水泳も学校もやめ、逃げ込んだ夜の街。そこでも、ただ彷徨っているだけ、そんな気がする・・・

5

水禍のイデア

16/04/10 コメント:0件 ラズ

「『幽霊』ってのは輪転する時間に焼きついた影のようなものらしいな」
唐突な友人の言葉に烏丸は面食らったが、
「なんだ、水槽のなかで手招きする女でもみたか?」と茶化すと、
「手招きはしないらしいが、まあそんなとこだ」
と至極まじめな調子で返ってくる。直前までは夜行性のイタチザメの飼育についての話だった。
四月から高野の勤める京都の水族館が改築され、元はクラゲや熱帯魚のい・・・

4

イルカショーのお姉さん

16/04/09 コメント:3件 あずみの白馬

「水族館って懐かしいわね」
「あの時以来ですよね」

 30代ぐらいの女性と、20代ぐらいの男性が、東京近郊の水族館を2人で回っている。どちらからとも無く感慨深げに思い出話を始めた。

***

 10年前、2人の地元の地方都市の水族館。
「イルカのショーへようこそ!」
 お姉さんの掛け声とともに、イルカたちが水しぶきをあげて飛び跳ねる。

1

クジラ

16/04/09 コメント:0件 依織

 高さ8メートル。幅は、20メートルを超えているだろう。その巨大な水槽の真ん前にへばりついて、彼女はずいぶん長いこと動かなかった。どうやら連れはないようで、時折後ろの客にぶつかられてよろめきながらも、一向にその場を動かない。その姿がとても可愛らしく思えた。

 ベビーブルーのスカートと白いブラウス。長い髪を緩く纏めて。20代のはじめだろう。大きな目が、遠い遠い水面を一心に見ていた。

2

思い出アクアリウム

16/04/08 コメント:0件 依織

 ありったけの勇気をかき集めて、狭っ苦しい教室を飛び出した。クラスメイトのざわめきも、先生の怒号も無視して。
 規則正しく揺れる電車の中で思い出したのは、怒りとか悲しみとかが複雑に混ざった母さんの顔と言葉。あんたももう高校生なんだから、あたしがいなくたって大丈夫よね。背中を向けたままの父さんが、何を考えているのかはわからなかった。出て行くの、なんて呟いた声は奇妙に宙に浮いて、誰の返事もないま・・・

1

生きていたいものだ

16/04/07 コメント:0件 てっか薪


我輩は世界で一番大きいサメなのだが


他のように凶暴ではないのだよ。


体のわりにはオキアミやプランクトンしか食べられなくてね。


あまり器用じゃないから、水ごと掃除機みたいに吸い込んでしまうのさ。


そのときにカツオなんかも飲み込んでしまう時があってね。


魚を砕く歯がないのでな。
・・・

0

500mlペットボトルからのメッセージ

16/04/07 コメント:0件 そがし

 私のクラスには明くんというわんぱく坊主がいる。毎朝の職員会議では必ずといっていいほど明くんの悪事が議題にあがる。今朝も立ち入り禁止の屋上で給食までサボっていた明くんの話題でもちきりだった。屋上へ出る扉は施錠されていたので、雨どいを登り棒の要領で上がっていったというのだから驚き呆れて何も言えない。校長からは先生がしっかりしないから生徒が危険をおかすことになるのだとぐちぐち言われ、朝からどっと疲れて・・・

0

みています、みられています、みています

16/04/07 コメント:0件 桃-Momoko Nakamura-

水族館は魚たちをみるところではありません。
水族館は魚たちにみられるところなのです。

とある瀬戸内の水族館。
瀬戸内の海をモチーフとした大きな大きな「波の大水槽」。
そこには今日も人だかりが出来ています。
家族連れ、カップル、文系女子、ひとりで来ている男の子。
いろんな人間たちが見とれています。

「ママ!見て!サメ!おっきい!」
「凄・・・

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青い水族館

16/04/06 コメント:5件 たま

春休みが終わって明日から新学期がはじまる。
今朝の気温は14℃。黄色い雨が降っている。午後はオレンジ注意報が出ていて憂鬱だったけれど、今日中に東の街に帰らなければいけない。
 ママー、コットンの靴下どこだっけ?
 去年のだったら穴が空いてたから捨てたわよ。
 え、そうなの……。
ベッドの上に旅行鞄をひろげて有りっ丈の夏物を詰め込んだ。夏休みまでは帰れない。学生寮のある・・・

1

クラゲと海月

16/04/02 コメント:0件 ゆうい

今日こそは告白する。
心に決めて向かった先は待ち合わせ場所の水族館。入館口には僕の想いの人山下亜希子がいた。
「亜希ちゃん、おまたせ!待った?」
「ううん。私も今来たところ。」
本当は20分先に来て待っておこうと思ったのだが、洋服はどうしよう、あまりにも早く来ていたら必死過ぎて引かれるかも、なんて考えていたら集合時間の5分前になっていた。
「勇太くん。走ってきたの?汗・・・

3

また今度

16/04/04 コメント:2件 alone

「海が見たいな」
窓の外を眺める彼女が、ぽつりと呟いた。
「手術が終わったら、また一緒に行けるよ」
ベッドの脇に座って、僕はリンゴの皮を剥いていた。
「また、があるのかな」
彼女の不意の言葉に、僕は動きを止め、顔を上げる。
「もし失敗したら、もう一緒に行けないんだよ。わたしは嫌だよ、そんなの……」
成功率は50%です、と言った医者の言葉が脳裏に蘇った。成功・・・

1

空へ行くのよ私たち

16/04/03 コメント:0件 みや

館内にけたたましいサイレンの音が響きわたる。警報を感知すると、警備会社の警備員たちが十分程でここに到着するのは想定内なので、飼育員たちは手際よく、大きな水槽から持ち運び出来る小さな水槽に約三百匹の小さな稚魚のスカイフィッシュを素早く入れ替えていき、その小さな水槽を台車に乗せて水族館の裏口に待機している消防車の所まで慎重に運んで行った。

「皆んな、本当にご苦労様」
消防車の横で待・・・

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魚たちは光の中を泳ぐ

16/04/02 コメント:0件 永遠川ミモザ

携帯電話が震える。莉奈子は目を開けた。佳苗からのLINEメッセージだ。
「明日の水族館デート、朝九時に駅で待ってるね。お泊りセットも忘れずに」

佳苗は莉奈子より一つ先輩の三年生で、莉奈子の恋人だ。二人は自分たちの関係を周囲に秘密にしている。通学路でも、校内でも、関係を悟られるようなことはしない。
だが、デート先では別だ。駅で待ち合わせた二人は、いくつもの駅が過ぎゆくあいだ・・・

3

皇帝ペンギン

16/04/02 コメント:1件 メラ

「動物園の方が良かったな」
 アシカ・ショーを見た後、休憩所でマナミがそんな事を言った。窓の外にはペンギン達の姿が見える。
 僕はコーヒーカップを持ったままなんと答えていいのかわからず黙っていた。いや、実は一瞬、離れて暮らす小学五年生の娘が何を言っているのかわからなかった。
 マナミはそれ以上は何も言わず、つまらなそうにソフトクリームを舐め続けていた。横顔が、どんどん母親に似てき・・・

1

爪先の宇宙、それが私のすべてだった頃の話

16/03/31 コメント:0件 じゅんこ


 肩に残る、黒い痣。外は涼しいからと言い訳をして、隠すように上着を羽織る。
 左手に缶ビール。右手には携帯。裸足にサンダル。これが今の私のスタイルだった。
 別れてからもう半年になる。新しいマンションに越し、思い出の品を捨て、華やかに生まれ変わるんだと思っていた。しかし自由になった筈の私が出来たのは、夜に仕事から帰宅したあと、ベランダでビールを煽ることくらいだった。元から何もな・・・

1

銀河の果て

16/03/30 コメント:2件 yoshiki

  ――ガナクル銀河の果てを彷徨っていた。
 母船から離れてどのくらい経ったのだろう……。 既に計器類はただの金属の集合体と化し、生命維持装置で辛うじて命を保っている。その時にはもう私は生きていたいという本能のほかに、死にたいという気持ちを密かに携えていた。
 どう考えたってもう戻れないのだ。物理的に。
 だから私が何をしたって、何を発見したって無意味なのだ。たとえ別宇宙を・・・

3

黒水族館の“展示品”

16/03/29 コメント:2件 橘 聰

「黒水族館(ブラック・アクアリウム)?」
 大学の食堂で昼食を摂っているとき、一緒に食べていたタカハシがそんな話題を切り出してきた。
「何だいそりゃ?」
「海とか川とか湖とか、そういう水場に関係した事件や事故の資料が展示されている場所って話だな。ほら、ロンドンの黒博物館(ブラック・ミュージアム)、あれと同じようなもの」
 確かにロンドン警視庁内には、犯罪の証拠品や写真が保管・・・

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犬なんかはたぶんいない。

16/03/29 コメント:0件 れいぃ

 その水槽には、犬がいたんだ。
 青と黄色、片目ずつで色が違うやつさ。
 俺がそっと手を出してみたら、犬は右の前足を出して載せてきた。
 濡れていた。
 
 路騎士は、僕の左のこめかみのずっと向こうを見ている顔で、よどみなくそんな話をした。どうせ作り話だと思う。新しくできた水族館に、犬なんかいるはずがない。「水族」じゃないじゃないか、犬は。だいたい、お金とって見せるよ・・・

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ばあばみたいなアザラシ

16/03/29 コメント:0件 こぐまじゅんこ

 はるくんは、おかあさんと水族館に行くことになりました。
(水族館って、どんなところなのかなぁ・・・。)
 保育園のももぐみさんのはるくんは、まだ二さい。
 はじめての水族館。
「はるくん、今日は、ガタンゴトンに乗って行くからね。おかあさんのいうことを、よく聞いて、おりこうにしててね。」
 ガタンゴトンというのは、電車のことです。
 はるくんは、ガタンゴトンに乗・・・

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人魚姫のカクテル

16/03/28 コメント:0件 かめかめ

 目まぐるしく色が変わるネオンに照らされたネオンテトラは、はたして何色の皮をまとっているのかさえわからない。人間たちはそんな魚を見ながら熱に浮かされたように歩く。水族館はいつも暗く、ひやりとして、厚い壁の向こうの水の匂いがするようだ。
 登場人物は二人。私と彰彦。エキストラは、手を繋ぎクラゲに見入るカップル、遠足の幼稚園児たち、魚を見るより写真に納めることに夢中な女性たち。舞台は、ここ。水族・・・

4

ある日街の通りに

16/03/28 コメント:0件 末永 DADA

ある日突然、街の通りに巨大なバスが現れた。学校みたいに大きなバスで、行先もバス会社の名前も書いてない。優に20メートル以上はある車体で、角を曲がる時はどうするのだろうと人々が見守っていると、まるで魚のようにするりと車体をくねらせて器用に曲がるのだった。
けれども人々が一番驚いたのはその大きさではなく、角を曲がるテクニックや特殊なボディではなく、バスの窓の中に見えるものだった。
何しろバ・・・

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君と見た夏

16/03/27 コメント:0件 高木・E・慎哉

「あの青い空は君だね」

水族館の魚たちを見て、僕はつぶやいた。

もちろん、水族館の中なので、空は見えない。

しかし、水族館の水の色が空のように見えた。

僕たちは歩いた。水族館の中をどこまでも続く迷路のように歩いた。どれくらい歩いただろうか?突然、君が話しだした。

「多分、この水族館じゃないな」

「え、どういうこと?・・・

0

水中庭園

16/03/27 コメント:0件 イルカ

                 水中庭園

 もうすぐ水族館が閉館されるという噂を聞いた。
子供の頃、サメや電気ウナギを見て驚いたり色鮮やかな熱帯魚を見て、南の海に潜ってみたいと思ったり、将来はダイバーになりたいと憧れた。
 閉館の理由は、入場者の激減による財政の圧迫だそうだ。だけど、この水族館は、この
近辺の海の生態や海大切さを、分かりやすく展示していた。それに、・・・

1

水族館へ行こう

16/03/26 コメント:1件 小野坂 翔子


 あれ、ここはどこだろう。道に迷ってしまったらしいな。 それにしても、この辺りはなんだか良い匂いがするなぁ。・・・こっちかな。

 あぁあった。けど、ここはなんかの施設みたいだな。なになに?『水族館』? ふーん。面白そうだし、行ってみようかな。

 うわぁ・・・。入口がすごく大きい。こんな大きさいらないと思うんだけど。 さて、入ってみよう。

 中は結構・・・

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もとをさかのぼってみよう

16/03/26 コメント:0件 犬塚比乃子

 「ああ、きれいだね。」
 
 新しくできた水族館の中は、様々な水生生物が居た。水槽の中に居る生きものたちを来館した人間たちが眺めているのだ。
 
「まるで、僕たちが観察されているみたいだ。」

 母親に甘える息子は、うっとりとイワシの魚群を見てはしゃいでいる。

 「そうね。」

 母親も母親で、息子を連れてきてよかったのだと心底思った・・・

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逃げても逃げても追って来る

16/03/25 コメント:2件 ポテトチップス

閉館時刻の午後8時を過ぎた。
館内の照明が消され、水族館で飼育されている大小さまざまな魚たちの餌の時間になった。
直樹は館長に呼ばれ、館長室に入った。
「館長、話ってなんでしょうか?」
「おう、ちょっと話があってな」
尾長館長は、腕組みをしたまま直樹に向かいあった。
「他の従業員には黙っててもらいたいんだか、経営が厳しい状況なんだ。それで従業員を5人ほどリストラ・・・

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ジンベエザメの涙

16/03/23 コメント:0件 らすと

「魚はいいわね。学歴も関係ないし。私みたいに悩みも無いから幸せそう ね。」

明日那はそういって水族館のクラゲに向かって微笑んだ。暗い微笑みだ。まるで生気が感じられない。クラゲの様に彼女の顔は青白い。照明を落としたスペース。中央にはクラゲが無重力にただよっているような動きで存在していた。それを観ながらぽつりと呟く明日那。

明日那とは高校時代の親友だった。高校時代はよく遊ん・・・

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ようこそ劇場“水族館”へ

16/03/23 コメント:0件 百々桃

時刻は夜の10時。閉館した水族館のバックヤードは、昼と変わらずポンプの動作音が低く響いていた。そこでは作業着姿の男が誰かと話をしているようだった。

「水族館の主役といえば、巨大水槽を悠々と泳ぐサメだ。あんたもそのサメと共に、他の魚が同じ水槽で飼育されているのを見たんじゃねえか? そして疑問に思っただろう、何故食べられないのかって。そりゃあ、血みどろのホラーを見せるわけにはいけない・・・

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おひとりさま水族館

16/03/21 コメント:1件 りわ子

 一人旅が大好き。
レストランでの食事は一人で、ゆっくり味わいたい。
行きつけの飲み屋さんなら、一人でふらっと入れる。
水族館や動物園や美術館、博物館はもちろん一人がいい。
観察や鑑賞のペースを人に合わせるのは大嫌い。

 そんな、洋子はデパートで販売の仕事をしている。
毎日忙しく大勢の接客をしているので、休みの日ぐらい一人でのんびりと気ままに過ごしたいと・・・

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私の夢

16/03/21 コメント:0件 素元安積

 私は、水族館に住むことが夢だった。好きな時に水槽に入って、小魚と泳いだり、サメと追いかけっこをしたい。ペンギンと歩いて、白熊と魚を奪い合いたい。そして、イルカの背に乗ってプールじゅうを泳ぎ回りたい。
 だから私は、まず異世界に来た。だって、かっこ悪い全身水着や、シュノーケルなんて付けたくなかったんだもの。だからまずは、水の中にそのまま入っても良いように、水の抵抗をうけない魔法を取得しに来た・・・

4

通行人Aの幸せな一日

16/03/21 コメント:4件 つつい つつ

 ガラス越しに魚と目が合う。君は確か「クエ」だったか。高級魚らしいね。僕とは全然違う。
 修学旅行で水族館に入るなり僕の班のメンバーは休憩所でジュースを買って座っている。それぞれスマホいじったり、ぼーっとして中は見学しないらしい。修学旅行といえば中学生活でも最大のイベントともいえるのに、みんなニコリともせず、つまんなさそうな顔で過ごしている。でも、その気持ちはわかる。僕の班はクラスの中心メン・・・

1

ハルよ、行け

16/03/20 コメント:1件 キップル

 深夜の山陽自動車道。無人のパーキングエリアに、巨大なコンテナを積んだ一台の大型トレーラーが停車した。俺が乗ったタクシーもトレーラーの後ろからパーキングエリアに入り、車を停めた。辺りには他に停車している車がなく、人の気配もなかった。
 トレーラーから運転手が降りてきた。トイレ休憩のためだろうか。タクシーを降りた俺は、運転手に近づき、素早くキーを奪った。突然のことに驚き、キーを奪い返そうとする・・・

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すばらしい水族館

16/03/20 コメント:0件 yoshiki

 そこはすばらしい水族館だった。
 オサムはデートコースにここを選んで正解だったなと、ほっと胸を撫で下ろす。お決まりといえばお決まりなのだが、ともかくミユキは喜んでいるようだった。付き合い始めて半年にもなるのに、ミユキは手も握らせてくれない。
 オサムはミユキが好きでたまらないのに、いまいちミユキのこころが掴めない。今宵こそはとオサムの心は高鳴るばかりなのだった。
 それにしても・・・

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銃と水族館

16/03/19 コメント:0件 林一

 会社をリストラされ、妻にも家を出ていかれ、俺はもう生きる気力を無くしていた。
「死にたい。死にたい。死にたい……」
 そうつぶやきながら道を歩いていると、視界にきらりと光る何かが入ってきた。よく見るとそれは銀色に輝いており、さらに近付くと、それは銃のようであった。
 その銃を手に取ると、ずっしりとした重さがあり、どうやら本物らしかった。神様は俺にこの銃で死ねと言っているのだろう・・・

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ジンベイザメと少女

16/03/19 コメント:0件 ちほ

 俺は、水族館内を歩き回っていた。……正直つまらん。薄暗い館内の水槽を泳ぐ色も形も大きさも様々な魚たち。平和だ。館内に客は俺しかいない。一回りしたら帰ろう。一緒に来るはずだった明美には、ジンベイザメのぬいぐるみでも買ってあげようか。彼女は、この水族館に来たことはない。彼女の感性なら「面白い!」と喜ぶかも。などと思っていると……いた! 俺以外の客! 
 一人の少女が、七色の光が次々と変化してい・・・

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タコとスイッチ

16/03/18 コメント:0件 あすにゃん

タコとスイッチ
「だから言ったじゃないか」
 オレは、水族館から水槽ごと出て行くタコを見ながら、となりの学芸員に言った。
「タコに芸を仕込むのは、やめろって」
「大丈夫だと思ったんですよ!」
学芸員は、冷や汗をダラダラながしながら言った。
「イルカやアシカと同じように、タコもかなり知能が高いですから」
 オレと学芸員は、にらみあった。

 ・・・

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人魚姫

16/03/17 コメント:0件 繭蜂なずな


「きっと私は間違えて人間に生まれてしまったのだと思う。だから、神様が私にこうして、日に日に強まる自殺願望を植え付けているの。全く理不尽な話なんだけれど。毎日募るその思いを抱えながら、私は死ぬ方法を考えている。美しい死には色々あって、でも、神様の理不尽を私の伝説にしてしまうくらい、それはセンセーショナルなものでなければいけないわ。
だから、真っ白なドレスを着て、その下に重石を仕込んで、・・・

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人間水族館

16/03/16 コメント:2件 W・アーム・スープレックス

『人間水族館』という呼び名は、静かに散っていった桜のあとに、まってましたとばかり青葉が山々を覆いはじめるころ、境内から続く石段の下の広場にやってきたひとりの男の姿とともに私の記憶にはっきりやきついている。
折りたたみ椅子に座った男の前には、たくさんの洗面器がならべられていた。それらは近所の人たちがもちよったものばかりで、盥も何個かまじっていた。
ちょうど学校がひけて、子供たちがかえって・・・

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海の記憶 -海の水族館-

16/03/16 コメント:0件 てんとう虫

 ようこそ。
海の水族館へ
どこの水族館も海沿い地域あるところが多いがこの水族館はとくに近くに創られていた。
中にいると磯香りがして大きな強化ガラス水槽は海の中のようで評判良かった。
ただし、不思議な噂もひろがっていた。
魚健康考えて剰り明るすぎない照明でも巨大水槽周り薄暗い水槽の前や中心あたりにソファーやベンチおいでゆっくりみてもらおうとおいてある。
そこで眠・・・

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ぼくらの海

16/03/16 コメント:0件 白井クジラ

 灰色の海の向こうに真っ赤な夕日が沈んでいく。いつも通りの見慣れた風景。それを横目にぼくらは下校する。
 彼は僕をちらりと見ると、黙って海のほうへ下りていき、そのまま堤防に腰かけた。ぼくもそれにならい、隣に座った。波の音がいっそう近くなる。両足を海の上に放り出すと、灰色の水底に吸い込まれてしまうような気がして少しぞっとした。
 彼はよどんだ水面を見つめたまま口を開いた。
「俺さ、・・・

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夢の寝床

16/03/15 コメント:5件 石蕗亮

「ようこそ。いらっしゃいませ。」
真夜中の水族館があるというので来てみた。
案内に出迎えたのは黒シャツに黒スーツの上下、黒のダブルのベスト
黒革のペストマスクに黒革のハットをかぶっていた。
声で男性だと分かる。
水族館には似つかわしくないと思う姿だが、どこかしらペンギンのようにも見える風体。
夜の闇の中では見えにくい姿だと思った。
案内されながら通路を進む・・・

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憧憬

16/03/14 コメント:2件 睦月 希結

 「凪子という名前は海の近くで生まれたからなんです」と見合いの席で教えてくれた。
父親が海にちなんで名付けたが、当の本人は金づちだ。生まれつき病弱だったので、激しい運動を親に制限された。「名前負けですね」と笑う姿に惹かれた。
 
 どちらかと言えば仕事主義で家の事は顧みなかった。
定年も近くなり流行りの熟年離婚を避けようと慌てて妻孝行をしようと思った矢先、凪子に癌が見つかっ・・・

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瞳の奥のエトピリカ

16/03/14 コメント:2件 泉 鳴巳

 白沢葉月は俺の幼馴染だ。

 家が隣で親同士も仲が良かった俺たちは、幼稚園どころか満足に言葉も話せない頃からずっと一緒だった。
 家だけでなく、学校や塾でも一緒だったから、家族以上に傍にいる時間が長かった。俺たちはまるで同じ水槽で飼育されているみたいにずっと一緒にいた。だからこのままなんとなく一緒に過ごして、なんとなく結婚するんだと思っていたんだ。

 いつものよう・・・

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水族館を作ろう!

16/03/14 コメント:3件 素元安積

「我が村の発展の為、水族館を作ろうと思うのだ」
 村長は言った。だが、そんなのは決して無理なのだ。何故ならば、始めに言った通り、此処は村だからである。そんなお金などあるはずがない。
 三十路の副村長は手を上げた。この公民館の会議室には、彼と村長のみなのだが、発言をする場合は挙手をするルールになっている。村長に指名されると、副村長は立ち上がった。
「僕達の村に、そんな施設を作る資金・・・

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天使の恋

16/03/14 コメント:2件 たんぽぽ3085

その日、ぼくは極度に凹んでいた。
仕事は散々だわ、どこかでパスモは落とすわ、でね。
オマケに仕事先の女性営業の成瀬さんと入ったKFCでチキンを食べていたら、
カブリついた鶏肉といっしょに、ぼくの前歯の仮歯がとれた。
明日には歯抜けのぼくの写メが世間に出回っているに違いない。
なにせ、成瀬さんはぼくをいじることが大好きで、
おまけに“友だち”から笑いをとること・・・

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味のパイオニアと水族館

16/03/14 コメント:3件 霜月秋介

 昨夜未明、近所の水族館で放火事件があった。犯人は逮捕された。犯人はグルメを自称しており、水族館の中で泳ぐ魚達を焼いて食べようとしたらしい。犯人の名は酒名萌留さかなもえるといい、まだ女子高校生である。水で火がすぐ消えることは考えなかったのだろうか。愚かである。
 しかし私は、その酒名萌留に興味をもち、彼女について少し調べることにした。雑誌記者の血が騒いでいるのだろう。彼女について、面白い記事・・・

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俺には霊感がない――零感ハンター

16/03/14 コメント:0件 笛地静恵

「海を見に行きたい」
 ヒノコが、とうとつにつぶやいた。
 さっきまで、おれのからだの下で燃えていたのに。
 午後二時をすこしすぎている。が、一度、言いだすと、とまらない。
 仕方ない。行かねばなるまい。愛車の《ブルー・タートル》号を出した。湾岸へ走らせた。海まで三十分とかからない。
「右へ」
 ヒノコの細い指が指示する。
 百里に少し足りない浜を南下した・・・

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