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第104回 時空モノガタリ文学賞 【 映画 】

今回のテーマは【映画】です。

恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

時空モノガタリ賞発表日:2016/04/25

※同一投稿者からのコンテストページへの投稿作品数は2〜3作品程度とさせていただきます。
※R18的な暴力表現・性描写はお控えください。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。



ステータス 終了
コンテストカテゴリ
投稿期日 2016/02/29〜2016/03/28
投稿数 69 件
賞金 時空モノガタリ文学賞 5000円 ※複数受賞の場合あり
投稿上限文字数 2000
最大投稿数
総評

入賞した作品

11

©「アイソカイム」製作委員会

16/03/28 コメント:9件 滝沢朱音

 とっておきの呪文は「アイソカイム」。最悪な夜にしか使わない魔法。だって、効力が薄れてしまうといけないから。

「映画?」
 素っ頓狂な声を発した僕の唇を、玲奈は指一本で制した。
「大声出さないで。私がバラしたって知られたらたいへん!」
 話があると呼び出された玲奈の部屋には、相変わらず本ばかりが並んでいる。とびきり頭が良くて気も強い彼女は、中二のくせに生徒会長になっ・・・

15

エンドロールでもう一度

16/03/28 コメント:8件 石蕗亮

 シートに深く腰掛けてスクリーンに向かう。
「それでは上映致します。人生映画をお楽しみください。」
アナウンスが流れ照明が消える。
最初に生まれたばかりの赤ん坊が映し出された。
両親の愛を受けて可愛がられていた。
歩き始めた頃に転んで顔に大きな傷を負った。
蟲を捕まえるのが好きだった。
小学校に上がった。
悪戯をして怒られたり、嘘をついて後のいつかば・・・

最終選考作品

3

迷宮シネマ

16/03/28 コメント:2件 宮下 倖

 
 貴弘の予想は見事にはずれていた。

『絶対あのふたりは親子! 迷宮のいちばん奥で涙の再会を果たすと思う!』

 二年前大ヒットを飛ばした海外映画の続編を観に来た。巨大迷宮を舞台にした謎解き満載のファンタジーだ。二年前の本編の後、貴弘が推理したふたりの関係は今回の続編で描かれていたが、親子どころか親の仇同士だった。涙の再会など欠片もなく、顔を合わせた途端に斬りかか・・・

3

クランクアップ

16/03/08 コメント:4件 W・アーム・スープレックス

留吉は流し場で手を、皮膚がすりむけるぐらい何度も執拗に洗いつづけた。
いくら洗っても、目にみえない血が手のひらを流れ出すのを、恐々としながら見守りつづけた。
映画の撮影が終了し、四つ木譲二こと早川留吉は、監督や俳優たちによる打ち上げ会などみむきもせずに、撮影現場から逃げるようにして自宅のマンションに帰宅した。
その迫真にとんだ演技は、一般大衆はもとより、映画関係者の多くをうならせ・・・

3

 月濁る真夜中に飛ぶ

16/03/06 コメント:0件 吉岡幸一

 時計台の腹の中で飢えた蛙が天国を想像しながら金色の羽蟲を食べている。
 西瓜の夜は月の踊りを笑いながら回転し、虹の向こう側のスクリーンを舌でなめる。
「あなたは飛ぶことができますか」
 彼女は豊かな胸を上下に揺らしながら、頬を赤め作られた空を仰ぐ。
「きっと飛ぶことができるよ。望むならば飛べるようになるさ」
 彼は筋肉質な指をまっすぐにのばし、ペンキで塗られた空にキ・・・

4

孤児意地墜落インパティエンス

16/03/04 コメント:8件 クナリ

 薄暗い部屋の中で、私はお腹が空いて膝をついた。
 眩暈がして、地面の方が揺れているのではないかとさえ思える。
 すぐ横には、私と同じ小学生くらいの知らない少女がいた。
 上下左右を木の板で囲まれた、一辺が七〜八メートルくらいの立方体の部屋の中に、私達はいた。窓はなく、裸電球が上方に吊るされている。
  部屋の一辺には木製の階段がついていた。上端は部屋の外まで続いていて、天・・・

2

パメラという女

16/03/02 コメント:2件 あすにゃん

他の女とは、目が、違うのだ。
いや、三つあるとかじゃなくて。
彼女の主演する映画は、どうってことのない宇宙ものだった。宇宙人を父親に持つパメラが、怪力と読心術、そして過去見の力を使って事件を解決する。地球人の母親は、行方不明になっている。彼女は十八歳。気の強そうな、しかし優しそうな灰色の瞳をしている。
その女の子の名は、パメラと言うらしい。インターネット動画で配信された映画・・・

投稿済みの記事一覧

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家族映画

16/03/28 コメント:0件 タック

映像にしか残らないものがあるというのが、父の信条だった。
そのために家には数多くのホームビデオが保管され、いつ何時でも家族の年月を回顧できるよう、DVDの形で階段横の物置に、それは今でも綺麗に並べられていた。
その、年代別に並列された記録は両親の結婚から生活、兄の誕生から僕の高校卒業に至るまでを余さずに収録し、僕たち家族の歩みを顕示していた。
記録として残された中には家族の切り取・・・

3

雨の夜

16/03/28 コメント:4件 そらの珊瑚

 コートのポケットに手を入れてみる。
 何かが手の先に触れた。
 取り出してみる。
 
 それは映画の半券だった。

 ふいによみがえってくる、その映画を観た遠い過去のこと。

 ◇

 あの日は、久しぶりに亮とデートだった。就職して半年、口を開けば「疲れた」しか言わないし、休みはどちらかの家でダラダラと過ごすことが多くなって、私は大いに・・・

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ラストシネマ

16/03/28 コメント:0件 奇都 つき

 気がついたら、私は暗い中にいた。
 ホラー映画やサスペンス映画みたいに、どこか体がガムテープやロープで括られていたり、ベッドに縛り付けられたりなんかはしていない。どこか体に痛みがあるなんてこともない。
 私はそこそこいい具合に柔らかい椅子に腰かけて、何かを前に座っている。劇場や、映画館のように左右に席が伸びていて、ちらほらと座っている人が見える。目を凝らすと、なにも移していない真っ暗・・・

1

旅情一景

16/03/28 コメント:0件 むねすけ

新感線の中が退屈だからと、
駅の売店で一冊の文庫本を買った。
どっこいしょと、後ろの人が強面でないことを確認してから、
リクライニングを倒して、
車内販売のお姉さんを待ち伏せている。

なぜか、今時通路を挟んだ席の親子連れは紙風船で遊んでいる。

車内販売のお姉さんから、
幕の内弁当とプラスチック容器のお茶を買って、
窓に移る私の顔は、在・・・

3

True world

16/03/28 コメント:6件 冬垣ひなた

 工場の近い大通りには煤けた空が広がっていた。帽子を目深に被った金髪の男が、屋台で買ったハンバーガーをかじり付いていると、誰かジーンズの裾を引く者がある。
「これ、おじさんの犬?」
 見ると、見知らぬ少年が痩せた子犬を抱きかかえている。
 男が首を振ると、「じゃあ、飼ってよ」と少年は聞いて来た。
 少年のヘーゼルの瞳に映り込んだ男は、考え込んだ後自分の首から認識票を外し、チ・・・

1

網膜に最後に焼きつけた

16/03/28 コメント:0件 むねすけ

寿命が尽きる。
その一日前。
僕の両目がものを言った。
「最後はオッパイが見たい」
仕方がない。
自分に三十三年間視界をくれた友達の願いだ。
それに、寿命が尽きたといって死にゆく先には、僕もいずれ行くのだ。
盲になるなら、そう長い先にもできないかもしれない。
断ると、死後が怖い。

「わかったよ」
と、言い聞かせて最後の両目の願い事・・・

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日記を書く男

16/03/28 コメント:0件 森氏蛙夢吐

幸田高嗣は手紙と開いた日記を前に躊躇していた。

手紙の真意を知って、自分の罪に気付かされたのだ。その後、どのように過ごしたのかはっきりしない部分がある。ある日、場末の映画館の前にいた。掲示板のポスターには横わたる女君と見つめる烏帽子を付けた武者。題名に興味を惹かれ館内に入った。見終わると自分の役柄は映画の遠藤武者盛遠だと思った。

開いた頁を破った。それを持って庭に・・・

4

幻の女

16/03/28 コメント:4件 泡沫恋歌

 鎌倉の住む、大伯父の佐伯眞一郎が他界した。
 古い洋館に一人暮らし、通いの家政婦がベッドの中で冷たくなっていた彼を発見した。数年前から心臓が弱っていたので、検死の結果自然死だと判明された。享年八十七歳。
 大伯父は僕の祖母の兄で、僕が子どもの頃に何度か鎌倉に連れて行って貰った記憶がある。白髪に着物姿で粋な人だった。仕事は骨董品の鑑定師とか、売買をやっていたようだが、元々裕福だったので・・・

1

銀幕の星々

16/03/28 コメント:2件 そらの珊瑚

 かつて日本のヌーヴェルバーグの旗手と呼ばれた映画監督、奥良彦が八十二歳で亡くなった。
 二年前に公開された『一条の光』が彼の遺作となったが、エロスとバイオレンスにあふれた手法は、年齢を少しも感じさせないエネルギッシュな作品だった。
 私がライターをしている映画雑誌【銀幕】の読者の中にも、彼の熱狂的なファンがいる。が、ストーリーやテーマを重視しない、前衛的な彼の作風は一般受けはしない。・・・

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たとえ全米は泣かなくても

16/03/28 コメント:0件 高橋螢参郎

『☆★★★★観る価値なし、金と時間と資源と人生の無駄』
 業界屈指の辛口で知られる映画ライター、富野ヒロキは今月も送られてきた見本誌を手に取ると、担当した新作映画の批評コーナーにさっと目を通した。
 これはまた、制作会社と主演俳優のファンから編集部宛てにクレームが来るかもしれないな。
 徹頭徹尾自分で酷評しておきながら、どこか他人事のように笑って富野はグラスの氷をからんと鳴らした・・・

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私にとっての映画

16/03/28 コメント:0件 みるこ

夏になると毎年、友達の家でホラー映画を見ていた。
気になる作品をレンタル店で何本か借りてきた。
定番だったりマイナーだったりいろいろ。
そのときの気分で見たいものは変わる。
ときには制作国の異なる映画をいくつか借りて、あの国のはあーだこの国のはあーだと好き勝手に評価してみたりする。

「夏といったらホラーでしょ」
そう意気込んではみたけれど、見たあとの後悔・・・

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臭豆腐と香港映画

16/03/28 コメント:0件 ケイジロウ

 蒸し暑いホコリまみれの工場での長い一日をいつも通り終え、オレは帰路についた。上海の方で賃金が上がり始めている、と今日湖南人が騒いでいた。ここ蘇州の賃金はまだしばらく上がらないだろう。周りのみんなは上海での転職を考え始めているようだが、オレはここを離れられない。この辺でオヤジが電気屋を営んでいて、オレがたまに手伝わなくてはならないからだ。
「・・・。」
「おう、おかえり。あのな、ちょっ・・・

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古い映画だけど、すげえのをupします(拡散okで〜す)

16/03/28 コメント:0件 kanza

〜 ♥
別荘地近くの小さな交番に映画会社の社長である樽前夕紀と、20は年が下であろう若い警官の姿があった。
「別荘にあった映画フィルムが盗まれたってことですか?」
危機迫る夕紀に対し、いかにも田舎の警官といった感じの彼はどこかのんびりしていて頼りない。
♠〜
小さな映画館の客席にひとり座る老紳士の姿がある。彼の耳にはスピーカーから流れる声が届い・・・

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Dear,男の子、女の子-スクリーンは招く-

16/03/28 コメント:0件 桃-Momoko Nakamura-

もうやめませんか?
デートで映画って。
いつの時代なんですか。

待ち合わせて「じゃ行こっか」って?
映画の後、お茶して御飯?そしてさようなら?
帰り道でメールか電話で「今日は楽しかった。また会いましょう」ですか?

そうして御付き合いが始まるんですか?

御付き合いが始まったら
何度かそれを繰り返して
お家デートですか?

2

映画に出演する男

16/03/28 コメント:1件 泡沫恋歌

「今度、映画に出演するかもしれない」
 大学の食堂でハーゲンダッツのグリーンティーを食べながら、石田君がぽつりと呟いた。その言葉に僕の耳が大きく反応した。えっ、えっ、何だってぇ〜!? ついに芸能界も長身和風イケメンの石田君に注目したのか。
 そういえば、先日Twitterに『いけすかない奴」と石田君の写真を載せたことがあったが、あれを見たのかな? そうだとしたら情報社会は怖ろしい。

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脳内シネマ

16/03/28 コメント:0件 美月雫来


閉館間際の図書館は、すでに人気も途絶えてひっそりと静まり返っていた。

アルバイトスタッフの女性は、資料の整理でカウンターを離れていて

わたしはいつものように、一人でパソコンの作業を終えようとしていたところだった。

・・・不意に広いロビーに響き渡る靴音が響いた。

今夜の最後の利用客がカウンターに近づいてくる気配。

振り返・・・

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「劇場版 君のそばに」

16/03/28 コメント:2件 FRIDAY

 息急き切って飛び込んだ病室に、環菜はいた。
「――――」
 ドアを壊さんばかりの勢いで引き開けたまま、荒い息のまま立っている拓海を、初めの一瞬こそ驚きの表情で見た環菜だったが、拓海と気づくとすぐに柔和な笑みに戻った。
 数週間前までいつも見ていた、あの笑みだ。
「来て、くれたんだね」
 や、と環菜は気さくに片手を上げて迎える。その手は、いつか見ていた頃よりもずっとか・・・

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○○○上映館

16/03/27 コメント:0件 恋竹真雪


ここは、少し変わった映画館。

上映案内は示されず、上映されるまでどのような映画が流されるかわからない。
爽快な冒険譚、涙なしには見れないヒューマンドラマ、背筋の凍る戦慄のホラー、胃のひっくり返りそうなアクション、耳を劈く銃声の戦争映画、心打たれるラブストーリー……

今日は一体どんな物語が上映されるのだろうかと指定席であるD列9番を目指す。
こぢんまり・・・

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プライド

16/03/27 コメント:0件 鷺くじら

 上映開始までもう5分しかない。
 なんで今日に限って、売店に人が群がっているんだ。この映画館には地元のやつらしか来ないし、平日には人もまばらで一人しか観客がいない時だってあるのに。そこに目をつけて公開初日の今日、ここに来たというのに。

 もう劇場に行こうかな……。いや、やっぱりポップコーンは必需品だ。これがなくちゃ映画は始まらない。コーラだって必要だ。

「次のお・・・

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映画で査定

16/03/27 コメント:0件 寺沢花緑

 涙の神様は、浩平を見放したようだ。歯を食いしばって、お腹のあたりに力を込めて、必死に涙腺を説得したにも関わらず、ぽろぽろこぼれる冷たい粒が、ゆるやかに頬をなでていく。
 浩平は子供の頃から、感動的なシーンですぐ号泣する男だった。要するに涙もろいのだ。
 右の席に座っている香奈をちらりと伺う。拭うそぶりを見せずに、このまま涙が乾くのを待てば、香奈に気付かれず劇場を後に出来る__浩平はそ・・・

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僕が見た映画は海の中だった

16/03/27 コメント:0件 高木・E・慎哉

「え?どういうこと?」

彼女はそう聞いてきた。

僕たちは映画を見ていた。

質問の意味がよく分からなかった。

「え?何が?」

「この映画のタイトルよ」

この映画のタイトルは、『僕が見た映画は海の中だった』だった。

「この映画のタイトルはどういう意味なの?」

そんなこと僕に聞かれても…

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ファミリーサイズ

16/03/27 コメント:0件 月村千秋

「大学生の特権は平日の昼間から映画を見れることだよ」
 冴島龍さえじまりゅうという俳優のインタビュー記事に僕は感銘を受けた。大学の講義が急遽休講になって、どうしようか迷っていたときのことだ。
 やりたいことには貪欲な僕はさっそく最寄りの映画館へと直行した。閑散としたロビーは薄暗く感じた。冴島はこうも言っていた。
「ただ映画を見るだけじゃつまらない。ポップコーンを山盛り買って、指先・・・

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特別な空間

16/03/27 コメント:3件 あずみの白馬

 僕は映画は好きなのに映画館には全然行かない。
 どうせ数ヶ月後にはDVDやBDも出る、それをレンタルで見た方が安いし家でゆっくり見られるからだ。

 去年の初冬のある日、会社でも一目置かれている綺麗な先輩が私を映画に誘ってきた。
「今度の土曜日、映画の公開日なんだけど、旦那が急に行けなくなっちゃって……、チケット出すから一緒に行かない?」
 僕は現金にも首を縦に振っ・・・

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「 走馬灯 」

16/03/25 コメント:0件 こうちゃん

 その日は朝からピーカンで、波のサイズも腰ぐらいの
オフショアで、電車通勤サーファーの僕にはパラダイス
な三拍子だったけど、まさかこんなに簡単に逝っちゃう
なんて夢にも思わない訳で、でもこうして上空から海面
に浮かぶ、リーシュコードが首に巻きつき泡を吹いた己
を眼下に見下ろすって事は、成仏しかかっているのは明
白な訳で、「それではお先に」って、すぐに逝けるかっ<・・・

2

エンドロールの終わりには

16/03/26 コメント:1件 朝綺

 リビングのソファーで映画を見ていた。
 学生時代に所属していたサークルで撮った、三十分のショートフィルム。
 その物語は朝の白いリビングから始まる。
 壁一面の大きな窓、レースのカーテン。春の初めの淡い日差しが、優しい木目のテーブルに日溜りを作っている。
 画面に女性が現れる。白いブラウス一枚を寝間着替わりに纏っただけの心許ない姿で部屋を横切り、キッチンでカフェオレを淹れ・・・

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半年前の約束

16/03/26 コメント:0件 恵本とわも

左に曲がって少し進むと、もう行き止まりだった。
道夫は首を傾げた。どうなっているのだろう。
太郎の話によれば、
「ダンボール箱をいくつか繋げて迷路を作った」
と、いうことだったはずだ。だが、こんなに早く行き止まりになってしまうと、迷路とはいえない。
道夫は背後を振り返った。
「どうなってる?」
自分の後ろを歩いていた太郎に訊ねる。
「迷路・・・

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俺は映画を観ない

16/03/25 コメント:0件 海見みみみ

 正直な話、俺は映画が嫌いだ。感動できる作品や、腹から笑える作品があることは当然知っている。それでも嫌いなのは、映画が所詮作り物だからだ。作り物の感動に、作り物の笑い。
 そんな偽物に俺は興味がなかった。

 だからそのバイトを引き受けたのはたまたまだったと言える。大学の先輩から頼まれたバイト。それは映画のエキストラだった。
 日当二万円に釣られ引き受けたバイト。だが俺は早・・・

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眠り男

16/03/25 コメント:0件 りわ子

こんなはずではなかった。
初デートなのに・・映画館の椅子に座った途端、彼はずっと眠っている。
私の肩に頭を乗せて。
スヤスヤスースー寝息が聞こえて来る。
気をつかって、若い男が好きそうな洋画のアクションものを選んだのに・・

 整髪料の鼻をつくような人工的な柑橘の匂いに、頭がクラクラする。
服も髪もおしゃれに決めてきてくれたのに、なぜここで爆睡する?

1

主人公

16/03/24 コメント:0件 水色羽子

「ほら立て!」
主人公は、ヨロヨロの足取りで歩かされた。厳つい顔の悪人が屋上へ連れていく。
汚れきった顔の主人公、端に立たされて脅される。
「言え、俺をサツに売った奴は誰なんだ!」
主人公は、ペッと血を吐き出すと、目がキラキラするような目付きで見返した。
「誰かなんて教えても、疑ってるのはオレなんだろ。それなら、殺されるだけじゃないか」
悪人の腕を振りほどき、ニ・・・

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Once More 映画泥棒

16/03/23 コメント:0件 橘 聰

 新月の晩、都内某所(23区内ではない)の四つ辻に一人の少女が佇んでいた。時計の針が午前2時を指した時、少女は静かに、だがはっきりと闇に向かって声をかけた。
「映画泥棒さん、祖父の映画を……『炎の追跡者』を盗んでください」

 映画泥棒とは、ビデオカメラの頭部を持ち奇怪な動きをする男のことではない。あれは「カメラ男」である。カメラは録画の道具であって泥棒そのものではない。では、録・・・

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あなたの映画に

16/03/22 コメント:2件 ゆうい

「あなたが主人公の映画に出演したいのです。」
バイトが終わり疲れた体を引きずりながら帰路につく私は、見知らぬ男にこう話しかけられた。
「はぁ。そうですか…それで?どちら様でしょうか?」
ホントなら走って逃げるのが正解だろうが、疲れきった私にとってそれは不可能である。オマケに頭も働かないため、上手な逃げの言葉も出てこない。
「失礼しました。私、田中太郎と申します。今日、今そこ・・・

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防空壕

16/03/22 コメント:0件 イルカ

                  防空壕

 夏木裕一は、電車一人旅をしていた。駅で観光マップを見ると、昭和の町並が保存され、映画のロケ地と書いてあり、面白そうだと思い行くことにした。ここから電車で二駅だ。
町に着くとタイムトレベルしたみたいに、昭和の雰囲気を残す商店街だ。散策しようと、商店街を歩きだした。大衆食堂に目に入った。お腹も空いていたので、昼食をとることにした。中に入・・・

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ハリウッドスターになりたい

16/03/21 コメント:1件 虹色雅

ファンタジー、ミステリー、ホラー、ノンフィクション
私は映画に出演したい。ハリウッドスターになりたい!
アニメの声優をしたい!映画の世界は、無限の宇宙の可能性が秘めらている。
リアルとは違う。
ああ映画世界の住人になりたい。
冒険したり魔法を使ったりしてみたい。
あらゆる体験ができる夢の世界
映画
いつかハリウッドスターになりたい…
発達障害者・・・

2

詐欺師

16/03/20 コメント:0件 かめかめ

「映画に出たきゃ太れ」
 そう言い置いて春日は部屋を出ていった。苑子は唇を噛み、シーツを握りしめた。その裸の胸にはほとんどふくらみがなく、あばらが浮いていた。

 春日に取りいったのは、彼が有名な脚本家だからだ。だれが好き好んであんなゲスに抱かれたいと思うものか。苑子は歯を食いしばって執拗に肌を這いまわる舌の感触に耐え続けていた。
「新しい映画の話がきたよ」
 ベッ・・・

2

悪役の喜び

16/03/19 コメント:0件 キップル

「いいか。裏切り者には天罰が下る。久松のようになりたくなかったら、よーく肝に銘じておけ!」
「は、はい。若頭!」
《カット!》

 俺は俳優の中村陽太郎。今は刑事モノ映画の撮影中で、俺はやくざの若頭を演じている。この仕事もそうだが、どういうわけか俺には悪役がよく回ってくる。恐らく、筋肉質で背が高く、一重で目つきが鋭いためだろう。
 だが、本来の俺は小心な臆病者だ。人前・・・

2

いつか

16/03/19 コメント:1件 ゆえん

移動生活をしている。愛車はライトバン。一台に生活必需品を詰め込んで街から街へと移動する。
新しい街に行くと必ず行く場所がある。映画館だ。この街の映画館はショッピングモールの2階にあり、何百人と入る大型スクリーンや3Dが売りらしい。大型スクリーン以外にもこじんまりとしたスクリーンが幾つもあった。入ったのは数十人程度のこじんまりとした方観客は自分一人だった。
ほかに誰か入ってくる様子は・・・

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いちじく映画

16/03/18 コメント:0件 seika

 日本ではいちじくってマイナーな果物ですね・・・。お手洗いのソバなんかに植えれて・・・。それていちじくっていうと「いちじく浣腸」つていう人が居るでしょ。それでますますマイナーな日陰の果物になってしまうんですね・・・。

 しかし世界的に見るといちじくってアダムとイブの物語にも出てくるほどの、メジャーな果物なんです。アダムとイブのオハナシ以外にも聖書やギリシャ神話なとに沢山でてきて、向こ・・・

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私の世界

16/03/17 コメント:0件 飛鳥永久

私は、夫の真さんの転勤を機に結婚をした。

お互いの両親も離れたところに住んでおり人見知りで、なかなか友人も出来ず頼れる人がいなかった私は、日中は二歳になる娘、桜と二人だけの生活で、桜にも私しか居ない。そう思って頑張るしかないとどれだけ大変でも子供と向き合っていた。しかし最近特にわがままがひどくなった桜に精神的にとても疲れ果てていたある日の午後十時過ぎ。
ぼんやりテレビを見ていた・・・

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Lets 映画泥棒!

16/03/16 コメント:2件 にぽっくめいきんぐ

 光が誘導灯に切り替わる。カメラ頭が踊る。パトランプが追う。いつもの光景。準備は万端! カメラ頭は囮にすぎない! 真の映画泥棒は、今ここにいるのだ。

 500近い席の中央後方を、俺と彼女で陣取った。大学3年で出会い、いつも一緒に映画を観る。共に雑食。鑑賞後のカフェはアイスティー。彼女はアールグレイのホットだ。至福の時間の前に、内緒でやるべき事がある。

 映画は”IKKY・・・

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インセンティブ・ムービー

16/03/14 コメント:0件 yoshiki

 最近めっきり、面白いテレビが減りました。ドラマもマンネリだし、バラエティも阿保らしいし、テレビを録画までして観ようとする番組がないのです。昔はテレビが見たくて早く会社から帰ったこともあったくらいなのに、今は何を見てもつまらない。そんな風にミキヤは思っています。
 ミキヤにとってテレビはニュースを知る為だけの道具と化しました。映画も同じです。最近のミキヤほとんど映画館に行かなくなったし、とき・・・

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映画になった男

16/03/13 コメント:0件 たんぽぽ3085

「私を殺すと後悔するわよ」
七十がらみの小女である、
カルト教団の教祖Kはなぜか微笑んだ。
「いいから黙って金を出すんだ。
 俺は本気だからな。殺すと言ったら殺す」
Kは一向にひるむ気配がない。

「ああ、いいとも。私もこの世に飽きていたところだ。
 もうこの世界には何の未練もないね。
 人間の世界なんぞ、つまらんもんだ。魔界に比べればな」

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エンドロール

16/03/11 コメント:2件 mati

試写室からもうすぐ上映が始まるとのアナウンスがあった。
観客は思い思いの席に散らばり映画を始まるのを待った。
「大変長らくお待たせしました。私の新作をこの上映会にて執り行われることを
光栄に思っています。ごゆっくりお楽しみくださいませ」
Nの声が聞こえる。彼は大学の映画研究会に属している。彼の新作が出来たのだ。

しばらくするとスクリーンが明るくなり映画が始まっ・・・

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芽吹かない季節にとどまる

16/03/09 コメント:0件 つつい つつ

 電車に二時間揺られて東京のはずれにある小さい映画館に来た。原作の大ファンだったユウキに俺達が生まれるずっと前に映画化されたこの作品を大きなスクリーンで観たいって懇願するような目で頼まれたからだ。
 今日は格別に冷え込んでいた。ダウンジャケットにマフラー、手袋にカイロと完全装備にしてるけど、それでも寒かった。映画館の前には三十人くらいの客が待っていたけど、誰もが寒そうにして、じっとしてらんな・・・

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『ミッション・レインボーブリッジ:摩天楼に向かって撃て』

16/03/09 コメント:0件 南野モリコ

シネコン誕生以前から営業している町の映画館、シネマ・パラダイス。お正月映画にはまだ早い11月、『ミッション・レインボーブリッジ:天楼に向かって撃て』が再上映された。19××年、大ヒットしたポリス・アクション・ムービーで、主人公、工藤のセリフ、「俺はあんたを撃つんじゃない。あんたの犯した罪を撃つんだ」は、流行語にもなった。

工藤役を演じた木村ユージは、デビューしたての新人で、この映画で・・・

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映画とともに

16/03/08 コメント:0件 風富来人

 私の趣味は映画鑑賞と読書と小説を書く事だ。映画鑑賞と読書は小説を書く事に良い影響をもたらしている。
 私の趣味に読書と小説を書く事が加わったのは五年ほど前の事で、映画鑑賞は小学生の頃からの趣味だ。
 初めて観た映画は、家族で観に行った私が六歳の一九七八年に公開された「スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望」(以降、「スター・ウォーズ」)だ。確か公開当時はエピソードナンバーやサブ・・・

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さよなら、キネマ・ガール

16/03/08 コメント:6件 泉 鳴巳

 彼女に会うのも、今日で最後になるだろう。

 劇場内からロビーへ出た途端、彼女は大きく伸びをした。
「うーん、やっぱり何度観ても良いわ」
「恥ずかしながら、僕は初めて観たんだ。名作と言われるだけあって、余韻の残る素敵な映画だったよ」
「でしょう? もう何度観たか分からないくらい大好きな映画なの」
 得意気にあまり大きくはない胸を張る彼女。
「果たすべき使・・・

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吸血鬼がいた

16/03/07 コメント:0件 W・アーム・スープレックス

 映画が隆盛をきわめた時代は、どこの映画館でも三本立てでやっていた。三本ともなると、朝入館して出るのは夕方というのがざらだった。
 内容も、邦画あり洋画ありアニメありとなんでもありで、大人も子供も十分楽しむことができた。いまから考えれば脅威だが、館内は禁煙でなく、あちこちで観客たちの吸うたばこの煙が映写機から放たれる光線のなかに、もうもうと渦を描いていた。
 当時私は、ありあまる暇をも・・・

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クサイモノに銃声

16/03/07 コメント:5件 霜月秋旻

状況は今、極めて深刻である。私は窮地に陥っている。あたりは静まり返っている。今、私に救いの手を差し伸べてくれる者は誰一人としていない。私は最早、立ち上がることも出来ない。立ち上がった瞬間、すべては終わる。私が今まで築き上げてきた清純なイメージが一気に、ジェンガのように崩壊するだろう。それだけは避けたい。なんとかこの状況を打破する策を練らなくてはならない。
 私は神を憎む。今日は大切な日な・・・

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アーネストとロジー

16/03/07 コメント:2件 ちほ

 ボクが家に帰ると、二階への踊り場で、四つ年上の兄さんが、模型飛行機を手にいかに美しく飛行させようかと思案していた。彼は「おかえり。この飛行機をどう思う?」と問いかけてきた。「かっこいいよ」と答えると、「ほんとに」と目を輝かせた。
「うん、兄さんは器用だ」
 そう答えて、台所のドアを開けた。テーブルが見えて……部屋には入らず慌ててドアを閉めた。とんでもないものを見てしまった。
「・・・

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そうしてまた、始まる

16/03/07 コメント:5件 糸白澪子

ある日の明け方、貴方は生まれました。体重3000g程の元気な男の子です。地方都市の中流家庭で貴方は育ちました。幼少期から絵を描くのが好きで、他の子が外で遊んでいても見向きもしませんでした。当然のことながら画力は人一倍早く身に付き、小学校の頃は地域のコンテストで入賞することもありました。しかし絵が描けたって人気者でいられるのは低学年の間まで。背が伸びるにつれ周囲は貴方を指して“ジミ”、“インキ”と言・・・

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恋と、そうでない物の境目

16/03/05 コメント:0件 藤見春子

「この映画のどこを観てたの?」
 目の前に座る男が、ため息交じりに問いかけた。
 何故こんな嫌な会話をしなくてはならないのだろう。違う人間なのだから、同じ感想になるとは限らないのに。

 始まりは金曜日の夕方。
 職場の時計が定時を知らせ、まだ残る人達に恨まれないようにと、静かに帰り支度をしている時だった。

「週末、ちょっと付き合わない?」
 離れ・・・

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永華

16/03/05 コメント:4件 ヤマザキ

 私にとっての映画館というのは祖父の昔話を聞くための場所でした。
 映画――当時は活動写真なんて風に呼ばれていましたが、祖父に連れられて行っていたころは、まだ世にでたばかりで『画が動く』こと自体が大変な衝撃でありました。
 時代ですと明治の終わりの頃になりますから、まさに文明開化の集大成とでも言えるような代物です。
 活動写真という呼び名からも、初めて目の前で動き回る画を見た人々・・・

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リバイバル

16/03/05 コメント:0件 夏木 萌

土曜の午後の街は、巨大な玩具箱をひっくり返したように、無秩序で猥雑な華やぎに満ちていた。
圭介は腕時計に目をやり、少し早く着きすぎたと、軽く溜息をつく。
真梨が待ち合わせ場所に指定したのは、新しくオープンしたばかりのファッションビルのロビーだった。若い女の子に人気のブランドが多数出店しいるというだけあって、周囲を行き交うのは10代か、せいぜい20代前半にしか見えない女性たちばか・・・

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ダニューブの漣

16/03/03 コメント:0件 Fujiki

「四年前にサイゴンで観たあの映画を憶えているか? あれは美しかった」
 長参謀長は、ふと思い出したように八原高級参謀に言った。長が突然柄にもなく映画の話を持ち出したので八原は一瞬戸惑ったが、すぐに『ダニューブの漣』のことを言っているのだと思いあたった。
 一九四一年、八原は第十五軍参謀としてインドシナ南部の都市サイゴンに駐留していた。あてがわれた宿は軍の御用達となっている西洋風の高級ホ・・・

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カラー化

16/03/02 コメント:0件 林一

 映画の映像技術は、日々進化を続けていた。ところが、それに反比例するかのように、映画人気は緩やかに下降を続けていた。
 その理由は明白だった。映像技術以外の全ての要素が、全くと言っていいほど進歩していなかったためだ。いやむしろ、退化していると言った方が正しいだろう。
 過去の人気作の焼き直しのような脚本、端整な顔立ち以外は何の魅力もない大根役者達、センスのない演出など、せっかくの映像技・・・

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貴方だけの映画館

16/03/02 コメント:0件 よしざとめぐみ

深い眠りのなかで誰かの呼び声を聞いた。
重い目蓋を無理やりこじ開けられるような感覚で意識を取り戻す。私はイスに座ったまま眠っていたらしい。
長時間そのままだったのか体がこわばっている。肘あてに乗せた手を静かに伸ばした。
それにしても、変に部屋が変に薄暗い。
完全には目覚めていない頭をなんとか動かし辺りを見る。どうもかなり広い場所のようだ。それに目の前にいくつも同じイスが並ん・・・

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浅甕〈さらけ〉

16/03/02 コメント:0件 夢森空間

 甲高いブザー音が鳴った。それを合図に、先刻まであてどもなく彷徨っていた映写機の光が、スクリーンにびたりと照らし出された。

 映画館に来るのは実に久しぶりである。成人を迎えてからと云うもの、どうも休日の貴重な時間を割いてまでこういった娯楽場へ足を運ぶというのが億劫になってしまったのだ。その所為か、狭苦しい劇場内を煙霧のように漂うこの甘い匂いがとても懐かしく、また、一人で此処へ足しげく・・・

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Ms.スイートスイーツを探して

16/03/01 コメント:0件 みや

朝目覚めて洗面所に行くと、昨日まで一緒に暮らしていた女の家に歯ブラシを置いて来た事を彼は思い出し、まぁいいか、と歯磨きは諦めて口を濯ぐだけで済ませて、こういう所がダメなのかなと苦笑いした。

身支度を整えてリビングに戻ると、スマートフォンに昨日まで一緒に暮らしていた女と知り合った同棲迄をサポートしてくれる企業から新しい女性紹介の新着メールが届いていた。同棲がふしだらだと認識されていたの・・・

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男脳 女脳の違い

16/03/01 コメント:2件 睦月 希結

 以前から気になっていた恋愛ものが、仕事の忙しさが重なり見ないまま返却期限が明日になった。果歩の部屋にはこだわりの大きめのテレビがある。ローテーブルにはワインとチーズ。今夜は恋人の直哉も友達と飲むと言ってたし、ゆっくりと鑑賞出来ると照明を暗めにし、カウチに座り リモコンを操作する。
週末に互いの用事を優先するなんて恋人と言えるのかなとグラスを傾けながらひとりごちていると、チャイムが聞こえた。・・・

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くだらない話だが

16/02/29 コメント:0件 素元安積

 くだらない話だが、俺には悩みがある。それは、映画館の大事なシーンについトイレへ行きたくなってしまうことだ。今まで、それでどれだけ苦労してきたことか。俺なりに、トイレへ事前に行ったりもした。そんなことは何度も試みた。だが、絶対にこれから良いシーンだろという場面でトイレへ行きたくなる。戻ってくると、皆が泣いている。そればかりだ。なので、今俺は映画館のスタッフにどうすれば良いかを相談していた。
・・・

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才能が欲しかった男

16/02/29 コメント:0件 ポテトチップス

賢太は茶封筒を大事に抱え、エレベーターで4階に上がった。ドアに(株)サミューズとプレートが掛かっているドアを開けて中に入ると、パソコンに向かって仕事をしている数人の女性が賢太に顔を向けた。
「あのう、すいません。オリジナルのシナリオを書いたんですが、読んで頂けないでしょうか?」
1人の女性社員が椅子から立ち上がって「うち、そういうのお断りしてるんです」と言った。
「読むだけでいい・・・

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二人の侍

16/02/29 コメント:0件 笛地静恵

 ギリシア様式の石造りの壮麗な映画館は、半分が海に沈んでいる。人類史へのあけぼのへの懐旧の産物である。波に、あかりが踊った。勇壮な音楽が、かかっている。
 映画館の中には、入らなかった。人間の体臭が、臭くてならない。
 夜になった。陸風が海に向かう。ここで、酒を飲んでいた方がいい。人間の数が少ない。海は始原の無垢を取り戻している。潮の香がする。俺は、外のテラスになった石の斜面で、夕食を・・・

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