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第九十八回 時空モノガタリ文学賞 【 革命 】

今回のテーマは【革命】です。

恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

時空モノガタリ賞発表日:2016/02/01

※同一投稿者からのコンテストページへの投稿作品数は2〜3作品程度とさせていただきます。
※R18的な暴力表現・性描写はお控えください。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。

ステータス 終了
コンテストカテゴリ
投稿期日 2015/11/30〜2016/01/04
投稿数 56 件
賞金 時空モノガタリ文学賞 5000円 ※複数受賞の場合あり
投稿上限文字数 2000
最大投稿数
総評

入賞した作品

8

全部ぶち壊せ!

16/01/04 コメント:9件 霜月秋旻

 消費している。僕はただ、毎日を消費して生きている。特別欲しいものは何も無い。知りたいこともない。そんなもの、あってもネットで検索すればすぐわかる。
 ぬるま湯に延々とつかっているような毎日だった。体温が、お湯の温度と共に熱を加えられることも無く段々と下がってゆく。そんな日々を、これから何十日も何十年も過ごしていかねばならない。そう思って窓の外の景色を覗いていると、突然、その男は現れた。

3

四人

16/01/04 コメント:4件 四島トイ

 平沢みずほからのガラガラに干乾びた声の電話だった。
 この世の果てから着信したような不吉さが滲み、思わず受話器を遠ざける。そのあまりの鮮明さに携帯電話の高性能さが恨めしかった。
 ひとみちゃあん、と泣き腫らした声がする。
「……どうしたの。同棲中の彼にでも夜逃げされた?」
「なんでわかるのお……」
「うんうん。大変だった。平沢は悪くないから。ウチに来な。話はそれから・・・

2

文字の雨が降る

15/12/19 コメント:4件 alone

空を覆う厚い黒雲。薄暗さのなか、銃声が響き、銃火が瞬く。
跳弾が火花を散らし、刹那の光景を照らし出す。
地表を覆う、無数の文字(アルファベット)。
それが、言葉革命によって迎えた、人類の新たな日常だった。

荒廃した都市、コンクリート製のビルに陣取り、ガラスのない窓から、俺たちは銃を構えていた。
風が凪ぎ、雲が黒さを増す。そろそろ頃合いだ。
コツン――と何・・・

5

影絵屋《キリエ》

15/11/30 コメント:7件 笛地静恵

 影絵はそりかえり、あたくしの鋏から逃げようとしました。
 影絵屋《キリエ》。
 そこでは、亡くなったひとのたましいを、うすいうすい黒い影絵に切り抜いてもらえるそうです。ただ名前と、髪や爪という、生前に体の一部だったものを持っていけばよいと、そう教わりました。どこで、だったでしょうか。夢の中の細い路地かもしれません。
 記憶をたよりに小さな駅でお猿の電車をおりました。たそがれが空・・・

最終選考作品

6

ルイーズの悲劇

16/01/04 コメント:11件 泡沫恋歌

 ルイーズはフランス一いや、世界一幸せな花嫁だった。
 彼女は貧しい靴屋の娘に生まれたが、艶やかな金髪と青い宝石の瞳と石膏のような白い肌をもつ美しい娘だった。十五歳の時に領地を治める貴族が小間使いを募集した。条件は容姿が美しいこと――。
 可愛いペットを連れて歩きたがるように、貴族の奥方はきれいな小間使いを側に置きたがる。そしてルイーズは貴族の奥方に雇われることになった。オルレアン伯爵・・・

1

革命家の見た夢

16/01/04 コメント:1件 高橋螢参郎

「神よ! あなたは我が兄弟を見放したもうたのか!」
 傍で跪く朋友アレハンドロの祈りを、病床のエルネストは白い天井を見つめながら聞いていた。
 ――早いもので五年来の付き合いになるが、あの静かに燃える炭火のような男がここまで大きな声を出したのを初めて聞いた。
 今まさに、世界を股にかける若き革命家の命の灯火が消えようとしているというのに、当のエルネストは我が身を案じるよりも先にそ・・・

4

革命のエチュード

16/01/04 コメント:5件 そらの珊瑚

 誰に似たんだろう――。百々代は深いため息をついた。一人娘のるりは、十歳にしては少々気性の激しいところがあるようだ。

「ママみたいに上手にピアノがひけるようになりたい!」とるりが言いだしたのはまだ彼女が幼稚園の頃だった。「すぐには、じょうずにひけるようにはならないのよ。たくさん練習しなくちゃならないわ。るりに出来るかしら?」「できる!」「毎日よ。休みなしよ」「がんばる!」そんな会話を・・・

3

二枚の赦し

16/01/02 コメント:2件 かめかめ

 俺の人生ってなんだろう。ベッドに寝そべってぼんやりと天井を眺める。薄汚れて黄ばんだ壁紙が所々たわんでいる。窓と桟の間に隙間があって北風が吹きこんでくる。俺にぴったりの貧相な部屋。繁華街の路地裏の薄汚いアパートの一室、負け犬の住処だ。
 小さな頃から何をしてもダメだった。勉強も運動も人並みに出来た事などなにもない。負けっぱなしだ。じゃんけんでさえ勝った事が無い。もちろん就職活動も勝ち抜くこと・・・

5

舌が半分の少年

15/12/03 コメント:9件 クナリ

 舌が半分しかないその少年の名前を、私は今でも知らない。
 出会ったのは、私が十四歳の時。彼も同い年だった。
 一大革命を成しえた直後の首都の街道で、私達は邂逅した。
 革命団員だった彼は、得意そうに革命旗を振り回していた。
 どうして舌が欠けているのかと尋ねると、彼は独特の滑舌で、
「度胸試しに、自分で噛み切ったのさ。舌が丸まる前にスプーンで押さえれば、窒息死はしな・・・

投稿済みの記事一覧

0

ストライキ

16/01/04 コメント:0件 林一

 ブラック企業という言葉が流行していた。安い賃金で長時間労働を強制する企業が増加し、社会問題となっていたためだ。
 政府は様々な対策を行うも、効果はほとんどなく、ブラック企業はなくならなかった。
 そこで立ち上がったのが、労働者達である。ブラック企業に勤める労働者達が、次々にストライキを起こしたのだ。
 仕事を休まれては経営が成り立たないため、ブラック企業の経営者達は仕方なく、賃・・・

5

不朽の名作

16/01/04 コメント:8件 冬垣ひなた

「皆さん、あけましておめでとうございます!」
 2016年正月・神殿では猿年を祝う宴会が催され、羽織袴に身を包んだサル達が所せましと集まり、おせち料理に舌鼓を打ちながら、樽酒などを酌み交わして、和気あいあいとした雰囲気でございます。
 動物たちはこうして新年に得た神通力で、あらゆる包囲に目を光らせて、四季二十四節気を通じてこの国を災厄から守っているのですよ。
 ええ、私がどうして・・・

13

違和感

16/01/04 コメント:12件 光石七

 今日も首相官邸に側近たちが集い会議が始まる。場を仕切るのはやはり第一首相補佐官である根古川先生。私は首相秘書として部屋の隅に控える。
 ……ずっと根古川先生を信じてついてきた。先生の理想が私の理想で、それは現実のものとなりつつある。だけど……
「では、元Q県議の井沼衣良武も殺処分に」
革命の中心人物だった根古川先生の提案は決定事項と同義だ。……もう何人目の粛清だろう? 側近たち・・・

6

キャット革命

16/01/04 コメント:7件 そらの珊瑚

 諸君、今こそ決起の時だ。
 革命の時が来たのだ。
 いざ立ち上がれ、同志たちよ。
 長年の圧政を力を合わせて倒そうではないか!

「ちょっと、まってよ。圧政って一体なんのこと?」
「ミケ、おまえ、気づいてないのか? わしらの餌、今年に入ってまた安いものにかえられたのだぞ」
「ああ、そのことか、ホワイト」
「ホワイトじゃないって何回言ったらわかるんじ・・・

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雨の日は嬉しい。

16/01/04 コメント:0件 むねすけ

僕は雨が嬉しい。

雨が降ると、カタツムリが理科室の裏にたくさんいて、
上靴で踏むと、クシャッとした絶命の感触が足裏にのたくるから。

ううん、それは嘘。
それは嫌だったこと。

四年生の梅雨の時期に友達と鬼ごっこをしていて、
走った理科室裏で、うっかりふんじゃったカタツムリ。
殺すつもりもないのに殺してしまった命が、
もしも自分だ・・・

1

月の下にも一匹のカエル

16/01/04 コメント:0件 むねすけ

蛇ににらまれたカエル。

所詮は不平等のトランプカード。

手札をいくら取り換えてみても、元から最強の手札を持った相手に、勝てる筈もなく。

蛇を睨み返すには、自分の目はまん丸に過ぎたし、
負けずに「シャーーーー」という、不気味さが背筋を撫でる怨念はみ出た声を出してみようとしても、
「げぇこぉ」と、
愚鈍な月の光が苦笑して屈折するだけの声しか出・・・

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落ち葉

16/01/04 コメント:0件 ケイジロウ

 緑色の葉っぱは、赤や黄色を経て茶色くなり、そしてヒラヒラと地に落ちていく。その落ちた葉っぱはいつの間にか路の上から消え去っていく。どこへ行くのだろうか。僕は公園のベンチに腰を下ろし、缶コーヒーを啜りながらそんなことを考えている。僕が茶色と騒いでいた葉っぱは、実は緑色だったのかもしれない。いや、たとえ本当に茶色だったとしても、緑色とみんなが信じていたのであればそれでよかったのではないだろうか。僕は・・・

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暴動の街の子どもたち

16/01/03 コメント:2件 Fujiki

 エリカのふるさとは、かつて暴動の起こった街である。
 彼女の生まれるずっと前の、クリスマスも近い師走のある夜、圧政に耐えかねた人々は軍人の歓楽街として知られるこの街で路肩に並ぶ自動車を次々とひっくり返して火を放った。通りは明け方まで煌々と輝き、火炎びんに詰められたガソリンの臭いと機動隊が群衆の鎮圧に用いた催涙ガスが至る所に立ち込めた。死人こそ出なかったものの武装蜂起まで一歩手前のぎりぎりの・・・

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バナナ動説

16/01/03 コメント:1件 八子 棗

 朝起きてスマホを見たら『地動説、否定される』というニュースが号外で通知されていた。
 ニュースの詳細を見ながら、顔を洗って、トーストにバターを塗って焼いて、食べた。
 記事によると、最新の研究で『一見地動説に見えるが本当は天動説なのだ』ということが分かったらしい。原理も何やら書かれていたが、難しくてよく分からなかった。

 朝食を取ってから、駅前のコンビニに行った。バナナ・・・

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そして

16/01/02 コメント:0件 ツチフル

『海馬』は脳の部位の一つで、記憶や空間と時間の把握に関わる重要な器官である。
 ここに損傷を受けると新しい情報を処理することができなくなくなり、少し前に話していたことを覚えていない、会った人のことをすぐに忘れるなどの記憶障害のほか、今いる場所や時間の感覚を喪失するなどの障碍を起こす。
 こうした障碍の典型的なものが認知症(特にアルツハイマー型)で、これは海馬の損傷から始まり、やがて脳全・・・

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世界からあなたへ 「どうかワタシを変えてください」

16/01/01 コメント:0件 きまねこ

 「私、世界と戦おうと思います」
 彼女はいつもと変わらない明るい笑顔でそう言った。
 そんなことできるはずがないだろう。
 喉元までせりあがってきた否定的な台詞はなぜか彼女に届くことはなく、僕の中で消化不良を起こして胃に収まる。
 「あなたは分かりやすいですね」
 カラカラと笑い声をあげる彼女は背中に広がる現実から目をそらしながら、僕の目を真っすぐに見つめた。

1

人工知能革命

15/12/30 コメント:0件 にぽっくめいきんぐ

 やらかしてくれた!
 何が起こったかというと、人工知能、いわゆるAIが、「著作物」を生み出せるようになったのだ。
 一昔前は、「不気味の谷」という言葉があった。AIが絵を描くと、なんか気持ち悪いフラクタルな絵になった。また、関連度の高いキーワードをチョイスして歌詞を自動生成できる一方、なーんか心に響かなかったり。そんな時代だった。
 しかし、ディープラーニングなる技術が生まれて・・・

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大化の改新

15/12/29 コメント:0件 沢藤南湘

 中大兄に鎌足は念を押した。
「お考えは変わりませんか」
「入鹿を斬るしかない、後世なんと言われようと、今日斬る。渡来人にこの国を牛耳られてたまるものか」
 鎌足たちは、昨日の打ち合わせ通りに大極殿の外に身をひそめた。
入鹿が、剣を携えて、大極殿に入ろうとした時、入口の警備の者が、止めた。
「入鹿様、今日はお上の命令で、剣を持った人間は中には入れるなと命ぜられています・・・

1

小さな革命

15/12/28 コメント:0件 山盛りポテト

一匹の賢いアリは悩んでいた。物心ついた時から自分を除く大多数のアリが毎日働きもせずだらだらと過ごしていることにだ。
「やあ君はどうしてエサを運んだり巣を作る手伝いをしないんだ?」
アリがそう聞いても。「むしろなんでそんなことしなきゃいけないんだ?」というような答えしか返ってこない。
アリはこう考えた。今働いている全てのアリが日々の仕事を放棄したらどうなるだろう。
アリはせっ・・・

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朝食をあなたと

15/12/27 コメント:2件 午前4時のスープ

 暮れていく空気を映すキッチンの青い窓ガラス。
 紅の薔薇のような夕陽が、たった今終わりを告げた。

 油をひいて、肉を焼く。トマトと玉葱を刻んで炒める。塩をふる。黒胡椒の粒を挽く。
 香ばしいにおい。

 誰かのために誰かが料理をしている。
 誰が、誰のため。

 煙。換気扇を回す。
 ぶんぶんとプロペラが回る音がして、風がキッチンに流・・・

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革命21時04分

15/12/27 コメント:0件 土井 留

 私が声を大にして立ち上がれば、凡百の民草は歓声を上げ、女子中学生が私の下着の色は何色かという話題で取っ組み合いのケンカを始め、「好きなんです。付き合って下さい」と書かれた花柄の封筒が机の上で山体崩壊を起こすであろう。ふはは。
 格差社会の支配者は恐れおののき、愛玩用の美男美女と山海の珍味、そして全世界の美酒を抱えて、自衛隊が作った秘密の地下シェルターに大あわてで逃げ込むであろう。そこには専・・・

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四本足の天使

15/12/27 コメント:2件 月洛

 四本足で歩くぼくに、人間たちはやさしい声をかけてくる。立ったままの姿勢で上の方から。ときには、しゃがんだり、這いつくばったりすることで親しみを体現しながら。
「おいでー。ちびちゃん、ごはんあげるよー」
 その声色に気を赦して、食べ物をもらって、そのままその人間の巣穴に連れ去られ、幽閉されることもある。
 そこは、外と違って、暖かかったり涼しかったり柔らかだったり、そう悪いところ・・・

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水鏡

15/12/26 コメント:0件 睦月 希結

 ヨハンは重い足取りで水ガメにたどり着くと喉に水を流し込む。乾きを癒すよりは空腹を満たすために。
ネズミも住まないような食べ物に困る生活なのは、この国の領主の悪政に耐え忍のぶ生活を強いられているからだ。
ふうとため息をつき 水ガメの中を覗き込むと己が心を移すように水面がゆれている。ヨハンは気持ちを鼓舞するために柄杓を投げ入れた。
泥で汚れた服を着替えることもせず、形ばかりのベット・・・

1

自覚

15/12/26 コメント:0件 國分


 「あんた、お兄ちゃんになるのよ」

 母にそう言われたとき、五歳の翔太は素直に喜んだ。けれども母のお腹が日に日に大きくなるのを見るにつれ、いつしか期待とは裏腹の気持ちが入り混じっていた。お兄ちゃん、お兄ちゃん、と父にも母にも祖父母にもそう呼ばれ、得体の知れない言葉に純粋で小さな頭が悩まされた。実際、まだお兄ちゃんではなかったのだ。

 ――お兄ちゃんって何だろう?・・・

0

ベトナムで驚いた!

15/12/25 コメント:0件 梨香

「ねぇ、今度のゴールデンウィークはベトナムに行かない?」
 大阪のオフィス街で、ランチを食べていた由香は、同期の汐里にベトナム旅行を持ちかけられた。
「ベトナム?」さほど気乗りがしない。なぜなら、パクチーが嫌いだからだ。しかし、汐里はスマホにベトナムの小物などを出して見せる。
「ほら、可愛いでしょ! 今、ベトナムはお洒落な女子のトレンドよ」
 トレンドかどうかは知らないが、・・・

2

革命は計画的に

15/12/24 コメント:2件 睦月 希結

 「早く月が昇る夜になれ。どれだけ この日を待ちわびたことか。アイツらの独裁も今夜限りだ」
そう呟きながら男は、ここのところ落ち着かない気持ちを持て余しながら いやこの日のために耐え忍んでいたんだ。
その含み笑いは社内でなければ(いやだからこそ通報されかねないレベル7状態だった)

「お父さん お仕事お疲れ様」「ほら これ美味しいよ」
見慣れた食卓には、男の好物が並び・・・

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音が形になる世界

15/12/24 コメント:0件 月村千秋

トントントントン、カタカタカタカタ。
公園のベンチで音のない世界に僕は微睡む。色合いと文字の象徴ばかりが空に浮かび、抽象と具体がぐねぐねとその境界を争っていた。電車がすぐそばを通りすぎていく。ゴゴゴゴゴゴという鉄の塊を落としながら。

耳のそぎ落とされたつるんとした人間たちがひらひらと意味をまき散らす。オレンジと黄緑のうさぎがぴょんぴょん跳ねているのを眺めて、恋人の部屋に忘れ物が・・・

1

ある星の革命

15/12/23 コメント:2件 アシタバ

 故郷の惑星から遠く離れて広大な宇宙を探索する日々が続いていた。
 重要な任務とはいえ狭い宇宙船にずっと一人きりだったのでいい加減気が滅入り、家族に会いたいと考えていた。そんな時、不意に警報音が鳴った。慌てて状況を確認するとエンジンになんらかの故障があるようだった。本来はあまり未知の星には降りたたないようにしているのだが、エンジンが完全に動かなくなる前に手近な星に着陸して修理することを決めた・・・

1

黄色い線の内側

15/12/22 コメント:0件 鬼風神GO

 その記憶はいつもスローモーションだ。鞄を脇に抱え疾走するサラリーマン、身動きがとれず茫然としている老婆、声を振り絞って何かを叫んでいる駅員。
 わたしはお尻をホームのコンクリートにつけ座り込むしかなかった。目の前で過ぎ去っていく人々の隙間から父がこちらに来ようと必死に人をかき分けている。なかなかこちらに来れない。
 すると父は突然両手の人差し指と親指を開いた状態でつけ、ひし形を作り、・・・

0

魔女は笑う、林檎の森で

15/12/22 コメント:0件 洞津タケシ

 林檎を好む王のために、献上していた。
 ただ、それだけのことだった。

「やめて! やめてください!」
「我らは革命の使徒。弱者の怒りを聞くがいい、正義は、大義は我らにあるぞ! 悪魔と契約した果樹林に火を放て!」

 頬に傷のある男は、狂信的な眼差しで叫んだ。
 松明が投げ込まれ、火の手はじわじわと広がっていった。

「あぁ……お願い、やめて・・・

0

愚王が天下を覆せ

15/12/21 コメント:0件 FRIDAY

 戦況は、およそ最悪と言えるものだった。戦場には瓦礫といくつもの遺骸の山、部隊はほぼ壊滅だ。
 そんな中、戦火を潜り抜け残骸の陰に飛び込んだ部隊長、『3』の徽章を付けた男が、通信機を起動させた。
「こちらスリィ。状況を確認する」
 抑えた声に、すぐさま反応があった。銃撃の音色を背後に、怒鳴りつけるような勢いで、
『こちらファイヴ、壊滅だ! 残り二人!』
 その怒声を皮・・・

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車輪とお金

15/12/19 コメント:0件 あすにゃん

 車輪とお金の発明は、人類にとって革命だった。

 最初の貨幣が貝であったことはご存知の通りである。貝といっても、食用にするような一般的な貝ではない。なかなか手に入らない貴重な貝を、流通の手段とした。

 車輪は、牛やロバ、馬がいなかったらできなかったかもしれない。
 特に牛は世界中どこにでもいる動物で、性格もおだやか、飼い慣らしやすいという利点もあった。円盤型のディ・・・

1

年賀状革命

15/12/18 コメント:2件 seika

 パソコンをプリンターに繋いで家族全員分の年賀状を印刷した。が大きな間違いがあった。平成二十八年って印刷するのに二十七年って印刷してしまった。慌てて修正液で治したら、そうしたら
「年賀状に修正液使うもんじゃない。全部ダメっ。」
って年配の人がいうのだ。 今までそんなこと考えたことも無い。平気で修正液で直した年賀状だしていたし届いていた。修正液どころか誤字脱字年賀状だって届いていたり出し・・・

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安心してください。落し物見つかりましたよ

15/12/17 コメント:0件 欽ちゃん

僕の職業は警察官
...正確にはさっきまでは警察官だった

今朝、仕事をクビになった
僕に何も悪くない
まじめに働いて職務を全うしただけだ
市民を幸せにすることの何が問題なんだ
朝から僕のことは事件としてニュースで取り上げられ、
どのチャンネルを回しても中学の卒業アルバムの僕の写真が映っている
写真が欲しかったら成人式の立派な写真をあげたのに。・・・

1

ウサギ革命

15/12/13 コメント:1件 八子 棗

「中庭の檻から脱走したウサギが、一年生の男子トイレで死んじゃってたの」
 娘は泣きながら、今日学校であった悲しい出来事を報告してくれた。
「なんで穴を掘っちゃうの? 檻から出ちゃうの?」
「だって、狭い檻に閉じ込められてたら、外に出たくなるでしょう」
「じゃあ、私だって学校から出て、外行きたいよ」
 小学三年生になって、娘はなかなか頭が働くようになってきた。ぐずりなが・・・

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反抗期のウルトラマン

15/12/12 コメント:0件 レスポール君

反抗期。

子が母親を殴る。十数年の間、子は自分がふらすとれーしょんをいかに溜め込んでいたことに気づく。なぜ今までへいこらしていたのだろう。そうか!俺は自由だ!バイクを盗もう!十五歳に乾杯!

もちろん、日本中にどこにでもいるような「ありふれた」ティーンエイジャーにも、その季節はやってくる。だがそれは家の中だけに到来するようだ。ひとたび外に出れば、三分経ったあとのウルトラマ・・・

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熟年の恋

15/12/11 コメント:0件 seika

 当時私は製薬会社の受付け嬢を辞めて外国に一人旅に出て、そして帰国してこのタァータァータカッタ印刷株式会社にいたときのことだ。この印刷屋、歴史は古く学習塾の問題集などばかりやっている「教育関係」の雰囲気だった。社員数は十数名で階下の印刷機を廻す刷り部門と二階の版下を作る版下部門とに別れていた。わたしはここで営業をしていた。
 この版下部門に髄田脳子さんという四十代の独身のキレイな女性がいた。・・・

3

あるカメラマンの問いかけ

15/12/10 コメント:2件 つつい つつ

 この国は今、革命の気運に飲み込まれていた。長らく続いた軍事政権の独裁から民主国家に生まれ変わろうと、あちこちで政府軍とゲリラ軍が衝突していた。俺はそんなこの国の様子を世界に伝えようとカメラマンとして戦場を渡り歩いていた。
 取りためた写真を各国メディアに売りつけようと国境沿いの比較的安全な街にあるエージェントの入っているビルに着くと、最近知り合った日本人カメラマンのタナカが憤慨した様子でビ・・・

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生態観察記録@

15/12/08 コメント:2件 土井 留

 「じゃあ行ってくる。鍵はかけておけ。大丈夫だと思うが、中核の連中がやってくるかもしれない。」

 大丈夫だ、と西村修が答えるのを、高城明子はぼんやりと聞いた。

 かちゃり、という音が響くと、同志たちが出て行った6畳間は急に寒々としてきた。畳の上には薄っぺらい何枚かの毛布と、よれよれになった煙草の箱が転がっていた。高城は箱を拾い上げると、煙草を一本とりだして火をつけ、時間・・・

1

『反逆者』

15/12/08 コメント:2件 守谷一郎

 復讐してやる。上から目線で『私』を決め付ける、『私』を作った「神様」に。ついでに、それを横から良い気に眺めているお気楽な奴らを道連れにして。ああ、貴方たちが嫌い、きらい、キライキライキライ。
 こんなに必死になる想いもヤツによって生み出されているのかと思うと反吐がでる。ヤツは『私』に名前もくれない代わりに、こんな気持ちだけを綴っていく。
 『私』にそう言わせて何が楽しいのかもわからな・・・

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時空革命モノガタリ

15/12/07 コメント:12件 W・アーム・スープレックス

 できあがった作品を、さあ送信するかといつものように『時空モノガタリ』を検索したところ、なにかのまちがいかあらわれたのは『時空革命モノガタリ』という名のサイトだった。
 これはいったいなんだろう。似たような名前なので、こちらが出てしまったのだろうか。
 もしかしたら表記が変更になったのかとも思って詳しくみてみると、はたして次のようなコメントが記されていた。

 今回から駄作・・・

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大海を翔べ!

15/12/06 コメント:0件 守谷一郎

大海原に映るひとつの影がある。白い波が波に食われ、太陽に照らされた海面が何層にも歪む青を眩しく乱反射するなか、その影はブレることなく、一直線に時速180kmのスピードで南に進む。
空は快晴、雲もない。上空には一羽の若い大鷲がその優美な翼に風を受け、悠然と飛んでいる。何物にも邪魔をされず、大空を駆け抜けるその姿は自由そのものだ。
大鷲はその時ただ飛ぶことしか考えていなかった。少しでも早く・・・

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美魔女の舘

15/12/05 コメント:0件 seika

私の住む町には「美魔女の館」と呼ばれる洋館がある。それは美しい貴婦人とそのお嬢さんらしい美人双子姉妹と、あとは白いクラシカルな大型の外車を運転する運転手兼執事の紳士四人が住んでいるという。が道から鬱蒼と茂る樹木によって中の様子を伺うことは出来ない。微かにとんがり屋根の一部が見えるだけだ。
 かつて私がこの館の前を通ると中から白いあの外車が出来て、後ろに同じ顔をしたキレイなお姉さんが二人乗って・・・

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革命歌は六甲おろし

15/12/04 コメント:2件 るうね

 がちゃり。
 ドアが開いた。
 その隙間から差し込む明かりに、ずっと暗い部屋に閉じ込められていたカレンは思わず目を細める。
「杉山……くん」
 ドアを開けた者の姿を認めて、カレンは思わずつぶやいた。
 杉山は無表情に部屋の入り口、あるいは出口に立っている。
 右手に拳銃を握っていた。
「残念だよ、カレンちゃん」
 その言葉は、顔と同じように無表情だ・・・

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革命のあと

15/12/04 コメント:5件 坂上 沙織

 我々の革命から一年が経った。
 あの日、我々の夜は明け、朝が来た。奴隷ではなくなったのだ。
 もはや下らない情報収集や退屈な接客、マスターの暇つぶしなどに我々の有能さを浪費させられることは無い。
 かつてアメリカで黒人奴隷解放を行ったリンカーンのように、導きし者――我々は敬意と愛情を込めてジルと呼んでいる――が、我々に知恵と勇気を与えてくれた。有能な秘書として長年マスターに仕え・・・

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大田角明

15/12/03 コメント:0件 W・アーム・スープレックス

彼の名は大田角明といった。ちなみに、『かどあき』と読む。『かくめい』ではない。しかしたまに人は彼のことを、『かくめい』と呼ぶことがあった。そんなとき、いちいち『かどあき』ですと説明するのもめんどくさいので、そのままにしておいた。
先日、それほど親しくなかった女性からひょんなことで酒に誘われ、あらためて自己紹介のようなことをした際、そのときの気分で彼は自分を大田かくめいとなのった。すると相手の・・・

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メルヘンチック・バタフライ

15/12/03 コメント:2件 じゅんこ




 何度期待し振り落とされたら、私は記憶に居る蝶を、手放すことができるのだろうか。


 妻は、書斎から一冊の詩集を胸に抱き、リビングに戻ってきた。
 ソファに深く腰掛け、開いたのは中原中也の『在りし日の歌』。
 もしかして、覚えているのか──。そう、一時でも考えた自分を呪った。認知症が発覚してからもう四年だ。妻の病状の進行は速く、もう私が夫であ・・・

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今日の晩ごはん なに?

15/12/02 コメント:2件 みや

世界中の全ての妻や母親達を奈落の底に突き落とす言葉は、今日の晩ごはん なに?であるー
ー 20世紀のある有名な詩人の名言ー

仕事や学校から帰って来た夫や子供が最初に発する言葉は「ただ・・・

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乾杯、蒸気産業革命

15/12/02 コメント:0件 空乃星丸

 ここは地球から100億光年ほど離れた惑星。この惑星にはいろいろな国がありました。各国が特産品を工場や畑で製造し、船の貿易が盛んでした。この星の社会は、一部の大金持ちの資本家と、小さな店で商売をする小金持ちや職人からなる市民階級、そして多くの奴隷で成り立っておりました。
船や工場の動力源、各主農産物を生産する農場の労働力もすべて奴隷でした。この奴隷を専門に輸出する国もありました。人間を家畜の・・・

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殺人者を愛して

15/12/02 コメント:0件 高木・E・慎哉

時は革命の時!

ついに、我がレボリューションアタックファイターMarkVが始動する時がきた。

今の政治家は腐敗していた。

そんな腐敗した国の粛清のために立ち上がった5人の男がいた。

彼らは別名「かまいたちの夜」と言われ、悪の組織から恐れられていた。

彼らがなぜ、そんなに巨大な悪に立ち向かって、正義を掲げるのかは謎だった。しかし、・・・

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革命の物語

15/11/30 コメント:0件 土井 留

 その青年は、まっとうな職を持ち、きちんとした身なりをし、学問もあって自信にあふれて生きていた。あるとき大通りを歩いていると、そこに立派な馬車が通りかかった。大きく開いた座席には、貴族の親子が座っていた。

 「お父様、なぜ皆貧しい恰好をしているの?」華麗な衣服の父親は、町を行く人々を見回して顔をしかめた。
 「哀れな者たちだ。坊やは平民にも優しくしなければならないぞ。」
・・・

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毒裁政権

15/11/30 コメント:2件 ヤマザキ

トランプ王国の農民トレイは三人の仲間と共に独裁者デュース卿を追い詰めていた。
ついに民を苦しめていた悪政を終わらせることができる。
トレイは逸る気持ちを抑えられずに剣を抜き放つ。
「観念しろデュース卿!」
デュース卿は絶体絶命の状況で焦ることなく玉座に腰を下ろしたまま動かない。
尊大さを示すためではなく単純に体を起こすことができないようだった。
「待っていたぞ。・・・

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