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  2. 第九十回 時空モノガタリ文学賞【 祭り 】

第九十回 時空モノガタリ文学賞【 祭り 】

今回のテーマは【祭り】です。

恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

時空モノガタリ賞発表日:2015/10/05

※同一投稿者からのコンテストページへの投稿作品数は2〜3作品程度とさせていただきます。
※R18的な暴力表現・性描写はお控えください。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。

ステータス 終了
コンテストカテゴリ
投稿期日 2015/08/10〜2015/09/07
投稿数 61 件
賞金 時空モノガタリ文学賞 5000円 ※複数受賞の場合あり
投稿上限文字数 2000
最大投稿数
総評

入賞した作品

9

愛妻と、祭のあとに。

15/09/07 コメント:13件 滝沢朱音

 それは、剣先が触れ合うか否かの瞬間、相手の力量を見抜いてしまうようなもの。

 転校してきたばかりの君が軽音楽部の見学に来たとき、僕がギターをわずかに鳴らしただけで、君は落胆したはずだ。
 なのに僕ときたら見せ場はこれからとばかり、いかにも上級者な顔で、わざとハーモニクス音でチューニングしていたのだから。
「いつからドラムやってるの?」
 部長でもあるベースが尋ねる・・・

4

お祭り改革委員会

15/09/06 コメント:6件 タック

嘆かわしい! 
実に、嘆かわしい!
なにがって、決まってるでしょう! 
わたしはね、あなた方の危機感の無さ、想像力の無さに、怒り心頭なんです! プンプンなんですよ!
まったく、なんなんですか、あなたたちは! なに普通に、お祭りなんかしちゃってんですか、普通に屋台なんか、出しちゃってんですか! 不道徳ではないですか! そうは、思いませんか!
だからね、今日はこの場をお借・・・

3

吊られっぱなしのヘイト・ソング

15/08/15 コメント:3件 クナリ

 メライ・メロは、恐らくは二十代前半の女性だ。
 ここ五年ほど、毎年夏に三日間行われるカーニバルの間、決まって僕を買う。
 買うけれど、三晩ともただ、手袋をした彼女の手を握って、話をして眠るだけだ。
 遮光カーテンに閉ざされた真っ暗な部屋に閉じこもっているメライの顔を、僕はまだ一度も見たことがない。
 彼女の肌の色も知らない。もしかしたら、以前迫害の果てに街から追放されたと・・・

2

友里子の初恋

15/08/10 コメント:4件 Fujiki

 日美子の遺体が見つかったのは翌朝だった。長い黒髪を静かな波にたゆたわせ、仰向けの姿で防波堤に打ち寄せられていた。最後の息を出し切った口元は緩み、薄く開かれた眼は青白い空を反照している。はだけた薄紅色の浴衣の衿からは白い乳房が顔を覗かせていた。
 旧盆の時期に海に入ると成仏できない霊たちに足を引っ張られると言われている。帰省中の娘の死に日美子の両親が言葉を失う中、年寄りたちは首を振りながらほ・・・

最終選考作品

5

神隠し

15/09/07 コメント:9件 泡沫恋歌

 秋祭りの季節になると十五年前に行方不明になった、従兄の小田真(おだ まこと)のことを思い出す。
「僕、芝居小屋にカバン忘れたから取りにいってくる」
 その言葉を最後に従兄の真は忽然と姿を消した。

 俺と真は従兄同士だが同じ学年で田舎の小さな学校なので仲が良かった。中学三年は進路を決める時期で俺は町の高校に通う予定だった。真の家は父親が病気で借金だらけ、母親(うちの母の姉・・・

5

相馬の馬追い祭り

15/09/07 コメント:6件 そらの珊瑚

 2011年3月11日。東北地方を襲った未曾有の大地震によって、茜の祖父の住む福島県相馬市も甚大な被害が出た。

 あれから一ヶ月。無事に助かった祖父は今、隣町に住む、幸運にも被害を免れた茜の両親のもとに身を寄せていた。
 しかし先祖から受け継いだ田畑は、津波の影響で台無しになったまま、赤い瓦屋根の祖父の家は流され跡形もない。
 大切に育ててきた愛馬、シロもあの日を境に行方・・・

2

お祭り男

15/09/05 コメント:3件 つつい つつ

 となりでたこ焼きの露店を出している源さんが俺んとこにきた。
「よぉ、達、五十円玉ねぇかい? 切れちまったんだ」
「ああ、あるよ。源さん、六五〇円なんて中途半端な値段にしないで、六〇〇円にしろよ」
「バカヤロー! その五〇円が大きいんだよ。うちは、いいタコつかってるからな」
「それが源さんの店の人気の秘密か」
 源さんはさっさと五〇円玉よこせってせかしてくる。
・・・

6

夏の金魚とアイミスユー

15/09/05 コメント:8件 そらの珊瑚

  駅前に集まった同級生は意外に多くて、男女合わせて十五人ほどだった。
『高校生最後の夏休み、みんなでレッツゴー夏祭りヽ´∀`ノ』
 それはクラスのラインで回ってきた情報だった。集団行動が苦手なボクは行くつもりはなかった。が、麻子さんが来ると知って参加したのだった。

 麻子さんは海老茶色のシックな浴衣姿だった。噂によるとおばあちゃんがロシア人だという人目を引くその美貌を、・・・

2

渚の祭

15/08/11 コメント:4件 W・アーム・スープレックス

 燃やす材料はだいぶ集まった。
 砂浜の上に、だんだんとそれは、堆く積み重ねられていった。
 薪になる材料を抱えた人々がいまも、あちこちから引きも切らずやってきた。机の脚、椅子、板切れ、野球のバット、新聞や雑誌の束を担いでいる人もいる。子供、若い男女、中高年と、その顔ぶれはさまざまだ。
 渚のなかほどには、キャンプファイヤのように大勢の人々が輪をつくってすわっている。
 す・・・

投稿済みの記事一覧

3

おじゃみ山の女神さん

15/09/07 コメント:7件 冬垣ひなた

「今年は台風もなかったし豊作や」
その日、村を巡回する嘉助は上機嫌であった。
燦々としたお天道様の下でそろそろ稲穂の実った広大な田は、全て村一番の地主である嘉助のものだ。
そしてそれを守るように、お社のあるおじゃみ山はそびえている。
「これも田の神さんのお陰やな!」
娘のトヨは声を大にして言った。
この村もいずれはトヨの婿になる男が継ぐ。嘉助は満足だった。二人は・・・

5

神輿に乗るには覚悟がいるのじゃ

15/09/07 コメント:6件 草愛やし美

「困った、ああ、困ったことよ」
「どうされました、阿歌塁比売神(あかるひめのかみ)様」
「爺か、娘が祭りを嫌じゃと駄々をこねておるのじゃ……」
「祭りが嫌とは一大事にござる。なぜに阿歌涙比売神さまは祭りがお嫌なのでしょうか。勇壮な祭りで素晴らしいではござらぬか」
「怖いと申すのじゃ」
「怖いとは?」
「神輿に乗って振り回されたり落されたりには耐えられないと言うの・・・

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火星人と生徒会長

15/09/07 コメント:0件 ケイジロウ

「佐々木君、何番?」
「えっ?」
 びっくりした。とてもとてもびっくりした。僕はその時西暦5078年の宇宙にいたのだが、大気圏だとか着陸だとか難しい手続きを経ることなく、一気に地球に戻ってきた。僕が座っていた中庭の一角に戻ってきた。そして、よくわからないヒップホップミュージックが強烈な勢いで僕の耳に入り込んできた。
 優勝争いに毎年入る実力を持つ女性が、毎年最下位争いをしている僕・・・

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もう少しだけ……

15/09/07 コメント:0件 梨子田 歩未

 引っ越しの準備に追われ、気が付いたころには夕暮れの秋風に乗って、祭囃子が聞こえてきた。
 ミオが窓辺に近づくと、姉の奈緒が段ボールにガムテープを貼る手を止め、「お祭りか」と呟いた。奈緒は床に寝っ転がった。ミオもそれにならった。
「引っ越し、どうしてもするの?」
 奈緒は答えない。ミオは自嘲気味に笑った。
「ひとりで住むには、広すぎるよね。って、わたしのせいか。怒ってる?」・・・

8

碧落の村

15/09/07 コメント:9件 草愛やし美

「かっちゃん、久しぶりなあ」
「おう、来たな花」
「祭りだもん、絶対来るよ」
「勝二、一年振りだね」
「おう、和子か。守も来てっど」
「守はずっとここぞ」
「だったなあ」
「ふふふ」
「楽しみで寝られんごったど」
「うふふ」

 ◇

 山道に車が差し掛かった。台風一過、まるで湖の底へ引き込まれていくような碧落が続く細い・・・

5

ささやかな祭事

15/09/07 コメント:8件 光石七

 蓮掛祭名物の山車行列は勇壮できらびやかだった。締めの花火も豪華で美しい。でも……
「純君、どこ見てるの?」
深月さんが女神のような微笑みを僕に向ける。
「え、その……う、うちの田舎のチャチな祭りとは全然違うなあって思って……」
深月さんに見惚れてました、なんて言えず、咄嗟に口から出たのは変な感想もどき。浴衣姿の深月さんはいつもに増して艶やかだ。この美人の先輩が僕の彼女だな・・・

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浅草寺地内に湊屋というごふく茶屋があった

15/09/07 コメント:0件 沢藤南湘

浅草寺地内に湊屋というごふく茶屋があった。
「ありがとう。おろくちゃんの入れてくれるお茶は天下一品だ」
「また、若旦那、冗談がお上手ですね」と、おろくは言いながら他の客にお茶を運んで行った。
「おろくちゃん、相変わらずきれいだね」と、大工の留吉は言った。
「ありがとう」と言って、おろくは外に出て、
「ごふくの茶、参れ、参れ。」と、浅草寺参りの人々に声をかけた。

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祭りの後で

15/09/07 コメント:0件 高橋螢参郎

 ――蓋し夏にまつわるものは、宿命的にどこか儚さを隠し持たずにはいられないのだろうか。
 線香花火がぽとりと落ちるその瞬間。
 あれほど喧しかったのに、ふと気付けば季節とともに遠ざかっていた蝉時雨。
 気まぐれに降り注ぐ一瞬の夕立。
 夏祭りで買ってもらったカラーひよこの、その後。
 そういったものに思いを馳せるようになったのは、高校時代の彼女の何気ない一言がきっかけ・・・

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決意の日

15/09/06 コメント:0件 華匡一

 夜空を駆け上がっていくつぼみは、宙で真っ赤に咲き誇る。華やかさと裏腹に夜空の時は刹那に過ぎ去り、花びらを散らしていく。花びらの行方は暗闇によって覆いつくされ、二度と誰の目にも留まることはない。地上から見ていた僕はまるで一年もの間、ずっとここにいたような気がした。その間に抱えていた悩みは夜空の流れにのって、いっそう加速していく。耐えきれなくなって、思わず彼女の方を向く。彼女の確かな存在は地上の時間・・・

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後の祭りは 熱く せわしく 華やかに 

15/09/05 コメント:0件 有朱マナ

ステージ裏にいる私のところに後輩が駆け込んでくる。
「先輩大変です!文化祭実行委員長と連絡がとれないです!」
「後夜祭ステージまで残り3分しかないのに」
 よくある連絡がとれないという事件。だが、これとばかりにやめてほしいと思う私。時計を見る。刻々と後夜祭のステージ発表スタートまで迫る。

 …♪♪♪
着信音が鳴る。
「はい、長岡です。どうされましたか浅・・・

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夏祭りと華

15/09/05 コメント:0件 ヒナタ

広告に大きな赤字で書かれた文字。
「姫妃町!花火大会!!」
今年は、上がる数が多く、5000発はあがるようだ。
だからか、隣町からも、人が大勢来て、会場は大盛り上がり。
屋台には、何十人にも及ぶ行列ができ、物ひとつ買うのに何分もかかる。
このことを見通ししていた幼馴染は、コンビニに立ち寄り、飲み物を買ってきていた。

場所も2人座れる場所などなく、僕たちは・・・

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最後の花火

15/09/05 コメント:0件 待井小雨

 屋台の並ぶ河原への道、浴衣の人々を抜けた先――父が待っていてくれる。
 お父さん! とはしゃぎ呼びながら父に飛び付く。腰で結んだ兵児帯の先が揺れた。
「――ああ、来たな」
 るり、と私の名を呼んで父は微笑む。私は伸ばされた父の手を握った。
 浴衣似合うかな、と私は白地の浴衣を見せびらかす。すると父はほんの少し悲しげにする。
「……別の色の着物を着ているのを、見たかっ・・・

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ピンクのカルメラ

15/09/05 コメント:0件 八月美咲

 釘が打ちつけられた台を錆びたパチンコ玉が上から下に転がり落ちる。右にいったり左にいったりジグザグしながら落ちた先には赤い大きな丸がしてあった。
「当たり〜!」
 オレンジ色の電球に焼けた黒い肌をテカらせながら店子は声を張り上げる。わたしはピンク色の丸い大きなカルメラを手渡され、少し戸惑いながら横にいる中武くんを見た。
「すごいやん、良かったやん」
 本当は小・・・

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いつも待っていてくれる君

15/09/04 コメント:0件 みや

夏の日の入りはとても遅く、18時を過ぎても外はまだ明るい。
今日は家の近くの神社の夏祭りの日で朱莉との待ち合わせは18時30分だ。僕は遅れない様にそろそろ出掛けようと自分の部屋を出て家の玄関に向かった。

玄関でスニーカーを履いて出掛けようとしている僕に母がどこに行くの?と問い掛けるので、お祭りに行って来ると僕は答える。

「そうね、今日はお祭りの日だったわね」

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妖怪祭り ── 刑事 : 百目鬼 学(どうめき がく)

15/09/04 コメント:7件 鮎風 遊

 季節は秋、ヤマボウシが赤い実をつける頃、町を貫く川の上流へと足を踏み入れてみよう。最初に水しぶき立つ滝に行き至る。
 そこで耳を澄ましてごらん。ケラケラと、水音がまるで女の笑い声のように聞こえてくるから。どうやら口紅をべっとりと塗った朱唇の大女、淫婦の霊の倩兮女(けらけらおんな)が水浴びしてるようだ。ボケッと眺めてると、遊んでくんなましと滝壺に引きずり込まれるから気を付けよう。
 そ・・・

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向けられた銃口

15/09/03 コメント:4件 霜月秋介

 私の尻は今、とても危険な状態にある。そう。私の尻は、背後から狙われているのだ。

 私は私の愛する小学三年生の娘・マナミと妻を連れて、夏祭りに来ている。わたあめやババヘラアイス、金魚すくい、射的など、いろんな店が並んでいた。最初は三人で行動していたのだが、人ごみにまぎれてしまい、私ひとり、妻子とはぐれてしまった。しばらくしてから、ようやく私は妻子と合流できたのだが、そのときマナミはあ・・・

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オゾン層を遠くに見て。

15/09/02 コメント:1件 ゆい城 美雲

こんな廃れた街だったかな、と駅をでて葵は思った。小さい頃よく遊びに来た商店街はシャッターを下ろし、押木枯らしに耐えるようにのっそり立っている。駅まで迎えに来てくれた美智子は、随分変わったでしょ。近くに大きなデパートが出来たのよ。その影響をもろに受けて、みんな廃業しちゃった。まあみんな歳食ってたし、辞めどきだったのかね。と、どうでも良さそうに言った。
「東京の大学はまだ夏休みなの?」
「・・・

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就職活動

15/09/02 コメント:0件 永吉

それは奇妙な光景でした。
焚き火を中心にして人間らしきものが踊っていました。いや、踊っていたというのは私の偏見かもしれません。なにせ今は8月、こんな暑い日に火を囲むのは盆踊りくらいだと思っていましたから。
その人間らしきもの…、ヒトモドキとでも呼びましょうか、ヒトモドキは一人残らず裸で、その頭はもちろん、青白い体躯には毛の一本すら生えておらず、湿ったように見える肌が炎に照らされてぬらぬ・・・

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花火と彼女の夏

15/09/01 コメント:0件 わさび

「マリエ、ワタシには、あまりニアワナイ?」
 困ったように彼女が言う。
 輝くブロンドの髪に透き通るアイスブルーの瞳。金髪碧眼とはよく言ったもので、彼女もまさに典型的アメリカ人の容貌だ。
 留学で日本を訪れている彼女はマリアといった。私、真理絵とよく似ている名前であることから意気投合したのだ。
 そして今日は花火大会。初めての着物の着付けの真っ最中である。
「そんなこ・・・

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幻の屋台飯

15/09/01 コメント:2件 三文享楽

 ここでもなかったか。
 ケンは食べた唐揚げカップのゴミを脇に置いた。
 味的には申し分なかったのに不満げな顔を浮かべているのは、本来の目的が達成できなかったことに他ならない。
 さて、どうしたものか。
 祭り広場に座っていたケンは次の店を探すため立ち上がった。
「祭りで、ある状態になった屋台の食べ物を口にすると、無限大に広がるお宝を手に入れることができる」
 ・・・

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立派な先輩の運転ご指導

15/09/01 コメント:0件 三文享楽

「お前、なんでこの道通ってるの?」
 社用車を運転しているアキラに、助手席に座った朏島が話しかけた。
 朏島はアキラの職場の先輩である。
「なんで、と言いますと?」
「と言いますとじゃねえよ。この国道は信号が多い。でも、向こうの県道なら信号はほとんどないし、ひっかかることも稀だ。前に教えなかったか?」
「ああ、そうでした。すみません」
 でも国道の方が制限速度的・・・

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パチンコ店、童子神輿乱入譚

15/09/01 コメント:0件 三文享楽

 きたきた、きたー。
「フィーバー! 大当たりだよ。右打ちしてね」
 やっと来ました今日の確変タイム。
 長かった。朝の開店からこの台の前に座り、かれこれ六時間は経過している。時間を浪費しただけならまだいい。既に三万円を投入しているのだから、ふところ的にもそろそろ勝たねば、次の給料日までパチンコを打つ金がなくなる。
「どきどきタイム継続、チャンス五十回」
 はあ。この・・・

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花火と月と

15/08/31 コメント:0件 トモシビ

 PM19:00、地元の小さな祭りに来て、ユキと花火を見物している。
 彼女の頬と帽子が赤や黄色……様々な色に移り変わる。

 見回すと、子どもを連れた母親が、露店でリンゴ飴を買ってあげている。
 家族連れが多い。皆幸せそうな表情に見える。老人が独りで花火を見たり、カップルが焼きそばを仲良く食べていたり、この近くの高校生が学生服を着崩して、楽しそうに遊んでいる。

1

曼珠沙華の咲く頃

15/08/30 コメント:0件 水原あさり

一年に一度、黒い行列が僕の家の前に現れる。

ちょうど空気がひんやりとしはじめる9月の半ば。
真っ赤な曼珠沙華と漆黒の喪服のコントラストが物々しい雰囲気を醸しだしている。
リリリ、という涼やかな虫の声と、トンボの羽音。
爽やかな風が秋の空気を纏い、頬を冷やしていく。

そろそろ散歩を切り上げて、家に帰らないと。

路地裏の古い家々の中のひとつに・・・

0

古き良き

15/08/30 コメント:0件 たっつみー2

(節子お母様、どうか、わたくしをあの場所にお戻しください。もう、あなたのあんな悲しい顔は見たくはないのです。暗い場所で何事もなく日々を過ごしているほうが幸せなのでございます。お母様からも躊躇いと不安が痛いほど伝わってまいります。十年前の、あの記憶が蘇ってくるのですよね)

 節子は微笑みながら「はい、プレゼントよ」と、五歳になる姪の真衣に紙袋を差しだした。
「おばちゃん、ありがと・・・

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追憶の灯り

15/08/29 コメント:2件 千也子

 中央広場では、楽団の軽やかな舞曲が響く。辺りは夕間暮れ、大衆でさんざめいていた。
 女性は色鮮やかなレースのヴェールを纏い、男性も古典模様の腰布を巻いている。舞い始めるとふわりと布が翻り、そこら中で花が咲き乱れている様に街は輝いた。
 頭上を見れば、付近の店や家々の屋根にも人が多い。往来の出店や広場、裏通りを練り歩く道化師達もあまねく鑑賞できる、言わば特等席だから。僕も宿屋の屋根に座・・・

1

門出の光

15/08/29 コメント:1件 ト音

 校庭の真ん中にキャンプファイヤーの火が立ち上り、辺りは火に照らされて明るくなった。本部テントに設置されたスピーカーから陽気な音楽が流れ出すと同時に、生徒会長がマイクを持って立ち上がる。
「それでは後夜祭、はじめまーす!」
 生徒会長のかけ声が響きわたり、それに引き続くようにわっと生徒たちは賑やかになった。学校祭最終日の夜、俺たちの学校では後夜祭が行われる。参加は自由、騒ぐだけの祭りだ・・・

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夏のひととき

15/08/27 コメント:0件 たまごたち

あの祭りの日、私は親友の紗耶香と、賑やかな屋台の並ぶ、地元の名所に遊びに向かった。

夏休みの、夕方。人が鬱陶しいほどに集まった場所で、小さな子供たちと並んで、香子は紗耶香と金魚すくいをしていた。
「待って!待って!」
しかし、すくおうにも、ポイの紙はすぐに破れた。
「あー…」
「香子、もっと丁寧にやらないと」
横で、2匹の金魚を容器に入れた友達の紗耶香が・・・

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おばあちゃんちの秋祭り

15/08/27 コメント:4件 こぐまじゅんこ

 ぼくは、田原けんと。ようちえんの年少ぐみ。
 今日は、おばあちゃんちのお祭りだ。
 おかあさんが、車でつれていってくれる。
 だけど、ぼくは、ちょっといやなんだ。
 なぜって、おばあちゃんちのお祭りは、ししがでたり、おにがでたり、とってもこわいんだもん。
 きょねんは、ししに、頭をがぶりとかまれて大泣きした。あんなこわい思いはじめてしたよ。

 おばあち・・・

1

晴れた空

15/08/27 コメント:1件 飛鷹朗

 あった、あった、焼きトウモロコシのお店。
 空は…だいじょうぶさ。よく晴れてる。
 雨に濡れるとこれ、元に戻っちゃうものな。
「おじさん、トウモロコシ一本ください」
「ちょっとだけ待ってくれるかい。よく焼けたのが全部売れたばかりだ」
「うん。ねえちゃん、醤油を何回も塗ってよく焼いたのがすきなんだ。そういうのにして」
「へえ、姉ちゃんのために買ってかえるの・・・

0

何か

15/08/27 コメント:0件 轟 進

 陽射しが強い八月、この日、パパの面影はもう無かった。

 太鼓の音は祭りが始まる合図。
各町内から自慢の山車が次々と道を埋めていく。
頑固な八百屋、物静かな畳屋、耳が遠い駄菓子屋。
普段とは違う顔つきの店主達が、仲間を鼓舞しながら山車を進めていく。
年に一度、誰もが「男」になれる日だ。

 わたしのパパは毎朝八時に家を出て会社に向かう。
同じ・・・

1

今の稼ぎとは

15/08/25 コメント:0件 小沼 道明

 今夜は地元の町内会で夏祭りがある。
前々から小学生の娘と中学になる娘は、家族みんなで夏祭りに行くことを楽しみに
していた。私も今夜の祭りをとても楽しみにしていたので、仕事は山積みだったが、上司に断って定時で退社させてもらうことにした。
 帰宅途中、残した仕事に後ろ髪を惹かれる思いだったが、家が近づくにつれ仕事の事は影を潜め、子供たちや妻が祭りの屋台で楽しんでいる光景が目に浮かん・・・

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日本全国ウナギ祭り

15/08/25 コメント:0件 かめかめ

 その神社は通称「ウナギ神社」と呼ばれることがある。神様の御使いがウナギなのだ。
 ウナギ神社はこの辺りの一ノ宮で江戸時代には殿様も信心していたという。そのため国中に夏の例大祭の間ウナギを食べてはいけないという風習が残っている。そのお触れが無くても国中の人は信心深かった。一年中、誰一人としてウナギを食べるものはいなかった。


「というわけで、我が家の土用丑はウリを食べるの・・・

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浮ついた夏の日

15/08/23 コメント:1件 夏木蛍




 「瞬くん、おまたせ」
今日は地元の花火大会の日。
楽しそうな子ども連れの家族や初々しいカップルが、海の方へと向かっていく。
「浴衣着てきたんだね」
最近は聞きなれた瞬くんの声に私は曖昧に返事をする。
瞬くんはいつもより少しラフな格好をして、気まずそうに視線を落とした。
「じゃあ、行こっかとりあえず」
手を差し出すこともなくすたすた・・・

2

まつり

15/08/23 コメント:2件 ふた

 私は自分の名前が嫌いだ。そう訴えれば、親がくれたものに文句を言うんじゃないとたしなめられる。しかしどう捉えても、真剣に考えてつけたものとは思えない。
 名前は、まつり。生まれたのは、村の伝統的な祭りの日だった。

 祭りの当日には、誕生日だからという意味不明な理由で一番に鐘を撞かされる。面倒くさいことこの上ない。
 幼馴染みの草太は昔から、私の出生に関して勝手な想像をして・・・

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面接の帰り

15/08/20 コメント:0件 ウはうどんのウ

 桜ノ宮は沢山の人でごった返していた。毎年天神祭りにどれくらい来るのかはわからないけれど、どこからやってきたんだってくらい、立ち並ぶ屋台の前で大勢の人が笑っている。着物を着ている人や、簡単な薄着で済ませている人。その中でぼくは、スーツ姿だった。
「なにボヤっとしてんの。こっちこっち!」
 美香が手を引っ張る。人ごみの中に突っ込んでいく。ぼくは人ごみが嫌いだ。美香だって知っているはずなの・・・

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弓矢

15/08/19 コメント:0件 W・アーム・スープレックス

かけだそうとする夏彦の手を、母親の登喜江はぎゅっと握りしめた。
「夏っちゃん、いそがんでも、お祭りは逃げへんで」
それでもまだ夏彦は、登喜江の手を引っ張って、先をいそごうとする。すぐむこうには、お宮さんに続く石段が見え、その石段を、大勢の人々があがりおりしていた。
石段を伝って、烏賊の焼いた匂いや、なにやら甘ったるい香りが漂い流れて来る。
登喜江と夏彦が石段の前にきたときち・・・

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散る散る花火の水飛沫

15/08/19 コメント:0件 蒼樹里緒

 花火がずっと空に咲いていてくれたらいいのに──なんて、子ども心に願っていた。

 水泳部の強い中学に進学したがった兄がその地域へ引っ越す前、ふたりで地元の神社の夏祭りに行った。
 兄も私も母に浴衣を着せてもらって、おこづかいを持ってうきうきしながら神社へ歩いたのだ。
 赤くて大きい鳥居をくぐると、縁日の通り沿いにつるされた提灯のまぶしさや、おいしそうな食べ物のにおいに出迎・・・

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この世の果てに祭りがあったら

15/08/19 コメント:0件 高木・E・慎哉

パチパチドンドンドン!
夏の花火の音が、辺り一面に鳴り響いていた。

英知作之助は、この世にある全ての祭りについて全て調べてみることにした。
果たして、この世にはどれくらいの数の祭りがあるだろうか?
みなさんは、そんなことを考えたことがあるだろうか?

作之助はこの世の果てにいってみたかった。
そして、この世の果てで、祭りをやってみたかった。
・・・

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祭りの狂騒

15/08/18 コメント:0件 シリウス42

うちの村は隣村と仲が悪く、揉め事が絶えない。
そのため、年に一度、祭りと呼ばれる戦いを行い、そこで勝った村が一年間相手の村の言うことを聞くというルールができた。
今年もその祭りがあるんだけど、私、祭澤花火には一つ億劫なことがある。
それは祭りの主役である祭主に私が抽選で選ばれたことだ。
どうして、祭主が嫌かって?
だって、私は祭主に・・・

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祭り爆弾

15/08/17 コメント:2件 W・アーム・スープレックス

敵は、てごわかった。
この数日、惑星上において熾烈な戦いが繰りひろげられた。
我々地球軍が、白鳥座のはずれにある宇宙空間に地球型惑星を発見したのとほとんど同時に、敵方もその惑星をみつけた。両者は惑星に着陸するなり、戦いの火ぶたを切った。
双方の武力はほぼ拮抗していた。こちらの攻撃に対して相手は、たちどころにそれを跳ね返すシードをはりめぐらした。こちらもまた相手の攻撃に対抗するため・・・

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ハロウィン、その時日本妖怪たちは

15/08/15 コメント:0件 夏川

 ある山の奥。古よりこの地に住む、人ならざる者どもが何やら話し合いをしていた――



「集まってもらったのは他でもない、欧州より伝来した謎の奇祭『はろいん』に対抗するためだ」

 日本妖怪連合の長、天狗が赤い眉間に皺を刻みながらメンバーに本日の議題を提示すると、河童や一ツ目小僧、鬼などの異形の面々も一様に渋い顔を見せた。

「はろいん、聞いたことは・・・

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幻想祭り

15/08/15 コメント:0件 海見みみみ

 死者が蘇る祭りが俺の住む村にはある。幻想祭り、その祭りはそう呼ばれていた。
 十年に一度訪れる幻想祭りの日。それを俺は待ちわびていた。全ては、彼女に会うために。

 幻想祭りの日は村が霧に包まれる。その日もまさに村は霧に包まれていた。幻想祭りの始まりだ。
「あんたもこれ、ちゃんと付けておきなさい」
 早朝、母が俺の腕にビーズのブレスレットをつけてくれた。このブレスレ・・・

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決戦場所に、馬鹿ふたり

15/08/14 コメント:0件 ハヤシ・ツカサ

 とある西洋の田舎街。告知通り行われることになったこのカーニバルの内容は、共に名高いガンマンであり、そして長年のライバル同士である二人の、観客の前での戦いを一目見ようと決戦場所は大勢の客の熱気に満ち溢れている。
 肌に優しい西風が吹き荒れている。今まさに、ゴングがなろうとしている。
「悪いが、エビデンス。この勝負は俺の勝ちになる」
 対戦相手のアジェンダは、彼の意外な言葉にカッと・・・

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香りの記憶

15/08/14 コメント:0件 水原あさり

「もう、これか、これ以上くらいな感じで
めっちゃ、盛ってください。鬼モリで」
花魁のような今風の浴衣姿のギャルが、
お客様用のファッション誌を見ながらそう言った。
「じゃあ、髪巻いて、全部アップしちゃっていいですかね?」
と私は鏡の中で、カラコンを入れたベージュの瞳と目を合わせながら答える。
「そうっすそうっす!」
そう言うと、赤と緑のネイルを施した爪を・・・

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水上村に伝わる祭りは、謎に包まれている

15/08/12 コメント:0件 ちほ

 水上村の語り部をしていた八十歳の源じいさんは、祭りのクライマックスにこの土地に昔から伝わる橋渡りに参加するそうだ。源じいさんの後継ぎは俺しかいないため、母と共に東京から呼び戻された。
 摩訶不思議な祭りは、現代の常識を超越しており門外不出と伝えられている。源じいさんは、俺に語って聴かせた。
「水上村と湖を挟んだ対岸に朝陽村があり、年に一度、祭りの時だけ水上村と朝陽村の間に長い橋が出現・・・

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さくら

15/08/12 コメント:0件 小李ちさと

今度行くから、会えないかな。話したいことがあるんだ。
そう言ったら、『兄貴』と呼んでいるこの友人はすぐに「分かった」と了承してくれた。なので年度初めという忙しい時期に、無理矢理九州から中部までやって来た。初めての土地だから、車外の風景が珍しい。
「ねぇ、あれって何するお祭り?」
助手席から見えた看板を指さすと、「あー……」と微妙な返事が返ってきた。
「べつに大した祭りじゃね・・・

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祈願

15/08/11 コメント:2件 るうね

 時は江戸時代。
 旅人がある村を訪れると、村人たちがせわしなく立ち働いていた。そこかしこに、のぼりも立っている。
 旅人は近くの村人に尋ねた。
「これは何をしているのですか」
「祭りですよ」
「祭り?」
「ええ」
 村人が語ったところによると、豊作祈願のお祭りだということだった。
 旅人は興味深そうに、
「見物させてもらっても?」
「ど・・・

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そして僕はまた夏を待つ

15/08/11 コメント:3件 泉 鳴巳

 部屋の梁にネットで調べたもやい結びでロープを括りつけていると、電話が鳴った。
「お盆くらい顔を見せなさい」
 母親だった。

 猛烈なホームシックに駆られた僕は生まれ故郷である山間の村へと帰省した。久しぶりに見る両親の顔にこみ上げてくるものをなんとか堪え、二日が過ぎた。
 八月十五日の夕方。日も傾き、涼しくなってきた。ちょっと出かけてくる、そう言い残して実家を後にし・・・

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たった一度の祭りの夜

15/08/11 コメント:1件 笹峰霧子

 あの時はうれしかったなぁ、なんて思い出す。
あまり馴染みはなかったのだけど、たまたま教育実習を一緒にすることになった年下の男子。私はもうかなりの年齢になっていたけど祭りに行く相手などいなかった。うちの町には大きな夏祭りが物心ついてからずっとあったはずなのに私は誰かと行った記憶がないのだ。

 教育実習は四週間あるがその内の二週間は大学の近くの中学校で済ませて、あとの二週間を・・・

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勝負

15/08/10 コメント:4件 るうね

「来たか、坊主」
「来たぜ、おっちゃん」
 俺とおっちゃんは、そう言葉を交わすと、にやりと笑い合った。
 夏祭り。
 くじ引きの屋台の前である。
 俺とおっちゃんの間には、ひも付きのくじ引きが置かれている。それぞれ商品にひもが付いていて、客が引っ張っると商品が持ち上がる、という縁日でよく見かけるタイプのくじ引きだ。もちろん、どのひもがどの商品に付いているかは分からない・・・

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村おこし、第一回UFO祭り

15/08/10 コメント:4件 海見みみみ

『当村ではこのままでは過疎化の進行により、村そのものの消滅もありえる。そこで、村おこしとして第一回UFO祭りを執り行う』
 村役場の職員に配られた資料。それを見て僕は思わずため息をついた。

 八月某日。夜。村には普段見られないような大勢の人々が詰めかけていた。なぜこんなにも人がたくさん集まったのか。それはこの村で『第一回UFO祭り』が開催されているからだ。
 四月の始め、・・・

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