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第八十九回 時空モノガタリ文学賞【きっかけ】〜松山椋君の足跡

本コンテストは、去る2015年6月21日、不慮の事故で急逝した時空モノガタリ作者・松山椋さんを偲んで開催します。テーマは【きっかけ】です。

【 松山椋 プロフィール 】

・1990年7月27日生〜2015年6月21日  享年24歳
・愛知県出生
・岐阜県在住
・2013年3月 立命館大学卒業(京都を愛した文学青年)
・不動産業勤務
・音楽、そして日本文学をこよなく愛し、最近は執筆活動をしていました。
・2015年6月21日、24歳の若さで突然の事故により他界。
・元々持病があり、近年は好きな酒や煙草を断ち『長生きする』と日々口癖。
・『走れ、走りつづけるよ』将来の目標は作家。近いうちに自費出版予定でした。

【 松山椋さん自身によるプロフィール 】

地獄からやってきた文学青年です。そして最底辺のクズ作家。「第二回月に吠える文学賞特別賞」いただきました。時空モノガタリさんにて『哄笑記』連載中。石原愼太郎・開高健・田中英光・瀬戸内寂聴・吉行淳之介が好き。あなたの物語を語ってください。(Twitterより)

【 松山椋さんの関連サイト 】

Facebook:https://www.facebook.com/ryo.matsuyama.1
Twitter:https://twitter.com/yoshiyamamilk

【 松山椋さんのお父様からのコメント 】

私が、息子の椋の小説に目を通すことになったのは、こんな事がおこり、ネットで『松山 椋』と検索したところ偶然に『時空モノガタリ』様のサイトに行きついたからです。
私はすべての作品とコメントに眼を通し、それらを心の支えとしています。
親バカではありますが、うちの息子にこんな才能があるとは、と感心すると同時に、将来作家を目指すのであればモット応援すればよかった、と後悔しております。
普通の仕事につき、普通に結婚して、普通に生涯を過ごす。そんな私達にとっては当たり前になっている普通を超えたところに身を置ける、それが小説の世界のように思います。
ここ『時空モノガタリ』様に作品を投稿されている方々も夢に向けて歩いて行ってください。
椋の作品を読んでいただいた方、関わったスタッフの方々に深く御礼申し上げます。

【時空モノガタリ文学賞〜松山椋君の足跡 発表日】

2015/09/28

【応募時の注意事項等】

恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

※同一投稿者からのコンテストページへの投稿作品数は2〜3作品程度とさせていただきます。
※R18的な暴力表現・性描写はお控えください。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。





青き筋肉

ステータス 終了
コンテストカテゴリ
投稿期日 2015/07/27〜2015/08/24
投稿数 45 件
賞金 時空モノガタリ文学賞 10000円 ※複数受賞の場合あり。
投稿上限文字数 2000
最大投稿数
総評

入賞した作品

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山の彼方のヒマラヤンブルー

15/08/24 コメント:10件 冬垣ひなた

今年の夏の始まり、志を持った1人の青年が突然に天へと召された。
私は泣いた。
あの頃聞いた蝉時雨は、今はもうかすれて遥かに遠い。


8月も後半に入ったとはいえ、こんなに蝉が少ないのは、毎年残暑の厳しい大阪にしては珍しいことだった。
とはいえ、都会の風景に馴染んだ鶴見緑地も、昼はやや暑くなる。メタセコイアの並木道を通り抜けると、眼前に大きな噴水が広がっていて、ビ・・・

11

小さな宇宙

15/08/20 コメント:13件 草愛やし美

 幼い頃、ばあちゃんの家で僕は宇宙に出会った。

 その日、ばあちゃんは田舎から上京してきた。だけど、いつものように大根も白菜も背中に背負っていない。僕はばあちゃんは必ず野菜のリュックを背負ってくる人だと思っていたので不思議で仕方なかった。きっとリュックを忘れてしまったのだろう。
 大勢の知らない人が黒い服を着てやってきた。ばあちゃんも黒い着物を着ている。たくさんのお線香がともさ・・・

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全てのきっかけは……

15/08/01 コメント:4件 海見みみみ

 私には彼氏がいる。大井カズキ君、彼とは別々の高校だけれど、ある事がきっかけとなって付き合い始めた。
 ある日の放課後、私が暴漢に襲われそうになった所を、偶然大井君に助けてもらったのだ。
 大井君は部活動でボクシングをしている。暴漢を寸止めのパンチで気絶させた大井君はとても格好良かった。
 私達は今、とても幸せにつきあっている。



 だがそれには裏が・・・

5

レゴとカルピスと夏と病葉(わくらば)

15/07/31 コメント:8件 クナリ

 私が小学五年生の頃、同級生が登校拒否になったことがあった。
 彼はフィリピン人とのハーフで、外国人の血が入っていることが顕著な外見だったので、元々クラスで浮いていた。
 私も小学校三年まで海外で暮らしていたこともあって、何となく日本の学校で疎外感を覚え、彼に対して親近感を抱いていた。
 私と彼、共に決まって聞かれるのが「外国語が喋れるの?」だった。
 その度に「いいえ」と・・・

最終選考作品

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シークレット・ガーデン、シークレット・プロジェクト。

15/08/24 コメント:9件 滝沢朱音

 時折彼は、聖飢魔U(せいきまつ)というバンドについてつぶやいていた。
 プロフィールで「地獄からやってきた文学青年」と名乗ったのは、有名な文学作品のタイトルからだけでなく、その聖飢魔Uにもかけていたのかもしれない。

 先ごろ、芥川賞を人気漫才師とW受賞した小説家が、デーモン閣下の世を忍ぶ仮の姿=i悪魔風のメイク)で受賞の電話を受けていたり。
 今をときめく女性脳科学者・・・

7

邂逅記

15/08/24 コメント:11件 泡沫恋歌

 まったく先生のていたらくには愛想が尽きる。
 夏木露山(なつき ろざん)は、帝国日本を代表する立派な文学者である。代表作の「猫の始末記」「膝枕」「これから」などは素晴らしい文学で深い感銘を受けた。そんな夏木先生に憧れて書生になったのだが、同じ屋根の下で暮らすようになると先生に対する幻想が壊れてしまった。
 駒込千駄木町に居を構え、先生の奥様とお子さんが五人と女中が住んでいる。先生の収・・・

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ある改心

15/08/24 コメント:17件 光石七

 ペシュ刑務所の死刑囚監房に一人の青年が収監された。テオ・ニネーム、殺人犯だ。四人もの命を奪ったにもかかわらず、テオには罪悪感も後悔も皆無だった。
「被害者の遺族に謝罪の手紙を書いたほうがいい。彼らの悲しみと憤りを少しでもなだめるんだ。反省してる姿勢を示せば裁判官の心証も良くなる。極刑を免れることができるかもしれない」
拘留中弁護士が助言したが、テオは聞く耳を持たなかった。
「な・・・

4

世界

15/08/14 コメント:5件 メラ

 目が覚めた。時計を見た。十一時だった。外は明るい。そろそろ昼になる、というところか。
 そこで気付く。
 自分がいた。
 自分の身体。自分の意識。
 自分はまだ、存在している。
 ため息を一つ。
 眠る前にいつも思うのだ。
 このまま自分など消えてしまえばいい。二度と目が覚めなければいいと。
 しかし、いつもこうして目が覚めて、昨日と同じ自分がい・・・

投稿済みの記事一覧

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「神様、HELP!」

15/08/24 コメント:2件 こうちゃん

 
 このお話は、四十路のカーブを目前にして社員食堂で働く、オジさんフリーターの落書きです。落書きなのでガタガタですが、終わる頃にカタカタぐらいに修正出来たらハッピーエンド。こんなアホな人でも書いているんだと、執筆のきっかけになったら幸いです。

 ではでは、はじまり、はじまり〜。

 それは連日猛暑のある日の事でした。

私が有休の日にヒマワリを植木鉢に・・・

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言葉はかたちにならないけれど、

15/08/24 コメント:4件 冬垣ひなた

玄関前に飾られたポートレートは、父と母、それにこの春中学生になったばかりのちとせが写っている。
年の離れた慶太が、手に馴染んだカメラのファインダーから覗く世界は、彼の置いた距離そのものだった。
いつだったか、母が手を繋ごうとしたその時、慶太は驚いて手を振り払った。その時の切ない父の顔を、ちとせはよく覚えている。
ずっと昔に貰ったモノクロームの写真もそんなぎこちなさの一つだった。<・・・

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生(せい)

15/08/24 コメント:4件 たっつみー2

 話しかけても何も答えてはくれない。ただ沈黙の時が流れつづけている。
 空調の音と廊下から時おり聞こえてくるリノリウム床をこする足音が、やけに耳につく。
 病院のベッドに横たわり、窓の外を見つめる横顔は血の気を失い青白い。この数日間、とめどなく流した涙のせいだろうか、19歳とは思えないほど潤いを失い、やつれている。
 ふと、掠れた小さな声が漂うように、わたしの耳に流れ込んできた。・・・

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特別天然記念物

15/08/24 コメント:4件 たっつみー2

本日は遠いところお越しいただき、ありがとうございます。それでは、さっそくお話を聞かせていただきたいと思います。まずはこの街に来ての感想などお聞かせください。

 
 あぁ、そうですよね。Kさんはあの島で生まれ育ち、島外にでたのは初めてですもんね。突然、感想とかいわれても困っちゃいますよね。では、島での生活を少しお聞きしたいと思います。島の暮らしはどのような感じなんでしょうか?<・・・

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三本の煙草

15/08/24 コメント:1件 ケイジロウ

 「お前の背中はまるででたらめやぞ」
 まいったな。いやぁまいったな。そもそもなんであんなことを言われなくてはならないんだ。しかも見ず知らずのおじいさんに。
 嵐電の踏切がポワァンポワァンポワァンと間抜けな音を出している。空っぽの電車が僕の横をだるそうに通り過ぎていった。昨日の雨で桜がだいぶ散ったことに、電車からの風圧で舞い上がった花びらを見て気付いたが、なんの感情もわいてこない。だか・・・

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僕のことかい? とりあえず、文学好きな青年とでも名乗っておくよ

15/08/24 コメント:13件 草愛やし美

 人間の脳は僅かしか使われていないと思われているが、それは過去のことらしい。だが、イマイチ解明されていなくて謎だらけなんだとか。脳が発火するような刹那があるはずと僕は思っている。だって、時々特殊な能力を持つ人が現れるからだ。
 通常は先天的な脳障害や後天的な事故による欠損でこのバランスが崩れると、稀に特定の能力を司る領域が肥大する場合があると考えられている。先天的なものは「サヴァン症候群」と・・・

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驟雨

15/08/24 コメント:13件 そらの珊瑚

 放課後、中学校の西向きの図書室には、まぶしいばかりの光が降り注いでいた。

 全校六百人ほどの生徒の中で、読書なんて今時流行らない趣味を持つ人は、おそらく少数派だ。調べ物ならパソコンで事足りるし、物語が好きならば漫画のほうが手っ取り早い。
 すすんで、というときこえはいいが、本音は、気の進まない役をやるくらいならという理由だった。読書好きな私が、図書係に立候補した理由は。

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偶像

15/08/24 コメント:4件 タック

 ある中学生の詩が、世間の耳目を集めていた。
 その詩はいわゆる正規の手段を持って発表され、世間に広められたわけではなかった。中学生の病死という不幸の事象が引き出しに篭められていた精神を表出させ、一人の詩人へと、少女を変貌させたのだった。中学生は夭折した早熟の天才として才覚を人々に感嘆され、また多くの人々に、その非業の死を悼まれていた。その注視は主に、陽へと傾いていた。中学生の残していた数少・・・

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きっかけコーディネーター

15/08/24 コメント:0件 南野モリコ

大学生、ミタニは、時計を見て慌てて飛び起きた。
「何で目覚まし鳴らねーんだよ」

今日は、本命企業の最終面接の日。大急ぎで着替え、バタバタと玄関を出た途端、誰かにぶつかって倒れた。それも朝日に輝く水たまりの中だ。
「ちょっと、気をつけなさいよ」
ぶつかった女は、謝りもせず怒鳴った。見るからに就活中の女子大生だ。
「おい、ぶつかったんだから一言ぐらい謝れよ。このス・・・

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青空は消えず

15/08/24 コメント:4件 murakami

「熱っ」
 握っていた半田鏝(ごて)が、左手の薬指を掠めた。水膨れが、また一つできてしまった。これで二つ目だ。
「不器用だな」
 隣で汗だくになった父さんが言う。
「貸してみろ」
 今度は、父さんが鏝を持ち、基盤の銅箔と部品を温め始めた。それから、半田を溶かす。銀色のしずくが吸い込まれるようにぽってりと丸く落ち、二つを固定する。部屋中に金属の焼ける臭いが漂った。

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白い花

15/08/22 コメント:0件 リアルコバ

「おめでとうございます。初めての決勝で初優勝、そして最年長初優勝の記録ですが今のお気持ちは」
 モトGP500 日本最高峰のバイクレースの表彰台で俺は興奮していた。
「27歳でデビューとは随分遅咲きですがキッカケはなんだったんですか」
 キッカケと云う言葉を聞いて思わず答えてしまった。
「聡のおかげです」


 今から13年前、高校3年の夏。俺は族にも走り・・・

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珈琲を甘くして

15/08/22 コメント:2件 有朱マナ

 何がきかっけって、それはある人がコーヒーの匂いを漂わせていたからだと思う。

 コーヒー嫌いの私。幼い頃から苦いものが嫌いだった。何でもかんでも。一見甘そうに見えるビターチョコレートだって。ミルクとお砂糖入れれば飲めるでしょ?など聞かれるが、無理です。

 ある人、仮にAとしよう。Aはいつも私の隣でコーヒーを飲んでいる。しかもブラック。何処へ行ったって。
「おいしい・・・

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理由がないから

15/08/21 コメント:3件 ウはうどんのウ

 泣いていた。胸を刺すような
 痛みが、とめどなく溢れ出ていた。
 その
 涙に理由はなかった。ただ
 風鈴の掻き立てる音と、雷の
 落ちる
 音を聞いていると、自然と目頭が
 真夏日のようにあつくなった。

 泣いていた。優しく撫ぜるような
 温もりが、休むことなく包んでいた。
 その
 涙に理由はなかった。ただ
 布・・・

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きっかけから生まれしもの

15/08/21 コメント:2件 霜月秋介

 私がこの『時空モノガタリ』に出会ったきっかけは、一年ほど前に長編小説を書こうと意気込んで見事に挫折した時だ。掌編を募集しているサイトがないかとネット検索してみたところ、このサイトを見つけたのだ。二千文字以内。これなら自分にも出来るかもしれない。そう思った。掌編を書いて、その掌編を誰かに評価してもらえる。はじめてコメントを貰ったときの感動は今でも忘れない。私が掌編を書く楽しみを知ったのはこの『時空・・・

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風は何色?

15/08/20 コメント:10件 鮎風 遊

 誠実そうで、なかなかのイケメン。そんな男が、まるで判で捺したような毎日、夕方六時にはきっちりと勤めから帰ってくる。
 時間は充分ありそう。だが女の影はない。むろんデートに出掛けるところを見たことがない。三十歳前の割には、ちょっと気楽に暮らしすぎじゃない。
 これが同じアパートに住む者たちの、高池陽馬に対する印象だ。誰かなんとかしてやれよ、とのお節介な声も聞こえてくる。
 しかし・・・

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それはまた別のお話

15/08/19 コメント:4件 くにさきたすく

 康平はアパートの玄関の扉を開け、外へと一歩踏み出した。
 高い太陽の日差しを浴びながら歩道を進む。買ったばかりのワイシャツは少し襟が固い。
 空いた手でネクタイを少し緩めた。
 康平は駅までの途中、自動販売機でコーヒーを買った。考え事をしていたこともあってか釣銭を取り忘れ、そのまま駅へと向かった。
 残された釣銭は、その後やってきた少年に見つかった。少年はこういう所にたま・・・

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きみがくれた

15/08/19 コメント:1件 浅月庵

 不意にぼくは肩を叩かれる。
「井端先生って呼んだ方がいいですか?」と、きみが笑う。

 きみは高校生の頃から綺麗だったし、ぼくはきみの知的な雰囲気がとても好きだった。
 きみの視線の先には、いつも本がある。カバーに覆われてタイトルさえわからなかったけど、休み時間のほとんどをきみはページを捲るのに費やしていたね。
 きみが小説のタイトルをぽろっと零したとき、ぼくは学校・・・

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剽窃者の言い訳

15/08/18 コメント:0件 蒼樹里緒

 数か月まで、僕には好きなゲームがあった。インターネット上でブラウザを立ち上げればすぐにプレイできて、システムのほとんどが自動で済むという手軽さは、周りの人たちにとっても暇潰しにちょうどよかったんだろう。利用しているSNSもそのゲームの話題であっという間に埋め尽くされて、僕も次第に興味を持っていった。
 ――そんなに面白いのかな。
 公式サイトを見てみると、確かにコンセプトにもキャラク・・・

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道をあるく

15/08/16 コメント:6件 梨子田 歩未

 一年と三カ月勤めた会社を辞めた。周りには、公務員試験を受けるために辞めるのだと誰のためか分からない見栄を張った。
 最初の一カ月はゆっくりした。昼に起き、だらだらとして、夕方にドラマの再放送を見る。そんな生活も最初は新鮮だったが、徐々に退屈になってくるのが不思議だ。
 かと言って、外をぶらぶらすると、昔の同級生の親だとか、近所の人に高確率でばったり会うぐらいの狭い場所に住んでいる。だ・・・

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どこまでも透明な青を見た

15/08/16 コメント:2件 かめかめ

 気がつくと、空を見上げていた。

 体の下にはやわらかな草の感覚がある。
 そっと首をもたげて見ると、辺り一面の花畑だった。あたたかな陽光に花たちがきらめくように揺れていた。
 ゆっくりと体を起こして、ゆっくりと立ち上がる。首を振って手足を振ってみる。どこにも痛みは無いことを確かめると、ゆっくりと歩き出した。

 何もかもがゆったりとしていた。頬をくすぐる風さ・・・

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文学輪廻の通り路

15/08/16 コメント:4件 三文享楽

 もう何度、この路を通ったか分からない。
 この路に戻ってきてすぐは毎度忘れているのだが、しばらく浮遊しているうちに以前にも通っていたことを思い出す。
 輪廻という概念が近いのだろうか。やはり我々は「生まれては死に」という転生を繰り返しているようだ。
 こんにちは。
 しかし、輪廻という言葉ともやはり違うのだと思う。我々は魂の存在すら含め、宇宙次元の有機物に組み込まれており・・・

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総老人層時代を経ても

15/08/16 コメント:2件 三文享楽

「こんにちは。今日も精が出ますな」
「ええ、天気も良くて、体の動かし甲斐がありますよ」
 貴史は今日も朝のランニングを欠かさない。
 いつものコースで中学時代の同級生と挨拶を交わし、また走り続ける。
「こんにちは、渡辺さん」
「ああ、どうもこんにちは」
 杖をつきながらも必死に歩いている渡辺老女ともすれ違った。事故で脚が不自由になったが、動く気力は満ち満ちている・・・

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ペンを執る日の朝

15/08/16 コメント:2件 三文享楽

 朦朧とした日曜の朝、ニュース番組では中東のテロ事件が報じられていた。
 数か月前ならば、意識を集中させて注視していたであろう事件をここ連日起きている記憶の断片として処理した自分に気付いたが、とりたて責めることもしなかった。
 宗教や人種が原因となりテロが起きていると報じているものもあれば、社会的構造に不平等を蒙っている人々がそうした方面に傾いていると報じているものもある。
 い・・・

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回復

15/08/15 コメント:7件 つつい つつ

 何も浮かばない。何も描く気がしない。何のために描くのかわからない。描いたところで意味あるのかって考える。たぶん、あれからだ。十日前のあの日から、俺はおかしくなった。
 俺は今年で三三になる。だけど、別に働いちゃいないし、働く気もない。そう、俺は堂々と親のすねをかじって生きている。そして、それを恥じる気も全然ない。だからといって、無気力にだらだらと過ごしているのかというと、そうではない。俺は・・・

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沈黙の音色

15/08/13 コメント:14件 水原あさり

「青野の声って聞いたことないよな」

青野くんは小学校で
そんなことをよく言われていた。
苛めの対象とまではならなかったけど、
とにかく口を利かないので、
周りの生徒とは何となくの隔たりがあった。

朝礼の出席確認は小さな小さな
蚊の鳴くような声で返事をし、
授業中先生に当てられても、
申し訳無さそうに俯くだけで
決して口を開・・・

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肉まん、ラブレター、桜吹雪日本語版

15/08/08 コメント:2件 j d sh n g y

「 -- 」はリンクを表す記号です。
李峰搏(り ほうはく)はコンビニで肉まんを買い、道の近くの階段に座り、ちぎりながらそれを食べた。
ちぎられる湯気の立つ肉まん----ビリビリにちぎられるラブレター--
何かをちぎるとき、彼は思い出す。あのラブレターは自分自身で破いたのだ、と。そしてそれを渡そうとした女性がいたことも。
彼女の名は小林悠・・・

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馬になれた日

15/08/07 コメント:3件 小沼 道明

「メガネ猿〜!」
校舎の二階から熊沢の声が飛んできた。
僕はその声を無視して校庭を速足で歩き続けた。
僕のランドセルは水に濡れていつもより重たかった。
おまけに髪の毛も服もずぶ濡れだった。
前には赤いランドセルを背負った麻里ちゃんが、友達と三人で歩いていた。
麻里ちゃんと友達が歩きながら後ろを振り返り、僕を見てクスクス笑っている。

 僕は幼稚園のこ・・・

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忠ロボ八号

15/08/05 コメント:4件 海見みみみ

 これはあるきっかけを待ち続けた一体のロボットの物語である。

 そう遠くない未来。人型ロボットが開発され、ロボットは人間社会に適応していった。ロボットは姿も人間そっくりで、もはやアンドロイドと言っても差し障りない程だ。
 安藤新太もそんな人型ロボットの所有者である。彼は結婚し妻が子供を出産した事がキッカケで、妻の家事を少しでも楽にするため人型ロボットを購入した。
 彼が購・・・

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ウメバチソウ

15/08/02 コメント:2件 眞木 雅

 彼が僕のことを遠ざけたのは、僕が黒猫に生まれた、不幸の象徴だった。きっとそれが全てだ。

 別れは突然で、たくさん泣いて抵抗したけれど、全く歯が立たなかった。二人で幸せになるため、いろんな計画を立てたけれど、それにそぐわない生まれや育ちを初めて打ち明けた時、僕は彼を傷つけてしまった。
「トラウマになった」と、これは彼の言葉。
この小説を書く日まで、何度頭に繰り返しただろう・・・

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永続論

15/08/02 コメント:4件 みや

親元を離れた子供がいる場合、今後親が死ぬまでにその子供と一緒に過ごせる時間は、およそ一ヶ月である。

何かの本に書いてあったこの一説を読んだ時、直美は心臓がひんやりするのを感じた。
小さな時には嫌と言うほど一緒にいて、同じ時間を過ごしてきた我が子とこれから先は後一ヶ月しか一緒にいる事が出来ないなんてー
一ヶ月、と言うのは少し大袈裟かもしれないが、24時間一緒にいた小さな頃を・・・

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突然の奇跡

15/07/31 コメント:3件 高木・E・慎哉

その日は夜空の星々を見ていた。
綺麗な星空の夜だった。
「綺麗な星だね!」
君が言った。
「そうだね…。でももっと美しいものがあるよ!」
君はビックリした目で、僕を見た。
「何…?」
「君だよ!」
君は嬉しそうに大きく目を見開いた。

二人は熱く見つめ合った。
あの日から、僕らはいつもそばにいた。
つかず離れずの関係が、純粋に・・・

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やりましたね、お母様

15/07/31 コメント:4件 ちほ

「梅子さぁーん」
一階から母が呼んでいる。
蝉の鳴き声のうるさい台所で、母は白い三角巾で頭を覆い、割烹着姿で朝からせっせとお菓子を作っていた。お手伝いの春子さんが里帰りをしているので、腕の見せ所とばかりに大好きなお菓子作りに励んでいる。
「これを教会の神父様に届けてきてくれないかしら」
これ、とは出来たての南瓜パイのことだ。お向かいの教会に行けばいいのかしら。わたしは・・・

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マナブ君のマブイ

15/07/29 コメント:2件 Fujiki

 マナブ君は先週から学校に来ていない。一応病欠届が出されていたが、噂によれば彼はマブイを失くしたらしかった。「マブイ」とはこの地方で「たましい」を意味する言葉である。しかし、不注意な人が時々やってしまうように何かの拍子にうっかりマブイを落としたわけではないようだった。悪魔に売り渡したらしいというのが私たちの間では最も有力な説である。マナブ君が悪魔と一緒にスターバックスにいるところを何人かが目撃して・・・

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怖い夢

15/07/28 コメント:2件 ハヤシ・ツカサ

「マキ。最近、怖い夢とか、見てる?」
「怖い夢?最近仕事で疲れてるから、ほとんど見てないんじゃないかな」
「俺さ、ときどき、崖から突き落とされかけたり、運転していて事故りそうになったり、乗ってた飛行機が墜落しそうになったり、なんだかわからないけどパニックになって、汗だくで目を覚ますことがあるんだ」
「マジ?ナオ、疲れ過ぎだって」
「いや、実はさ、怖い夢を見たときの共通点があ・・・

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パフェ男が酒をのみたくなった理由

15/07/28 コメント:4件 W・アーム・スープレックス

彼になかば導かれるようにして俺とはん子は、その喫茶店にたちよった。ここはやっぱり飲み屋にでもいきたい気分だったが、彼がいたのでしかたがなかった。
店にはいり、やってきたウェイトレスに、彼が頼んだのはやはり「チョコパフェ」だった。
「そちらのお客さまは、なににいたしますか」
「日本酒ある?」
俺は猪口でグイとやるあの醍醐味が好きだった。あきらめ半分できいてみた。
「ちょ・・・

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15/07/27 コメント:4件 るうね

 ビルの屋上に陣取った俺は、ライフルのスコープを覗きながら照準を調整していた。
 風は――東南東に三メートルといったところか。
 一度、スコープから目を離して、肉眼で標的を確認する。確認、と言っても、六〇〇ヤードも先、オフィスビルの一室だ。標的自体は豆粒よりも小さく見える。
 この界隈を仕切るマフィアのボス。これを射殺するのが、俺への依頼内容だった。
 ……また、このライフ・・・

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風が吹けば

15/07/27 コメント:0件 るうね

 男は、きっかけ殺しを生業にしている殺し屋だった。
 部屋のドアがノックされる。どうやらお客が来たようだ。
「どうぞ」
 殺し屋が返事をすると、気弱そうな初老の男性がオフィスに入ってきた。
「どうぞお掛けください」
 男性は促されるまま、椅子に座る。
「さて、今日はどんなご用件で?」
「実は……私の妻を殺して欲しいのです」
 男性の言葉を聞き、殺し屋・・・

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